#5293 大学入試共通テスト:来年1月新課程入試実施 Sep. 28, 2024 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
<更新情報>9/29朝追記 ●50年にわたる継続的な高学力層の流出が、地方の市政と地域医療、老人医療、教育へ及ぼした深刻な影響 ●<余談-3>追記
来年1月から、新学習指導要領に基づく新課程を前提とした大学入試共通テストへ切り替えが行われます。9/26の朝日新聞記事によれば、「情報1」が受験必須科目になっている国立大が多いようです。
ここでは国語と数学と英語の変更点のみを採り上げます。
国語は大問が一つ増えて4問から5問題へ。問題文を読む速度アップが要求されるようです。追加された5問の内訳は、「3問が近代以降の文章、2問が古典」。
数学は従来の「数学Ⅱ・数学B」が「数学Ⅱ・数学B・数学C」となります。数学Bの2項目(数列・統計的な推測)と数学Cの2項目(ベクトル・平面上の曲線と複素平面)から3項目を選ぶことになります。
(昔は、数学Cに行列式が入っていました。線形代数の基礎も高校でやっていた方がいいのです。学習指導要領の改訂ごとに、数学は中身が薄くなっていっているように見えます。)
ベクトルは旧課程では数学B、平面上の曲線と複素平面は数学Ⅲでした。国立大学文科系志望の生徒は数学Cの履修は必須になりました。
英語は文章を読む力とともに、図表などの資料からポイントを読み取る思考力が課題になります。この点は旧課程も一緒でした。日ごろから設問と関係づけて英文を読み慣れておかないと、高得点が獲れませんね。数学Bでは推測統計学の分野の基礎的な仮説検定が追加になっています。推測統計学的な思考やデータの取り扱いに慣れていたら万全です。
さて、人口2.2万人(2024年8月末現在)極東の故郷の町を思い返してみたいと思います。大学受験の高校生に、数英の2科目を教える塾はもうありません。
中学生の人数は1学年154人、根室高校の2023年7月現在の生徒数は466人ですから1学年あたり155人です。
国立難関大を受験する生徒は数人です。普通科は1学年106名、数Ⅲの選択者は2020年頃は15名ほどでした。
だから国立難関大受験生対象の塾ビジネスはとっくに成り立たないのです。これは根室だけの問題ではありません。都会から離れた人口3万人以下の市町村に共通の問題です。
大学入試共通テストを利用して難関大学を受験する生徒は、都会の進学校に比べて、圧倒的に不利になっています。今回の新課程による共通テストは学力の地域格差を多少なりとも拡大する方向に働くのでしょう。
偏差値60以上の大学へ学力と幸運に恵まれて進学した子どもたちは、大学卒業後は大学院進学するか、都会の企業へ就職して、故郷へは戻って来ません。処遇と経営スタイルで優良な企業が稀であることをよく知っているからです。そして自分が結婚して子供ができたときに、自分と同じく進学に圧倒的に不利な環境下で育てることになることを体験を通じて知っているからです。親が年老いて介護が必要になっても、サラリーマンをやめて故郷に戻ることはなかなかかないません。こうした老人が介護が必要になっても、在宅介護が不可能であることは自明です。つまり、高齢者の介護対策も酷いことになります。市立病院建て替えのときに、病院職員アンケートで療養型病床が必要だという切実な声が上がりましたが、市政はそれを無視しました。地方医療協議会も同じことを要求したようですが、その声も無視しました。こうして全国にもまれな、療養型病床ゼロという、劣悪な老人介護や医療の市になってしまったのです。どのような市に、どのような医療体制にしたいのか、グランドデザインを描ける市長も幹部職員もいないのです。50年にわたって、高学力層が流出し続けた結果です。肝心かなめの、子どもたちの学力向上に寄与すべき教育長すら、地元出身の人材を当てられず、道庁から教育関係幹部職員が退職と同時に「派遣」されてきますが、根室市の教育長の人気が終わると、根室から引っ越します。腰の据わらぬ、郷土に愛著のない人たちでは、無理ですよ。
郷土を愛する高学力層の若者が、生まれ育った地に戻ってこれなければ、市政や町政のレベルは下がらざるを得ません。モノの道理です。
大きな問題のあることがお分かりいただけたでしょうか。わたしたちはこのような現状を打開するにはどうしたらいいのでしょう。何が使えて、どのように戦えるのか、周りを点検する必要があります。
全国どこに住んでいても、小4から難関国立大学を目指して、都会並みかそれを超えるシステムで学習すれば、10%ほどが難関国立大学レベルの偏差値の大学受験が可能です。しかし、人口3万人未満の地方の市町村の子どもたちは、そこで生まれたばかりに、圧倒的に不利な状況に放置されています。今のままではいけません。
中高の英語教科書にはQRコードがついていて、スマホで音声をダウンロードできます。60~120語くらいに分けて、毎日、30回音読して英文を読むことに慣れましょう。2年間トレーニングしたら、20,000回になります。フォニックスなどの発音トレーニング教材を利用すれば、きれいな発音になります。高校教科書程度の平易な英文なら、分速150wordsぐらいで黙読できるようになります。
スピードコントロール機能付きのものがないようですが、教科書会社は早くそうした機能をつけてください。
数学は、ユーチューブで優れた授業を無料公開している人がたくさんいますから、章単位で学んでください。
田舎で学ぶ向学心の強い子供たちは、数学と英語はインターネットを利用して、独学で学びましょう。
田舎で育つ学力上位10%層の子供たちの学力を飛躍的に伸ばすことができれば、日本は人口減少下でも経済成長を成し遂げることができるかもしれません。
<余談-1:国語の学力について>
現代国語の受験問題はほどほどにしておいてください。文学作品は何通りもの読み方があり得ます。受験国語問題は正解を一つにしているので、ヘンな癖がついてしまいます。
社会人になったら、データの読み方も専門書の読み方も、複数の視点で読まなければならないのですが、受験勉強をし過ぎると、相対的な読み方、批判的な読み方、同時に複数の視点での読み方ができなくなります。
興味のある分野の専門書や哲学の本も読んでみてください。読解力や作文力は社会人になったときにとっても重要性を増します。
古典に属するものは名著の宝庫です。中学生でも『徒然草』や『風姿花伝』『枕草子』は読めます。できれば、原文対訳のついたものがよろしい。『源氏物語』は中学生にはハードルが高い。
<余談-2:数学の学び方>
「概念の拡張」、たとえば、「自然数⇒分数⇒実数⇒複素数」は小学生高学年の上位10%ほどの学力の生徒なら、簡単な解説で理解できますので、生徒の学年や学力に応じて関係のある箇所で教えたほうがいい。帰納的な推論や演繹的な論理展開も、チャンスがあれば生徒の興味に応じて教えてしまいます。小学生に中1の「シリウス」をやらせていたら、正方形を規則的に組み合わせて増やしていったときにできる図形の内側の周りの長さの一般項を求める問題がありました。階差が等差数列になっている問題でしたので、階差数列の計算の仕方と一般項を求める方法を教えました。無理はしなくていいのですが、子どもが好奇心を持つようだったら、チャンスなのです。表情をよく観察してどこまで教えるか判断しましょう。
なぜそんなことをするかというと、好奇心がくすぐることになるからです。
突然、好奇心のカタマリになって、難易度の高い問題集で独学し始める小中学生がいます。
距離と時間と速さの問題が小5から出てきますが、上位10%の高学力の生徒達には、高校化学や物理と同じように単位系の演算を含めて教えたほうが、深く理解できるので好いと思います。実際にそうしてきました。速さの単位である「km/h(時速)」や「m/m(分速)」や「m/s(秒速)」は「距離/時間=距離÷時間」になっています。数字だけでなく、単位系も含めて計算式を教えたら、理解が深くなります。時速のときは距離はkmに時間の単位は時間に、分速のときは距離の単位はmに時間の単位は分に、秒速のときは距離はメートルに時間は秒でと、単位を揃える理由が明確になります。上位10%の高学力層はこちらの方が理解が深くなるし、納得がいきます。生徒の学力に応じた教え方で好いのです。「教科書で教えたほうがいい」「教科書を使って教えるべきだ」などという議論は、高学力層の生徒には関係のない「教育村」限定のトピックです。
中高6年間、塾用教材である難易度の高い問題集のコンパクトな解説を自力で読んで、国立大医学部へ現役合格した生徒がいました。「先生、教科書には僕の知りたいことが書いてありません、シリウス(難易度の高い塾用問題集)には僕の知りたいことが書いてあります」、教科書は新品のまま、開いた形跡がありませんでした。授業中は『シリウス』を解いていました。授業は生徒の平均的な学食に応じて難易度の低い問題しか扱わないので、進学校の生徒と大きな差がついてしまいます。だから、授業は聞く必要がありません。独力で難易度の高い問題が解けますから、授業中も問題集を解いています。同級生が授業を聞いてわからないところがあれば彼に説明を求めます。授業は聞いていなくても、数学担当の先生よりもわかりやすい説明ができます。「同級生から質問があったら、ノーとは言うな、必ず助けてあげよ」、そう何度か伝えたありますから、その通りにやっていました。
彼は極端な例です。中学校の学力テストは3年間学年トップを独走していました。最初のテストは2位と5科目合計点で1点差、そのごは2位との差がどんどん開いていきました。高校でも進研模試は常に学年トップでした。勉強の仕方の差が出ます。偏差値45の高校で、学校の授業のペースと基本問題しか扱わないのでは、難関国立大医学部へ現役合格できるわけがありません。
学力の高い先生のいる塾がなければ、数学の参考書や問題集を見てわからない箇所は、ユーチューブの高校数学授業を見たらいい。抜群に説明の上手な授業がいくらでも見つかります。
こういう状態の高学力層の生徒たちは、勉強は遊びとイコールです。とっても楽しいのです。
<余談-3:高学力層の帰還とスキルの高い先生たち>
わたしの知る限りで、お二人、学年トップレベルだった人が古里の街へ戻っています。一人は根室高校の理系教科担当の先生、根室高校から東京学芸大に進学、同校をご卒業。もう一人は小学校でアルバイト、高校から札幌へ進学して、横浜国大をご卒業。教育関係で、トップレベルはこのお二人のみ。
2年先輩のYさんも、母校(光洋中)の校長をした後退職していますが、当時1学年500人のマンモス校でしたが、学力テスト学年順位一桁の成績上位層でした。文武両道の人、剣道の達人です。親友のお兄さん。
根室管内に目を向けたら、根室出身者ではありませんが、高度な授業スキルと理論をお持ちの方がお二人いらっしゃいます。どちらも別海町にお住まいだったかな。別海中央中学校長だったAさん、中標津の小学校の教頭拝命後、退職して中標津町でNPO「エトセトラ」で子育て教育活動やラジオ番組で活躍しておられるMさん。お二人ともとっても優秀な方です。全道レベルでも最優秀のお二人ですよ。どちらも教育関係で何冊も本を書かれています。
2010年頃だったかな、とても荒れた学校だった啓雲中学校を立て直したS校長とO先生のコンビがいました。北海道新聞が取材報道していました。荒れた学校がおさまると学力テストの平均点もアップしてました。校長が定年退職し、O先生が光洋中学校へ戻ると、また元の木阿弥になりました。教員の個人の力は小さくないのです。
*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1
人材はいるのですが、こういう人たちが市や町の教育長にはなれません。どういうわけか市長や市教委がこういう人たちを嫌います。数十年にわた手そうしたことが続いています。教育環境や教育人材のSDGsを考えると、じつにもったいないことです。
釧路市は市の職員が教育長をするのが伝統になっています。お二人知っています。一人は「釧路の教育を考える会」会長の角田さん、元釧路教育長です。経済部長の後に教育長に就任しています。(釧路江南高校から)北大卒。角田さんとは10年ほどお付き合いがありました。教育部長のTさんはメンバーの一人でした。釧路の教育関係者はオープンな方が少なくありません。好いことだと思います。
小さな塾で18年間にわたって、さまざまな本を採り上げて、1~10人くらいで日本語音読トレーニングをしていました。その時に使った本のリストを公開します。日本語の読解力や作文力は学力の基礎をなしています。「読み・書き・ソロバン(計算)」というのは江戸時代から伝わる学力のスキルを的確に言い表したフレーズです。これは優先順位も表しています。「読み」、つまり読解力が一番大切なのです。日本語音読トレーニングで18年間実際に使った本のリストが、田舎で学ぶ子どもたちの参考になれば幸いです。
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林望先生の現代語訳は格調が高く品が好いのです。出版されたときに全巻読みました。『謹訳源氏物語私沙』というタイトルの別冊が一冊ありますので、こちらも是非お読みください。
来年1月から、新学習指導要領に基づく新課程を前提とした大学入試共通テストへ切り替えが行われます。9/26の朝日新聞記事によれば、「情報1」が受験必須科目になっている国立大が多いようです。
ここでは国語と数学と英語の変更点のみを採り上げます。
国語は大問が一つ増えて4問から5問題へ。問題文を読む速度アップが要求されるようです。追加された5問の内訳は、「3問が近代以降の文章、2問が古典」。
数学は従来の「数学Ⅱ・数学B」が「数学Ⅱ・数学B・数学C」となります。数学Bの2項目(数列・統計的な推測)と数学Cの2項目(ベクトル・平面上の曲線と複素平面)から3項目を選ぶことになります。
(昔は、数学Cに行列式が入っていました。線形代数の基礎も高校でやっていた方がいいのです。学習指導要領の改訂ごとに、数学は中身が薄くなっていっているように見えます。)
ベクトルは旧課程では数学B、平面上の曲線と複素平面は数学Ⅲでした。国立大学文科系志望の生徒は数学Cの履修は必須になりました。
英語は文章を読む力とともに、図表などの資料からポイントを読み取る思考力が課題になります。この点は旧課程も一緒でした。日ごろから設問と関係づけて英文を読み慣れておかないと、高得点が獲れませんね。数学Bでは推測統計学の分野の基礎的な仮説検定が追加になっています。推測統計学的な思考やデータの取り扱いに慣れていたら万全です。
さて、人口2.2万人(2024年8月末現在)極東の故郷の町を思い返してみたいと思います。大学受験の高校生に、数英の2科目を教える塾はもうありません。
中学生の人数は1学年154人、根室高校の2023年7月現在の生徒数は466人ですから1学年あたり155人です。
国立難関大を受験する生徒は数人です。普通科は1学年106名、数Ⅲの選択者は2020年頃は15名ほどでした。
だから国立難関大受験生対象の塾ビジネスはとっくに成り立たないのです。これは根室だけの問題ではありません。都会から離れた人口3万人以下の市町村に共通の問題です。
大学入試共通テストを利用して難関大学を受験する生徒は、都会の進学校に比べて、圧倒的に不利になっています。今回の新課程による共通テストは学力の地域格差を多少なりとも拡大する方向に働くのでしょう。
偏差値60以上の大学へ学力と幸運に恵まれて進学した子どもたちは、大学卒業後は大学院進学するか、都会の企業へ就職して、故郷へは戻って来ません。処遇と経営スタイルで優良な企業が稀であることをよく知っているからです。そして自分が結婚して子供ができたときに、自分と同じく進学に圧倒的に不利な環境下で育てることになることを体験を通じて知っているからです。親が年老いて介護が必要になっても、サラリーマンをやめて故郷に戻ることはなかなかかないません。こうした老人が介護が必要になっても、在宅介護が不可能であることは自明です。つまり、高齢者の介護対策も酷いことになります。市立病院建て替えのときに、病院職員アンケートで療養型病床が必要だという切実な声が上がりましたが、市政はそれを無視しました。地方医療協議会も同じことを要求したようですが、その声も無視しました。こうして全国にもまれな、療養型病床ゼロという、劣悪な老人介護や医療の市になってしまったのです。どのような市に、どのような医療体制にしたいのか、グランドデザインを描ける市長も幹部職員もいないのです。50年にわたって、高学力層が流出し続けた結果です。肝心かなめの、子どもたちの学力向上に寄与すべき教育長すら、地元出身の人材を当てられず、道庁から教育関係幹部職員が退職と同時に「派遣」されてきますが、根室市の教育長の人気が終わると、根室から引っ越します。腰の据わらぬ、郷土に愛著のない人たちでは、無理ですよ。
郷土を愛する高学力層の若者が、生まれ育った地に戻ってこれなければ、市政や町政のレベルは下がらざるを得ません。モノの道理です。
大きな問題のあることがお分かりいただけたでしょうか。わたしたちはこのような現状を打開するにはどうしたらいいのでしょう。何が使えて、どのように戦えるのか、周りを点検する必要があります。
全国どこに住んでいても、小4から難関国立大学を目指して、都会並みかそれを超えるシステムで学習すれば、10%ほどが難関国立大学レベルの偏差値の大学受験が可能です。しかし、人口3万人未満の地方の市町村の子どもたちは、そこで生まれたばかりに、圧倒的に不利な状況に放置されています。今のままではいけません。
中高の英語教科書にはQRコードがついていて、スマホで音声をダウンロードできます。60~120語くらいに分けて、毎日、30回音読して英文を読むことに慣れましょう。2年間トレーニングしたら、20,000回になります。フォニックスなどの発音トレーニング教材を利用すれば、きれいな発音になります。高校教科書程度の平易な英文なら、分速150wordsぐらいで黙読できるようになります。
スピードコントロール機能付きのものがないようですが、教科書会社は早くそうした機能をつけてください。
数学は、ユーチューブで優れた授業を無料公開している人がたくさんいますから、章単位で学んでください。
田舎で学ぶ向学心の強い子供たちは、数学と英語はインターネットを利用して、独学で学びましょう。
田舎で育つ学力上位10%層の子供たちの学力を飛躍的に伸ばすことができれば、日本は人口減少下でも経済成長を成し遂げることができるかもしれません。
<余談-1:国語の学力について>
現代国語の受験問題はほどほどにしておいてください。文学作品は何通りもの読み方があり得ます。受験国語問題は正解を一つにしているので、ヘンな癖がついてしまいます。
社会人になったら、データの読み方も専門書の読み方も、複数の視点で読まなければならないのですが、受験勉強をし過ぎると、相対的な読み方、批判的な読み方、同時に複数の視点での読み方ができなくなります。
興味のある分野の専門書や哲学の本も読んでみてください。読解力や作文力は社会人になったときにとっても重要性を増します。
古典に属するものは名著の宝庫です。中学生でも『徒然草』や『風姿花伝』『枕草子』は読めます。できれば、原文対訳のついたものがよろしい。『源氏物語』は中学生にはハードルが高い。
<余談-2:数学の学び方>
「概念の拡張」、たとえば、「自然数⇒分数⇒実数⇒複素数」は小学生高学年の上位10%ほどの学力の生徒なら、簡単な解説で理解できますので、生徒の学年や学力に応じて関係のある箇所で教えたほうがいい。帰納的な推論や演繹的な論理展開も、チャンスがあれば生徒の興味に応じて教えてしまいます。小学生に中1の「シリウス」をやらせていたら、正方形を規則的に組み合わせて増やしていったときにできる図形の内側の周りの長さの一般項を求める問題がありました。階差が等差数列になっている問題でしたので、階差数列の計算の仕方と一般項を求める方法を教えました。無理はしなくていいのですが、子どもが好奇心を持つようだったら、チャンスなのです。表情をよく観察してどこまで教えるか判断しましょう。
なぜそんなことをするかというと、好奇心がくすぐることになるからです。
突然、好奇心のカタマリになって、難易度の高い問題集で独学し始める小中学生がいます。
距離と時間と速さの問題が小5から出てきますが、上位10%の高学力の生徒達には、高校化学や物理と同じように単位系の演算を含めて教えたほうが、深く理解できるので好いと思います。実際にそうしてきました。速さの単位である「km/h(時速)」や「m/m(分速)」や「m/s(秒速)」は「距離/時間=距離÷時間」になっています。数字だけでなく、単位系も含めて計算式を教えたら、理解が深くなります。時速のときは距離はkmに時間の単位は時間に、分速のときは距離の単位はmに時間の単位は分に、秒速のときは距離はメートルに時間は秒でと、単位を揃える理由が明確になります。上位10%の高学力層はこちらの方が理解が深くなるし、納得がいきます。生徒の学力に応じた教え方で好いのです。「教科書で教えたほうがいい」「教科書を使って教えるべきだ」などという議論は、高学力層の生徒には関係のない「教育村」限定のトピックです。
中高6年間、塾用教材である難易度の高い問題集のコンパクトな解説を自力で読んで、国立大医学部へ現役合格した生徒がいました。「先生、教科書には僕の知りたいことが書いてありません、シリウス(難易度の高い塾用問題集)には僕の知りたいことが書いてあります」、教科書は新品のまま、開いた形跡がありませんでした。授業中は『シリウス』を解いていました。授業は生徒の平均的な学食に応じて難易度の低い問題しか扱わないので、進学校の生徒と大きな差がついてしまいます。だから、授業は聞く必要がありません。独力で難易度の高い問題が解けますから、授業中も問題集を解いています。同級生が授業を聞いてわからないところがあれば彼に説明を求めます。授業は聞いていなくても、数学担当の先生よりもわかりやすい説明ができます。「同級生から質問があったら、ノーとは言うな、必ず助けてあげよ」、そう何度か伝えたありますから、その通りにやっていました。
彼は極端な例です。中学校の学力テストは3年間学年トップを独走していました。最初のテストは2位と5科目合計点で1点差、そのごは2位との差がどんどん開いていきました。高校でも進研模試は常に学年トップでした。勉強の仕方の差が出ます。偏差値45の高校で、学校の授業のペースと基本問題しか扱わないのでは、難関国立大医学部へ現役合格できるわけがありません。
学力の高い先生のいる塾がなければ、数学の参考書や問題集を見てわからない箇所は、ユーチューブの高校数学授業を見たらいい。抜群に説明の上手な授業がいくらでも見つかります。
こういう状態の高学力層の生徒たちは、勉強は遊びとイコールです。とっても楽しいのです。
<余談-3:高学力層の帰還とスキルの高い先生たち>
わたしの知る限りで、お二人、学年トップレベルだった人が古里の街へ戻っています。一人は根室高校の理系教科担当の先生、根室高校から東京学芸大に進学、同校をご卒業。もう一人は小学校でアルバイト、高校から札幌へ進学して、横浜国大をご卒業。教育関係で、トップレベルはこのお二人のみ。
2年先輩のYさんも、母校(光洋中)の校長をした後退職していますが、当時1学年500人のマンモス校でしたが、学力テスト学年順位一桁の成績上位層でした。文武両道の人、剣道の達人です。親友のお兄さん。
根室管内に目を向けたら、根室出身者ではありませんが、高度な授業スキルと理論をお持ちの方がお二人いらっしゃいます。どちらも別海町にお住まいだったかな。別海中央中学校長だったAさん、中標津の小学校の教頭拝命後、退職して中標津町でNPO「エトセトラ」で子育て教育活動やラジオ番組で活躍しておられるMさん。お二人ともとっても優秀な方です。全道レベルでも最優秀のお二人ですよ。どちらも教育関係で何冊も本を書かれています。
2010年頃だったかな、とても荒れた学校だった啓雲中学校を立て直したS校長とO先生のコンビがいました。北海道新聞が取材報道していました。荒れた学校がおさまると学力テストの平均点もアップしてました。校長が定年退職し、O先生が光洋中学校へ戻ると、また元の木阿弥になりました。教員の個人の力は小さくないのです。
*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1
人材はいるのですが、こういう人たちが市や町の教育長にはなれません。どういうわけか市長や市教委がこういう人たちを嫌います。数十年にわた手そうしたことが続いています。教育環境や教育人材のSDGsを考えると、じつにもったいないことです。
釧路市は市の職員が教育長をするのが伝統になっています。お二人知っています。一人は「釧路の教育を考える会」会長の角田さん、元釧路教育長です。経済部長の後に教育長に就任しています。(釧路江南高校から)北大卒。角田さんとは10年ほどお付き合いがありました。教育部長のTさんはメンバーの一人でした。釧路の教育関係者はオープンな方が少なくありません。好いことだと思います。
小さな塾で18年間にわたって、さまざまな本を採り上げて、1~10人くらいで日本語音読トレーニングをしていました。その時に使った本のリストを公開します。日本語の読解力や作文力は学力の基礎をなしています。「読み・書き・ソロバン(計算)」というのは江戸時代から伝わる学力のスキルを的確に言い表したフレーズです。これは優先順位も表しています。「読み」、つまり読解力が一番大切なのです。日本語音読トレーニングで18年間実際に使った本のリストが、田舎で学ぶ子どもたちの参考になれば幸いです。
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〈日本語音読リスト〉…
*#3726 日本語音読トレーニングのススメ:低下する学力に抗して Apr. 18,2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-18-1
---------------------------------------
<7. 国語力アップのための音読トレーニング >
中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』 ②
○『声に出して読みたい日本語②』 ②
○『声に出して読みたい日本語③』 ②
○『坊ちゃん』夏目漱石 斉藤孝の音読破シリーズ③
○『羅生門』芥川龍之介 音読破シリーズ③
○『走れメロス』太宰治 音読破シリーズ③
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 音読破シリーズ③
『五重塔』幸田露伴 音読破シリーズ③
『山月記』中島敦 音読破シリーズ④
●『読書力』斉藤孝 ③
●『国家の品格』藤原正彦 ③
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳 ③
●『日本人は何を考えてきたのか』斉藤孝 ④
●『語彙力こそが教養である』斉藤孝 ③
●『日本人の誇り』藤原正彦(数学者) ③
◎『福翁自伝』福沢諭吉 ④
◎『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆(物理学者) ④
(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で使用した実績がある。◎はトップクラスの高校生に使った本である。大学生でも語彙力上級者レベルにふさわしいテクストである。平均的な語彙力の大学生には手が届かないかもしれない。
音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが、2年前から希望者のみに限定している。本気でやる気にならないと効果が小さいので、お互いに時間の無駄。)
・・・
*#3726 日本語音読トレーニングのススメ:低下する学力に抗して Apr. 18,2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-18-1
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<7. 国語力アップのための音読トレーニング >
中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』 ②
○『声に出して読みたい日本語②』 ②
○『声に出して読みたい日本語③』 ②
○『坊ちゃん』夏目漱石 斉藤孝の音読破シリーズ③
○『羅生門』芥川龍之介 音読破シリーズ③
○『走れメロス』太宰治 音読破シリーズ③
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 音読破シリーズ③
『五重塔』幸田露伴 音読破シリーズ③
『山月記』中島敦 音読破シリーズ④
●『読書力』斉藤孝 ③
●『国家の品格』藤原正彦 ③
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳 ③
●『日本人は何を考えてきたのか』斉藤孝 ④
●『語彙力こそが教養である』斉藤孝 ③
●『日本人の誇り』藤原正彦(数学者) ③
◎『福翁自伝』福沢諭吉 ④
◎『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆(物理学者) ④
(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で使用した実績がある。◎はトップクラスの高校生に使った本である。大学生でも語彙力上級者レベルにふさわしいテクストである。平均的な語彙力の大学生には手が届かないかもしれない。
音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが、2年前から希望者のみに限定している。本気でやる気にならないと効果が小さいので、お互いに時間の無駄。)
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林望先生の現代語訳は格調が高く品が好いのです。出版されたときに全巻読みました。『謹訳源氏物語私沙』というタイトルの別冊が一冊ありますので、こちらも是非お読みください。
謹訳 源氏物語 改訂新修 完結1~10巻セット (祥伝社文庫)
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2019/11/13
- メディア: 文庫
#5262 三角形の外角の定理:隠れたカリキュラム July 23. 2024 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
今回は、「小学5年生の三角形の角度の問題」を採り上げます。
このトピックから、日本の教育が抱えている大きな問題が浮かび上がれば幸いです。適切な問題提起は自ずと解決の方向も示唆します。そういうものなのです。
「隠れたカリキュラム」とは、教育学の専門用語で、学校の先生たち以外はにはなじみがないでしょうから、定義をネットから紹介します拾って紹介します。
「隠れたカリキュラムとは、教育する側が意図する・しないに関わらず、学校における制度や慣行、教員の言葉や態度などを通して、学校のフォーマルなカリキュラムの中にはない、知識、行動の様式や性向、意識やメンタリティが、教師や仲間の生徒たちから学び取られるものを指します。」
問 ∠ACDを求めよ
小学5年生でこのような角度の計算問題が出題されたとしましょう。
式は3通り考えられます。
(1) ①∠ACB=180-(60+47)=73度
②∠ACD=180-73=107度
(2) ∠ACD=180-{180-(60+47)=107度
(3) ∠ACD=60+47=107度
最初の式は2段階方式、2番目の式はそれを一つにまとめたもの、3つ目の式は三角形の外角の定理を知っている生徒が書いた式です。あるいは、2番目の式を整理すると、180度が±で消えて3番目の式になります。
「三角形の外角はそれと隣り合わない内角の和に等しい」というのが「外角の定理です」
代数的な証明も理解できますよ。
a+b+c=180…(ⅰ)
c+d=180…(ⅱ)
(ⅰ)式-(ⅱ)式
a+b-d=0
∴d=a+b
三角形の外角の定理が代数的に証明できました。これ、好奇心の強い成績上位の小学5年生なら理解できますよ。
だから、成績上層の生徒には、「ついでに」どんどん教えちゃいます。スーッと吸収してしまいます。「あ、そういうことか」、英語なら”Aha!”です。好奇心の強い小学生の吸収力は大きいのです。学習指導要領からはみ出して教えてみないと理解できないでしょう。
ところが、3番目の式だと×にする先生が多いというのが現実です。3番目の式を書いてマルをつける先生はとっても稀だと思います。
理由は三つ考えられます。
(ア)外角の定理は教えていないから(小学5年生の学習指導要領には載っていない)
(イ)外角の定理を忘れてしまっている
(ウ)模範解答にはない式だから、間違っている
(ア)の方は理由になりません。文科省自身が学習指導要領は「最低基準」だと、考え方を変えたからです。いままで学習指導要領を金科玉条として教えてきたベテランの先生たちは、文科省が学習指導要領に対する方針を変えても、いままでどおり、教え方を変えられないように見えます。積み上げてきたものをいったん壊して、組み直さなければならないので、抵抗があるのかもしれませんね。勉強もし直さないといけません。なかなかたいへんです。一生勉強ですよね。
? 都立高校入試の数学の問題で、80点以上取れる小学校の先生は果たして何%いるでしょうか?忘れてしまっていて当然です、人間の頭は忘れるようにできているのでね。
(ウ)の理由が案外多い。杓子定規に「模範解答」を金科玉条にして、思考停止している人が多いのです。まるで法学部の学生のようなことを言う。考えていないということでしょう。教科書ガイドを利用して勉強したお利巧さんに多いタイプかもしれません。昔は「虎の巻」といいました。あれは見ればいいだけで、考えないようになります。自分で問題を発見し、試行錯誤することこそが学習の本来の姿なのだと思います。
さて、生徒はどう対応するでしょう?
(a)自分の書いた式が正解であると知ってはいるが、黙ってしまう
(b)外角の定理で解いたことを主張してマルにしてもらう。
ほとんどの生徒が黙ってしまいます。「逆らっている」と受け取る先生がいて得にならないことを知っています。模範解答どおりでないとダメと言う先生が多数派ですよ。こうして成績上位の生徒たちは、忖度に慣れていき、損得勘定でものごとを判断するようにトレーニングされていきます。それが「隠れたカリキュラム」ということです。
(兵庫県の齊藤知事のパワハラが問題になっていますが、小中高と理不尽な授業に耐えた生徒たちは、県職員になっても、理不尽な知事に声をあげないでしょう。中央官庁の官僚たちと大臣にも同じ構図があります。長いものには巻かれろと、腑抜けだらけになりかねません。)
高校卒業するまでこんなことを続けていたら、忖度が「性格」になってしまいます。学力上位層が、理不尽なことでも我慢してやり過ごす性格になるのです。技術革新とかマネジメントの改革は今までのやり方を否定するところに生まれるので、民間企業では使いものになりません。
岩尾俊兵という慶応大学商学部の準教授がいます。『世界は経営でできている』というタイトルの本を書いています。何度かネットにアップされた記事を読んでいますが、マルクス研究者のわたしも、同意見です。「世界は経営でできている」、資本主義社会も共産主義社会」も経営でできています。経済学のキー概念である経営が理解できなかったので、マルクスは労働価値説を選択してしまいました。そして資本論第一巻を出版した後に第2巻の原稿を書き溜めていて、生産性の問題で自分の間違いに気がつきました。だから、資本論第二巻を出さずに、16年間沈黙し続け、亡くなっています。この辺りの事情は弊ブログのカテゴリー「マルクスと数学」で十数本記事をアップしていますので、そちらをご覧ください。とくにマルクス経済学者のみなさんに読んでもらいたい。
話を元へ戻しましょう。成績上位層へのこのような「隠れたカリキュラム」は、何より、理数系の人材潰しになっています。こんなことを戦後79年間も続けているのですから、日本企業がおかしくなるのも無理ありません。
外角の定理は小4の生徒でも、1~2分の解説で簡単に理解できます。実際に、成績上位の10%の生徒たちは知っています。
生徒たちのほとんどがモノを言いませんが、「先生は外角の定理を知らないのか」と判断しますよ。質問もしなくなります、授業は聞いているふりだけ。勉強は塾へ行ってやればいいんだなんて生徒を増やすことになるのです。塾でやる勉強が愉しいという生徒が時々いますが、生徒のニーズに合った授業をしているだけです。
こうして、オピニオンリーダーとしても成長できる、成績上位層の生徒たちが、学校の先生の知識の底の浅さを正確に測り、信用しなくなり、理不尽なことでも、ぶつかることを避けるようになります。成績の良い生徒ほど、小中高と「12年間従順の振りをする」ように訓練されてしまいます。高校卒業するころにはすっかり「性格」になっています。ほとんどがそういう生き方のスタイルや、思考方法を生涯変えられないのです。
教え方も大事ですが、小学校の算数と言えども、せめて中学数学くらいは熟知して、成績上位層の生徒たちを指導できる先生になってもらいたい。できないなら、数学は教科担任制にすべきでしょう。できの好い生徒たちは、小学生でも関連する事項なら、中学や高校数学の内容も理解できます。小学生は、それくらい好奇心が強いのです。
小学生へ、PCが配布されて、授業で利用されているのですから、成績上位10%の生徒たちが、退屈しないような授業の工夫はできませんかね?
院生のときに、渋谷駅前の塾で個別指導で教えた生徒に聞いたことがあります。
「学校の授業の時どうしてる?全部知っていることばかりだろう?」
「授業中は、下向いて違うこと考えています。」
5年生から来た生徒でした。立教女学院(偏差値65)へ進学してます。48年前だったかな。おそらく担任の先生はよくできる生徒でおとなしい性格だと思っていたでしょう。生徒の方は授業に退屈しきっていたのです。それを感じ取れないようでは困ります。
小中高と戦った生徒がいます。国立大医学部現役合格を目指した生徒でした。小学校でも中学校でも高校でも数学担当の先生と衝突してました。学校の授業は彼のニーズには合わない。だから、塾用の難易度の高い問題集を広げて、授業中も勉強してました。時間を無駄にできない、国立大学医学部を目指す都会の生徒は進学校で難易度の高い授業を受けている、田舎の学校にいることを言い訳にして後れを取るわけにはいかない。中高の数学の教科書はまっさらのまま。開いたことすらなかったようでした。元々素直な生徒なのですが、授業を聞かないことに腹を立てる先生が多いのです。じゃまはしていないのだから、放っておいてもらいたいと言ってました。先生たちは「自主的に勉強しろ」と言いながら、実際にそうしていると、「勝手なことするな、俺の授業を聞け」とこうなのです。医学部を目指している他の生徒たちは進学校で難易度の高い授業を受けているのだから、こんなレベルの低い授業を聞いて時間を潰していたらダメになると危機感をもっていました。難易度の高い問題集の、コンパクトな解説を読んで、予習方式で、ほとんど独力で解けるのです。ときどき、シビア―な質問に応え、一般化の操作や、概念の拡張をやって見せたらいいだけです。
「僕の知りたいことが教科書には載っていません」
そう言ってました。
だから、教科書をなぞるような授業は成績上位層にはまったく向いていないのです。この生徒は、中学校では学力テスト、高校では全国模試で毎回学年トップを通しました。そして、偏差45の地元の高校から、国立大医学部へ好成績で現役合格しています。道北道東推薦枠で現役トップ合格でした。2次試験の小論文が300点満点で295点でした。日本語音読指導で6年間で17冊の本を一緒に読んで対話しています。リストは弊ブログ内にあるので、右側の検索ボックスで検索してみたください。
問題の所在を確認しておきます。成績上位層の知的好奇心が旺盛な生徒たちは、勉強も遊びと一緒の感覚なんです。知的好奇心を掻き立てない授業はどんなに上手にやっても興味がないのです。判断基準は、「自分の知的レベルを掻き立てる授業であるか否か」ということです。だから、教科書をなぞるレベルの授業には興味がまったくありません。この事実を書くのは実は胸が痛いのです。教科書を使って授業力を向上させることに情熱を傾けている先生たちがいることを知っているからです。それだけでは解決できない大きな問題があることを知り、その解決にも努力してもらいたいのです。
教え方と教える内容は同じくらい重要ではないでしょうかね。中学校や高校にくらべて、小学校の算数が、教え方では一番難しいかもしれません。英語も同じことが言えます。
質の高い教員を揃えたいなら、処遇を改善しないといけませんね。一律というわけにはいかないでしょう。今までにはない人事評価基準の導入を伴なうので、マネジメントという視点が学校経営に求められます。マネジメント能力の優れた校長は1割もいないでしょう。
現在の処遇では給料の高い民間企業に人材を奪われてしまいます。現実にそうなっています。何らかの制度の変更、そしてマネジメント面での文教政策の改革が必要になるでしょう。なかなか困難な道です。いばらの生い茂ったところに道を拓かないといけません。そういう覚悟をもった文部官僚が出現してもらいたい。そしてそういう官僚をバックアップする先生たちも出現してもらいたい。教育村の内部から、改革の狼煙が上がるところを見たいものです。日本の科学技術、そして企業のマネジメント改革とビジネス倫理の浸透、どれも人材次第ですよ。教育こそが郷土の、そして国の礎ではないでしょうか?
たとえば、数学教育で大切な一般化や概念の拡張は小学校からちゃんと教えることができます。本もレベルの高いものを選んで音読指導して、強靭な読解力を育てられます。日本語の読みがすべての学力の基礎です。
「読み・書き・ソロバン(計算)」
小学生から、これら三つの基本技能ををしっかり育みましょう。
人口減少はデメリットばかりではありません。人口が半減すれば人口一人当たりの資源量は2倍になります。日本経済の行く末は、成績上位10%の生徒たちをどのように育てるかにかかっていると言っても過言ではないでしょう。
<余談:授業技術についての段階論>
わたしは、大学の授業については、授業技術はどうでもいいと思っています。大学の先生に必要なものは、問題意識のユニークさとその分野の深い研究、そして思索の深さが十分であればいいと思います。難解な授業でかまわない、ついてこられる学生だけが学べばいい。手取り足取り教える必要はありません。
大学のゼミでは哲学の市倉宏祐教授(サルトルとヘーゲル研究者、経済学史の内田義彦教授の授業がそうでした。市倉先生はヘーゲル研究者ですが、資本論全巻と『経済学批判要綱』をゼミで採りあげて、学生と読み通しました。ヘーゲルからのマルクス解釈のような野暮な発言はありませんでしたね。マルクスが何を問題にし、どのような思考をしているのかを探っていました。ヘーゲル研究を超える何かユニークな問題があることを感じていたのかもしれません。内田先生の講義は難解でした。大学院でたった3人の授業だった西洋経済史の増田四郎先生の授業も同じことでした。増田先生が選んだ本はリスト『経済学の国民的体系』でしたが、あれは3人に院生の頭の中から唯物史観を一掃するために選んだものでした。狙い通りの結果、好い選択でした。自分の考えを押し付けたことはありません。テクストを読んでいき、自分の問題意識から、問題を抉り出し、知的巨人を相手に対話する、それだけのことです。そこから何を学び取るかは院生の方の問題です。増田先生は、常に現時点での自分の問題意識から、反応していました。だから、大学の先生には授業技術は不要だと言い切ります。噺家のように「話術の錬磨」は必要ありません。もちろん譬えですよ。授業技術のことです。
問題意識も専門分野も異なるので、共通の教え方なんてないのですから、当然ですね。
小学校の先生には授業技術が必要だと思います。やさしいことを教えるだけでなく、難しいこともやさしく教える、そして生徒の好奇心を掻き立てることができたら、素晴らしいと思います。成績上位10%の生徒たちの好奇心にも応えることができたら、もっとすごい。限がありませんね。そういう職業だと思います。根室管内で名人というレベルの授業ができる人を二人知っています。青坂先生と水野先生のお二人です。教育技術や学級マネジメントに関する本を多数書かれています。
ざっくばらんに言えば、中学校と高校の先生たちは、大学と小学校の間に位置しています。適度な授業技術と専門知識の深さのバランスが要求されます。とくに成績上位層の生徒たちには専門分野の知識が不十分だと、知識の底の浅さを見破られ、相手にされないでしょう。授業技術だけでなく、専門知識を常に深める努力が要求されます。そういう努力ができなくなったら、先生という職業から卒業すべきです。
だから、チャレンジする先生たちの処遇をもっともっとよくしていい。
にほんブログ村
このトピックから、日本の教育が抱えている大きな問題が浮かび上がれば幸いです。適切な問題提起は自ずと解決の方向も示唆します。そういうものなのです。
「隠れたカリキュラム」とは、教育学の専門用語で、学校の先生たち以外はにはなじみがないでしょうから、定義をネットから紹介します拾って紹介します。
「隠れたカリキュラムとは、教育する側が意図する・しないに関わらず、学校における制度や慣行、教員の言葉や態度などを通して、学校のフォーマルなカリキュラムの中にはない、知識、行動の様式や性向、意識やメンタリティが、教師や仲間の生徒たちから学び取られるものを指します。」
問 ∠ACDを求めよ
小学5年生でこのような角度の計算問題が出題されたとしましょう。
式は3通り考えられます。
(1) ①∠ACB=180-(60+47)=73度
②∠ACD=180-73=107度
(2) ∠ACD=180-{180-(60+47)=107度
(3) ∠ACD=60+47=107度
最初の式は2段階方式、2番目の式はそれを一つにまとめたもの、3つ目の式は三角形の外角の定理を知っている生徒が書いた式です。あるいは、2番目の式を整理すると、180度が±で消えて3番目の式になります。
「三角形の外角はそれと隣り合わない内角の和に等しい」というのが「外角の定理です」
代数的な証明も理解できますよ。
a+b+c=180…(ⅰ)
c+d=180…(ⅱ)
(ⅰ)式-(ⅱ)式
a+b-d=0
∴d=a+b
三角形の外角の定理が代数的に証明できました。これ、好奇心の強い成績上位の小学5年生なら理解できますよ。
だから、成績上層の生徒には、「ついでに」どんどん教えちゃいます。スーッと吸収してしまいます。「あ、そういうことか」、英語なら”Aha!”です。好奇心の強い小学生の吸収力は大きいのです。学習指導要領からはみ出して教えてみないと理解できないでしょう。
aha /???h??? / exclamation
used when you suddenly find or understand sth
Aha! Now I understand.
Oxford Wordpower Dictionary Oxford University Press 2012
そういうわけで、三つとも正解です。3番目が一番スマートなことに異論をさしはさむ人はいないでしょう。ところが、3番目の式だと×にする先生が多いというのが現実です。3番目の式を書いてマルをつける先生はとっても稀だと思います。
理由は三つ考えられます。
(ア)外角の定理は教えていないから(小学5年生の学習指導要領には載っていない)
(イ)外角の定理を忘れてしまっている
(ウ)模範解答にはない式だから、間違っている
(ア)の方は理由になりません。文科省自身が学習指導要領は「最低基準」だと、考え方を変えたからです。いままで学習指導要領を金科玉条として教えてきたベテランの先生たちは、文科省が学習指導要領に対する方針を変えても、いままでどおり、教え方を変えられないように見えます。積み上げてきたものをいったん壊して、組み直さなければならないので、抵抗があるのかもしれませんね。勉強もし直さないといけません。なかなかたいへんです。一生勉強ですよね。
? 都立高校入試の数学の問題で、80点以上取れる小学校の先生は果たして何%いるでしょうか?忘れてしまっていて当然です、人間の頭は忘れるようにできているのでね。
(ウ)の理由が案外多い。杓子定規に「模範解答」を金科玉条にして、思考停止している人が多いのです。まるで法学部の学生のようなことを言う。考えていないということでしょう。教科書ガイドを利用して勉強したお利巧さんに多いタイプかもしれません。昔は「虎の巻」といいました。あれは見ればいいだけで、考えないようになります。自分で問題を発見し、試行錯誤することこそが学習の本来の姿なのだと思います。
さて、生徒はどう対応するでしょう?
(a)自分の書いた式が正解であると知ってはいるが、黙ってしまう
(b)外角の定理で解いたことを主張してマルにしてもらう。
ほとんどの生徒が黙ってしまいます。「逆らっている」と受け取る先生がいて得にならないことを知っています。模範解答どおりでないとダメと言う先生が多数派ですよ。こうして成績上位の生徒たちは、忖度に慣れていき、損得勘定でものごとを判断するようにトレーニングされていきます。それが「隠れたカリキュラム」ということです。
(兵庫県の齊藤知事のパワハラが問題になっていますが、小中高と理不尽な授業に耐えた生徒たちは、県職員になっても、理不尽な知事に声をあげないでしょう。中央官庁の官僚たちと大臣にも同じ構図があります。長いものには巻かれろと、腑抜けだらけになりかねません。)
高校卒業するまでこんなことを続けていたら、忖度が「性格」になってしまいます。学力上位層が、理不尽なことでも我慢してやり過ごす性格になるのです。技術革新とかマネジメントの改革は今までのやり方を否定するところに生まれるので、民間企業では使いものになりません。
岩尾俊兵という慶応大学商学部の準教授がいます。『世界は経営でできている』というタイトルの本を書いています。何度かネットにアップされた記事を読んでいますが、マルクス研究者のわたしも、同意見です。「世界は経営でできている」、資本主義社会も共産主義社会」も経営でできています。経済学のキー概念である経営が理解できなかったので、マルクスは労働価値説を選択してしまいました。そして資本論第一巻を出版した後に第2巻の原稿を書き溜めていて、生産性の問題で自分の間違いに気がつきました。だから、資本論第二巻を出さずに、16年間沈黙し続け、亡くなっています。この辺りの事情は弊ブログのカテゴリー「マルクスと数学」で十数本記事をアップしていますので、そちらをご覧ください。とくにマルクス経済学者のみなさんに読んでもらいたい。
話を元へ戻しましょう。成績上位層へのこのような「隠れたカリキュラム」は、何より、理数系の人材潰しになっています。こんなことを戦後79年間も続けているのですから、日本企業がおかしくなるのも無理ありません。
外角の定理は小4の生徒でも、1~2分の解説で簡単に理解できます。実際に、成績上位の10%の生徒たちは知っています。
生徒たちのほとんどがモノを言いませんが、「先生は外角の定理を知らないのか」と判断しますよ。質問もしなくなります、授業は聞いているふりだけ。勉強は塾へ行ってやればいいんだなんて生徒を増やすことになるのです。塾でやる勉強が愉しいという生徒が時々いますが、生徒のニーズに合った授業をしているだけです。
こうして、オピニオンリーダーとしても成長できる、成績上位層の生徒たちが、学校の先生の知識の底の浅さを正確に測り、信用しなくなり、理不尽なことでも、ぶつかることを避けるようになります。成績の良い生徒ほど、小中高と「12年間従順の振りをする」ように訓練されてしまいます。高校卒業するころにはすっかり「性格」になっています。ほとんどがそういう生き方のスタイルや、思考方法を生涯変えられないのです。
教え方も大事ですが、小学校の算数と言えども、せめて中学数学くらいは熟知して、成績上位層の生徒たちを指導できる先生になってもらいたい。できないなら、数学は教科担任制にすべきでしょう。できの好い生徒たちは、小学生でも関連する事項なら、中学や高校数学の内容も理解できます。小学生は、それくらい好奇心が強いのです。
小学生へ、PCが配布されて、授業で利用されているのですから、成績上位10%の生徒たちが、退屈しないような授業の工夫はできませんかね?
院生のときに、渋谷駅前の塾で個別指導で教えた生徒に聞いたことがあります。
「学校の授業の時どうしてる?全部知っていることばかりだろう?」
「授業中は、下向いて違うこと考えています。」
5年生から来た生徒でした。立教女学院(偏差値65)へ進学してます。48年前だったかな。おそらく担任の先生はよくできる生徒でおとなしい性格だと思っていたでしょう。生徒の方は授業に退屈しきっていたのです。それを感じ取れないようでは困ります。
小中高と戦った生徒がいます。国立大医学部現役合格を目指した生徒でした。小学校でも中学校でも高校でも数学担当の先生と衝突してました。学校の授業は彼のニーズには合わない。だから、塾用の難易度の高い問題集を広げて、授業中も勉強してました。時間を無駄にできない、国立大学医学部を目指す都会の生徒は進学校で難易度の高い授業を受けている、田舎の学校にいることを言い訳にして後れを取るわけにはいかない。中高の数学の教科書はまっさらのまま。開いたことすらなかったようでした。元々素直な生徒なのですが、授業を聞かないことに腹を立てる先生が多いのです。じゃまはしていないのだから、放っておいてもらいたいと言ってました。先生たちは「自主的に勉強しろ」と言いながら、実際にそうしていると、「勝手なことするな、俺の授業を聞け」とこうなのです。医学部を目指している他の生徒たちは進学校で難易度の高い授業を受けているのだから、こんなレベルの低い授業を聞いて時間を潰していたらダメになると危機感をもっていました。難易度の高い問題集の、コンパクトな解説を読んで、予習方式で、ほとんど独力で解けるのです。ときどき、シビア―な質問に応え、一般化の操作や、概念の拡張をやって見せたらいいだけです。
「僕の知りたいことが教科書には載っていません」
そう言ってました。
だから、教科書をなぞるような授業は成績上位層にはまったく向いていないのです。この生徒は、中学校では学力テスト、高校では全国模試で毎回学年トップを通しました。そして、偏差45の地元の高校から、国立大医学部へ好成績で現役合格しています。道北道東推薦枠で現役トップ合格でした。2次試験の小論文が300点満点で295点でした。日本語音読指導で6年間で17冊の本を一緒に読んで対話しています。リストは弊ブログ内にあるので、右側の検索ボックスで検索してみたください。
問題の所在を確認しておきます。成績上位層の知的好奇心が旺盛な生徒たちは、勉強も遊びと一緒の感覚なんです。知的好奇心を掻き立てない授業はどんなに上手にやっても興味がないのです。判断基準は、「自分の知的レベルを掻き立てる授業であるか否か」ということです。だから、教科書をなぞるレベルの授業には興味がまったくありません。この事実を書くのは実は胸が痛いのです。教科書を使って授業力を向上させることに情熱を傾けている先生たちがいることを知っているからです。それだけでは解決できない大きな問題があることを知り、その解決にも努力してもらいたいのです。
教え方と教える内容は同じくらい重要ではないでしょうかね。中学校や高校にくらべて、小学校の算数が、教え方では一番難しいかもしれません。英語も同じことが言えます。
質の高い教員を揃えたいなら、処遇を改善しないといけませんね。一律というわけにはいかないでしょう。今までにはない人事評価基準の導入を伴なうので、マネジメントという視点が学校経営に求められます。マネジメント能力の優れた校長は1割もいないでしょう。
現在の処遇では給料の高い民間企業に人材を奪われてしまいます。現実にそうなっています。何らかの制度の変更、そしてマネジメント面での文教政策の改革が必要になるでしょう。なかなか困難な道です。いばらの生い茂ったところに道を拓かないといけません。そういう覚悟をもった文部官僚が出現してもらいたい。そしてそういう官僚をバックアップする先生たちも出現してもらいたい。教育村の内部から、改革の狼煙が上がるところを見たいものです。日本の科学技術、そして企業のマネジメント改革とビジネス倫理の浸透、どれも人材次第ですよ。教育こそが郷土の、そして国の礎ではないでしょうか?
たとえば、数学教育で大切な一般化や概念の拡張は小学校からちゃんと教えることができます。本もレベルの高いものを選んで音読指導して、強靭な読解力を育てられます。日本語の読みがすべての学力の基礎です。
「読み・書き・ソロバン(計算)」
小学生から、これら三つの基本技能ををしっかり育みましょう。
人口減少はデメリットばかりではありません。人口が半減すれば人口一人当たりの資源量は2倍になります。日本経済の行く末は、成績上位10%の生徒たちをどのように育てるかにかかっていると言っても過言ではないでしょう。
<余談:授業技術についての段階論>
わたしは、大学の授業については、授業技術はどうでもいいと思っています。大学の先生に必要なものは、問題意識のユニークさとその分野の深い研究、そして思索の深さが十分であればいいと思います。難解な授業でかまわない、ついてこられる学生だけが学べばいい。手取り足取り教える必要はありません。
大学のゼミでは哲学の市倉宏祐教授(サルトルとヘーゲル研究者、経済学史の内田義彦教授の授業がそうでした。市倉先生はヘーゲル研究者ですが、資本論全巻と『経済学批判要綱』をゼミで採りあげて、学生と読み通しました。ヘーゲルからのマルクス解釈のような野暮な発言はありませんでしたね。マルクスが何を問題にし、どのような思考をしているのかを探っていました。ヘーゲル研究を超える何かユニークな問題があることを感じていたのかもしれません。内田先生の講義は難解でした。大学院でたった3人の授業だった西洋経済史の増田四郎先生の授業も同じことでした。増田先生が選んだ本はリスト『経済学の国民的体系』でしたが、あれは3人に院生の頭の中から唯物史観を一掃するために選んだものでした。狙い通りの結果、好い選択でした。自分の考えを押し付けたことはありません。テクストを読んでいき、自分の問題意識から、問題を抉り出し、知的巨人を相手に対話する、それだけのことです。そこから何を学び取るかは院生の方の問題です。増田先生は、常に現時点での自分の問題意識から、反応していました。だから、大学の先生には授業技術は不要だと言い切ります。噺家のように「話術の錬磨」は必要ありません。もちろん譬えですよ。授業技術のことです。
問題意識も専門分野も異なるので、共通の教え方なんてないのですから、当然ですね。
小学校の先生には授業技術が必要だと思います。やさしいことを教えるだけでなく、難しいこともやさしく教える、そして生徒の好奇心を掻き立てることができたら、素晴らしいと思います。成績上位10%の生徒たちの好奇心にも応えることができたら、もっとすごい。限がありませんね。そういう職業だと思います。根室管内で名人というレベルの授業ができる人を二人知っています。青坂先生と水野先生のお二人です。教育技術や学級マネジメントに関する本を多数書かれています。
ざっくばらんに言えば、中学校と高校の先生たちは、大学と小学校の間に位置しています。適度な授業技術と専門知識の深さのバランスが要求されます。とくに成績上位層の生徒たちには専門分野の知識が不十分だと、知識の底の浅さを見破られ、相手にされないでしょう。授業技術だけでなく、専門知識を常に深める努力が要求されます。そういう努力ができなくなったら、先生という職業から卒業すべきです。
だから、チャレンジする先生たちの処遇をもっともっとよくしていい。
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#5221 毎日繰り返す行動⇒習慣化⇒思考様式の形成:人間の不思議 Apr. 29, 2024 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
朝、家族におはようという。誰かに会うたびに”おはよう”と1年間やり続けたら、それはもうすっかり習慣となっています。3年もやっていたら、「ちゃんと挨拶のできる子だね」ということになります。挨拶しないと気持ちが悪くなりますから、ちゃんと挨拶するという行為が性格の一部になっています。挨拶がちゃんとできるだけでも、その子の未来は明るい。
悪いことを繰り返せば、それが習慣となります。人が見てないからズルしてもいい、見ているときだけちゃんとやろう、そんなことが習慣になってしまえばなかなか変えられません。それが十年続けばもう性格になってしまいます。「あいつは人が見てないとズルするやつだ、そういう性格なんだ」、見る人は見ているのです。自分が一番よくわかっているでしょう。こういう悪習慣も習慣ですから、本人が自覚できてもなかなか変えることができない、性格になってしまえば単なる習慣ではないのですから、ますます変えがたいものになります、人生に碌な影響がありませんから怖いことです。
ところで勉強スタイルがその人の思考習慣を形づくり、いつしか思考の鋳型になることに同意できる人は少なくないと思います。
どういうことか少し具体的に説明してみたいと思います。
難関大学を目指そうとすると、小4くらいから受験勉強をスタートするケースがほとんどでしょう。もちろん効率を重視します。数学なら先取学習でたくさんの解法を覚えてしまうのが効率的です。
数学の学習スタイルは大きく二つに分けることができそうです。効率重視でどんどん解法を覚えてしまうという学習スタイルをタイプA。予習方式で答えを見ないで、時にはウンウンうなりながら1時間でも1日でも考え続け、2日目になってもわからなければ解答を見る、というような自力学習スタイルをタイプBとしましょう。
わからないときにはその章のコンパクトな解説に戻って考える続けることができる、そして概念が呑み込めないと前に進めないという傾向のあるのがタイプBです。
わからなければ解答を参照して効率的に解法を覚えてしまって前に進んで、あとから概念の整理をしようかなというのがタイプAの特徴です。
それぞれメリットとデメリットがあります。実は学習塾を初めて2年後くらいに同じ学年に典型的なタイプAとタイプBの生徒がいました。中学校で男子の中でトップと2番目の成績の生徒でした。それぞれ異なった学習スタイルだったので、興味津々でしっかり観察しました。スタイルは高校卒業するまで変わらなかったようです。
小4から高校3年までこうした学習法を9年間続けたら、その学習法を支える思考習慣がその人の「思考の鋳型」となります。
タイプAは正解を見るとか教えてもらえばいいだけですから、「正解を見て覚える」「教えてもらう」という依存型の思考習慣を9年間育むことになります。
タイプBは「わからなければ基本に戻って自力で考える」という思考習慣を9年かけて磨き抜きます。自力で解決ができなかったわずかな問題だけを質問します。中学、高校と学年が進むほど質問が少なくなる傾向があります。経験の積み重ねで、自力で問題を解決できる範囲が広くなるからでしょう。よほどできる生徒でないとタイプBの生徒が難関大学へ進学することは不可能かもしれません。
効率重視のタイプAの方が、大学受験だけを考えたら圧倒的に有利なのです。
では、社会人になったときはどうでしょう?
タイプAは前例踏襲型の仕事が向いていますね、公務員がぴったりです。東大法学部卒業生にキャリア官僚を目指すものが多いのは理由のあることなのでしょう。それまで育んだ「思考の鋳型」にぴったりです。
民間企業の仕事には前例のないものが多いのです。だからタイプAは職位ががるにつれて挫折するケースが多くなります。「難問にぶつかると基本へ戻って自力で考え続ける」タイプBはうってつけです。大学受験までの9年間、そして大学へ進学してからも、同じ思考スタイルで考え・学習するからです。社会人になっても「思考の鋳型」を変更する必要はありません。鋳型を変えるにはいままでのものを叩き壊して、一から造りなおすしかありません。
誤解のないように念を押しておきますが、中高一貫の進学校にもそして難関大卒にも3%ぐらいはタイプBがいます。
「思考の鋳型」が受験勉強の9年間で、すっかりできあがってしまうと、それは習慣の集積ですから、無意識です。だから、ほとんどの人が変えられません。人間の思考は機械のスイッチと違ってオン・オフできないのです。タイプAからタイプBへは簡単には変えれれません。変えようとしたら、受験勉強に費やした時間以上かかるでしょう。
わたしは、数人規模の紳士服の小さな製造卸の会社に3年間、200人規模の産業用エレクトロニクス輸入専門商社に6年間、4000人規模の臨床検査会社に16年間、300ベッド弱の療養型病院に1.5年間、外食産業の企業の上場準備の仕事を1.5年間しました。
いわゆる難関大卒(東大理Ⅲ、京大、一ツ橋大、慶応大医学部など、20~30人ほど)の人たちとも一緒に仕事しましたが、頭脳が柔軟でタイプBの人は一人か二人でした。おそらく東大出身者でも3%くらいでしょう。この比率は難関大学ではないほうが多そうです。たいした受験勉強してない人が少なくないからです、効率重視の勉強スタイルを築き上げる必要がなかった人たちです。
大学へ入学してから毎日8~12時間、同じスタイル(タイプB)で猛烈に勉強してます。公認会計士2次試験に3年次で合格する人や、そのまま大学院へ進学して大学に残る人たちにそういうタイプがいました。母校の教授になって週に2度東大へ講師でマーケティングの授業を持っていたTさんもそういうタイプでした。彼は院生の時代に毎日十数時間、研究に没頭してました。
普通のスタミナの人があまり研究に没頭しすぎると精神を病みますので注意しましょう。自律神経系が興奮したまま、暴走するからです。不眠状態が訪れたら数日休んで身体を動かし頭をクールダウンしましょう。
母親の介護のこともあって、2002年11月に古里へ戻って、20年間小さな学習塾を営みました。あるとき国立大学医学部志望の生徒が小5の1月に入塾してきましたが、弱点になっている国語は教えず、読解力の段階に応じて17冊選んで日本語音読トレーニングをしました。読解力を大学のトップレベルのゼミの学生と同等レベルに引き上げるためです。「読み・書き・そろばん」といいますが、これは優先順位も表しています。「読み」のスキルが一番大切なのです。すべての教科が日本語で書かれていますから、読んで正確に意味がつかめなければいけません。読んでわかってしまえば、小学校や中学校で学ぶ必要がなくなります。暇をつくって別のことを学んだらいい。とくに人とのコミュニケーション・スキルを磨くことが重要です。学校行事に参加してクラスをまとめ上げる仕事をしてみるなんてこと、あるいはブカツや生徒会活動で何かを変える仕事をしてみる。思春期に経験しなければつかめないことがたくさんあります。切磋琢磨する中で自然にリーダーが産まれます。周りが認める人間が出てきます。
国立大医学部志望のこの生徒は偏差値45の根室高校から道東・道北推薦枠で現役トップで合格しています。二次試験の小論文テストで300点満点で295点をたたき出しました。17冊の日本語音読トレーニングは、ときどき書いてある内容について質問や対話があります。著者の意見、対立する考え方、そして自分の意見を比較検討することをよくやっていました。中3あたりからは大学のゼミレベルでした。よくできる生徒でしたね。「友人に教えてくれと頼まれたら決して断ってはならない、親身に教えること、それは人のためではなく自分のために必ずなります」「(クラス対抗)の学校行事には率先して参加すること」を求めました。よくやっていました。数学は札幌の進学校へ行った生徒にもPCとスマホを利用して教えてました。(笑)
(昨年、血液の癌で逝った根室高校最後の総番長のヒロシもそうして350人の同期が認めたリーダーの一人でした。リーダーというのはなろうとして成れるものではなさそうです。あいつの周りには人が好く集まりまました。周りの人間がリーダーと認めるのです。自然の成り行きで決まります。人間にかわいげがありましたね、好い同級生・友人でした。東京の大学への進学を誘ったのは仲のよかったあいつでした。あいつがいなければわたしは東京へは出てきませんでした。担任から勧められた学校推薦で、日銀釧路支店へ就職したかもしれません。独学で公認会計士二次試験を受験するつもりで高2のときから勉強してましたので、高校3年の12月まで大学進学の意志はありませんでした。小学生の時から家業のビリヤード店で遊んでいましたし、店番を毎日数時間手伝っていました。高校卒業までずっとそうしてました。中学生の時から、公認会計士二次試験に合格してから故郷を出ていこうと、漠然と思っていました。)
さて、まとめです。単純な事実ですよ。毎日繰り返すことは習慣となります。無意識にやっている習慣はいつか人格や性格に一部になってしまいます。
毎日やっている学習スタイルが思考習慣を形成します。9年間かけて築いた思考習慣は「思考の鋳型」となって、人格の一部を形成してしまいますから、大学生になったからとか社会人になったからといって都合よく切り換えられるものではありません。
効率の良い学習スタイルはそれなりの思考の鋳型(タイプA)を育んでしまいます。効率の悪い学習スタイルはタイプBの思考の鋳型に結実します。
どのような学習スタイルを選択するかは個人の好みや目標とするものによるでしょうが、日本の民間企業に不足している人材はタイプBです。
<余談-1:マルクス経済学者などのタイプ分け>
『人新世の資本論』の著者の斉藤幸平氏は典型的なタイプAに見えます。マルクスの膨大な遺稿をドイツ留学して読んだ研究者です。マルクスの遺稿をよく勉強してます。でも答えが遺稿の中にないとしたらどうでしょう?『資本論第一巻初版』を読んで、なぜ第二巻が出せなかったのか、そうした重要な事実からその理由を考えなければならないのです。遺稿をいくら読んでも正解は書いてありません。都合が悪いところは書き残さなかった、マルクスは論理の破綻に気づいてしまったのです。それが資本論第二巻を出せなかった理由です。斉藤氏の著作は受験勉強スタイルの延長線上にあるように見えます。
#5015 斎藤幸平氏の大きな勘違いはなぜ生じたのか? Jul. 14, 2023
悪いことを繰り返せば、それが習慣となります。人が見てないからズルしてもいい、見ているときだけちゃんとやろう、そんなことが習慣になってしまえばなかなか変えられません。それが十年続けばもう性格になってしまいます。「あいつは人が見てないとズルするやつだ、そういう性格なんだ」、見る人は見ているのです。自分が一番よくわかっているでしょう。こういう悪習慣も習慣ですから、本人が自覚できてもなかなか変えることができない、性格になってしまえば単なる習慣ではないのですから、ますます変えがたいものになります、人生に碌な影響がありませんから怖いことです。
ところで勉強スタイルがその人の思考習慣を形づくり、いつしか思考の鋳型になることに同意できる人は少なくないと思います。
どういうことか少し具体的に説明してみたいと思います。
難関大学を目指そうとすると、小4くらいから受験勉強をスタートするケースがほとんどでしょう。もちろん効率を重視します。数学なら先取学習でたくさんの解法を覚えてしまうのが効率的です。
数学の学習スタイルは大きく二つに分けることができそうです。効率重視でどんどん解法を覚えてしまうという学習スタイルをタイプA。予習方式で答えを見ないで、時にはウンウンうなりながら1時間でも1日でも考え続け、2日目になってもわからなければ解答を見る、というような自力学習スタイルをタイプBとしましょう。
わからないときにはその章のコンパクトな解説に戻って考える続けることができる、そして概念が呑み込めないと前に進めないという傾向のあるのがタイプBです。
わからなければ解答を参照して効率的に解法を覚えてしまって前に進んで、あとから概念の整理をしようかなというのがタイプAの特徴です。
それぞれメリットとデメリットがあります。実は学習塾を初めて2年後くらいに同じ学年に典型的なタイプAとタイプBの生徒がいました。中学校で男子の中でトップと2番目の成績の生徒でした。それぞれ異なった学習スタイルだったので、興味津々でしっかり観察しました。スタイルは高校卒業するまで変わらなかったようです。
小4から高校3年までこうした学習法を9年間続けたら、その学習法を支える思考習慣がその人の「思考の鋳型」となります。
タイプAは正解を見るとか教えてもらえばいいだけですから、「正解を見て覚える」「教えてもらう」という依存型の思考習慣を9年間育むことになります。
タイプBは「わからなければ基本に戻って自力で考える」という思考習慣を9年かけて磨き抜きます。自力で解決ができなかったわずかな問題だけを質問します。中学、高校と学年が進むほど質問が少なくなる傾向があります。経験の積み重ねで、自力で問題を解決できる範囲が広くなるからでしょう。よほどできる生徒でないとタイプBの生徒が難関大学へ進学することは不可能かもしれません。
効率重視のタイプAの方が、大学受験だけを考えたら圧倒的に有利なのです。
では、社会人になったときはどうでしょう?
タイプAは前例踏襲型の仕事が向いていますね、公務員がぴったりです。東大法学部卒業生にキャリア官僚を目指すものが多いのは理由のあることなのでしょう。それまで育んだ「思考の鋳型」にぴったりです。
民間企業の仕事には前例のないものが多いのです。だからタイプAは職位ががるにつれて挫折するケースが多くなります。「難問にぶつかると基本へ戻って自力で考え続ける」タイプBはうってつけです。大学受験までの9年間、そして大学へ進学してからも、同じ思考スタイルで考え・学習するからです。社会人になっても「思考の鋳型」を変更する必要はありません。鋳型を変えるにはいままでのものを叩き壊して、一から造りなおすしかありません。
誤解のないように念を押しておきますが、中高一貫の進学校にもそして難関大卒にも3%ぐらいはタイプBがいます。
「思考の鋳型」が受験勉強の9年間で、すっかりできあがってしまうと、それは習慣の集積ですから、無意識です。だから、ほとんどの人が変えられません。人間の思考は機械のスイッチと違ってオン・オフできないのです。タイプAからタイプBへは簡単には変えれれません。変えようとしたら、受験勉強に費やした時間以上かかるでしょう。
わたしは、数人規模の紳士服の小さな製造卸の会社に3年間、200人規模の産業用エレクトロニクス輸入専門商社に6年間、4000人規模の臨床検査会社に16年間、300ベッド弱の療養型病院に1.5年間、外食産業の企業の上場準備の仕事を1.5年間しました。
いわゆる難関大卒(東大理Ⅲ、京大、一ツ橋大、慶応大医学部など、20~30人ほど)の人たちとも一緒に仕事しましたが、頭脳が柔軟でタイプBの人は一人か二人でした。おそらく東大出身者でも3%くらいでしょう。この比率は難関大学ではないほうが多そうです。たいした受験勉強してない人が少なくないからです、効率重視の勉強スタイルを築き上げる必要がなかった人たちです。
大学へ入学してから毎日8~12時間、同じスタイル(タイプB)で猛烈に勉強してます。公認会計士2次試験に3年次で合格する人や、そのまま大学院へ進学して大学に残る人たちにそういうタイプがいました。母校の教授になって週に2度東大へ講師でマーケティングの授業を持っていたTさんもそういうタイプでした。彼は院生の時代に毎日十数時間、研究に没頭してました。
普通のスタミナの人があまり研究に没頭しすぎると精神を病みますので注意しましょう。自律神経系が興奮したまま、暴走するからです。不眠状態が訪れたら数日休んで身体を動かし頭をクールダウンしましょう。
母親の介護のこともあって、2002年11月に古里へ戻って、20年間小さな学習塾を営みました。あるとき国立大学医学部志望の生徒が小5の1月に入塾してきましたが、弱点になっている国語は教えず、読解力の段階に応じて17冊選んで日本語音読トレーニングをしました。読解力を大学のトップレベルのゼミの学生と同等レベルに引き上げるためです。「読み・書き・そろばん」といいますが、これは優先順位も表しています。「読み」のスキルが一番大切なのです。すべての教科が日本語で書かれていますから、読んで正確に意味がつかめなければいけません。読んでわかってしまえば、小学校や中学校で学ぶ必要がなくなります。暇をつくって別のことを学んだらいい。とくに人とのコミュニケーション・スキルを磨くことが重要です。学校行事に参加してクラスをまとめ上げる仕事をしてみるなんてこと、あるいはブカツや生徒会活動で何かを変える仕事をしてみる。思春期に経験しなければつかめないことがたくさんあります。切磋琢磨する中で自然にリーダーが産まれます。周りが認める人間が出てきます。
国立大医学部志望のこの生徒は偏差値45の根室高校から道東・道北推薦枠で現役トップで合格しています。二次試験の小論文テストで300点満点で295点をたたき出しました。17冊の日本語音読トレーニングは、ときどき書いてある内容について質問や対話があります。著者の意見、対立する考え方、そして自分の意見を比較検討することをよくやっていました。中3あたりからは大学のゼミレベルでした。よくできる生徒でしたね。「友人に教えてくれと頼まれたら決して断ってはならない、親身に教えること、それは人のためではなく自分のために必ずなります」「(クラス対抗)の学校行事には率先して参加すること」を求めました。よくやっていました。数学は札幌の進学校へ行った生徒にもPCとスマホを利用して教えてました。(笑)
(昨年、血液の癌で逝った根室高校最後の総番長のヒロシもそうして350人の同期が認めたリーダーの一人でした。リーダーというのはなろうとして成れるものではなさそうです。あいつの周りには人が好く集まりまました。周りの人間がリーダーと認めるのです。自然の成り行きで決まります。人間にかわいげがありましたね、好い同級生・友人でした。東京の大学への進学を誘ったのは仲のよかったあいつでした。あいつがいなければわたしは東京へは出てきませんでした。担任から勧められた学校推薦で、日銀釧路支店へ就職したかもしれません。独学で公認会計士二次試験を受験するつもりで高2のときから勉強してましたので、高校3年の12月まで大学進学の意志はありませんでした。小学生の時から家業のビリヤード店で遊んでいましたし、店番を毎日数時間手伝っていました。高校卒業までずっとそうしてました。中学生の時から、公認会計士二次試験に合格してから故郷を出ていこうと、漠然と思っていました。)
さて、まとめです。単純な事実ですよ。毎日繰り返すことは習慣となります。無意識にやっている習慣はいつか人格や性格に一部になってしまいます。
毎日やっている学習スタイルが思考習慣を形成します。9年間かけて築いた思考習慣は「思考の鋳型」となって、人格の一部を形成してしまいますから、大学生になったからとか社会人になったからといって都合よく切り換えられるものではありません。
効率の良い学習スタイルはそれなりの思考の鋳型(タイプA)を育んでしまいます。効率の悪い学習スタイルはタイプBの思考の鋳型に結実します。
どのような学習スタイルを選択するかは個人の好みや目標とするものによるでしょうが、日本の民間企業に不足している人材はタイプBです。
<余談-1:マルクス経済学者などのタイプ分け>
『人新世の資本論』の著者の斉藤幸平氏は典型的なタイプAに見えます。マルクスの膨大な遺稿をドイツ留学して読んだ研究者です。マルクスの遺稿をよく勉強してます。でも答えが遺稿の中にないとしたらどうでしょう?『資本論第一巻初版』を読んで、なぜ第二巻が出せなかったのか、そうした重要な事実からその理由を考えなければならないのです。遺稿をいくら読んでも正解は書いてありません。都合が悪いところは書き残さなかった、マルクスは論理の破綻に気づいてしまったのです。それが資本論第二巻を出せなかった理由です。斉藤氏の著作は受験勉強スタイルの延長線上にあるように見えます。
#5015 斎藤幸平氏の大きな勘違いはなぜ生じたのか? Jul. 14, 2023
古い人では宇野弘蔵氏がタイプBではないかと思います。三段階論という彼の方法論のはマルクスにはありません。わたしの知る限り、そのシューレ(宇野学派)でタイプBだったのは「過剰富裕化論」を提唱された馬場宏二先生です。他の大勢の宇野シューレの経済学者のみなさんはタイプAに見えます。宇野先生の学説をベースにとってもよく学習されていました。効率の良い受験勉強スタイルの延長線上の経済学者たちのようです。
経済学者ではありませんが、友人の遠藤利國はタイプBに分類します。彼の著作はどれも面白い。哲学勉強するのに、ギリシア語から勉強し直していました。とても大きな迂回でした、あの当時もいまもそんな院生はとっても珍しかったのです。効率をかなぐり捨ててました。彼にとってはそれが一番効率的だったのでしょうね。それが彼の著作を面白いものにしています。哲学者が書いた正岡子規論や福沢諭吉論、大学生や社会人は一度読んでみたらいい。
大数学者の岡潔先生も典型的なタイプBの人でした。旧制中学受験で躓いたことがあったかな。旧制中学時代に自力で難解な数学書を読んでいますね。思いつくと棒で地面に数式を書き出し、何時間もそのまま没頭しているなんてことの多かった人です。数学研究に没頭する準備として、禅の修行や俳句の研究に没頭します。彼にとってはそれが必要なことだったからです。ある時夢を見て、二人の修行僧に抱えられて道元の前に連れていかれ、灌頂を受けたと語っています。それからは道元の『正法眼蔵』に書かれていることが手に取るように理解できると。わたしはあの本の内容がさっぱり理解できません。でも、初期仏教経典群を読むことで、釈迦の言っていることは理解できます。
中国経由の経典群は表意文字である漢字に翻訳されたことで、漢字のもつ意味が混じって、衆生には理解しがたいものに化けてしまいました。化ける前の、釈迦が衆生に説かれたものにもっとも近い南伝の初期仏教経典群は繰り返しと比喩の多い実に理解しやすいものになっています。道元は南伝の初期仏教経典群『阿含経経典』を知りませんでした。
*#5207 歴史的順序と論理的順序:『資本論』の論理的破綻と新しい経済モデルについて Apr. 8, 2024 [A2. マルクスと数学]
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これら5冊は読みました。
他に古代ギリシア関係の翻訳書が多いようです。
増谷文雄訳の阿含経典群は全部で6冊あります。繰り返し読みました。釈迦の透明な知性に触れることができます。
他に古代ギリシア関係の翻訳書が多いようです。
増谷文雄訳の阿含経典群は全部で6冊あります。繰り返し読みました。釈迦の透明な知性に触れることができます。
#5203 成績上位10%の生徒たちの理解力と指導の仕方 Mar.28, 2024 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
小学校高学年での算数の教え方が、高校生になったときに数学や化学や物理の理解力に大きな差を生じることを、具体例でお話ししようと思います。
問1 サトル君は時速5㎞で3時間歩きました、歩いた距離は何キロメートルでしょう?
問2 札幌まで380㎞あります。平均時速60㎞で走ったら何時間何分で着くでしょう?
問3 底面が正方形で辺の長さが15㎝、高さが8mmの直方体の体積を求めよ。
小学6年生の問題としては基本問題ですが、これ3問全部正解できる生徒は1/3いますでしょうか?
極東の町の小学校の先生たちは「ハジキ」というやり方で教えていました。便利な方法ですが、数学的思考を育めまないので、お勧めできません。
問2と問3は単位の換算が関わる問題です。
「ハジキ」の計算式に当てはめると、
問1 5x3=6km 答え6km
問2 380÷60=6と20/60、 20/60=/1/3、 60x(1/3)=20分
答え6時間20分
問3 15x15x0.8=180 答え180㎝^3
ところで、速さは内包量、比の値でもあります。同じ仲間には食塩水問題での食塩の濃度、合計・個数・平均値の問題での平均、人口密度、縮尺などがあります。人口密度と縮尺は中学社会科の問題でも出題されることがあります。
並べてみます。
① 距離 食塩 合計 人口 …
② 時間 食塩水 個数 面積 ...
③ 速さ 濃度 平均 人口密度 ...
言葉はそれぞれ違っていますが、計算操作はどれも同じで区別がありません。
①=②x③
②=①÷③
③=①÷②
表にして、並べて並べて見せたら、計算操作が同じであることに成績上位10%の生徒たちはすぐに気がつきます。
だから、これらの計算を別々に覚える必要がないことも理解します。
これって、とても重要なことなのです。高校数学の教科書及び問題集に『佐藤のシリーズ』というのが十数冊出版されています。分野別に解法を細分して解説しています。とても便利なものです。細分された解法がいくつあるのかカウントしたことがあります。500を超えていました。これだけの数の解法を習得するにに3年間で足りますか?足りないと思います。これが100種類にまとめ上げられたら、ほとんどの人が高校数学全分野を自在に歩くことができます。だから、同じ計算操作のものは一つにまとめたほうが好いのです。500以上も解法を覚えたらそれだけでパンクします。他の教科をそれほど大きくない記憶エリアに保管することができませんよ。同型性のあるものをまとめる、あるいは「一般化」という操作の重要性がわかると思います。
問3の問題は実に重要です。初見だと次のようなミスをほとんどの生徒がします。
15x15x8=1800㎝^3
単位を揃えないといけませんが、なぜ揃えないといけないかを理解している生徒は滅多にいません。
学校の授業では単位を揃えなければならないと説明はしているはずです。
簡単なのです。
単位だけを取り出して計算すると、
問1 ㎞/時x時=km
問2 ㎞÷時=㎞/時
問3 ㎝x㎝xmm=? ㎝x㎝x㎝=cm^3
単位の計算を別に解説してやれば、理屈は呑み込めます。
加速度はΔv/Δtで表されますが、Δv=Δl/Δtですから、
Δv/Δt=Δl/Δt^2
長さの単位をmに、時間の単位を秒(second)にとって、具体的に書くと、
m/s^2
これには、無限小という微分概念が入ってきますが、単位の意味は図示してやれば、概念の呑み込みのよい小学生なら理解できます。もちろん、単位の意味と計算操作を理解してもらうのが狙いです。小学高学年の成績上位10%の受容力は、こんな説明がすんなり脳に収まるほどやわらかく大きいのです。小学校で算数を教えている先生たちのほとんどが気がついていないでしょう。そんな生徒に標準的な難易度の授業をしても、生徒が文句を言わないのは、退屈さを我慢をしているからです。大人に文句を言うとしっぺ返しがあると知っているからです。お利巧な対応です。優秀な子どもたちがじっと我慢して堪えていることにすら気がつけないのでは、教師としての資質が問われます。いつまで、こういう子たちを我慢させたまま放置しているのでしょう?制度設計にも関係がありますから、文科省もかかわる問題です。
さて、同じ計算操作で異なる種類の文章題が解けるということ。このような観方や思考の仕方を「一般化」と言います。個別の問題から、それぞれに特殊な解法を学び、そこからさらに抽象度を上げて、一般的な計算操作を導き出します。記憶しなければならない事項が数分の一に減らせます。同じ記憶容量だったら、一般化して記憶する生徒の方が断然学力が高くなってしまうというのはモノの道理です。
ところで微分の計算操作は簡単です。小学生でも、三角関数や対数関数の微分の出てこない数Ⅱ分野までなら理解し実際に計算できます。
(無限小に分割するという概念を捕まえるのがむずかしいのです。『資本論』でつとに有名なマルクス(の数学の学習ノート)『数学手稿』をみると微分概念を理解できなかったことがわかります。19世紀ですから、仕方ありませんね。でも数学分野では劣等生だったことは否めませんね。苦手意識はあったでしょうね、だから、ユークリッド『原論』を読んだ形跡がありません。皮肉なことに彼の学位論文はユークリッドのお隣さんともいうべき領域のギリシア自然哲学に関するものでした。科学の体系構成(演繹的体系構成)として最初のものであったユークリッド『原論』を知らなかったので、流行りのヘーゲル弁証法でやってしまい、途中で頓挫、資本論の続巻が書けませんでした。マルクスが書いたのは第一巻のみ、第二巻と第三巻はマルクスの死後エンゲルスが膨大な遺稿を整理・編集したものです。存命だったら、出版を許さなかったでしょう。マルクスはその方法的な破綻に気がついていたのだろうと思います。資本論第一巻を出版してから、死ぬまでの16年間、資本論第二巻を出版しようとはしなかったことに、それ以外の説明はないでしょう。第2巻で予定していた市場論を書き進めるうちに方法的破綻に気がついてしまったのです。当前の帰結でした。生産性という概念を導入すると労働価値説が破綻することは、弊ブログですでに解説しています。)
こういう単位の計算操作に慣れておけば、高校生になって物理で加速度が、化学でモル計算が出てきても、たじろぎません。単位の計算操作の仕組みはすでに理解していますから、あとは微分やアボガドロ数などの新しい概念に慣れるだけでいいのです。ハードルがグンと下がります。
単位の計算操作は小4の普通の成績の生徒でも理解し運用できます。要は教え方次第です。想像で述べているのではありません、実証データに基づいて書いています。
学力上位10%層は、それ以下の生徒達とは指導の仕方・授業内容が違って当たり前です。計算速度においてすら速い生徒と遅い生徒では30:1の差があります。これは中1の生徒たった5人で実測したデータです。標準的な難易度の授業では、上位10%の生徒は退屈しきっていますが、先生たちはそういうことをご存じでしょうか?おりこうさんが多いから、我慢して沈黙しているのです。たまに反抗的な生徒が現れます。そういう生徒は成績が良いからクラスメンバーに大きな影響力を持っています。高圧的な態度で臨むと反抗心が強くなります。理不尽なことさえしなければ、いたって温和で、授業に協力的なのです。先生よりも説明の巧い生徒もいますから、上手に使ってやればいいのですが、人の使い方の上手な人は民間企業でもとても少ないのです。だからたいがいの先生は、扱いを間違えて火傷します。学芸大や教育大で、そうした生徒の扱いについて実践的な授業があればいいのでしょう。大学の先生たちにはハードルが高い。
なぜ「ハジキ」なんていう、イージーな方法が小学校の先生たちの間で広く普及して、批判が生まれないのかについては、小学校の教員たちが集まって教育研修を繰り返すからでしょうね。
視野が高校数学や物理や化学のほうまで届かないからでしょう。小学校・中学校・高校で先生たちは孤立したグループをつくっている研修しているように見えます。
そして、教員養成大学には、数学があまり得意ではない学生たちが多いということも遠因になっているかもしれませんね。それぞれのテリトリーの中で、「教育村」という狭い閉鎖集団の中だけにとどまっていてはいけないのではないでしょうか?
授業のやり方、指導の仕方は無限大です。完成した形はない、そう考えたら、現在の指導法を批判する視点が必ず出てくるはずです。
<「読み書きそろばん(計算)」スキルの重要性>
「読み・書き・そろばん(計算)」スキルは学力の基本をなしていますが、日本語読解力は小中高大と一気通貫で、どのようなレベルのスキルを身につけるのかという視点がないことが、大きな問題に感じられます。
基礎的なスキルとして「先読みスキル」がありますが、音読している箇所よりも先を同時に黙読して意味のカタマリを判断したり、段落ごとの論理整合性をチェックしながら、脳はマルチタスク処理をしています。だから、先読みができるようになると、地頭がよくなります。そして、物事を考える時には日本語で考えますから、語彙が多いほど考えるのも考えた結果を相手に伝えるにも便利です。他分野の専門家と話すときには、相手の分野の基礎的な専門知識がなければ意思の疎通がうまくいかないので、異分野の専門書を読む読解力が必要です。
社会人になってからは、語彙が豊富でないと、状況を的確に上司に説明できませんし、説得力のある提案書や報告書も書けませんから、仕事上で支障が出ます。日常的に意思疎通に齟齬が生じます。専門分野の異なる人にも理解してもらうために、平易な言葉で話したり、文書を書く機会も増えます。仕事の半分くらいはなんらかのコミュニケーションで成り立っています。上司や同僚、社外の取引先の営業マンやさまざまな分野の技術者と接点が生じるので、否応なしにコミュニケーションすることになります。そこに問題があれば、仕事はうまく進まないのです。職位が上がって部下を持てば部下とのコミュニケーションが仕事に占める比率が上がります。課長よりは部長、部長よりは数部門を束ねなければならない取締役と、階段を上るたびにコミュニケーションの比率は上がってきます。社外の人たちとのネットワークも広がります。
コミュニケーションスキルは豊かな語彙に支えられている部分がありますが、若いうちはそういうことがなかなか理解しにくいかもしれません。だからこそ、小学校の先生たちや中学校や高校の先生たちが、このような小学生から社会人までの「一気通貫の視点」を持って、子どもたちの読書力を育んでもらいたいと願っています。
中高生で本をたくさん読んでいる生徒たちのには、読めない漢字をスルーして読み飛ばしている者が多いのです。これでは何冊読んでも語彙力は大きくならないでしょう。
音読させてみたら、読み飛ばしも、どの程度読めているかもすぐにわかります。日本語音読指導は、適切な語彙レベルのテクストを選び、小中高と一貫してやる必要がありそうです。
<余談-1:速度と食塩水の問題>
極東の町の中学生で速度や食塩水の濃度の問題が正解できる生徒は10%以下でした。「速さ」や「濃度」という内包量の概念が把握できていないことと、計算操作に共通性があることを知らないからです。まったく別の種類の文章題だと思い込んでいますから、解ける生徒が滅多にいないのも合点がいきます。
2005年頃は、中1の定期テストに食塩水の出題がなされていました。ある時期からどの学校も出題しなくなりました。正解者がほとんどいないから、出題しても無理だと数学担当の先生たちが判断したからでしょう。内包量や比の値の概念をちゃんと教えてあげたらよかっただけです。速度の問題も食塩水の濃度の問題も平均値の問題も人口密度の問題も縮尺の問題も、解き方は同じだとわかっていれば、速度の問題ができるけど、食塩水の問題や他の問題が苦手で解けないなんてことが起きません。
<余談-2:次元の立体格子点>
夏目翔平著『やさしく物理』(朝倉書店)p.2に「次元の立体格子点」が図示されています。力学の物理量を「x軸が長さ(m)、y軸が時間(s)、z軸が質量(kg)で、3次元空間に格子点として表示して立体図」にしたものです。
問1 サトル君は時速5㎞で3時間歩きました、歩いた距離は何キロメートルでしょう?
問2 札幌まで380㎞あります。平均時速60㎞で走ったら何時間何分で着くでしょう?
問3 底面が正方形で辺の長さが15㎝、高さが8mmの直方体の体積を求めよ。
小学6年生の問題としては基本問題ですが、これ3問全部正解できる生徒は1/3いますでしょうか?
極東の町の小学校の先生たちは「ハジキ」というやり方で教えていました。便利な方法ですが、数学的思考を育めまないので、お勧めできません。
問2と問3は単位の換算が関わる問題です。
「ハジキ」の計算式に当てはめると、
問1 5x3=6km 答え6km
問2 380÷60=6と20/60、 20/60=/1/3、 60x(1/3)=20分
答え6時間20分
問3 15x15x0.8=180 答え180㎝^3
ところで、速さは内包量、比の値でもあります。同じ仲間には食塩水問題での食塩の濃度、合計・個数・平均値の問題での平均、人口密度、縮尺などがあります。人口密度と縮尺は中学社会科の問題でも出題されることがあります。
並べてみます。
① 距離 食塩 合計 人口 …
② 時間 食塩水 個数 面積 ...
③ 速さ 濃度 平均 人口密度 ...
言葉はそれぞれ違っていますが、計算操作はどれも同じで区別がありません。
①=②x③
②=①÷③
③=①÷②
表にして、並べて並べて見せたら、計算操作が同じであることに成績上位10%の生徒たちはすぐに気がつきます。
だから、これらの計算を別々に覚える必要がないことも理解します。
これって、とても重要なことなのです。高校数学の教科書及び問題集に『佐藤のシリーズ』というのが十数冊出版されています。分野別に解法を細分して解説しています。とても便利なものです。細分された解法がいくつあるのかカウントしたことがあります。500を超えていました。これだけの数の解法を習得するにに3年間で足りますか?足りないと思います。これが100種類にまとめ上げられたら、ほとんどの人が高校数学全分野を自在に歩くことができます。だから、同じ計算操作のものは一つにまとめたほうが好いのです。500以上も解法を覚えたらそれだけでパンクします。他の教科をそれほど大きくない記憶エリアに保管することができませんよ。同型性のあるものをまとめる、あるいは「一般化」という操作の重要性がわかると思います。
問3の問題は実に重要です。初見だと次のようなミスをほとんどの生徒がします。
15x15x8=1800㎝^3
単位を揃えないといけませんが、なぜ揃えないといけないかを理解している生徒は滅多にいません。
学校の授業では単位を揃えなければならないと説明はしているはずです。
簡単なのです。
単位だけを取り出して計算すると、
問1 ㎞/時x時=km
問2 ㎞÷時=㎞/時
問3 ㎝x㎝xmm=? ㎝x㎝x㎝=cm^3
単位の計算を別に解説してやれば、理屈は呑み込めます。
加速度はΔv/Δtで表されますが、Δv=Δl/Δtですから、
Δv/Δt=Δl/Δt^2
長さの単位をmに、時間の単位を秒(second)にとって、具体的に書くと、
m/s^2
これには、無限小という微分概念が入ってきますが、単位の意味は図示してやれば、概念の呑み込みのよい小学生なら理解できます。もちろん、単位の意味と計算操作を理解してもらうのが狙いです。小学高学年の成績上位10%の受容力は、こんな説明がすんなり脳に収まるほどやわらかく大きいのです。小学校で算数を教えている先生たちのほとんどが気がついていないでしょう。そんな生徒に標準的な難易度の授業をしても、生徒が文句を言わないのは、退屈さを我慢をしているからです。大人に文句を言うとしっぺ返しがあると知っているからです。お利巧な対応です。優秀な子どもたちがじっと我慢して堪えていることにすら気がつけないのでは、教師としての資質が問われます。いつまで、こういう子たちを我慢させたまま放置しているのでしょう?制度設計にも関係がありますから、文科省もかかわる問題です。
さて、同じ計算操作で異なる種類の文章題が解けるということ。このような観方や思考の仕方を「一般化」と言います。個別の問題から、それぞれに特殊な解法を学び、そこからさらに抽象度を上げて、一般的な計算操作を導き出します。記憶しなければならない事項が数分の一に減らせます。同じ記憶容量だったら、一般化して記憶する生徒の方が断然学力が高くなってしまうというのはモノの道理です。
ところで微分の計算操作は簡単です。小学生でも、三角関数や対数関数の微分の出てこない数Ⅱ分野までなら理解し実際に計算できます。
(無限小に分割するという概念を捕まえるのがむずかしいのです。『資本論』でつとに有名なマルクス(の数学の学習ノート)『数学手稿』をみると微分概念を理解できなかったことがわかります。19世紀ですから、仕方ありませんね。でも数学分野では劣等生だったことは否めませんね。苦手意識はあったでしょうね、だから、ユークリッド『原論』を読んだ形跡がありません。皮肉なことに彼の学位論文はユークリッドのお隣さんともいうべき領域のギリシア自然哲学に関するものでした。科学の体系構成(演繹的体系構成)として最初のものであったユークリッド『原論』を知らなかったので、流行りのヘーゲル弁証法でやってしまい、途中で頓挫、資本論の続巻が書けませんでした。マルクスが書いたのは第一巻のみ、第二巻と第三巻はマルクスの死後エンゲルスが膨大な遺稿を整理・編集したものです。存命だったら、出版を許さなかったでしょう。マルクスはその方法的な破綻に気がついていたのだろうと思います。資本論第一巻を出版してから、死ぬまでの16年間、資本論第二巻を出版しようとはしなかったことに、それ以外の説明はないでしょう。第2巻で予定していた市場論を書き進めるうちに方法的破綻に気がついてしまったのです。当前の帰結でした。生産性という概念を導入すると労働価値説が破綻することは、弊ブログですでに解説しています。)
こういう単位の計算操作に慣れておけば、高校生になって物理で加速度が、化学でモル計算が出てきても、たじろぎません。単位の計算操作の仕組みはすでに理解していますから、あとは微分やアボガドロ数などの新しい概念に慣れるだけでいいのです。ハードルがグンと下がります。
単位の計算操作は小4の普通の成績の生徒でも理解し運用できます。要は教え方次第です。想像で述べているのではありません、実証データに基づいて書いています。
学力上位10%層は、それ以下の生徒達とは指導の仕方・授業内容が違って当たり前です。計算速度においてすら速い生徒と遅い生徒では30:1の差があります。これは中1の生徒たった5人で実測したデータです。標準的な難易度の授業では、上位10%の生徒は退屈しきっていますが、先生たちはそういうことをご存じでしょうか?おりこうさんが多いから、我慢して沈黙しているのです。たまに反抗的な生徒が現れます。そういう生徒は成績が良いからクラスメンバーに大きな影響力を持っています。高圧的な態度で臨むと反抗心が強くなります。理不尽なことさえしなければ、いたって温和で、授業に協力的なのです。先生よりも説明の巧い生徒もいますから、上手に使ってやればいいのですが、人の使い方の上手な人は民間企業でもとても少ないのです。だからたいがいの先生は、扱いを間違えて火傷します。学芸大や教育大で、そうした生徒の扱いについて実践的な授業があればいいのでしょう。大学の先生たちにはハードルが高い。
なぜ「ハジキ」なんていう、イージーな方法が小学校の先生たちの間で広く普及して、批判が生まれないのかについては、小学校の教員たちが集まって教育研修を繰り返すからでしょうね。
視野が高校数学や物理や化学のほうまで届かないからでしょう。小学校・中学校・高校で先生たちは孤立したグループをつくっている研修しているように見えます。
そして、教員養成大学には、数学があまり得意ではない学生たちが多いということも遠因になっているかもしれませんね。それぞれのテリトリーの中で、「教育村」という狭い閉鎖集団の中だけにとどまっていてはいけないのではないでしょうか?
授業のやり方、指導の仕方は無限大です。完成した形はない、そう考えたら、現在の指導法を批判する視点が必ず出てくるはずです。
<「読み書きそろばん(計算)」スキルの重要性>
「読み・書き・そろばん(計算)」スキルは学力の基本をなしていますが、日本語読解力は小中高大と一気通貫で、どのようなレベルのスキルを身につけるのかという視点がないことが、大きな問題に感じられます。
基礎的なスキルとして「先読みスキル」がありますが、音読している箇所よりも先を同時に黙読して意味のカタマリを判断したり、段落ごとの論理整合性をチェックしながら、脳はマルチタスク処理をしています。だから、先読みができるようになると、地頭がよくなります。そして、物事を考える時には日本語で考えますから、語彙が多いほど考えるのも考えた結果を相手に伝えるにも便利です。他分野の専門家と話すときには、相手の分野の基礎的な専門知識がなければ意思の疎通がうまくいかないので、異分野の専門書を読む読解力が必要です。
社会人になってからは、語彙が豊富でないと、状況を的確に上司に説明できませんし、説得力のある提案書や報告書も書けませんから、仕事上で支障が出ます。日常的に意思疎通に齟齬が生じます。専門分野の異なる人にも理解してもらうために、平易な言葉で話したり、文書を書く機会も増えます。仕事の半分くらいはなんらかのコミュニケーションで成り立っています。上司や同僚、社外の取引先の営業マンやさまざまな分野の技術者と接点が生じるので、否応なしにコミュニケーションすることになります。そこに問題があれば、仕事はうまく進まないのです。職位が上がって部下を持てば部下とのコミュニケーションが仕事に占める比率が上がります。課長よりは部長、部長よりは数部門を束ねなければならない取締役と、階段を上るたびにコミュニケーションの比率は上がってきます。社外の人たちとのネットワークも広がります。
コミュニケーションスキルは豊かな語彙に支えられている部分がありますが、若いうちはそういうことがなかなか理解しにくいかもしれません。だからこそ、小学校の先生たちや中学校や高校の先生たちが、このような小学生から社会人までの「一気通貫の視点」を持って、子どもたちの読書力を育んでもらいたいと願っています。
中高生で本をたくさん読んでいる生徒たちのには、読めない漢字をスルーして読み飛ばしている者が多いのです。これでは何冊読んでも語彙力は大きくならないでしょう。
音読させてみたら、読み飛ばしも、どの程度読めているかもすぐにわかります。日本語音読指導は、適切な語彙レベルのテクストを選び、小中高と一貫してやる必要がありそうです。
<余談-1:速度と食塩水の問題>
極東の町の中学生で速度や食塩水の濃度の問題が正解できる生徒は10%以下でした。「速さ」や「濃度」という内包量の概念が把握できていないことと、計算操作に共通性があることを知らないからです。まったく別の種類の文章題だと思い込んでいますから、解ける生徒が滅多にいないのも合点がいきます。
2005年頃は、中1の定期テストに食塩水の出題がなされていました。ある時期からどの学校も出題しなくなりました。正解者がほとんどいないから、出題しても無理だと数学担当の先生たちが判断したからでしょう。内包量や比の値の概念をちゃんと教えてあげたらよかっただけです。速度の問題も食塩水の濃度の問題も平均値の問題も人口密度の問題も縮尺の問題も、解き方は同じだとわかっていれば、速度の問題ができるけど、食塩水の問題や他の問題が苦手で解けないなんてことが起きません。
<余談-2:次元の立体格子点>
夏目翔平著『やさしく物理』(朝倉書店)p.2に「次元の立体格子点」が図示されています。力学の物理量を「x軸が長さ(m)、y軸が時間(s)、z軸が質量(kg)で、3次元空間に格子点として表示して立体図」にしたものです。
x軸は長さ(+1)、面積(+2)、体積(+3)と表示されています。ここで長さの単位はmですから、m、m^2、m^3ということになります。速度は(+1、-1、0)、加速度は(+1,-2、0)の格子点となっています。わかりやすい図です。こうした図が頭の中にあると、道先案内人のいる船のようなもので、さまざまな物理量の単位に整理がつきます。
エネルギーの単位のジュールは「 kg⋅m2⋅s−2」ですから、格子点では(+2, -2, +1)にあります。高校生の時に物理を履修できなかったわたしにもじつにわかりやすい図です。
エネルギーの単位のジュールは「 kg⋅m2⋅s−2」ですから、格子点では(+2, -2, +1)にあります。高校生の時に物理を履修できなかったわたしにもじつにわかりやすい図です。
ところで、「問3」で体積計算の際の、長さの単位を揃える必要性は「体積(+3)」で一目瞭然ですね。単位を揃えないと「+3」にならないのです。「cmxcmxmm≠cm^3」であることは自明です。
<余談-3:上位10%の子どもたち向きの教育システム>
こういう上位10%の子どもたちが小学四年生から、適切な指導を受けたら、小6までに中学数学2年生までは終了できます。中学校卒業までに数ⅠAと数ⅡBをやり終えられます。数Ⅲも半分くらいは消化できそうです。
そうすれば、高校物理は微分積分を前提にした、シンプルな授業の方が効率を考えても、内容の深さを考えてもいいということになるでしょう。
高校2年生から大学レベルの数学、物理、化学、生物を学べます。情報処理関係の人材が圧倒的に不足しており、セキュリティが相当遅れているように見えますが、解消できますよ。
学力の高い子供たちが、レベルが低くて退屈な授業を我慢して聞かなくて済む、能力に応じたレベルの授業が受けられる、そんなことがあたりまえの世の中になってもらいたい。
文系と理系の両方の専門知識を備えた人材をたくさん産み出せます。
今日のテレビ報道を見ていたら、日本証券取引所が海外向けのIRを強化するように上場企業へ要請していますが、TOEIC980点でも無理です。決算資料を並べてみても理解できないでしょう。
会計学、管理会計学、経営分析、そうしたデータを処理しているコンピュータシステム、その企業が扱っている製品の専門知識、製造技術、新製品開発状況などを理解していないと、十分な説明が英語でできません。わたしが16年間仕事していた臨床検査会社を例に出すと、開発部がやっている製薬メーカーとの検査試薬の共同開発情報はIRには不可欠です。それらが現在の業界の検査試薬開発競争の中で、どのような位置にあるのかも必要な情報でしょう。3000項目を超える受託している臨床検査に関する専門的な知識も必要になります。それらをどうやって実施しているのか、機械化やシステム化についての社内情報も知って、理解しておく必要があります。10個ほどもある検査部、そして課まで含めると30ほどの部門の業務の実態を知っておいた方が好いでしょう。こうした仕事に文系・理系の区別はないのです。どちらもこなせなければなりません。各部門にはそれぞれ特定の仕事の専門家であり、職人です。分野の異なる職人たちとのコミュニケーションがなければ、IR上重要な社内の情報すら入ってきません。
英語は専門分野ごとに専門用語があり、その点が基本漢字であらゆる分野の専門用語が作られている日本語と決定的に違います。ラテン語やギリシア語の接頭辞・語幹・接尾辞を組み合わせて専門用語ができているので、専門分野ごとに専門用語を覚えなければならないのです。
英語が堪能なだけではIRの仕事はできないのです。せいぜい10~20%をカバーできるだけでしょうね。ここでも文系・理系を問わず複数の専門分野に精通した人材ニーズが産まれています。成績上位10%の子どもたちをどう育てるかということに、民間企業の未来、そしてこの国の未来が掛かっていると断言しても過言ではありません。
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<余談-3:上位10%の子どもたち向きの教育システム>
こういう上位10%の子どもたちが小学四年生から、適切な指導を受けたら、小6までに中学数学2年生までは終了できます。中学校卒業までに数ⅠAと数ⅡBをやり終えられます。数Ⅲも半分くらいは消化できそうです。
そうすれば、高校物理は微分積分を前提にした、シンプルな授業の方が効率を考えても、内容の深さを考えてもいいということになるでしょう。
高校2年生から大学レベルの数学、物理、化学、生物を学べます。情報処理関係の人材が圧倒的に不足しており、セキュリティが相当遅れているように見えますが、解消できますよ。
学力の高い子供たちが、レベルが低くて退屈な授業を我慢して聞かなくて済む、能力に応じたレベルの授業が受けられる、そんなことがあたりまえの世の中になってもらいたい。
文系と理系の両方の専門知識を備えた人材をたくさん産み出せます。
今日のテレビ報道を見ていたら、日本証券取引所が海外向けのIRを強化するように上場企業へ要請していますが、TOEIC980点でも無理です。決算資料を並べてみても理解できないでしょう。
会計学、管理会計学、経営分析、そうしたデータを処理しているコンピュータシステム、その企業が扱っている製品の専門知識、製造技術、新製品開発状況などを理解していないと、十分な説明が英語でできません。わたしが16年間仕事していた臨床検査会社を例に出すと、開発部がやっている製薬メーカーとの検査試薬の共同開発情報はIRには不可欠です。それらが現在の業界の検査試薬開発競争の中で、どのような位置にあるのかも必要な情報でしょう。3000項目を超える受託している臨床検査に関する専門的な知識も必要になります。それらをどうやって実施しているのか、機械化やシステム化についての社内情報も知って、理解しておく必要があります。10個ほどもある検査部、そして課まで含めると30ほどの部門の業務の実態を知っておいた方が好いでしょう。こうした仕事に文系・理系の区別はないのです。どちらもこなせなければなりません。各部門にはそれぞれ特定の仕事の専門家であり、職人です。分野の異なる職人たちとのコミュニケーションがなければ、IR上重要な社内の情報すら入ってきません。
英語は専門分野ごとに専門用語があり、その点が基本漢字であらゆる分野の専門用語が作られている日本語と決定的に違います。ラテン語やギリシア語の接頭辞・語幹・接尾辞を組み合わせて専門用語ができているので、専門分野ごとに専門用語を覚えなければならないのです。
英語が堪能なだけではIRの仕事はできないのです。せいぜい10~20%をカバーできるだけでしょうね。ここでも文系・理系を問わず複数の専門分野に精通した人材ニーズが産まれています。成績上位10%の子どもたちをどう育てるかということに、民間企業の未来、そしてこの国の未来が掛かっていると断言しても過言ではありません。
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#4794 数ⅠAの進捗は?:札幌光星高校へ進学した生徒 Aug. 4, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
今年札幌光星高校マリスコースへ進学したK君が夏休みで帰省して来てくれました。
ブラスバンドを続けるかどうか悩みながらの受験でした。真剣に悩んでいましたよ。受験が終わって2月半ばから3月いっぱいまで「シリウス数ⅠA」問題集2冊をやってました。目標は夏休み終了までにこの問題集2冊を消化することでした。
訊いたら、もう少しで終わるそうです。6か月で全問制覇だから、すごく早いね!根室高校から旭川医大へ現役合格した生徒よりも速度が少しだけ大きい。この速度だと「みんなの大学情報」偏差値で65をクリアしてますよ。
9月からはシリウスシリーズで数Ⅱ・B問題集をはじめられます。これなら、現役で京大理系でも数学は大丈夫そうです。旭川医大と同じ偏差値ですから。北大医学部受験も可能です。
昨年8月から来たましたが、勉強スタイルを切り替えてもらいました。独力でシリウスを予習し、わからない箇所だけ質問する、そんなスタイルへ切り換えてます。札幌へ進学してから、独力で予習できるスタイルになっていなければ、現役合格がむずかしいからです。完全に切り替えたようです、偉いね。シリウス数Ⅱと数Bは分厚い問題集だから今のペースでなら10か月間でやれそうです。数ⅢCを2年生の夏休みからやれます。難関大学受験には十分です。
ブラスバンド部は高校でも続けている。受験勉強だけしかしていないと、社会人になってからはちょっと困ったことになりますから、やれるならブカツは継続したほうがいい。能力が特別に高い生徒だけですよ、こんなことができるのは。
難関大学出身者は、民間会社では特別に扱われますから、出世は速いが、課長までですよ。部長職になるとマネジメント能力が問われますが、これは受験勉強では身につかないし、受験勉強スタイルで、本を読み漁っても身につくことはほとんどありません。
20歳までに部活や生徒会や学校祭などの行事で、マネジメントやコミュニケーションを経験しておいた方がいいのです。とっても重要な経験です。部門横断的なプロジェクトは複数の専門能力と、コミュニケーション能力、そして仕事のマネジメント能力が問われます。ましてや、他社を巻き込むプロジェクトとか産学共同プロジェクトで、こうした能力が問われることは言うまでもありません。これらの能力は受験勉強の埒外にあるのです。
だから、研究者志望のK君に、高校入ったら「好きな部活はやめなくていいよ、1年間浪人しても長い人生ではどうってことないから、部活で得られる貴重な経験があるからね」と伝えました。中学時代とは別の楽器の担当です、ブラスバンドは超忙しいブカツ。でも愉しんでいるようです。勉強としっかり両立、いいね。彼女ができたら、もっといい。(笑)
ブラスバンドを続けるかどうか悩みながらの受験でした。真剣に悩んでいましたよ。受験が終わって2月半ばから3月いっぱいまで「シリウス数ⅠA」問題集2冊をやってました。目標は夏休み終了までにこの問題集2冊を消化することでした。
訊いたら、もう少しで終わるそうです。6か月で全問制覇だから、すごく早いね!根室高校から旭川医大へ現役合格した生徒よりも速度が少しだけ大きい。この速度だと「みんなの大学情報」偏差値で65をクリアしてますよ。
9月からはシリウスシリーズで数Ⅱ・B問題集をはじめられます。これなら、現役で京大理系でも数学は大丈夫そうです。旭川医大と同じ偏差値ですから。北大医学部受験も可能です。
昨年8月から来たましたが、勉強スタイルを切り替えてもらいました。独力でシリウスを予習し、わからない箇所だけ質問する、そんなスタイルへ切り換えてます。札幌へ進学してから、独力で予習できるスタイルになっていなければ、現役合格がむずかしいからです。完全に切り替えたようです、偉いね。シリウス数Ⅱと数Bは分厚い問題集だから今のペースでなら10か月間でやれそうです。数ⅢCを2年生の夏休みからやれます。難関大学受験には十分です。
ブラスバンド部は高校でも続けている。受験勉強だけしかしていないと、社会人になってからはちょっと困ったことになりますから、やれるならブカツは継続したほうがいい。能力が特別に高い生徒だけですよ、こんなことができるのは。
難関大学出身者は、民間会社では特別に扱われますから、出世は速いが、課長までですよ。部長職になるとマネジメント能力が問われますが、これは受験勉強では身につかないし、受験勉強スタイルで、本を読み漁っても身につくことはほとんどありません。
20歳までに部活や生徒会や学校祭などの行事で、マネジメントやコミュニケーションを経験しておいた方がいいのです。とっても重要な経験です。部門横断的なプロジェクトは複数の専門能力と、コミュニケーション能力、そして仕事のマネジメント能力が問われます。ましてや、他社を巻き込むプロジェクトとか産学共同プロジェクトで、こうした能力が問われることは言うまでもありません。これらの能力は受験勉強の埒外にあるのです。
だから、研究者志望のK君に、高校入ったら「好きな部活はやめなくていいよ、1年間浪人しても長い人生ではどうってことないから、部活で得られる貴重な経験があるからね」と伝えました。中学時代とは別の楽器の担当です、ブラスバンドは超忙しいブカツ。でも愉しんでいるようです。勉強としっかり両立、いいね。彼女ができたら、もっといい。(笑)
英語は最後の方で大学受験問題と、高校の英語教科書を使っての高速音読授業でした。1年の教科書は3月半ばで終わっています。昨年10月に英検準2級に合格しているので、問題集を一冊、2回まわしたら英検2級に合格できますよ。寡黙な生徒ですから、小説など音源のある気に入ったものを使って英語の高速音読トレーニングを併行してやったほうがよさそうでです。もちろん語彙拡張はスマホのアプリ利用で毎日やっているでしょう。準1級合格出来たら、数学と英語は東大理系合格レベルです。
今年は、札幌北高に柏陵中学校からMさんと、光洋中学校からK君が札幌光星高校へ進学しています。K君は根室高校でも北大総合理系なら、問題なく現役合格できる生徒です。柏陵中は2年続けて学年ダントツトップが札幌の進学校へ行きました。ああ、一昨年、札幌光星高校ステラコースへ合格した柏陵中の生徒N君がいました。同級生の話ではダントツ学年1位の生徒だったようです。彼も順調に育っています。理系の生徒で京大か東大へ現役合格するでしょうね。
K君はメール配信の英作文グループのメンバーです。光洋中学校同級生数人と同じ英作文問題をやっています。
こういう生徒たちが根室高校を見限って、受験に有利な札幌の高校へ進学しています。それでも、現役で北大合格できそうな生徒が根室高校1年生には4-5名います。毎年これくらいいるはずですから、大切に育ててください。
ひとつ、クレームを言わせてください。根室高校が国公立大学合格者を増やしたいと言いつつ、低レベルの宿題を高学力の生徒にも強制しているのは、まるで難関大学受験の生徒たちの足を引っ張る行為になっていますよ。彼ら・彼女たちは宿題なんか必要ありません、自分でスケジュールを立てて、難易度の高い問題集をガンガンやっています。邪魔しないでやりましょう。
前期定期テストや模試で総合点で学年5番以内に一度でもなった生徒は、その年度の宿題は免除にしませんか?
旭川医大へ現役合格した生徒が1年生の時に強く抗議して、学年主任含めて先生たち6人と話し合いをし、レベルの低い宿題を免除する措置をとったでしょう。のど元過ぎたらまた元に戻っていますよ。
それで、根室高校OBのわたしからひとつお願いです。定期テストと全国模試で学年5番以内は宿題免除ということをルール化してくれませんか?
障害になっているものを一つずつ取り除いて、難関大学合格者を増やしませんか?
難関大学合格者が滅多にいないという現状は、地域医療にも深刻な影響をおよぼしています。学齢期の子どもを抱えた医師が市立根室病院へは来てくれないのです。根室に住んでいたら、国公立大学医学部に自分の子どもを進学させられなくなりますから。根室高校の進路実績は地域医療にも暗い影を落としています。
根室高校出身の根室市長も根室市議も、根室市教委もそういう視点から根室の子どもたちの学力問題を考えてください。
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#4786 放課後講習と夏休み利用しての周回遅れの克服 July 22, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
根室市内の中学校は今日7/22が終業式である。根室高校の終業式は7/25(月)だ。根室高校では放課後「講習」をやっている。1年生の英語の「講習」には6月実施のベネッセ模試の長文問題をテキストに使っていた。
生徒がそのプリントをもってきて、自分で和訳し、わからない箇所を質問するので、答えながら大事なポイントをピックアップして解説したら、もう出る必要がないという。講習では数行やって終わりで、「授業速度が遅くてかったるい」というのが彼女たちの意見。
無理ないと思う。根室西高校と統合してから普通科120人のうち80人ほどは以前の根室西高校の生徒の学力だから、北大を受験しようかなと思う数人の生徒たちにとっては、「かったるい」授業にならざるを得ない。学力別に二つに分けるべきだが、そうすると先生の数が2倍必要になる。部活指導もあるし無理なんだろうと思う。
根室高校は国公立大学進学を増やす方向に方針転換をしたのだが、北大進学を考えている生徒たちの学力に応じた「講習」体制はとれていない。言っていることとやっていることがちぐはぐ。
先生が足りなくて、学力別編成が採れないなら、国公立大進学者数を増やすためには、低学力層向けの「講習」を切り捨て、高学力層の生徒達への講習を強化するしかない。ビジネス用語でいうと「選択と集中」である。当たり前のことを当たり前にやる、それがマネジメントだ。学校管理職の仕事ということ。
人情として低学力層を切り捨て、高学力層に資源を集中するなんてことはやれないのだろう。そんなことをしたら、たちまち学校は荒れることになる。偏差値45の高校が国公立大進学者を増やすというのは、先生たちが大変な苦労を背負いこむ覚悟が必要なのだなあと、夏休みを目前にして思う。
明日は土曜日でニムオロ塾は休みだが、北大進学を考えている3人の高1の生徒へ英語の音読特訓補習をする予定だ。昨年高2の生徒たちが使っていた『VIVID2』の第6章、Part 3と4を、やれたら第7章のPart 1をやることになる。2時間ぶっ通しの授業。これが彼女たちに最適な授業速度です。
①私が音読しながらスラッシュを入れる箇所を指定する。
②一つの段落を3回音読
③冒頭へ戻り一つずつ3回読んで、スラッシュごとに和訳(大和言葉落とし)
④意味をイメージしながら英文を3回読み。
⑤段落が終わればそれを2回音読。
⑥ページ全体の音読を1~2回
随時、生徒の質問には答えています。いつ質問してもいい。「啐啄同時」とか「石火の機」というでしょ、対面授業でしかできませんから、そういうことを大切にしたい。今日もいい質問が二つ出ました。質問で、生徒の腕が上がってきているのがわかります。わたしの方からも質問はよくします。
7/23の音読特訓補習授業では、「このnot~anyをnot~someと書き換えられますか?書き換えたら、ニュアンスはどう違ってきますか?」、なんて質問をしてます。
When they(=tourists) land on the islands, they are asked to clean their shoes in order not to bring in any new species. ...p.80
(landは動詞、飛行機なら「着陸」、船なら「上陸」です。この文章からはどちらにも解釈できます、決め手はありません。わたしはNHK4のBS番組で船で上陸する観光客を見たことがあります。)
生徒の最初の反応は、「えっ!」、絶句しました。この反応が「石火の機」です。質問された瞬間に飛び出したのがこの台詞、そんな質問はまるで予想してなかったのです。こんなことを繰り返すうちに、気の利いた生徒達は、先生が今度は何を訊いてくるか文章を読むたびに考えるようになります。こういうことを漫然と聞き流すようでは見込みがないのです。
生徒と一緒に合計12~13回読むので体力が必要です、授業が終わるとお腹が空いてます。(笑)
生徒たちは若くて元気がいいので3時ぶっ通しでもやれそうです。2時間はあっという間です。
水曜日も休みなので、普通の学力の生徒たちのために英語の音読特訓補習をしていたが、部活の方が大事なようでサッパリ来ないので、これも高学力の生徒たちの音読特訓授業に来週から切り換えようと思う。ほとんどの生徒にとって部活は小石だと思います。その道でプロになろうと考えている生徒は別ですよ、相当頭使ってトレーニングしないと一流のプロにはなれませんから。たかが地区大会で優勝したいぐらいなら、趣味の領域です。勉強スポイルして、毎日ブカツにいそしむなんて、愚の骨頂。文武両道でやりなさい、部活は週に3回で十分です。メニュー工夫すれば効果はまるで違ってきます。頭を使わないから、効果の小さいメニューが更新されない。
高2の教科書を消化したら、次は高3の教科書にチャレンジしてもらう。5-8名ほどの生徒たちは、1年かからずに、高校3年分の教科書をこなせる潜在能力がある。大人が関わって引き出してあげたらいい。
数学も同じことです。ふだんの授業は「速度遅すぎ&難易度低すぎ」で、難関国立大学受験の生徒たちの足を引っ張ってます。ひとり、共通テストレベルの問題を動画で解説している先生がいらっしゃいます。以前はこのレベルの問題を普段の授業で採り上げることはできませんでした。工夫している先生もいらっしゃる。ありがたいですね。
進路指導室と学校長は国公立大合格者を増やすと根室高校の方針を北海道新聞の取材に答えて公言したのですから、しっかりマネジメントしてください。
現在の1年生には北大に現役合格できそうな生徒が4~5人います。根室高校が有効な対策を組めたら、全員合格するかもしれません。しっかりした支援体制が取れなければ、一人も現役合格できないということもありえます。
中高一貫校の生徒たちは高校1年で数Ⅱをやっています。国数英は1年前倒しの授業なのです。そういうシステムで学力を強化している生徒たちと、北大受験で競うことになります。すでに周回遅れ(1年遅れ)で後を追いかけている状況なのです。めげるな根室高校生。太陽はこの極東の町から昇ります。(笑)
周回遅れなんだから、夏休みは1日10時間勉強したらいかが?それが夏休み25日の内の20日間やれたら、将来、たいがいの国家試験は合格できます。高校時代に1日10時間の勉強を体験しておくことはとっても大切です。
高校1年生の英語の教科書に、ガラス瓶に大きな石、小石、砂と順に入れていくたとえ話が載っています。砂から入れたら、大きな石はガラス瓶に入りません。1日10時間の勉強を20日間確保するのはあなたたちの人生にとって大きな石ですよ。それをガラス瓶に最優先で投入してください。
*高校1年英語教科書『FLEX①』”Lesson 2 : The jar of life"
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生徒がそのプリントをもってきて、自分で和訳し、わからない箇所を質問するので、答えながら大事なポイントをピックアップして解説したら、もう出る必要がないという。講習では数行やって終わりで、「授業速度が遅くてかったるい」というのが彼女たちの意見。
無理ないと思う。根室西高校と統合してから普通科120人のうち80人ほどは以前の根室西高校の生徒の学力だから、北大を受験しようかなと思う数人の生徒たちにとっては、「かったるい」授業にならざるを得ない。学力別に二つに分けるべきだが、そうすると先生の数が2倍必要になる。部活指導もあるし無理なんだろうと思う。
根室高校は国公立大学進学を増やす方向に方針転換をしたのだが、北大進学を考えている生徒たちの学力に応じた「講習」体制はとれていない。言っていることとやっていることがちぐはぐ。
先生が足りなくて、学力別編成が採れないなら、国公立大進学者数を増やすためには、低学力層向けの「講習」を切り捨て、高学力層の生徒達への講習を強化するしかない。ビジネス用語でいうと「選択と集中」である。当たり前のことを当たり前にやる、それがマネジメントだ。学校管理職の仕事ということ。
人情として低学力層を切り捨て、高学力層に資源を集中するなんてことはやれないのだろう。そんなことをしたら、たちまち学校は荒れることになる。偏差値45の高校が国公立大進学者を増やすというのは、先生たちが大変な苦労を背負いこむ覚悟が必要なのだなあと、夏休みを目前にして思う。
明日は土曜日でニムオロ塾は休みだが、北大進学を考えている3人の高1の生徒へ英語の音読特訓補習をする予定だ。昨年高2の生徒たちが使っていた『VIVID2』の第6章、Part 3と4を、やれたら第7章のPart 1をやることになる。2時間ぶっ通しの授業。これが彼女たちに最適な授業速度です。
①私が音読しながらスラッシュを入れる箇所を指定する。
②一つの段落を3回音読
③冒頭へ戻り一つずつ3回読んで、スラッシュごとに和訳(大和言葉落とし)
④意味をイメージしながら英文を3回読み。
⑤段落が終わればそれを2回音読。
⑥ページ全体の音読を1~2回
随時、生徒の質問には答えています。いつ質問してもいい。「啐啄同時」とか「石火の機」というでしょ、対面授業でしかできませんから、そういうことを大切にしたい。今日もいい質問が二つ出ました。質問で、生徒の腕が上がってきているのがわかります。わたしの方からも質問はよくします。
7/23の音読特訓補習授業では、「このnot~anyをnot~someと書き換えられますか?書き換えたら、ニュアンスはどう違ってきますか?」、なんて質問をしてます。
When they(=tourists) land on the islands, they are asked to clean their shoes in order not to bring in any new species. ...p.80
(landは動詞、飛行機なら「着陸」、船なら「上陸」です。この文章からはどちらにも解釈できます、決め手はありません。わたしはNHK4のBS番組で船で上陸する観光客を見たことがあります。)
生徒の最初の反応は、「えっ!」、絶句しました。この反応が「石火の機」です。質問された瞬間に飛び出したのがこの台詞、そんな質問はまるで予想してなかったのです。こんなことを繰り返すうちに、気の利いた生徒達は、先生が今度は何を訊いてくるか文章を読むたびに考えるようになります。こういうことを漫然と聞き流すようでは見込みがないのです。
生徒と一緒に合計12~13回読むので体力が必要です、授業が終わるとお腹が空いてます。(笑)
生徒たちは若くて元気がいいので3時ぶっ通しでもやれそうです。2時間はあっという間です。
水曜日も休みなので、普通の学力の生徒たちのために英語の音読特訓補習をしていたが、部活の方が大事なようでサッパリ来ないので、これも高学力の生徒たちの音読特訓授業に来週から切り換えようと思う。ほとんどの生徒にとって部活は小石だと思います。その道でプロになろうと考えている生徒は別ですよ、相当頭使ってトレーニングしないと一流のプロにはなれませんから。たかが地区大会で優勝したいぐらいなら、趣味の領域です。勉強スポイルして、毎日ブカツにいそしむなんて、愚の骨頂。文武両道でやりなさい、部活は週に3回で十分です。メニュー工夫すれば効果はまるで違ってきます。頭を使わないから、効果の小さいメニューが更新されない。
高2の教科書を消化したら、次は高3の教科書にチャレンジしてもらう。5-8名ほどの生徒たちは、1年かからずに、高校3年分の教科書をこなせる潜在能力がある。大人が関わって引き出してあげたらいい。
数学も同じことです。ふだんの授業は「速度遅すぎ&難易度低すぎ」で、難関国立大学受験の生徒たちの足を引っ張ってます。ひとり、共通テストレベルの問題を動画で解説している先生がいらっしゃいます。以前はこのレベルの問題を普段の授業で採り上げることはできませんでした。工夫している先生もいらっしゃる。ありがたいですね。
進路指導室と学校長は国公立大合格者を増やすと根室高校の方針を北海道新聞の取材に答えて公言したのですから、しっかりマネジメントしてください。
現在の1年生には北大に現役合格できそうな生徒が4~5人います。根室高校が有効な対策を組めたら、全員合格するかもしれません。しっかりした支援体制が取れなければ、一人も現役合格できないということもありえます。
中高一貫校の生徒たちは高校1年で数Ⅱをやっています。国数英は1年前倒しの授業なのです。そういうシステムで学力を強化している生徒たちと、北大受験で競うことになります。すでに周回遅れ(1年遅れ)で後を追いかけている状況なのです。めげるな根室高校生。太陽はこの極東の町から昇ります。(笑)
周回遅れなんだから、夏休みは1日10時間勉強したらいかが?それが夏休み25日の内の20日間やれたら、将来、たいがいの国家試験は合格できます。高校時代に1日10時間の勉強を体験しておくことはとっても大切です。
高校1年生の英語の教科書に、ガラス瓶に大きな石、小石、砂と順に入れていくたとえ話が載っています。砂から入れたら、大きな石はガラス瓶に入りません。1日10時間の勉強を20日間確保するのはあなたたちの人生にとって大きな石ですよ。それをガラス瓶に最優先で投入してください。
*高校1年英語教科書『FLEX①』”Lesson 2 : The jar of life"
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#4719 道内最難関偏差値72ステラコースへのチャレンジ(完) Feb. 25, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
札幌光星高校ステラコース(難関大学及び国公立医大受験コース)を受験した生徒は残念ながら不合格、マリスコースには合格しているので、4月から学校の寮での新生活が始まります。偏差値の高い同級生や先輩たちがひしめく中で、自分を磨くことになるのでしょう。
昨年7月下旬に相談があって、8月から通塾することになりました。4月の「お迎えテスト」の得点を確認すると、社会と理科と英語に弱点を抱えていました。3年次の4回の学力テストの数学の平均点は96点、数学が大好きな生徒です。「独力での題意読み取り型&予習方式」での学習スタイルに半年かけて変えてもらいました。学校での授業の進捗を超えて、独力でやらないと難関大学現役合格ができませんので。難易度の高い問題の題意を先生の上手な解説で聞いてやっていたのでは頭がそれほどよくなりません。
根室の中学校なら、五科目合計点がダントツの学年1位でなければ届かないのが偏差値72です。学力テストが全部学年1位なら手が届くということです。
(わたしは、光星高校の入試問題の難易度が道立高校よりも高く、数学と英語は対策ができていたので、社会や理科で少し落としても合格できるのではないかと思っていました。昨年、柏陵中学校からステラコースに合格したN君、たいしたものだと改めて思います。彼の同級生から聞いていましたが、もちろん中学時代の学力テストの成績はダントツトップでしたよ。)
7月下旬の教育相談の時に伝えたのは三つ。
①偏差値72のステラコースに合格するには、学力テストの合計点が450点を超える必要があること
②国語は現状維持、時間を投入してもインカム(実入り)は小さい、その分を理社に投入すること
③弱点の社会と理科は自分で問題集を解いて得点アップ(90%が目標)すること
4月の学力テストの五科目合計点は400点に少し足りなかった。半年で50点アップは平均点を80点から90点にあげることだから、結構きつい。あきらめるのは簡単、チャレンジすることが大切です。
4回の学力テストの合計点は420点台が2回でした、2回は学年トップ。3回の定期テストでは491点が最高点でした。学校の定期テストは基本問題が多く、難易度が低いので点数は受験の参考になりませんが、よく努力してました。
2/3に予定されていた第五回目の学力テストがオミクロンで学校閉鎖があり、中止でした。これが痛かった、冬休みの勉強の成果をこの学力テストで確認したかったのですが、できませんでした。弱点の社会と理科の得点を確認したかったのです。理科は計算問題を中心に早くから復習してました。直前までしっかり問題集にもトライしてやり抜いていたので、本人は80点超を確信してました。問題集をやる中で、自分でやり方を見つけるしかありません。わたしは高校の教員になっていたら高校社会と商業の免許、社会科はやり方の指導はできますが、半年では無理。人のやり方をコピーするのではなく、参考書を読み、問題集を消化しながら自分でやり方を見つけるしかありません。家庭学習ですから、どうするのかなと、見守っていました。
英語は4月が70点未満、その後80点台真ん中ぐらいまでアップして、さらに一段上を目指すために英検準2級に合格、そして光星高校の英語問題に対応するために、根室高校3年生が使っている大学入試長文問題集を半分消化しています。最初の内はだいぶ緊張してましたね、中3にはハードルが高い長文問題でしたが、マンツーマンで音読とスラッシュ・リーディング、そして構文解説をしました。語彙力がついてきたので、そろそろ英検2級にチャレンジできそうです。
いま高校英語教科書の音読特訓を土曜日に2時間してます。あと2回で高1の教科書は終了です。彼にとっては少し物足りないでしょう。高3の教科書がちょうどよさそうに感じています。
さて、当面はマリスコースで勉強することになりますが、3年後に共通テストで弱点分野にまたぶつかります。一つは国語ですね。本をあまり読んでいませんから、語彙が豊富な本、論理的な本を選んで30冊くらいは読破しておいたほうがいいでしょう。読んだ本について対話する相手が見つかったらとてもよいのだろうと思います。
理系志望ですが、共通テストで社会科目がありますから、1年生の時からしっかり取り組む必要があります。本人には言わなくても、今回の試験結果を省みてわかっています。
理系志望ですから、物理は特に力を入れて勉強するのはもちろん化学や生物もしっかりやっておいた方がいい。例えば創薬などの先端研究分野では、物理と化学と生物の研究者たちがしのぎを削っています。体内には生物モーターとも言うべきメカニズムがあり、そうしたものの理解には複合的な分野の専門知識が必要になります。高校の範囲を超えて、地学・生物学・化学・物理学と興味の赴くままに濫読したらいいのです。米国の高校物理の教科書も副読本として読んでみたらいい。本棚にあるので、1冊紹介してあります。
ああ、部活の問題があります。ブラスバンドは高校の部活の中でも最も時間を拘束されるブカツの一つに挙げられます。月曜日から金曜日まで2時間/日やるとしたら、1年間で500時間です。それに発表会があるので土日の練習が50時間くらい投入することになるでしょう。年間550時間なら3年間でおおよそ1650時間です。このように一度定量的に棚卸してみたらいいのです。突き放して客観的に眺めましょう。入学してから、毎日の部活の時間を確認したらいい。効率的にやっていて1.5時間/日かもしれませんので。
音楽は一生の友、とっても大切です。苦しい時に心(魂)を救ってくれます。しかし、与えられた時間はどの生徒にも平等に1日24時間、使い方の問題もあるでしょう。現役合格を目指すなら、自分の現在の力と①「こなさなければならない問題集」と②「科目ごとの勉強時間」を計算してみてください。部活をしながら現役合格を目指す、すばらしいことですが、リスクも大きい。浪人覚悟なら問題なしです。音楽のある生活は楽しい、演奏には生きる喜びがあります。毎日練習すればするほどテクニックは上がり、思ったような音に近づきます。そのあたりの楽しさはわたしはビリヤードでした。セミプロの技術とそのトレーニングメニューを知っているので、分野は違っても楽しさがわかります。選択の問題ですから、自分で決めるしかありません。わたしが彼でも、やはり迷います。
偏差値65以上の大学への進学は、ステラコースでも2割程度ではないかと思います。上位2割に食い込むのが次の目標でしょうね。
もうすこしで、卒塾です。サッカーで帯広へ進学する生徒もいるし、お母さんと一緒におばあさんの住んでいる地域の高校を受験する生徒もいます。日ごとに気温が上がっていく春は待ち遠しいのと、いくぶん寂しい。毎年のことですが、慣れませんね。
それぞれの未来に幸多かれと祈ります。
<余談-1:本音>
わたしの本音を言うと、こういう生徒こそ根室高校に残って、現役でたとえば京都大学理系(偏差値65)に合格してもらいたいのです。それには、彼らが根室高校へ進学したいと思うような環境づくり、実績作りが必要です。昨年、偏差値65の旭川医大医学部へO君が現役合格しています。小5の1月から受験勉強スタートしていました。「競争相手は同級生ではない、首都圏や札幌の進学校で勉強しているトップレベルの学力の受験生だ」と繰り返し言って、具体的な勉強スケジュールを示してきました。やり抜く力がしだいに育っていきました。K君も同じ時期にスタートしていたら、ダントツトップの生徒だったでしょうね。そういう素質をもった生徒が根室には1学年3-5人くらいいます。スタートが遅れないように保護者や先生たちの配慮があればありがたい。そういう生徒たちの何人かが、将来根室を支える貴重な戦力になってくれます。いや、本人がなりないものになればいいのです。
<余談-2:教育環境>
この生徒を小5から教えられたら、根室高校からでも現役で京都大学理系学部(偏差値65)レベルの大学への合格確率は6割ほどあったのではないか、いまそう考えています。
問題は、そういうレベルの資質をもった生徒が学年に3-5人ほどいるのに、育て切れない根室の教育環境の貧弱さにあります。現役で難関大学へ合格しようとしたら、根室高校への進学は選択肢にはないのです。こういう生徒たちの勉学スタイルは他の生徒にとってもお手本になりますが、そういう機会が失われるというのは他の生徒たちにとっても、とても残念です。
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昨年7月下旬に相談があって、8月から通塾することになりました。4月の「お迎えテスト」の得点を確認すると、社会と理科と英語に弱点を抱えていました。3年次の4回の学力テストの数学の平均点は96点、数学が大好きな生徒です。「独力での題意読み取り型&予習方式」での学習スタイルに半年かけて変えてもらいました。学校での授業の進捗を超えて、独力でやらないと難関大学現役合格ができませんので。難易度の高い問題の題意を先生の上手な解説で聞いてやっていたのでは頭がそれほどよくなりません。
根室の中学校なら、五科目合計点がダントツの学年1位でなければ届かないのが偏差値72です。学力テストが全部学年1位なら手が届くということです。
(わたしは、光星高校の入試問題の難易度が道立高校よりも高く、数学と英語は対策ができていたので、社会や理科で少し落としても合格できるのではないかと思っていました。昨年、柏陵中学校からステラコースに合格したN君、たいしたものだと改めて思います。彼の同級生から聞いていましたが、もちろん中学時代の学力テストの成績はダントツトップでしたよ。)
7月下旬の教育相談の時に伝えたのは三つ。
①偏差値72のステラコースに合格するには、学力テストの合計点が450点を超える必要があること
②国語は現状維持、時間を投入してもインカム(実入り)は小さい、その分を理社に投入すること
③弱点の社会と理科は自分で問題集を解いて得点アップ(90%が目標)すること
4月の学力テストの五科目合計点は400点に少し足りなかった。半年で50点アップは平均点を80点から90点にあげることだから、結構きつい。あきらめるのは簡単、チャレンジすることが大切です。
4回の学力テストの合計点は420点台が2回でした、2回は学年トップ。3回の定期テストでは491点が最高点でした。学校の定期テストは基本問題が多く、難易度が低いので点数は受験の参考になりませんが、よく努力してました。
2/3に予定されていた第五回目の学力テストがオミクロンで学校閉鎖があり、中止でした。これが痛かった、冬休みの勉強の成果をこの学力テストで確認したかったのですが、できませんでした。弱点の社会と理科の得点を確認したかったのです。理科は計算問題を中心に早くから復習してました。直前までしっかり問題集にもトライしてやり抜いていたので、本人は80点超を確信してました。問題集をやる中で、自分でやり方を見つけるしかありません。わたしは高校の教員になっていたら高校社会と商業の免許、社会科はやり方の指導はできますが、半年では無理。人のやり方をコピーするのではなく、参考書を読み、問題集を消化しながら自分でやり方を見つけるしかありません。家庭学習ですから、どうするのかなと、見守っていました。
英語は4月が70点未満、その後80点台真ん中ぐらいまでアップして、さらに一段上を目指すために英検準2級に合格、そして光星高校の英語問題に対応するために、根室高校3年生が使っている大学入試長文問題集を半分消化しています。最初の内はだいぶ緊張してましたね、中3にはハードルが高い長文問題でしたが、マンツーマンで音読とスラッシュ・リーディング、そして構文解説をしました。語彙力がついてきたので、そろそろ英検2級にチャレンジできそうです。
いま高校英語教科書の音読特訓を土曜日に2時間してます。あと2回で高1の教科書は終了です。彼にとっては少し物足りないでしょう。高3の教科書がちょうどよさそうに感じています。
さて、当面はマリスコースで勉強することになりますが、3年後に共通テストで弱点分野にまたぶつかります。一つは国語ですね。本をあまり読んでいませんから、語彙が豊富な本、論理的な本を選んで30冊くらいは読破しておいたほうがいいでしょう。読んだ本について対話する相手が見つかったらとてもよいのだろうと思います。
理系志望ですが、共通テストで社会科目がありますから、1年生の時からしっかり取り組む必要があります。本人には言わなくても、今回の試験結果を省みてわかっています。
理系志望ですから、物理は特に力を入れて勉強するのはもちろん化学や生物もしっかりやっておいた方がいい。例えば創薬などの先端研究分野では、物理と化学と生物の研究者たちがしのぎを削っています。体内には生物モーターとも言うべきメカニズムがあり、そうしたものの理解には複合的な分野の専門知識が必要になります。高校の範囲を超えて、地学・生物学・化学・物理学と興味の赴くままに濫読したらいいのです。米国の高校物理の教科書も副読本として読んでみたらいい。本棚にあるので、1冊紹介してあります。
ああ、部活の問題があります。ブラスバンドは高校の部活の中でも最も時間を拘束されるブカツの一つに挙げられます。月曜日から金曜日まで2時間/日やるとしたら、1年間で500時間です。それに発表会があるので土日の練習が50時間くらい投入することになるでしょう。年間550時間なら3年間でおおよそ1650時間です。このように一度定量的に棚卸してみたらいいのです。突き放して客観的に眺めましょう。入学してから、毎日の部活の時間を確認したらいい。効率的にやっていて1.5時間/日かもしれませんので。
音楽は一生の友、とっても大切です。苦しい時に心(魂)を救ってくれます。しかし、与えられた時間はどの生徒にも平等に1日24時間、使い方の問題もあるでしょう。現役合格を目指すなら、自分の現在の力と①「こなさなければならない問題集」と②「科目ごとの勉強時間」を計算してみてください。部活をしながら現役合格を目指す、すばらしいことですが、リスクも大きい。浪人覚悟なら問題なしです。音楽のある生活は楽しい、演奏には生きる喜びがあります。毎日練習すればするほどテクニックは上がり、思ったような音に近づきます。そのあたりの楽しさはわたしはビリヤードでした。セミプロの技術とそのトレーニングメニューを知っているので、分野は違っても楽しさがわかります。選択の問題ですから、自分で決めるしかありません。わたしが彼でも、やはり迷います。
偏差値65以上の大学への進学は、ステラコースでも2割程度ではないかと思います。上位2割に食い込むのが次の目標でしょうね。
もうすこしで、卒塾です。サッカーで帯広へ進学する生徒もいるし、お母さんと一緒におばあさんの住んでいる地域の高校を受験する生徒もいます。日ごとに気温が上がっていく春は待ち遠しいのと、いくぶん寂しい。毎年のことですが、慣れませんね。
それぞれの未来に幸多かれと祈ります。
<余談-1:本音>
わたしの本音を言うと、こういう生徒こそ根室高校に残って、現役でたとえば京都大学理系(偏差値65)に合格してもらいたいのです。それには、彼らが根室高校へ進学したいと思うような環境づくり、実績作りが必要です。昨年、偏差値65の旭川医大医学部へO君が現役合格しています。小5の1月から受験勉強スタートしていました。「競争相手は同級生ではない、首都圏や札幌の進学校で勉強しているトップレベルの学力の受験生だ」と繰り返し言って、具体的な勉強スケジュールを示してきました。やり抜く力がしだいに育っていきました。K君も同じ時期にスタートしていたら、ダントツトップの生徒だったでしょうね。そういう素質をもった生徒が根室には1学年3-5人くらいいます。スタートが遅れないように保護者や先生たちの配慮があればありがたい。そういう生徒たちの何人かが、将来根室を支える貴重な戦力になってくれます。いや、本人がなりないものになればいいのです。
<余談-2:教育環境>
この生徒を小5から教えられたら、根室高校からでも現役で京都大学理系学部(偏差値65)レベルの大学への合格確率は6割ほどあったのではないか、いまそう考えています。
問題は、そういうレベルの資質をもった生徒が学年に3-5人ほどいるのに、育て切れない根室の教育環境の貧弱さにあります。現役で難関大学へ合格しようとしたら、根室高校への進学は選択肢にはないのです。こういう生徒たちの勉学スタイルは他の生徒にとってもお手本になりますが、そういう機会が失われるというのは他の生徒たちにとっても、とても残念です。
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#4715 札幌の進学校の生徒は春休み?:うれしい訪問 Feb. 13, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
<更新情報>2/14朝9時「余談-1」追記
札幌光星高校ステラコースへ進学した生徒とお母さんが話に来てくれた。中3の時から噂は聞いていたので、かねがね一度会ってみたいと思っていました。H中で断トツ・ナンバーワンの生徒でしたが、わたしのところ(ニムオロ塾)の生徒ではありません。塾へ通わず独力で勉強していた生徒です。すごいね。
(春休みではなくて、Zoom授業なので、帰省して自宅学習だそうです。)
要件は「雑談」です。(笑)
でも、勉強に話になりますね。1時間半ほど、情報交換しました。高校時代はあっという間に過ぎ去ります。彼もあと2年間しかありません。受験勉強の狭い範囲ではなく、好奇心の赴くままにとことん勉強したらいい。
話したことを箇条書にしてみましょう。
①解説を見て解き方を覚えるような効率的な学習はするな。
②良問や解けなかった問題にはチェックマークをつけろ。
③チェックマークのついた問題だけを復習すること。
④チェックマークのついた問題は、問題文を読み、解き方の手順を思い出すだけでもよし。そういう効率はとことん追求しよう。
⑤青チャートだけでは演習問題が少なすぎるので、「1対1」シリーズで補え。「シリウス」に替えるのもいい。重要な変更になるので、少し考えてから結論を出したらよい。どれがベストということはない、山の頂上へ上る方法はいくらでもある。
⑥しかし、整数問題は「マスターオブ整数」をやろう。(笑)
以上は数学の学習についてのわたしの意見。これで共通テストは9割取れる。
意外だったのは、数ⅠAに1月下旬までかかっていたこと。根室高校普通科も十数年前には1/21から数Ⅱをやっていました。首都圏の進学校ではありえない低速度の授業でしょうね。こんなペースでやっていたら、難関大学への合格は無理です。ペースアップすべきと伝えました。できたら夏休みが終わるときには数ⅡBは終わっていたい。夏休み明けから数Ⅲやらないと、二次試験対策が間に合いません。根室高校から現役で旭川医大へ合格したO君は、1年生の夏休みに『シリウス数Ⅰ』と『シリウス数A』を終了して、『シリウス数Ⅱ』と『シリウス数B』に取り掛かっていました。この2冊を全問やり抜くのに14か月かかっています。模試の問題で解けない問題はなくなっていました。青チャート数Ⅲは2年生の10月からスタートだったと思います。シリウスには複素数がないので、数Ⅲはしかたなく青チャートに切り換えました。英語の教科書も1~3年までの3冊を中2の夏休み前に終了し、7月からハラリ『Sapiens』を読み始めていました。これで英語は2次試験対策がぎりぎりでしたね。
中高一貫のコースの生徒たちは首都圏の進学校の生徒と同じ進捗速度の授業を受けているのでしょう。つねに首都圏の中高一貫校の生徒たちをイメージして差がつかぬように配慮してました。
土日は12時間前後勉強できますよ。没頭したら、時間は矢のように速く流れます。
旭川医大や北大医学部と同じ偏差値65(みんなの大学情報)の旧帝大理系への進学をしたかったら、スケジュールは述べたものがスタンダードです。北大理系総合は62.5ですから、偏差値65の旧帝大理系学部は北大理系よりもかなり上です。
英語のリスニングの点が伸びないというので、『声に出して読みたい日本語』に載っている早口言葉を言ってもらったら、口が重い。男の子は口がよく回らない生徒が多い。英語の音読トレーニングをやる前に早口言葉で「暖機運転」してからやった方がよさそうです。口がよく回って耳の良い生徒は大した苦労なくリスニングで高得点が獲れる(女子に多い)が、男子で口が重ければかけた時間の割には得点が上がってこない。利回りの悪い投資ということです。
戦略を変えるべきです。リスニングは6割でいい。2次試験の英語で点数を稼げるような勉強の仕方をすればいいだけ。ハラリ『Sapiens』のようなものを選んで読んだらいい。もちろん好きなジャンルから自分が読みたいものを選んでいいのです。弊ブログのカテゴリー欄「44-3. 原書講読講座 Sapiens(47)」に解説が載っていますから、それでよければ利用すればいい。自分で辞書を引き、和訳してから解説を読むこと。翻訳を見ながらやると、どんどん消化できていかにも効率がよさげに見えますが、力はサッパリつきません。外国語の勉強法は片っ端から声に出して覚えてしまうやり方と、悪戦苦闘・呻吟しながら和訳して習得する方法があります。後者は福沢諭吉が大阪船場にあった緒方洪庵の塾塾頭だった時のオランダ語と英語の勉強法です。『福翁自伝』に載っていますから、是非読んでください。受験勉強だけでは、将来使い物にならない社会人になります。後で理由を述べます。
札幌光星高校ステラコースへ進学した生徒とお母さんが話に来てくれた。中3の時から噂は聞いていたので、かねがね一度会ってみたいと思っていました。H中で断トツ・ナンバーワンの生徒でしたが、わたしのところ(ニムオロ塾)の生徒ではありません。塾へ通わず独力で勉強していた生徒です。すごいね。
(春休みではなくて、Zoom授業なので、帰省して自宅学習だそうです。)
要件は「雑談」です。(笑)
でも、勉強に話になりますね。1時間半ほど、情報交換しました。高校時代はあっという間に過ぎ去ります。彼もあと2年間しかありません。受験勉強の狭い範囲ではなく、好奇心の赴くままにとことん勉強したらいい。
話したことを箇条書にしてみましょう。
①解説を見て解き方を覚えるような効率的な学習はするな。
②良問や解けなかった問題にはチェックマークをつけろ。
③チェックマークのついた問題だけを復習すること。
④チェックマークのついた問題は、問題文を読み、解き方の手順を思い出すだけでもよし。そういう効率はとことん追求しよう。
⑤青チャートだけでは演習問題が少なすぎるので、「1対1」シリーズで補え。「シリウス」に替えるのもいい。重要な変更になるので、少し考えてから結論を出したらよい。どれがベストということはない、山の頂上へ上る方法はいくらでもある。
⑥しかし、整数問題は「マスターオブ整数」をやろう。(笑)
以上は数学の学習についてのわたしの意見。これで共通テストは9割取れる。
意外だったのは、数ⅠAに1月下旬までかかっていたこと。根室高校普通科も十数年前には1/21から数Ⅱをやっていました。首都圏の進学校ではありえない低速度の授業でしょうね。こんなペースでやっていたら、難関大学への合格は無理です。ペースアップすべきと伝えました。できたら夏休みが終わるときには数ⅡBは終わっていたい。夏休み明けから数Ⅲやらないと、二次試験対策が間に合いません。根室高校から現役で旭川医大へ合格したO君は、1年生の夏休みに『シリウス数Ⅰ』と『シリウス数A』を終了して、『シリウス数Ⅱ』と『シリウス数B』に取り掛かっていました。この2冊を全問やり抜くのに14か月かかっています。模試の問題で解けない問題はなくなっていました。青チャート数Ⅲは2年生の10月からスタートだったと思います。シリウスには複素数がないので、数Ⅲはしかたなく青チャートに切り換えました。英語の教科書も1~3年までの3冊を中2の夏休み前に終了し、7月からハラリ『Sapiens』を読み始めていました。これで英語は2次試験対策がぎりぎりでしたね。
中高一貫のコースの生徒たちは首都圏の進学校の生徒と同じ進捗速度の授業を受けているのでしょう。つねに首都圏の中高一貫校の生徒たちをイメージして差がつかぬように配慮してました。
土日は12時間前後勉強できますよ。没頭したら、時間は矢のように速く流れます。
旭川医大や北大医学部と同じ偏差値65(みんなの大学情報)の旧帝大理系への進学をしたかったら、スケジュールは述べたものがスタンダードです。北大理系総合は62.5ですから、偏差値65の旧帝大理系学部は北大理系よりもかなり上です。
英語のリスニングの点が伸びないというので、『声に出して読みたい日本語』に載っている早口言葉を言ってもらったら、口が重い。男の子は口がよく回らない生徒が多い。英語の音読トレーニングをやる前に早口言葉で「暖機運転」してからやった方がよさそうです。口がよく回って耳の良い生徒は大した苦労なくリスニングで高得点が獲れる(女子に多い)が、男子で口が重ければかけた時間の割には得点が上がってこない。利回りの悪い投資ということです。
戦略を変えるべきです。リスニングは6割でいい。2次試験の英語で点数を稼げるような勉強の仕方をすればいいだけ。ハラリ『Sapiens』のようなものを選んで読んだらいい。もちろん好きなジャンルから自分が読みたいものを選んでいいのです。弊ブログのカテゴリー欄「44-3. 原書講読講座 Sapiens(47)」に解説が載っていますから、それでよければ利用すればいい。自分で辞書を引き、和訳してから解説を読むこと。翻訳を見ながらやると、どんどん消化できていかにも効率がよさげに見えますが、力はサッパリつきません。外国語の勉強法は片っ端から声に出して覚えてしまうやり方と、悪戦苦闘・呻吟しながら和訳して習得する方法があります。後者は福沢諭吉が大阪船場にあった緒方洪庵の塾塾頭だった時のオランダ語と英語の勉強法です。『福翁自伝』に載っていますから、是非読んでください。受験勉強だけでは、将来使い物にならない社会人になります。後で理由を述べます。
共通テストで高得点を獲るような、過剰に受験に特化した勉強をしていると、難易度の高い2次試験問題では高得点できない。 受験勉強への過剰適応はもちろんダメ。 人間精神のバランス破壊という強い副作用が出ます。
作文問題でも問題を抱えているというので、いま、中3と高校生に配信しているメンバーに参加してみるかと誘ってみました。 英作文スキルがアップすると、読みも深くなり相乗効果が期待できます。
英語は音読、ひたすら音読、そして英語の語順通りに理解するトレーニングを積み重ねたら、チャンク単位で先読みがある程度できるようになります。
日本語の先読みトレーニングの仕方とその効果を説明しました。
物理は米国の標準的な物理の教科書ぐらいは読んでおくべきです。 専門用語に慣れておいた方が、大学院受験の時に有利です。 大学へ入学したら、物理の専門書を数冊読んでさらにブラッシュアップしたらいい。 理系は大学院でドクターの学位をとらないと通用しない時代です。
高校2年で英検準1級が取れたら、カーネギーメロン大学やスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学への進学を考えたらいい。
例えば創薬の分野は生物と化学と物理屋(そして地学も)さんがしのぎを削っている分野です。 九大の角田教授は真菌の研究者、創薬にかかわる研究をしていますが、先端研究分野はこれら生物・物理・化学の垣根がなくなっています。釧路の教育を考える会の角田会長のお子さんです。現在の根室の教育長さんのお父さんと角田さんがお付き合いがあったそうです。旭川の自宅へ伺ったときに、まだ小学生だったと仰っていました。「根室市の新しい教育長はどうですか?」と角田会長。
お母さんの方と話したことは一つだけ。
①彼は高校生だからもう9割大人として扱おう
目標設定も、それに向けての努力も自分次第、もう放っておこう。 それが母親にいまできる最大の仕事。 自立を促すのは母親の大切な役割。 それで自分も子離れできるし、子どもも自立できる。 よく世間には子どもをがんじがらめに管理して東大医学部に入れましたなんて母親がいますが、あれは最悪です。 自立の機会を奪ったのですから、社会人になっても自立できず、深刻な副作用が出ます。 受験勉強しかできない専用マシーンになってしまうんです。精神を病む確率が一桁あがります。
そういうことを踏まえてとっても大事な要点を書きます。 中高の時代は思春期、思春期は一度っきりです。 その時期に経験して学ぶべきことがあります。異性関係も含めて 対人スキルですよ。 コミュニケーションスキルやリーダシップはこの時期でないと獲得できないのです。 背伸びしてレベルの高い本も読まないといけません。 受験勉強が忙しくて難易度の高い本を読む時間がないなんて言うのは論外です。 意見が分かれるでしょうが、大学のランクを落としても読むべきです。
<余談-1:個人的な経験から>
京大理系や一橋大学や慶応大学、東大理三(院卒)などの出身者十数人と一緒に仕事してきました。 東大理三は使い方次第でしたね。 器の大きい上司が仕事の差し立てをちゃんとしてやればいい仕事ができます。 使う人間の力量次第です。
一流大卒の半数はアウトでしたよ。 マネジメントができません、理由があるのだと思います。 部長職にしたら問題が出て、降格あるいは心の病で会社を退職せざるを得なくなるようなきつい状況に追い込まれます。 役職が高くなると責任も重くなるからです。 コミュニケーションスキルやマネジメントスキルを育てる大事な中高生の時期を受験勉強に時間を割きすぎたのだと思います。 わたしの推論です。
一流大卒でも例外がいます。どんな大学でも、マネジメントスキルと対人スキルの両方が高い人間は3%くらいなものです。
関商事(上場時には社名変更し「セキテクノトロン」)の社長だった関周さんは慶応大学大学院経済学専攻科修了、SRL社長だった近藤俊之さんは慶応大学医学部卒(慶応大大学院医学研究科で特別講義を「もっていたことがあるので博士かもしれません)、東和フードの岸野社長も慶応大学卒でしたが、三人とも出色の経営者でした。 20代後半、40代、50歳前後にこれら三人の社長にお仕えしましたが、それぞれの社長の片腕、経営参謀でした。臨床治験のデータ管理会社の合弁相手だった帝人の石川常務と松崎専務はどちらも一橋大でした、なかなかの人物でした。赤字部門の合弁会社を3年で黒字にしてから申し入れましたが、合弁解消と帝人の臨床検査子会社買収の提案を笑って受け入れてくれました。「合弁やると決まって経営が行き詰まり、帝人側でひきとることになるのがいつもの例、まるで逆、こんな申し入れは初めてです」、社員ごとSRL(臨床検査の最大手の企業)で引き取ることで応じていただきました。帝人本社のエリートは一ツ橋が多かった。以上は、一流大卒の中の優れた経営者たちの例です。出身大学のレベルに関わらず、優れたマネジメントのできるのは3%以下でしょうね。
わたしは、小学生の時からビリヤード店の店番を任されていたので、大人と毎日話したりお客さんのゲーム相手をしてました。 夢中でするゲームには人間の本性がでます。 さまざまな職業の人が常連客でした。 視界の先生たち、腕のよい大工や肉屋さん、根室信金職員、銀行員、個人商店主、学校の先生、珠算塾の先生、さまざまな職種のサラリーマン、人間観察とそれぞれの人ビリヤードをすることでどういう仕事の仕方をするのは推察がつくようになりました。 正確性と美的感覚を追求する根室信金職員のO田さんはサラリーマンには向いていませんでした。 腕の良い大工のH田さんは人っ子がよすぎて危なげ、よく働き、よく遊び、よく飲んでました。 ときどき、工事代金を取り損なって困ってました。 昭和天皇のビリヤードコーチだった札幌の吉岡先生は白髪の品の良いお爺さんでした。 札幌で彼女と歩いていた時に「トシボー」と大きな声で呼び止められて吃驚したことがありました。ライオンズクラブで献血運動のお手伝いをしてました。にこにこしながら「トシボー献血していけ!」、「はい!」、彼女にちょっと待ってもらいました。 歯科医の福井先生は根室新聞へ連載小説を5年間は寄稿していました。歯科医の 田塚先生は短歌を詠む人でした。軍医で華北平原へ出征して、敗戦後引き揚げています。その折々の風景と感慨が短歌に読まれています。国後島の蟹の大漁師の一人息子でした。若い衆を何人も使って漁をしていたそうです。当時は蟹が多かったから、大金持ちでした。 先生の遺稿集は根室印刷の創業者で考古学者・文学博士の北構保男氏が編集者となって根室印刷で印刷・発行しています。 彼らお二人は根室商業の同級生でした。 高坂さんと北構さんと田塚先生の3人で一緒に東京へ進学しています。東京のデパートで三人で撮った写真を弊ブログのどこかにアップしてあります。田塚先生だけハットをかぶりウールのコートです。北構先生は根室商業の学生帽と学生服姿です。田塚先生は仕事が終わるといつもハットをかぶって来られました。店にあった帽子掛けはオヤジが田塚先生のために備えたものだとわかったのは、二人とも亡くなってから、昔を思い出して気がついたことです。オヤジも中国大陸を歩き回った後で落下傘部隊へ入隊しているので、気が合ったのでしょうね。「五郎さん」「田塚先生」、田塚先生が2つくらい年長だったかな。ああ、そうです、田塚先生は大正8年4月1日生まれです、遺稿集に載っていました。二女の恵子さんが、小中高と同級生でした。
そうでした、中高の時代に経験しておくべき大事なことがあるという話でした。 わたしは根室高校生徒会会計でした。 その当時は生徒会・会計は選挙ではありませんでした。 学校側の任命制でしたが実質的には先輩からの指名です。 仲野先輩がわたしを指名してくれました。 その時まで一度も口をきいたこともありませんでした。 生徒会会計は生徒会の入出金の帳簿をつけて、決算をします。 だから簿記に堪能な生徒が選ばれていました。 全クラブの予算は生徒会室に個別に部長と副部長を呼んでわたし一人で予算折衝をしてました。各部の 部長は先輩ですが、割り振った予算がなぜその金額なのかの説明をします。 活動実績を見ながら公平にやっていました。 どういうわけか、転職の都度、予算編成と管理をいきなり任されてましたが、40億円の予算規模でも300億円でも、やり方は同じでしたね。 事業部ごとに実績と将来性を判断して理解と納得ずくで予算割りしていくだけ。 1兆円の予算でも同じことです。
高校の時に「丸刈り」の校則改正をやりました。根室高校男子生徒は丸刈り坊主頭にしなければならなかったんです。 校則改正を提案したら生徒会の副会長の先輩2人(古御堂さんと端谷さん)が1年生のわたしに「お前がやれ」というのです。 父兄にアンケートをとって、修学旅行の3か月前に全校集会を開いて校則改正し、髪を伸ばして修学旅行へ行きました。東京・大阪・京都・奈良、11泊12日の修学旅行でした。 こういう経験が後にいくつもの会社で経営参謀として経営改革をやるのに役に立っているんです。 権限がなくても、権限をもっている人間がバックで支えてくれたら、どんな経営改革でもできます、実際に何度もやってきました。
ⅢGには総番のヒロシもいました。 とってもユニークなクラスでした。 あいつとも馬が合いましたね。 ヒロシは自分の損得では動かない男でした。 大学行こうってわたしを誘ったのは総番長のヒロシなんです。 わたしは大学進学のつもりがありませんでした独学で勉強して公認会計士になるつもりだったのです。 ヒロシは恩人の一人ですよ。
大事なことを思い出しました。 根室商業時代から続いていた総番制度の廃止です。 同じクラスだった郡部の青野とヒロシとわたしが相談して決めましたが、やったのは100%ヒロシです。 青野は郡部の悪(ワル)の系譜に連なっていたし、わたしは5つ年上の親戚Mさん(じっさいには「Mちゃん」とちゃん付で呼んでいました)が野球部キャプテンで総番長でしたから、その縁で関わることになりました。この3人を2年の時に同じクラスにしたからやれたんです。 高校1年生の時にそのMさんがわたしに根室商業時代から伝わった仁義を実演して見せてくれました。 「お控えなすって、さっそく控えなすって下さったありがとうにござんす、手前生国発しますところ...」というあれです。 小さく折り畳んだ台詞を書いた小さな紙をその時にもらいましたが、机の中に入れてたまま、高校を卒業してから紛失してしまいました。 昔は元気のいい生徒が少なくなかったので、やくざとのもめごともたまにはあったんだそうです。 そういう時に、根室高校を代表するのが総番長でした。 「台詞を間違えたら、殺されたって文句は言えない」、そう言ってましたよ。 やさしい「お兄さん」でしたが、お祭りの時だけは目つきの鋭いのを十数人後ろに従えて、足駄を履いて肩で風切って歩いてくるんです。 その日だけはおっかない顔してました。
やくざの親分のTさんもビリヤードの常連でした。 幹部4人ほどしか店への出入りを認めてませんでした。 三下が一度用事があって来たら、「この店へは来てはならん」と叱ってました。 お店ではとっても紳士ですが、一度お祭りの時の場所割りで、何か意に添わなかったことがあったようで、屋台を一つぶっ壊すところを通りかかってみたことがありました。 お袋が、亡くなる数年前に、「お前が高校生の頃、Tが言ってたよ、「息子に何かあったら、俺に言ってくれ」」と、笑ってました。 Tさん、人を見る目はたしかでしたね。 わたしの中に隠してあるものを見抜いていました。 一つ間違えたら、危ない奴だったんです。
(小学生の時に石炭ストーブの焚き付けを素手で叩き折ってました。たまに生木も混ざっていました。しなるのですが、打撃速度が大きいと折ることができるんです。拳と手刀で叩き折っていました。大きな鉞で五寸角の廃材を数十回叩いて叩き折って焚き付けにしてました。あれは背筋力を異常に大きくします。200㎏前後ありました。踏み込まないで腰のひねりだけで、180kgの打撃力がありました。感情が激して人を叩いたら殺してしまいます。一度も人を叩いたことがありません。)
暇なときはお客さんのビリヤードの相手をしますが、Tさんは一度もわたしにゲームしようと言ったことがありませんでした。 元落下傘部隊員のオヤジには一目置いていましたから。 Tさん、ご同業でもないのにわたしの母親のことを「姉さん」と呼んでいました。 Tさんを見ていたから、目の奥に危ない光が宿る紳士的な人にはアラームが自然に鳴ります。 予測の範囲ですから、豹変しても驚きません。 平然と相手の目を見て受け止められます。にこっとするだけでいい。そうするとこいつには脅しは利かないと相手にも伝わるんです。落ち着いてるから、何が出てくるのか相手には読めない、危ない感じはするのでしょう。そういう勘はこの種の人たちはとってもいい。東北の臨床検査会社に1億円の出資交渉をまとめて、出向したら、3人そういう類の人とのお付き合いがありました。君子危うきに近寄らず、誘い方がうまい、でもちゃんと距離を置いてました。
こうした対人スキルとリーダーシップはすべて中高の時代に身につけたものです。 無駄なようですが、人生に無駄なことなし。 無駄と思えることほどあとから効いてきます。 (笑)
話したいことがあったら、ニムオロ塾生や元ニムオロ塾生でなくても遠慮しないで来たらいい。 大人と話す機会は視野を広くする。 頑張れ、根室っ子!
<余談-2:昨年O君の成し遂げたこと>
偏差値65の旭川医大へ偏差値45の根室高校から現役合格したO君のことを書きます。道北・道東推薦枠への応募者26名のうち、半数を共通テストの得点で足切り、残りの13人を面接試験と小論文テストで審査。 共通テストの得点との合計点で10名の合格者を決めています。 トップ合格は道内の進学校の浪人生ですから、現役生ではトップ合格でした。 だから、医学部現役合格でも値打ちが違うんです。 道内外の名だたる進学校からの現役受験生をなで斬りにしての合格だったのです。 そんな大それたことが、根室高校からだってやれるのです。 やりかたは弊ブログに書いてあります。
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作文問題でも問題を抱えているというので、いま、中3と高校生に配信しているメンバーに参加してみるかと誘ってみました。 英作文スキルがアップすると、読みも深くなり相乗効果が期待できます。
英語は音読、ひたすら音読、そして英語の語順通りに理解するトレーニングを積み重ねたら、チャンク単位で先読みがある程度できるようになります。
日本語の先読みトレーニングの仕方とその効果を説明しました。
物理は米国の標準的な物理の教科書ぐらいは読んでおくべきです。 専門用語に慣れておいた方が、大学院受験の時に有利です。 大学へ入学したら、物理の専門書を数冊読んでさらにブラッシュアップしたらいい。 理系は大学院でドクターの学位をとらないと通用しない時代です。
高校2年で英検準1級が取れたら、カーネギーメロン大学やスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学への進学を考えたらいい。
例えば創薬の分野は生物と化学と物理屋(そして地学も)さんがしのぎを削っている分野です。 九大の角田教授は真菌の研究者、創薬にかかわる研究をしていますが、先端研究分野はこれら生物・物理・化学の垣根がなくなっています。釧路の教育を考える会の角田会長のお子さんです。現在の根室の教育長さんのお父さんと角田さんがお付き合いがあったそうです。旭川の自宅へ伺ったときに、まだ小学生だったと仰っていました。「根室市の新しい教育長はどうですか?」と角田会長。
お母さんの方と話したことは一つだけ。
①彼は高校生だからもう9割大人として扱おう
目標設定も、それに向けての努力も自分次第、もう放っておこう。 それが母親にいまできる最大の仕事。 自立を促すのは母親の大切な役割。 それで自分も子離れできるし、子どもも自立できる。 よく世間には子どもをがんじがらめに管理して東大医学部に入れましたなんて母親がいますが、あれは最悪です。 自立の機会を奪ったのですから、社会人になっても自立できず、深刻な副作用が出ます。 受験勉強しかできない専用マシーンになってしまうんです。精神を病む確率が一桁あがります。
そういうことを踏まえてとっても大事な要点を書きます。 中高の時代は思春期、思春期は一度っきりです。 その時期に経験して学ぶべきことがあります。異性関係も含めて 対人スキルですよ。 コミュニケーションスキルやリーダシップはこの時期でないと獲得できないのです。 背伸びしてレベルの高い本も読まないといけません。 受験勉強が忙しくて難易度の高い本を読む時間がないなんて言うのは論外です。 意見が分かれるでしょうが、大学のランクを落としても読むべきです。
<余談-1:個人的な経験から>
京大理系や一橋大学や慶応大学、東大理三(院卒)などの出身者十数人と一緒に仕事してきました。 東大理三は使い方次第でしたね。 器の大きい上司が仕事の差し立てをちゃんとしてやればいい仕事ができます。 使う人間の力量次第です。
一流大卒の半数はアウトでしたよ。 マネジメントができません、理由があるのだと思います。 部長職にしたら問題が出て、降格あるいは心の病で会社を退職せざるを得なくなるようなきつい状況に追い込まれます。 役職が高くなると責任も重くなるからです。 コミュニケーションスキルやマネジメントスキルを育てる大事な中高生の時期を受験勉強に時間を割きすぎたのだと思います。 わたしの推論です。
一流大卒でも例外がいます。どんな大学でも、マネジメントスキルと対人スキルの両方が高い人間は3%くらいなものです。
関商事(上場時には社名変更し「セキテクノトロン」)の社長だった関周さんは慶応大学大学院経済学専攻科修了、SRL社長だった近藤俊之さんは慶応大学医学部卒(慶応大大学院医学研究科で特別講義を「もっていたことがあるので博士かもしれません)、東和フードの岸野社長も慶応大学卒でしたが、三人とも出色の経営者でした。 20代後半、40代、50歳前後にこれら三人の社長にお仕えしましたが、それぞれの社長の片腕、経営参謀でした。臨床治験のデータ管理会社の合弁相手だった帝人の石川常務と松崎専務はどちらも一橋大でした、なかなかの人物でした。赤字部門の合弁会社を3年で黒字にしてから申し入れましたが、合弁解消と帝人の臨床検査子会社買収の提案を笑って受け入れてくれました。「合弁やると決まって経営が行き詰まり、帝人側でひきとることになるのがいつもの例、まるで逆、こんな申し入れは初めてです」、社員ごとSRL(臨床検査の最大手の企業)で引き取ることで応じていただきました。帝人本社のエリートは一ツ橋が多かった。以上は、一流大卒の中の優れた経営者たちの例です。出身大学のレベルに関わらず、優れたマネジメントのできるのは3%以下でしょうね。
わたしは、小学生の時からビリヤード店の店番を任されていたので、大人と毎日話したりお客さんのゲーム相手をしてました。 夢中でするゲームには人間の本性がでます。 さまざまな職業の人が常連客でした。 視界の先生たち、腕のよい大工や肉屋さん、根室信金職員、銀行員、個人商店主、学校の先生、珠算塾の先生、さまざまな職種のサラリーマン、人間観察とそれぞれの人ビリヤードをすることでどういう仕事の仕方をするのは推察がつくようになりました。 正確性と美的感覚を追求する根室信金職員のO田さんはサラリーマンには向いていませんでした。 腕の良い大工のH田さんは人っ子がよすぎて危なげ、よく働き、よく遊び、よく飲んでました。 ときどき、工事代金を取り損なって困ってました。 昭和天皇のビリヤードコーチだった札幌の吉岡先生は白髪の品の良いお爺さんでした。 札幌で彼女と歩いていた時に「トシボー」と大きな声で呼び止められて吃驚したことがありました。ライオンズクラブで献血運動のお手伝いをしてました。にこにこしながら「トシボー献血していけ!」、「はい!」、彼女にちょっと待ってもらいました。 歯科医の福井先生は根室新聞へ連載小説を5年間は寄稿していました。歯科医の 田塚先生は短歌を詠む人でした。軍医で華北平原へ出征して、敗戦後引き揚げています。その折々の風景と感慨が短歌に読まれています。国後島の蟹の大漁師の一人息子でした。若い衆を何人も使って漁をしていたそうです。当時は蟹が多かったから、大金持ちでした。 先生の遺稿集は根室印刷の創業者で考古学者・文学博士の北構保男氏が編集者となって根室印刷で印刷・発行しています。 彼らお二人は根室商業の同級生でした。 高坂さんと北構さんと田塚先生の3人で一緒に東京へ進学しています。東京のデパートで三人で撮った写真を弊ブログのどこかにアップしてあります。田塚先生だけハットをかぶりウールのコートです。北構先生は根室商業の学生帽と学生服姿です。田塚先生は仕事が終わるといつもハットをかぶって来られました。店にあった帽子掛けはオヤジが田塚先生のために備えたものだとわかったのは、二人とも亡くなってから、昔を思い出して気がついたことです。オヤジも中国大陸を歩き回った後で落下傘部隊へ入隊しているので、気が合ったのでしょうね。「五郎さん」「田塚先生」、田塚先生が2つくらい年長だったかな。ああ、そうです、田塚先生は大正8年4月1日生まれです、遺稿集に載っていました。二女の恵子さんが、小中高と同級生でした。
そうでした、中高の時代に経験しておくべき大事なことがあるという話でした。 わたしは根室高校生徒会会計でした。 その当時は生徒会・会計は選挙ではありませんでした。 学校側の任命制でしたが実質的には先輩からの指名です。 仲野先輩がわたしを指名してくれました。 その時まで一度も口をきいたこともありませんでした。 生徒会会計は生徒会の入出金の帳簿をつけて、決算をします。 だから簿記に堪能な生徒が選ばれていました。 全クラブの予算は生徒会室に個別に部長と副部長を呼んでわたし一人で予算折衝をしてました。各部の 部長は先輩ですが、割り振った予算がなぜその金額なのかの説明をします。 活動実績を見ながら公平にやっていました。 どういうわけか、転職の都度、予算編成と管理をいきなり任されてましたが、40億円の予算規模でも300億円でも、やり方は同じでしたね。 事業部ごとに実績と将来性を判断して理解と納得ずくで予算割りしていくだけ。 1兆円の予算でも同じことです。
高校の時に「丸刈り」の校則改正をやりました。根室高校男子生徒は丸刈り坊主頭にしなければならなかったんです。 校則改正を提案したら生徒会の副会長の先輩2人(古御堂さんと端谷さん)が1年生のわたしに「お前がやれ」というのです。 父兄にアンケートをとって、修学旅行の3か月前に全校集会を開いて校則改正し、髪を伸ばして修学旅行へ行きました。東京・大阪・京都・奈良、11泊12日の修学旅行でした。 こういう経験が後にいくつもの会社で経営参謀として経営改革をやるのに役に立っているんです。 権限がなくても、権限をもっている人間がバックで支えてくれたら、どんな経営改革でもできます、実際に何度もやってきました。
ⅢGには総番のヒロシもいました。 とってもユニークなクラスでした。 あいつとも馬が合いましたね。 ヒロシは自分の損得では動かない男でした。 大学行こうってわたしを誘ったのは総番長のヒロシなんです。 わたしは大学進学のつもりがありませんでした独学で勉強して公認会計士になるつもりだったのです。 ヒロシは恩人の一人ですよ。
大事なことを思い出しました。 根室商業時代から続いていた総番制度の廃止です。 同じクラスだった郡部の青野とヒロシとわたしが相談して決めましたが、やったのは100%ヒロシです。 青野は郡部の悪(ワル)の系譜に連なっていたし、わたしは5つ年上の親戚Mさん(じっさいには「Mちゃん」とちゃん付で呼んでいました)が野球部キャプテンで総番長でしたから、その縁で関わることになりました。この3人を2年の時に同じクラスにしたからやれたんです。 高校1年生の時にそのMさんがわたしに根室商業時代から伝わった仁義を実演して見せてくれました。 「お控えなすって、さっそく控えなすって下さったありがとうにござんす、手前生国発しますところ...」というあれです。 小さく折り畳んだ台詞を書いた小さな紙をその時にもらいましたが、机の中に入れてたまま、高校を卒業してから紛失してしまいました。 昔は元気のいい生徒が少なくなかったので、やくざとのもめごともたまにはあったんだそうです。 そういう時に、根室高校を代表するのが総番長でした。 「台詞を間違えたら、殺されたって文句は言えない」、そう言ってましたよ。 やさしい「お兄さん」でしたが、お祭りの時だけは目つきの鋭いのを十数人後ろに従えて、足駄を履いて肩で風切って歩いてくるんです。 その日だけはおっかない顔してました。
やくざの親分のTさんもビリヤードの常連でした。 幹部4人ほどしか店への出入りを認めてませんでした。 三下が一度用事があって来たら、「この店へは来てはならん」と叱ってました。 お店ではとっても紳士ですが、一度お祭りの時の場所割りで、何か意に添わなかったことがあったようで、屋台を一つぶっ壊すところを通りかかってみたことがありました。 お袋が、亡くなる数年前に、「お前が高校生の頃、Tが言ってたよ、「息子に何かあったら、俺に言ってくれ」」と、笑ってました。 Tさん、人を見る目はたしかでしたね。 わたしの中に隠してあるものを見抜いていました。 一つ間違えたら、危ない奴だったんです。
(小学生の時に石炭ストーブの焚き付けを素手で叩き折ってました。たまに生木も混ざっていました。しなるのですが、打撃速度が大きいと折ることができるんです。拳と手刀で叩き折っていました。大きな鉞で五寸角の廃材を数十回叩いて叩き折って焚き付けにしてました。あれは背筋力を異常に大きくします。200㎏前後ありました。踏み込まないで腰のひねりだけで、180kgの打撃力がありました。感情が激して人を叩いたら殺してしまいます。一度も人を叩いたことがありません。)
暇なときはお客さんのビリヤードの相手をしますが、Tさんは一度もわたしにゲームしようと言ったことがありませんでした。 元落下傘部隊員のオヤジには一目置いていましたから。 Tさん、ご同業でもないのにわたしの母親のことを「姉さん」と呼んでいました。 Tさんを見ていたから、目の奥に危ない光が宿る紳士的な人にはアラームが自然に鳴ります。 予測の範囲ですから、豹変しても驚きません。 平然と相手の目を見て受け止められます。にこっとするだけでいい。そうするとこいつには脅しは利かないと相手にも伝わるんです。落ち着いてるから、何が出てくるのか相手には読めない、危ない感じはするのでしょう。そういう勘はこの種の人たちはとってもいい。東北の臨床検査会社に1億円の出資交渉をまとめて、出向したら、3人そういう類の人とのお付き合いがありました。君子危うきに近寄らず、誘い方がうまい、でもちゃんと距離を置いてました。
こうした対人スキルとリーダーシップはすべて中高の時代に身につけたものです。 無駄なようですが、人生に無駄なことなし。 無駄と思えることほどあとから効いてきます。 (笑)
話したいことがあったら、ニムオロ塾生や元ニムオロ塾生でなくても遠慮しないで来たらいい。 大人と話す機会は視野を広くする。 頑張れ、根室っ子!
<余談-2:昨年O君の成し遂げたこと>
偏差値65の旭川医大へ偏差値45の根室高校から現役合格したO君のことを書きます。道北・道東推薦枠への応募者26名のうち、半数を共通テストの得点で足切り、残りの13人を面接試験と小論文テストで審査。 共通テストの得点との合計点で10名の合格者を決めています。 トップ合格は道内の進学校の浪人生ですから、現役生ではトップ合格でした。 だから、医学部現役合格でも値打ちが違うんです。 道内外の名だたる進学校からの現役受験生をなで斬りにしての合格だったのです。 そんな大それたことが、根室高校からだってやれるのです。 やりかたは弊ブログに書いてあります。
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#4704 札幌光星高校受験の生徒が『シリウス中3数学』を終了 Jan. 27, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
<最終更新情報>1/28朝8:30
このカテゴリーは、根室から偏差値65の難関大学現役合格目指して、根室高校から現役合格しようと志す者、そして難関大学へ現役合格目指して高校からは札幌の進学校で勉強したい者たちのために記録として残すものである。どうやればその夢がかなうのか、その具体的な道しるべを示したい。
根室の子どもたち、そして保護者のみなさん、教育長をはじめとする教育行政、学校の先生たちが、高学力の生徒を育てるために何をしなければいけないのか、そして何をしてはいけないのかも明らかにした。7年かけて旭川医大へ根室高校からO君が現役合格したことで、この方法論は実証されている。いまもう一人、札幌の進学高校へ行く生徒が、別の道を切り拓いてくれている。成績上位3%の学力があれば、可能な道を示したい。
例えば、地域医療問題。常勤医が不足して、市立根室病院の年間赤字額は16億円ある。このままではふるさと納税が廃止されると同時に、市立根室病院の運営ができなくなる可能性がでてくる。高学力の子どもたちを育て、根室から毎年医学部への進学者が出せれば、40代の学齢期の子どもを抱えたドクターが根室へ赴任してくれる。常勤医不足は一気に解決できるのである。教育面でのネックを解消することが、根室の地域医療の事情を根底から変えることになる。この記録が、進学校のない道内のほかの地域から難関大学へ進学する子どもたちの役に立つことを願っています。
(国公立大学医学部の学費は6年間で360万円で格安である。文系私大でも4年間で学費は480万円ほどかかる。だから、学力さえあれば、学費の問題はないのだ。私大医学部は10倍の4000万円かかります。)
さて前置きはこれくらいにして、本題へ入ろう。
7下旬に入塾してきた生徒が、『シリウス中3数学』を終了した。他の塾でやっていた単元からスタートしたので、この問題集は途中からスタート。スタートしてからは全問独力で解き切った。質問があったのは記憶にある限りで1題のみ。力があるということだろう。この半年間、モノも言わずに黙々と難易度の高い問題を解いていた。「解説依存型学習スタイル」から「独力での題意把握型学習スタイル」への切り替えを半年かけて行ったのである。よく頑張ったと思う。
同じスタイルで、高校3年間学習したら、難関大学の数学の2次試験は高得点でクリアできる。
<目標の設定>
この生徒の半年間の目標は、弱点である英語の学力テストの点数を25-30点アップすること、そして得意科目の数学は、難易度の高い問題集『シリウス中3数学』へ切り換えて、ワンランク難易度アップした問題でも制限時間内に余裕で解けるような速度をつけること、一番大事なことはそれまでの学習スタイルを変えることであった。
<数学の狙い>
受験前に『シリウス中3数学』を終了できるのか、危ういところがあったが、ぎりぎりセーフだ。あとは東京都立の過去問を5年分やれば数学は十分だ。札幌光星高校の入試数学は問題量が多いので、速度アップ・トレーニングが必要なのである。道立高校の問題よりも難易度の高い都立高校入試過去問が、トレーニングに適している。
この生徒は3年次の学校の定期テストは4回とも数学は満点だった。そんな生徒は一まで見たことがない。学力テスト4回の数学の平均点は96点である。
<札幌光星高校ステラコースの選抜方式>
昨日、マリスコースの合格通知があったと笑顔で報告があった。札幌光星高校は1/22(土)に英語の筆記試験と面接でマリスコースの合否を決定する。そして2/15に五科目のテストをやって、偏差値72のステラコース(難関国立大と国公立大医学部受験専用コース)の入学者を選抜するという、2段構えでの入試選抜方式を採用している。
このカテゴリーは、根室から偏差値65の難関大学現役合格目指して、根室高校から現役合格しようと志す者、そして難関大学へ現役合格目指して高校からは札幌の進学校で勉強したい者たちのために記録として残すものである。どうやればその夢がかなうのか、その具体的な道しるべを示したい。
根室の子どもたち、そして保護者のみなさん、教育長をはじめとする教育行政、学校の先生たちが、高学力の生徒を育てるために何をしなければいけないのか、そして何をしてはいけないのかも明らかにした。7年かけて旭川医大へ根室高校からO君が現役合格したことで、この方法論は実証されている。いまもう一人、札幌の進学高校へ行く生徒が、別の道を切り拓いてくれている。成績上位3%の学力があれば、可能な道を示したい。
例えば、地域医療問題。常勤医が不足して、市立根室病院の年間赤字額は16億円ある。このままではふるさと納税が廃止されると同時に、市立根室病院の運営ができなくなる可能性がでてくる。高学力の子どもたちを育て、根室から毎年医学部への進学者が出せれば、40代の学齢期の子どもを抱えたドクターが根室へ赴任してくれる。常勤医不足は一気に解決できるのである。教育面でのネックを解消することが、根室の地域医療の事情を根底から変えることになる。この記録が、進学校のない道内のほかの地域から難関大学へ進学する子どもたちの役に立つことを願っています。
(国公立大学医学部の学費は6年間で360万円で格安である。文系私大でも4年間で学費は480万円ほどかかる。だから、学力さえあれば、学費の問題はないのだ。私大医学部は10倍の4000万円かかります。)
さて前置きはこれくらいにして、本題へ入ろう。
7下旬に入塾してきた生徒が、『シリウス中3数学』を終了した。他の塾でやっていた単元からスタートしたので、この問題集は途中からスタート。スタートしてからは全問独力で解き切った。質問があったのは記憶にある限りで1題のみ。力があるということだろう。この半年間、モノも言わずに黙々と難易度の高い問題を解いていた。「解説依存型学習スタイル」から「独力での題意把握型学習スタイル」への切り替えを半年かけて行ったのである。よく頑張ったと思う。
同じスタイルで、高校3年間学習したら、難関大学の数学の2次試験は高得点でクリアできる。
<目標の設定>
この生徒の半年間の目標は、弱点である英語の学力テストの点数を25-30点アップすること、そして得意科目の数学は、難易度の高い問題集『シリウス中3数学』へ切り換えて、ワンランク難易度アップした問題でも制限時間内に余裕で解けるような速度をつけること、一番大事なことはそれまでの学習スタイルを変えることであった。
<数学の狙い>
受験前に『シリウス中3数学』を終了できるのか、危ういところがあったが、ぎりぎりセーフだ。あとは東京都立の過去問を5年分やれば数学は十分だ。札幌光星高校の入試数学は問題量が多いので、速度アップ・トレーニングが必要なのである。道立高校の問題よりも難易度の高い都立高校入試過去問が、トレーニングに適している。
この生徒は3年次の学校の定期テストは4回とも数学は満点だった。そんな生徒は一まで見たことがない。学力テスト4回の数学の平均点は96点である。
<札幌光星高校ステラコースの選抜方式>
昨日、マリスコースの合格通知があったと笑顔で報告があった。札幌光星高校は1/22(土)に英語の筆記試験と面接でマリスコースの合否を決定する。そして2/15に五科目のテストをやって、偏差値72のステラコース(難関国立大と国公立大医学部受験専用コース)の入学者を選抜するという、2段構えでの入試選抜方式を採用している。
<英語学習の記録>
この生徒は『シリウス中3英語』問題集をやり終えたのは11月だったかな。10月に英検準2級に合格し、そこからシリウス長文問題23題、大学入試問題集「Cutting Edge」18問中9問、高校1年の教科書音読トレーニングをしている。英作文問題と解説集はメールで送ってあるが、量が多すぎるので、解説を読んでいるだけ。1/29と2/5で高1の教科書「Vivid 1」の音読トレーニングが(対象者はこの生徒ともう一人、ハードな英語の勉強をいとわない中3女子の二人)が終わる。語彙数は英検2級レベルに近づいた。音読と同時に英語の語順通りに日本語に落としていくトレーニングもしたので、読む速度は2倍くらいになっているようだ。1/22の試験では時間が余って見直ししたと言っていた。以前は学力テストの英語問題で時間が余ったことはなかった。四月の時点では五科目の中で英語が一番点数が低かったが、それ以降の学力テストでは90点近い得点になっている。11月の学力テスト総合Cから学力テストがないので、2/3の模試の得点が楽しみだ。
やる気満々の生徒につきあうのは面白い。どこまで伸びるか予測がつかぬ。わからないから楽しいのだ。
(英語音読トレーニングのやり方、「ゆっくり音読⇒高速音読⇒微音読」はすでにこのカテゴリーと別のカテゴリー「49.1英語音読トレーニング」の両方に書いてありますので、そちらを参照してください。)
<弱点は社会と理科>
社会科の点数が安定しないのと、理科の得点がまだ低いので、この2科目に絞ってラストスパート。理科は計算問題分野を中心に補強してきたが、まだ足りない。目標のステラコースに高得点で合格してもらいたい。
<余談:比較>
根室高校から旭川医大へ現役合格した生徒は中学生のときは定期テストも学力テストも全部学年1番で通した。学力テストの五科目最高点は282点(300点満点)だったので94%である。この生徒は高校受験は無視して勉強した。中3のときの高校数学をやっていた。それでも根室高校へはトップ合格している。
一方、札幌光星高校ステラコース受験の生徒は、高校数学はまだ手を付けていない、そして五科目合計点が90%をクリアできていない。不得意科目が一つでもあると、五科目合計点には結構な差が生じる。2/3の模試で90%をクリアして気持ちよく卒業できたらいいね。
定期テストの最高点は491点だった、これは気分がよかっただろう。英語はこの時が初めて満点。どこまで伸びるのか、卒業も近づいている。高校へ行ってから、高学力の生徒たちと切磋琢磨してさらに飛躍してもらいたい。
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#4703 根室高校から偏差値65の大学へ現役合格する勉強の仕方(2) Jan. 27, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]
田舎の偏差値45の高校から偏差値65以上の難関大学へ合格するのは、都会の進学校からの受験生よりも圧倒的に不利であると思われているが、やり方次第でそうでもなく、ギャップを埋める工夫ができることに「通りすがり」さんの問題提起で気がつきました。このテーマは前回に続いて2回目になります。
数学の問題で、題意の把握がむずかしい問題は進学校の生徒は、授業のレベルが高いので、そうした問題を普段の授業で採り上げ、先生が題意についてもスマートな解説をしてくれますから、それを記憶して使えるようになればいいだけです。だから、題意の読み取りトレーニングの機会が小さくなります。田舎の偏差値45の高校ではそもそも大学入試共通テストレベルを超えるような高レベルの問題は授業では取り上げられませんから、共通テストレベルの問題でも、題意は解説を読むか自分で把握するしか手段がないのです。
ここで田舎の生徒は二つに分かれます。問題集の解説をすぐに読んで正解手順を記憶するスタイルをとる生徒と、自力で答えを出してから解答と解説を読む生徒に分かれるのです。「解説依存型学習」と「独力での題意把握型学習」と仮に名付けておきます。
解説依存型の学習を中高6年間継続した生徒は、難易度の高い問題の題意の把握を独力でした経験がほとんどないので、そういう題意の読解力を試す問題にはひ弱になってしまっていることは想像に難くありません。独力での題意把握型の学習を6年間続けた生徒には、通りすがりさんが挙げてくれた理科大の過去問のような問題は「ふつう」の問題なのです。いつもやっている通りに、題意把握に集中すればいいだけです。2次試験に圧倒的な差が出ます。
十数年前になりますが、「お迎えテスト(中1の四月の学力テスト)」で数学が満点の生徒が入塾してきました。野球部の生徒でした。勉強の仕方を観察していると、むずかしい問題はすぐに解答・解説を参照して、覚えてしまいます。もうひとり、水泳をやっている生徒が6年生から来ていました。学力が高いので6年生の途中で問題集を終了し、中1の問題をやらせていました。ところが、方程式の文章題で躓きました。「先生、問題少し飛ばしていいですか?」とあるとき言いました。辛かったのです。学力の高い生徒だったので、「ダメだ、全問やれ!」と指示しました。涙目でやってました。二人は同級生でしたが、数学で「独力での題意把握型学習」をつづけた生徒は4月の学力テストをのぞいて、卒業するまで「解説依存型学習」の生徒に数学の点数で後れを取ることはありませんでした。「解説依存型学習」は学力の伸びが小さくなるようです。
高校が偏差値45の1校しかない地域では、小学生のときから「独力での題意把握型学習」スタイルを身につけたら、難関大学の2次試験で進学校のトップクラスの生徒と同じ程度の学力にあるいはそれをしのぐ学力に達することができるということではないでしょうか。
(昨年、根室高校から現役で旭川医大へ合格したO君のケースを書いておきます。道北・道東推薦枠で26名が応募、半数を共通テストの得点でで足切りし、そのあと13名に面接と小論文を課して総合点で合否を決めています。10名の合格者はもちろん道内や道外の進学校からの受験者です。トップ合格者は旭川東高校の浪人生でした。O君が2位でしたから、現役合格者ではトップ合格です。小論文295点/300点満点で差がつきました。名だたる進学校からの受験生全部を超えたのですから、彼の快挙を称えたいと思います。難易度の高い本を選んで音読指導を7年間続け、対話型でその内容を批判的に吟味していました。大学のゼミレベルの対話を重ねていましたから、論理的な思考スタイルがしっかり身についたことと、7年間やり通した「独力での題意把握型」学習スタイルが決め手になったと思います。(2/12追記))
いま俎上に載せているのは、学力が上位3-5%の生徒たちの話です。それ以下の生徒には「独力での題意把握型」でも学習は無理です。だから、上位5%に届かない生徒たちには丁寧に題意の解説をしています。ただし、解説の程度は生徒の学力に応じてやるので、同じ問題でも解説の仕方に違いが出ます。個別指導ですから当たり前ですね。(笑)
あと二つ、英語の学習と国語の学習の仕方についても、言うべきことがあります。これもやり方次第で、都会の進学校の生徒を凌げるということ。次回、それらについて実証済みの方法に具体的に言及します。
<余談:観察事実>
どちらの生徒も部活に熱心でした。熱心すぎて「解説依存型」の生徒は肘を壊して2年生のときには野球をやめて陸上部に移っていました。小学校から投げさせすぎました。小中学校の野球部担当の先生はスポーツ医学の知識をもってもらいたい。
水泳をやっていた生徒は、高校のときに全道2位の成績を残し、全国大会へ出場してます。
「47都道府県からトップレベルの高校生が集まるのだから、厳しかっただろう?」
「はい、ビリから2番目でした」
そういって笑っていました、気持ちのいい奴でした。
両方の生徒が高校で部活に熱心で、通塾はしてません。前者は釧路公立大へ、後者は室蘭工大へ進学しました。北海道には工学部では北大と室蘭工大の間に位置する偏差値の大学がないのです。道内の国公立大が学費も4年間の生活費も低く抑えられるので、選択肢が狭くなります。学力の高めの生徒たちにはちょっと気の毒です。
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数学の問題で、題意の把握がむずかしい問題は進学校の生徒は、授業のレベルが高いので、そうした問題を普段の授業で採り上げ、先生が題意についてもスマートな解説をしてくれますから、それを記憶して使えるようになればいいだけです。だから、題意の読み取りトレーニングの機会が小さくなります。田舎の偏差値45の高校ではそもそも大学入試共通テストレベルを超えるような高レベルの問題は授業では取り上げられませんから、共通テストレベルの問題でも、題意は解説を読むか自分で把握するしか手段がないのです。
ここで田舎の生徒は二つに分かれます。問題集の解説をすぐに読んで正解手順を記憶するスタイルをとる生徒と、自力で答えを出してから解答と解説を読む生徒に分かれるのです。「解説依存型学習」と「独力での題意把握型学習」と仮に名付けておきます。
解説依存型の学習を中高6年間継続した生徒は、難易度の高い問題の題意の把握を独力でした経験がほとんどないので、そういう題意の読解力を試す問題にはひ弱になってしまっていることは想像に難くありません。独力での題意把握型の学習を6年間続けた生徒には、通りすがりさんが挙げてくれた理科大の過去問のような問題は「ふつう」の問題なのです。いつもやっている通りに、題意把握に集中すればいいだけです。2次試験に圧倒的な差が出ます。
十数年前になりますが、「お迎えテスト(中1の四月の学力テスト)」で数学が満点の生徒が入塾してきました。野球部の生徒でした。勉強の仕方を観察していると、むずかしい問題はすぐに解答・解説を参照して、覚えてしまいます。もうひとり、水泳をやっている生徒が6年生から来ていました。学力が高いので6年生の途中で問題集を終了し、中1の問題をやらせていました。ところが、方程式の文章題で躓きました。「先生、問題少し飛ばしていいですか?」とあるとき言いました。辛かったのです。学力の高い生徒だったので、「ダメだ、全問やれ!」と指示しました。涙目でやってました。二人は同級生でしたが、数学で「独力での題意把握型学習」をつづけた生徒は4月の学力テストをのぞいて、卒業するまで「解説依存型学習」の生徒に数学の点数で後れを取ることはありませんでした。「解説依存型学習」は学力の伸びが小さくなるようです。
高校が偏差値45の1校しかない地域では、小学生のときから「独力での題意把握型学習」スタイルを身につけたら、難関大学の2次試験で進学校のトップクラスの生徒と同じ程度の学力にあるいはそれをしのぐ学力に達することができるということではないでしょうか。
(昨年、根室高校から現役で旭川医大へ合格したO君のケースを書いておきます。道北・道東推薦枠で26名が応募、半数を共通テストの得点でで足切りし、そのあと13名に面接と小論文を課して総合点で合否を決めています。10名の合格者はもちろん道内や道外の進学校からの受験者です。トップ合格者は旭川東高校の浪人生でした。O君が2位でしたから、現役合格者ではトップ合格です。小論文295点/300点満点で差がつきました。名だたる進学校からの受験生全部を超えたのですから、彼の快挙を称えたいと思います。難易度の高い本を選んで音読指導を7年間続け、対話型でその内容を批判的に吟味していました。大学のゼミレベルの対話を重ねていましたから、論理的な思考スタイルがしっかり身についたことと、7年間やり通した「独力での題意把握型」学習スタイルが決め手になったと思います。(2/12追記))
いま俎上に載せているのは、学力が上位3-5%の生徒たちの話です。それ以下の生徒には「独力での題意把握型」でも学習は無理です。だから、上位5%に届かない生徒たちには丁寧に題意の解説をしています。ただし、解説の程度は生徒の学力に応じてやるので、同じ問題でも解説の仕方に違いが出ます。個別指導ですから当たり前ですね。(笑)
あと二つ、英語の学習と国語の学習の仕方についても、言うべきことがあります。これもやり方次第で、都会の進学校の生徒を凌げるということ。次回、それらについて実証済みの方法に具体的に言及します。
<余談:観察事実>
どちらの生徒も部活に熱心でした。熱心すぎて「解説依存型」の生徒は肘を壊して2年生のときには野球をやめて陸上部に移っていました。小学校から投げさせすぎました。小中学校の野球部担当の先生はスポーツ医学の知識をもってもらいたい。
水泳をやっていた生徒は、高校のときに全道2位の成績を残し、全国大会へ出場してます。
「47都道府県からトップレベルの高校生が集まるのだから、厳しかっただろう?」
「はい、ビリから2番目でした」
そういって笑っていました、気持ちのいい奴でした。
両方の生徒が高校で部活に熱心で、通塾はしてません。前者は釧路公立大へ、後者は室蘭工大へ進学しました。北海道には工学部では北大と室蘭工大の間に位置する偏差値の大学がないのです。道内の国公立大が学費も4年間の生活費も低く抑えられるので、選択肢が狭くなります。学力の高めの生徒たちにはちょっと気の毒です。
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