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化学物質(2)シャンプーを疑う染色体学者 #870 Jan.19, 2010 [B9. 環境汚染物質]

 中高生はシャンプーを使ってはいけない。自分の使っているシャンプーの成分表示を見てほしい。さまざまな化学物質が添加されている。それは若者たちの遺伝子を傷害し、将来生むことになる子供の先天異常の原因となりうる。

 厚生省が子どもたちへ化学物質がどのような影響を及ぼすのか大規模で長期的な調査研究を開始するという新聞記事を前回紹介した。さまざまな先天異常や、精神病の原因物質になっている可能性が考えれれるからだ。

 88年か89年だったが、仕事でImage Recognition Systemsという会社の染色体画像解析装置を3台買ったことがある。ラボの染色体検査部門がニコンの子会社のN社と染色体画像解析装置の共同開発をしていたが、3000万円くらいかけたところで暗礁に乗り上げていた。1検体処理するのに2時間かかる。世界トップレベルの光学機器メーカーとその当時画像解析用コンピューターとしては最高速だったマジスキャンのミニコンを使って実用レベル(1時間に3検体以上)の処理速度を出せなかった。
 そのときはわたしは固定資産を管理していて、見込みがないので開発にストップをかけた。その後、検査機器の購入を担当することになり、ラボ管理部門の機器担当者から虎ノ門病院に25分で4検体処理できる画像解析装置があるという情報が入り、染色体課長とラボ管理部の機器担当者とテストサンプルをもって一緒に確認に行った。
 何か特別の条件のサンプルのみ高速処理できるのではないかというのが私たちの見方だった。それまでの開発経緯から世界最高性能の機器を組み合わせても出るはずのない性能だったからである。だからどういう条件なら高速処理できるのかが知りたかった。
 ところが、もって行った5サンプルを25分で処理できた。驚いた。仕組みがよくわからないので、メーカーを呼んで確認した。要点が二つあった。光学レンズではなくCCDカメラを使っていた。CCDをディテクターに使うことで、その後の画像処理速度がまるで違うのである。データ処理用のコンピュータはそのメーカーの技術屋が組み立てたオリジナル・ボードマシンだった。ほとんどタダのような自作コンピュータだ。スコットランド人の技術屋に質問したら、military computerと言った。装置全体はエジンバラ大学との共同開発だ。
 それまでは染色体の映った印画紙を切り貼りして報告書と作っていたから、仕上がりが同等でなければ使えない。大きい順にコンピュータ上で並び替えた染色体写真の解像度が印画紙に焼き付けたのとほぼ同品質だったので、プリンタメーカを確認したらレーザーテック社だった。世界中のプリンタを30ほど検討して、これがナンバーワンだと技術屋は豪語した。なるほどいい。いままではさみで切り貼りして作成していた報告書が一枚の写真になった。剥がれ落ちることはないから、いままでよりも品質がよくなった。おまけに画像データとしてハードディスクに保存できるから、将来、学術研究用データベースとしての利用の可能性が考えられた。染色体検査のシェアーは70%を超えていたから、数十年にわたって日本人の膨大な染色体情報が集積できる。この会社には日本人の染色体データがコンピュータ画像データとして20年分蓄積されていることになる。研究者にとっては宝の山だ。
 2台買う契約をして、1台をバックアップ用にタダで置くように交渉した。その代り、確実に販売できる客を1社紹介した。

 その後、この会社の副社長が表敬訪問に来るというので、キャリアーを聞いたら、染色体学者で分厚い染色体の研究書を書いているという紹介だった。せっかくきてもらうから、最新の染色体研究についてラボでセミナーを開催してもらうことにした。歌うような美しい英語で品がよかった。ドイツ語を聞いているような訛りの強いスコテッシュの技術屋とはクラスが違うなと感じた。

 そのセミナーが終わった後で話しをする機会があったので、この10年間ぐらい急速に増えている染色体異常による白血病や先天異常の原因物質を聞いてみた。なんと、シャンプーを強く疑っているというのである。
 シャンプーに含まれている界面活性剤が頭皮細胞のバリアーを外してしまい、シャンプーに含まれる化学物質が頭皮細胞に取り込まれ、遺伝子を傷害すると考えているようだった。放射性物質が体内に取り込まれると放射能を出し続けてやはり遺伝子を傷害する。似たような機序だろう。
 30年間染色体を見続けてきた学者が、この十数年染色体異常による白血病が顕著に増えている原因を問われ、そのひとつとしてシャンプーを強く疑っていると話したのである。

 化学物質を含まない「石鹸シャンプー」がある。太陽油脂が「パックスナチュロンシャンプー」という製品を出しているので、中高生はこういう製品を使ったほうがいい。

 遺伝子を傷つけると癌の原因にもなる。もちろん血液の癌である白血病の原因にもなりうる。癌抑制遺伝子がいくつかわかっているが、その遺伝子の一箇所でも傷害されたら、何らかのイニシエータによって生まれた癌細胞の増殖が止められなくなってしまう。
 いろいろな環境中の化学物質を体内に取り込むことで、癌細胞は毎日体内に生まれる。それが免疫機構や癌抑制遺伝子などで消されて癌にはならない。しかし、体内に取り込む化学物質が増えれば、追いつかなくなる。体内に取り込む化学物質は少ない方がいいに決まっている。しかし、水も空気も食物もさまざまな化学物質ですでに汚染されている。太平洋の真ん中で獲れた魚だってダイオキシン、PCB、水銀、カドミウムなどで汚染されている。食物連鎖を通じて魚の肝臓に高濃度に蓄積されている。
 化学メーカーがしのぎを削って農薬・薬品・化学材料・包装材料・など新製品を開発している。それらは最終的にはすべて環境中に排出されてしまう。
 地球規模での化学物質の汚染をどのように防ぐことができるのだろうか。このままでは、先天異常や癌患者がどんどん増加する。
 次回以降は、カネミ油症事件とPCBやダイオキシン類の遺伝的影響、ベンゼン環をもつ避妊用ピルなどの内分泌撹乱物質による環境汚染が引き起こす魚や人体への影響などを取り上げたい。

 先天異常児を生むリスクを小さくしたかったら、あるいは急性白血病のリスクを下げたかったら、中高生はさまざまな化学物質が添加されているシャンプーを使わないでほしい。確率的には低くても、染色体異常を引き起こす原因になるものは避けたほうが賢明だろう。
 高校生物Ⅰに免疫の話しや遺伝子の話しが出てくる。きちんと勉強して、興味のあるタイトルの新書版(専門書への入門の足がかりとなる)を何冊か読んでみるといい。その次あたりに、医学専門書を読めば30%くらいは理解できるだろう。一般人にはそれで十分だ。

 さて、結論である。
 化学物質の添加されている市販シャンプーで毎日シャンプーはしないほうがいいだろう。頻度を少なくするか、安い石鹸シャンプーに切り替えたほうがよい。

* クラブナビさんが、この手のシャンプーを商品にしているネズミ講があるとコメント欄に書いてくれた。くれぐれも引っ掛からないように注意願いたい。値段が市販シャンプーの2倍を超えていたら常識的には要注意だろう。太陽油脂の「ナチュロンシャンプー」は品質に一番厳しい生協である「生活クラブ」がもう20年以上も取り扱っている。この製品だけはお勧めできる。他のものについては判断材料を持ち合わせていないので、ご自分で判断されたい。
 昔から米国資本のA社がネズミ講類似商法で有名だが、東京地検特捜部が動いたことは一度もない。日本企業なら上場不可能だろうと、わたしはこの企業名を見るたびに不思議な思いにかられる。たぶんグレーゾーン商法だろうが、ぎりぎりセーフなのだろう。シロウトの私にはネズミ講との差がさっぱり理解できない。
 くれぐれも消費者の不安心理を煽って、法外な値段の製品を売りつける悪質商法には引っ掛からないようにしてほしい。(1月19日12時25分記す)


化学物質(1)子どもへの影響を危惧:環境省調査 #864 Jan.14, 2010 [B9. 環境汚染物質]

 染色体学者に寄れば、最近30年くらいの間に顕著に染色体異常による白血病が増えているという。20年ほど前にシャンプーに含まれる化学物質を疑っている米国の染色体学者と話したことがある。
 彼の見解に妥当性があるとしたら、中高生がいろんな種類の化学物質を含むシャンプーで毎日髪を洗うのは危険な行為ということになるだろう。シャンプーに含まれる化学物質が遺伝子を傷害することによって、将来生むことになる子どもへ影響が出る可能性がある。
 たとえば、ダウン症は21番トリソミーという染色体異常によって引き起こされる。通常は二つある21番染色体が3つになっている。脊椎2分裂症も染色体異常によるものがある。
 環境中に排出される化学物質は年々種類も量も増えている。何しろ化学メーカーや製薬メーカーが開発競争にしのぎを削っているから、毎年何千種類という自然環境に存在しなかった化学物質が開発され、商品として世界中にばら撒かれ、何らかの形で環境に排出されているのである。人体への影響も広汎にわたるのは想像に難くない。

 化学物質の人体への影響を環境省が調べるという。環境汚染物質の人体への影響について仕事を通じていくつかトピックスがあるので数回に分けて書いて見たい。
 

 化学物質 子供にどう影響
 環境省10万人追跡調査へ
 環境省は新年度から、化学物質が胎児期から小児期にかけての子供の心と体に与える影響を調査する。先天異常や小児喘息などの発症が増えているためで、道内をはじめとする全国の調査拠点で13年間にw足り10万人を追跡。子供の健康に影響を及ぼしている環境要因を解明する。

 環境省によると、尿道下裂やダウン症などの先天異常の発生頻度はこの25年間で2倍に、小児喘息の罹患率は20年間で3倍に増加。体内で化学物質に去らされたり、大気、食事、生活環境が子供の健康に影響を与えていると指摘されている。
 化学物質はダイオキシン類や水銀などの重金属、農薬などを測定。同省はこれらの化学物質と子供の疾患との因果関係を明らかにすることによって、今後の化学物質の規制や水質・土壌の環境基準、少子化対策に反映させる考えだ。
 調査は国立環境研究所(茨城県つくば市)が中心となって行う。調査拠点となるユニットセンターは道内を含め役15ヵ所に設置。市町村や地域の医療センターと連携して1センター当たり3年間で約6千人、計10万人の妊婦を登録する。
 調査きっ菅は出産前から子どもが12歳まで成長する13年間を想定。
 妊婦の検診字に血液と尿を採集して化学物質を測定し、出産時には出生時の臍帯血や父親の血液の採取する。さらに、生後6ヵ月から12歳までは血液に加え質問票調査と面接を行い、自閉症などの発達障害に化学物質がどのような影響を与えているかも調べる。新年度予算は31億円を計上、総事業費880億円を見込む。ユニットセンターは全国に幅広く公募し、2月に決定する。

                1月13日付け北海道新聞23面<第3社会>
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