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#4588 旭川医大現役合格体験記:偏差値45の根室高校から July 18, 2021  [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

7月半ばを過ぎたのに、根室高校の方から公表がない。根室高校進路指導室が太志(タイシ)君へ合格体験記を書くように依頼したのに、その公表がありません。
 これから難関大学を目指す後輩たちへ残しておくべき貴重な意見が述べられているので、わたしの独断で彼の書いた合格体験記をアップします。こういうことで大人が、とくに教育関係者が約束を破ってはいかんのです。
(道北道東推薦での合格者10人中、総合得点2番で合格しています)

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 皆さんこんにちは、岡田太志です。この度はコラムを書くという貴重なお話をいただけて、大変光栄に思っております。本来なら講話という形で学校に伺いたかったのですが、昨今の新型コロナウィルスの流行のため、このような形となりました。私の伝えたいことが文章で全て伝えきれるか不安ですが、頑張って書いたので最後まで読んでくれたらうれしいです。


 さて、私からお話ししたいことは大きく分けて4つあります。
    常に自分の進路に関する情報に、アンテナを張ること
    努力の方向を見誤らないこと
    勉強は計画的にすること
    進路に関することは絶対に自分で決めること 
 まずは一つ目からいきましょう。私は今回、道北・道東特別選抜という制度で旭医大に入りました。一般入試ではないんです。もちろん一般入試でも出願していましたが、推薦入試を使うことで、単純に考えても、合格のチャンスが一回増えるわけです。でもこういう耳寄りな情報は、先生が提案してくれるとは限りません。実際私も自分から先生に提案しました。
 常にアンテナを張ることで、進路実現が一歩近づくかもしれませんよ。


 次に二つ目ですが、田舎の学生にとって最も難しいのがこれです。自分と同じ進路を希望している都会の学生がどんな参考書を使っているのか、どんな授業を受けているのかなど、合格するためのいわばセオリーのようなものを掴む必要があります。そのために、積極的に大手予備校の授業(オンラインもあるよ)を受けたり、インターネットを使って情報収集したり、塾の先生や、進学校出身の先生にアドバイスを貰ったりと、自分がどこを向いて勉強していけばいいかを明確にしてください。厳しいことを言えば、どれだけ努力してもその方向が違えば、意味がないんです。そうならないためにも、日本中の目に見えないライバルを常に意識して勉強してください。


 三つ目にいきましょう。皆さんも中にもテストの三日前になって、「やべー、なんもやってねー」ってなったことのある人もいるはず。それは受験でも同じことですよ。何月までに何を終わらせていなきゃいけないのか。それは人それぞれ違いますから、「学校でまだやってないから、やらなくてもいい」は言い訳になりません。学校の授業進度にかかわらず受験はやってきます。自分の進路に応じて、予習復習のリズムをつかんでください。



 最後に四つ目ですが、これが、私が皆さんに一番伝えたいことです。「先生がこうしなさいって言ったから、親がああしなさいって言ったから」という進路の決め方では、100%後悔します。それで失敗したときに誰のせいにしていいか分からなくなりますよね。なので、自分の希望と先生もしくは親の希望とが違う場合は、双方が納得するまで話し合ってください。「模試の成績が悪いからこの大学はあきらめろ」と言われても本番はどうなるかわかりません。(まぁ無謀なこともあるよ)私も11月の河合の共テプレよりも本番は70点上がりました。最後の一年、半年、二か月、一か月、一週間、一日まであきらめずに勉強すれば、点数はどこまでも伸びます。むしろ田舎の現役生のほうがこの伸びはすさまじいものです。先生をびっくりさせてあげてください()



まだまだコロナ禍が続きそうですが、皆さんの成功を祈っております。 
 最後に私の進路実現に向けて力を貸していただいた全ての方々に感謝を申し上げます。

 追記;ここまでたいそう偉そうなことを書いてきたけど途中で「俺医者になれんのかな、しんどくない?」って何回も思いました() 


最後まで読んでくれてありがと 



岡田太志


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 この「合格体験記」は3月1日にメールで学校に提出したワードファイルの写しを私宛に送ってくれたものです。

 2/21に7年間を振り返った手紙をもらっています。そこから二つピックアップします。
僕が先生から学んだことは、学ぶ楽しさや何か大きな問題を解決するには、幅の広い分野に精通する必要があること、そして大人相手でも、正しいことを論理的に主張し交渉すれば、自分の意見は通るということです。(そのおかげで、学校の先生には嫌われましたが(笑)今後はちょっとおとなしくしています(笑)

最後に、僕に学ぶことの楽しさ、受験勉強ではない、本当の学び方を教えていただきありがとうございました。ここからが、先生に学んだことが真の意味で生きる時だと思っています。学校の先生はもちろん両親も僕が現役にこだわっていることに否定的な中、最後まで僕を信じて、応援してくれたこと、僕の荒々しい発言から、真意をくみ取ってくれたこと等々本当にありがとうございました。

 言葉の一つ一つにその時のシーンが思い起こされます。愉しい生徒でした。いつもの席に君が座っていない、一月ほどは喪失感がありました。そしてまた、新しい生徒たちと向き合っています。別な物語が始まっているのでしょう。

*#4587と併せて読むと事情がよくわかるようになっていますので、ご覧ください。

<国語のユニークな学力アップの仕方>Oct. 9, 2021追記
 国語の学力アップは音読トレーニングで7年かけて培いました。どういうものを読んでどのようなやり方をしたのか#3395「Z会Vテストで全国レベルを知る」に書いておきましたので、チャレンジしたい人は参考にしてください。この生徒は根室高校から旭川医大に現役合格、小論文試験で300点満点のテストで295点を獲っています。道北・道東推薦枠で2位で合格しています。この推薦枠は志願者の半数を共通テストで切り捨て、残った13名に面接試験と小論文試験をそれぞれ300点満点で採点し、共通テストと面接と小論文の総合点で合否判定をしています。面接の点数はよくありませんでした。共通テストの得点が高かったのと小論文でトップだったので2位でした。(笑)
 旭川医大は合格者へ獲得点数と順位を文書で通知しています。オープンで公平なやり方ですね。

<四項目箇条書法>
 この小論は小寺さんの四項目箇条書法で書かれています。司法試験や公認会計士二次試験などの記述式試験は、この四項目箇条書法が強力な武器になります。この方式で答案を書く練習をすればいいのです。覚えるのは問題ごとに箇条書きの四項目だけでいいのです。だから消費する記憶容量を数分の一に減らせます。小論文作成や記述式問題にはベストな方法の一つです。
 太志には概略説明をしただけで、小寺さんの書いた本を数日貸しました。それだけです。
 日本語音読トレーニングでさまざまな分野の語彙のインプットは6年間かけてやりましたので、これくらいの文は、焦点を四つに絞ってすらすら書けます。旭川医大の課題小論試験で300点満点で295点をとった生徒の作文技術の一端が現れています。わかりやすい文章で自分の考えていることを表現する、社会人になってからこそ大事な技術です。一部上場企業へ就職しても、これだけ文章力があれば取締役にはなれるでしょう。もちろん仕事で実績を上げることは言うまでもありません。

原作小寺次男、編集鈴木朗『高校生が絵を担当 総合力アップのためのガイドブック 夢こそ生きる力企業人の教えが生きカエル』出版「星奈のお店」
 残念ながら、絶版になっています。イラストがオシャレで注のつけ方もセンスがいい。読みやすい本ですし、役に立つので、再版されたらうれしい。

<余談:25年後の根室の地域医療>
 古里に戻って私塾をやっている間に、30年後の根室の地域医療を支えることのできる人材を育てようと思いました。市立根室病院の年間赤字額は17億円、常勤医は12名前後が続いています。「ふるさと納税制度」が無くなったら、根室の地域医療は崩壊します。
 私の専門分野のひとつはマネジメントです。常勤医を20名に増やして、年間赤字額を5-7億円減らす具体的な方法があります。市立病院の経営の仕方についても授業の合間に議論してました、着々とやってくれたらいい。
 何かをやろうと思ったら、世の中には30年かけなきゃいけないことがあります。
 今でもできるのですが…そういう仕事を担える人材が根室にはいないようです。


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#4587 旭川医大現役合格生の話:後日談 July 17, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 7/12に件の生徒が帰郷して、塾へ顔を出してくれました。医大へ行ってからわかったことをいくつか報告してくれたので紹介します。

 新入生同士で会うと「出身高校はどこ?」という話になります。関西の進学校や東京の進学校、道内の名だたる進学校からがほとんどですから、「根室高校」というと、「そんな(進学)高校あったっけ?」という反応が返ってきます。首都圏の進学校からの合格者が「偏差値45の道立高校からの現役合格」だと知ると、「それはありえない」となります。

 実際に、高校がたくさんある都会では偏差値45レベルの高校から現役で国立医大への合格実績はありません。たとえば、「偏差値45の都内の高校一覧」から拾うと、都立八王子北高校がありますが、「進路実績」を見ると、2020年の国公立大学への進学実績はゼロ、GMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・学習院大学)への進学実績は1人のみ。
 現役で国公立医大へ合格するためには八王子地区なら八王子東高校(偏差値73)へ進学するのがスタンダードなコースです。八王子地区で国公立大学を目指すなら、八王子東がベストです。都立日野台(偏差値64)からはちょっときついかな、数年に一度でしょうね。「都立日野台進路実績
八王子東高校の過去3年間の進学実績」をご覧ください。東大は2020年度は5人、2019年度は7人、GMARCHは2020年度326人です。

 

 首都圏から合格した生徒たちが、「偏差値45の高校からの合格はありえない」というのはデータだけの判断ではないのです。進学校は中高一貫校が多いので、1年半くらい前倒しで授業しています。八王子東高校は中高一貫校ではありませんが国公立大への進学者数が毎年100名前後いますから、国公立大学や私大難関校への進学には圧倒的に有利なのです。ふだんの授業のレベルが高いので、そういうシステムの中で学内順位が何番なら、どの大学に合格できるというラインが見えています。件の生徒は、共通テストの得点を知った道内の進学校から合格した生徒に、「その点数なら合格してる」と言われたそうです。根室高校にはそういうデータの蓄積がありません。無理ないです、コンスタントにそういう大学へ現役合格者が出てませんから。
 道内の高校からの合格者も同じです。ほとんどが偏差値60以上の進学校から合格しています。札幌南高校(72)、札幌市立旭丘高校(67)、旭川東高校(67)、帯広柏陽(66)、釧路湖陵理数科(68)などです。
*道内の高校偏差値ランキング

 偏差値45の高校の授業を受けて勉強していたら合格は不可能だというのが、進学校からの合格者が異口同音に言うことです。そしてそれは事実でもあります。授業のレベルが低すぎるからで、低いというのは、①進捗が遅いということと②授業の難易度が低いということ。それゆえ、偏差値45の学校は、授業の進捗速度と取り扱う問題の難易度が極端に低いので、とても現役合格はおぼつかないということ。

 実際のことを具体的に考えると無理なことがわかります。国公立大医学部へ現役合格できるような内容の授業をしたら、普通科110名中で授業について来れる生徒は1-3人までです。そんな授業をしたら生徒とその保護者から一斉にクレームが出ます。だから、生徒の学力に合わせた難易度の低い授業にならざるをえません。入学してくる生徒の学力が下がれば、根室高校の授業のレベルも下がってしまうのはモノの道理です。

 根室西高校との統合後、高校はこの地域に一つだけですから、実質全入状態、学力低下が著しいので、数Ⅱはすでに選択科目です。10年以上前に根室高校普通科を卒業した皆さんは驚かれるのではないでしょうか?数Bが必修のときも数年間ありました。110名の内、18年前の根室高校普通科のレベルの生徒はいまでは30人ほどです。とっくに合格最低点なんてありませんよ。17年前だったかな一度だけ定員オーバーとなって、3人落ちたことがありましたが、その時の不合格者の得点は150点(300点満点)でした。この得点なら現在は普通科特設コースへ合格できます。

 ではどうやったら偏差値45の高校に在学しながら難関大学へ合格ラインまで学力をアップさせうるか?
 学校の授業を無視して、難易度の高い問題集を学校の授業中にひたすら解くしかありません。魔法なんてないのです。都会の進学校で授業を受けている生徒たちと同じレベルの難易度の問題を、1年半先取りして自分で予習して直ちに問題演習するしかないのです。塾では余計な解説をしてはいけません。例題を見て、すぐに独力で問題演習します。そして5分考えても糸口が見つからない問題を質問したらいいのです。集団授業の冗長な解説は不要です。本来は進学校のハイペースで難易度の高い授業についていける能力の生徒ですから。
 進学校の生徒たちは根室高校の生徒たちが、簡単な基本問題に時間を多く投入している間に、どんどん進みます。そして入試レベルの難易度の問題を日常の授業で取り扱います。それに追いつき追い越すことが目標なので、同級生は競争相手ではありません、難関大学は「全国区」なのです。

 件(くだん)の生徒は小学5年生の1月4日からニムオロ塾へ通い出しました。そして学校では塾用の問題集を解いていました。小6なのに中1の難易度の高い問題集をガンガンやっています。とうぜん、担任の先生との間に軋轢が生じます。「そんな難易度の問題集をやってもわかるわけがない、(わたしの)テストで百点獲れない」、先生だって人間ですから、成績のトップの生徒に無視されたら面白くありません。だが、医学部現役合格を心に決めた生徒は妥協できないのです。「百点獲れます」と言い切り、その通りの実績を叩きだし続けました。中学校でも同じトラブルに巻き込まれます。生徒の側から見たら「迫害」の連続です。気持ちは、「僕には構わないでほしい、授業の邪魔をするつもりはありませんのでお願いだから放っておいてください」。塾側から言いたいことは、「高学力の生徒に対応できる授業ができないなら、放っておいてもらいたい」ということ。高校の先生は、2年生になってからは放っておいてくれました。1年生の終わりに、一度トラブルがあり、学年主任と1年生担当の5人の先生を向こうに回して、学力差を無視した一律の宿題についてこの生徒は議論をしています。もちろん、大人が何人相手でも物おじしませんよ、論理的な議論に長けていますから。#3941#3942をご覧ください。

 偏差値が70を超える生徒は学校の先生たちは放っておいた方がいいのです。自学自習の習慣が身についている生徒には宿題を出す必要もありません。現に根室高校は生徒に自律的な学習を求めているのですから、一律の宿題なんて学校のそういう教育方針とは矛盾しているのです。生徒を指導すべき先生たちの方が学校の基本方針とはまったく違うことをしているということです。まっすぐな生徒は許せませんよ、生徒の方からは「二枚舌」に見えていますから。そして難易度の低い宿題は高学力の生徒にとっては迷惑なだけです。
 中学生なら学力テストで五科目平均点が8割を超している生徒は、宿題免除というルールを設定すればいいのです。高校生なら、進研模試で科目別に7割以上の得点の生徒は宿題免除。こういう生徒たちに難易度の低い宿題は必要ありません。不合理である理由を滔々と述べて反抗するだけです。中高生のうちから、理不尽なことに物を言わぬ人間になったら、人格の陶冶ができません。社会人となったときには、ときに黙らざるを得ないことがありますが、そういうときは他日を期して牙を研げばいいのです。

 物理と化学は塾では教えられないので、件の生徒はそれぞれの担当の先生に3年生の夏過ぎてから週1-2回、2か月間放課後補習をお願いしています国立大難関校を受ける友人を誘って補習をお願いしてみたら、快くお二人の先生が引き受けてくれました。先生も授業が楽しかったと思います。思いっきり難易度の高い授業にがっちり喰いついてきますから。残念ながら、参加できたのは2人だけ、もう一人学力的には参加できたはずですが怖気づきました。ニムオロ塾の生徒ではありませんが、生徒から聞いている限りで中学生のときから数学のセンスのよい生徒だったので、もったいなかった。
 学校と塾とが連携すれば、毎年3人は難関大学へ合格できます。今年は2人惜しかった。もっと長期的な教育戦略を立てて、勉強していれば北大総合理系現役合格者が2人出たでしょう。もったいないと思います。
 学校や塾が生徒の期待に応えられなければ、中学校や高校からは札幌の進学校へ行く生徒が増えます。高学力の生徒が難関大学へ進学するためには根室にいられなくなってしまうとか、学力を伸ばしきれずに目標の大学へ入学できないなんていう悲しい事態を招いてはまずいでしょう。地域の大人たちが誠実に仕事をして、自分の職責をまっとうすることです。そしてそういう大人たちが協力すれば、根室の子どもたちの学力を飛躍的に上げることができます。もちろん小学生1年生から家庭学習習慣を育むという家庭の側のやるべきことがあります。それは、そのやり方をぐたいてきにお母さんやお父さんたちに教えてやらなければいけません。しっかり躾けできているのは生徒を見る限り5%ぐらいなものです。ほとんどの保護者は家庭学習習慣の具体的なしつけ方を知らない。
 (12月に札幌市立旭丘高校へ進学したいという生徒が来ました。学力増進会のテストで合格確率は50%以下、最初は質問だらけでしたが、2月初旬には質問がなくなっていました、それで合格できると確信しました。女子ですが根性のある生徒でしたね、念願かなってたのしい高校生活を送っているようです。)

 もうひとつ、二次試験で小論文テストがありましたが、300点満点で295点とっています。リモート医療が話題になった面接では失敗してますが、小論文テストの点がよかったので、道北道東地域推薦枠の合格者10名では2番目の総合得点での合格となりました。
 この得点は進学校から合格した生徒たちには驚きだったようです。実質満点ですからね。件(くだん)の生徒には国語が勝負の分かれ目になると判断して最初から手を打ちました。日本語音読トレーニングを6年間やったのです。読む本の難易度を段階的に上げていきました。音読しながら、著者の意見を読み取ることと著者が見落としている点から内容を批判的に吟味するというトレーニングをしていました。
 わたしの専門は理論経済学ですが、大学のゼミでは市倉宏祐教授(哲学)に学び、大学院では増田四郎教授(西洋経済史)の授業をたった3人で1年間受ける機会に恵まれました。それぞれの分野でトップレベルの教授のゼミでやるような議論をこの生徒としてきました。自然に大人と論理的な議論することに慣れてしまっていました。それがどういうレベルなのかこの生徒は知る由もありません。小論文でそれまで培った力のほどが出たと考えていいのです。高校生のレベルを圧倒的に超えてしまうような勉強をずっとしてきたのですから。
 根室高校からどうやったら難関大学へ現役合格できるのか、その教育戦略、そしてふだん何をどのようにトレーニングしたらいいのかを、彼に続く者たちのために記録として残しておきます。それも弊ブログの目標の一つでした。間に合った。(笑)
 実際に旭川医大へ現役合格した生徒のデータは「実証記録」でもあります。たまたま一人が難関大学へ合格出来たって、根室という地域にはあまり意味がありません。継続してこの地域から難関大学への合格者を毎年だすことが目標ですよ。どうやれば毎年数人難関国立大学への合格者を輩出できるのか、実証データを公開することで明らかにします。

 次回は、この生徒が根室高校から依頼されて書いた「合格体験記」をアップします。これは学校側が後輩たちのために公表を前提に、作成依頼したものです。思ったことをまっすぐに書いたので、物議をかもしたのかもしれません。7月半ばを過ぎても公表されないところを見ると、没になったのでしょう。小論文として眺めても水準の高いものですから、弊ブログで公表します。
 根室高校から難関大学現役合格を目指して勉強する生徒たちの参考になれば幸いです。

*音読トレーニングに使用した本のリストは弊ブログ・カテゴリー「65-1 旭川医大現役合格者の軌跡(5)」に「あります。

<余談:一律の宿題廃止要求> #4023より転載

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 生徒全員一律という理不尽な宿題の出し方についてクレームを申し立て、学年担任と学年主任の先生たち五人に呼び出されて議論せざるをえなくなりました。ちゃんと敬語を使い言葉を選んで、自分の主張を通しています。この生徒はわたしと話す(雑談ですら)ときでも言葉を崩しません、大人に対する言葉を使い分けています。わたしにはいつものことですが、議論をした先生たちの驚く様子が目に浮かびます。高校生の弁ではありません。その様子は弊ブログのどこかで書きました。今年四月のことだったと思います。
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 #3942話し合い(2):背景事情 Mar. 2, 2019
 #3941話し合い(1):学力トップ層をどう育てるか Mar. 1. 2019
 #3940進研模試の結果データ:全国平均値と根室高校平均値との比較


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#4554 根室高校旭川医大現役合格者入試成績は2位 June 2, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

<最終更新:6/4朝8時半 末尾に7年間の音読指導の中身を追記>

 2月に根室高校から国立旭川医大へ現役合格者が出たが、入試成績は2位だった。トップは過年度生だから、現役生ではトップ合格したということ。

 本人へ送付された「医学科学校推薦型選抜(道北・道東選抜)試験成績」票によれば、合格者10名中2位。トップレベルの成績での合格である。

 道北道東推薦枠での入試に26名が応募、半数が問答無用で共通テストの成績で足切りされ、残り13名が課題論文試験と面接試験を受けた。それぞれ配点は300点。この生徒は課題論文が300点満点中295点。個人面接が200点だった。総合点の得点率は80.1%。
 個人面接のテーマはリモート医療だったよし、聞いてもらいたいところが話題に出なかった様子。(笑)見事に予想が外れたのにこの成績は立派です。
 小論文の作成能力の高さが窮地を救ったようです。この生徒は根室高校からの依頼でコラム用の「合格体験記」を書いてemailで提出済みですが、それが秀逸です。生徒に配るはずだったのに、まだ配布されてないようです。後輩たちの勉強の仕方や受験戦略の役に立つのに、何をためらっているのだろう?現3年生に医学部進学予定の生徒が一人いる。指導上も大変参考になるはず。(2022年4月に根室高校ホームページにアップされました)
(一部上場企業で購入協議書を1000枚以上審査した経験のあるわたしが、「秀逸」というくらいのできです。自分が起案した仕事の文書類は千を超えてます。パソコンで作成した文書は、連番が付してあり、プリントアウトして紙のファイルに保存してあります。)
 課題論文で満点に近い点数がとれたのは、音読トレーニングでレベルを上げながら、17冊の本を読んだことが利いている。良質のインプットがなければ、論理明快な文章は書けるものではない。ちゃんと消化できているということがアウトプットの成果からわかる。コラム用の「合格体験記」の方は小寺流「四項目箇条書法」でしっかり構成されていた。課題論文でも同水準のものが書けたはず。小論文を書くには実に有効なやり方です。課題論文については稿を変えて思うところを述べます。
(実際の音読リストは末尾に貼り付けておきますので、参考にしてください。)

 根室高校普通科は偏差値45の道内の普通のレベルよりもだいぶ下の高校である。偏差値45というのは100校中、下位1/3だから、おおよそ66位。
 そんな高校からでも、7年間長期戦略を立ててちゃんと勉強すれば、トップレベルで国立大学医学部現役へ合格する道があることが実証してくれた。物理や化学は2か月ほど担当の先生が数人の生徒を対象に放課後授業を組んでくれたことも明記しておかねばならない。私塾と高校の先生がタッグを組めば、毎年こういう生徒が出現する。高校へ入学してからではもう遅い、長期の教育戦略が不可欠なのだ。長期受験戦略と書かないところがミソ、そんなところにターゲットを置いて指導はしません。もっともっと先を見ています。音読リストにもそれが如実に現れています。

 地域医療の未来はその地域に住む者たちがデザインできるし、デザインを実現もできる。あきらめてはいけない、なせばなるのだ。見事にやりおおせてくれた生徒に乾杯!
 
 国立旭川医大医学部の学費がどれくらいかかるのか参考までに書いておく。 

①入学料 28.2万円
②授業料 53.6万円/年 6年間で321.5万円
③学友会費 10.4万円(6年間分)
④教科書代 20万円/年 6年間で120万円
⑤学生会費 2.1万円(6年間分)
 合計  482.2万円

 卒業するまで6年間ありますが、文科系の私大(4年間)の授業料並の学費です。知らない人が多いでしょうね、もちろんわたしも知りませんでした。(笑)
 医学部と言えば学費がとてつもなく高いので経済的に無理だと判断している保護者や生徒が多い。国立大医学部は経済的なハードルが低いのです。だから、医学部進学に特別な経済的なハードルはないのです、文系私大と学費に差がない。あるのは学力だけですよ、根室の子どもたち、考え直して、選択肢に入れてみませんか?


<余談>
 この生徒とは小5の1月からだから7年余の付き合い。地域医療問題については中学生のころから授業の合間に議論してました。開業医の息子ですから、家庭でもそういう議論はしていたでしょう。一緒に生活してるから、見聞きしていることが大きい。

 SRLへ入社3年目に「臨床診断支援システム開発と事業化案」を書いて、200億円の概算予算でフィジビリティスタディを創業社長の藤田さんに認めてもらいました。経営会議の正式決定です。血液疾患の診断プロところが複雑で専門医を育成するのがたいへんだと東京医大の藤巻先生からお聞きして、先生の診断プロトコルをエキスパートシステムへ移すつもりでした。そのためには臨床検査項目コードの標準化やカルテの標準化が必要で、10個のプロジェクトのパートチャートを描き、仕事を分割しました。
 臨床検査項目コードは臨床検査大手6社と臨床病理学会臨床検査項目コード検討委員会の数年にわたる共同作業で、日本標準ができてもう25年ほどになります。標準臨床検査項目コードをもっている国はいまだに日本だけ。重要なインフラですから、この分野では日本はいまだに世界の最先端にあるといえます。他の国で臨床診断システムを開発しようとしても、標準臨床検査項目コードのないことがネックになります。保険点数の改定が2年ごとになされていますが、改定された保険点数はSRLの事務局から臨床検査項目コードとセットになって配信されています。全国の病院やクリニックのパッケージシステムがこのデータをとりこんで動いています。30年前には保険点数が改定される都度、全国の病院で手作業による入力がなされていました。
 NTTデータ通信事業本部と2度ほど打合せしましたが、通信速度やコンピュータの性能が要求仕様を満たすのは30年後とそのときは判断しました。まさか、15年で要求水準が満たせるほどコンピュータの処理速度や通信速度が大きくなるとは思いもしませんでした。半年ほどフィジビリティスタディしてあきらめました。構想が10年以上早すぎました。日本の医療が世界の最先端へ踊りだす大きなチャンスでした。
 血液疾患でエキスパートシステムができたら、患者の多い生活習慣病を取り込むつもりでした。全国の大学病院と、疾患別の専門病院のネットワークができれば、例えば根室のような地方の医療機関もそこへ接続すれば、ベテランの診断プロトコルを手軽に利用できるし、誤診が劇的に減らせます。なにより、臨床研修医としてへき地医療を担当しても、このシステムはベテランの診断手順があるので、そのまま専門医育成の教育支援ツールとして利用できるのです。
 たとえば、病理診断分野です。大学病院の病理医が年間に診断する検体は数が知れています。民間検査センターでは大学病院の数百倍ものデータがあります。グレーゾーンの病理サンプルもAIのディープラーニングによって学習させれば、診断制度を飛躍的にあげられます。人間の眼では識別できないほど微細な差異がコンピュータ上では鮮明に区別できます。確定診断のついている病理画像を大量に読み込んでディープラーニングすればいい。
 SRLには世界最大の染色体画像解析データがあります。あれをDeep Learningしたら、面白いことが山ほどわかる。学術論文の宝の山。福島第一原発事故の「不都合な真実」もデータが炙(あぶ)り出します。

 根室の地域医療だけでなく、全国の地域医療に貢献するような広い視野を持ち続けて勉強に励んでほしいと思います。それが、あなたとわたしが根室という古里を通して出遭った意味だと思うのです。
 

#4483 根室高校から旭川医科大学現役合格:おめでとう Feb. 10, 2021


<参考>
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<6. 日本語音読トレーニング:国語力が学力の基礎>
 最後に、日本語音読トレーニングで5年間に読破した本のリストを挙げておく。件(くだん)の生徒は高1で日本語音読トレーニングは終了している。17冊、レベルを上げながら、たっぷりやった。
 生徒と交代で輪読するし、速度を変えて読むので、スキルス胃癌を患い胃と胆嚢を全摘出したわたしには、体力への負荷が大きい。だから、この2年間は本気でやろうという生徒にだけ対応している。休みの水曜日に日本語音読トレーニングを充てていた。昨年は1時間でへとへと。寄る年波には勝てません、年々体力が落ちてます。でも、まだがんばれます。(笑)


〈日本語音読リスト〉…
*#3726 
日本語音読トレーニングのススメ:低下する学力に抗して Apr. 18,2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-18-1

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<7. 国語力アップのための音読トレーニング >
 中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『声に出して読みたい日本語③』
○『坊ちゃん』夏目漱石

○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
 『五重塔』幸田露伴
 『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
●『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆

『語彙力こそが教養である』斉藤隆
●『日本人の誇り』藤原正彦(数学者)

◎『福翁自伝』福沢諭吉
◎『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆(物理学者)

(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で使用した実績がある。◎は大学生でも語彙力上級者レベルにふさわしいテクストである。平均的な語彙力の大学生には手が届かぬ。
 音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが、2年前から希望者のみに限定している。本気でやる気にならないと効果が小さいので、お互いに時間の無駄。)

・・・
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 件(くだん)の生徒が音読指導で読んだ本のリストです。本の中身についても問題に気がつく都度、議論を重ねてきました。大学の良質のゼミ並みの内容をもってました。北大ではこういうレベルの学部のゼミはおそらくないでしょうね。
 わたしは学部では哲学の市倉宏祐先生のゼミに、大学院では3人で西洋経済史の増田四郎先生(元一橋大学学長)の授業を受ける機会に恵まれました。どちらもその分野では当時日本でナンバーワンの先生です。
 この生徒はやっているうちに慣れてきて、高校生になってからはそういう大学の学部ではトップレベルのゼミでやるような議論ができた特別な生徒です。
 だから、ご褒美に最後の本は西田幾多郎『善の精神』にしようかと考えていました。医学部に進学したら、哲学書なんてカタい本は読む機会がないだろうと思ったからです。でもやめました。興味がそっちへそれたら、思索にふけることになるのでとても時間を食います。好奇心が強いから危ない。(笑)
 それで、山本義隆『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』を取り上げました。π中間子理論で日本人初のノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹がもっともノーベル賞に近いと評した優秀な学生でした。この本は語彙が難解な本です。全共闘議長に担がれた彼は、東大へ残れませんでしたね。時代の流れです。岩波新書のこの本を1冊読むだけで、知の巨人、本を書く職人としての彼の力量がはっきりと読み取れます。若い時に本物の知識人とまみえることは大事なことです。だからこの本を選びました。とてもカタい、めちゃカタい。(笑)



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#4525 長期教育戦略の重要性について:大学・大学院受験 April 17, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 #4524「 ネット毒をデトックス:歯科治療のため2週間のお休み」で、タイトルとは関係のない受験戦略について言及したので、その部分に加筆して再掲しておきます。

 羽田へ向かう京王線電車の中で、聖跡桜が丘駅か府中駅までの間に170㎝を少し超える長身の高校生が乗り込んできました。膝上30㎝のチェックのミニで、歩くとスカートが跳ねるので後ろを抑えて乗り込んできましたが、あれは制服でした。長い脚のラインがまっすぐに伸びてとってもきれいでした。ヒップが小さかったので、セクシーには見えません。ピンクに染めた長い髪が生え際が黒くなっていました。派手な色に髪を染めミニの制服で登校してもOKなのでしょうかね。雑誌からモデルが抜け出して高校生の制服を着て電車に乗り込んで来たかのように、スタイルがよすぎてどっきりでした。根室高校にも165㎝前後の脚のとっても長い生徒が二人いました。一人は制服のスカートを短くしてはいてましたが、膝上10cm程度でした、根室じゃあれほど短いのは無理です、「世間の目」がうるさい。でも女子高生のキモチはどこでも一緒のようです。スタイルがよかったら制服のスカートはミニをはきたいということ。
 新宿駅で山手線に乗り換えると、隣にニキビ面の小柄な男子中学生が英会話の教材を広げて居眠りしてました。赤で「時制」なんて書き込みがいくつもなされていました。文法重視で会話文を読んでいましたね、昔のスタイルです。詰襟の制服でしたから、どこかの中高一貫校の進学校の生徒です。あれほどハイレベルな教材使って勉強している中学生は根室ではなかなかいません。全国区の道内の難関大学(北大・旭川医大・札医大・帯広畜産獣医学部)に進学する生徒たちは、こういう生徒たちと競争になるのです。
 根室高校のような進学校ではない地方の小都市の高校生は大学受験で同級生と競うわけではありません、こういう都会の中高一貫校や公立の進学校に通っている生徒たちとの競争ですから、高校生になってからなんとかしようと思っても出遅れが響いて大方は手遅れとなります。
 孫氏の兵法には当たり前のことが書かれています。

    敵を知り己を知れば百戦殆うからず

 根室という田舎にいても全国区の難関大学受験は都会の進学校の生徒たちと事情は同じですよ。進学校でない高校出身者に難易度の低い受験問題が用意されているわけではありません、同じ問題を解いて得点を競います。
 首都圏の中高一貫の進学校で勉強している生徒たちが競争相手なのですから、彼ら彼女たちがどのようなレベルで、いかなるスケジュールで勉強しているかを知らなければ百戦百敗です。彼らに匹敵するか彼らを凌ぐ具体的な方法を探らなければなりません。根室高校に入学してからそこそこ勉強して難関大学に合格なんて虫のよいことを考える余地があるほど楽ではありません。10年に一人出現するくらいの逸材なら話は別です。(笑)
 根室高校から国立旭川医大へ現役合格者が出ましたが小学五年生の1月4日から、国公立大学医学部への現役合格を目標に設定して、長期戦略を立てて学習してきた結果が出ただけのことで、まぐれではありません
 学年に3人ほど難関大学へ現役合格できる能力をもった生徒はいまでも毎年います。今年は北大総合理系を受験した生徒が二人いました。もったいない。小4から、長期戦略に基づいて学習を進めていたら合格できたでしょうね。都会の進学校の生徒たちに比べて能力が劣っていたのではありません。
 根室の子どもたちにも、指導している大人たちにも、教育に関する長期戦略がないだけです。ないものがわかったら、それを創ればいいだけ。この分野では根室の大人たちに責任があります。歴代の根室市長や根室市教委や市議会文教厚生常任委員会などの教育関係者がやるべき仕事をしていないだけのことです。市民の教育に対する関心の低さがこういう手抜きの行政を許してしまっているとも言えます。

 大学受験や社会人になってからのことまで考えて、小学生のうちに学習スタイルを確立しておく必要があります。解法を暗記するような効率重視の受験勉強にシフトした学習スタイルを身につけると、それが思考の鋳型になるので、社会人になってから大きな問題が出ます。社会人になってから取り組むのは、複数の専門分野の知識やスキルを要求する正解のない問題だらけです。だから教育には、社会人になったときのことまで考えた長期戦略が大事なのです。大学受験なんて途中にある一里塚の一つですよ。件(くだん)の生徒には大学院受験を考慮に入れて英語の指導をしてきました。専門書は文学作品とは違って構文はそんなに難易度が高くありません。専門用語が身につけば、楽に読めます。あとは医学関係で興味のある分野の専門書を6年間で数冊精読すればいいだけ。英語に関しては全国のどこの大学院入試でも大丈夫です。
 中高生の時代は、学習スタイルや思考様式の鋳型をしっかり作る段階です。型のトレーニングを重視すべきなのです。柔道なら受け身と基本技の型のトレーニングを繰り返し修得するということ、それだけで十分なのです。過度な受験勉強のように余計なことをやりすぎると、ヘンなクセがついて、あとから(社会人になってから)学力の伸びの足かせになります。

 2002年の秋に、古里根室に戻ってきてから19年がたちました。小さな塾を運営し自分で指導してみないとわからないので、根室の生徒たちを観察し続けたわたしの結論です。
 社会人になってからのことは、一部上場企業や上場企業になる直前の企業で働いて、能力の高いベテラン社員や難関大卒の優秀な新入社員を観察し続けてきた結論でもあります。
 一部上場企業には難関大学出身者がざらにいます。創業百年を超える一部上場企業の本社エリートは旧帝大の中でもレベルの高い数校や一橋大が多い。慶応や早稲田はよほど能力の高い人は別ですが、通常はエリートコースからは外れています。もちろん北大クラスまで下がるとハズレですよ。北大は医学部を除いてはたいした学力はありませんから、あとは仕事の実力次第ということです。

*根室高校ホームページ進路実績
www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=4047 (hokkaido-c.ed.jp)


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#4486 医大現役合格は長期戦略が決め手 Feb. 16, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 わたしは根っからの企業人である。それも経理に専門分野を置いて、統合システム開発や経営企画管理、学術開発部門など、さまざまな分野で先端的な仕事を繰り返してきた。仕事では常に長期戦略を頭に描いて、やってきた。それをPERTチャートに落として、確認する。大まかなところは頭の中だけでできるから、癖になっている。
 だから、この生徒を預かったときに、国公立大医学部へ現役合格させるためには、いかなる長期戦略がありうるのかということがテーマになった。
 戦略目標は現役での国公立医大合格である。戦略は資源の棚卸も要求する。まずはこの生徒がいまどの程度の能力でどういう教育戦略がベストなのかを、観察を通して策定することだった。

 小学生5年の12月の下旬に両親と一緒に相談に来たので、1月4日から授業をすることにした。父親はわたしの主治医岡田優二先生である。巨大胃癌とスキルス胃癌の併発で診察をお願いし、手遅れだったがどういうわけか生き延びることができた。術後苦しい時期が数年あったが、その後孫が生まれ遊んでやることができた、とってもありがたかった。

 理系で問題になるのは国語。本を読むのが大好きな子は別だが、国語力のアップは時間がかかる。数学の得意な生徒は国語が苦手、なんていうのはよくあるケースだから、すぐに手を打ち、優良な本を選んで音読指導することにした。塾でやるのは読解力をつけることに限定し、入試1年前くらいから過去問やセンター試験問題を解けばいい。古典と漢文は高1のときに外国語のつもりでやれといっただけ。高校で国語の先生に力の応じた問題集を選んでもらえばいい。音読指導はそれまで10年ほどの実績があったから、採り上げるテクストは最初は難易度が高くなく、広くいろんな分野が採録されているものを選び、どの分野に興味を示すか観察した。それで、好奇心のある分野の本へシフトしていった。音読に利用した15冊のリストは弊ブログにある。興味がなければ効果は小さい。好奇心を育むことが大切なのだ。

 個別の議論に入る前に大枠について思いつくところと記しておきたい
 大学受験まで7年間教えることになる。週4日間、2.5時間/日の授業だから、毎日繰り返すことが習慣となり、習慣はいつか性格や思考の鋳型を形作ることになる。だから、最初の1年間が大事だ
 店頭市場へ公開する前の産業用エレクトロニクス輸入専門商社で6年間、一部上場企業で16年間働いたので、高学歴の社員が周りにいた。慶応大学大学院卒、慶応大学医学部、一橋大5人、東大理Ⅲ&院卒、京都大理系、東大の入試が中止になった年が受験でやむなく中大法学部卒となった同僚加藤、慶応・早稲田それぞれ数名。二人の例外を除いて、仕事ができなかった。共通していえることはマネジメントの才能がない。たとえば、赤字の子会社を任されると、赤字を減らしたくて経費を削る、その結果は売上が削減した経費以上に減少して赤字幅が拡大するという風に。ようするにカチンカチンの受験頭なのである。二人の例外はSRL社長だった近藤さんと東証1部上場のベンチャー企業ペプチドリームの代表取締役の窪田氏である。
 窪田氏は早稲田の理系卒だったと思う。SRL学術営業部長だったが、目が出なかった。よい意味で言葉を使うが、「人たらしの名人」なのである。ごろにゃんがうまい。それが仕事で見事に生きた。富士レビオとSRLの創業者である藤田さんが彼に5億円出したと聞いた。起業したものの、間もなくつぶれた。ペプチドリームは二つ目の起業だった、パートナーがよかった。新分野で確立した技術をもった東大の先生があらわれ、彼にパートナーとなることを申し出たようだ。チャンスをゲットした彼はたいしたものだ。

 話を元に戻そう。7年間教えるということは教えた生徒の柔軟な脳に鋳型を造り上げることでもある。答えを見て覚えるような効率的な勉強を排除した。カチンカチンの受験専用脳をつくらぬように配慮したということ。何をどのようにやったかは次回以降に書くことになる。
 目標は高校2年生までに数学と英語は全範囲を終了するということ。つまり1年前倒しで受験に臨むこと。高校3年生の1年間を共通テストよりも難易度の高い問題演習に充てれば、首都圏の進学校に国数英の3科目だけは近づける。この3科目で600点だから、残り3科目300点は成り行き任せ。出たとこ勝負で、きっかけをつかませる。とくに何か策があったわけではない。なくていいのだ。とっても面白いことが起きた。

 2時間半の授業で最初の20分は音読指導に充てた週4回80分の音読指導で、ときどき中身について対話をするように心がけた。彼は気がついていないだろうが、高校生になったときには、大学の文科系の優良なゼミと同じレベルの対話をしていた。どういうレベルの対話になっているかについては生徒本人は比較のしようがないから自覚がない。対話を重ねた私にははっきりそれがわかる。面接官が優れていれば、気がついただろう。既存の塾の枠内ではこんな指導を受ける機会はまったくない、この生徒はついているのだろう。
 大学入学共通テストで現代国語分野では満点。根っから国語が好きで本の虫なら、古典と漢文でも85%の得点が可能だが、そうではない生徒にとっては7割がせいぜい。その通りの結果だった。文学作品にはからっきし興味がわかない生徒である。これはどうしようもない、長期戦略の埒外である。(笑)

 数学は小6の半ばから中1のシリウスを使い、予習方式での学習である。コンパクトな解説と例題を読み、難易度の高い演習問題にすぐに取り掛かる。読んでわかれば解説は時間の無駄、四でもわからないときだけ質問する。一次方程式の応用問題が難所だが、全問解き切った。
 英語は小学生の時にウィンビーへ通っていた。発音だけきちんとしていたら十分、塾では中学生になってから英語を教えた。教えたと言っても、数学と同じ方式でシリウスをやらせただけ。本格的に教えたのは高校生になったからで、高校3年間の教科書を1年半でやり終え、その後はハラリのSapiensを読んだ。質問のあった箇所を生成文法で構文解析した。その内容はカテゴリー「Sapiens」に授業40回分ほど記録してある。大学の英語の授業や外書講読の水準の授業になった。大学院受験は英語に関しては何の問題もないだろう。あとは十数冊医学専門書を原書で読んだら、日本国内の医学系大学院はどこでも合格できるだろう。

 コンパクトな解説を読み、自力で演習問題に取り組む。それを繰り返すことで、新しい分野を独力で読んで理解し、考え、問題を解きながら、理解を深めていくという学習スタイル、思考スタイルが習慣となり、いつしか性格となる。本人はそれが自然に身についていくから自覚がない。
 問題が解けなければすぐに解説集を読み、解法を覚えていく勉強とは正反対の勉強法である。だれでもがこんなスタイルでやれるわけではないから、最初の1年間は授業を通じた観察と見極めが大事なポイントになる

 困ったことがあった。土日に勉強時間が取れないことだ。両親と出かけることが多く、土日の勉強時間が取れない、それは家庭の方針でもあるから、認めざるを得ない。お父さんは根室高校から進学させるので、ハンディがあるので浪人していいと言っていた。わたしにも生徒にもそのつもりはなかった。(笑)
 首都圏で難関大学を目指す子たちは、小4から個別指導塾や大手進学塾の特進コースで学習する。週に30-35時間が標準的な勉強時間である。土日で15-20時間やらないと追いつかない

 しかたがないので、生徒と話して学校の授業時間中に塾用問題集をやることにした。これはトラブルのもとになる、それも覚悟の上だった。学校の算数や数学の授業はこの生徒にとっては既習事項で、難易度もまるで違う。
 小学校では叱られた。「こんな問題集をやっているが百点獲れないだろう」、「とれます」そう言い切り、百点とったら、それ以降は先生は言わなくなった。勝手なうざい生徒だと思われただろう。
 中学校でも3年間、数学と英語は同じスタイルを貫いた。数学の教科書は高校卒業まで開いたことがないと笑っていた。
「知りたいことが教科書には書いていません、シリウスの説明はコンパクトですが、知りたいことが書いてあります」
 塾で4日間×2.5時間=10時間、学校の授業でおよそ週に7時間、こうして不足する土日分の過程学習時間を確保した。強引だったな、彼はほんとうに大変だった。でも、大人を説得して自分の意志を貫くという訓練にはなった。(笑)
 教科担当の先生にはさぞ迷惑だっただろう。担任の先生も教科担当との間に挟まり、苦労されただろう。この生徒は難易度の低い宿題もほとんど拒否した。現役で国公立大医学部へ進学するので、そんな難易度の低い問題で時間を潰す暇はなかったのだ。合理的に考え、判断し、行動できる中学生となっていた
 長期戦略を立てるのはいいが、こうした個別の障害が出てきたときに、臨機応変に処置して、打開策を見つけることも手を抜けない仕事なのだ。予定外が発生してもちゃんとスケジュール通りに仕事するのは、システム開発でPERTチャートを使っていたから、できることなのだろう
 英語の教科書はしっかり音読していたようで、内容を細部にわたって熟知していた。だから、中学校のときには質問に答えるだけで、ほとんど教えていない。どきどき教科書の内容に引っかかるような質問をして、どの程度記憶しているか、すなわち勉強しているか確認していた。音読さえしっかりやっていたら、後はシリウスで十分だ。

 ついでに書くが、小学生で英語教育に効果があるのは成績上位10%ぐらいなものあとはお金の無駄と日本語つまり国語に悪影響が出る日本語語彙が爆発的に増える時期に、英語をやるなんて狂気の沙汰、普通の学力の子どもたちは失うもの(日本語語彙の拡張を見逃し三振)が大きすぎる。英語の発音をマスターし、日本語語彙を飛躍的に増やせる資質のある生徒は10%に満たない。5%もいるのかな
 論より証拠、小学校からずっと英語を習っていたのに高校生になっても英検2級が取れないという生徒はとっても多いのです。この生徒は2年生の時に、共通テストで英語は外部試験で判定となっていたので、準2級と2級を続けざまに受験してハイスコアで合格しています。ライン配信で英作文トレーニングを7か月ほどしたので、語彙を増やして問題集を1冊解けば準1級合格レベルです。大学へ入学したらさっさと準1級はとっておいた方がいい。将来、米国の大学へ進学する可能性がある。

 授業で気をつけたことがある、教え込みすぎるといけないということだ。自ら勉強すると疑問が出てくるし、その疑問のほとんどは自分で考え抜けばわかる、それでもどうにもならないときに質問をぶつけてくる。だから対話スタイルの授業を7年間繰り返し、思考の鋳型を造り上げた。ひたすら問題演習をして、ときどき、鋭い質問をぶつけてくるから、楽しい。
 他の生徒も嫌いな英語でも勉強が進むと質問の内容が違ってくるので、学力アップがすぐにわかる。質問を吟味していればいい。

 現役合格にこだわったのは、生徒自身がそれを切に願っていたからだ。中1の「お迎えテスト」(第一回目の学力テスト4科目)では啓雲中で学年1位だが2位との差が1点だった。次の定期テストは2位と2点差。そこからぐんぐん2位との差が開いていった。定期テストの成績はどうでもいい、とにかく1年間の余裕を作ることが目標だから、先取り学習を進めるのが最優先事項。定期テストの学年トップは棄てていい、学力テストのトップも生き崖の駄賃でいいと言い続けたが、学力テストのトップにはこだわりを捨てられなかったようだ。3年間通して学力テストも定期テストも学年トップを撮り続けた。位置学年50人ほどしかいないからそんなに大したことはなかった。一番いい時で300点満点で280点を超えた。それくらいの生徒なら、根室市内には毎年一人はいる。2月に行われた中3最後の学力テストで、293点をとった生徒がいる。札幌南へ進学予定と聞いている。このように優秀な生徒は毎年数人いる。だから、育て方次第で、根室高校から毎年国公立大医学部や北大総合理系へ進学する生徒が数名いて、当たり前なのだ。それがそうではないのだから、育てるシステムがないということ。20年前には生徒の数が2.5倍くらいいたから、ずいぶんもったいない話だ。
 この生徒は根室高校に進学してからも全国模試で学年トップを取り続けた。最後の共通テストまで学年トップであるが、結果論である。大学入試に焦点を合わせていたので、途中での全国模試で学年トップは「いきがけの駄賃」だった。
 町づくりの基礎は将来この町を担う子どもたちの学力アップから始まるとわたしは考える。

 今回はここまでにしておきます。次回以降をお楽しみに!


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#4483 根室高校から旭川医科大学現役合格:岡田太志君おめでとう Feb. 10, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 旭川医大医学部に根室高校生が現役合格しました。国公立大学医学部への合格は2人目か、初めてかはわたしにはわかりません。根室高校が確認するでしょう。
 「学校推薦型選抜(道北・道東特別選抜)(医学科) 」合格者10人のところ受験者26名でした。
 問答無用で半数が共通テストの点数でふるい落とされます。その後、課題論文と面接が300点ずつで600点、それに共通テストの点数が加算されて、合否判定されています。
 (学校から「試験成績」が届いて、推薦合格者10名中2位の成績であることがわかりました。課題論文が295点です。6/2追記)

 根室高校は偏差値42-45の高校ですから、塾で数学と英語と国語をやっていても選択3科目で大きな差がつきます。進学校の授業はハイレベルで難易度の高いものです。生徒の学力が高いところでそろっているからできます。根室高校でそういう授業をしたら、95%の生徒がおちこぼれるのでできません。今回は物理の山口先生と化学矢萩作先生が生徒の要請に応じて2か月ほど、週1回の補習授業を希望した生徒に実施してくれてます。それでも2年間ハイレベルな授業を受けてきた進学校、例えば釧路湖陵の生徒とははっきり差がついてしまいます。そこが今後の課題です。3科目の授業レベルの差が総合点で40-60点くらいのハンディになってしまいます。この差は大きい。この生徒は707点でした。推薦枠での受験者の中央値よりも高かったということ。メジアンに届かない生徒は足切りされます。そこで26名が半分の13人になる。あとは、小論文の点数300点満点と面接の点数300点満点を加算して、合計点で順位付けし、高い方から10名だけ合格です。つまり、さらに3人が落とされます。結論から言うと、共通テストの得点が大事だということ。推薦枠の応募者の得点の中央値よりも高い得点でなければならない。

 彼がニムオロ塾に通い始めたのは、小5の正月からでしたから、標準的なスタートよりも1年9か月遅れていました。今はスマートですが、少し肥満気味でした。家庭学習の習慣をお母さんがしっかりつけてくれていたので、やりやすかった。
 母親の役割は重要です。家庭学習の躾や大人に対する言葉遣いの躾は基本的には母親、子どもは周りの大人と会話することで言葉遣いとマナーを身につけていきます。だから、まわりに言葉遣いのきちんとした大人がいることも大事なのです。面接のときや議論するときに違いがはっきり出ますよ。シビアな議論をするような場面になったら、付け焼刃では地金が出てしまいます。そういう場面のない時はぼろを隠すことはできます。メッキじゃなく本物の方がいいに決まってますよね。その点はしっかりしてました。こういうタイプの出現確率は百人に一人、偏差値73くらいかな。
 四十数年前に渋谷の進学塾で三年間だけ教えていた時には、首都圏の子どもたちは、難関私立有名校への進学や都立難関校への進学のための受験勉強を小4から個別(or個人)指導塾への通塾でスタート。いまはもっと早くなっているようです。
 高校生になってから、時間の使い方がとっても上手になりました。中学時代は土日はほとんど勉強してませんでした。しかたないなあ家庭の方針もあるからと、口はさしはさまず。高校生になったら、いまのようにはいかないよ、土日は10時間勉強することになると言い続けてきたら、高校生になったらしっかり切り換えてくれましたね。素直さがあるのと、セルフコントロールに長(た)けていました。都会で勉強している生徒と遜色がないと、ようやく手ごたえを感じました。じっと見ていて、自分でやる気を出すのを待っていたのです。
 最初から予習方式で勉強してきました。塾用問題集「シリウス」を使って、コンパクトな解説を自分で読んだだけで全問踏破、よく頑張ったと思います。数Ⅲだけは青チャートを使いましたが、これも例題を読んで理解したらすぐに演習問題を全部解いていきました。わたしは、時々、相談に乗ったり質問に答えるだけです。『1対1対応シリーズ』は面白い問題だけピックアップしてました。ちっともやさしくない『やさしい理系数学』もやってました。
 英語は教科書3年分を1年半ほどで終了し、ハラリのSapiensを原書で読みました。生成文法での構文解析を併用しています。これは弊ブログのカテゴリー「Sapiens」に授業で採り上げた文章を41回にわけて公開してあります。昨年1月14日から英作文の特訓。NHKラジオ講座英文法、大西泰斗先生のテキストを英作文問題に利用してトレーニングしました。会話の論理的なフローを重視した英文になっているので70-100語程度の文を書くトレーニングになってます。英検2級ではしんどいレベルの英作文トレーニングだと思います。11月20日第135回、1000題までで配信ストップ。その後もため込んで約4200題、A4判で555回564頁の『英作文問題及び解説集』になっています。まだやめられないとまらない。(笑)
 国語は音読指導だけ。15冊ほど読みましたが、最後の方は大学生でもかなりのハイレベルでなければ理解できないレベルの本でした。たとえば、『福翁自伝』(岩波文庫)や山本義隆『近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書)です。共通テストの現代国語はほとんど満点だったようです。入試問題程度の論理的な文章を読んで外すことは滅多にない。もちろん、国語の受験問題集は学校の先生に進めてもらったものを1・2冊しっかりやっています。塾でやったのは基礎作りだけ。気が向くといくつか論点を拾い上げて意見を聴いたり、議論してきました。大学のゼミ程度のレベルにはなっていましたね。元々原価計算論のゼミに入るつもりでしたが、結局、市倉宏祐教授(哲学)のゼミでマルクスの著作を3年間読んだので、シビアな議論の癖があります。十分ついて来れましたね。

 根室高校の普通科の定員は120人、商業科と事務情報科を含めても160人前後にすぎません。それでも、毎年3人くらいは小学4年生から長期戦略に従って勉強すれば、国公立大医学部や北大総合理系程度の難易度の学校なら合格できる生徒がいます。
 そうした3人の中から1人が毎年医学部へ進学してくれたら、根室の地域医療の未来は明るい。
 毎年医学部合格者がでて、市立根室病院に4人に1人くらい地元出身の医師がいて支えてくれたら、もっと運営がやりやすくなるし、毎年16-17億円垂れ流している赤字も減らせます。菅政権とふるさと納税制度は命運と共にする可能性がありますので、準備はしておいた方がいい。
 根室高校からでも国公立大学医学部に合格できるなら、学齢期の子どものいるドクターが市立根室病院へ赴任してくれるようになるでしょう。地域医療の状況を大きく改善できます。地域医療の未来は根室に住んでいる私たちが創らなければいけません。自分たちにやれる範囲のことはやる(自助)ということ。
 それぞれが自分の仕事を通じてやれる範囲のことをするだけでいいのですよ。根室市教委には市教委の、市長には市長の、市議会文教厚生委員会には委員会の、学校の先生たちにはそれぞれにやりうることがあります。それをまっとうにやるだけでいい。わたしもそうしてきただけです。そうすれば、子どもたちは期待に応えてくれます。


 いつまでの何をどれくらいやればよいかは、7年間の記録を弊ブログにアップしてきました。あちこちにばらけているので探しにくいでしょうね。何か方法を考えます。
 一番大事なことは小学校低学年での学習スタイルの確立です。家庭学習習慣をつけるというのはお母さんの役割ですよ。学習習慣の躾です。これも具体的な方法をどこかに書いてます。同級生のAの君が優れた方法を教えてくれました。彼、毎年小学校の新入生の保護者を集めて家庭学習習慣のしつけ方を講演してくれたら、子どもたちの学力がずいぶんアップできると思います。市教委がバックアップすればいいだけ。論より証拠、彼は子供三人とも国公立大へ進学させてます。
 弊ブログの記録を参考にして小中高生は勉強、先生方には指導をお願いしたい。そのためにいままでブログに詳細に指導内容を公開してきました。

 ぜひ、かれに続く生徒が多数出てほしいと願っています。

 岡田君、現役合格おめでとう。

<旭川医大学校推薦型選抜(道北・道東特別選抜)(医学科) について>
 選抜は、
 課題論文 300点
 面接   300点
 共通テスト900点
 合計   1500点

 共通テストの得点の中央値以下の生徒は足切り。この生徒は79.2%の得点。
 同じ得点の場合は課題論文の得点の高い方、それも同じなら面接得点の高い方が選抜される。

 授業の合間に、地域医療については度々具体的な議論をしてきたから、この生徒は地域医療についての具体的なビジョンをもっています。もちろん家庭でも親の仕事を観察しているのでそこからもたくさん吸収しています。だから、課題論文も面接も高得点だったでしょう。
 臨床検査最大手SRLで16年間仕事してきましたし、300ベッド弱の療養型病床群の病院で常務理事をして、病院建て替えをしたことや、シームレスな老人医療介護について経験がある。そういうもろもろのことも授業中の雑談に取り上げてきました。かれは数学の問題を解きながら、雑談できるのです。脳がパラレル処理をやるのに慣れてしまっています。

<北大理系総合合格圏内の生徒が二人>
 根室高校三年生には他に二人優秀な生徒がいます。2次試験の勉強中です。二人とも合格してもらいたい。一人は共通テストでいきなり学年2位に躍り出てきた生徒です。通塾していない生徒、数学のセンスが良いと聞いています。ふたりとも頑張れ。競争相手が数人いると、団子になって得点がアップしていきます。面白い現象です。光洋中学校がときどきそんな年がありましたね。5人くらい団子状態になって突出してしまう。


<主治医岡田優二先生とわたし>
 2006年の6月のある日、1日前に食べたうどんが消化できずに逆流、胃が詰まって何も入らぬ状態、胃癌であることははっきりしていたので、延ばし延ばしにしていました。女房殿に「もう食べられない状態になっているのにどうして医者に行かないの?」と叱られて、ようやく行く気になりました。オヤジの兄弟が全員癌で死んでいるので、診察が嫌でした。オヤジの兄弟もオヤジも癌で3年以内に全員なくなっていますから。
 あの当時は根室で消化器内科専門医は岡田医院の優二先生だけ、ついていました。すぐに内視鏡で診察してくれで、診断は癌。先生は内視鏡画像を見せてくれましたが大きな腫瘍でふさがっていました。内視鏡が通らない。「癌だったでしょう?」と尋ねると、うつむいて、申し訳なさそうに「癌です」、「もう食事が通るような状態ではないのですぐに入院の必要があります」。
 釧路市立病院は1か月くらい待ち、釧路医師会病院なら副院長が先輩なのですぐに入院できるとのこと。2週間後に中学生の定期テストが迫っていたので、それが始まるまでは授業をしたいと、入院拒否。岡田先生に叱られました。食事もできない状態で仕事がやれるわけがないと。だけど、これが最後の授業だろうと思ったから引けなかったのです。入院手続きを待ってもらいました。生徒たちには「お腹にオデキができたので取ってくる」と言ったら、笑って「先生、退院待ってるから」とあかるく送り出してくれました。そう云って呉れた生徒の顔を今でも覚えていますよ。ありがたかった、生徒の言葉が温かかった。ヨガのまねごとを数十年間してきたので、身体の声が聞こえます。重くて冷たいものが広がっていくのがはっきりわかるんです。気味の悪い感触です。スキルスがあると確信していたので、そう富田副院長に伝え、2週間ほどさまざまな診察を受けて、スキルス胃癌と巨大胃癌の併発の診断がつきました。すぐに入院しなかったので進行していて、開腹したら手遅れ、若き外科医である後藤先生の手が止まって「開け閉じ」しようとしたら、ベテラン外科医の浅川院長が「ざっくりとったらいい」と続行指示。6時間の手術で、胃の全摘、リンパ節切除、浸潤していた横行結腸切除、胆嚢切除、わずか700ccの出血で輸血なし。ドクターの腕がよかったので奇跡的に助かりました。外科医の後藤先生は手術のときに肝臓に触って診察、どうやら転移しているようす、1か月後に手術する予定と術後三日目くらいに告げられました。そのご経過観察しましたが、大丈夫でした。
 よく生き延びたと思います。天が何かをしろと命じているような気がして、自分にできる範囲のことをあれから坦々とやってきました。当初は授業中に立っているのがつらくて、座って授業することが多くなりました。無理せずにやればなんとかなることが分かったのと、だんだん自分の身体の状態に慣れていったのです。
 この度は命を救っていただいた優二先生に、すこしだけ恩返しができたことをうれしく思います。太志君よく頑張った、セルフコントロールのできるいい生徒に恵まれました、ハッピーな出遭いに感謝です。

<看護専門学校受験生たち>
 一番最初に決まったのが浦川日赤付属看護学校の生徒でした。11月ごろだったかな。次が釧路労災病院付属看護学校へ学校推薦の生徒。この生徒は内申点が4.8でした。「どうして大学受験ではなくうちの学校へ?」と面接で学校長に聞かれたそうです。三人目は釧路孝仁会付属看護学校と岩見沢市立病院付属看護学校に合格、明後日釧路市立病院附属看護学校の合否発表があります。本人は岩見沢に決めているようです。雪が多いな。(笑)
 臨床検査の学校へ進学を決めた生徒がいます。わたしがSRLという最大手の臨床検査会社に16年間勤務していたと言ったら、驚いてました。そうだよね、塾先生としては一風変わった経歴の持ち主です。

 他に、大学受験組が三人います。いま戦ってます。もうちょっとがんばれ。一人は第一志望校が共通テストでA判定だったのでルンルンです。二人は真剣勝負しないと第一志望は危うい。もうちょっと頑張りぬけ!

<余談:二次試験>
 旭川医大の昨年の一般入試二次試験のトップは270点/350点満点、77.1%の得点でした。今年は科目が減って数Ⅲと英語のみ。どちらも彼の得意科目ですから、過去問をやって75-80%の得点が可能なところにいました。「先生、英語簡単です」なんて言ってました。ハラリのSapiensに比べたらずっと楽。昨日まで二次試験のために勉強してました。
 一般入試で二次試験受けたらトップ合格だったかもしれません。1年半ほど、数学と英語は共通テスト無視して難易度の高いものをやってました。(笑)

#4486 国立医科大学現役合格は長期戦略が決め手 


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#4468 成績上位層への対応課題:共通テストの結果から Jan. 28, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 大学入学共通テストは選択科目間で平均点が20点以上乖離している科目があったので、点数調整がなされた。根室高校のトップは707点である。彼を含めて660点以上に3人の生徒がいる。
 二人は通塾組、それぞれ別の塾だ。2番目の生徒は塾通いをしていない。模試では2位になったことは一度もなかったが、急激に点数を延ばして2位に食い込んできた。すごいね。
 わたしが教えている生徒は7年目だ。小5の正月から教えたから、標準的な受験勉強からスタートが2年近く遅れている。中学生の時は学年トップを続けてはいたがしょせん田舎の中学校のトップ、土日は親と一緒に出掛けることが多く、週当たりの学習時間は都会の生徒の半分、およそ都会の中学生とは比較にならなかった。勉強に本格的に力が入りだしたのは高校生になってからだ。急激に力が伸びたのは時間の使い方が抜群に上手になったことと、土日を学習時間に組み込めるようになったからだ。精神的にも「無事に」親離れしたように見える。自我が芽生えたあたりから、ご多分にもれず反抗期はあったがぎくしゃくしながら通り抜けたようだ。
 学力よりも、精神的な成長を目撃するのは楽しい。こちらはうんうんとうなづき聞き流すだけでいい。それで生徒はストレス発散している。そのあたりの呼吸は以前勤務していた病院の精神科医の副院長から習った。カウンセリングの現場を隣の部屋で傍聴させてもらったことがある。常務理事として病院の建て替えと経営を任されていたから、いろいろ知っておかなくてはいけないことが多かった。極意伝授、なんでも役に立つものだ、ありがたい。(笑)

 トップの生徒は英語と数学が強い。国語は150点を超えたからまあまあだ。課題は選択三科目である。ふだんの授業のレベルが低いので、例えば進学校である釧路湖陵の生徒に比べて、3科目で40-50点ほど損している。2位の生徒は数学のセンスがいいそうだ。3位の生徒は数学が苦手、国語が得意で、模試でも国語は学年トップのことが多かった。

 通塾していなければ、難易度の低い共通テストでも80点を超えるのはなかなかたいへんなようだ。進学校の生徒に比べて選択3科目がそれぞれ10-15点ほど低くなる点をなんとかしないといけない。通常の授業のレベルを釧路湖陵並にしたらほとんどの生徒がついていけないから、半年ぐらい成績上位層の生徒5人くらいを対象に放課後補習授業を組むくらいしか手がないだろう。これは根室高校側の課題である。
 私塾が、中学生の時から数学と英語の二科目を個別指導できれば、高学力の生徒に対応できる。大学入学共通テストで、それぞれ2科目ずつ80-100点が獲得圏内なる。

 教育に関係する大人たちが、理想的な体制を整備できていれば、3人の生徒は北大総合理系のハードル720点を超えられただろうこの程度の学力の生徒は毎年3-5人いる。北大への合格者は毎年出せるし、私大の医学部くらいなら現役合格できる
 30年後の根室の地域医療を支えるために毎年1-2人くらいは医学部進学者がいてもらいたい。体制を整備できれば、そういうことが可能になる。

 根室には高校生対象の塾は、数学だけを教えているWF塾と、数英の両方を教えているニムオロ塾しかない。いずれ根室には高校生対象の塾はなくなる。
 この2科目は学校の授業だけで80点を超えられるとは思えない。高校だけでもダメで、中学校の数学と英語の授業のレベルアップにかかっている。7時間目を希望者に開放する放課後補習体制しかないだろう。
 根室市教委と道教委が具体的な教育政策で連携する必要が出てくる。

<余談:道の教育長との幻の意見交換>
 昨年5月に釧路の教育を考える会と北海道教育長の佐藤さんと意見交換会が予定されていました。わたしに振られたテーマは根室の学力の現状と問題点、そしてそれらを克服する具体的な提案でした。釧路根室管内の中学校18校の普段の学力テストデータに基づいて話をするつもりでいました。ところが3月から全道一斉休校措置、佐藤教育長は仕事で忙殺され、突然の訃報に接しました。とっても残念です。根室や釧路の子どもたちのために意見交換したかった。
 北海道はペリフェリ(辺縁部)の学力低下が進むと、次の段階では中核都市(旭川・釧路・帯広・北見・網走)や中央部(札幌)の学力低下が連鎖的に起きる可能性が高い。学力の高い生徒を辺縁部からこれらの中核都市の進学校へ送れなくなれば、中核都市の進学校や札幌の進学校が学力低下を起こすのはモノの道理だ。札幌や中核都市の進学校の高学力を支えているのは辺縁部の高学力の生徒たちである。 


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