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#4846 分を時間に換算する:5年生の質問より Oct. 14, 2022  [52-2 生徒の質問]

 昨日10/13の授業で小学5年生から質問がありました。
 いま学校では約分や通分のところをやっていて、時間の換算問題が応用で出てきてました。通分は分母の最小公倍数(GCM)を見つけて、分子分母にGCMをかければいいのです。

 帯分数の引き算の問題があって、挙手をして
「はい!」
「これやり方わからないので説明してください」。
 通分してから、分子が引けないときは、帯分数の整数部分を一つ減らして、分母と同じ数を足せばいいだけ。黒板で説明すると簡単です。
 2(2/7)- 3/5=
  こういう問題でしたね。「2と2/7」あるいは「2+2/7」を書けないので、苦し紛れの表記です。

 28/35の約分の問題でもてこずっていました。28と35の最大公約数(LCM)を見つけて約分すればいいのですが、逆九九までやっていない生徒はなかなか見つけられず、標準的な生徒の3~5倍くらいは時間がかかります。家庭で逆九九の指導を徹底してください。計算は数学の基礎です。
(割り算が遅くて数学が苦手になる生徒が案外多いのです。根室では中学3年生で割り算や分数計算の苦手の生徒が3割以上いると思います。団塊世代でそういう生徒は1割ぐらいなものでした。ソロバン塾がほとんど消滅しかかっていますが、その影響は小さくありません。)

 「先生、何か便利な方法ありませんか?」、声がかかりました。
 「九九で28は何と何を掛けますか?」、「4x7です」
 「では35はどうですか?」、「5x7です」
 (4x7)/(5x7)
 「ほら、分子分母に同じ数字7があるから、7で約分できますね。思いつかないときは九九に分解してみるのもいいかもしれませんよ」

 次の質問は15分を時間に換算する問題でした。
 「分を時間になおすには、1時間が60分だから、60で割ればいい⇒15/60=1/4」
 そのあとで、黒板に円を描きました。15分の所に印をつけてもらいます。十字に線を入れると四分円になります。ちょうど15分のところに線が届きます。
「同じ大きさの扇型がいくつある?」
「四つです」
「四つのうちの一つを分数で表してください」
「1/4です」
「さっき、15/60とやりましたね、約分した数字を見てください」
「あ、1/4、同じだ」
「気がついたね、そういうことなのです」
「何だか分かったような気がする」

「いつも言ってますが、「わかった」だけではダメですよ、そこからなんどもやって「できる」にしましょう」
 うちで何度も練習してください、これをやらないと元の木阿弥になります。
 塾へ来ても効果のない生徒の半数が、説明を聞いて「わかった」生徒です。家で何度かやってみないと身につくことはありませんよ。お金払って塾に来る意味がありません。いったんやめて、勉強しなくっちゃいけないと思ったときにまた来たらいいのです。

 次に10分をやってみます。同じように円を描きます。10分刻みで円の周りに点をつけます。
「何個の点がつきましたか?」
「6個です」
「じゃあ、10分は1/6時間だね」
「あ、そうか」

 32分は時間に換算するとどうなりますか?
「32,64,96」
 32の倍数は60にならないでしょう。こういう場合は60を分母にして考えましょう。
 32/60=16/30=8/15

 秒を分に換算するときも同じですよ、分母が60です。なぜかな?
「1分は60秒だから」
「いいね」
 秒を時間に換算するときは、分母は「60x60」にすればいい。秒を分にするのに分母を60にして、さらに分を時間に換算するのに分母を60にするからそうなります。
 時間を分に換算するのは簡単ですね、60を掛けたらいいだけ。

 この小5の生徒は今年の正月から来た生徒です。落ち着きがすこしありませんで、しばらくは1時間半の授業は無理でした。集中力が続かないのです。無理させずに、斉藤孝著『声に出して読みたい日本語』の早口言葉で遊ばせたり、ルビ付きの本の中から選ばせて読ませたり、してました。数か月たつ頃、90分集中して算数の勉強していることが多くなりました。カラーのB4サイズの問題プリントを学校でやらせていますが、はじめて150点満点だったときにうれしそうな顔して「満点でした!」ってテスト用紙を見せてくれました。文章題もしっかりあってましたね。一度、満点が取れると自信がわきます。それが表情にも出るし、面白くなって勉強に興味がわいてました。だから90分集中力が続くようになったのでしょう。
 
 K君の授業はこれで終わりでした。終わってからお母さんと、一緒にご挨拶してくれました。愉しかったのだそうです。勉強するのはほんとうは愉しいことなのです。わからないと点数も取れないし愉しくなくなります。わたしたち塾の先生ができることは、わかっていないところを見つけ、そこにパッチ(つぎはぎの布)を充てて、補修してあげること、そして生徒の質問を材料に勉強の仕方や考え方を伝えることです。
 全員がうまくいくというわけにはいきません、こちらの技量の問題や生徒との相性の問題がありますので。だから、タイプの異なる私塾がいくつか必要なのです。

 お兄ちゃんが一緒に来てましたが、予習していくと学校の授業がよくわかると、予習するようになったそうです。来年は中学生ですから、間に合ってよかった。中学生で数学や英語を予習している生徒は20%はいないようです。成績上位10%に入りたかったら、予習は必ずやりましょう。

 根室の上位10%は高校生になったときに、ベネッセの進研模試で全国偏差値50以上。つまり全国の公立高校普通科の平均的な学力をクリアしているというだけのことです。根室の中学校は釧路・根室管内18校の学力テストデータでは最下位です。この20年間で、根室の子どもたちの学力が市街化地域の中学校では最下位まで低下したということ。
 教育関係者(根室市教委、学校の校長、そして先生たち、PTA)はその原因をしっかり分析して、手を打たないといけませんね、それがあなたたちの仕事ですから。
 根室の子どもたちの学力が、釧路根室管内で最低ということは、根室の未来を担う人材がいなくなるということですよ。現在もだいぶ怪しい。むしろ大人の劣化が、家庭の躾(しつけ)を含めて、子どもたちへ影響しているとみるべきかもしれません。子どもたちが勝手に劣化するわけはなさそうですから、根室の子どもたちの学力低下は、子どもに関わっている大人の方に問題があると思わなくてはいけないようです。厳しいことを言ってすみません。
 根室の経済諸団体、大丈夫ですか。20年後には半数くらいの地元企業が人材を確保できずに消滅する可能性が出てきたということですよ。

 高校生は予習して行かないと、標準的な難易度の教科書で標準的な速度の授業についていけません。根室高校の普通科の2/3の生徒がすでに「普通の難易度の、普通の速度の授業」にはついていけてません。数Ⅱですら選択科目になってしまいました。根室西高校と統合前の根室高校では考えられないことです。数Ⅱと数B両方が必修科目の時もありました。入学してくる生徒(2/3)の学力レベルが著しく低下したということです。20年前の根室高校普通科の学力レベルを維持しているのは、「特設コース」の40人中、30人ほどにすぎません。保護者のみなさんも

根室の子どもたちの学力低下に危機感をもってください。根室の中だけ見ていたのでは、こんなに激しい学力低下に気がつけません。釧路や別海や中標津などの中学校と学力テストの平均点を比べたら、学力低下の状況がよくわかります。中標津町の中学校は根室の中学校の後を追っています。別海中央中学校が根室とは比較にならぬほど平均点が高い。教育長や学校長が学力向上に関心が高いのです。

 できれば小学校高学年になったら、予習方式で勉強するように切り替えてください。そうすれば高校卒業まで大丈夫です。
 
 5年生の生徒、
「僕、もっと早く大人になってこの塾へ来たかった」、そう言ってくれました。塾がなくなる前に小学生・中学生・高校生になって、塾で勉強したかったということなのでしょう。どうもありがとう。
 この生徒二人は10か月のお付き合いでしたが、何かを伝えられたとしたら、うれしい。


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#4771 模試数学過去問(図形):生徒の質問 June 17, 2022 [52-2 生徒の質問]

 ベネッセ模試が6/25に予定されているので、1年生から図形の問題で質問があった。昨年度分はやったので、たぶん一昨年の問題かな。「大問3」の問題であった。昨年の「大問3」は図形ではない一次不等式の文章題だった。ここが全問正解できた生徒は得点が70点を軽く超えるだろう。「大問4」の3問の内2問できたら15点ゲットで80点に届く。昨年は全国平均が34点、標準偏差が18点だから、70点だと偏差値70である。根室高校ならダントツ学年トップになれる。
(配点は「大問1」が計算問題、「大問2」も計算問題だが「大問1」より難易度が高い。それぞれ25点の配点だ。ここまで1問ミスしただけなら45点獲得できる。そしてここで25点獲得だと70点。そして「大問4」で2題正解すれば80点に届く)

 「大問3」は1次不等式の文章題だが、もってきたプリントは図形問題に絡む一次不等式の文章題である。高校入試の難関校で出題されるレベルの問題、良問だった。
DSCN6560s.jpg

条件を書きだすと、△ABCは、AB=10、BC=8、CA=6の直角三角形。
 AD=6、BE=6となるようにD点とE点をとる。
 点P、Q、RはそれぞれA、D、Eを同時に、毎秒1の速度で反時計回りに進む。
 x秒後の△PQRの面積をyとするとき、次の問に答えよ。
(1)x=2のとき、yの値を求めよ。
(2)0≦x≦2のとき、yをxを用いて表せ。
(3)0≦x≦4のとき、y≦12となるようなxの範囲を求めよ。

 問題文を眺めて、図を確認して、どこか特殊なところがないか漠然と考える。△PQRは辺PQが一定であることがわかればPQ=6で高さが伸び縮みする直角三角形の面積問題である。したがって、高さだけが変化するから1次関数だとわかる。図形イメージを頭の中で操作するのに女子は苦手だから、そういう操作を頭の中でできる男子に有利な問題である。そこまでとらえたら、次のステップは具体的な解法に"アタリ"をつけることだ。
 もう一つ「アタリ」をつけてみよう。(1)の問題を条件通りのPQRの点に線を引いて結んでみよう。その面積は△ABCの半分よりも少し大きいことが見て取れる。ここが肝心で、答えを出した後、△ABCの面積24の半分の12より少し大きくなっていたら正解だ。そうでなければもう一度計算手順を見直す必要がある。

 (1)にはふたつの解法がありそうだ。①引き算で求める、もう一つは②点RからPQへの垂線を下ろして、辺PQに対する高さを相似比で求まるやり方である。後者の方がスマートそうだ。

 ①でやると、△ABC=(△QBR+△ACP)で求められる。これもそれぞれの三角形は相似比を利用して求める。答えは72/5である。

 ②でやると、△PQRの辺PQ(PQ=6で一定)を底辺としたときの高さhは相似比を利用して次のように求められる。
 10:6=(6+x):h ⇒ h=3/5*(6+x)

 △PQR=1/2*6*3/5*(6+x)=9/5*x+54/5
 f(2)=72/5

(2)は①の方法でやると、x=0のときの面積を引き算で求めて、ついでx=2のときの面積を引き算で求めると、x,yの組が二つできるので、2点を結ぶ直線の方程式を求めたらいい。
 ②の方法なら、計算途中で式が出ている。
     y1=9/5*x+54/5

(3)Rが辺CA上にある時の、△PQRの面積を辺PQを底辺としたときの高さhは相似比で求められる。
 AR:h=10:8   AR=8-xを代入すると、(8-x):h=10:8を計算して、
  h=4/5*(8-x)

 △PQR=1/2*6*4/5*(8-x)=-12/5*x+96/5
  y2=-12/5*x+96/5

次の不等式を解いて
 12≦9/5*x+54/5より 2/3≦x
 12≦-12/5*x+96/5   x≦3
 条件を満たすxの範囲は
   2/3≦x≦3


  時間内にスマートに解くには、PQ=6で一定だということに気がつけばOKですね。あとはPQを底辺としたときの高さを相似比を利用して求めたら、スラスラ解けます。

 高校受験の「相似な図形」の知識で解ける問題でした。高1の6月でこの問題をスラスラ解ける人は『シリウス』シリーズと同等の難易度の問題集を使用して3年間勉強してきた人、ということになりそうですね。偏差値65以上。

 札幌光星高校へ今年進学したKH君は解けますね、半年シリウスでやりましたから。根室高校へ進学した1年生でこれを時間内に解ける生徒はいないでしょう。そういう難易度の問題集やった人がいないというだけのことですよ、いまからやったらいいのです。いま『シリウス数Ⅰ』『シリウス数A』で勉強している1年生が8人います。難関大学への進学なら全問題やる必要があります。3人はそういう生徒です。根室高校生のみなさん頑張ってください。
 本音を言うと、この3人は小学校4年からやり直してもらいたい。(笑)楽勝で北大合格出来た生徒です。高校スタートのハンディは大きい、さて間に合うかどうか、ドキドキワクワクです。
 根室高校から旭川医大へ昨年現役合格した生徒は、高1の7月にはこの2冊、全問題踏破してました。8月から数Ⅱと数Bをやっていました。数Ⅱと数Bは量が多いので全問題やるのに15か月かかったかな、2年生の11月くらいから数Ⅲ始めてました。時間をかけてだけのことはあり、模試で数ⅡBは98点とってました。ベネッセ模試では解けない問題ありませんでしたね。河合塾模試が学力相応でしたね。ゼット会「アドバンスト模試」が一番難易度が高かった。英語の問題もってきてときどき質問してました。結構難しかった。


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#4769 生徒の質問:修飾の多い文 June 15, 2022 [52-2 生徒の質問]

 昨日高3の生徒が教科書の和訳に一生懸命だった。最近購入した電子辞書(EXWORD)がお気に入りのようで、せっせと辞書を引いている。いい傾向だ。新しい道具を手に入れたら、トコトン使い倒そう。
 授業時間の終わりの方でこの生徒KWさんから投げられた質問を紹介する。
 教科書PROMINENCEⅢ「Lesson 4」p.41の最後の段落から。


 The bar of soap you used once or twice during your last hotel stay might have now be helping children fight disease in developing countries. And it all started with one man who has shown that every single day you have the opportunity to make life a little bit better than it was before.
「あなたが最近ホテルに泊まっている間に1回か2回使った(固形)石鹸は、発展途上国で病気と闘う子どもたちにひょっとしたら役立っているかもしれない」

 質問部分は以下の文である。
 And it all started with one man /who has shown that /every single day you have the opportunity/ to make life a little bit better /than it was before.
「すべては一人の男で始まった/やって見せてくれた/どんな一日にだってチャンスはある/人生をちょっとでもよいものにするための(チャンス)/以前よりも」⇒「そして、それは、どの一日をとってみても、人には以前よりもほんのちょっと人生を豊かにするチャンスがあるものだということをやって見せてくれた男によって始まったのである。」 
 このように、スラッシュでぶつ切りにして、英語の語順通りに理解するのもよし。

 この文は間に関係節修飾があるのでわかりにくい、外してみます。
 And it all started with one man who has shown that.  
 わかりやすいでしょ。
 every single day you have the oppotunity to 
make life a little bit better it was before.
 "every single day"
は「どのたった一日にも⇒人の人生の中のどの一日にも」。"single day"は"a day"を強調した言い方かな。"every single day"の"every"は一つ一つに視線がいってます。「人の一日はどの日をとっても、昨日よりは今日、ちょっとはだけ人生をよくするチャンスはあるんだよ」ということ。
 この文でyouは「人一般」を表しています。「「人には」あるいは「みなさんには」」と訳してもいい。

 別なアプローチもありますよ、長い文ですから、三つに分解してみると、その一つ一つは単純です。
 ①it (all) started with one man.:SVM
 (それは一人の男によって始まった)
   ②The man has shown (that).:SVO
 (その男は(それを)やってのけてみせた=ホテルに備え付けの石鹸のリサイクルをやって見せました)
   ③you have the opptunity to make life a little bit better (than it was).:SVOM
 (人ににはチャンスがある/昨日よりはほんのちょっと人生をより良いものにする)

 こういう手続きを生成変形英文法と言います。高校では出てきません。チョムスキーという科学者があらゆる言語には共通な文法規則があるという仮説に基づいて、「普遍文法」という学問分野を切り拓きました。興味があったら、学校の先生に聞いてください。もちろん、ニムオロ塾生からの質問にはわたしがかいつまんで説明します。チョムスキーの言語学理論関係の原著が数冊本棚にあります。

 ③の文は「人にはチャンスがある」と言ってから、その後ろにどのようなチャンスなのかを説明する不定詞句が続いています。「説明ルール:説明は後ろに置く」です。than以下の節はその直前の句を説明しています。この文全体が②のOである目的語の説明になっています。
 lifeには限定詞も不定冠詞もついていません。だから、個別的な誰の人生でもないそしてすべての人の人生でもある「人生一般」を表しています。リサイクル事業を興すことで自分の人生を変えたこの男、そして開発途上国でこの石鹸を利用して衛生状態を改善し今までよりも良い人生を手に入れた子どもたち。人の人生はすばらしい!切なるニーズがあるなら、損得抜きでそれに渾身の力で取り組む、いいですね。そういう大人になる人がわたしが教えた生徒たちの中からも現れるかもしれないと思うと、一回一回の授業がとても大切なものに感じます。

 ところで、時制の一致が破れていることには気がつきましたか?
 ①の文は過去形です。②の文は現在完了形、③は単純現在形です。①と②③は地齋が不一致なのですが、その理由も理解しましょう。
 ②の理由は書かなくても文脈でわかるでしょう。問題は③の文です、なぜ単純現在形なのでしょう。そうです、この文は時間も空間も超越した普遍的な真理を語っているからです。人には、例外なしに誰にでも自分や他の人の人生をより良いものにするというチャンスが、どの一日をとってもあるということ、それは普遍的な真理なのだという筆者の思いがこもった文なのです 
 これで解説は終わりです。

 手順と作業は簡単でしょ?
 複雑な文が出てきたら、修飾語や修飾句や修飾節を外して、骨格だけにして眺めてください。
 KWさん、受験まであと半年、苦手だった英語長文と仲良く過ごす時間がますます増えることを期待しています。

*「チョムスキーの言語学 生成文法とは?」



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#4388 3次関数の問題:I君の質問、青チャート数Ⅱより Oct. 18, 2020  [52-2 生徒の質問]

 金曜日に生徒から質問のあった問題を取り上げる。

〈問題214〉 f(x)=x^3-3x^2-9x とする。区間 t≦x≦t+2 におけるf(x)の最小値m(t)を求めよ。

 f'(x)=3x^2-6x-9=3(x+1)(x-3)
   f'(x)=0 とすると、

  x=-1、3
 増減表は省略

 よって、y=f(x)のグラフの左半分をズームすると次の図のようになる。

<図a1> …グラフ作成ソフトGRAPESを使っている
214-1image.jpg

 
  I君からの質問は、解答集の途中で、なぜ突然に記号α(アフファ)が出てくるのかということ
 「先生、αの意味が分かりません、解説してください!」
 αが降ってわいたように出てきた、ターミネータがスッポンポンで突然ショーウィンドウの前に出現したような、と譬(たと)えたらいいのかな。αよ、おまえは誰だ、なぜここにいる。
 悪いが、このレベルの簡単ではない問題を簡単に解説する技の持ち合わせはないから、便利な道具であるグラフソフトGRAPESを使いながら解説したい。

 グラフの左側のx切片が-2の右側にあり、x軸の-2の点とグラフの曲線との間に隙間があるところに注目してもらいたい。2次関数と違って、3次関数は頂点を通りy軸に平行な直線で左右線対称にはならないところが要注意である。だから、区間の幅が2となる点をαとして、f(α)=f(α+2)を満たすαの値を計算する必要がある。2次関数なら左右対称だからこんな問題は出てこない。

 ここでα<-1<α+2 すなわち -3<α<-1 であるαに対し、
 f(α)=f(α+2) を満たすαの値は
  α^3-3α―9α=(α+2)^3-3(α+2)^2-9(α+2)
              3α=11
                α=±√33/3

------------------------------------------

 I君は私大文科系学部を受験するから、青チャートはそもそもオーバースペック、そして質問のあった問題はマークが5つ並んだ、青チャートでは最高難易度の問題なのだ。どういう問題集を使うかは、それぞれの塾生が自分で選んでいるから、一人一人違っている。個別指導しているから、それぞれの生徒から、家でやってみたがわからない箇所があれば授業が始まるとすぐに質問が飛んでくる。
 せっかくだからI君も紹介しておこう。エントロピーの高いタイプ。棒状の液晶に例えれば、エントロピーが低ければ棒状の液晶は整列して窮屈そうに並んでいる。熱を加えると縦方向にずれが生じて不揃いになり、エントロピーが増大する。さらに熱を加えると横方向にもずれが生じ、棒状の液晶は拘束(校則?)を解かれたようにバラバラに自由気ままにふるまい始める。生徒たちを観察していると、たまにエントロピーの大きな人間がいることに気がつく。
 難易度の高い問題集を選んだI君は根っからのチャレンジャー精神のもち主。もちろん選んだ問題集だけで言うのではない。明治公園内の池に下りるU字路の急坂をチャリンコで飛ばして、曲がり切れずに立ち木にぶつかり、血だらけのケガしたことがあった。わたしも池へ下るあの曲がりくねった小道をMTBで走ったことがあるが、速度はちゃんとコントロールして転倒するほど無茶はしない。そんな坂でも速度を落とさず突っ込み狭い小道を外れて立ち木へ激突、あちこちすりむき血を流しながら這い上がって自転車を押して戻ってきたらしい。小学生じゃあるまいし、高校生になってもそんな無鉄砲なところがある。学校へ行くのはあと3か月、怪我無く卒業してくれ。(笑)
 夏目漱石はそういうエントロピーの高い人間を主人公に小説を書いた。
「親譲りの無鉄砲で子どものときから損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かしたことがある。なぜそんなむやみをしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由でもない…
お馴染み『坊ちゃん』の冒頭部分を引用した。
「親類のものから西洋製のナイフをもらって綺麗な刃を日に翳して、友達に見せて居たら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。切れぬことがあるか、なんでも切って見せると受け合った。そんなら君の指を切ってみろと注文したから、なんだ指位此の通りだと右手の親指の甲をはすに切り込んだ。幸いナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、いまだに親指は手に付いている。しかし傷跡は死ぬまで消えぬ。」
I君はそんな主人公に似た無鉄砲な性格のもち主だから、学校の先生にはたぶん向かない、性格を生かした別の方面での活躍を期待している。あの性格を考えると、命懸けの修羅場を何度かかいくぐることになりそうだ。30歳まで生き延びれたら天運と言うしかなく、ヨーロッパやロシアを駆け巡って40代で何事かを成し遂げる男になるだろう。(笑)
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 青チャート数Ⅱの解答編に載っている図は、場合分けをしたものを1枚の図で表現して込み入っている。こういう時は、場合分けごとに図を描けば、シンプルになる。それが<図a1>である。比較のために解答編の込み入った<図b1>も貼り付けておきます。こうすると解答編の図のαとα+2が、2と0のところを指しているように見えて、アウトだということがよくわかるでしょ。これでは数学が得意なはずのI君でも、10分間図を眺めても理解できるはずがありません。肝心なところ、-2とαの間にある隙間がこの図にはありませんから、彼の疑問は当然のものでした。わからぬことをわからないと質問できるのは、性格が素直で、センスのいい証拠です。解答編の図を見て「なんだかヘン ???」、好い感覚してるでしょ?

<図b1>
DSCN4212s.jpg


 この<図b1>ではグラフの横幅が2の地点のx座標はそれぞれ-2と0に見えてしまい、生徒が混乱を起こすのは当然です。数研出版社は解答編のこの図を差し替えてもらいたい。<図a1>と見比べてください。


 区間はt≦x≦t+2であるから、幅が2、そしてf(t)=f(t+2)となる点、つまり「区間の幅が2でかつy座標が同じになる点をtの特定の値、つまりx座標をαとする」。青字の式にαを代入してやればαの3次方程式ができあがるので、そこからαを求めるのである。αは幅2で最小値が左右同じになる点である。
 極大点のx座標が-1でも、t=-2、t+2=0にはならないことに注意。x=-1を線対象の軸として左右が重ならないことは全体図<図a2>でy=-25のあたりを見れば一目瞭然、グラフはx=-1に対して線対称ではないということに注意。2次関数の放物線は頂点をと通りy軸に平行な直線を対称軸として線対称な図形になるが、3次関数は頂点を通りy軸に平行な直線を対象塾とする線対称グラフにはならない。2次関数と3次関数のグラフの図形的な特性を区別してしっかり理解していないと、こういうところで落とし穴が待ち受けています。

 f(t)=f(t+2)の方程式にαを代入してx座標を計算しなければならない。

<図a2>
image Ito BC214全体s.jpg


 y軸に平行な直線をイメージしてx=-1からx=3までゆっくり移動させてください。どの地点でも線対称にはなっていませんね。こういう無駄なイメージトレーニングが数学の学力差を拡大するのです。解答集見て覚えるだけのトレーニングをしてきた生徒と差がはっきり出ます
 計算結果はすでに書いたから、あとは場合分けだが、ここまで来れば、数Ⅰの2次関数の変域がa≦x≦a+2で指定されている問題と変わらない。極大値と極小値という点だけが違うのみ。場合分けしてみる。


①t<-√33/3-のときは、区間の左端のf(t)が最小値となるから、m(t)=f(t)=t^3-3t^2-9t

 この式のtに-√33/3を代入して科学技術用計算機のHP-35sで計算すると-0.787である。生徒たちはスマホを使っているから、関数電卓用のアプリを使えばいい。

 緑の線を引いた左端の座標が(-√33/3-, -0.787)、右端の座標が(2-√33/3, -0.787)となる

②-√33/3≦<1のときは、区間の右端f(t+2)が最小値となるから、m(t)=f(t+2)=t^3+3t^2-9t-22 

 f'(x)=0のもう一つの点、x=3をはさんで、t≦3≦t+2 すなわち 

③1≦t≦3のとき、m(t)=f(3)=-27
④3<tのとき、m(t)=f(t)=t^3-3t^2-9t

 4つに場合分けすればいいということだが、①と②の場合分けの難易度が高い、要注意だ。
 ここまでできたら、最大値M(t)の場合分けもやってみようそうすることで視点が広がり全体が見えてきます。こういう勉強の仕方を普段していれば、類似問題が出てきても、基礎基本が理解できているので、柔軟に対応できる。


<解答全体の写真>

DSCN4213s.jpg

 解説終了。


<余談:生徒が使っている問題集>
 塾用問題集『シリウス』シリーズ、教科書準拠問題集、『数1A&2B』、『青チャート』シリーズ、『1対1対応』『看護学校受験用数学問題集』など。高校生は、使う問題集は自分で選ぶのが原則。
 医学部受験の生徒は「やさしい理系数学」を使いだした。ちっともやさしくない。(笑) 『マスターオブ整数』と『マスターオブ場合の数』は生徒がこれから手を出すかもしれないので、あらかじめ購入した。地元の本屋さんリライアブルに注文して昨日来たばかり、ホカホカの3冊。
「先生、そこまではやらないよ、『マスターオブ…』は東大医学部受験生しかやらない」
 そう言っていた。手に取ってエレガントな解法を眺めてみたい。

DSCN4211s.jpg

 数学と英語の両方が得意科目になれば「鬼に金棒」ですよ。このURLをクリックして英語で遊んでみたください。

#3164 clothes 考:受ける代名詞はthem or it ?  Oct. 27, 2015





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#4290 数Ⅰの4次関数問題:看護学校受験用問題集 July 12, 2020 [52-2 生徒の質問]

<最終更新情報>7/19午前8:15

 先週の授業での看護専門学校受験予定の高校3年女子から質問のあった問題を紹介します。

(『アクセス 看護医療学校受験 オープンセサミシリーズ数学1・A』から)

-----------------------------------------------
<問題89> 次の関数について、-2≦x≦1のとき、その関数の最大値と最小値を求めよ。
 (1) f(x)=y=x^2+2x-1
 (2) g(x)=y=(x^2+2x-1)^2-2x^2-4x+3
-----------------------------------------------

  (1)は平方完成して頂点座標を求めたら、中心軸がx=-1であることがわかるから、最大値はf(1)=2、最小値はf(-1)=-2

 さて、次の(2)が4次関数だが、数Ⅰの範囲内での出題だから、題意は2次関数に置き換えて解けということだが、解き方は何でも構わない、数ⅠAの範囲を超えていてもいい。そういう広い視点から見ると、やり方は二つ。すなおに微分してしまった方が簡単だ。微分利用で解くなら数Ⅲの範囲の微分公式も簡単だから知っておいた方がいい。もう一つはパラメータ 't' を用いて2次関数に置き換えてしまう方法。解答はこちらでなされていた。パラメータで処理すること自体が数Ⅰの範囲を超えている。どちらで解くにしてもこの問題は天城越え、いや数Ⅰ越え。題意は、数Ⅰの範囲内のスキルで解けということなのだから、4次関数を二次関数に還元して、その後にどのような処理をすればいいのか考えよう。示された式はxの2次の項、1次の項、定数項に整理して並べられているから、これが強力なヒントである。落ち着いてどういう処理をすれば2次関数になるのか計算を始める前に全体を眺めたらいい。

 t=x^2+2x-1 とすると、h(t)=(t-1)^2 ...③ と整理できる。ここまでの式処理で躓く生徒がいるかもしれない。
 簡単なのでわたしは式変形の過程を端折ったが、付属の解答・解説では丁寧に書かれている。


 (1)のf(x)の定義域-2≦x≦1のとき、値域-2≦f(x)=t≦2。したがって、h(t)の定義域-2≦h(t)=t≦2となる。ここがパラメータを使うときの解法のコツだよ。そのtの範囲内でのh(t)の最大値と最小値は、緑色のh(t)のグラフから、t=-2のときとt=1のときである。これを③の式に代入して、

   h(t)の最大値⇒ h(-2)=(-2-1)^2=9...④
        h(t)の 最小値⇒ h(1)=(1-1)^2=0...⑤
 これらは同時にg(x)の最大値と最小値でもある。<図-2>を見てもらえばわかります。

 このときのf(x)のxの値はxとtの次の関係方程式を解くことで得られる。
  t=-2より、x^2+2x-1=-2...⑥

  t=1より、x^2+2x-1=1...⑦

 よって、⑥より、x=-1、⑦よりx=-1±√3、定義域はー2から1の間だから、-1-√3は不適。

 したがって、x=1のとき最大値9、x=-1+√3のとき最小値0

 パラメータはこちら側で任意に決めたものだから、答えは元のxやyの値に戻して書かなきゃいけない。

<図-1>
20200720Luna-image.jpg

 パラメータ 't' を使うと、看護学校志望の生徒は授業で習っていないからすぐにはピンとこないだろう。数Ⅲの微分の問題では当たり前に出てくる。
 紫色がf(x)のでグラフで定義域は -2≦x≦1 、最大値と最小値に青丸を付けた。緑色がh(t)のグラフで、x軸はt軸と読み替えてもらいたい。h(t)のグラフで定義域は -2≦t≦2 最大値と最小値に緑丸を付けた。h(t)の最小値(1,0)がf(x)では(√3-1,0)となるというところが、理解不能になる個所、でも簡単。
 二つをつなぐのはtとxの関係式 t=x^2+2x-1 であるパラメータ't'で得られた最大値と最小値は、この関係式を利用することで、f(x)の最大値のx座標と最小値のx座標に変換できる。この問題の場合にはh(t)が最大値9をとるときのtの値t=2と最小値0をとるときのt=1を代入してそれぞれの関係式(2次方程式)を解けば、x座標が計算できる。ただ、この二つのグラフでは関係を表示できないから視覚的な確認ができず、やっかいだ。⑥と⑦の式を再度眺めてくれたらその意味が分かるはず。
 パラメータを使って高次関数を2次関数に還元する問題は、大学入試では頻出するので、パラメータの定義域をチェックする作業手順に慣れる必要がある。
(なぜ理解がむずかしいのか考えてみた。助変数処理したことでf(x)からh(t)への対応となってしまうから、平面から平面への対応になる。つまり、対応が四次元の世界、複素関数の世界と同じ。イメージではとらえられないから、ロジカルに切り分けて思考するしかない。数学の全国偏差値70以下だとかなり無理がありそうです。(笑))

 微分を利用した別解のグラフはそのまんまだから理解が易しい。微分の計算はともかく、グラフの意味は中学生にだって理解できる。定義域が-2≦x≦1の範囲で最大値と最小値を確認するだけ。



 <別解:微分して解く>
 こちらの解き方は面倒なことは一切なしだ。
g’(x)=2(x^2+2x-1)(x^2+2x-1)'-4x-4=4(x+1)(x^2+2x-2)=0 ...①
  これを解くと x=-1, -1±√3...②
 -1-√3はxの定義域から外れているので不適。

 W型のグラフになるので、増減表を書くと、g(-1)で最大値、g(-1+√3)で最小値をとることがわかる。
 それぞれを計算して、
   x=1のとき最大値9、x=-1+√3のとき最小値0

 微分を使った方がこの問題は楽だ。一目瞭然、グラフとの対応がスッキリしてるでしょ。

 
<図-2>
image Luna.jpg
 *g(x)の定義域:-2≦x≦1 定義域を「● ● ● ●」で示した。この範囲では紺色のが最大値と最小値。
 **緑は関数h(t)のグラフ。定義域:
-2≦x≦2, x軸をt軸と読み替えてください。


 グラフを三つ重ねても、意味はないけれど、モノはついでだから貼っておきます。

<図-3>
image Luna-3.png


<余談:必要だった微分積分>

 この生徒は数Ⅱを履修したが、残念なことに授業では積み残しがあり、微分積分の章は手が付けられなかった。だから、数Ⅱを履修したにもかかわらず、便利な微分積分が使えない。授業の進捗管理のまずさはこういうところにも影響してしまう。
 むずかしくないから、数Ⅲの微分の公式を書いておくので、覚えて使ってみたらいい。本を読んで覚えたことや教えてもらったことは、すぐに使ってみるのが上達のコツ。「習うより慣れろ」って言うでしょ。習い事や仕事に共通に言えることです。そういうわたしもグラフソフトのGRAPESに慣れてきました、便利なツールです。フリーの教育ソフトですから、高校生のみなさんは使って勉強したほうが効率がいいと思います。根室の高校生にも年内にタブレット端末かPCが配布されるはずですから、GRAPESをインストールしましょう。数学の先生たち授業で使えますね。スマホでもやれますが、動きが悪いと生徒が言ってました。

(ああ、わたしはガラケイですよ、スマホは使ってません。インターネットの検索はパソコンでしてますから。スマホの入力方式も好みに合いません。脳の速度に出力が追い付かないからです。20代のころにドイツ語の文献資料を作る必要が生じて、スイス製の欧文タイプライターを手に入れて、タッチタイピングをマスターしたので、速度が大きいのです。40歳を過ぎたころ、個人用のワープロOASISを会社へもっていって、仕事してたら、若い女子社員に「はやい!」って褒められました。当時は指10本使って高速でタッチタイピングする40代は一人もいませんでした。会社でパソコンが配られたのは93年ころだったかな。仕事で一人1台の環境になったのはあんがい新しいことなのです。パソコンへ切り替えてからは、WORDとEXCELで仕事してます。80年代にはそんな便利なツールはありませんでした。
スマホ持ってないので不便なこともあります。英作文の問題と解説の配信は3年生のグループと1・2年生のグループに分けて、それぞれ一人へメールで送って、それをラインでグループメンバーへ配信してもらっています。昨夜も第85回の問題7題と前回の解答・解説を送信してます。)

  g(x)=(    ^n
  g'(x)= n
(     )^n-1 ×    )'

 
数学関数グラフ作成ソフト「GRAPES」




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#4289 2次不等式の問題:落穂拾い July 12, 2020 [52-2 生徒の質問]

 生徒の先週の質問から、2次不等式の問題をとりあげます。解答を見ても意味が分からないというので、GRAPESを使って、グラフの変化を見てもらうことにしました。男の生徒は、イメージで見たほうが理解が速いのです。

問題111: xについての2次不等式 x^2-2x-8<0...①、x^2+(a-3)-3a≧0...② を土王時に満たす整数がただ一つ存在するように、定数aの値の範囲を求めよ。

 ①から(x+2)(x-4)<0 より、-2<x<4が決まる。
 ②から(x+a)(x-3)≧0 より、この関数は(3,0)を通ることがわかる。aの位置が3よりも左側にあるのか右側にあるのかに分けて考えなければならない。右側にあれば、整数解は{-1, 0, 1, 2, 3}の5個になるので、不適。
 だから、左側の場合のみ考えればいい。左側にあって、一つも解を含まないのは①の整数解の左端を見たら、-a<-1、すなわち a>1であることがすぐにわかる。 

 解答には、場合分けをした後で、数直線図を使って範囲が解説されているが、これを見たピンとこないなら、グラフで②の関数を動かして見せたら納得できるはず。

<図-1>
image-Ito 20200712.jpg


<図-2>
image-Ito 20200712.jpg

 ①から、解の範囲は -2<x<4 
 ②から、解の範囲は 1<a (3<-aは解が5つになるので不適)
 図-1を見たら②のグラフの左側のx切片が-1より小さくなると、解が3のみとなることがわかる。
 図-2で、aの値を1.5から0.5刻みで-6まで変化させたグラフである。②のグラフは全部(3,0)を通っている。眼で見たほうがよくわかる。何度もこういう作業を繰り返しているうちに、頭の中でグラフをイメージできるようになり、そしてそれを動画イメージで動かせるようになる。高校数学までは脳内でイメージを動かせたら数学はできるようになる。しかし、高校を卒業して複素関数をやるようになったら話は別。複素平面から複素平面への対応はイメージできない、4次元だから。(笑)
 複素関数や数理論理学は高校数学と微かにつながりながらもまるで異分野の世界だ。経済学とは何かを問いだしたら、体系叙述の問題に行きあたる。数理論理学の分野、演繹モデルと公理の関係を研究しないと迫れない。

 図-2をパソコンのディスプレイで見ながら解説を聞いた生徒はようやく合点がいった様子だった。
「なるほど、そういうことですか、わかりました、ありがとうございます」

 生徒の笑顔がうれしい。


 看護専門学校志望の生徒から、4次関数の問題の質問があったので、次回はそれを紹介したい。『アクセス 看護医療学校受験 オープンセサミシリーズ数学1・A』から「問題89」。


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#4004 for example の位置と文意について:センスのよい生徒の質問 May 25, 2019 [52-2 生徒の質問]

 昨日の英語の授業で、高3の教科書を読んでいる生徒から面白い質問があったので段落を丸ごと紹介する。

 There are several reasons for the problems. One is pollution.  Human, animal, and industrial waste flows into rivers and makes water unfit for use.  Another is climate change.  Global warming, for example, is thought to have bad influences on water sources and precipitation.
 『VividⅢ』p.115

   生徒の質問は太字の for example の位置がどうしてここなのか、普通は文頭にくるのではというもの。どうやら文頭に来ても意味が変わらぬという前提で質問しているようだ。次のページに for example が文頭に来ている文が載っている、中学校の教科書でも文の途中でこの句がでてきたことはない。見たことのない位置だから、違和感が生じたところは、アンテナの性能をほめるべき。

 A lot fo water is necessary to grow food.  It is reported that about 70% of the fresh water is used to agriculture.  For example, it takes about 1000 tons of water to produce 1 ton of grain.
  p.116

 新鮮な水(きれいな淡水)の70%が農業に使われており、たとえば、穀物1トン生産するのに必要な水が1000トンかかるだなんて知ってた?興味のあるテーマなら英文を読むのが愉しいでしょう。

 さて、副詞句なら、文末から文頭へ移動したら強調だと思えばいいのだが、例示を示す「for example」の場合はどうだろうか。どう理解したのか、まず anotherを含んだ文から訳出してもらった。
 「他のものは気候変動である」
 「いいね、anotherは何を受けてるの?」
 「several reasons for the problemsです
 「読めてるね、ではこういうことになるね」
 Another (reasons for the problem) is climate change.
 だから「困った問題のもう一つの原因は気候変動である」と訳したほうがいい。
 「いよいよ本題だ、文頭にもってきた場合と文の途中に入れた場合で文意が違ってくるのだが、気がついた?」
 「同じだと思います」
 「英文を読むということは、書き手が頭の中にどういうイメージを創り出しそれを伝えるために語彙を選び、語句の配置に配慮して文章にしているから、書き手が頭の中に描いたイメージを再現することなんだ。それを適切な日本語語彙を選んで、滑らかな日本語にするというのが訳出するという作業、このことはいままで何度も説明して来たね、わかっていることと、実際にやることには距離がある、この文は少しむずかしいようだ。解説したほうがいいね。」

 論理的に読めていない部分があったということ。日本語の文章でも同じことだから、この生徒は日本語の文でも同じようなレベルの本を読んだ時に、ロジカルな部分で読み間違いが生ずるはず。英文を読むことで、足りなかった部分が補えたらいい。
 文章読解力は適切なトレーニングによって磨かれるものだから、中高の国語の先生が授業でこういう読解トレーニングをしてほしい。

 文頭にあった場合は、「気候変動」の一つとして「地球温暖化」があるということ。気候変動には寒冷化もあるし、極端な場合は氷河期なんてものもある。「寒冷⇒温暖化」「温暖⇒寒冷化」への変わり目のときもある。そういう気候変動の中から、具体例として「地球温暖化」をピックアップしたことになる。
 文中にある場合は、地球温暖化はさまざまな悪影響があるが、その中から「水源と降水量への悪影響」を具体的にとりあげたということ。他にも海表面の上昇による陸地面積の減少やアラスカの永久凍土が溶け出すことで、住宅が地面に沈み込んで被害を大きくしていることや、シベリアの森林地帯の永久凍土が溶け出し、陥没して水たまりができたと思ったら、数年後には大きな沼地と化していること、ヨーロッパアルプスの山々のスキー場が、高度の低い地域に降雪量が減少して、スキー場の廃業が相次いでいること、氷河のラインがどんどん山頂へ向かって後退していることなどが、書き手の頭の中に浮かんでいると解釈すべきだろう。

 つまり、 for example の位置が違えば、書き手が伝えようとしているもの、文意が違ってくるということ。

 それぞれの要素を集合パターンで示せばもっとわかりがよくなる。
●困った問題={one=水質汚染、another=気候変動、…}
       ...他にもあるから、anotherなのです。それら全部をまとめて言うなら、 the others を使います。
●気候変動={地球温暖化、寒冷化、通常の周期的なもの…}
●地球温暖化={水源や降水量への悪影響、海表面の水位上昇、グリーンランドの陸氷の溶解、南極大陸の棚氷の流出、北極でうまれる冷たい深海水の流れの減速による海洋生態系への影響、…}

     
 問題は、書き手が何を伝えたかったかである。そこをきちんと理解してから、自分の判断を加えるべきで、自分の意見を交えて文意を理解してはならない、この場合のように誤読の罠に落ちることがある。

 この生徒の英語の学力は学年トップクラス、なかなかいい質問だった、アンテナの感度のよさを大いにほめるべきだね。お陰で授業が楽しい。ありがとう。(笑)


<余談:読解力の育成>
 この生徒は、日本語音読トレーニング授業を6年間続けて15冊読破している。最近はもう手を離れて、難易度の高い日本語テクストを独力で読めるようになった。それでも、この英文が読み切れなかったということは、わたしの日本語音読指導には工夫の余地があるということだ。読む技を伝授しているつもりでも、そうはなっていなかったことを思い知る、良質の日本語テクストを選んで読解スキルを磨くというのはなかなかむずかしいものだ。生徒に文学作品への興味がない場合はなおさらだ。
 中3の生徒が卒業してからもう2か月日本語音読指導をやっていない。一人しか希望がいないので、複数の希望者があればと思っている。月に2回、第1と第3水曜日、7時半から1時間半の授業。(これはボランティアであるから、授業料なタダ、弊塾に通う生徒でなくても希望があれば面接して認めることがある。希望者は電話してくれたら会いますよ。毎回ちゃんと出席することが条件です。)

 日本語テクストを精確に読む技がなければ、英文も読めるわけはないのである。
 大学入試英語がどんなに変わっても、難関大学の英語入試問題は、読解力の高さがモノを言うことになる。どの学問分野も、先端の論文や著作は英語で書かれたものが圧倒的に多いから、研究者であろうと仕事人であろうと先端分野にかかわる者は英語の文献を読まざるを得ない。

 この生徒が高校3年の教科書をあと1か月余で読み終われば、ハラリの『Sapiens』の原著を読む予定にしている。500頁弱あるから、高3の教科書20年分ほどの分量だ。百ページ精読したらあとは速度アップトレーニングとなる。1年半あるから、いや1年半しかないから、受験前に全部読み終われるかな。(笑)

 人生には思いがけない山が突然に現れ、そこを登り切らないことには前に進めぬことがある。成長するということはいつまでも子どもではいられぬということ。誰もが通る道。なぞなぞだね。

  

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#3896 「50!はゼロがいくつつくのか?」 Jan. 8, 2018 [52-2 生徒の質問]

<最終更新情報>
1/10朝 問題を3個追加 100!、150!、200!の3個です。そして「拡張(個別)」と「一般化(=抽象化)」

 標記の数1の問題について生徒から質問があった。受験間際の看護学校志望の生徒であるが、解答を見てもよくわからなかったという。解答を見たが5の倍数が2の倍数よりも多いこと、5の倍数は10個、「50÷5^2=2」で合計12個という風な簡便な説明があっただけ。なるほどこれではわかる生徒はほとんどいないだろうと思った。実際の解説に脚色しつつ説明してみたい。
 10×10=100
 10×10×10=1000
 10^n=1のあとに0がn個並ぶ

 ここまではだれでもわかっている。
 次は50!である。
 50!=1×2×3×4×…×49×50

 これも数学が赤点でない限り知っている、この生徒は数学の点数が上位だからもちろん知っている。もう一つ数字を並べてみよう。50!には次の数字が含まれている。
① 10×20×30×40×50=1×2×3×4×5×10^5
 となるから、ゼロが5個つくのは自明だ。

ここからがちょっとジャンプしなければならない箇所だ。2の倍数と5の倍数を因数に含む数字も10の倍数となる。
②2×5=10
 4×15=60
 6×25=150
 8×35=280
 12×45=540
 これらを全部かけたらゼロは5個。

 他にはないだろうか?一度使った数字は使えないという制約がある。5の倍数で使ったものをチェックしてみる。
 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50
  全部使いきっている。他に5を約数に含む数はない。

 答えは12個だったはず、何を落としているだろう?

 念のために、1~50までの数字を並べてみる。
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13 , 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20 ,21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50

  10の倍数を青色、10の倍数以外の5の倍数を緑色、②で使った偶数を赤色で表字してみよう。

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10,
11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20
21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30 
31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40
41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50


 これら太字&青・緑・赤で表示した数字以外で、積が10の倍数になる数があるだろうか、なさそうだね。
  いやあった、25は5^2だから二つに分解できる。50も2×5^2と変形できるから要注意だ。25と50に●をつけてみる。
2×5=10
 4×15=60
 ●6×5=150
 ●8×5=40

 12×35=420
 14×45=630
 ●16×5=80
 ●(5×2)=10


 色のついていない数字を掛け合わせても末尾が0になる組み合わせは一つもないから、50!を計算したら連続してならぶゼロは「10+4-2=12個」ということ。問題集の解答はあっていた。


  手持ちの科学技術計算用計算機HP-35sには階乗のファンクション・キーがあるので計算してみます。
 50!=3.0141409320×10^64
 65桁の数字、ずいぶん大きいな、65桁の末尾12桁がゼロということ。この計算機の計算精度は12桁である。桁が12桁を超えると科学表記モードに切り替わり、整数部が1ケタ小数部が11桁、指数部3桁の表示形式になる。指数部が(10^)999を超えるとオーバーフローを起こしエラー表示となる。科学標記モードは化学の計算に便利である。整数部が一桁、あとは指定された桁数での小数部の表示と10の累乗で計算結果を返してくれる。工学表記では指数部が3桁単位で切り替わるから、(g, kg, t)(mm, m, km)(ml, l, kl)などの計算に便利。たった1万円で買える、数学の好きな高校生は正月の小遣いで買ったらいかが?いい道具をもつことは学習効率とスキルを上げることにつながる。

 さて、整理しておこう。
 5!は1~50までの連続数の積だから、ゼロが何個つくのかという問題は、①10の倍数と②10の倍数ではない5の倍数と偶数のセットで10の倍数になるものを抜き出せばいいという風に置き換えられる。注意しなければならないのは25(5^2)と50(2×5^2)の二つの数字の処理である。
 ②と③は偶数の小さい方から順にピックアップしていったが、昇順ではなくて降順(大きい方からとる、たとえば、48,46,44、…)でもいいし、14からとってもいい。ランダムに抜くのはやめたほうがいいことはわかるね。整理整頓がだいじなことは社会人になったらうるさいほど言われる。「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾 の頭の文字をとったもの)」という奴だ、いまから慣れておこう。(笑)

 遊んでみましょう。数学の好きな生徒ならここからさらに一歩踏み込むはず。みなさんもお付き合いください。
 「100!にはゼロが何個つくでしょう?」
 「150!にはゼロが何個つくでしょう?」
 「200!にはゼロが何個つくでしょう?」

 これが「拡張」です。そしてそれらを高いところから眺めることで、「一般化」できます。さあ、チャレンジしてください。こういう操作を繰り返すことが思考力を育てます。「個別具体⇒一般化&抽象化」という思考様式、機能的推論を育てるのです。授業を通じて「思考様式」をそして「勉強=遊び」であることを伝えたい。
 
 個別指導だから同じ授業時間帯(クラス)には中2や中3そして高1もいる。同じ学年でも自分の課題に合わせて使う問題集を自分で選ぶから、質問が出るのは看護学校を受験する生徒だけではない。次々に質問を裁かなければならないことがある。センター試験目前の高3の生徒からは河合塾の講習でやった問題の質問が二つあった。いままでやった問題集の総復習をしているのだろう。2次関数に関する問題だが、大問に問1、問2、問3とあるとすると問3の問題。最初から見て条件を抜き出していかないといけないので、問3は解説に時間がかかります。(笑) xの定義域が「a<x<a+3」となっていたのと、二次関数の式に定数としてaとkが含まれてました。問題文を全部覚えていたらいいのですが…細部は忘れました。
 もう一つは、質問のあった問題文を読みながら条件を抜き出して黒板に書いて行ったら、生徒が「その条件見落としていました、やってみます」、そして5分もしないうちに「できました!」。余計な解説は邪魔なだけ、成績上位層の生徒への解説は必要最小限でいい。もっとも、同じクラスで5-7人の同時個別指導では学力の高い生徒に余計な解説をしている暇はありません。生徒が「わかった!できそう!」というところでやめることになる、あとは独力でやったらいい。学力の低い生徒にはわかりやすく丁寧な解説が必要です。だから、学力の高い生徒の数倍手間をかけます、ここで手を抜いてはいけません、それが仕事ですから。

<勉強しよう!>
 よく生徒に言いますが、塾長も一緒。複素数の世界の全貌が知りたくて、リビングに机を一つ増やしてL字形に配置しました。一つはパソコンが置いてあります、もうひとつの机の上には複素解析の本が開いておいてあります。暇を見つけてちょこちょこやれます。そういうわけで1月3日から複素解析を勉強中、定理と例題をもれなくトレースしてます。ノートと鉛筆でせっせとやらないと数学はわかりません。このあたりは生徒の皆さんと一緒です。ブログの更新は3か月間ほど頻度が落ちるでしょう、いやすでに落ちてますね、悪しからず。
 オイラーの公式「e^iΘ=cosΘ+isinΘ」、どうしてこんな等式を考えついたのかわかりませんね。Θをπに置き換えると、「e^iπ=1」これを変形すると「e^iπ-1=0」、自然対数の底(ネイピア数)であるeと円周率のπと数字の基本の1とゼロがみごとに一つの等式に組み込まれています。こんなに美しい等式は他にはありません。
 そしてオイラーの公式は、実関数では単調増加関数にすぎない指数関数が、複素関数上では周期関数である三角関数に置き換えできるということを意味しています。つまり、実関数では単調増加関数であったはずの指数関数が複素関数では周期関数に化けてしまう、違う世界に迷い込んだ感じがします、眩暈(めまい)が…
 実関数でそれぞれマクローリン展開してcosΘとsinΘを無限級数に置きなおすと、シンプルに証明できます。いま不思議な世界をのぞいていますが、科学技術計算用のHP-35sがとっても役に立ってます。HP社のこの手の計算機は1978年から4台使用していますが、このためだったようです。(笑)
<本を読もう!>
 試験勉強だけではいけませんよ((笑))、たくさん本を読んだらいい。受験に忙しいから本を読む時間がないなんて言い訳しないようにしましょう。男子は自分の好奇心の応ずるままに読み漁る傾向があり、女子は誰かが読んでいるから読むという傾向があるそうですが、わたしは小学4年生の時から北海道新聞のコラム卓上四季と社説を辞書を引きながら読み始めました。母親がススメてくれました、ありがたいことでした。3か月もしたら使われる語彙に慣れますから辞書を引かずとも読めるようになります、それが語彙力や読解力の成長というものでしょう。毎日読むから、政治や経済に興味が湧いたのは自然なことでした。読解力や語彙力の成長は胃袋が大きくなるようなものです。インプットの質と量の向上を要求します。中学校ではSF小説を読み漁り、高校では公認会計士二次試験講座の簿記論・会計学・原価計算論・商法・監査論・経済学・経営学7科目の受験参考書を読みました。パールバックの『大地』も中3の時に読みました。根室高校商業科は定員の2倍でしたが受験勉強の必要はありませんでしたから、気の向くままに本が読めました。読むことが習慣になっていたといった方が正確かもしれません。読むもののレベルを上げていくのが心地よかった。高校2年生の時に原価計算論と経済学にとくに強い興味が生まれ、近代経済学から始めてマルクス『資本論』やヘーゲル哲学まで手を広げました。最初のうちは2~3割分かれば十分、高校生でも読み進むうちに専門用語に慣れ、理解が進むので半分以上はわかるようになってきます。だから、思いっきり背伸びしたらいいのです。そうすると、あら不思議、ほんとうにニョキニョキと背が伸びてきます。語彙拡張や精神の成長には「旬」があります、思春期に濫読しておきましょう。(笑)
 小学生、中学生、高校生の時期に背伸びして大量の本を読むことは、ときにその人の人生を大きく変える力をもちます。昨年読んだ本を紹介します、『できる子に育つ 魔法の読み聞かせ』(シム・トレリース著 鈴木徹訳)、ぜひお読みください。

*5S活動
http://www.kconsulting.jp/leteer/100801_what_is5s.html
 釧路の明光義塾は市内に3教室あるが、5Sが徹底している。とくに清掃だ。塾の周りも教室内も見事なものです。経営者とそれぞれの教室長が一生懸命です。
 ニムオロ塾は乱雑、本がどこに入れてあるのかわからなくなることあり。経済学、会計学、システム開発、構造言語学、医学など様々な分野の専門書を中心に4000冊あると行方不明がときどきあります。そんなわたしでも家の前の雪かきだけはせっせとしてます、これだけは自慢。(笑)

<HP35s> いい計算機を使おう!
*HP社の科学技術用計算機は元々マイクロ波計測器の機器制御やデータ加工用に開発されたもの。それをハンドヘルドにしたのが科学技術計算用の計算機だから、キーや仕組みにその名残がある。電卓に関数機能を付加した日本の「関数電卓」とはまったく設計思想が異なるということ。HP社の科学技術計算用計算機は理化学機器の制御やデータ処理用に開発された小型コンピュータをハンドヘルドに凝縮したもの。1970年代後半の製品には汎用インターフェイスバスがあった。パソコンにエンター・キーがあるようにHP社の計算機には大きめのエンターキーがついている。スタックが4段あるのは科学技術計算に使われる大型コンピュータの機能そのもの。RPNモードはスタックを駆使してなされるのでなれたらとっても使い勝手がよい。四段あるスタックx、y、z、tにそれぞれどの数字が入っているのかすぐにわかるようになる。xレジスターとyレジスターへデータを入力(エンターキーを押す)して二つのレジスター間でそのあとに押される演算子キーに応じた計算が行われる。四則演算子のほかに数十個の関数演算子がある。
 買うなら日本語マニュアルのついているものがおススメ。わたしの購入したものには英文マニュアルと日本語マニュアルの本が付属していました。11000円ほどです。アマゾンで8000円台のものがありますが、本になったマニュアルがついていません。PDF版で画面で見るのは使い勝手が悪いでしょう。こういう使い勝手にかかわるところはお金をケチらない、たった3000円の差ですから。
 それから、HP-35sはRPNモードとALGモード(代数記法:お馴染みの代数式がそのまま使えます)の二つあります。わたしは40年間RPNモードに慣れ親しんできたのでそちらの方がいいですが、慣れていない人はALGモードに切り替えて使えばいい。
 いい道具は学習作業効率を上げると同時にスキルアップを促します。(笑)

*RPN:Reverse Polish Notation
https://kotobank.jp/word/逆ポーランド記法-2692

<HP-35s使い方解説サイト>
https://www.bing.com/videos/search?q=hp-35s&view=detail&mid=226EC40DF498FCCA0F96226EC40DF498FCCA0F96&FORM=VIRE


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① 昨年9月に出たばかりの本です。釧路のイオンに熊沢書店がありますが、数冊しかない数学専門書コーナーにありました。奇跡ですね。
 この本の90頁の「w平面」の図が間違っています。2π/9と8π/9の位置が違います。それぞれ40度と160度ですから右側のほうが高い位置になければいけませんが逆になっています。

高校生からわかる複素解析

高校生からわかる複素解析

  • 作者: 涌井 良幸
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 単行本

② こちらは一昨年11月に出た本です。例題と解説が多いので助かります。①の本とは章立てがまったく異なります。こういう性格の異なる本が初学者にはありがたい。指数関数の実関数でのグラフとZ平面そしてw平面での動きはこの本の解説のほうが優れています。だれにでも理解できるように書いてあります。オイラーの公式の説明のところで触れています。170-172頁をご覧ください。
道具としての複素関数

道具としての複素関数

  • 作者: 涌井 貞美
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2017/11/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

③ こちらは参考程度にながめてます。
なっとくする複素関数 (なっとくシリーズ)

なっとくする複素関数 (なっとくシリーズ)

  • 作者: 小野寺 嘉孝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

できる子に育つ 魔法の読みきかせ (単行本)

できる子に育つ 魔法の読みきかせ (単行本)

  • 作者: ジム トレリース
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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