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#4642 そろそろサイクリングもおしまいかな:寒くなりました Oct. 31, 2021 [85.サイクリング]

 昨日は、牧の内へ行って来てそれから分屯地を一回り、17㎞走った。
 午後2時の気温11.3度、北風3.9m/s、湿度61%
 平均18.4km/h、最大瞬間速度33.6km/h 累計走行距離5842km

 今朝は8時10分に衆議員議員選挙投票と最高裁判所裁判官の国民審査に光洋中へ。この人がいいという人がいませんので、選挙のたびに困ります。そこで候補者の名前を見て、ちょっとだけ考えて、今回は消去法にしました。
 健全な保守主義がいいのですが、なかなかそういう主張や生き方の国会議員さんいませんね。

 モスでチーズバーガーを買ってきて食べて、4時ころに分屯地を1周したあと、自転車を物置にしまって、散歩。自転車とウォーキングでは使う筋肉が違うので、混ぜたほうがわたしにはいいようです。カウンターをもって歩いて、20歩ごとに「カチャ」、400百歩で折り返しました。合計800歩で、約700mです。
 午後4時の気温12.3度、南南西の風2.5m/s、湿度90%
 平均速度21.5/h、最大速度36.2km/h、累計走行距離5846km

 寒くなってきたので、今年のサイクリングはそろそろ終わりです。


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#4641『 Cutting Edge』 長文問題No.18:2通りの読みかた Oct. 29, 2021 [62. 授業風景]

  数日前に高3の生徒が標記問題集の一番最後の問題No.18の全文和訳をやっていた。宿題なのだそうだ。
 ざっと全体に目を通したら段落のアンダーラインの部分の訳が意外にむずかしいことに気がついた。
 この文だけを切り離して読むなら、2通りに読めるのだが、生徒はどう読んだのだろう。気になって、生徒がノートに書いた訳文を読んでもらった。

There is a paradox at the heart of our lives. Most people want more income and work hard for it. Yet, as Western societies have got richer, their people have become no happier. This is no old wives' tale. It is a fact proven by many pieces of scientific research. As I'll show, we have good ways to measure how happy people are, and all evidence says that on average poeple are no happier today than people were fifty years ago. At the same time, however, average incomes have doubled. This paradox is equally true for the United States, Britain and Japan.

 これが冒頭の段落です。生徒の訳は次のようになっていました。
「わたしたちの人生の中心に逆説がある」
 何だか哲学問答のように聞こえます。ありていに言うと、何言っているか意味わかんないということです。
 livesを「人生」と訳したのだが、livesには他の「生活」という訳語があります。どっちなのでしょう?
 heartを「中心」と訳したようです、これも「心臓—体の中心部、心—感情の中心部、中心」などの多くの訳語があります。

 辞書によって並べ方は違いますが、だいたい同じです。問題は言葉の定義の内、あなたがどれを選択するかです。選択したときに、なぜそれを選択したのかを考えましょう。
 life:①命、生命 ②一生、生涯 ③人生 ④生活...(ジーニアス4版)

 life:①生命、命 ②一生、寿命 ③生物、生き物 ④人生:実生活、現実 ⑤生活(スーパーアンカー)

 heart:①心臓 ②心 ③中心・核心 (ジーニアス4版)
 heart:①心臓 ②心・気持ち ③気力 ④中心 (スーパーアンカー)

 paradoxには「逆説」と訳注がついています。この日本語をどう理解したのでしょう?
 辞書によって定義が異なるので、手元にある辞書3冊から引用しますので、どれがいいか見比べてください。

 「表現の上では一見真理に反するように見えていて、実は真理を言い得ている言葉」(角川『必携国語辞典』)
 「通常の把握に反する形で事の真相を表そうとする言説 ②〔論〕相互に矛盾する命題が共に帰結しうること。また、その命題」(『大辞林』第三版

 「衆人の予測に反して一般に真理と認められるものに反する説。また、真理に反対しているようであるが、よく吟味すれば真理である説」(『広辞苑第2版』1976年)
 わたしには一番古い辞書の広辞苑の定義がしっくりきます。

 英英辞典はどうでしょう?
 paradox:  a situation or statement which seems impossible or is difficult to understand because it contains two opposite facts or characteristics. (Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
(二つの正反対の事実や特徴を含むために理解するのが困難な、または不可能と思われる状況や陳述)

 paradox: 1. a person, thing, or situation that is strange because they have features or qualities that do not normally exist together.(通常は両立しない特徴や特性をもつという理由で奇妙に感じられる人・物・状況)
  2. a statement consisting of two parts that seem to mean the opposite of each other, or the use of this kind of statement in writing.  (相反するような2つの部分からなる陳述、または文章でそういう矛盾するような表現)(Macmillian English Dictionary)

  paradox: a situation or statement with two or more parts that seem strange or impossible together. (Oxford Wordpower Dictinary)
(どこかヘンで両立しない2個あるいはそれ以上の部分をもった状況あるいは陳述)

 3番目に引用したOWDは学生向けのコンパクトな英英辞典です。ふだんはCALDとOWDを使っていますが、それでもピンとこないときはMEDを引きます。 

 話を元へ戻しましょう。こういう時はどんどん読み進めばわかるようになっています。問題提起して、それを具体的に後段で展開するというのは、ごく普通の論理展開ですから、二通りに読める場合に先を読み進めば、どちらが正解なのかわかります。だから、どんどん先を読んで、論理的な整合性をチェックすればいいのです。

 そこで後に続く部分を読んでいくと、平均して現在の人たちは50年前の人たちよりも収入は2倍なのに幸福ではないと書いてあります。収入が2倍になったら、より幸福に感じてあたりまえですが、現在のわたしたちはそうは思っていないというのがパラドックスなのです。incomeは「所得」であって「収入」ではないのですが、これは軽々額に関する記事ではないので、「収入」の訳語を充てました。「所得」は専門用語の匂いがしますから。
 後段部分との論理的な整合性から判断すると、livesは「生活」、heartは「キモチ」と訳すべきでしょうね。
 「わたしたちの生活実感には逆説がある」
 日本語としてはこれぐらいがいいでしょう。
 この問題には解答集に全訳が載っています。そこを書き抜いておきます。
 「わたしたちの人生の中心には1つの逆説がある。」
 何の話かわかりますか?50年前に比べて収入は2倍なのに、幸福に感じる人が少ないと後段に説明がありますが、これでは論理的な整合性はありません。
 大学の「比較的良質」のゼミでは、テクストを読むときには論理的整合性をチェックしながら読みます。日本語の文章も英語の文章も、論理的な整合性を追いながら段落ごとの意味を把握するのは普通のことです。そういう読み方を普段からやってください。中学生でももちろん可能です。
(わたしは小学生高学年の頃にはそうした読み方をしていました。北海道新聞の社説を読むのが毎日の習慣になったのが4年生の時でしたので。あの1年間が一番国語辞書を引きました。なにしろ知らない用語がたくさん載っていたので。でも半年もしたら、ほとんど辞書は必要がなくなりました。新聞の政治経済欄を読むくらいの語彙が蓄積されたからです。新聞を定期講読してなければ、小4であれほどの語彙拡大は無理だったでしょう。いま新聞を定期購読しない家庭が増えています。当時(1959年頃)の北海道新聞にはルビがふってありました。だから、漢和辞典の必要はありませんでした、国語辞典だけでOK。たまたまいい時代に育ったといえます。)

 本文に即して、日本の事情をチェックしてみます。団塊世代のわたしたちが大学を卒業したのが50年前で、当時の大卒の初任給は4.6万円ですが、現在は21万円だから、4.6倍です。物価の上昇を考慮する(購買力平価だ)と、4割り増しくらでしょうね。

 モノは次いで、「主要先進国の実質賃金指数の推移」という面白い統計を紹介します。最近20年間の賃金成長率を高い順に並べると、
 韓国   167%
 米国   82%
 フランス 69%
 ドイツ  59%
 日本   -8%

 にわかには信じられないような数字が並んでいます。韓国はwestern societiesには属しませんが、米国・フランス・ドイツは代表的な西欧社会に属する国です。
 この20年間で主要先進国で実質賃金が低下したのは日本だけなのです。本文の段落の最後の部分に「この逆説は米英日にとっては真実である」と記してあります。

 日本では大企業の経営者たちの経営能力が劣っているから、人件費を抑えることでかろうじて利益を出しているのです。にもかかわらず、この30年間で日本の大企業の取締役の報酬は2-3倍に上がっています。いままで節度のあった日本の経営者たちがこの20年間でひどく強欲になったということのようですね。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」は日本人が受け継いできた大切なビジネス倫理ですが、それが最近20年間で消えかかっているようです。日本人が受け継いできた経営倫理を大学でしっかり教えないといけませんね。そういう視点で見たら、トヨタの「かんばん方式」や下請けいじめなどは最低の経営政策です。

 だから、この問題文にあるように、西欧社会は50年間で実質賃金が2倍以上になっているというのはたしかなことのようです。日本経済が最近20年間でひどく劣化したのがこの実質賃金指数からわかります。

 まとめです。
 livesやheartにはそれぞれいくつか訳語があるので、複数の読み方ができます。だから、読みを一つに絞らないでください。複数に読める可能性を残しておいて、あとに続く文を読んで論理的な整合性を考えて、何が適訳か判断しましょう。

<余談>
 この問題集の解答は生徒には渡されていません。しかし、ネットで手に入るようですね。誰かが入手したら、必要な友達へスマホで簡単に配信されます。このレベルの問題を独力でなんとかに理解できる生徒は、10人いないでしょうね。
 でも解答は後から見ないと、見ながらやっていたら学力はアップしませんよ。
 自分のためですから、単独で無理なら数人で議論しながら楽しく全訳してみてください。英吾を理解する力がしっかりつきます。
 頑張れ、根室高校生!
 応援してます。...54年前の卒業生より(笑)



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#4640 根室市役所職員には教育長の職を担える人材はいないのか?Oct. 28, 2021 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 根室の教育長は道庁から人材をもらっている。寺脇教育長が去り、また今度も道庁の関係者である道立教育研究所長の波岸克康氏が赴任してくるという。北海道教育大旭川分校出身で、教員経験あり、教育行政畑のみを歩いてきた人のようだ。

 根室市役所には60歳前後で、教育長の職を担える人材はいないのだろうか?いないからこういうことになっている?
 校長職経験者の中には小中学校の児童・生徒の学力向上に功のあった人がいらっしゃる。たとえば、別海中央中学校元校長の青坂さんだ。厚床でも校長をしていたことがあり、ホームページがすばらしかったので知っている。彼は千葉大の教育学部出身者だ。北大教育学部よりも偏差値が高いのでは?
 他にも、根室市内で荒れた啓雲中学校を正常に戻し、学力向上に成果を上げた佐藤よしあき元校長がいらっしゃる。二人三脚で大石先生が支えていた。好いコンビだった。
 2年先輩の剣道部の吉岡さんが柏陵中と光洋中の校長職だったが、彼をどうして教育長にしなかったのだろう?1年先輩の道教育局の鈴木さんが教育長として赴任してきたが、あの人事には驚いた。高校時代の彼らを知っているわたしから見たら、ありえない人事。
 根室高校には現在の生徒玄関口の近くに柔剣道場があり、そこでわたしが受け身の稽古をしている横で、吉岡先輩が竹刀を振っていた。彼は光洋中学校ができたときに3年生、同じ学年生徒500人中、学力テストで10位だったと聞いたことがある。10番以内の成績で大卒で根室に残ったのはあの学年では吉岡さんだけかもしれない。文武両道の人。根室の大学進学率は10%以下でした、経済的な事情で大学進学できないのが普通の時代だった。みんな貧乏していたのです。もちろん私も大学進学など高校3年の秋まで考えたこともありませんでした。

 元校長職ならいま教育長を担える人がわたしの知っている範囲で2人います。もちろん、知らないほうが多いのだから、もっとたくさんいるでしょう。

 別海で子どもたちの学力向上に力のあった教育長の一人が真籠さんです。彼は別海町役場の元職員。教育長を退いた後も、小学生の女子バレー選手育成に関わっています。毎日朝早く畑を耕し、地産地消の運動にも加わっていらっしゃる。

 釧路の教育を考える会の会長の角田さんは元釧路教育長ですよ。いまでも釧路の子どもたちの学力に危機感を感じて活動されていらっしゃる。わたしよりも一回りくらい上だったから80代半ばか。釧路江南高校から北大へ進学、釧路市役所へ勤務、経済部長の後に教育長に就任したと聞いています。当時の部下の一人がいま釧路教育長の岡部氏です。3年前まで学校教育部長をしていた高木さんは、思うところあっていま釧路高専の3年生です。C言語のプログラミングを学んでいます、小樽商科大学出身者。釧路市役所職員には教育長という職を担える人材が多いようですが。なぜでしょう?

 さて、根室市役所にはなぜ60歳前後で教育長を担える人材が現れないのか不思議ですね?そういうレベルの人材がいないからだと思います。釧路市役所の教育長の経歴を見ると大卒で教育に対して確かな見識のある人たちが就任している。もちろん、前職で成果を上げた人が選ばれています。経済部長職だった角田さんのように。

 根室市役所には教育長を担える大卒がいないのはなぜでしょう。なぜそんな状態が何十年も続いているのでしょう。 
 コネ採用がダメージを大きくしているのではないかと推測しています。わたしが2002年秋に古里根室に戻ってきてからすら、いくつかコネ採用の話を耳にしています。
 ずいぶん前に、釧路市役所だってあるでしょう?と訊いてみたことがあります。とっくにそんなものはなくなっていると角田さん。
 別海町・中標津町・標津町・羅臼町は合同で職員採用をしているので、インチキはできないとのこと。いつからそうなったのか知らないが、いい人材を選考すればいいだけ、情実ナシ。そういうことが町や市の行政の足腰を強くしたのではないでしょうか。

 根室市役所は高卒が多いので、大卒の新卒を使うのを嫌がっていたのではないか、そんな気がします。釧路市役所に比べると大卒比率がかなり低いのではないだろうか。

 根室管内1市四町で根室市の行政の足腰が弱くなり、その結果として教育行政も弱体化し、小中学生の学力が、釧路根室管内最低という状況を招いたのではないか、わたしの仮説です。

 昨日アップした「#4639根室教育長退任の弁を聞く」を合わせてお読みいただけたら幸いです。

 思うところあり、故郷に戻って19年間、小さな塾を続けてきました。国立旭川医科大学へ現役合格者をようやく出せました。本人の資質が高かったのはもちろんですが、小4から勉強をスタートすれば、生徒数の5%の10人ほどは北大以上の難関大学を受験でき、その半数の5人は現役合格できるポテンシャルをもっています。根室の教育システムがそれを阻んできただけなのです。
 自分の仕事としてやれる範囲の仕事をし、ブログニムオロ塾で言うべきことを言い続けてきました。まだしばらく言い続けます。(笑)


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#4639 根室教育長退任の弁を聞く Oct. 27, 2021 [71.データに基づく教育論議]

<根室市の教育長退任の弁について>

 中学生の学力は学力テストの平均点で見る限り、根室市内の中学校は釧路根室管内で最低レベルです。根室教育長が、全国学力テストで小学校の国語の平均正答率がアップしたと退任のあいさつ、北海道新聞に載っていました。根室の中学生の学力は釧路根室管内の市街化地域の17校では最底辺を低迷しています。いまでは別海町の中学校が断然学力が高い。
 根室市は現実を直視できない教育長が代を重ねています。前任者と同様に退任したらすぐに根室を去るでしょうね。もう、道の教育局からの教育長はいりません。根室管内には実績を上げた元校長が数人います。

10月26日根室地域版より
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寺脇教育長が退任あいさつ
「学力向上に光明」
【根室】市議会10月定例月議会は25日、本会議を再開し、31日付で任期満了となる寺崎文康教育長が退任のあいさつをした。
 寺脇氏は7年間の任期の中で、「長年の課題だった学力向上について、対話型の授業の取り組みを進めた。本年度の全国学力・学習状況調査の小学校国語で全道背筋を上回るなど光明が見えてきた」と振り返った。
 一方で老朽化した後者の改築や特別支援学校の誘致など「多くの課題について道半ばだ」と述べた。
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 寺脇教育長のこの弁では根室の子どもたちの学力向上面で功があったかのように聞こえてしまいますね。ほんとうでしょうか?
 不都合な事実には一切言及せずでしたね。こういう輩が政治の世界では増えていますが、どうやらわが古里の町の教育行政はそうした輩に浸食されてしまったようです。
 別海町は地元出身の町役場職員であった真籠さんが教育長になってから、教育改革を進めました。別海中央中学校の青坂元校長も学力向上やマネジメントに関しては凄腕のひと、そういう人たちの成果です。釧路ではいま岡部さんが教育長で頑張っています。やはり元釧路市役所職員です。最近議会ですごい答弁してます。「釧路教育長の議会答弁」をクリックしてご覧ください。

 令和3年9月17日の釧路新聞より引用。
=================================
 西村雅人氏(共産党)は市が独自に行っている標準学力検査について、「児童・生徒を過度な競争に駆り立て、教職員の負担増にもつながっている」として、今年度限りで廃止するよう求めた。岡部義孝教育長は「基礎学力を測るもので、競争させる考えはまったく持ち合わせていない。また、結果に基づく授業改善は教師の本文と考えている」とし、「子供たちの将来の選択肢を広げるためにも基礎学力は欠かせないものである、やめる考えはない」と答弁した。
=================================
 何が何でも釧路の子どもたちの学力を向上させるんだという、岡部さんの強い決意がうかがわれる議会答弁でした。

 根室はいったい何をしていたのでしょう?根室市教委は普段中学校で年に3回(中3は5回)行われている学力テストデータすらモニターしてません。根室の市街化地域の中学校が、釧路根室管内で最低だなんて知りもしない。
 寺脇教育長が特別悪かったわけではありません、道の教育局から来た前任者たちの中にはもっともっとひどい人もいましたから。教育長の権限が大きくなりましたが、しょせん外様ですから根室の事情をご存じない。義務教育を担当している「根室人」の部長さんがいるはずですが、そこも同罪ですよ。地元に住み、暮らしていて、学力テストデータすらモニターしないで、有効な学力向上政策が立案できるわけもありませんから、もっと罪が深いかも。結局は、教育長が無能なだけではなくて、「根室人」が根室の子どもたちの学力向上へのブレーキになっているようにわたしには見えます。
 なにより、歴代市長が子どもたちの学力問題に関心が薄い。それをいうと、市民の教育問題への関心が薄いことまで言わねばなりません。

 「無為自然」、世の中はなるようになっているのでしょう。
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無為自然とは、
何もしないのではなく精一杯の努力をし、
あとは天地自然の宇宙の原理や変化を
そのまま受け入れる
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 2019年度の学力テストデータでは、根室市内の中学校、柏陵と啓雲が17校中最下位でした。光洋中はデータを入手できませんでしたが、同じレベルです。緑色をクリックすればデータを記載した記事へ飛びます。
*「2019年学力テスト総合A:17校データ比較

 啓雲中が光洋中に統合され、いまや光洋が根室市内の生徒数の半数を占めています。その学力の実態を10/9にアップしてありますので、こちらの合わせてお読みください。
 「#4624学力テスト総合A:根室の中学生の学力の実態」

<新任の教育長に関する情報>
 釧路新聞の記事によれば、道立教育研究所長の波岸克康氏が来月着任するようだ。
 いつまでこんな人事を続けるのだろう?根室の子どもたちの学力は、釧路根室管内ではもうこれ以上ないラインまで下がってしまっている。
 道新の取材記事を見つけました。
   「学校の統廃合はもう限界、地域守る鍵は住民参画
 中身を見たら、ICTを活用して遠隔授業で統廃合を進めたいという論のようだね。コミュニティスクールの普及も言ってるが、これは文科省の既定方針だからだろう。根室はほとんど進んでいない。
 道教育大旭川校出身、教員の経験ありだね。「純粋培養組」ということ、人材の幅が狭いように感じました。
 さて、根室で何かしたいことがあるのだろうか?
 


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#4638 夫婦:女房殿の話に耳を傾ける Oct. 27, 2021 [A9. ゆらゆらゆ~らり]

 昨日、女房殿が中標津空港から羽田へ飛んだ。年に一度、下水の配管清掃作業に立ち会わなければならないからだ。
 11時54分の中標津空港行バスへ乗るために駅前のバスターミナルまで車で送った。午前中は首都圏の天候が荒れて風が強いと天気予報。午後9時に仕事が終わって50分ほど食事にかかってそれから電話しようと携帯を手に取った途端に着信ベルが鳴った。
 中標津空港へ着いてもなかなか羽田からの飛行機が来ない、出発できたのは1時間遅れだったという。中標津空港⇒羽田はCOVID-19でずっと休便になっていた。3月に東京へ行ったときは中標津空港からは飛べなくて、釧路空港を利用した。

 機長が途中風が強いので揺れますとアナウンス。
「昔はあまり当たらなかったよねー、この頃ちゃんと当たるのよねー」
「そういえばそうだったな、観測精度がアップしているんだ」
「30分くらいずっと揺れてたわ、強い北風だから早く着いたの」
「そんなバカな、南に向かって追い風だから早く着くなんて、まるで自転車みたいだ。ちょっと揺れるくらいでは飛行機はびくともしないから。荷物はすぐにでてきたろう?」
「それが飛行機が連絡通路に横付けになって、そこからバスに乗って到着ロビーへ行ったのよ、いつもの経路と違ったわ」
「そうなんだ、それでバスは6時5分発に乗ったのかい?」
「到着口から出たら5時半になっていたの、自動券売機は5時35分はもう締め切り、だから6時5分発の桜が丘行きを買ったの、だけどバス乗り場へ行ってみたら、3分前で、荷物を入れる車体の下のドアが閉まっていた」
「バスの前にいる人に話して、6時5分なんだけど、このバスに切り換えてもらえますか?って言ったら、手書きで直して、OKです!って」
「ラッキーだったね」
「空港で一人で30分も待っているの嫌だったから」
「それで山手トンネルかい、混んでた?」
「車が込んでいて山手トンネル通らなかった。新宿で中央高速への入り口で込みだして時間がかかって、しばらく甲州街道を走ったわ」
「ノロノロ運転で、退屈だから車のナンバーを見ていたら、八王子や多摩ナンバーが多いの、仕事が終わって帰宅する車かな?」
「7時前に着いたの?」
「ううん、7時15分くらいだった。お弁当買って、神戸屋さんのケーキが3割引き、ずらっと並んでいたわ。8時近かったからもうショートケーキとシュークリームぐらいしかなかった。列の後ろの方の人は買えなかっただろうな。」
「神戸屋さんのケーキは高いけどおいしいからね。」
「8時発のバスに乗って帰ってきた。お弁当食べてお腹いっぱい。」
「何買ったの?」
「とんかつ弁当。」
「残っててよかったね。サボテンかな?」
「そう。メールがあって、今日〇〇ちゃんの運動会だったの、中止にならなかったらしい。だから、明日に延期にならなかった、残念。」
「今週行くって言っていたので、月曜日に東京へ着いていると思っていたみたい。」
「惜しかったね!」

 こんな他愛もない話を30分ほどしていた、なんだかとってもご機嫌である。途中で眞子さんの会見ニュースが入っていたが、それを消してじっくり話を聞いた。
 いつも何かしている最中に話しかけてくるので、ナマ返事で、話の内容を覚えていない。考え事をしていて話しかけられても、音としてしか認識できないのです。それで、「いつも私の話を聞いていない」って叱られてます。きょうはしっかり聞けたな、こんなこと何年ぶりだろう。英作文問題とその解説集つくりで、この1年と10か月忙しかったので、ずっとナマ返事していた(1018回分9200題のメール配信用の問題と解説集ができあがった)。ちゃんと聞いて上げたらご機嫌なのだ。たまには、こうしてちゃんと話を聞いてあげよう。
 一緒に暮らし始めてからもう53年だ。高校生の時にめんこい下級生がいるなと思ってから56年。この年になってようやく日常のお付き合いのコツがわかった。三日に一度くらいは30分間は話をじっくり聞いてみるということ。
 東京時代は土日は書斎に引きこもって常に何かに夢中になっていた。ウィークディも仕事で遅くなるのがあたりまえ、娘と晩御飯を食べたことなどほとんどなかった。
 2002年の晩秋に古里根室に戻ってきてからも何かに夢中になる癖は治らず、阿呆はいくつになっても阿呆です(笑)。
 1年ほど前にリビングに置いてある机を一つ増設して連結し、作業環境を良くしました。冬は別の部屋で作業すると暖房費がアップするので、節約のためにリビングで作業をしていることが多い。今年は灯油が100円を越えたそうだ。根室へ戻ってきてから40円台のことがあったと女房殿。
 北海道は冬の暖房コストがバカにならない。室温26℃で半袖で過ごすなんてことはナシだ。

<余談>
 最近体重は62㎏前後アリ、15年前にスキルス胃癌の全摘手術をしてから、この1週間、体重は最大値を記録している。だが、口内炎がでて、食事が辛い昨日が一番ひどかった。腸の炎症が起きてひどくなると、口内炎が起きる。消化器管としてつながっているのでそうなるのだろうか?
 舌には濃い味付けのものが染みる、びりびりするので、鏡で見たら、舌の中央部付近から奥が薄黄土色をしている。あちゃ、ひどいな、痛いわけだ。食べないのが一番いいが、食べないと体力も体重も失う。経験則だと2㎏減少すると、回復に1か月を要する。
 昨夜は、頭頂部にとろりとしたものをイメージしてそれが口内や腸に広がっていく様子を想像した。内観と言うらしいが、今朝起きたら、口が渇いていないし、舌が痛くない。半分は気のせいかもしれないが、楽にはなった。これで食事が苦痛ではなくなる。好い朝です。
 今日は中3生相手に、教科書の音読トレーニング特訓の日。水曜日は塾は休みですが、今年は高3と中3対象に1か月間隔で音読トレーニングを実施しています。英語アレルギーの人が多いので、放って置いたら勉強しないからです。読めなきゃ英語ができるようになるはずもありませんから。10回音読、そして意味をつかんで、それをイメージしながらさらに3回音読。あとは家で自分で30回読んで10回書いてくれたら、定期テストは8割以上点が取れます。でも家でやらない人が多いんだよね。(苦笑)
 突然化ける生徒がたまに出ます。9年前のことです。学力テストで英語が半分くらいしか得点できなかったMK君が1月から2か月間一番前に座って質問しだしました。入試本番で満点でした。あれには驚いた。受験票もって行って高校の窓口で点数確認して来いと言ったら、本当に満点。MK君、中高とサッカー少年です。彼と同期のIY君が早稲田商学部に一般入試で現役合格してました。中学2年で「塾卒業」の免許を与えた二人の生徒のうちの一人でした。もう塾来なくても大学入試は大丈夫だと感じたので、サッカーしながら文武両道でトライしたらと薦めました。一緒に一番前に座って質問しだしたKT君は総合ABCが11-13点でした。英作文中心に2か月一番前の席に座って質問しだしました。次第にいい質問が出るようになりました。彼も入試本番で49点。当時は60点が満点です。教えた私も、なにより本人が一番びっくりしたでしょうね。KT君は根室で仕事してます。うれしいね。高校時代はバイトに精出してました。それぞれ自分の選んだ道を歩いています。
 成績が突然に大幅にアップする、みんなに起きるわけではない、ごく少数の者に置きますが、こういうことが誰に起きるか本当にわからない、だから生徒が指示通りに家で復習しようがしまいが、わたしがやるべきことだけはやる、後は生徒の問題、最後まであきらめないのです。おそらく英語アレルギーを直す生涯最後のチャンスです。それをものにできるかできないかで生徒の未来に影響があります。
 ブラスバンド部の生徒は定期演奏会が11月下旬にあるので、練習が忙しくて10月の音読特訓には来れませんでしたね。12月と1月の2か月間を充てようと予定しています。大学や看護学校進学の生徒は推薦でほぼ決まりだからやる必要なしです。空いた時間をブラスバンド部の中3へ振替。学力テスト総合Bで英語が80点を超したのは一人だけ。合計点も390点台⇒420点台⇒430点台と目標の450点に向かって着実に歩んでいます。450点の取り方を教えただけ。科学者になりたいというので、学問研究の仕方について具体的な説明はしています。効率的な受験勉強という学習スタイルは棄てるべきです。そういうことをちゃんと織り込んで指導しています。7月下旬から来ている生徒ですが、出遭うべくして出遭った感があります。道内最高峰の難易度の高校への進学。根室高校からでも北大総合理系レベルなら、現役合格できるでしょう。ほんとはこういう生徒は全部根室で育てたいね。今年の3月は旭川医大へ現役合格したO君がいました。生徒の5%は小4から長期戦略で受験勉強すれば、そのうちの半数は北大レベルなら現役合格できるのです。根室の教育関係者はやり方を知らないだけです。1学年200人とすると5%は10人、そのうちの半数の5人は国公立大医学部や北大以上の難易度の大学へ根室高校から現役合格する道があります。



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#4637 分屯地周回コースを走る Oct. 24, 2021 [85.サイクリング]

 今日の最低気温は3.9度です、どんどん寒くなってきました。風があるので牧の内原野を走るのはよして、今日は航空自衛隊分屯地前の周回コース。1辺550mの正方形の2辺を往復すると2200m、一周2580mあります。

 11時の気温は13.2度、南西の風4.4m/s
 午後4時の気温は11.5度南西の風5.6m/sでした。

 平地走行での最大速度は39km/h、550mの直線を走りぬくのは愉しい。サイクリングは膝への負荷が小さい。大股で砂利道のを下るときには、膝関節に負荷がかかりすぎるので、歩幅を小さくした方がいいことが分かった。無理は禁物だ。

 今日の走行距離21km、累計距離数5825km

走り終わって家に戻ったらちょうど夕日が沈むところでした。真西に沈みました。これがだんだん北側へ沈むようになっていくと、日照時間が短くなり、ハンドルを握る手がかじかむほど寒くなります。東根室駅のホームが写っています。
DSCN5591s.jpg

 宝林町4丁目で体長1mのクマがでたと、22日の北海道新聞が報じていました。子熊ですね。母熊がそばにいるかもしれません。
 シカはときどき道路付近に出没しています。小鹿と3頭で路肩のところにいたのを午前中に見ました。

<10/27追記>
 windows10にはスクリーンショットキーがあるのですね。地図の加工ができることがわかりました。分屯地首魁コースを紹介します。
分屯地ts.jpg

 abcdedcfgdedcb…の順に回っています。
 abが700m、bc=fgが190m、cdが550m、deが550m



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#4636 給与アップと経済成長のジレンマ Oct. 23, 2021 [8. 時事評論]

経済成長で賃上げをしようというのはアベノミクスのトリクルダウンの論理と同じに見える。何年やっても達成できなかったのは何か理由があるからではないのか?

 株式の時価評価額で世界でベスト50位に、日本の銀行が何社もランクインしていたのは1980年代だった。いまや全部がランク外となっている。企業の資金需要が銀行借り入れから株式市場へ移行してしまったからだ。銀行は今や青息吐息で、人員削減に励んでいる。やみくもに合併を繰り返したために、システムが複雑になってトラブルが続出している。わかっている人がいないのだろう。銀行業界崩壊の兆しの一つだ。世間並みの給与の支払えない業種へ転落していくのだろう。

 上場企業のほとんどが、この30年間正規雇用社員を減らして、非正規雇用を増やし、人件費をカットすることで、何とか利益を上げてきていた。全員を正規雇用にしたら黒字の出せる一部上場企業は1割以下になるだろう。
 1984年に、わたしはリクルート社の中途採用斡旋を利用して臨床検査最大手のSRLへ転職した。リクルート社に保管してあったSRLのファイルには過去5年間の決算の概要が記入されていた。売上高経常利益率12%、売上高成長率は年率120-130%だった。数年たって、準社員に社員の給料を支払ったらどうなるか計算してみたら、利益がすっ飛ぶことが分かった。当時のSRLは成長率の高い代表的な高収益企業だった。そんな企業は東証1部上場企業には1割もあるだろうか。SRLもよかったのは創業社長の藤田さんとその次の近藤さんが社長だった時までだろう。売上高で業界2位だったBMLに負けだしている、ずいぶん差があったのに。

 非正規雇用を正規雇用にしたら、赤字転落する企業が東証1部上場企業ですら、9割に達するだろう。
 これはどういうことか?一部上場企業の経営者たちが、この30年間、まっとうな経営改革や新たな事業分野の開拓ができず、非正規雇用を増やすことで、労働分配率を下げ、利益を捻出してきたからだ。つまり、一部上場企業の経営者の大半は無能だということ。この30年間で、日本の大企業はすっかり弱体化してしまった。
 高学歴の者が高いマネジメント能力をもっているわけではないのはあたりまえだが、社員の人件費を削って取締役の報酬はこの30年間で2倍以上にアップしている。日本の経営者は強欲で無能になったということだ。
 電通やパソナはオリンピックがらみで濡れ手で粟のごとく仕事をかっさらって、巨額の利益を上げた。経営能力がないから、そういう近道反応をする。パソナは竹中平蔵氏が会長に収まっている。政府のさまざまな委員会のメンバーとなって利益誘導に余念がない。企業経営者に経営能力がないと、儲けるためにはこういうズルくて阿漕な方法しかなくなるのだよ。
 日本人は「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というビジネス倫理を受け継いできたが、そうではない企業がどんどん増えている気がする。

 株式が時価評価になって、同じ企業グループ内や銀行を中心にしたグループ内で株式の持ち合いができなくなった。だから、株での含み資産はとっくになくなった。以前は業績が悪化したら、持ち合い株の一部を放出するだけで、損失の穴埋めができ、1年でも2年でもやっていけた。そういう「安全装置」はもうない。経営能力のない経営者がトップの座に座っている企業はじつに危ういのである。その最たる業種が銀行業だろう。

 衆議院議員選挙で経済成長を声高に叫ぶ候補者がいたら、眉に唾つけて聞くがいい。状況は30年前とはまるで違っているのだ。経済成長がないから、分配を増やすこともできぬ。分配を増やせば、一部上場企業の大半が赤字転落するだろう。
 アベノミクス3本の矢は次の三つであった。岸田新総理も引き継いでいる。
1.金融緩和
2.財政出動
3.成長戦略

 1と2はバカでもできるが、3だけは別だ。8年間かかって一歩も前に進めなかった。菅氏へ総理大臣が変わってもそうだったし、岸田氏へバトンタッチされても同じことだ。30年前とは流れが衰退へと変わってしまった。
 経済成長できないのは東証一部上場企業の経営者の大半が無能だからだ。非正規雇用を増やして人件費を抑え、自分たちの報酬は2倍以上に引き上げた、そんなイージなことを30年間もやっていたら、もう足腰立たぬくらいマネジメント能力が衰えるのはモノの道理だ。そうなっている。
 大きな流れは、日本経済は30年前から衰退に入っているということ。経済成長はこれから30年間はありえないと思った方がいい。経済成長がありえない前提で、そして高齢化と人口減少を前提に経済・財政政策を考えることだ。きついことはきついと言えばいい。叡智を絞ればそういうきつい条件の中でも、せめて損害は小さくできるだろう。

 財政破綻したら、どうなるかは戦後の財政破綻が歴史的に証明している。
 1946年2月6日に大蔵省から預金封鎖が公表された。ついで、預金に財産税が課せられ、新円へ切り換えが行われた。
 日本政府が経済破綻しても、日本国が滅びるわけではない、国民がそれまで積み上げてきた財産が失われるだけだ。1世代辛抱すれば、またやり直せる。しかし戦後の貧乏な時代を経験していない世代が、そういう辛坊ができるとは思わない。
 今預金封鎖が公表されたら、預金の何割かが没収されるだけではない。もっている株へも不動産へも課税がなされる。1300兆円もの歴代政府の借金が国民の預貯金や保有株や不動産へ課税することで贖われる。
 住基コードの普及やとっくの昔に実施されてしまっている株式のデジタル管理はそのための準備でもある。不動産登記もデジタル化が進行しつつある。戦後すぐに起きた財政破綻の時よりも政府は簡単に国民へ課税して、財産を没収することができる。正直な矢野財務事務次官が危機感を持つわけだ。

 子どもたちや孫への負担となるバラまきはもうやめてもらいたい、そんなことまでした楽したいとは思わぬ。

カテゴリー95.増え続ける国債残高(28)」をクリックするといままでアップした記事を閲覧できます。
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/archive/c2301164812-1


#4451 新型コロナ対策それいけドンドン:財政破綻・財産税課税への道 Jan. 6, 2021



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#4635 竜王戦:豊島竜王対藤井三冠 Oct. 23, 2021 [5.2 好奇心]

 abemaTVで仁和寺で開かれている竜王戦2局目をみていた。玉を囲わぬ相掛り戦。こんな将棋を指したらドキドキハラハラだ。藤井三冠はこういう切るか切られるか紙一重の将棋を楽しめるように見えた。ドキドキワクワクしながら指しているのではないか。時間の使い方が格段に上手になったと数人の棋士が評していた。タイトル戦を戦いながら、時間の使い方でも進化しているのだそうだ。
 豊島竜王の序盤の差し回しも、工夫があってみたことのない形だったが、それに臨機応変に対応していく藤井三冠、強いな。
 1時半から5時ころの豊島竜王の投了までじっくり楽しんだ。

 これで、藤井三冠の2連勝だ。7番勝負だから、次はどのような将棋になるのだろう。

 仁和寺は真言宗御室派の総本山である。


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#4634 Sapiens 46th :p.51第2段落  Oct. 22, 2021 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

<51.2>は原著51頁の第2段落を表しています。前回から段落ごとの細切れでアップしていますので、原著を気軽に楽しんでください。

51.2> There was just one exception to this general rule/: the dog. The dog was the first animal domesticated by Home sapiens, and this occurred before the Agricultural Revolution. Experts disagree about the exact date, but we have incontrovertible evidence of domesticated dogs from about 15,000 years ago. They may have joined the human pack thousands of years earlier. 
  incontrovertible:議論の余地のない
  スラッシュを入れてみます。
There was just one exception/ to this general rule: the dog. The dog was the first animal/ domesticated by Home sapiens,/ and/ this occurred before the Agricultural Revolution. Experts disagree about the exact date,/ but/ we have incontrovertible evidence of domesticated dogs/ from about 15,000 years ago. They may have joined the human pack thousands of years earlier.

(たった一つだけ例外があった/この一般原則に対する/:犬)
(犬がその(唯一の例外の)最初の動物だった/ホモサピエンスによって家畜化された/そして/そのことは農耕革命以前に生じた)
(専門家の間にその時期についての合意はない/だが、/犬を家畜化したという議論の余地のない証拠はある/15000年前から)
(犬が人間の群れに加わったのはそれよりも数千年も前だったかもしれない)

 高校教科書レベルの英文だと、スラッシュリーディングは強力な武器になり得ますが、Sapiensレベルだとスラッシュリーディングで文意を追える人は激減しそうな気がします。100人いたら2~3人でしょうね。ほとんどの人は、細切れにしたものから、文意を組み立てるために、もうひと手間かけることになります。それでいいのです。そういうことを続けているうちに、慣れてきます。
 日本語で書かれた本でも、哲学書や仏教書(例えば、道元『正法眼蔵』)などは理解するのに時間がかかります。読む速度はすぐに数分の一に落ちてしまいます。やさしいものは高速で、難易度の高い読み物はローギアで読んでいいのです。それがモノの道理というものですから。

●「may + have + pp」に注意してください。助動詞+現在完了形は、「~だったかもしれない」と、過去の出来事を表しています。

柴田裕之訳 『サピエンス全史(上)』p.66
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「すべて人間だった」というこの一般原則には、一つだけ例外があった。犬だ。犬はホモサピエンスが最初に飼いならした動物で、イヌの家畜化は農業革命以前に起こった。厳密にはいつだったかのかに関して、専門家の意見は分かれるが、およそ15000年前には飼いならされた犬が存在していたという動かしがたい証拠がある。犬が人間の群れに加わったのはそれより何千年も前だったかもしれない。 
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#4633 Sapiensを読む:高校生と大学生と社会人のために Oct. 20, 2021 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]


ハラリ’Sapiens’の読解授業の対象だった高校3年生が卒業して、半年間ほど休止していたが、以前とは少し異なる趣向で再開したい。どこか田舎の高校生が難関大学合格目指してネットで弊ブログを見て勉強しているかもしれないので、半年くらいやってみる。
 もちろん、人類史に関するベストセラーとなったこの本を翻訳ではなくて原著で読んでみたいと思う社会人にも役に立つでしょう。週に
2回程度段落ごとにアップして行くつもりです。
 ところで、英作文問題と解説集の原稿がすでに966回、8520題になっているので、作文という観点からもハラリの文章を批判的に味わってみたい。幸い、WORDには英文の校正機能があるのでそれを利用してやってみます。

The Original Affluent Society(原初の豊かな社会)

<51.1> What generalisations can we make about life in the pre-agricultural world nevertheless? It seems safe to say that the vast majority of people lived in small bands numbering several dozen or at most several hundred individuals, and that all these individuals were humans. It is important to note this last point, because it is far from obvious. Most members of agricultural and industrial societies are domesticated animals. They are not equal to their masters, of course, but they are members all the same. Today, the society called New Zealand is composed of 4.5 million Sapiens and 50 million sheep.

チャンク(意味のカタマリ)ごとにスラッシュで区切ってみよう。あまり細かくスラッシュを入れると、文意がつかみにくくなり、少なすぎたら文意を再構成するために読む速度が落ちる、どの程度がいいかは自分の読解力に合わせて試してみたらいい。やってみて、自分の力に見合ったスラッシュの入れ方がだんだんわかってくる。


What generalisations can we make about life/ in the pre-agricultural world/ nevertheless? It seems safe/ to say /that the vast majority of people lived/ in small bands numbering several dozen or at most several hundred individuals,/ and /that all these individuals were humans. It is important to note this last point,/ because it is far from obvious. Most members of agricultural and industrial societies/ are domesticated animals. They are not equal to their masters/, of course,/ but/ they are members all the same. Today, the society called New Zealand is composed of 4.5 million Sapiens and 50 million sheep.
domesticate:(v)家畜化する
domesticate /dəˈmes.tɪ.keɪt/ verb [ T often passive ]
to bring animals or plants under human control in order to provide food, power or companionship

(食糧、労力あるいは連れとして動物や植物を人間の支配下に置くこと)
Dogs were probably the first animals to be domesticated.
(犬がおそらく最初に家畜化された動物であった) 


①(どんな一般論が生活について言いうるのか/農耕以前の世界で/それでも
②(・安全である/云うことが/大多数の人々が暮らす/数十あるいは最大で数百の個体を内包する小さな集団で/そして/それらの個体すべてが人類である)
形式主語のitのうち漠然としたものを受ける場合を除いては、それを説明する語句が後続します。ここではto sayである。that節はsayの目的語になっています。’it’を「・」で表記したが、これは大西泰斗先生の流儀です。
 スラッシュを入れて訳したら、おおよそこのようなわけのわからぬ訳になることがあります。
 細かく刻みすぎたようです、これでは文意がつかめませんね。スラッシュを減らしてみます。
that以下といった方が安全である/大多数の人が小さな集団内で住んでいる/その小さな集団というのは数十あるいは最大で数百の個体を内包している/そして/それらの個体すべてが人類であるような小さな集団)
③(最後の点を書き留めることは重要である/なぜならそれは明白だとは言い難いからだ)
④(農業と工業社会の大多数の構成員のほとんどは/家畜化された動物たちである)
⑤(家畜化された動物たちはその飼い主とは対等ではない/しかし/家畜化された動物たちはすべて同じ構成員である)
⑥(今日、ニュージーランドと呼ばれている社会は450万人の人類と5000万頭の羊から構成されている) 


<文法解説>
What generalisations can we make about life/ in the pre- agricultural world/ nevertheless?
We can make something about life in the pre-agricultural world.
(わたしたちは農業以前の世界について何かをつくることができる)
makeの目的語であるsomethingの部分が疑問詞句(どのような一般論)となっている。


<ワード英文校正機能4を使ってハラリの書いた文をチェック>
①の文のこの箇所「in the pre- agricultural world nevertheless?」はworldneverthelessの間に「,」を入れるべきだとワードの校正機能が警告しています。そのとおりですね。文末にこれらの副詞を用いる用例ではカンマありでしか見たことありません。英作文問題の方でこの手の副詞が何度か出てきました。
②の文中で使われている「the vast majority of people」は「most people」のほうが適切だと、ワードの英文校正機能が警告してくれています。しかし、ハラリがここで「most people」を使わずに「the vast majority of people」とビッグワードを並べたのは、ここを強調したかったからだという解釈が成り立ちえます。ハラリは「ほとんどの人が」と軽く通り過ぎたくなかった。翻訳者の柴田裕之氏はそこまで意識して「大多数の人々」という日本語を選んだのでしょう。
③の「this last point, because」の「,」は不要だとワードの英文校正機能の警告アリです。なるほどその方がいい。
これら三つの点を訂正した文を挙げておきます。
What generalisations can we make about life in the pre-agricultural world, nevertheless? It seems safe to say that most people lived in small bands numbering several dozen or at most several hundred individuals, and that all these individuals were humans. It is important to note this last point because it is far from obvious. Most members of agricultural and industrial societies are domesticated animals. They are not equal to their masters, of course, but they are members all the same. Today, the society called New Zealand is composed of 4.5 million Sapiens and 50 million sheep.


 <用語解説>
ハラリは「一般化」にgeneralisationを使っている、これは英国の表記だ。米国ではgeneralization、音は[z]であるから、米国ではいつの間にか音の通りの表記に変ってしまったのだろう。ドイツ語も英国表記と同じでdie Generalisationである。ドイツ語の発音は「ゲネラリザチオーン」、sの発音は[z]である。英語というのはケルト語の上にドイツ語が混じり、そのあとでさらにフランス語語彙が混ざった、大まかにそう考えていいのではないか。そして語幹や接頭辞や接尾辞はラテン語やギリシア語に由来するから、それらを広く比較検討してみないと、よくわからないケースが多いのです。


 英英辞典のCALDから引用。
 generalization , UK usually generalisation /ˌdʒen. ə   r. ə l. a  ɪˈzeɪ.ʃ ə n/ /-ɚ-/ noun [ C or U ] mainly disapproving

a written or spoken comment in which you say or write something very basic, based on limited facts, that is partly or sometimes true, but not always, or when someone generalizes by using such statements

The report is full of errors and sweeping (= extreme) generalizations.
Generalization can be dangerous. 

 ゼネラライゼーションは諸刃の剣。


<柴田裕之訳>
そうはいうものの、農耕以前の世界での暮らしについて、どんな一般論が語れるのだろうか?大多数の人は、数十、最大でも数百の個体からなる小さな集団で生活しており、それらの個体はすべて人類だったと言って差し支えなさそうだ。「すべて人類だった」点に言及することは重要だ。なぜならそれはおよそ明確とは言い難いからだ。農耕社会と工業社会の成員の過半数は家畜だ。もちろん彼らは自分の主人とは対等ではないが、それでも社会の成員であることに変りはない。今日、ニュージーランドと呼ばれる社会は、450万人のサピエンスと5000万頭の羊で構成されている。 


<文脈読み>
①で、農耕以前の社会で何が一般論として言いうるのかという問題提起をして、②で数十から最大で200-300人の集団で一つの社会が構成されており、それらの成員のすべてが人類であったと述べている。
③では、農耕以前の社会には言いうるが、その後の社会には言い得ない点に言及する。つまりは農耕社会以前では社会の構成員が人類だけだったと「一般化」しうるのである。しかしそれは、農耕社会の訪れとともに変容する。社会の構成員は人類のみではなくなるのだ。
ついで、④で農耕以後の社会の構成員の大多数が家畜であることを指摘する。
⑤では、家畜とその飼い主は対等の関係ではないが、同じ社会の構成員であり、人類よりも家畜化された動物の方が多いと主張する。
⑥で具体例としてニュージーランドの住民の数と羊の数を挙げている。

ハラリが「起承転結」を意識して論を展開しているはずはないが、あえて強引に適用してみると、起承転結の<起>が①、<承>が②、<転>が③、④と⑤が<結>で、⑥は具体例での挙証である。具体例で自分の論を証明して見せるという論理展開はよくある形式だから、覚えておくといい。論理展開に予測がつくと英文はそれ以前に比べて格段に読みやすくなります。著者の考えていることとこちらの脳が同期している状態が、相手の論の展開を予測できるということなのです。
こうした段落ごとの論理運びに慣れてくると、次に何が出てくるのか内容の展開に予測がついて、的確にそしてスピーディに読めるようになる。だから、読む速度をアップするためにも、字面を追いかけるだけでなく同時に同じ段落内での論理展開も追いかけて読む必要があるのです。読み間違えると、論理展開に齟齬が生じるから、気がつきやすくなるというメリットもあります。
この1年と10か月間は英作文問題と解説集の作成に時間を取られていたが、暇を見つけて週に2回程度のペースで「サピエンス」をアップして行こうと思ってます。


Sapiensは共通テスト対策用のテキストではありません。難関大学の二次試験対策用ですね。大学院入試では重要な箇所の精読が要求されるので、それ用にも使えます。
 目的は人それぞれでしょうね。英語の本を読んでみたい、動機はそれだけで十分です。


Sapiens: A Brief History of Humankind

Sapiens: A Brief History of Humankind

  • 作者: Harari, Yuval Noah
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • メディア: ペーパーバック


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