#2837 すぐれた学力分析レポート Oct.13, 2014 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
低学力問題に関しては釧路と根室は兄弟のようなもの、共通する問題点をたくさん抱えている。
管内で見ると釧路管内の方が根室管内よりも悪い*が、釧路市と根室市を比べると根室の方がだいぶ悪い。これはふだんの学力テスト総合A・B・Cの結果から明らかだ。釧路にある十数個の中学校と根室の市街化地域の3校を比べると、根室の3校は釧路の最底辺校に位置している。
ただし、今年(H26)は少し様子が異なる。C中学校が著しい改善を見せているからだ。国語A・B、数学A・Bともに全国平均値にある。
ZAPPERさんの分析は生徒をよく知る者に可能な分析で、ユニーク。生徒や保護者、そして学校の先生たちも参考にしてもらいたい。記事中のチャートで右側が表示されていないものは、チャートをクリックすれば別画面に全面が展開される。
ブログ「情熱空間」より転載
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7568040.html
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2014年10月09日
ちょっとやったら、すごくやった気になる(釧路の場合)
と言いますが、どうやらこの地の子どもの勉強に関してはあてはまらないようです。まずはこちら、勉強が好きかどうかの質問です。釧路市の中3生は55.7%が、「数学の勉強が好き」と答えています。「平成24年度に全道・全国との差が4~5ポイントありましたが、全国平均並みに上昇しました」とご丁寧に自画自賛も忘れていませんが、全道との学力差は反対に開いています。(平成24年度数学A・数学Bはそれぞれ★、★★。それが平成25年度には★★、★★になっています。ちなみに平成26年度は★、★★です)
数学の勉強が好き。そう答える生徒が増えているのに、しかし差は広がっているということです。実に不思議な珍現象と、そうしたことでしょうか。
お次です。「授業が分かる」と答えた中3生の割合。全道どころか全国をも上回っています。すごいなぁ…。私が中学生だったら、そもそも授業は聞いちゃいなかった(笑)ので、確実に「分からない」を選択していたでしょう。そうそう、「勉強が好き」を選ぶこともあり得なかったでしょう。でもしかし…。
次は家庭学習時間です。全道平均を軽くクリアしています。中3生に関しては全国平均をもクリア。学習時間が増えたことは歓迎すべきですが、でもしかし、結果につながっていないのはなぜでしょうか?別項では「宿題をよく与えたか」との質問があり、その数値も跳ね上がっているわけですが、そこから判断するに、それって単に宿題の量を増やしたと、もしかしてそういうことなのでしょうか?
次、「家で計画を立てて勉強している」数字だけ見るとすごいですね。全道はおろか全国を軽く越えていますから。でもしかし…。そもそも、何のどういった状態を持って計画的と定義するべきか、そこがとても曖昧です。宿題の量が以前よりも増え、それを消化することをもって計画的と思っている子が多いのだろうと、私にはそう読めるのですが。
とどめはこれ。学習規律の徹底はイマイチだった。しかし、「授業中の私語が少なく、落ち着いている」と回答する学校は極めて多い!ええ、この部分は児童・生徒の回答ではなく、学校の回答です。あらあらあら、本当ですか、それって?うーん、納得できない。
私自身の想い出です。釧路の中学校に転校してきて思ったこと。やかましい!うるさい!もう、しっちゃかめっちゃか!校則も時間厳守も学習規律もあったものじゃない!それなのに先生が注意をしない!というものです。その点、今でも転勤族のお母さんから、同様のご意見をいただくことが多いです。「ウチの学校って、子ども達が落ち着いていないんです…」「でも、それを注意しないのですね…」とか。
「児童生徒に対して、学習規律の維持の徹底をよくした」という割合が低いのに、「児童生徒は、授業中の私語が少なく、落ち着いていると思う」と答える割合が多いって、つまりはこうしたことでしょうか。自画自賛。ちょっとやっただけで、すごくやった気になる。私語が少ない。私語の許容範囲の基準が甘い。落ち着いている。騒がしいの基準が甘い。それって釧路スタンダードなのか。うーん、申し訳ないけれど、そうとしか思えません。
実際、塾で授業(一斉授業)をやってみると分かりますが、我々が「騒がしい・落ち着きがない」と思っても生徒は「静かだ・集中している」と思っていたりするんですね。この点、転校生から聞き取り調査をしたなら一発で分かりますよ。他地域を知っている子に言わせたなら、騒がしくて落ち着きがないって、まず間違いなくそうなりますからね。
その他、「家庭学習の課題(宿題)を与えた学校の割合」といったものもありますが、それもまた高い数字が見られるんですね。でもしかし…。
以上を総括すると、こうしたことが言えるのではないでしょうか。まずは子ども達。「ちょっとやっただけで、すごくやったと思っている」「レベルを下げた授業に飼いならされてしまい(失礼!)、分かると思い込んでしまっている」そして学校の側もまた同様。自己評価が、すこぶる甘い。だって、数字を額面通りに読んだなら、全道平均はおろか、全国平均をもクリアしているはずですからね。
こうしたことを言うと、また敵を増やす(嫌われる。苦笑)のかも知れないけれど、重ねて言っちゃいますよ。だって、言われなきゃ、雁首揃えていつまで経っても気づかないんだからさ。もうそろそろ、本気で外部評価を導入しないと、いつまで経っても状況は、いや惨状は改善されないって思いますよ。なぜなら、設定した目標自体に意味がないんだもん。
がっちり勉強している子は、こう言います。
いや、ぜんぜん勉強していない。
今まで勉強したことがない子が、ほんのちょっとやったらこう言います。
すげー勉強した!
ちょっとやったら、すごくやった気になる。釧路の場合、子どもも学校も同じ。そうしたことですね。だから、数値目標には主観的なものを置いてはダメなんです。
●平成26年度 釧路市学校改善プラン
釧路市基礎学力検証改善委員会報告書
http://www.city.kushiro.lg.jp/common/000057201.pdf
《追記》
ここから先は社会保険労務士として。人事考課。給与の査定に使われるアレです。上司が部下を査定し、部下は自分を自己評価するというものが一般的ですが、その際、こうした傾向が強く認められるんです。
いわゆる、できる社員。多くは自己評価が上司の評価よりも辛い(ただし、性格の悪いヤツ、協調性に欠けるヤツ、我の強いヤツは高くなる傾向あり)んですね。対して、できない社員。ええ、お見込みの通り、自己評価がやたらに甘いんです。
それと同じ傾向が、後者の傾向が、我が釧路においては件のアンケート結果に色濃く出ている。そう解するべきだって、私は思いますね。自己評価は評価に非ず。常に他者評価こそが評価である。労務管理のプロとして、つくづくそう思いますので。
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*#2485 ⑩全道14支庁管内別・偏差値ランキング表(小・中対比) Nov. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
管内別偏差値ランキング表 | ||||
<中学校優先> | a | b | b-c | |
順位 | 管内名 | 小学校 | 中学校 | 差 |
2 | 石狩 | 43.9 | 52.2 | 8.3 |
10 | 十勝 | 36.1 | 49.5 | 13.4 |
3 | 上川 | 43.4 | 47.2 | 3.8 |
6 | 留萌 | 38.2 | 43.9 | 5.7 |
12 | 空知 | 33.4 | 43.6 | 10.2 |
13 | オホーツク | 27.6 | 42.5 | 14.9 |
1 | 檜山 | 46.2 | 42.3 | -3.9 |
4 | 渡島 | 39.1 | 41.6 | 2.5 |
7 | 根室 | 37.0 | 41.4 | 4.4 |
5 | 胆振 | 38.3 | 41.1 | 2.8 |
8 | 釧路 | 36.8 | 40.7 | 3.9 |
9 | 後志 | 36.4 | 37.4 | 1.0 |
14 | 日高 | 16.6 | 33.5 | 16.9 |
11 | 宗谷 | 33.5 | 33.4 | -0.1 |
#2704 釧路市学力検証改善委員会の仕事のレベル June 17, 2014 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
根室市にはこういう委員会すらない、低学力にたいする改善意識が低いといわざるを得ぬ。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7339865.html
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2014年06月17日
釧路市基礎学力検証改善委員会はここを見よ!(算数・数学)
主として「活用」に関する問題。
全国平均を上回ったのはゼロ。ってか、全道平均を上回ったのもゼロ。この時点で言えること。「活用」どころのお話じゃない。
主として「知識」に関する問題。
これまた、お話しにならない。「活用」の前段階の「知識」の時点でしっちゃかめっちゃかなわけだから、総崩れもあたりまえだのクラッカーってなわけですね。「基礎・基本」がダメダメだから、必然的に「応用」もまた壊滅ってわけですね。
これだけダメな理由。「課題が見られた問題例」で、もうもうお分かりですね。ってか、10年以上前からずっとずっとずーっと指摘し続けてきことですが、集計してやっとこさ見えてきましたかね?《指定された文章を、数式に置き換えること》我が釧路の子ども達は、それが、異常なまでに弱いってことなんですね。つまり、式を立てることからしてできないってことですね。また、比例・反比例の、そもそものグラフからしてムチャクチャに弱い。これもまた、あり得ませんね…。
関数が、異常なまでに弱い。
立式が、異常なまでにできない。
そういうことですよ。実際、中学数学の《花形》は「関数」と言えるでしょう。ところが釧路の場合、その「関数」がムチャクチャに弱いんですね。そしてその部分。我々に言わせたなら、こうなるんです。そんなもん、単にパターン演習で、20問とか30問とかやりゃ定着するべさ!
ところがしかし、現場にはその認識がないんですね。それを象徴するエピソードを。ある小学校管理職の方との会話。「そうですね、300題も解いて練習をすれば、ほとんどの子がほぼ完全(計算に関して)に定着するでしょうね…」という我々の見解を伝えたところ、その方は「えぇぇ!300題もですか!ウソ!」ってなリアクションでした。そのリアクションから察するに、多分、「30問もやらせたなら、定着する」とでも思っていたのでしょうね。リアクションを見て、こちらが驚いてしまいましたもん。
完全なる問題演習不足。
驚くほど足りないパターン演習。
そんなもん、学力なんか上がるわけもないでしょう。「やらせない」のに、それでいて「点数が取れない」などとは、そりゃあたりまえだろーが。でもって、中学生ができない上記の部分ですが、その前段階の小学生の時点で、すでにまったく同じ状況になっているわけなんですね。以下をご覧ください。
これまた、全国平均を上回ったのはゼロ。で、中学生のパターンと同じく、《指定された文章を、数式に置き換えること》が、やたらめったらに弱いことが見て取れます。そしてご覧ください。反対に、全国平均を上回ったのは、ほとんどが単なる計算問題です。
勘の良い方は、もうすでにお分かりでしょう。主として「知識」に関する問題の正答率。小学校では、全国の正答率を上回るがおよそ3分の1項目あったものが、中学校ではお話しにならないほどに下がってしまうわけですが、その理由はなぜか?
理由はこうですよ。
簡単なことばかりに時間を費やし、本来時間をかけるべき部分に関して、時間をかけずに大幅に端折っているということ。
釧路市基礎学力検証改善委員会の委員のみなさん。いいかい、データってのはそうやって読むものなんですよ。あなた方が「1」で良しとするところをね、我々は「5」とか「10」でやっと良しとするんだよ。その意味、分かるかな?
で、委員のみなさんに再び問題を提起するよ。あの馬鹿げた目標値とやら。あれを掲げたままで、学力向上を成し遂げられるって本当に本気で思っているのか?二律背反。世間ではそう言うんだよ。
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2014年06月17日
釧路市基礎学力検証改善委員会はここを見よ!(国語)
で、「知識」において正答率が全国よりも高いもの。漢字の「読み」と、語句の「選択」、それだけですね。そして、「活用」に関してボロボロなのが、「書くこと」「まとめること」「要旨を探すこと」「書き抜くこと」ですね。つまり、こうしたことになります。
要約する力が、極めて弱い。
それ以前に、文章の要旨を捉えられていない。
最近、受験用語としてよく使われるところの《要約力》。それがとても弱いということですね。文意を的確に捉え、その要旨をまとめるという力のことです。「(漢字を)読めるけれど、書けない」実はその部分についても、そこから導かれる仮説がありますね。
(文章の)「書き」を軽視しているのではないか?
ただ、ここの部分は小学校からの延長線上にありますので、中学校よりも小学校に原因を求めることができるものでしょうね。(小学校での学力の土台の上に中学校での学力が成り立っていて、特に国語はその傾向が強く、ならば中学校を責めるのは酷というものですから)
で、小学校のそれ。まったく同じ傾向にありますね。昨年の副委員長の報告書には、《国語は何を教えてよいか、そのポイントが分からない教科である》との意見が記されていましたが(苦笑)、現場の認識はまさにそういったものなのでしょう。
朝読書は今ではすっかり定着しているわけですが、しかしそれなのに、国語の学力がさっぱり上がってきませんね。それはなぜか?《要約する力》にフォーカスしていないからだと、私は考えています。受験において国語のキモ(現代文)は《要約する力》に他ならないものでしょう。そしてそれは、その後の実生活に直結するものであって、また、アウトプット(文章を読むこと自体は、単にインプット)を経て鍛えられる性質のものでしょう。
朝読書はさかん。しかし、読書感想文や夏冬休みの日記の類はもはや絶滅危惧種状態。日常的に、「書かせてまとめさせる作業」が驚くほど疎かになってしまっているわけなんですね。おまけに一方では、「漢字は家で覚えるもの」として、家庭学習においての暗記を半ば強要するかの体制が、いつの間にか出来上がってしまっています。
《要約力》を馬鹿にしちゃいけませんよ。実社会から逆算した場合、結局、学校教育に求められている国語力とは、そこに帰着するものでしょうから。ならば、何をすべきか?そう、答えは簡単ですよ。文章を書かせること。それに尽きるものでしょう。漢字の「読み」と「書き」はそのためのパーツ、枝葉に過ぎないもののはずです。
そしてもう一つ。国語の学力を上げなけりゃ、算数・数学の学力も上がってきませんよ。文章題において、そもそも設問自体を正しく捉えられないからですよ。単純で簡単な計算はまずまず。漢字の読みはまずまず。そんなところにフォーカスしていても、ダメなものはダメなんです。で、最終結論。
授業改善。
分かりやすい授業。
それはそれで結構でしょうけれど、あたりまえのことをあたりまえにやり、適正な量の問題演習をさせましょう。当然ながら、ちゃんと見てあげること。たったそれだけのことです。それの何がどう難しいのかな?そうそう、アウトプットを重視しなさいよってことね。いくらインプットを改善しようが、アウトプットが相変わらず疎かだから、だから結果が出ないってことに、もうそろそろ気づきましょうね。
《追記》
釧路市基礎学力検証改善委員会のみなさん。
そろそろ分かってきたでしょ?こうした分析こそが、学力向上に欠かせないんですよ。だから、《数値目標》などとして試験業者にオーダーを出す(結果をよいものに見せるための小細工)などという、変な小細工をしちゃいけないんですよ。分かったなら、今年からすぐに改めましょうね!
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#2531 (4) 根室管内版解説 : RC-5 & RC-10学習時間等 Dec. 17, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
北海道教育委員会が作成した全国学力調査資料の根室管内版に載っているレーダーチャートを二つとりあげる。RC-5は小学6年生でレーダチャートの5番目(8ページ)のもの、そしてRC-10は中学3年生で10番目(13ページ)に載っている。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf
【fact:レーダチャートに現れている特異点】
RC上で気になる部分だけみよう。
凡例: 小学6年生⇒中3年生
①学校の授業時間意外に普段1日当たり1時間以上勉強する
82.9%⇒71.6%
②学校が休みの日に2時間以上勉強する
74.2%⇒68.2%
③家で、学校の授業の予習をしている
122.4%⇒59.5%
④学習塾(家庭教師含む)に通っていない
125.4%⇒168.4%
⑤家で、学校の授業の復習をしている
192.4%⇒117.4%
⑥家で、テストで間違えた問題について勉強している
114.8%⇒186.6%
全国平均を100%として根室管内の各項目の割合を測度した数字が載っているから、元の計算値(割合)が不明となっている。だから小学校⇒中学校と推移を見ようとしても、全国平均比率に対する相対的な割合しかわからない。元の比率みられると、小学生が中学生になるとどのように変化しているかがよくわかる資料となる。
【各項目ごとの分析】
①をみると、1日当たりの勉強時間が1時間以上である生徒の割合が、小学生で全国平均の82.9%あるのに、中学生になるとなぜ71.6%に落ちるのだろう?
小学校よりも中学校のほうが教科の内容は格段に難しくなるのに、1時間以上勉強する生徒の割合が減少しているのである。
だが、実際生徒のどれくらいの割合が1時間以上勉強しているのかはこの表からはわからない。実際の割合を併記してもらえると利用範囲が広がるので、次回から是非改善をお願いしたい。
②は休日に2時間以上勉強する生徒の割合であるが、これも小学6年生が74.2%なのに、中学3年生になると68.2%に減少している。
実際の数値が減少しているのか、それとも全国平均値に対して減少しているだけなのかは重要なポイントであるが、元の割合が書いていないので判断ができない。
元データの割合が併記してあると便利だ。
③は予習している生徒の割合だが、これが一番落差が大きい。小学6年生では全国平均値を上回って122.4%もあるのに、中学3年生では59.5%と全国平均値の6割に激減する。中学になると各教科内容が難しくなることと、英語の授業が入ってくることを考えたら、これほど激減するのは解せない。これも実際の割合を併記してくれたらもっとはっきりしたことが言える。
中学生になると、教科内容が難しくなることや英語が追加されるから、家庭学習時間が増えて当然だが、全国平均値と比べてしまうと、実際の時間数が増えているのかどうかがわからなくなる。
だから、全国平均値と比べてしかものをいうことができない。
レーダチャートから言いうることは、全国平均に比べて普段の勉強時間も、休日の勉強時間も、予習する生徒の割合も、根室管内は落ちるということだ。これが学力に影響していることはいうまでもない。
これらの限定されたデータから言いうることは、健全な家庭学習習慣を破壊するなんらかの「装置」が中学校にあるということ。
(2002年の12月にふるさと根室にもどって私塾を開いて驚いたことに一つは、生徒達に予習の習慣のないことだった。中3年生で予習する習慣のある生徒は10%程度だろう。だから高校生になってから予習習慣を身につける生徒が大半である。これでは中学生になってむずかしくなる教科内容に対応できるはずがない。
東京の子ども達の25%は私立中学受験をするので、その生徒達は小学4年生から予習の習慣を育むことになる。中学受験は学校のスケジュールどおりにやっていたらとても間に合わないから、塾では予習中心で学習をする。もちろん、中学受験しない生徒でも予習習慣のある生徒は多い。根室管内の小学生の偏差値が37.0であるのは、そういう教育環境の差も影響している。もちろん全道的な問題でもある。)
④は通塾していない児童・生徒の割合(非通塾率)だが、全国平均に比べて小学6年生で1.2倍、中学3年生で1.7倍にもなる。根室管内は学習塾が少ないということと、保護者の教育への関心の薄さを表しているようにみえる。
学習塾の中に、習字や小学生の英語教室やそろばんなどの習い事も含まれているかもしれない。「学習塾」とはなっているが、生徒達の解釈にばらつきがあるだろう。首都圏では中学受験のために小学生の通塾率が高いのに、根室管内の小学生の非通塾率が全国平均より少しだけしか高くなっていないのはこうした事情があるのではないだろうか。根室の特徴は幼児英語熱が高いということ。都会は中学受験をするから、小学高学年の生徒が英語教室に通う割合は小さい。そんなことをしていたら成績のよい生徒でも有名私立中学には合格できないという現実がある。
さて、根室市内に限ってみると、学習塾はすくない。高校生まで教えている学習塾はわずか三つで、一つはブログで再来年廃業を宣言している。個人経営の学習塾がほとんどで、それも高齢化し十数年で現在ある個人経営塾のほとんどが消える。
法人経営はたった二つで、ひとつは幼稚園が私塾を経営している。学校法人は税金を免除され公的補助金が出ているから、営利事業である塾経営をやるのは法令違反になるのではないかと思うが不思議だ。他の地域で学校法人が塾経営をしているという例は聞いたことがない。法に抵触しないやり方でもあるのだろうか?普通に考えたらアウトだから、考え違いをしていないか心配だ。うっかりしていたなら法に抵触しないやり方に改めたらいい。私塾の数も種類も多いほうが生徒達にとっては選択肢が増えて望ましい。
法人経営のもう一つは(中学生も教えているが)小学生対象の英語教室だから「学習塾」の範疇に入るかどうか微妙だ。
(文科省の生徒質問票には「学習塾の定義」がないのでこういうことになる)
大手進学塾が進出してくるほどの生徒数(現在1学年250名前後、10年前は400名)はいないから、受け皿をなくして10年後の「非通塾率」はもっと増大しているだろう。現在2.8万人の人口が2040年には1.8万人に減少するから私塾経営は採算が合わなくなる。もっともこの数年はインターネットで配信される授業が激安になってきているから、そういうところを利用すればいいのだろう。
ただし、成績下位層はネットによる学習は無理だ。教える側の情熱と根気を必要とするからだ。学校で救えないのはそれが欠けているからでもある。継続した放課後補習などよほどの情熱と根気がなければできるものではない。
教育は生徒と先生のコミュニケーションが大切だ。わたしは30年後のふるさとを支えうる、正直で誠実、不屈の精神をもち、そして基礎学力のしっかりした人材を残すために35年ぶりにふるさとに戻り私塾を開いた。
私塾の原点は、吉田松陰の松下村塾にあるとわたしは思っている。授業技術もあるかも知れぬが、松蔭の松下村塾はそうしたところに焦点はなかっただろう。
⑤家で学校の復習をしている割合は、全国平均に対して小学6年生が1.9倍なのに、中学3年生は1.2倍に激減する。中学生になると、家庭で復習する時間も確保できないようなブカツを大半の生徒がやっていることを意味するのだろう。中学校のほうが強化がやさしくて、復習の必要がないというわけではないからだ。その結果、学力が落ちることになる。
⑥テストで間違えた問題について勉強しているかと聞いているが、小学6年生で全国平均の1.1倍から中3年生は1.9倍に激増している。こんなにテストの復習をしているのに、学力が上がらないのはなぜだろう?
成績上位の生徒は直すべき箇所が少ないが、成績下位の生徒達は直す箇所が多い。B中学校の学力テスト総合ABCの数学の平均点を見ると、
■ 学力テスト総合A 17.8点
■ 学力テスト総合B 17.7点
■ 学力テスト総合C 16.2点
それぞれ60点満点だから、平均点は30%に満たない。半数の生徒が問題の7割も直さなければならない。基礎計算能力さえ確かでない成績下位層の生徒が、文章題の多少複雑な問題をどうやって直せというのか?先生達は模範解答をコピーして生徒に渡すだけ、生徒はそれをみて写していく。みたってわからないからだ。学校ぐるみでそんなことをしているから、全国平均の1.9倍という数字が出るのだろう。実態は「やった振り」である、じつにみったくない仕事だ、きちんとフォローしてくれていたら、成績下位層の生徒達の点数が上がる、しかし上がっていない。仕事は正直に誠実にやるべきだ。
B中学校の3年生が例外だと思われても困るので、たまたま手元にあるので、C中学校2年生の11月7日の学力テスト「得点通知票」から数学のデータを拾ってみる。こちらは百点満点である。
■ 平均点 46.0点
■ 40点以下の生徒 40.4%(19人/47人)
同じC中学校の1年生の学力テストの数学のデータは、
■ 平均点 47.9点
■ 40点以下の生徒 42.2%(19人/45人)
40点以下の比率は2年生と同じようなものだ。学力テストの問題の難易度は高くない。
成績下位40%の生徒達に模範解答を渡しても、自力でトレースして理解できないだろう。やはり、放課後補習をして、丁寧に解説してあげるべきだ。それが本来の仕事であることに異を唱える教員はいないだろう。成績下位層の生徒達の学力向上のために、当たり前のことを当たり前に坦々とやるだけだから誰にだってできる。もちろん私塾のわたしも毎日のように成績下位の生徒に補習をやっているよ。
【まとめ】
①②③⑤は中学校での過度なブカツの影響が否めないだろう。④は受け皿の学習塾自体が少ないという教育僻地であることと、親の教育への関心の薄さを表す数字だろう。⑥は生徒に模範解答を写させているだけ、自分の生徒の学力を知っていながら、模範解答を渡すだけという教育への熱意のなさが現れていると言ったら言いすぎだろうか?得点30%以下の成績下位層が半数もいるのだが、先生達はこれらの生徒ときちんと向き合うべきだ。
普段のブカツを5時半まででやめて、晩御飯前に1時間家庭学習をするように、学校と家庭が協力して取り組めば、普段1時間以上勉強する生徒の割合を増やせるだろう。
そして休日のブカツを半日だけにして、土日いずれかは原則ブカツは休みとし、3時間以上の勉強を推奨すればいい。
これらに加えて、復習中心の学習から予習中心の学習への切り替えを中学生に強いるべきだ。先生たちがその大切さを具体的に生徒に説明してやればいい。
やるべきことをちゃんとやれば、全国学力テストで根室市内の生徒達が全国平均値を上回ることは案外簡単なのである。数値管理を入れずにピント外れなことばかり何年もやっているから埒があかない。
「仕事は正直に誠実に、渾身の力でやり遂げよう」
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
「小欲知足」
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*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14-1
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-13
#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-24#favorite
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#2503 (3) 根室管内版解説 : RC-4 生活習慣の調査 Nov. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
#2494 (2) 根室管内版解説 : RC-2, RC-3 <例証:データの限界> Nov. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
#2492 (1) 根室管内版解説 : RC-1と偏差値 難易度の高い問題を授業でやるべし Nov. 13, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-12
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#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-1
#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17
#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16-3
#2405 中学数学の先生たち、授業進度管理は大丈夫ですか? Sep. 12, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12-1
#2456 市町村別学テ情報公開解禁へ(読売新聞) Oct.21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-21
#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1
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#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
冷たい風が吹いている。道路は凍りついているからサイクリングはできない。
「根室市教委の仕事振り」はシリーズ3回目になってしまった、ひょんなことから書くことになり、気の進まぬままに「根室市教委の仕事振り」と題するブログを書いている。これも生まれ育ったふるさとのためにやらねばならない仕事の一つ。ebisuがこんなブログを書かなくてもすむように、小・中学校長と根室市教委はしっかり仕事をしてもらいたい。
根室市教委と根室市小中学校校長会が作成した「根室市確かな学力向上に関する取組方針」という報告書が、市教委のホームページに載っていた、ものはついでだからこれもとりあげよう。例によって民間企業と比較して、教育行政と学校長が世間常識からどれくらいかけ離れているのかが明らかになる。外部から言われないとわからないのだろう。
*http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ebe7710315e8ac149257aec000a715c/$FILE/25gakuryokukojo.pdf
全国学力テストの結果を受けて、市教委と小23年度の調査結果の分析により学校改善プランを見直し、〈充実〉に向けた新たな中学校の校長先生たちが何を考えているのかみてみたい。
【文書作成日付なし、アップ日付なし】
この資料の作成日付が入っていないこと、そしてホームページにアップした日付もないから、そもそも文書作成の基本を外している。
こういう基本がなっていない仕事は往々にしてそのナカミも同じことになる傾向がある。参加した校長先生はお一人も文書日付の入っていないことに異議を申し立てなかったとすると、ダメなのは市教委ばかりではないことになる。
こんな仕事の仕方で規模が小さい(市街化地域の中学校ですら生徒数260人以下)とはいえ学校の運営管理が適切にできるはずがない。授業の進捗管理一つとっても学校管理職(校長&教頭)による管理がなされておらず、教科書会社の標準スケジュールからは程遠いことを挙げておく。
本計画は3年計画とあるから、3年前に立てられたもののようだ。
【数値目標なき3年計画】
平成23年から25年までの3カ年計画となっている。民間会社でも社員数200人ぐらいの規模になると、5年の長期計画のほかに3年の実行計画をつくるところが多いだろう。年度予算は長期目標と3年の中期計画に基いて作られるというのがオーソドックスなやり方である。そして中期経営計画は毎年スクロールされる。
(わたしはそういう仕事を1979年から5年間やっていた)
作成された3カ年計画をみて数値目標が一つもない異常さに驚いた。市教委も校長先生たちも誰一人として数値管理の重要性を主張していない。数値目標のない中期経営計画を作成している会社など、日本中を探しても一つもないだろう。外部の意見を入れないとこういう非常識なことになる。教育行政も現場で学校経営を預っている校長先生たちも、まったく数値管理に関心がないようだ。これでどうやって学力を上げられるのだろう? 学力テストの学校別結果情報を使えば、数値管理を導入できる、あたりまえの3カ年計画を策定するために、根室市教委は学校別・科目別情報を公表すべきだ。これがあればPDCAサイクルが検証可能な数値でなされる。文科省の調査によれば都道府県知事の44%、保護者の45%が学校別情報公開に賛成している。(#2456)
真ん中の平成24年度の計画を引用してみよう。
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(2)2年次の取り組み(24年度) 〈充実〉
学校、家庭・保護者、教育委員会の取り組みを行う。
【現状】
平成23年度<意識>の取り組みについては、学校、教育委員会の取り組みが、概ね順調に進められたが、成果として現れていないことを真摯に受け止め来年度に繋げる必要がある。とりわけ、家庭・保護者への啓発についての取り組みが求められる。平成23年度の調査結果では、小学校、中学校ともに、国語、算数・数学の両教科で全道平均を下回っている。
また、小規模校では、その年度により高低の差はあるが、市街地の3小・中学校よりは、概ね高い傾向にある。
【今後の対応】
小学校においては、各学校の結果の分析により、対応策を検討し24年度の学校経営方針に具体的な取り組みを位置づけることが必要である。中学校においては、基礎・基本の徹底が必要であるが、尐人数や習熟度別指導の取り組みを着実に進める必要がある。
このようなことから、平成24年度は、きめ細かい学校の取り組みはもちろんであるが、家庭や社会教育での取り組みについても明らかにし、市全体として学力向上の総合的な取り組みを進めるものとする。
【学校】
各学校の学校改善プランに基づき日常の教育活動を検証し、確かな学力向上のための重点を学校経営方針に位置づけ、実情に応じて次の取り組みを行う。
・読書活動(朝読書等)、補習(朝学習、長期休業中の学習)の推進
・全学校での公開授業の実施(含フリー参観)
・「生活リズムチェックシート」等をとおした家庭・保護者への生活習
慣の啓発
・道徳教育の充実 等
【家庭・保護者】
家庭・保護者に対して次の取り組みについて理解を図る。
・学習習慣の定着
・「生活リズムチェックシート」等を活用した生活習慣の改善
・「ねむろわんぱくチャレンジ」への積極的な参加 等
【教育委員会】
教育委員会は、確かな学力向上のため、学校教育、社会教育行政の両面から地域全体で子どもを育てる環境づくりのため、次の施策を推進する。
学校教育では
・学校経営方針についてのヒアリングの実施(4月当初)
・学力向上補助教員の配置
・学習サポート教室開催事業の実施(釧教大との共催)
・巡回指導教員の配置
・特別支援教育支援員の配置
・小中一貫教育の推進
・いじめ、不登校の適切な対応
・ふるさと学習、北方領土学習の推進
・外国語活動の充実
・小学校社会科副読本の作成 等
社会教育では
・根室市子ども読書活動推進計画の策定
・ねむろわんぱくチャレンジの実施
・放課後こどもプランの推進
・PTAへの学力向上についての啓発 等
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平成24年度このような抽象的な項目を羅列し、数値目標が一つもない異常な3カ年計画を作成して平成25年度の全国学力テストの結果はどうなったのか、都道府県別データを使用して算出した根室管内の小学校の偏差値は37.0、中学校は41.4だった。全国模試を受験したことのある方は、偏差値37とか41の示す意味がおわかりだろう。偏差値37は成績下位10.7%、偏差値41.4は下位19.5%を意味している。
偏差値の計算過程と基にしたデータは下記の弊ブログで開示してある。
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■ 【計算過程の開示】
#2476 (都道府県別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1
#2478 (管内別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-07-1
■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
#2485 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
■ 【全道14支庁管内別・科目別・偏差値表】
#2484 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-4
#2480 前半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08
#2481 後半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-1
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「~取組方針」は学校が取り組むべき課題を箇条書きにしている。要約して書くとたった4項目。
①朝読書
②フリー参観
③道教委提供の「生活リズムチェックシート」を使って生活習慣の改善
④道徳教育
これら4項目のうち基礎学力向上に資するのは③の項目だけで、これは家庭がやる項目であって、学校側の仕事ではない。健全な家庭学習習慣を育むために学校側がやるべきことは、長時間ブカツの制限であるが、それにはなんにも言及がない。現場の管理者である校長先生たちが参加していながら、普段一体何を見ているのか?
手抜き仕事の典型である「朝読書」が「読み・書き・そろばん」の読みの能力アップに効果のないことは前回(#2528)で書いたから再説しない。
弊ブログで今年の1月下旬にA中学校の数学授業の進捗管理をとりあげたら、炎上騒ぎが起きたが、進捗管理は未だになされていない様子。あの件は市教委に逐一報告がなされただろうから、現場の授業進捗管理の問題を知らないはずがない。1月末になっても3年の全範囲を終えられない。その結果2月は「すっとばし」や「積み残し」が常態になっている。
授業の進捗管理は学力向上のための重要な必要条件の一つだろう。なぜ、学校がやるべき課題に入れないのだろう?文協学力テストの試験範囲を標準にしてスケジュールを組んでいる節があり、それでは受験に間に合わないし、複合問題をやる時間の余裕がない。授業の進捗管理の不在が学力低下に一役買っているのである。
足元を見ない抽象論ばかりでおまけに数値管理項目が一つもない、こういう無策では児童・生徒の基礎学力が上がるはずがないし、事実そうなっている。3年間計画をそのままにしないで、なぜ数字に表れた結果で効果をチェックして、臨機応変に3カ年計画の見直しをしないのだろう?
【市街化地域の学校よりも郡部校のほうが学力が高い】
「3年次の取り組み(25年度)」の中で、次のような指摘がある。
「また、市街地の3小中学校より、小規模校の学力が高い傾向があり、この結果から、尐人数での指導の必要性が明らかであり今後一層きめ細かい指導が求められる。」
一体どういう感覚をしているのだろう?郡部の中学校は校は多いところでも一学年二十数人規模(歯舞)であり、他は1人から十人前後である。市街化地域の3中学校で1学年3クラスのところは二つくらいしかない。すでにほとんどが20人台の少人数学級編成である。
この報告書を作成した関係者は何が言いたいのだろう?市街化地域の3校でも30人学級はすでに実現している。10人学級にしろとでも言うのだろうか?
現実を見ていないとしか言いようがない。校長先生たちが加わっても、このような空理空論になるのが不思議だ。根室市内には小学校9校、中学校7校、学力テストを受けた小6は244名、中3は253名しかいないのだから、各学校のクラス人数資料ぐらいみながら議論されたらいかが?そうすればこのようなピント外れの議論にはならない。
【平成25年度計画】
教員の指導力向上が「学校」と「教育委員会」の課題としてはじめて挙げられている。
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【学校】
各学校の学校改善プランに基づき日常の教育活動を検証し、確かな学
力向上のための重点項目を学校経営方針に位置付け推進する。
また、学ぶ態度を育成するため、学習や集団行動の仕方を、小中一貫
した活動となるよう定着させる。
さらに、実情に応じて、次の取り組みを行う。
・校内研修の充実と指導力の向上
・小中一貫の教育活動を目指した取組みの実施
・根室版「チャレンジテスト」の活用
・「子どもの読書活動推進計画」に基づく読書活動の充実
・朝学習、放課後学習や長期休業中の補習の実施
・市内統一した市販の学力調査の実施による学力の把握と改善
・積極的な公開授業の実施(含フリー参観)
・「人権教室」「租税教室」の実施
・「生活リズムチェックシート」等を活用した生活習慣の改善
・道徳教育の充実 等
【家庭・保護者、地域】
家庭、保護者に対し次の取り組みについて理解を図るとともに、地域
の方々の積極的な子どもたちとの関わりを強める。
・学習習慣の定着
・「生活リズムチェックシート」等を活用したしつけなど生活習慣の
改善
・「ねむろわんぱくチャレンジ」への積極的な参加
・学校教育活動への積極的な支援 等
【教育委員会】
教育委員会は、確かな学力向上のため、学校教育、社会教育行政が
連携して地域全体で子どもを育てる環境づくりのため、次の施策を推
進する。
学校教育では、
・教職員の適切な配置
・教職員の指導力の向上
・学力向上の取り組みについてのヒアリングの実施(学期毎)
・学力向上補助教員配置の小学校への拡充
・根室版「チャレンジ問題集」の作成
・学習サポート教室、放課後クラブの開催(ボランティアの活用)
・巡回指導教員の配置
・「根室市個別の教育支援計画」策定に向けた検討
・特別支援教育支援員の配置
・小中一貫教育の推進
・いじめ、不登校の適切な対応
・社会科副読本の作成 等
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学校の課題のトップに「校内研修の充実と指導力の向上」が挙げられているが、校内研修そのものに問題はないのだろうか?「指導力の向上」も大事だが、その基礎となっている教員の学力は大丈夫なのか?フリー参観6回の感想は、本欄左側にあるカテゴリー「フリー授業参観」にまとめて載っているので興味のある人は当該カテゴリーをクリックしてお読みいただきたい。わたしは授業スキルよりも、それを支えている専門知識や学力にも問題があるような気がしている。先生たちは年間どれくらいの本を読んでいるのだろう。その中で教えている科目に関係する専門書はどれくらいあるのだろう?10冊読んでいる先生が何人いるか、市教委はアンケートをとり、公表してもらいたい。市議会文教厚生常任委員会がやってもいい。
以上、3回にわたって市教委が作成した資料のクリテークをしてみた。県警者は異論反論があればコメント欄に投稿されよ。もちろん匿名で構わない。事実関係で間違いがあれば訂正するし、なにより立場の違うもの同士が議論をすることが大事だ。そういう点、ブログは便利がよい。
*#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14-1
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16-3
#2405 中学数学の先生たち、授業進度管理は大丈夫ですか? Sep. 12, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12-1
#2456 市町村別学テ情報公開解禁へ(読売新聞) Oct.21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-21
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#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
平成25年度の全国学力テストの結果を踏まえて、根室市教委は標記の結果報告書を作成している。
根室市教委が作成したのはわずか7ページの数字の羅列の報告書であり、北海道教育委員会が公表した「根室管内版」に比べてかなり後退したものになっている。なにが大きく違うのかというと、児童・生徒たちの低学力をなんとかしたいという熱意だろう。地域格差を縮めるには何がどうなっているのかを把握しなければならないから、事実がわかりやすくなっていることが大事だ。「管内版」はレーダチャートを作成して、表をチャートに変換してわかりやすい。
【具体的な論点5つ】
結果報告書から3点だけ抜粋引用、他に2点、合計5点をとりあげてみたい。
《児童・生徒質問紙からの考察》にこういう記述があった。
(1) 「国語や算数・数学が好きな割合に比べて、平均正答率が低いことは、指導方法や学習方法に何らかの課題が考えられるため、今後、改善に向けた取り組みが必要である」(5頁)
好きであろうとなかろうと、平均正答率が低ければ、指導方法や学習方法に問題があることはあたりまえだ。
算数・数学に関して言えば、中学1年生で分数の加減算や小数の乗除算があやふやな生徒が4割近くいるのに、学校として放課後補習体制を組むとか、小学校でやらせる問題量を増やすとかいうような具体策がないのはどうしたわけだろう?まさか中学生に基礎計算問題集『カルク』を配ってこと足れりというわけではないだろう。成績下位層は一時期は手間をかけて丁寧に教えてやらないと分数や小数の計算をマスターできない。根室西高校で新入生に分数や小数の四則演算から教えなおしているのを知らないとは言わせない、いつまで放置しておくつもりだ。この数年は根室高校生の中にも基礎計算能力に疑問符がつく生徒が入学している。
こんな問題は小学校と中学校で、学校あげて取り組めば簡単に解決できる問題だが、市教委はどうしてこういう手間のかかることを学校に要求できないのか、理解に苦しむ。毅然と放課後補習を指示すべきだ。
成績上位層は大学へ進学してほとんどがふるさと根室へ戻ってこないから、町の未来を担うのは成績中位層と下位層である。基礎学力問題をほうっておいて町の未来があろうはずがない、市議会文教厚生委員会でもとりあげてもらいたい。こういう問題こそ「オール根室」で取り組むべきだろう。
(2) データをクールに読んでもらいたい、小学校の算数も平均正答率が低いが、中学校になってさらに下がっていく傾向があるのは過度なブカツの影響が考えられる。しかし、そうしたことへの言及がまったくない。
6時半までブカツをしたら、ほとんどの生徒が家庭学習時間をとれないことくらい生活時間を分析したらすぐにわかることだ。過度なブカツを制限する具体策をなぜださない?ことなかれでは学力向上ができるはずがない。軋轢を起こしても学力向上を成し遂げる意志をはっきりだせ。
「算数・数学の基礎知識を測定する算数・数学Aでは、全道と比較して小学校はやや低く、中学校は低い。また、全国と比較して小・中学校とも低い」
「算数・数学の基礎知識を測定する算数・数学Bでは、全道と比較して小学校はやや低く、中学校は著しく低い。また、全国と比較して小学校で相当低く、中学校は著しく低い」(1頁)
これは教育行政としてのあるべき姿でなない。教育行政は教育に資してこそ意味があるが、単にデータを並べて見せただけで、当事者としての視点が欠けている。なぜこうなるかはハッキリしているのだから、残されているのは適切な具体策(ブカツ制限と放課後補習体制)を実施するだけだろう。
青字で引用した問題点は二つともいま始まった問題ではあるまいに、根室の子ども達の学力を上げるという熱意がまったく感じられない。仕事をやる気があるのだろうか?
(3) 「放課後を利用した補完的な学習サポートを実施した学校は、小学校では8割強で実施、中学校では全校で実施・・・」(5頁)
「中学校では全校で実施」となっているが、定期テスト前の1週間でもやったことになるが、そのようなやりかたで何年やっても基礎計算能力に疑問符がつく成績下位層は放置されたままになっている。市街化地域の中学校はたったの3校しかないから、簡単にヒアリングもできるし実地調査も可能だから、「補完的な学習サポート」の実態をきちんと調査してから報告書を書け。やった振りだけあるいは仕事のやる気のなさがこういうコメントに如実に現れている。
基礎計算能力に欠ける成績下位層は市街化地域の各学校に3~4割もいる。成績下位層の生徒はブカツを休ませ、週2回・2ヶ月間くらい放課後補習を継続しないと底上げできない。そんなことは現場の数学担当の先生たちは充分わかっている。小学校の算数授業に問題のあることももちろん中学校の数学担当の先生たちは知っている。なのに、ほとんどの先生が放課後補習を継続して目の前の生徒達が基礎計算能力を強化しようとしないのは、学校がブカツを週に2日×8週ほど制限して成績下位層の生徒や保護者に放課後補習体制を宣言しないからだ。どんなに抵抗があってもやるべきことを毅然とやれ。根室高校出身の教員もいるはず、「敢為和協」は校訓だ。生徒達の基礎学力を上げるために言うべきことをはっきり言い、やるべきことを敢然と為せ。
(4) ページ数は示さないが、学校で実施している朝読書は読書力の強化にまったく役に立たないことはすでに結論が出ている。これは手抜き仕事だ。
ニムオロ塾では小中学生に良質なテキストを選んで音読トレーニングを実施しているが、児童・生徒の日本語語彙力不足には目を覆いたくなる。読めない漢字の量が8年前の生徒たちに比べると格段に増えている。「てにおは」の読み違え、そして「先読み」できない生徒の割合も、気味が悪いほど増えつつある。日本語語彙力の低下は学力全般に及ぶから、一番重視しなければいけない部分だが、そこから壊れてきているというのがふるさとに戻って10年間教え続けてきた実感である。
10年続けた音読トレーニング経験を踏まえた上で、断言するが、「朝読書」は読書力の強化にまったく効果はない。先生がついて、良質のテクストを選び音読トレーニングすべきだ。児童書から大人の本の読書への切り替えがうまくいっていない。適切な読書指導が学校でなされていないからだ。
教育行政は、出版業界に小4でも読めるくらいのルビを振った書籍の出版を増やすように意見表明すべきだろう。「読み、書き、そろばん」、一番大事なのは「読み」である。
(5) 家庭学習習慣のない生徒が多いことにも言及があるが、これも教育行政にできることがある。小学校1年生に入学時に、保護者対象に家庭学習習慣の育て方についての講習会を継続してやればいい。1年間、フォローしたらいい。最初が肝心で、1年生で躾けたら、あとは心配ない。小学校を卒業するまで家庭学習習慣をつけなかったら、それは「家庭で学習しない習慣」を6年間賭けて育てたことになる。これは厄介だ。「一種の生活習慣病」に罹ってしまったと考えるべきだ。中学3年間で治らぬ生徒が半数以上だろう。ブカツに異常に熱心な保護者達が自分の子ども達の健全な家庭学習習慣の芽を摘んでいる。教育行政は警鐘を鳴らすべきだ。
【管内版との相違】
大まかにみると根室市教委は管内版から数値を拾って並べただけであるが、根室市の情報開示をしている部分もある。異なっているのは以下の4点。
①前回調査データとの比較をしていること
②アンケートと平均正答率の関係を分析している(4頁中段から5頁8行目まで)
③根室市内の学校の先生の年齢構成表が示されていること
④根室市内の学校のデータ(学校別ではない)が7頁目に示されていること
もっと工夫がありそうなもので、前年対比をするならレーダーチャートでやるくらいの手間はかけてもらいたい。いままでの分すべてをレーダチャートにプロットすれば、変化の様子がよくわかる。もちろん学力テストの結果だけでなく学習状況調査データもレーダチャートでプロットするくらいのことはやれるだろう。
釧路市教委作成の結果報告書も並べておこう。こちらのほうが根室市教委よりもずっと具体的でグラフも入っており、見た目がきれいだ。道教委の統一フォーマットのそれぞれの管内版を基にしていながら、視点も作成技術にも大きな相違がある。生徒の学力も問題だが、根室市教委の面々の仕事の能力やスキルは釧路よりも格段に落ちる。生徒達の学力が低いということは、その20年後30年後の姿である根室の大人たちの基礎学力や仕事の能力が著しく劣るという結果を引き起こさずにはおかないだろう。なんと30年も40年も前から問題は起きていたとしか考えられない。
三つの資料を眺めて、その作り手の基礎学力や仕事のスキルの差の大きさに愕然としてしまう。根室市教委さん、ebisuのところへおいで、来年はもっとまともなものを創ろうじゃないか。余計なことは何にも考えなくていい、ふるさと根室の子どもたちと、町の未来を込めた分析と提案資料を一緒に創ろう。
そういうわけで三つともURLを書いておく、クリックして見比べたらいい。
根室市教委作成「全国学力・学習状況調査の結果報告」全7頁
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ebe7710315e8ac149257aec000a715c/$FILE/H25gakuryokutesutokekka.pdf
北海道教育委員会作成「根室管内版」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf
釧路市教委作成「全国学力・学習状況調査(結果)」全22頁
http://www.city.kushiro.lg.jp/common/000050797.pdf
【結論&仕事の評価】
手抜き仕事はじつに恥ずかしい、似たような資料を作ってもこんなに差が出る。知識と技術の差が明確に出てしまった。それだけではない、資料を比較すると基礎学力向上への熱意にも大きな差を感じる。
みんなが見ている、仕事は正直に誠実に、渾身の力でやろう。
(蛇足:三つの資料に偏差値をつけてみよう。
道教委作成資料 60
釧路市教委作成資料50
根室市教委作成資料37
もちろんデータの統計学的な根拠はない、お遊び。)
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*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
*#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-13
#2503 (3) 根室管内版解説 : RC-4 生活習慣の調査 Nov. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-24#favorite
#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-1
#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17
#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16-3
■ 【全国47都道府県別・偏差値ランキング表】
#2482 (小学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-2
#2476 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1
#2483 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-3
■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
#2485 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
■ 【全道14支庁管内別・科目別・偏差値表】
#2484 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-4
#2480 前半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08
#2481 後半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-1
■ 【計算過程の開示】
#2476 (都道府県別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1
#2478 (管内別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-07-1
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*#2486 ⑪卑怯な論:北海道新聞社説「管内別に何の意味が」 Nov. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09-1
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#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
最新のものは「平成23年度9月版」のようだ、市教委のホームページにアップされているのでそれを俎上に載せよう。他にもアップされている資料があるので、順次とりあげることになる。
①:もう12月だから平成24年度版がアップされてもいいだろう。どうしてアップされていないのか。
②:それから、文書をアップしたらその日付を入れるべきだ。仕事の基本であるが、こういう基本をおろそかにするものはしばしばその仕事内容にひどく杜撰になるという一般的な傾向がある。この「~評価報告書」がどうであるかは、読めばわかる。
③:わたしは根室管内の学力がこれだけ低い
(#2485「⑩全道14支庁管内別・偏差値ランキング表(小・中対比)」参照、
小学6年生の偏差値37.0
中学3年生の偏差値41.4 )
のだから、平成23年度時点で何か具体的な施策が打たれているとおもって全頁にざっと眼を通してみたが、基礎学力向上策と思われる項目は一つだけ。
「施策:生きる力を育てる生徒指導」
7ページにあるのでクリックしてご覧戴きたい。
「平成23年度 教育に関する事務の管理及び執行状況の点検及び評価報告書」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/3dbb59ad0b6b3ca549257b93001c9015/$FILE/23hyouka.pdf
④:「23年度の主な事業内容等」が一覧表になって載っているが、どういうわけかコピーができない。利用者の便を考えてコピーができるように改善してもらいたい。
(作成した書類をスキャナーで読み込んだのだろうか?オリジナルをアップしてほしい)
⑤:このなかで基礎学力向上に関係するのは一項目のみである。それは市街化地域の3中学校への「臨時教員の加配」である。
これは「国の教職定員の加配を受け」とあるから、文科省の施策だろう、根室市のものではない。根室市独自で平成23年度に学力向上策は一つもないということだ。驚いた仕事だ、根室市教委は全国学力テストで根室管内の子ども達の学力が全国最低レベルだと知りながら、「国の教員加配」を受けただけで一つも具体策を考えなかったということ。
⑥:もう一つ書いておく。数学教員の加配だが、フリー参観授業を見た限りでは、技倆は「補助教員」であり、単独での授業は無理がある。基礎学力を上げるためには、授業技倆の高い教員の配置が必要だが、現実はそういうことになっていない。単独で授業を持たせている中学校もあるが、無理がある。
この評価報告書をまとめるために協力した学識経験者の名前が3名挙がっている。
一人は退職校長会根室支部から郡部校の元校長。
一人は根室市社会教育委員長・根室市スポーツ推進審議会委員
一人はPTA連合会会長
⑦:基礎学力向上への取り組みが一つもないことに気がつかなかったのか、そういう問題意識がなかったのか、評価報告書には根室市の独自の取り組みが一つも語られていないことにこれら三人の「学識経験者」は異議をさしはさまなかった。
こうした事実から言えることは、こういう元校長とか根室市の教育行政関係者とかPTA連合会長では基礎学力向上の役には立たないのではないかということ。
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学識経験者:専門領域の学問で評価を受け、豊富な経験と高い見識をもつと社会的に認められる人。・・・『大辞林』より
この次から、どういう学問領域で評価を受け、どのような分野で豊富な経験と見識をお持ちなのか、簡単に紹介の文を載せたらいい。
--------------------------------------
もっと学識のある「学識経験者」を10名ほど投入したらどうか。根室市教委の教育政策を批判する者を入れて激論すべきだ、そうしなければ適正な評価報告書にはならない。ふるさとの町の子ども達の基礎学力と町の未来がかかっている、議論を怖れるな。
基礎学力向上という観点からチェックする限り、根室市教委の評価報告書は杜撰の一語に尽きるといったら言い過ぎだろうか?
仕事は正直に誠実に、渾身の力でやろう。
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*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14-1
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-13
#2503 (3) 根室管内版解説 : RC-4 生活習慣の調査 Nov. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-24#favorite
#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-1
#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17
#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-16-3
■ 【全国47都道府県別・偏差値ランキング表】
#2482 (小学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-2
#2476 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1
#2483 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-3
■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】
#2485 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
■ 【全道14支庁管内別・科目別・偏差値表】
#2484 (小・中対比)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-4
#2480 前半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08
#2481 後半 (中学校)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-1
■ 【計算過程の開示】
#2476 (都道府県別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1
#2478 (管内別基本統計量)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-07-1
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*#2486 ⑪卑怯な論:北海道新聞社説「管内別に何の意味が」 Nov. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09-1
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#2503 (3) 根室管内版解説 : RC-4 生活習慣の調査 Nov. 19, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
レーダチャートをクリックしてみていただきたい。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf
時計回りに、図でへこんだところと、出っ張りの大きいところをとりあげコメントしてみたい。数字は全国平均を100としたときの割合を表している。
①朝食を食べる割合は全国平均値とほぼ同じ99.5
②③毎日同じくらいに寝て起きる児童の割合は全国平均よりも少し多くそれぞれ、112.9、105.8となっている。とくに問題はないだろう。
④6時以降7時までに起きる割合も106でほぼ全国平均値である。
⑤9時以降11時までに寝る児童は100
⑥睡眠時間:7時間以上9時間未満⇒83.8
これは少し問題がありそうだ。寝る時間は全国平均値でも健全な睡眠時間をとれている児童数がすくない。つまり、寝る時刻の遅い児童の中に夜更かし型の者が多いということになる。生活習慣の崩れた児童の割合が全国平均よりも多いということは、家庭のシツケに問題があるということだ。
⑦1日のテレビ視聴時間が1時間未満の児童:117.3
テレビの視聴時間が1時間未満の児童割合が多いのはテレビを見ないで夢中になる物があるからかもしれぬ。たとえば、ゲーム。
⑧1日のテレビ視聴時間2時間未満の児童:106.4
⑨1日のゲームをする時間1時間未満:80.0
これは、1時間以上ゲーム*をしている児童割合が全国平均よりもかなり多いことを表している。
⑩1日のゲームをする時間2時間未満:89.7
これも1日に2時間以上ゲーム*をする児童の割合が全国平均値よりも多いことを表している。
< 結論 >
根室管内の小学6年生の生活習慣を俯瞰して言えることは、ゲームに熱中する時間が多く睡眠不足をきたしている児童が全国平均よりもだいぶ多いということ。ゲーム機の保有率やソフトの保有数が多いということだろう。
生徒との会話からは、親がゲームに夢中になっている家庭割合も多いように感じる。
睡眠不足は成長期にある身体にとって悪影響があるし、学習にも影響が出る。「眠い」と睡眠不足を訴える子どもの割合が少なくない。もちろん、7時間の睡眠時間をとっていても、「眠い」と訴える児童はいるが、寝不足している児童の割合が高いのだろう。
< 対策 >
家庭でのシツケの問題がかなり鮮明に出ている。過度にゲームに依存している子どもにはゲームの利用時間を制限すべきということ。その際に、親がゲームに夢中になって夜更かしいていたらお話にならない。自分の生活習慣も含めて子どもの生活習慣のシツケをしっかりすべきということだろう。
< レーダチャートで充分 >
こうしてみると、「生活習慣」に関する質問事項は、全国を100として比率で表して、何も不都合がないように思える。科目別や細目別学力データは偏差値表示が必須だが、それ以外は北海道教育委員会が製作してくれたレーダチャートで充分である。
* < 「ゲーム」に関する設問について > (11/19午前10時半追記)
成績下位層には最近の「ゲーム」は高機能化していて取り扱えないという指摘があった(コメント欄参照)。こういう指摘はありがたい。
他の選択肢がないので、「ゲーム」のなかにケイタイやパソコンでのネット利用が含まれているのではないかというのである。わたしはゲームソフトを利用しないので、ゲームについての事情に不案内であるから、こういう指摘はたいへんありがたい。ゲーム利用についてあらためて生徒へ確認したみたい。
こういう選択肢ではツイッターやラインの利用の項目がないので、「ゲーム」に含まれる可能性が大きいので、設問に「ゲーム」の定義を加えるとか、ケイタイやパソコンという選択肢を追加する必要がありそうだ。ひょっとしたら、この質問項目はわたしと同様に、ゲームソフトを利用しない人が考えたのかもしれない。ゲームにはまっている生徒が成績下位層であるという短絡もまた慎むべきだろう。成績上位層でかなりな時間をゲームに費やす者たちがいるからだ。
わたしは将棋やビリヤードは好きだが、どうもエレクトロニクスを利用したゲームの類を積極的にやる気になれない。なぜだろう?個人の嗜好だけの問題でもなさそうだ。読書時間などと絡めると面白いタイプ分けができるのかもしれない。
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*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
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#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
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#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
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#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
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#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013
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#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
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#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
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#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
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#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012
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#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
前半、ゆっくりしすぎて、後半をうんと飛ばしてやる、後半部の内容が薄いわけではないから、当然スピードアップし過ぎた後半部の理解がうんと落ちてしまう。翌年の学力テストに影響が出ないわけがない。
数学は1学年も2学年も3学年も後半部のほうが格段に難しいことは先生たちはご存知だ。何が起きるかというと、全部をやらないと手をつけられない複合問題演習を授業でやれないということになる。一年間の復習ができない、その上むずかしい複合問題を解かないで終わる。これでは健全な脳の発達が阻害されてしまう。基本問題のみでは脳に負荷がかからない、適度な負荷をかけてやることで、脳が刺激を受けて発達する。脳は筋肉に似たところがあるから、適度に負荷を加えて鍛えてやることで発達を促すことができる。
数学の授業進捗度の問題については、9月学力テスト総合Aをやったところでその遅れを指摘しているので、今回は英語の授業進捗管理がどういうことになっているのか、具体例で説明しようと思う。
それゆえ、どの中学校なのかは言及しない。ある中学校とだけ申し上げておく。文教学力テストのスケジュールにあわせていれば、どの学校も似たようなことになる。
本来、教科書会社が設定している標準スケジュール表にしたがえば、こんな遅れは生じない。
学校管理者が授業の進捗管理をやらないことがどうかしている、これは管理職の本来業務に含まれている、それがかれらの仕事だ。民間企業の管理職が部下の仕事の進捗管理をしないなどということはおよそ考えられないことである。それは業務放棄に等しいから、ラインの管理職として不適格の烙印を押され、すぐに外されるが、教育行政ではそうではないらしい。一般社会と「常識」がひどくずれている。
学校管理職は学校行事の管理者となっているのでは?授業の進捗管理は本来業務である、プロなら職務に忠実に仕事をしてあたりまえ。
< 1年生英語授業の具体例 >
ある中学校の1年生は今週プログラム7-2(72頁)をやっていた。
月ごとの、授業週数を
< 1年生 > | ||||
月 | 週数 | 累計 | ||
4 | 3 | 3 | ||
5 | 3 | 6 | ||
6 | 4 | 10 | ||
7 | 3 | 13 | ||
8 | 1 | 14 | ||
9 | 4 | 18 | ||
10 | 4 | 22 | ||
11 | 4 | 26 | 74.3 | |
12 | 3 | 29 | ||
1 | 2 | 31 | ||
2 | 4 | 35 | ||
35 | ||||
① | 24/35= | 68.57 | % | |
② | 71/137= | 51.82 | % | |
③ | 137*0.6857= | 94 | ||
④ | 71/24*35= | 104 | 頁 |
①は11月半ばまでの累計授業週数を、2月末までの年間授業週数で割った値である。言い換えると、すでに年間授業週数の68.6%を消化してしまっているということ。
②は11月半ばの時点で実際の授業で消化した71頁(Program 7-2)までがやるべき教科書全体の51.8%にしかならないことを示している。
③は11月半ばの時点で実際に到達していなければならない頁数が94であることを示している。
単純比例の値と比べると、授業はすでに、
94-71=23頁
これだけ遅れているということだ。
では、現在の速度で授業をし続けたらどうなるかというのが、④の数字だ。2月末の時点で104頁である。教科書の総ページ数は、付録のストーリを含めると137ページあるから、
137-104=33頁
これだけやれないことになる。学力テストに授業の進捗をあわせるとこんなとんでもないことになっている。
< 2年生英語授業の具体例 >
2年生の英語は次のようになっている。
< 2年生 > | ||||
月 | 週数 | 累計 | ||
4 | 3 | 3 | ||
5 | 3 | 6 | ||
6 | 4 | 10 | ||
7 | 3 | 13 | ||
8 | 1 | 14 | ||
9 | 4 | 18 | ||
10 | 4 | 22 | ||
11 | 4 | 26 | 74.3 | |
12 | 3 | 29 | ||
1 | 2 | 31 | ||
2 | 4 | 35 | ||
35 | ||||
① | 24/35= | 68.6 | % | |
② | 67/129= | 51.9 | % | |
③ | 129*0.6857= | 88 | ||
④ | 67/24*35= | 98 | 頁 |
こちらもようやくプログラム7-2(67頁)をやっている。
表の見方は1年生と同じだ。総ページ数は129頁ある。このままの「巡航速度」ではやり残しが計算上「129-98=31頁」となる。
一年間分を終わって、復習するつもりなどなさそうである。低学力層が30~40%もいるのに、総復習もしない授業、低学力に対する問題意識がほとんどないのではないか?
学力テストの結果に明らかだ。11月7日に行われた学力テストでは、1年生で400点を超えた生徒はたった三人、2年生でも一人のみである。英語で91点以上の生徒は1年生が7人、2年生はゼロである。1年生は問題が簡単だったといっていた(平均点67.3)、その通りだろう。2年生の平均点は56.7点、今年の道立高校入試の英語問題は例年になくひどく簡単だったから、文協学力テストは難易度を下げているのではないか?こんなレベルの低い問題にならされたら、道内全域でさらに一段と学力低下が起きることが懸念される。
この中学校で10年前には400点を超える生徒は20人(20%弱)に近い数字ではなかっただろうか?
多い学校でも400点(5科目500点満点)を越えた生徒は数人だろう。学年でゼロのこともある。
低学力層が膨らんで、高学力層が激減しているというのが、根室市内の中学校のこの10年間の変化である。
B中学校3年生の6年前の8月に実施した学力テストの写しが出てきたが、平均点が165点(3年生は5科目300点満点)だった。今年の学力総合AとBのこの学校の平均点は110点前後である。もう1校は105点前後。どちらも釧路市の最底辺の中学校と同レベルの平均点である。市街化地域の3校の学力格差はほとんどなくなってきている。3校仲良くレベルダウンして、学力格差が消失してしまった。
根室の中学校ではこの10年間にすさまじい学力低下が進行中といえるのではないだろうか?
低学力問題は地域経済の未来にも大きな暗雲を投げかけている。根室市議会文教厚生常任委員会は学力問題をどのようにとりあげるのだろう?
*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15
#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14-1
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
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#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
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#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
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#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
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#2405 中学数学の先生たち、授業進度管理は大丈夫ですか? Sep. 12, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-12-1
#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1
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#2494 (2) 根室管内版解説 : RC-2, RC-3 <例証:データの限界> Nov. 14, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf
RC-2(the 2nd radar chart)には、①根室管内版、②北海道全体、③秋田県の数値が全国平均値を100としてプロットされている。レーダチャートをコピーできないので、数値を表に戻してみた。「情熱空間」は釧路管内版のRCをコピーして貼り付けているから、何か方法(あるいはツール)があるのだろう。
<小学校> | RC-2 | |||
[ ]内は都道府県データに基く根室管内の偏差値 | (全国:100) | |||
根室管内 | 北海道 | 秋田県 | ||
国語A | 話すこと・聞くこと | 104.6 | 104.6 | 131.5 |
[37.8] | 書くこと | 92.3 | 94.5 | 120.8 |
読むこと | 101.8 | 100.7 | 119.3 | |
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 | 95.5 | 96.6 | 113.7 | |
国語B | 話すこと・聞くこと | 95.5 | 95.7 | 112.2 |
[48.0] | 書くこと | 87.2 | 92.2 | 122.4 |
読むこと | 88.9 | 93.7 | 122.1 | |
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 | 88.6 | 95.5 | 116.9 | |
算数A | 数と計算 | 95.3 | 97.0 | 107.7 |
[33.8] | 量と測定 | 98.1 | 95.9 | 107.6 |
図形 | 92.8 | 97.1 | 110.6 | |
数量関係 | 97.6 | 98.0 | 104.1 | |
算数B | 数と計算 | 84.1 | 90.1 | 127.7 |
[28.3] | 量と測定 | 87.9 | 91.6 | 113.9 |
図形 | 96.2 | 97.5 | 104.3 | |
数量関係 | 87.1 | 91.3 | 117.1 | |
16項目平均 | 93.3 | 95.8 | 115.7 | |
偏差値 | 37.0 | 36.4 | ||
<中学校> | RC-3 | |||
(全国:100) | ||||
根室管内 | 北海道 | 秋田県 | ||
国語A | 話すこと・聞くこと | 97.9 | 100.4 | 105.8 |
[41.6] | 書くこと | 91.6 | 98.8 | 113.5 |
読むこと | 96.1 | 99.1 | 106.0 | |
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 | 97.9 | 99.5 | 107.0 | |
国語B | 書くこと | 92.3 | 98.2 | 114.4 |
[45.3] | 読むこと | 92.0 | 97.9 | 110.0 |
伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 | 94.1 | 99.7 | 115.5 | |
数学A | 数と式 | 96.7 | 96.7 | 107.8 |
[38.0] | 図形 | 92.9 | 98.1 | 108.5 |
関数 | 96.1 | 99.0 | 108.0 | |
資料の活用 | 90.4 | 99.4 | 109.6 | |
数学B | 数と式 | 79.1 | 90.4 | 113.9 |
[40.8] | 図形 | 98.0 | 98.7 | 108.3 |
関数 | 87.3 | 94.8 | 113.0 | |
資料の活用 | 88.2 | 96.0 | 121.6 | |
15項目平均 | 86.9 | 91.7 | 103.9 | |
偏差値 | 41.4 | 45.1 |
<第一の限界>
全国平均値を基準として根室管内、北海道、秋田県が百分率で表されている。いままでの表との違いは、たとえば「国語A」が違った分類がなされていることである。この分類では都道府県別データのデータの公表がないので、科目単位(4科目)でまとめてみるしかしかたがない。ここが第一番目の限界である。
(各都道府県教委が公表しているデータを検索して計算すればやれるのかもしれないが、わたしの手に余る)
根室管内のデータが全国データの90%未満のものを緑色で表示した。小学校では6項目で国語Bが3項目そして算数Bが2項目であるのに対して、中学校では数学Bの3項目のみ。中学校では改善されているようにみえている。全国偏差値でみても、小学校37.0⇒中学校41.4だから、全国的な位置はしっかり上がっている。中学受験のない地域は小学生の学力が相対的に低いのではないだろうか。したがって、小学生の内に勉強に目覚める生徒が少ないが、中学生になると高校入試を意識して家庭学習に力が入るというような事情が背景にあるようだ。
<第二の限界:例証>
まず全体を概観してみたい。小学校のRC-2にある比率16項目の単純平均値は93.3であり、RC-3の中学校の15項目の単純平均値の86.9よりも高いが、偏差値で見ると逆になっている。小学校が37で中学校の41.4よりもかなり低い。
このことから、科目別比率では全国的な位置がどれほどであるのかについての判断ができないことがわかる。
全体はそうだが、では科目別に見たらどうなのか?
小学校のデータを科目別に根室管内の比率を集計して単純平均値を算出し、偏差値と並べて見ると、次のようになっている。
(RC-2)
全国100 偏差値
国語A 98.6% 37.8
国語B 90.1% 48.0
算数A 96.0% 33.8
算数B 88.8% 28.3
93.3% 37.0
全国平均を100とした比率で、国語Aはマイナス1.4%、国語Bマイナス9.9よりもずっとよいのに、偏差値では逆になっている。根室管内で問題のあるのは、国語B よりも国語Aの方である。
ここでも全国平均値で根室管内データを除した比率で判断すると、データを読み間違えることになる。
データの分布を考慮しない絶対値による比率データではこのように判断を誤るケースがしばしばあることがわかる。
同様にして、国語Aの中の項目である「書くこと 87.2%」と「読むこと 88.9%」はどちらのほうがより問題が深刻なのだろう?データの散らばりが不明だから、まったくわからないということになる。見かけ上の百分比では、全国平均値よりいいのか悪いのかしか判断できないことがお分かりいただけただろう、じつにもったいない。
全国平均値に対する比ではなくて、標準偏差をゲージに使えば、細目間でどれがほんとうに問題なのかが誰の目にも明らかになる。計算はいたって簡単である。
小学校の都道府県別・科目別標準偏差値表を参考に供したい。国語Aと国語Bでは標準偏差に2倍の開きがあるから、このような現象が起きうるのである。
小学校 | |||
設問数 | 正答数平均値 | 標準偏差 | |
国語A | 18 | 11.4 | 0.506617 |
国語B | 10 | 4.9 | 0.253559 |
算数A | 19 | 14.7 | 0.353756 |
算数B | 13 | 7.6 | 0.355673 |
<初歩的な統計学的解説>
データの分布の状態、つまり「ばらつき」統計学用語では「分散」やその正の平方根である「標準偏差」で測度しないと、項目相互の比較ができない。
これは統計学では初歩的な知識に属する。その初歩的な知識だけをもって、ebisuはこれらのレーダチャートからは根室管内が全国平均値よりもどのくらい上か下かしか判断できない、科目相互の比較はできないと断言できる。
そしてまた次のようにも言うことができる。組み替えられた細目で示されたデータに関する標準偏差が提供されれば、ずいぶんと有益な情報が取り出せると。宝の山の前に佇みながら、足が動かぬような心持がしている。
「管内版」には何枚ものRCが描かれており、重要な情報を読み手に与えてくれるかに見えるが、初等統計学的にはきわめて問題の多いチャートになっているといわざるをえぬ。
ebisuは1978年9月に産業用エレクトロニクス輸入商社に中途入社して、73年に変動相場制になってから会社の業績が為替相場の影響を受けて赤字と黒字を繰り返し財務安定性と収益性が著しく損なわれていたので、科学技術用プログラマブル計算機HP67とHP97を使って、経営改革のためのシステムを作るために経営分析をしていた。その折に、5つのディメンションで合計25項目のゲージをもつレーダーチャートを開発・作成していたが、各項目のゲージには作成したモデルの基礎データを線形回帰分析して得たデータから標準偏差を利用していた。だから、北海道教育委員会のRCのような問題は回避できていた。パソコンがまだオモチャの領域だった35年も前のことである。
ebisuは提供されたRCから有用な情報を読み取りたいのだが、手が届かないもどかしさを感じている。
小学校と同じように中学校のほうも百分比と偏差値を並べてみよう。
(RC-3)
全国100 偏差値
国語A 95.9% 41.6
国語B 92.8% 45.3
数学A 94.0% 38.0
数学B 88.2% 40.8
86.9% 41.4
国語Aと国語Bとの間に、比率と偏差値の逆転現象がある。数学AとBとの間にも同様に逆転現象が見られる。
全国平均値よりは低いとはいいうるが、さらに内訳項目に分け入ってコメントすることができない。「分散」や標準偏差データがないから判断できないのである。
*参考データ
中学校・都道府県別標準偏差 | ||
国語A | 0.5850354006 | |
国語B | 0.2007617317 | |
数学A | 0.9499695696 | |
数学B | 0.4964257073 |
RC-3でも、やはり問題が発生している科目相互には標準偏差に大きな開きがあることが確認できる。国語Aの標準偏差は国語Bの2.9倍あり、数学Bの標準偏差は数学Aの1.9倍あるから、細目別の標準偏差がないと全国レベルでの位置がわからない。データの標準偏差を公表してくれたら、ずいぶんと有益な情報となるだろう。すくなくとも、初等統計学的な問題はクリアできる。
<文科省と北海道教育委員会へのお願い>
政治的な配慮から無理なことは重々承知しているが、それでも文科省と北海道教育委員会へお願いがある。全国の児童・生徒と保護者のために、そしてこの国の未来のために、各データの基本統計量を公開してもらいたい。
基本統計量とは、
■ データ数
■ 合計値
■ 平均値
■ データの範囲
■ 中央値
■ 分散
■ 標準偏差
以上の5項目である。
<よしなしこと>
50歳前後の人たちは、中学3年生のときに統計を習っているから、意味がおわかりだろう。45歳以下の人たちは中学校で習っていないから、こうした初歩的な統計学の基礎知識がないかもしれない。
高校「数C」には出てくるが高校生の80%は履修していないだろう。大学の教養課程で統計学を学んだ人には常識の範囲に属する。中学校で標準偏差と大学受験で広く使われている偏差値の概念とEXCELでの計算方法についてくらいは学習指導要領に入れていい。40年前には中学校の学習指導要領に入っていたのだから。
(RC-2とRC-3については、その利用に二つの限界があること、そしてそれが極めて重大であることを初等統計学的に指摘しうるが、ほかのレーダチャートについては大きな問題がないように感じている。生活習慣のように、学力の全国順位に間接的に影響する項目は全国平均値を基準値とした比率データで不都合はなく、そのまま利用できる。各々のレーダチャートを取り上げたところでその有用性と利用の仕方について私見を述べたい。人物評価と同じで、欠点も長所もあるから、誤解のないように物をいうのはむずかしい。読んだ皆さんが、独断と偏見があると判断したら、コメント欄でその旨ご指摘いただければ幸いである。)
小欲知足、けっして浮利を追い求めてはならぬ
仕事は正直に誠実に、そして渾身の力でやるに限る
*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
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#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14-1
#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14
#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
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#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
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#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
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#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
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#2405 中学数学の先生たち、授業進度管理は大丈夫ですか? Sep. 12, 2013
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#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012
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#2492 (1) 根室管内版解説 : RC-1と偏差値 難易度の高い問題を授業でやるべし Nov. 13, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]
北海道教育委員会が公表した「根室管内版」のP498 にレーダチャート(RC-1)が載っている。タイトルは「2 調査結果のレーダチャート図 教科全体」となっている。URLを書いておくので、クリックしてチャートをご覧いただきたい。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf
このレーダチャートは全国データを100として、管内版の数値を算出している。つまり、管内版の数値を全国平均値で割り算した結果を百分率で表しているのである。
公表データに基いて算出した偏差値データを並べてみるので、ご覧いただきたい。
<根室管内・小学校> | |||
偏差値 | Radar C. | ||
国語A | 37.8 | 95.4 | |
国語B | 48.0 | 89.9 | ● |
算数A | 33.8 | 96.4 | |
算数B | 28.3 | 89.9 | ● |
単純平均 | 37.0 | 92.9 | |
<根室管内・中学校> | |||
偏差値 | Radar C. | ||
国語A | 41.6 | 96.9 | |
国語B | 45.3 | 92.4 | |
数学A | 38.0 | 94.7 | |
数学B | 40.8 | 86.3 | |
単純平均 | 41.4 | 92.6 |
小学校の表をみると、国語Bと算数Bのレーダチャートの数値は89.9で同一であるが、偏差値は48と28.3と、大きく隔たっている。
原因は国語Bの標準偏差が算数Bよりも小さいためである。正答数の分布のばらつきが大きい場合と小さい場合では、平均値で割り算してしまうとデータ相互の比較可能性が失われてしまう。
全国平均値でそれぞれの管内のデータを割り算すると、データのばらつきが反映されない、つまり、全体の中での位置がわからなくなる。
標準偏差はこのようなデータ間の分布のばらつきを調整して相互に比較可能にしてくれる便利な統計学的なツールである。
小学校の科目ごとの都道府県別標準偏差データは次のようになっている。
<小学校> | |||
設問数 | 正答数平均値 | 標準偏差 | |
国語A | 18 | 11.4 | 0.506617 |
国語B | 10 | 4.9 | 0.253559 |
算数A | 19 | 14.7 | 0.353756 |
算数B | 13 | 7.6 | 0.355673 |
<小学生>
レーダチャートでみると、根室管内の国語Bと算数Bは全国平均100の89.9%に見えるが、この数字が実態を表していないことはもうご理解いただけるだろう。
話しを単純にするために全国の小学校と中学校の数を100校として、根室管内の子ども達の学力がどの程度なのかを順位で示してみようと思う。
国語Bは偏差値48.0だから58位、算数Bは偏差値28.3だから98位である。
同様にして、
国語Aは偏差値37.8で89位、算数Aは33.8で95位である。
国語Aが89位だということから、根室の小学6年生が本を読む量が著しく少なく、日本語語彙に問題を抱えており、読書力が脆弱であることがわかる。これで3年生から英語教育を導入したらどういうことになるのだろう?
国語Bは全国平均に近い、これはどういうことだろう?他のチャート、そして出題された設問をみていかないとわからない。現段階では理由がわからないので課題として保留しておこう。
算数は科目Aが95位で科目Bが98位である。これは全国最低レベルといってよい。基礎計算能力に欠陥を抱えていると判断できる。それと同時に小学校の授業に問題があることを推測させるデータでもある。
九九に問題を抱えている小6年生が1割はいるだろう。逆九九を言わせてチェックしてみたらいい。よどみなくいえたら、割り算はスムーズにできるが、いえなければ割り算スピードが標準的な子どもの5倍くらいも時間がかかるだろう。中・高の数学学習に重大な影響が出ていると思わなければならない。基礎計算トレーニング不足が露呈している。
<中学生>
根室管内の中学生についてみていこう。こちらも、全国の中学校を100校と仮定して順位をみてみよう。
国語Aは全国平均値に比べて96.9%だが偏差値をみると41.6だから80位。
国語Bは全国平均値に比べて92.4%とAより低いのに、偏差値は45.3と高く、68位。
数学Aは全国平均値に比べて94.7%で偏差値は38.0、順位は89位。
数学Bは全国平均値に比べて86.3%と低いが、偏差値は40.8、順位は82位。
国語の能力は68位と80位、数学は89位と82位だから、相対的に数学の能力が落ちる。都道府県データからみると算数・数学の学力は著しく低いから、基礎計算トレーニングの重要性がわかる。
算数A 95位 ⇒ 数学A 89位
算数B 98位 ⇒ 数学B 82位
成績下位20%以下の中学生の計算トレーニングは骨が折れる。学校はこれらの生徒達に1~2ヶ月間ブカツを停止してでも強制補習して、小学校の先生たちが教え切れなかった部分を補うべきだ。手当ては早いほうがいいから、タイミングは入学早々がいい。学校管理職がそうやると宣言すればいい、数学担当の先生もブカツ担当の先生も粛々と業務指示・命令に従うべきだ。「お迎えテスト」(4月実施学力テスト)をやっているのだから、数学の点数が50点以下の生徒に補習で基礎計算トレーニングを課すのがいいだろう。成績下位層の底上げができる。
算数B問題と数学B問題のできが悪いのは、学校の授業で基本問題しかやらないからだ。首都圏の小学生は私立中学受験があるから4人に1人が受験をして、むずかしい問題をたくさん解いている。中学生も道立高校の問題よりも難易度の高い東京都立入試問題をターゲットにしている。トップ層は難関私立進学高校の問題をターゲットにして勉強するから、脳に大きな負荷がかかる。この難易度の高い問題を解くことで加えられる適度な負荷が、脳のニューラルネットワークの発達を促しているように思える。脳の発達も筋肉の発達と似たところがある。
有名私立中学受験生(4~6年生の三年間)を東京で教えたことがあるが、親のシツケもしっかりしているし、自分で生活を律している生徒が多かった。テレビを見る時間を制限(親自身も含めて)しているケースが三人に一人の割合でいたから、生活に家族共通の規律が支配している。だから時間があり本もよく読んでいる。教えてみて、あきらかに脳の発達度合いが異なるという印象がある。きりっとしていて、挨拶もしっかりしている。まっすぐ目を見て挨拶できる。頭のいい子はある程度つくれるということだ。シツケを厳しくし、本をたくさん読ませる。
小学校、中学校で良質のテクスト(本)をたくさん読ませて日本語語彙を拡張し、脳に負荷となるような難易度の高い問題をたくさん解かせて、脳の発達を促すべきだ。
根室の中学校は、1年生に食塩水の濃度の問題を出題しないことが多い。生徒ができないから出題しないとあからさまに生徒に言い渡す先生もいた。その先生は授業では食塩水の問題をとばしてやらなかった。いまも授業で食塩水の問題をやらない先生がいる。
どういう副作用を生じているか書き留めておこう。高校生になって「溶媒・溶質・溶液」のところでモルが出てきて、その後に「科学反応式と量的関係」が出てくるがこのあたりでつまづいてしまう生徒が続出している。食塩水の濃度計算はこれらの基礎なのだが、そこをパスしてしまうと高校生になって「深刻な副作用」がでる。数学教師はけっして授業の手を抜いてはいけない。抜いたら無責任な仕事になる。仕事は肝心なところは渾身の力でやるもの。
脳の発達を促すために、授業で難易度の高い問題もやるべきだというのがebisuの意見である。
以上が、全国平均値を尺度(100)としてRadar Chartに記された根室管内の比率と偏差値の両方を使って分析した結果である。
*#2529 根室市教委の仕事振り(3):「確かな学力向上に関する取組方針」 Dec. 15, 2013
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#2528 根室市教委の仕事ぶり(2):「全国学力・学習状況調査の結果報告」 Dec. 15, 2013
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#2527 根室市教委の仕事ぶり(1):教育に関する評価報告書 Dec. 14, 2013
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#2526 根室は学力テスト結果非公表 :学力向上の抵抗勢力は誰だ Dec. 13, 20
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#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013
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#2500 11月7日 中学1・2年生 学力テストの結果 Nov. 17, 2013
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#2499 個別指導と戦略思考 Nov. 17, 2013
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#2498 中学校 英語授業進捗管理の実態 Nov. 16, 2013
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#2405 中学数学の先生たち、授業進度管理は大丈夫ですか? Sep. 12, 2013
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#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012
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