#2908 小学校・「3×3マトリックス」分析:全国学テ分析(10) Dec 14, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
中学校の方はきれいに分かれたのだが、小学校の方はそうはいかなかった。
(人口と地域産業に占める漁業割合の二次元座標では無理のあることにハンドルネーム「後志のおじさん」の投稿で気がついた。北教組の組織率という座標軸をもう一本付け足し、三次元座標上に位置づけるときれいに分類できそうなのである。―15日追記)
人口 | 2014 小学校 | 小学生 | 中学生 | |||||
y3 | 石狩43.7 | 18,833 | 17,843 | 990 | ||||
上川45.1 | 3,987 | 4,010 | -23 | |||||
大 | 胆振37.5 | 3,338 | 3,204 | 134 | ||||
渡島42.5 | 3,081 | 3,097 | -16 | |||||
十勝36.8 | 2,981 | 3,043 | -62 | |||||
y2 | オホーツク26.5 | 2,381 | 2,359 | 22 | ||||
空知41.8 | 2,268 | 2,412 | -144 | |||||
中 | 釧路41.5 | 1,897 | 1,738 | 159 | ||||
後志28.9 | 1,641 | 1,592 | 49 | |||||
y1 | 根室32.4 | 717 | 661 | 56 | ||||
宗谷30.0 | 596 | 509 | 87 | |||||
小 | 日高11.6 | 589 | 559 | 30 | ||||
留萌49.9 | 334 | 345 | -11 | |||||
檜山42.4 | 295 | 285 | 10 | |||||
x1 漁業 | x2 中間 | x3 農業 | ||||||
42,938 | 41,657 | 3.08% | ||||||
40以上 | ||||||||
36.5-40未満 | ||||||||
30-36.5未満 | ||||||||
30未満 | ||||||||
AV=36.5 |
<後志管内はどうして学力が低いのか>
農業経済圏であるにもかかわらず、後志管内だけが偏差値が30以下である。なぜだろう?
小樽・余市・喜茂別・泊などがこの地域に含まれる。泊は原発のある村だ。この地域は小樽(14.2万人、56.85%)だけが大きくて、あとは人口の小さな町や村が集まっている。2番目の人口を擁するのは余市町(2.3万人、9.09%)、あとはニセコ町や留寿都などリゾートで有名なところも含まれている。リゾート地は定住人口が少ない。札幌近郊圏でも交通が便利な通勤圏に位置している小樽以外は学力が低いのだろうか?ここには道立の進学校小樽潮陵高校(偏差値59)がある。ついで小樽桜陽(偏差値48)、私学で双葉高校があるが、っこの特進科が桜陽よりも上かもしれない、後はそれ以下。人口2万人程度の町の高校の偏差値は概して低い。
これだけでは後志管内の偏差値が低い理由がさっぱりわからない。
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⇒(15日追記)ハンドルネーム「後志のおじさん」が明解な分析を書き込んでくれた。脚注に転載したので、ぜひお読みいただきたい。三次元座標で表すとすっきり色分けできそうだ。人口、地域産業に占める漁業の濃度、そして北教組の組織率という三本の座標軸があれば北海道の地域別学力格差がどういう状況で生まれているのか鮮明になりそうである。
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<漁業経済圏は小学校も中学校も学力が低い>
漁業経済圏である日高・宗谷・根室の3管内は小学校も学力が低い。それでもめげることはないのだ。一番低い日高管内だって人口が少ないだけに、学校マネジメントのやり方次第で全国平均正答率を達成できる、その差は小さい。#2907から該当部分を引用する。
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管内別・科目別偏差値の算出には、47都道府県別データから計算した標準偏差が使われています。元データが都道府県別の平均正答率ですから、そのばらつきは小さくなっています。データをどう見たらいいかは次の弊ブログ記事にまとめてあります。
例を一つだけ挙げておきます。全国平均の科目別正答率の単純平均値は66.175%、14支庁管内で最低の日高管内は57.4%。正答率でその差は8.775%、問題数が国語A15問、国語B10問、算数A17問、算数B13問の合計55問しかありませんから、正答数を4.8題増やすことができれば、日高管内は全国平均正答率達成となります。差はわずかなのですが、平均値でのわずかの差をつめることはなかなかたいへんなことなのです。数人の成績をあげることは簡単でも、平均値を上げるのはなかなかむずかしい。システマティックにアプローチするのが有効で、学校マネジメントの巧拙が生徒の学力向上に深く関わってきます。
<問題数が少なすぎる!>
ここで気がついた人がいるのではないでしょうか、中学校は92問ありましたが、小学校はわずか55問、これでは都道府県別平均正答率データは狭い範囲に集中してしまいます。つまり標準偏差が小さくなる。標準偏差が小さくなると、わずかの正答率の差で偏差値には大きな差になるということ。
(読み・書き・計算スピード)×時間=学習量
こういう等式を前提とすると、児童・生徒の学習時間を一定とすると、学習量は「読み・書き・計算速度」に依存しています。学習量が多いものの方が学力が高くなるのは当たり前ですから、基礎学力である「読み・書き・そろばん(計算)」速度の大きいものほど学力が高くなる傾向があることはたしかなことです。
したがって、全国学力テストは問題数を120問くらいに増やして、「読み・書き・計算」の処理速度も計測できるように改善してもらいたい。小学校は問題数が2倍以上に拡大されるから「読み・書き・計算」能力の差も得点差になって現れる。
*#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
<脚注>
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お忘れですか?
後志は、特殊な思想の教員集団の牙城ですよ。
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後志のおじさん
ははは、忘れていました。
日高と後志はそういう共通点があったのですね。
①人口の大小の座標軸、②漁業経済圏と農業経済圏という座標軸に③「特殊な思想集団の濃度」という第三の座標軸を導入するともっとわかりやすい図になるということですか。
根室も少し以前までは北教組がたいへん強かったと聞いています。数年前まで学校への取材が難しいという話がありましたが、北海道新聞根室支局の記者が数年前にそう行く壁を突き崩してくれました。
いまでは、放課後補習を学校ぐるみでしても、そちらの筋からのクレームはなさそうです。十数年前には郡部の小学校での放課後補習にそちらの筋からのクレームがあって、中止したことがあったそうです。
地域住民が基礎学力向上の声を上げていれば、そういう介入をし辛くなります。
何も言わないのが一番よろしくないようです。
インターネットで意見発信ができる、いい時代になりました、
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テスト分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2
#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12
#2905 小学校 47都道府県別・科目別偏差値-2 :H26全国学テ・データ分析(8) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13
#2907 小学校 14支庁管内別・科目別偏差値 :H26全国学テ・データ分析(9) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13-2
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#2907 小学校 14支庁管内別・科目別偏差値 :H26全国学テ・データ分析(9) Dec. 13, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
管内別・科目別偏差値の算出には、47都道府県別データから計算した標準偏差が使われています。元データが都道府県別の平均正答率ですから、そのばらつきは小さくなっています。データをどう見たらいいかは弊ブログ記事#2894にまとめてあります。
例を一つだけ挙げておきます。全国平均の科目別正答率の単純平均値は66.175%、14支庁管内で最低の日高管内は57.4%。正答率でその差は8.775%、問題数が国語A15問、国語B10問、算数A17問、算数B13問の合計55問しかありませんから、正答数を4.8題増やすことができれば、日高管内は全国平均正答率達成となります。差はわずかなのですが、平均値でのわずかの差をつめることはなかなかたいへんなことなのです。数人の成績をあげることは簡単でも、平均値を上げるのはなかなかむずかしい。システマティックにアプローチするのが有効で、学校マネジメントの巧拙が生徒の学力向上に深く関わってきます。学校マネジメントの変化の実例を挙げておきます。
#2896 学校通信が学力向上の旗を振るC中学校 Dec. 5, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-04
#2900 学テ総合ABCで全国平均レベルはどれくらいの得点か Dec. 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-10
ここで気がついた人がいるのではないでしょうか、中学校は92問ありましたが、小学校はわずか55問、これでは都道府県別平均正答率データは狭い範囲に集中してしまいます。つまり標準偏差が小さくなる。標準偏差が小さくなると、わずかの正答率の差で偏差値には大きな差になるということ。
(読み・書き・計算スピード)×時間=学習量
こういう等式を前提とすると、児童・生徒の学習時間を一定とすると、学習量は測度に依存しています。学習量が多いものの方が学力が高くなるのは当たり前ですから、基礎学力である「読み・書き・そろばん(計算)」速度の大きいものほど学力が高くなる傾向があることはたしかなことです。
したがって、全国学力テストは問題数を120問くらいに増やして、「読み・書き・計算」の処理速度も計測できるようにすべきではないでしょうか。
*#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
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ようやく管内別データまで来た。石狩管内のデータに驚き、正答率データを再度チェックした、偏差値データが予想外だったのである。札幌市が全数調査で前回は1/3の参加だったが、今回は札幌市内全校が参加しているから、石狩管内の平均正答率が上昇し、偏差値も14支庁管内トップと予想していた。ところが予想は外れた。
2014年度全国学力テスト・小学校 | |||||||
<道内14支庁管内別/科目別偏差値> | |||||||
支庁名 | 国語A | 国語B | 算数A | 算数B | 合計 | 平均 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 200.0 | 50.0 | |
全道 | 44.5 | 41.2 | 38.4 | 36.7 | 160.8 | 40.2 | |
1 | 留萌 | 60.5 | 46.0 | 47.5 | 45.6 | 199.5 | 49.9 |
2 | 上川 | 49.0 | 45.3 | 46.5 | 39.8 | 180.5 | 45.1 |
3 | 石狩 | 44.0 | 45.3 | 40.9 | 44.7 | 174.9 | 43.7 |
4 | 渡島 | 52.0 | 42.9 | 39.9 | 35.3 | 170.2 | 42.5 |
5 | 檜山 | 53.0 | 37.2 | 48.5 | 30.9 | 169.6 | 42.4 |
6 | 空知 | 51.5 | 39.9 | 42.4 | 33.6 | 167.4 | 41.8 |
7 | 釧路 | 55.5 | 38.2 | 46.5 | 26.0 | 166.2 | 41.5 |
8 | 胆振 | 40.5 | 41.2 | 35.9 | 32.2 | 149.8 | 37.5 |
9 | 十勝 | 47.0 | 37.2 | 31.3 | 31.8 | 147.3 | 36.8 |
10 | 根室 | 44.0 | 38.2 | 26.8 | 20.7 | 129.7 | 32.4 |
11 | 宗谷 | 49.0 | 30.1 | 30.8 | 10.0 | 119.9 | 30.0 |
12 | 後志 | 23.5 | 33.8 | 30.8 | 27.3 | 115.5 | 28.9 |
13 | オホーツク | 37.5 | 25.4 | 26.3 | 16.7 | 105.9 | 26.5 |
14 | 日高 | 17.0 | 16.3 | 10.6 | 2.4 | 46.4 | 11.6 |
根室市内 | 42.5 | 36.2 | 30.8 | 16.7 | 126.2 | 31.5 |
<学力の地域間格差と学校間格差を縮小するために・・・>
なんと、小学校のトップは留萌管内、2位が上川管内、3位が石狩管内だ。
石狩管内の昨年度の偏差値は14支庁管内中2位で43.9だから今年の43.7と一緒だ。札幌市は市内の学校間の学力格差が大きいのか?事実を明らかにするために学校別の平均正答率表を公表すべきだ。どのくらいの学校間格差があるかで学校ごと・教科ごとの取組の仕方が違ってくる。学校間格差を縮小するためにも、学力向上の目標管理に学校別・科目別の平均正答率データを積極的に利用すべきだ。
<小学校と中学校で偏差値が大きく変動する地域にはなにがある?>
なにがあるといっても、何かお宝が眠っていると楽しいがどうだろう。小学校よりも中学校の方が偏差値が高い地域は青で、小学校よりも中学校の偏差値がh杭地域は赤でマーキングした。
データを眺めていろいろ考えをめぐらせてもらいたい。なにか見えてきたらコメント欄へ書き込んでくれたらいい。みんなでワイワイガヤガヤやるのも楽しい。⇒コメント欄にブログ「情熱空間」のZAPPERさんが意見を書き込んでくれた。脚注に転載するのでぜひお読みいただきたい。
2014年度全国学力テスト | ||||
<小中偏差値対比表> | ||||
小学校 | 中学校 | 差 | ||
全道 | 40.2 | 46.8 | 6.6 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 0.0 | |
1 | 留萌 | 49.9 | 44.5 | -5.4 |
2 | 上川 | 45.1 | 51.5 | 6.4 |
3 | 石狩 | 43.7 | 54.0 | 10.3 |
4 | 渡島 | 42.5 | 39.0 | -3.5 |
5 | 檜山 | 42.4 | 37.7 | -4.7 |
6 | 空知 | 41.8 | 38.8 | -3.1 |
7 | 釧路 | 41.5 | 41.7 | 0.2 |
8 | 胆振 | 37.5 | 41.9 | 4.5 |
9 | 十勝 | 36.8 | 45.7 | 8.8 |
10 | 根室 | 32.4 | 29.0 | -3.4 |
11 | 宗谷 | 30.0 | 27.1 | -2.9 |
12 | 後志 | 28.9 | 32.6 | 3.8 |
13 | オホーツク | 26.5 | 38.2 | 11.7 |
14 | 日高 | 11.6 | 26.5 | 14.9 |
<14支庁管内別偏差値の単純平均値は36.5>
十勝管内までが平均超えである。10位の根室から下が道内14支庁管内単純平均値以下。平均以下のところに重点を置いて改善すれば学力があがるが、それだけでは全道平均が全国平均を超えられない。一番よい留萌管内ですら全国平均である偏差値50を0.1未達になっている。
小学校に全道の低学力の秘密が隠されているようだ。北海道の小学校の先生の8割が北海道教育大出身者と言われているが、道教育大になにか問題があるのではないか。授業のやり方の指導とか、左翼思想をもった教育学者の存在が学力改善の妨げになっているのではないか。最近北大の教育学担当M教授の意見を北海道新聞で見てあまりひどいので弊ブログでとりあげた。道教育大釧路分校の教育学担当T教授もZAPPERさんが度々槍玉にあげている。
***問題のすり替え:数学問題文の漢字が読めないのは誰のせい?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09
<各市町村教委は学力改善のために正答率データ公表に踏み切ろう>
根室市教委が根室市の科目別平均正答率データを公開した、根室市教委の英断を称えたい。さらに踏み込んで学校別・科目別正答率公表をしてもらいたい。全国でまだ1.8%しかないそうだ。
*「千葉市、全国・千葉県・大都市の平均正答率を上回る」11月25日
http://resemom.jp/article/2014/11/26/21610.html
**「学校別正答率の公表(読売新聞記事)」 ブログ「情熱空間」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7678876.html
(北海道新聞は北教組に遠慮してか、こういう記事を報じない)
<管内別データと市データの比較でみえてくるものがある>
根室市の小学校の偏差値を管内と比較するとある問題がみえてくる。国語Aと国語Bそして算数Bが根室管内平均よりも根室市の方が低いのである。とくに算数Bがひどい。これは日本語の能力に問題があるからではないのか?たとえば、中1の生徒でこういうことがある。
「直線ℓとmで・・・」
これは比例のグラフの文章題の日本語文章なのだが、生徒の手が10分ほど手が止まっているので訊いてみたら「全然わからない」という返事。そこで問題文を音読させてみると、「直線エルとメートル」と読んだ。これでは文意がわからないはずで、文の右側にはy=xのグラフℓとy=1/2xのグラフmが描かれている。文章のどこかに引っ掛かるとそこでとまってしまって、図を見ることも、その後の文章も読まない、ただじっと固まったまま。
問題文があり、そのあとに設問(1)と設問(2)があるとすると、(2)の問題をやるときには(1)と(2)の前に書かれている問題文をすっかり忘れていて、再度読もうとしない。問題の条件がいくつも最初の文に書かれているから、(2)の設問だけいくら読んでも解けるわけがない。文章がいくつかのかたまりに分かれて書かれていたら、それらを統合して意味を理解することができない、こういう生徒が多いのではないか。根室では最近3年ほどで急激にこういう生徒が増えたというのが塾側の感想である。学校で生徒に渡している学力テストの科目別・階層別得点棒グラフもそういう傾向をはっきり表している。点数下位層ごとの棒グラフをみると、数学や国語の得点から考えて学年50人の生徒数の規模の学校で3~4割ほどそういうレベルの生徒がいる。
<教育行政と民間の研究所とのコミュニケーション>
こういう問題の析出と具体的な対策は学校や教育行政だけでできるのだろうか?できないからこうした日本語に問題を抱えた低学力層が毎年じわじわ増大しているのだろう。現象の特性を明確に把握していないから、対策も抽象的なものになる。
学校や教育行政は民間の専門家をいれて問題の分析と適切な対策を講じてもいいのではないか。
昨年「北海道教育文化研究所」ができた。たとえばこういう民間の研究所と連携して教育改革をテーマに話し合ってみてはどうだろう?
学校や教育行政にはない発想で一度教育政策を点検をしてみたらいい。
*北海道教育文化研究所 - 946JP.com
北海道教育文化研究所(道教文研) | Facebook
<脚注>
コメント欄より ZAPPERさんのご意見とebisuのやりとり
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〉小学校と中学校で偏差値が大きく変動する地域にはなにがある?
上がっている地域に関して。
上川・石狩・十勝に関しては、明らかに高校入試の倍率の影響ですね。北見も、学力総合C試験で150点越えの学校が市内に5校あるとのことですから、高校入試の倍率は下がったとはいえ、やはり意識の差でしょう。
日高は、小学校時点の学力があまりに低くて、もはや下りようがないから。
高校入試の倍率が低いところは、やはり意識が高まらずに学力が伸びない。
また、中学校もそれに甘んじて危機意識が薄い。
そのように解しています。
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ハンドルがありませんが、運転は確かな腕前ですね(笑)
上がっている地域に関して、実に明解なご意見で、説得力があります。
では下がっている地域は高校入試が定員割れして競争意識が働かず、高校入試に向けて勉強に力が入らない地域であるという仮説が成り立ちますね。
この仮説が真であれば、根室は高校が統合されて1校になるので、中学校のさらなる学力低下が予測されることになりそうです。
(ご意見は後でまとめて本欄へアップします、ご了解ください)
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すみません、出先なものですからハンドルネームを入れるのを忘れちゃいましたです。(^^;;
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ZAPPERさん
やっぱりそうでしたか、内容から他には思いつきませんでしたから。
(ZAPPERさんと)同じ見方をしている人が他にもいるのかと内心ワクワクしていました。
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テスト分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2
#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12
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#2905 小学校 47都道府県別・科目別偏差値-2 :H26全国学テ・データ分析(8) Dec. 13, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
26-47番 | ||||||||
2014年度 | <都道府県別・科目別偏差値順位表> | |||||||
順位 | 都道府県名 | 国語A | 国語B | 算数A | 算数B | 平均偏差値 | 受験者千人 | a |
26 | 兵庫県 | 50.0 | 47.0 | 48.0 | 50.9 | 49.0 | 49.9 | 2.2 |
27 | 奈良県 | 51.5 | 43.3 | 52.5 | 47.8 | 48.8 | 11.7 | 0.5 |
28 | 佐賀県 | 53.0 | 47.0 | 47.5 | 46.0 | 48.4 | 7.9 | 0.3 |
29 | 宮城県 | 56.5 | 46.0 | 46.0 | 43.8 | 48.0 | 20.0 | 0.9 |
30 | 埼玉県 | 48.0 | 50.0 | 43.9 | 48.2 | 47.5 | 62.7 | 2.7 |
31 | 宮崎県 | 54.0 | 44.3 | 49.0 | 39.8 | 46.8 | 10.2 | 0.4 |
32 | 福岡県 | 45.5 | 46.3 | 48.0 | 46.4 | 46.6 | 44.3 | 1.9 |
33 | 鹿児島県 | 48.0 | 49.0 | 52.0 | 37.1 | 46.5 | 14.8 | 0.6 |
34 | 神奈川県 | 42.0 | 47.0 | 43.9 | 51.8 | 46.2 | 75.2 | 3.3 |
35 | 島根県 | 53.5 | 46.6 | 40.9 | 42.4 | 45.9 | 5.9 | 0.3 |
36 | 栃木県 | 45.0 | 46.6 | 48.0 | 43.8 | 45.8 | 17.6 | 0.8 |
37 | 長崎県 | 45.0 | 43.3 | 49.5 | 45.6 | 45.8 | 12.3 | 0.5 |
38 | 岡山県 | 42.5 | 46.6 | 48.5 | 42.9 | 45.1 | 17.2 | 0.7 |
39 | 山梨県 | 36.0 | 48.3 | 44.4 | 47.3 | 44.0 | 7.3 | 0.3 |
40 | 岐阜県 | 36.5 | 47.6 | 43.9 | 44.2 | 43.1 | 19.4 | 0.8 |
41 | 大阪府 | 39.0 | 40.2 | 46.0 | 41.6 | 41.7 | 74.9 | 3.3 |
42 | 徳島県 | 36.0 | 44.3 | 43.9 | 39.3 | 40.9 | 6.2 | 0.3 |
43 | 愛知県 | 38.0 | 39.6 | 38.4 | 46.4 | 40.6 | 68.7 | 3.0 |
44 | 北海道 | 44.5 | 41.2 | 38.4 | 36.7 | 40.2 | 43.0 | 1.9 |
45 | 和歌山県 | 32.5 | 42.9 | 43.4 | 38.9 | 39.4 | 8.2 | 0.4 |
46 | 滋賀県 | 40.5 | 40.6 | 37.4 | 37.1 | 38.9 | 13.7 | 0.6 |
47 | 三重県 | 33.5 | 39.9 | 40.4 | 40.2 | 38.5 | 16.7 | 0.7 |
合計 | 2,274.0 | 2,289.1 | 2,305.5 | 2,200.7 | 2,267.3 | 1,065.5 | ||
平均 | 48.4 | 48.7 | 49.1 | 46.8 | 48.2 | 22.7 | ||
*a: 都道府県別人口を都道府県別平均人口で割った数値 |
<受験者ウェイト指数>
一番右端の欄は各都道府県の受験者数を47都道府県平均受験者数2.3万人で割った指標である。1より大きい都道府県が平均受験者数を上回っている。青でマーキングしてあるが、全部で12地域しかない。
<全体の印象>
全体の印象をいうと、受験者数の小さい県のほうがやる気になったときに学力の改善がしやすいということ。数が増えるほど学力改善が困難になるようにみえる。有する大学の数や一流企業の本社勤務のエリートサラリーマン、中央官庁の職員など圧倒的に有利な条件を抱える東京都だが案外順位が低い。生徒数の多い順(指数aが3以上の地域)に並べると
東京都 9番目
大阪府 41番目
神奈川県 34番目
愛知県 43番目
順位が1~5番目までの県は指数aが0.3~0.5だ。つまり、都道府県別受験者数平均値の半分以下の地域が並んでいる。
<全国平均値を使って標準偏差を計算した>
都道府県別正答率単純平均値のと全国正答率平均値には少し差がある。それは受験者数にばらつきがあるからである。今回は全国正答率平均値で標準偏差を計算した。前回までは都道府県別正答率単純平均値で標準偏差を計算していたので偏差値単純平均値はぴたり50になっていたが、今回から合計が50になっていない。それは全国正答率平均値を標準偏差計算に利用したからである。
<北海道の偏差値が上がった理由:札幌市が撹乱要因>
北海道は44番である。昨年度は偏差値36.4で45番目だった。偏差値ははっきりあがったが、札幌市が前回は1/3しか参加していなかったから、高学力圏の札幌市が全数参加によって北海道の平均値が上がっただけのことかもしれない。札幌の人口は190万人だから、全道人口の42%ほどだ。生徒数も同じ比率とすると、前回は全道の28%が抜けていたことになる。これは無視できない大きさである。14支庁管内で石狩管内は3番目である。昨年度は石狩管内の中でも学力の高い学校が学力テストに参加していたのだろうか?小学校は留萌管内や上川管内のほうが石狩管内よりも学力が高そうだ。
札幌市が毎年全数参加しないと全道の学力がどうなのか経年比較ができなくなる。札幌市は部分参加などという勝手な判断をやめてもらいたい、全道の他の地域みんなが迷惑している。
<道教委の自己評価と偏差値を突き合せてみる>
「ほっとネット」は中学国語Aの「正答率7ヵ年推移折れ線グラフ」を挙げて「中学校は、国語Aで全国と同じになるなど、改善の傾向が見られます」と書いている。
小学校については小学校算数Bの「正答率7ヵ年推移折れ線グラフ」を挙げて「小学校では、全国平均に近づいていますが、なお、いっそうの努力が必要です」とコメントしている。
たしかに昨年は、算数Bの偏差値が36.4で算数Aが33.3だから少し上がっているようにみえる。ところが、2014年度の科目別偏差値表では算数Bの偏差値は36.7に過ぎず全国最低である。算数Aは偏差値38.4でビリから2番目。
札幌市の全小学校が参加しても算数の学力の実態は滋賀県と並らぶ全国最低レベルでこれ以下のところはない。
来年度は悉皆調査(全数調査)ではないので道内の平均正答率よりも高い石狩管内の札幌市の2/3が参加しないから、北海道全体の平均正答率が下がり、いくぶん偏差値が下方にぶれると読むのが当たり前ではないだろうか。
さて、北海道教育委員会さん、認識が甘くはありませんか?
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テスト分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
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#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
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#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12
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#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
容量の関係で表を三分割しないとアップできない、不便だがご容赦願いたい。
全国学力テストデータ分析第7回は小学校の都道府県別・科目別偏差値と「ほっとネット第39号 平成26年度 全国学力・学習状況調査の結果」(以下、「ほっとネット」と略記)をとりあげる。このリーフレットは北海道教育委員会の広報誌だが、ネット上には36号までしかアップされていない。あとでアップされるだろうからURLを記しておく。
*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/kouhou/kouhousi/hotnetkako.htm
科目別偏差値と比較してみると、都合のよいデータだけを挙げて、読者の判断をミスリードしてしまうようにみえる、あとで解説したい。
<全国学力テスト・小学校>
2014年度 | <都道府県別・科目別偏差値順位表> | |||||||
順位 | 都道府県名 | 国語A | 国語B | 算数A | 算数B | 平均偏差値 | 受験者千人 | a |
1 | 秋田県 | 72.5 | 89.7 | 85.3 | 85.6 | 83.3 | 7.8 | 0.3 |
2 | 福井県 | 58.5 | 71.2 | 75.2 | 76.2 | 70.3 | 7.3 | 0.3 |
3 | 石川県 | 56.0 | 74.2 | 72.2 | 74.0 | 69.1 | 10.1 | 0.4 |
4 | 青森県 | 68.5 | 66.8 | 66.2 | 61.6 | 65.8 | 11.3 | 0.5 |
5 | 富山県 | 56.0 | 63.5 | 64.6 | 66.9 | 62.8 | 9.3 | 0.4 |
6 | 広島県 | 65.0 | 59.4 | 63.1 | 58.4 | 61.5 | 24.5 | 1.1 |
7 | 東京都 | 63.0 | 55.7 | 56.6 | 63.3 | 59.7 | 90.6 | 3.9 |
8 | 茨城県 | 70.0 | 56.4 | 58.1 | 51.8 | 59.1 | 26.0 | 1.1 |
9 | 新潟県 | 58.0 | 61.1 | 59.6 | 55.3 | 58.5 | 18.8 | 0.8 |
10 | 香川県 | 63.0 | 61.1 | 52.0 | 55.8 | 58.0 | 8.9 | 0.4 |
11 | 鳥取県 | 70.5 | 53.4 | 52.5 | 49.6 | 56.5 | 4.9 | 0.2 |
12 | 京都府 | 52.0 | 54.7 | 59.1 | 56.7 | 55.6 | 21.0 | 0.9 |
13 | 山口県 | 53.5 | 57.7 | 57.1 | 51.8 | 55.0 | 11.9 | 0.5 |
14 | 岩手県 | 54.0 | 59.4 | 54.0 | 52.2 | 54.9 | 10.9 | 0.5 |
15 | 大分県 | 53.5 | 55.7 | 58.6 | 50.9 | 54.7 | 9.9 | 0.4 |
16 | 千葉県 | 64.5 | 50.0 | 50.5 | 52.7 | 54.4 | 53.5 | 2.3 |
17 | 静岡県 | 49.5 | 59.8 | 56.6 | 51.3 | 54.3 | 33.2 | 1.4 |
18 | 長野県 | 48.5 | 55.1 | 55.0 | 53.6 | 53.0 | 19.1 | 0.8 |
19 | 高知県 | 57.5 | 48.3 | 55.6 | 48.7 | 52.5 | 5.8 | 0.3 |
20 | 福島県 | 52.0 | 55.1 | 53.0 | 48.2 | 52.1 | 16.6 | 0.7 |
21 | 山形県 | 57.0 | 54.0 | 48.5 | 47.8 | 51.8 | 9.8 | 0.4 |
22 | 沖縄県 | 45.5 | 46.6 | 64.1 | 45.1 | 50.3 | 15.3 | 0.7 |
23 | 群馬県 | 53.5 | 50.0 | 49.5 | 48.2 | 50.3 | 17.9 | 0.8 |
24 | 愛媛県 | 48.5 | 55.7 | 49.0 | 47.3 | 50.1 | 11.9 | 0.5 |
25 | 熊本県 | 43.5 | 47.6 | 56.1 | 51.3 | 49.6 | 16.2 | 0.7 |
続きは#2905へ・・・
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
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#2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
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#2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
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#2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
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#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
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#2903 H26全国学力テストデータ分析(6):小学校と中学校の偏差値の差について Dec. 11, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
小学校 36.4
中学校 45.1 差8.7
根室管内の小中を比較
小学校 37.0
中学校 41.4 差4.4
小学校の偏差値<中学校の偏差値
このような不等式が成立っているように見えるが、どうしてこうなるのか?
それは都会で学力の高い層が公立小学校から有名私立中学校へ流出するからだろう。成績上位層が抜ける前の小学校の全国平均値は、抜けた後の中学校の全国平均よりも高い水準にあると考えられる。そうして考えると、小学校の偏差値の方が学力の真の姿に近いと言えそうだ。
学力の地域格差を表す指標としては小学校の偏差値データの方がより真実に近い。 学力の地域間格差を問題にするときは、小学校の偏差値を使うべきだ。
さて、2014年度の全国学力テストで全道の小学校と中学校の偏差値にどれくらいの差があるのだろう?
根室市教委が市内の平均正答率を公表してくれているから、根室管内の他に根室市内の偏差値も計算できる。近いうちに計算してお目にかけたい。
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*#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
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#2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
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#2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
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#2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1
#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1
#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2
#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1
#2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20
*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29
*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13
#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス分析」 Dec 3, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
偏差値について論考を4回重ねてあらためてデータを眺めてみて平凡な事実に気がついた。誰もが感じていた通りの結果が数値で出ていたのである。人口(中3生徒数)と漁業度・農業度を表す二つの軸で分割された3×3マトリックスに展開したら視覚的にハッキリすると直感が訴えていた。自分を空っぽにすれば見るべきものが見えてくるのである。試行錯誤を重ねた結果、ようやく単純な表に行き着いた。わたしはこの表を見たくていろんなことをしてきたのだと納得。
人口 | 中3生徒数 | ||||
y3 | 石狩54.0 | 17,843 | |||
上川51.5 | 4,010 | ||||
大 | 胆振41.9 | 3,204 | |||
渡島39.0 | 3,097 | ||||
十勝45.7 | 3,043 | ||||
空知38.8 | 2,412 | ||||
y2 | オホーツク38.2 | 2,359 | |||
中 | 釧路41.7 | 1,738 | |||
後志32.6 | 1,592 | ||||
y1 | 根室29.0 | 661 | |||
日高26.5 | 559 | ||||
小 | 宗谷27.1 | 509 | |||
留萌44.5 | 345 | ||||
檜山37.7 | 285 | ||||
x1 漁業 | x2 中間 | x3 農業 |
<結論>
道政の中心で人口が多いとか農業地帯が(x3, y3)に集中している。農業主体の経済圏で人口の多いところは学力が高い。
(x1, y1)は漁業主体の経済圏で他地域よりも急速に過疎化が進行中の地域である。この3支庁管内が道内で一番学力が低い。釧路のように漁業と農業そして工業と3つとも揃っているかどちらとも判断のつかない地域である混合型経済圏は概ね人口の多いところが学力が高く、少ないところは低い。
<留萌はどっち?>
留萌支庁管内は漁業と酪農と果樹栽培が主要な産業だが、漁獲高が小さい。留萌市は輸入数の子の加工が盛んだった。漁業そのものは主要産業ではないので農業圏に分類した。
それにしても学力が高い、偏差値が14支庁管内平均値の39.2をはるかに超えて44.5である。偏差値のほうから見るとこの留萌管内の市や町はビジョンをつくって堅実で計画的にものごとを処理できる地域ではないか。小学校の偏差値は14支庁管内トップである。
<オホーツク管内は両方の要素あり>
オホーツク管内は人口が多い。サロマ湖のホタテ養殖で有名だから漁業中心の町に入れたいが、漁業の網走市の他に農林業の北見市があるので中間地域に分類した。漁業と農業の複合圏といってよいのだろう。北見工業大学のあることも学力を他地域よりも相対的に高くしているのかもしれない。国立北見工業大学の存在も地域の学力底上げに重要なファクターになっているのだろう。
網走+北見=漁業+農林業
<後志管内は農業対漁業は40対1の割合>
小樽や余市そして泊原発を含む後志管内は農業が主体。農産物の産出高412億円に対して漁業産出高10.6億円である。
*後志地域の概要
http://www.ot.hkd.mlit.go.jp/d2/chi_gaiyo.html
<漁業の町の歴史が生み出した気風も替わる>
こうしてマトリックス表を眺めてみると、農業経済圏の学力が高い。漁業の割合が増えるほど学力が低くなる傾向があるようにみえる。
いまからみると根室は昭和40年代までは水産資源が膨大にあり、昭和30年代半ばには缶詰工場がフル操業しても処理できないほどタラバガニが獲れた。処理できないタラバガニを岸壁から投棄することすらあった。昭和50年代になっても「勉強なんかしなくったっていい、船に乗れば稼げる」と子どもを放任した親が少なくなかった。ebisuの母親は択捉島で漁業を営む家の長女だったから、親戚には根室管内で漁業を営む者がいるが、ebisuよりも少し年下のまた従兄弟三人は漁業を継いだ。昭和50年代の頃はそれぞれサラリーマンの何倍も稼いでいた。雇われでも半年間漁船に乗れば、普通のサラリーマンの年収が稼げた、そういう時代が戦後数十年続いて、町の気風を形成している。
1982年の国際海洋条約第5部で排他的経済水域(EEZ)が条文として確立した。200カイリ問題で遠洋漁業が壊滅的な打撃を受け、「船に乗れば稼げる」なんて時代ではとっくの昔になくなっているが、一発狙いでコツコツ努力することを嫌う空気はいまでも色濃く漂っている。「船に乗れば・・・」、そういう言葉を親から聞いた者たちの最後の世代がいま50歳代だ。
「空気」というのは時代から取り残されてもなかなか替わらないやっかいなものだ。根室に残るさまざまな旧弊もそうした「空気」の一つ、でも、時間と共に小さな窓から空気が入れ替わるようにゆっくりと替わっていく。小窓を開いて外部の空気を入れる者がわずか数人いれば充分で、後は時間の仕事だ。触媒の役割を果たす20~40歳代の人材が出てくれば予想できない状況が生まれて連鎖反応が起きる。
ケセラセラ、大きな流れははじまっている。根室の町に基礎学力がしっかりしていて心根がまっすぐな若者がすくすく育ち始めている。ふるさとにもどって12年、生徒たちに恵まれて己に課した役割が果たせた。ebisuは消えてなくなっている30年後が楽しみだ。
現在の中1年生から高校は統廃合されて根室高校1校になる。高校受験対象の私塾はもう必要がなくなる、高校生も偏差値50以上の大学へ一般入試で進学できる者は根室市内全部で一学年10人を切ってしまったから、ビジネスとしては大学入試のための私塾もほとんど御用済みでいずれ消える。心配いらないよ、ネットを利用した全国版の安価な私塾が増えている。競争原理が働きまもなく価格崩壊を起こす。
でも、しょせんネットはネットだ。日本には塾頭と塾生という相対での教育の伝統が400年ある、日本の教育を支えてきたのはさまざまな学校と私塾の群れだ。その伝統においては学校教育よりも私塾の方が2.5倍も長い。人財育成という観点からはネットに「伝統的な私塾」の代替はできない。明治維新は江戸の私塾からではなく、薩摩や長州や土佐などのペリフェリ(辺縁部)から起きた。時代を変革する人材は地方でこそ育つ。
ebisuはいましばらく「伝統的なタイプの塾」で塾生たちと楽しみたい。これから数年、社会人も鍛えることになる。
<未来>
ところで、この表は14支庁管内の未来も現している。社会保障・人口問題研究所の人口推計データによれば、26年後の2040年には日本の人口は1億727万人に減少する。市町村別・年齢別人口推計データでは根室市の人口は現在の2.8万人から1.8万人へ1万人減少する。根室市内の中学生は2014年度の45%程度(110人)にまで減少する。根室管内全体も似たようなものだろう。
道内全域を見渡すと、地方から札幌圏へ人口が集中するから、石狩管内以外は中学生の人口が半減すると考えると、学力と管内生徒数に正の相関があるから石狩管内を除く13支庁管内の学力低下は必至だろう。学校マネジメントに学力の数値管理を含む適切な手を打たないと、北海道の海側辺縁部の子どもたちと都会のこどもたちの学力格差がますます広がっていくと同時に他の地域でも「学力の地盤沈下」が進みそうである。
教育問題を超えた明るい見通しがあることを書いておきたい。2040年には世界の人口は90億人を超えているだろう。食糧が奪い合いになり、国際市場で食糧価格が高騰する。お金のある国が買占め、お金のない国の国民が飢えに苦しむことになる。価格が上昇すれば、食糧自給率200%の北海道は日本でも屈指の経済圏に踊り出ることになるだろう。だからTPPなどやらずに、鎖国状態に近い強い管理貿易で国内で食糧を生産して、消費する体制を守るべきなのである。北海道の26年後未来は明るい、それだからこそ農業と水産業の未来を支える子どもたちの教育がいま重要なのである。
これで中学校の部の分析を終える。
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*#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
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#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
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#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
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#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
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#2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
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#2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
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#2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
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#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1
#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2
#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1
#2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20
*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29
*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13
#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
---------------------------------------
①受験者数<②学校<③市町村<④14支庁<⑤都道府県
受験数:約101.8万人
参加中学校数:9742校 北海道621校
市町村数:市790、特別区23、町745、村183、合計1741市町村
---------------------------------------
北海道にある市の数は35だ、これを14支庁で割ると、1支庁管内当たり2.5市ということになる。これを全国規模で想定すると
790市÷2.5=316支庁
14支庁管内の受験者数をみると、285人(檜山)~17,843人(札幌)の間で、平均値は2,976人である。
2014年度 | 14支庁管内別生徒数 | ||||
小学校 | 中学校 | 構成比 | 中/小 % | ||
全道 | 42,951 | 41,765 | 97.2 | ||
全国 | 1,080,663 | 1,018,157 | 94.2 | ||
空知 | 2,268 | 2,412 | 5.3 | 106.3 | |
石狩 | 18,833 | 17,843 | 43.9 | 94.7 | |
後志 | 1,641 | 1,592 | 3.8 | 97.0 | |
胆振 | 3,338 | 3,204 | 7.8 | 96.0 | |
日高 | 589 | 559 | 1.4 | 94.9 | |
渡島 | 3,081 | 3,097 | 7.2 | 100.5 | |
檜山 | 295 | 285 | 0.7 | 96.6 | |
上川 | 3,987 | 4,010 | 9.3 | 100.6 | |
留萌 | 334 | 345 | 0.8 | 103.3 | |
宗谷 | 596 | 509 | 1.4 | 85.4 | |
オホーツク | 2,381 | 2,359 | 5.5 | 99.1 | |
十勝 | 2,981 | 3,043 | 6.9 | 102.1 | |
釧路 | 1,897 | 1,738 | 4.4 | 91.6 | |
根室 | 717 | 661 | 1.7 | 92.2 | |
42,938 | 41,657 | 1,360.4 | |||
14支庁平均 | 3,067 | 2,976 | 100.0 | 97.2 | |
*数値は国語Aからピックアップした |
<学力分布は3×3のマトリックスにきれいに分かれる>
この表は面白い傾向を表している。管内生徒数の多い順に偏差値が並んでいるように見える。生徒数上位4番目までをみると、石狩⇒上川⇒胆振⇒渡島の順だが、偏差値は石狩⇒上川⇒十勝⇒留萌である。胆振の偏差値は5番目で渡島は7番目である。共通点は海沿いの地域ということ。逆に生徒数が5番目の十勝が3番目の偏差値だということは何か示唆していないか?十勝支庁管内の生徒数は4番目だから一つ繰上がっている。そう、十勝支庁管内は内陸しかも農業主体の地域である。
成績下位の3支庁管内である日高・宗谷・根室は海沿いの地域で漁業が主体の町である。石狩と上川は人口がトップと二番目の地域であると同時に周辺部に農業地帯を抱えている。
どうやら北海道は人口の寡多と農業主体の町か漁業主体の町かという2本の座標軸で学力の高低が決まっているようなのだ。縦軸に人口、横軸に漁業と農業をとれば、3×3面のマトリックスで学力の分布がきれいに表現できそうだから次の記事#2895でとりあげる。
<正答率平均値計算:生徒数は285以上>
最小値の檜山支庁を除くと300人以上であるが、ここが話の要点となる。300人以上の受験者数を想定すると、その集団の平均正答率のデータ範囲は個人別データの分布に比べてきわめて狭いものになる。個人別・科目別・正答率データの範囲は「0~100%」である。国語Aを見ると、47都道府県別平均正答率データの10.0の10倍、14支庁管内別科目別平均正答率データ4.7の20倍である。
47都道府県の平均正答率の分布の幅と14支庁管内の分布の幅を考えると、偏差値54以上の成績上位層がないから14支庁管内の方が狭い。これを全国を仮に316支庁に分割したとして、その平均正答率の分布をEXCELシートで集計していけば、47都道府県4科目平均正答率データの分布に近づくだろう。
47都道府県別科目別平均正答率の分散値≒全国を316支庁に分割した場合の分散値
それゆえ、このような等式を想定して構わないと考える。この等式が成立つなら、全道14支庁管内科目別偏差値に47都道府県別科目別標準偏差を適用しても妥当な偏差値がえられることになる。
<14支庁管内に偏差値30以下が3つ含まれている理由>
ついでにコメントしておくと、北海道14支庁管内で偏差値の低いグループが多いのは、北海道自体が全国33番目の低学力圏に属するからだ。最上位の札幌圏、石狩管内ですら偏差値54に過ぎない。50を越したのは石狩と上川の2支庁のみで、残り14支庁管内すべてが偏差値49以下、内訳は40台が4支庁、30台が5支庁、20台が日高・宗谷・根室の3支庁である。
<ひっくり返すのはそんなに難しくない>
でもあきらめる必要はない。正答率や正答数の差は小さいのである。科目ごとに数値目標を立てて、成績向上の戦略を策定し、粛々と実行すれば2年あればどこの学校でも全国平均を達成できるだろう。教育計画は客観的な数字で評価して坦々とやればいい。要はマネジメントの問題である。
以前はずいぶん荒れて(北海道新聞の取材による)学力の低かった根室の市街化地域のC中学校は今年度ほぼ全国平均を達成しているという。たった2年で大きく学力改善を成し遂げた。
(偏差値、平均正答率、全国平均正答率との差)
日高:(26.5、 59.1%、 5.3%)
宗谷:(27.1、 58.8%、 5.6%)
根室:(29.0、 59.6%、 4.8%)
92問中、正答数をたった5問増やすだけで、下位3支庁は全国平均を達成できる。
-------------- <参考資料> ----------------
<47都道府県別正答率分布範囲> | ||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | |
最小値 | 74.4 | 45.6 | 58.2 | 50.3 |
最大値 | 84.4 | 55.9 | 74.3 | 66.9 |
差 | 10.0 | 10.3 | 16.1 | 16.6 |
<14支庁別正答率分布範囲> | ||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | |
最小値 | 75.6 | 45.0 | 59.1 | 52.4 |
最大値 | 80.3 | 51.9 | 67.5 | 61.7 |
差 | 4.7 | 6.9 | 8.4 | 9.3 |
<基本統計量> | ||||
科目 | SD | sum | AV | 分散 |
国語A | 1.60 | 3,739.70 | 79.57 | 120.42 |
国語B | 2.10 | 215.80 | 51.04 | 207.05 |
数学A | 2.63 | 1,140.90 | 67.41 | 324.76 |
数学B | 2.90 | 420.50 | 59.66 | 396.23 |
表-4 | ||||||||
2014年度 | ||||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | |||
全道 | 48.9 | 44.6 | 44.6 | 49.1 | 187.3 | 46.8 | ||
全国 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 200.0 | 50.0 | ||
2014年度 | <道内14支庁管内別偏差値内訳とランキング> | |||||||
支庁名 | 国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
1 | 石狩 | 54.6 | 54.1 | 50.3 | 57.0 | 216.1 | 54.0 | |
2 | 上川 | 53.9 | 49.8 | 48.8 | 53.6 | 206.2 | 51.5 | |
3 | 十勝 | 46.5 | 41.2 | 46.2 | 48.8 | 182.6 | 45.7 | |
4 | 留萌 | 49.6 | 40.3 | 41.6 | 46.4 | 177.8 | 44.5 | |
5 | 胆振 | 45.8 | 40.3 | 40.8 | 40.8 | 167.8 | 41.9 | |
6 | 釧路 | 49.6 | 35.0 | 43.5 | 38.8 | 166.9 | 41.7 | |
7 | 渡島 | 42.7 | 35.5 | 37.8 | 40.2 | 156.2 | 39.0 | |
8 | 空知 | 40.2 | 31.2 | 39.7 | 43.9 | 155.1 | 38.8 | |
9 | オホーツク | 43.3 | 35.0 | 35.9 | 38.4 | 152.7 | 38.2 | |
10 | 檜山 | 47.1 | 32.7 | 32.8 | 38.1 | 150.7 | 37.7 | |
11 | 後志 | 34.6 | 27.4 | 33.6 | 35.0 | 130.6 | 32.6 | |
12 | 根室 | 32.1 | 21.2 | 28.7 | 34.0 | 115.9 | 29.0 | |
13 | 宗谷 | 41.5 | 23.6 | 18.4 | 25.0 | 108.5 | 27.1 | |
14 | 日高 | 25.2 | 23.6 | 27.5 | 29.5 | 105.8 | 26.5 | |
単純平均値⇒ | 39.2 |
*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29
*#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
Sさんが都道府県別4科目合計正答率の分布をグラフにしてくれた。偏差値は標準偏差でそれぞれの平均正答率を測度することになるが、「平均正答率の度数分布グラフ」は全国平均正答率との差を素直に表してくれるから、わかりやすい。宗谷も日高も根室も4科目全92問で正答数を4-6問増やすだけで全国レベルに並びます。全国平均レベルと相対的な差は大きいが、正答数の絶対的な差異は小さい。だから、適切な戦略を立てて努力すれば現在の状況をひっくり返すことができます。
Sさんが作成してくれたグラフをご覧戴きたい。実際の地域別・科目別平均正答率データは後の方で表を付け足しておきます。
ebisuは都道府県別・科目別平均正答率を元にした標準偏差を道内14支庁管内に使いました、これが妥当性の高いものであることは次回あるデータを使って論証します。楽しみにしていてください。
根室市の33.7と根室管内29.0は全国レベルで根室市や根室管内を見ると妥当な偏差値というのがebisuの結論です。
ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7664641.html?1417442883#comment-form
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2014年12月01日
偏差値改善のために(「正しい方法」で「基本に忠実」に)
偏差値で見ると「強烈」に低い数値が出るものの、得点に換算したなら日高管内や根室管内も十二分に挽回が可能であることが分かるかと思います。何のことはありません。「正しい方法」で、「基本に忠実」に学習指導をすればいい。ただそれだけのことです。
偏差値教育に反対する!
しかし北海道では、それらはその一言をもって否定されてしまいます。そもそも北海道の義務教育現場においては偏差値はほとんど用いられてきませんでした。その用いていないものを、さも用いてきたかのような物言い。しかも、それが思いっきり低い中にあって、何を言い出すのでしょうか。上げてから言いなさいって。
もう一度言います。「正しい方法」で、「基本に忠実」に学習指導をすればいい。それをやればいいだけのことです。
Sさんのコメント
××さんからいただいたデータを元に、中学校の正答率の合計値をグラフ化してみました。それほど広い分散ではありません。その意味で、日本の公教育は均一性を担保しているように思います。日高/根室は各県データの中に当てはめたので正確ではありませんが、傾向は見ることができます。確かに低い位置にいますが、それほど引き離されているというわけでもありません。正しいやり方で着実に勉強させれば、1~2年で道内平均くらいに挽回可能な位置にいます。
●偏差値のお話の大前提として
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7660307.html
●クミアイが強いところは学力が低い?
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7659946.html
●驚愕!偏差値20台!(義務教育崩壊)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7659904.html
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47都道府県別4科目合計正答率表と14支庁管内別4科目合計正答率表です。
max: 280.1 福井県
mini: 228.5 沖縄県
分布の幅: 51.6
一科目平均 12.9
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | ||
1 | 福井県 | 83.0 | 55.9 | 74.3 | 66.9 | 280.1 |
2 | 秋田県 | 84.4 | 55.8 | 73.0 | 65.5 | 278.7 |
3 | 富山県 | 82.3 | 55.1 | 71.1 | 63.6 | 272.1 |
4 | 石川県 | 81.9 | 53.7 | 70.9 | 63.4 | 269.9 |
5 | 静岡県 | 80.8 | 52.5 | 70.9 | 63.7 | 267.9 |
6 | 群馬県 | 81.1 | 54.2 | 69.2 | 62.6 | 267.1 |
7 | 山口県 | 80.7 | 52.4 | 70.3 | 62.6 | 266.0 |
8 | 愛媛県 | 80.3 | 52.8 | 68.7 | 62.9 | 264.7 |
9 | 東京都 | 80.7 | 53.2 | 68.8 | 61.8 | 264.5 |
10 | 青森県 | 81.0 | 52.0 | 69.3 | 60.7 | 263.0 |
11 | 岐阜県 | 79.8 | 52.0 | 69.8 | 61.3 | 262.9 |
12 | 愛知県 | 79.2 | 51.5 | 69.7 | 62.5 | 262.9 |
13 | 兵庫県 | 79.9 | 51.1 | 69.6 | 61.3 | 261.9 |
14 | 山形県 | 80.6 | 52.1 | 67.6 | 60.2 | 260.5 |
15 | 広島県 | 80.1 | 50.9 | 68.4 | 60.5 | 259.9 |
16 | 熊本県 | 79.0 | 51.3 | 67.4 | 61.6 | 259.3 |
17 | 奈良県 | 79.0 | 50.8 | 68.5 | 60.5 | 258.8 |
18 | 神奈川県 | 79.2 | 51.5 | 67.0 | 60.8 | 258.5 |
19 | 京都府 | 79.4 | 51.3 | 67.7 | 60.1 | 258.5 |
20 | 香川県 | 79.3 | 51.4 | 67.8 | 60.0 | 258.5 |
21 | 千葉県 | 79.8 | 51.7 | 66.7 | 60.1 | 258.3 |
22 | 山梨県 | 80.0 | 52.0 | 66.6 | 59.7 | 258.3 |
23 | 鳥取県 | 79.5 | 51.2 | 67.4 | 59.7 | 257.8 |
24 | 新潟県 | 79.5 | 50.3 | 67.9 | 59.8 | 257.5 |
25 | 島根県 | 80.2 | 52.0 | 66.1 | 59.1 | 257.4 |
26 | 宮城県 | 80.3 | 52.0 | 65.6 | 59.4 | 257.3 |
27 | 宮崎県 | 78.4 | 50.2 | 68.4 | 59.9 | 256.9 |
28 | 栃木県 | 79.3 | 51.4 | 66.9 | 59.3 | 256.9 |
29 | 茨城県 | 79.9 | 52.3 | 66.5 | 57.8 | 256.5 |
30 | 埼玉県 | 79.4 | 51.5 | 66.2 | 59.3 | 256.4 |
31 | 徳島県 | 79.3 | 49.8 | 68.5 | 58.1 | 255.7 |
32 | 長崎県 | 79.0 | 49.8 | 66.9 | 59.2 | 254.9 |
33 | 北海道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 |
34 | 長野県 | 79.7 | 49.4 | 67.2 | 58.1 | 254.4 |
35 | 大分県 | 79.8 | 50.2 | 66.6 | 57.4 | 254.0 |
36 | 岩手県 | 80.5 | 51.8 | 64.1 | 57.5 | 253.9 |
37 | 三重県 | 78.0 | 49.0 | 67.1 | 58.3 | 252.4 |
38 | 福島県 | 79.4 | 50.5 | 64.7 | 56.8 | 251.4 |
39 | 福岡県 | 78.4 | 49.6 | 65.6 | 57.8 | 251.4 |
40 | 鹿児島県 | 78.1 | 49.1 | 65.5 | 58.4 | 251.1 |
41 | 滋賀県 | 77.9 | 48.8 | 66.5 | 56.3 | 249.5 |
42 | 和歌山県 | 77.4 | 47.5 | 65.9 | 56.8 | 247.6 |
43 | 岡山県 | 78.2 | 48.1 | 65.4 | 55.9 | 247.6 |
44 | 佐賀県 | 78.0 | 48.8 | 64.0 | 56.5 | 247.3 |
45 | 大阪府 | 77.0 | 47.2 | 65.0 | 56.9 | 246.1 |
46 | 高知県 | 77.2 | 47.7 | 62.7 | 53.6 | 241.2 |
47 | 沖縄県 | 74.4 | 45.6 | 58.2 | 50.3 | 228.5 |
2014 | <14支庁管内別正答率データ> | |||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | ||
全道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 | |
全国 | 79.6 | 51.0 | 67.4 | 59.7 | 257.7 |
根室管内と全国平均の差は4科目合計正答率で19.2、1科目では4.8ポイントです。4科目で5問正解数を増やせば全国平均を超えます。
*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29
#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
今度は元データの性質をチェックしてみたい。都道府県別・科目別データの「国語A」を例にとってデータ範囲をみてみると、最小値は鳥取県の4898人、最大値は東京都の74,366人である。神奈川県が65,352人で意外と大きいのに驚いた。北海道は41,769人、全国101.7万人の公立中学生が受験した。
都道府県別データの元となった都道府県別平均正答率は数千人から7万人までの平均正答率、47組でできている。正答率の幅は秋田県の84.4%(正答数27.0/32問)~沖縄県の74.4%(正答数23.8/32問)の間にある。最高と最低で平均正答率の差は10.0ポイント、平均正答数の差は3.2問/32問に過ぎない。分布が狭いから分散値が小さくなっていることは計算するまでもない。
これらのことから個人別データの分散を一つ一つ累計した個人別偏差値用の分散の方がずっと値が大きくなることは想像に難くない。
都道府県別偏差値は都道府県別・科目別平均正答率で基本統計量を計算すればいいから、都道府県別偏差値表は個人別偏差値と同じように考えてよい。しかし、最下位の沖縄が偏差値18.6だからといって、沖縄の中3生の大半の個人別偏差値が20以下だなんてことはなく、平均正答率で7~8ポイントの差にすぎないのである。
都道府県別・科目別標準偏差で沖縄の平均正答率の平均偏差を標準偏差Aを使って測定した結果が偏差値18.5ということで、それくらい沖縄の平均正答率は他の46都道府県から離れていると判断してよく、それ以上でも以下でもない。沖縄にも学力の高い生徒も低い生徒もいる、学力上位層が他の都道府県に比べて薄く、学力下位層が多いということは言いうるだろう。でもそれはそれで、データの分布図で具体的に確認すべきことなのだ。根室管内版の「~結果報告書」をクリックしてご覧いただけば、全国版での25%タイル値が根室管内でどれくらいあるのかはっきり明示してあり、標準偏差も二桁でまるめて出ている。
地域別偏差値を計算するための基本統計量は全国101.8万人の中3生をそれぞれの集計単位で集計し、平均値を集めて計算される。都道府県別偏差値は47都道府県に全国の中3生を区分して標準偏差を計算して算出される。
市町村別偏差値は全国の「市町村および特別区」ごとに平均正答率を計算して、そのデータを基礎データとして計算されるから、全国を1741区分することになる。
次の不等式から、14支庁管内別偏差値は③と⑤の間に位置していることがわかる。
---------------------------------------
①受験者数<②学校<③市町村<④14支庁<⑤都道府県
受験数:約101.8万人
参加中学校数:9742校 北海道621校
市町村数:市790、特別区23、町745、村183、合計1741市町村
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北海道は41,769人が受験しているがこれを14支庁管内に分割すると単純平均で2983人だから、都道府県データの標準偏差Aを利用してもその値に大きな差はないものと予想される。
北海道にある市の数は35だ、これを14支庁で割ると、1支庁管内当たり2市ということになる。これを全国規模で想定すると
790市÷2.5=316支庁
全国市町村数の1741よりは都道府県の47に幾分近い。
1741市町村<316支庁<47都道府県
根室管内偏差値29.0は全国をこうした数市町村を合併した支庁管内を想定して考えると、都道府県の分散値に近いと考えていいのだろう。
日高・後志・根室の3支庁管内の偏差値が30以下であるのは、全国レベルで見ると偏差値46.8の北海道で、最底辺グループなのだから学力下位2%以下という評価が妥当なのかもしれない。
しかし、正答数を見ると国語Aの平均正答数では沖縄と秋田県で32問中たったの3.2問しか違わないのである。偏差値で見ると大きな差があるが、テスト問題が少なくて分布の幅が狭いからそうなっているだけで、正解数では最下位と最上位にそんなに大きな差がないことがわかる。
適切な戦略を練って実施すれば短期間に簡単にひっくり返せる。
全国の平均正答率データと、全道の平均正答率データ、そして14支庁管内別の平均正答率データを並べておく。差はわずかだ。
こんなわずかの差を何年かかってもひっくり返せないのは信じがたい。民間企業では目標管理をするが、こんなわずかな差を改善できなければ管理職は無能と判断される。戦略も当然練り直しが命じられるが、市教委は毎年同じような教育政策を立案し、当たり障りのない結果報告書を提出するのみで、政策妥当性のチェックすらなされない。それを評価報告書で指摘した人(ある退職校長)がいるが、つい先ごろ根室市教委のホームページで確認したら今年の評価報告書からははその人の名前が消えていた。
2014 | <正答率データ> | ||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
根室市 | 78.0 | 45.9 | 62.8 | 55.8 | 242.5 | 60.6 | |
根室管内 | 76.7 | 45.0 | 61.8 | 55.0 | 238.5 | 59.6 | |
全道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 | 63.7 | |
全国 | 79.6 | 51.0 | 67.4 | 59.7 | 257.7 | 64.4 |
<14支庁管内別正答率データ> | |||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
全道A | 78.5 | 47.91 | 64.14 | 56.95 | 247.5 | 61.9 | |
全道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 | 63.7 | |
差 | 0.9 | 2.0 | 1.9 | 2.5 | 7.2 | 1.8 | |
全国 | 79.6 | 51.0 | 67.4 | 59.7 | 257.7 | 64.4 | |
2014 | <14支庁管内別正答率データ> | ||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
全道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 | 63.7 | |
全国 | 79.6 | 51.0 | 67.4 | 59.7 | 257.7 | 64.4 | |
石狩 | 80.3 | 51.9 | 67.5 | 61.7 | 261.4 | 65.4 | |
上川 | 80.2 | 51 | 67.1 | 60.7 | 259 | 64.8 | |
十勝 | 79 | 49.2 | 66.4 | 59.3 | 253.9 | 63.5 | |
留萌 | 79.5 | 49 | 65.2 | 58.6 | 252.3 | 63.1 | |
胆振 | 78.9 | 49 | 65 | 57 | 249.9 | 62.5 | |
釧路 | 79.5 | 47.9 | 65.7 | 56.4 | 249.5 | 62.4 | |
空知 | 78 | 47.1 | 64.7 | 57.9 | 247.7 | 61.9 | |
渡島 | 78.4 | 48 | 64.2 | 56.8 | 247.4 | 61.9 | |
オホーツク | 78.5 | 47.9 | 63.7 | 56.3 | 246.4 | 61.6 | |
檜山 | 79.1 | 47.4 | 62.9 | 56.2 | 245.6 | 61.4 | |
後志 | 77.1 | 46.3 | 63.1 | 55.3 | 241.8 | 60.5 | |
根室 | 76.7 | 45 | 61.8 | 55 | 238.5 | 59.6 | |
日高 | 75.6 | 45.5 | 61.5 | 53.7 | 236.3 | 59.1 | |
宗谷 | 78.2 | 45.5 | 59.1 | 52.4 | 235.2 | 58.8 | |
14支庁平均 | 78.5 | 47.9 | 64.1 | 57.0 | 247.5 | 61.9 |
*北海道教育委員会「全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gakuryoku.htm
根室管内版
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h26chosa/77_80_nemuro.pdf
根室管内版レーダーチャートを見ると、国語Bの「読み」「書き」が全国平均に比べて相当悪い。本を読む生徒が少ないだけでなく、書く能力が低いのはふだんの授業にも問題がありそうだ。中学生になったら、400字詰め原稿用紙で50枚くらいのものを書かせて見たらいい。学力の高い低いに関わらず、面白いと思ったら、400~1000字ぐらいに粗筋を書かせて、それにそっていろんなシーンを肉付けする形で書かせてみたらいい。3本も書けばすいぶんと文章がしっかりしてくる。
全国学力テストの根室管内版の結果報告書に載っているレーダチャートをみると、根室管内の中学生は全チェック項目の中で書く能力が全国平均値に比べて一番劣っている。書かないからだろう。書かせるような授業を工夫するとか、適切なきっかけを与えてやれば、子どもは書きたくなるものだ。それは学力の高低とは関係がない。
*#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29
#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
偏差値計算手順は簡単なので都道府県正答率データを利用して14支庁管内の偏差値を計算・公表しましたが、その解釈はそれほど簡単ではなさそうです。たとえば、根室管内偏差値29.0は根室管内の中3年生のほとんどが個人別偏差値30以下だということではありません。
北海道は公立中学校で偏差値が排斥されてきたのでその仕組みや解釈に不慣れであるようですから、この際、統計的に妥当性の高い偏差値の仕組みと限界を説明してみたいと思います。
書いているうちに私の理解も深くなるものと期待しています。
2回に分けてアップします。
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<データ取扱上の注意> 11月28日早朝追記
私が算出している偏差値は道コンのSSや進研模試の個人結果表にある個人別偏差値とは同列に扱えません。
都道府県別・科目別の正答率データ(47×4科目=188データ)から4種類の標準偏差を計算して、その基本統計量データと新聞が公表した14支庁管内の正答率データを用いて算出した偏差値です。
====================================== //ここから加筆部分
算式の説明からしましょう。数学記号を使えないので日本語で表示してみます。
①平均=(データの合計)÷(受験者数)
②偏差=(データの数値)-(平均値)
③分散={(偏差の2乗)の合計}÷(データ数)
③´分散=(階級値-平均値)^2 × (相対度数)の合計
④標準偏差=√分散
⑤偏差値={(データ)-平均}÷標準偏差×10+50
(1) 通常の偏差値計算は受験者全員の科目別データから①を計算します。
(2) その平均値を使って続けて②の計算をします。
(3) 次いで③の計算を行い、分散を計算します。(分散)^0.5が標準偏差です。分散の平方根が標準偏差といった方がわかりやすいでしょう。
(4) 標準偏差を使って⑤の算式で計算されるのが、進研模試や道コンの偏差値です。
■都道府県別元データは国立教育政策研究所ホームページにあり、ダウンロードできます。EXCELの使い方は高校生なら知っているでしょうから、興味のある人は自分で計算してみてください。
個人別偏差値を算出する場合には、全部の生徒のデータから分散を累計(∑(分散値))しなければならないのですが、今回の学力テストデータで私がやった方法は都道府県別偏差値を算定するためのものでして、これとは少し取り扱うデータが違います。都道府県ごとの平均正答率とその単純平均値を利用して「∑(分散)」や標準偏差を計算しています。
■ 個人別偏差値を計算して全国レベルで自分がどれくらいの位置にあるのか学力テストを受験した皆さんは知りたいでしょう?
とくに北海道のように高校生になるまで全国模試を受験する機会のない地域では小学6年生と中学3年生対象に実施されている全国学力テストが唯一のチャンスです。小6の段階でクラストップの生徒が全国レベルで平均値にも達しないことがわかったらその子は発奮するでしょうね。ところが現実は全国レベルでは平均程度の学力しかないのに、クラストップということで慢心して、努力を怠ってしまいます。そして高校1年生の6月に進研模試を受験して全国レベルでの自分の実力を思い知るのです。大学受験という観点からはほとんどの生徒が手遅れになります。文科省は罪が深い、基本統計量データを非公開とすることで僻地の小中学生が自分の全国レベルでの学力を知る権利を奪い、学力格差を拡大する片棒を担いでいるのですから。意図的にやっていることではないでしょうが、結果的にそうなっています。
根室の子どもたちは小学6年生の全国学力テストで自分の全国偏差値を知るべきです。
■ 都会と地方の学力格差は大きく、僻地の学力の現実は厳しいものがあります。これでは地域が衰退するのも学力から考えて当然です。地方の子どもたちは6年生のときに自分の全国レベルの学力を偏差値で知って、発奮してほしいと思います。大人は子どもたちにそうしたチャンスを与える努力をすべきです。
標準偏差がわかれば誰にでも⑤の算式で計算できるのですが、文科省のデータ非公開が障害になっています。①の平均値は公開資料に全国平均値が載っているので利用できますが、受験者個々の正答数は公開されていないので②以下は文科省のお役人以外は計算できません。
文科省は①②③④⑤のデータ(基本統計量)を公開すべきです。計算された基本統計量は個人データ(生データ)ではありませんのでプライバシーの問題はありません。全国学力テストは公費で行われているので、国民共有の財産であるから公開すべきだというのがebisuの主張です。
■ 私の興味は14支庁管内が全国でどのような学力位置にあるかということです。公開されたデータから同じ方法で偏差値を計算することはできないのかという眼でデータを眺めたら都道府県別偏差値計算のために必要にして充分なデータがありました。
都道府県別・科目別のデータがEXCELファイルで公開されているので、これを利用します。
47都道府県×4科目=188データ
このデータで都道府県別偏差値は妥当な方法とデータで計算できます。
■ ところが14支庁管内偏差値は、全国の行政組織がこのような区分になっていないので計算不可能です。そこで都道府県別・科目別データで算出された標準偏差を全道14支庁管内別標準偏差として代用してみます。もちろん14支庁管内で集計されたデータがベースではないので、影響を受ける部分があります。それがどこなのかがはっきりわかっていれば、データの限界を意識して、限界内で計算された偏差値を理解することができます。
■ 個人別偏差値計算に使うデータと都道府県別偏差値計算に使うデータは違いが大きい。個人別偏差値計算には受験者個々のデータが分散値の計算に用いられますが、都道府県別偏差値には、都道府県別平均正答率が用いられます。、都道府県別に集計したデータの平均値ですから、受験者個々のデータから集計した分散値よりも幅が狭くなります。だから、都道府県別偏差値で計算した標準偏差は個人別偏差値に流用できないのです。
■ しかし、都道府県別偏差値計算で算出された標準偏差を14支庁管内に流用することはOKです。どちらも集計値(平均値)がベースになるので、データの分布の幅が小さくなり、したがって分散値や標準偏差値が小さくなっているからです。
■ 平均値をみてみます。国語Aをサンプルに挙げます。
A:平均=(都道府県別ごとの平均正答率合計)÷47
①の算式で計算した全国平均正答率データは79.8で、Aの都道府県別データで計算した値は79.57ですから誤差は0.23です。真のデータに対しては誤差なしと判定してよいでしょう。
「分散」と「標準偏差」が影響を受けます。
②偏差=(データの数値)-(平均値)
この算式の(データの数値)に都道府県別の正答率平均値を使ってしまうために個人別偏差値計算のときの標準偏差よりも値が小さくなります。これは当たり前のことです。個人別偏差値計算には個人別の全データから算出した標準偏差を使いますが、都道府県別偏差値を算出する場合には、都道府県別集計データ(平均値)から標準偏差Aを計算しますその結果、③の分散も小さくなり、その平方根である標準偏差(仮に「A標準偏差」と呼びます)も小さくなりますが、都道府県単位での相対的な位置評価にはA標準偏差を利用する使って偏差値を計算するのは統計的には妥当性があります。都道府県単位での分散は全データで計算した③の分散よりも小さいからです。
■ ここまでではっきりしたことは、個々人の偏差値と、都道府県単位の偏差値は計算の仕組みが異なるということです。分散は全データで計算したものよりも地位単位の平均正答率を使うのでずっと小さいのですが、都道府県単位の偏差値として利用することは統計学的に正しいわけです。
言い方を換えると、個々のデータではなく、学校単位や市町村単位、全道14支庁単位、都道府県単位での偏差値は同じ区分でそれぞれの集計単位ごとに平均化されたデータ、つまり原データの平均値(メタ・データ)を用いて計算されるということです。
■ 市町村単位での偏差値計算には、市町村単位の平均正答率を使って標準偏差を算出し、それを⑥の算式に入れて偏差値を計算すべきですが、文科省は市町村別の平均正答率データを公開していません。それは各市町村教委の判断に任されています、ずるいですね。これでは国民は永久に自分の市町村の子どもたちの偏差値を知ることができません。偏差値を計算するためには全市町村ごとの平均正答率データが必要となりますが、各市町村教委に情報公開の判断を委ねたら市町村別の基本統計量は文科省以外には知る術がなくなってしまいます。
■ もうお気付きでしょうが、14支庁管内別の偏差値計算には全国を支庁管内に分割した単位での平均正答率データがなければなしえません。そういう行政区画の分割は道内以外には存在しませんから、これも暗礁に乗り上げてしまいます。文科省が公開したいと思ったとしてもそういう支庁割が全国的になされていないので不可能です。
■ そこで14支庁管内を偏差値で評価するために、都道府県単位で算出した標準偏差を代用した、それがebisuが採用して方法です。単位の大きさの関係は次のようになっています。右に行くに従って分散と標準偏差が小さくなります。問題はその程度なのですが、それは不明です。市町村データがあれば、それを使った偏差値を計算して、都道府県別データでの偏差値と比較してみたら、14支庁を挟み撃ちにできます、やってみたいですね。
受験者数<学校<市町村<14支庁<都道府県
受験数:約101.8万人
参加中学校数:9742校 北海道621校
市町村数:市790、特別区23、町745、村183、合計1741市町村
■個人別偏差値は全データから標準偏差を計算して偏差値を算出するが、学校単位や市町村単位や都道府県単位の偏差値はそれぞれを構成する集団単位の平均正答率を元にして標準偏差を算出し、偏差値を計算するのが正しい。個人別偏差値に集団を単位とした標準偏差を使うのは正しくないし、逆もまた正しくない。集団を単位とする偏差値はそれを構成する細分化された集団の平均正答率を用いて計算されのが当たり前です。平均値が標準偏差計算の元データとなるから、個人別データを元にした標準偏差よりもずっと小さくなります。だから、集団を単位とする標準偏差を個人別偏差値計算に流用してはいけないのです。ですが、特定の集団に細分化した単位での基本統計量を流用しても大きな差は生じないものと予想されます。平均値を出すことでどの単位で計算しても分散が小さくなるからです。
公開されているのは全国平均と都道府県別・科目別正答率のみ、この制限内で計算したのがご覧いただいている14支庁管内別偏差値です。
不等号で示された四つの単位は、どれも個々のデータを集計した平均値データです。メタ・データを扱うことでは変わりはない。
わたしは、これら四つの区分での学力テスト結果データの公表と各区分ごとに計算された基本統計量をEXCELファイルで公開してほしいと思います。
仕組みについてはだいたいのところはお分かりいただけたのではないかと思います。
■ FB上の掲示板ででいただいたご意見を一つだけ紹介しておきます。それは14支庁管内に偏差値30以下が3支庁あるのは正規分布の出現率を考えると偏差値計算にどこか問題があるのではないかという、至極当然の疑問でした。
わたしは日高・後志・根室管内の中3の子どもたちは全国レベルでは下位2%以下の学力地域なのだろうと考えています。北海道が偏差値46.8で全国33位、その中で日高・後志・根室の3支庁管内は最底辺の学力ですから、偏差値が30を割るほど学力が低いのだろうと判断しています。(⇒ここはebisuの判断)
ふだんの学力テストの結果からも根室市内の市街化地域3校の学力がこの数年間ほどかなり下がっているからです。そのことはふだんの学力テスト結果からもいえます。実際にこれら3支庁管内の正答率データは、都道府県別では46番目の高知県(偏差値32.6)よりも低くなっています。
全国の市町村別の標準偏差データが公表され、利用できれば偏差値は少し上がるでしょうが、下から2番目の高知県よりは下で、一番下の沖縄県との間に位置していることは事実です。
■全道平均正答率と14支庁管内単純平均正答率は次のようになっています。「全道A」の方が14支庁管内単純平均値です。札幌のウェイトが大きいので14支庁管内単純平均値の方が小さくなっています。このことは札幌市の公立中学校の参加が1/3ではなく全数になると14支庁管内正答率単純平均値を実際の北海道平均正答率が大幅に上回ることを意味します。
都道府県別では北海道の偏差値は46.8ですが、14支庁管内単純平均値の偏差値は42.2に下がります。札幌が全数参加するかしないかで、北海道の全国ランキングは大きく変動します。
<14支庁管内別正答率データ> | |||||||
国語A | 国語B | 数学A | 数学B | 合計 | 平均 | ||
全道A | 78.5 | 47.91 | 64.14 | 56.95 | 247.5 | 61.9 | |
全道 | 79.4 | 49.9 | 66.0 | 59.4 | 254.7 | 63.7 | |
差 | 0.9 | 2.0 | 1.9 | 2.5 | 7.2 | 1.8 | |
全国 | 79.6 | 51.0 | 67.4 | 59.7 | 257.7 | 64.4 |
======================================// ここまで加筆部分
本来なら、受験者全員のデータを使って計算すべきですが、文科省からデータが公表されていないのでやむをえず都道府県別・科目別集計データから基本統計量を計算しています。ですから個人別偏差値とは性格が違い、地域全体の相対的な評価を表すものです。その尺度は都道府県別・科目別の集計データを利用して作成された標準偏差や平均値をベースとして作られています。高校生なら進研模試で受験した「学校偏差値」(あれ、「校内偏差値」はあったけど「学校偏差値」はあったかな?)のようなものと考えてください。私の高校の平均偏差値は40で学力の低い高校だとか、学校の平均偏差値が60だから相対的に学力の高い高校なんだという風に。
いま手元にある「進研模試総合学力テスト個人成績表」を確認しましたが「学校偏差値」は出力されていません。
次いでですから脱線しちゃいましょう。学校ごとの偏差値を個人成績表のように算出できないかという疑問をもった人がいると思います。もちろんできます。そのときは学校別の正答率データの科目別平均値から標準偏差を計算します、偏差値の計算式はいつでも同じです。どこかに書いておいたのでここでは端折ります。
学校別偏差値に使う標準偏差を計算するときの作業手順を書いておきます。全国の中学生の正答率データを受験会場になっている学校識別コードで集計して人数で除して平均値を求めます。その学校別の科目別正答率平均値を基礎データにして標準偏差を計算して偏差値を算出すればいいのです。基データは一人一人の中学生のデータで、それを集計したデータから標準偏差を求めることになるので「メタ偏差値」と言い換えてもいいでしょう。全国の生徒が受験した「学校一つ一つの真の偏差値」が計算できます。その偏差値は全国の中学校の中で、それぞれの学校の相対的な学力テスト成績の位置を表すことになります。
同じ作業を全国の市町村識別コードでデータをソート(並び替え)をして、市町村識別コードごとに集計すれば全国の市町村の学力テスト成績格差が偏差値で表現されます。残念ながら、北海道の14支庁管内のような行政区域の分割は他の県にはありませんので全国データで14支庁管内のような単位で偏差値を算出することは今年度のデータに関しては実務上不可能です。市町村では可能ですから、文科省は市町村別の基本統計量を公開してもらいたい。そのデータで計測しても根室市の偏差値は33前後でしょうね。日高と後志は20代の偏差値が出るはずです。全国でも沖縄に次いで最底辺の学力の地域であることは間違いがなさそうです。ただデータの解釈は間違えないでいただきたい、その地域の中3生全部の学力が低いということではなく、高学力層が他に比べて極端に薄くなっていると同時に、基礎学力の問題のある成績下位層が異常に肥大化していることは間違いのないことだと考えます。
市町村別の基本統計量は学力の低い全国の地域の子ども達にとって学力向上の大きな武器になるだけでなく、国民が共有すべき重要な財産です。
次に問題となるのはたった47×4科目のデータ数で、全体の傾向を表しうるのかということです。充分な妥当性があると思っています。20~30だとサンプリングしたデータの「個性」に結果が左右されますが、ベースにしているのは全国の中3生のテストデータを都道府県別に集計したデータですから、妥当性は確保されていると考えていいでしょう。問題は集計データですから、分布の幅が小さくなることや正規分布から大きく外れる可能性が予想されます。前者の問題は避けられませんが、後者の問題は都道府県別の偏差値をご覧いただければおおよそ正規分布に近いであろうことがわかります。沖縄県の偏差値が18ですから、これだけが「外れ」です。「同じ母集団に属さないデータ」、つまり「異常値」と考えていいでしょう。ですが、日高・後志・根室管内は全国市町村レベルで最底辺2%に近いのかもしれません。
14支庁管内の偏差値の幅は26.5~54.0です。一番低い日高管内の偏差値26.5は正規分布では出現率が1%です。根室管内の偏差値29は1.8%の出現率に相当します。真偽のほどは全国市町村ごとの平均正答率をベースにした標準偏差を公開しない限り不明です。この種のデータは教育行政が独占すべきものではなく国民共有の財産だというのが私の意見です。文科省はこうした国民の権利を侵害しています。私たちは自らの権利を守るためにももっと強く学力テスト・データ公開を主張すべきです。
*参考資料「#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22
ここまで述べてきましたが、皆さんにも全国学力テストの改善点がはっきりと見えてきたのではないでしょうか?
○4科目92問では問題数が少なすぎ、狭い範囲にデータが集中してしまうので、問題数を2倍くらいに増やすべき
問題数が増えれば、今度は「読み・書き・計算」基本技能の処理速度の差も正答率に現れます。その結果、正答数の分布が広がって有意義なデータがとれます。文部科学省の決意次第でやれることですから、ぜひ改善検討をお願いしたい。
根室市の偏差値が33.7というのは、もちろん全員が低学力で小学校4年レベルの学力しかないということではありません。500点満点の文協学力テストで400点をを越える生徒が4~8%くらいいます。しかし、石狩管内のデータはありませんが、文協学力テストで400点超は20%前後はいるのではないかと思います。
読み・書き・計算については中3で小4レベルの生徒は根室管内では20%程度(中1では30~35%)いるようです。「読み・書き・そろばん(計算)」の基礎学力に問題を抱えている生徒は偏差値54の石狩管内に比べて比率で3倍くらではないかと考えています。
なんども弊ブログで根室市内の市街化地域の3中学校のふだんの学力テストの得点分布をとりあげていますが、この数年間、五科目500点満点で400点を超える学力上位層が1/3以下にやせ細り、200点以下の低学力層が肥大化していることに警鐘を鳴らしていますが、今年の学力テストの結果からは、そういう得点分布の異常さが根室管内に広がっており、その実態は根室市内よりももっとひどいということを表しています。今年度の中3年生だけが特別に学力が低かったのかそれとも根室管内全体の中学生の学力がこんなに低いのかは、来年度以降のデータをモニターしなくてはわからないことです。年度ごとのデータの比較ができるように、人口の多い札幌市は学力テストに全校が参加してもらいたいと思います。そうでなくては昨年の根室市教委のように、学力の高い札幌市の2/3が参加しないことで全道平均値が低くなっているのに、「全道との差が縮まった」と(実際には道内でも学力の地域格差が拡大しているのに)データの読み違いをしてのんきなコメントを出すところがでてきます。
加工したデータの話だけでは誤解の恐れがあるので、実際の正答数の差についても言及しておきます。
根室管内の中3の生徒たちが4科目合計92問中正解を7問増やせば、石狩管内に並びます。偏差値では54と29ですからその差は25もありますが、実際の正答数の差はそんなに大きくはないのです。
算出された偏差値は地域ごとの中学3年生の平均的な学力を相対的に表したものです。4科目それぞれ47データあるので母集団全体で計算した標準偏差とそんなに大きな差は出ないと考えます。
標準偏差の値が動いても、それによって表現される各地域の相対評価は動きません。理由は簡単です、地域ごとの平均正答率データは各地域の全データから集計・計算されたものだからです。
文科省は全データの基本統計量と市町村別の基本統計量を公表してほしいと思います。そうすれば地域の正答率データを市町村教委が公開しているところは高校生でも自分の住んでいる地域の真の偏差値を計算できます。隣の市町村とどの程度の差があるのかもわかります。
道教委が掲げている「全国平均を超える」という目標を達成するためにも、学校別・科目別のデータを公表すべきなのです。そうすれば各中学校は具体的な数値目標を立て、目標達成のための戦略を策定し、全国学力テスト結果データを見て、自分達の実践が効果があったのかどうかの判定ができます。目標を達成できなかったら、戦略を見直したらいい。どこの企業でもやっているPDCAサイクルがしっかり回ります。
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テストデータ分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テストデータ分析(3):14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2
#2888 H26全国学力テストデータ分析(4):前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2890 個人別偏差値と地域別偏差値論考(1) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-29-1
#2891 個人別偏差値と地域別偏差値論考(2) Nov. 30, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30
#2893 個人別偏差値と地域別偏差値論考(3) Dec. 1, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-01
#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1
#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1
#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2
#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18-1
#2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-20
*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13