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#5265 梅毒新規感染者激増:男10倍、女23倍 July 30, 2024 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 NHKの朝のラジオを聴いていたら、愛知医科大学の三鴨廣繁 主任教授が梅毒の新規感染者数が10年前に比べて男が10倍、女が23倍になったと警告を発していました。こんなに激増しているのでは、梅毒罹患リスクを小さくするような行動をとるべきですね。

 原因を二つ挙げていました。
①マッチングアプリの影響
②施設型ではない性風俗産業(例えばデリヘル、立ちんぼ)の拡大

 性風俗産業には無縁の一般人にも梅毒感染者は広がっており(感染者の6割)、誰もが罹患する可能性があります。症状が出ない人もいますのでとても厄介です。妊娠したときに検査して感染が明らかになるケースがあります。本人は無症状でそれまで罹患していたことに気づいていません。子どもが先天性梅毒症で治療が必要になります。梅毒トレポネーマは胎盤をすり抜けて胎児に感染してしまうのです。

 夏休みに入っているので、中高生や専門学校生、大学生は梅毒について知識を仕入れておきましょう。セックスと性感染症(STD)は両刃の剣ですからね、本能の充足とその結果としても性感染症のリスク。心身の健全性を確保するためにもセックスは不可欠です。
 そういうわけで、梅毒の予防や治療には予習が大切です。どんな病気か学んでおきましょう。

 簡単に言うと、よく知らない人とのセックスは梅毒感染のリスクが大きいということです。性感染症予防という観点からは、信頼できるパートナーとの継続的なセックスが望ましいのです。ワンナイトセックスはリスクが大です。
 予防のためにコンドームを使用するのはもちろんですが、梅毒は感染しやすい病気なので、オーラルセックスやキスでも感染します。バラ疹や潰瘍が皮膚に出るのは数週間のことで、じきに消えます。消えても感染はします。症状が消えてしまうと、感染者は感染していないと思いますから、知らずにワンナイトであちこちへ感染者を増やします。名前も知らない相手には、感染がわかっても、知らせようもないケースがありうるでしょう。

 ところで、女性の新規感染者分布には年齢的な特徴があり、20代に大きな山があります。国立感染症研究所のデータ「性別・年齢別分布」をご覧ください。女子の20代は性欲が旺盛で不特定多数と性的な接触をしている人が多いということのようですから、この年齢階層は感染リスクが高いのでしょう。

 セックスは人間の本能ですから、年頃になるとしたくなるのはあたりまえです。性欲旺盛な20歳代はパートナーが必要ですが、相手を「厳選」しておかないと、梅毒感染者数が男が10倍、女が23倍にもなっているのですから、感染リスクをいたずらに上げることになります。
 男の方は特定の年齢層に山はありません、「高原状態」です。十代後半から70代までまんべんなく新規感染者が見られます。パパ活もリスクが高いようです。お金は手にすればするほどもっと欲しくなる魔力がありますから、収入増やすためには複数のパパを確保することになります。人間の欲望には際限がありません。だから自制が必要なのです。ブレーキです。ブレーキのない車なんて危なくて誰も乗らないでしょ、ブレーキをもちましょう。
  肝心なことは、独身なら数人いるパートナーを大切にする心、そして執着を持たないこと。別れるべき時が来たらきれい別れること。

 それでも人間はしばしば、理性では理解できない不可解な行動をとるものです。危ないと思ったら、すぐに検査して、TP検査陽性なら、完全に治るまで薬を服用してください。治る病気です。

 梅毒の新規感染者数は平成25年(2013年)あたりから増え始めています。平成13年から平成24年までは1000人以下でした。昨年は13000人を超えています。今年もそれに近い数字になりそうです。
 いまや、結婚する人の40%ほどがマッチングアプリを利用して相手を見つけていますから、マッチングアプリはこれからも増え続けるのでしょう。結婚前からマッチングアプリを使い慣れて、セックスの相手を見つけるくらいですから、結婚してからもそれが続く人も少なからずいるのでしょう。
 性欲は本能ですから、制御はまことに難しい。とくに若いうちは無理です。しかし、安全なパートナーが数人いればリスクはずいぶん低減できるでしょう。やたら数を増やさぬことです、ほどほどでよしとしましょう。

 今後数年間は感染者が多い状況が続きそうです。これを徐々に減らせるか、それとも数倍にはね上げるかは、日本人一人一人がどれだけ安全に考慮したセックスライフをおくるかにかっているようです。
 これを読んでいるみなさんが、梅毒に罹らないことを祈ります。

 平成13年から令和4年まで22年間の全国の新規感染者推移グラフ
梅毒新規患者推移s.jpg

 これは医師から報告があった数をカウントしたものですから、実際の新規感染者数は数倍いますよ。AIDsのとき(1988~91年頃)は政府発表数の5倍以上のHIV要請数が最大手の臨床検査センターであるSRL1社だけで出ていました。スクリーニング検査で陽性になると、全数ウェスタンブロット法で確認した結果の数値です。医師からの報告数は実態からかなり離れていると思った方が好いのでしょう。10倍はいると思います。

 こちらも読んでいただけたら幸いです。
*#5180 トリプル性病感染患者も!:梅毒を知ろう Mar. 6, 2024

**#4802 性の仕組みをちゃんと知っておこう:NHKラジオ番組の紹介 Aug. 11, 2022



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#5180 トリプル性病感染患者も!:梅毒を知ろう Mar. 6, 2024 [35. 感染症および自己免疫疾患]

  高校を卒業して四月から一人暮らしをする、そんな季節になりました。STD(性感染症)について、不用意に感染しないように、具体的な知識を持っておきましょう。セックスは誰もが経験します、知識がなければ、知らずにリスクの高い行動をしてしまうことがあります。夏休みの頃に梅毒感染したことがわかるなんてショックな思いは誰だってしたくないでしょうから、どういう経路で感染し、どのような症状が現れ、治療はどうしたらいいのか、お金はどれくらいかかるのかなど、事前に学習しておきましょう。

  SNSでのマッチングアプリを利用した出会い、パパ活などで梅毒が急激に増えています。令和4年の新規患者発生数は12,966人です。平成24年(2012年)までは1000人以下です。

 どういう経路で感染し、どんな症状が出るのか、どうすれば治せるのか、完全治癒の判定はどうやってするのか、治療費はいくらくらいかかるのかなど、引用する記事には具体的なことが書かれています。

トリプル性病感染者も!「令和に激増する梅毒とトー横の関係」最前線で戦う医師の警告
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梅毒はとても伝染(うつ)りやすい病気なんです。粘膜感染しますから、たとえば口の中に小さくても傷があると、オーラルセックスはもちろん、キスでも感染する場合があります。性行為にまつわるあらゆることで、感染する可能性があります
梅毒に感染すると約3週間で第1期症状として口の中や局部に潰瘍などができます。この段階で病院に行けば、2~4週間ほど薬を飲むだけで治ります。感染した後、放っておいても症状は消えます。ここで治ったと勘違いしてしまう人が多い。実は第2期症状へ移行しているだけで、この時期に性行為をすると相手が感染します
男性側が治ったと思って性交し、女性に感染する。女性が治ったと判断して性交すると今度は男性に感染……と、まるで卓球でラリーを続けているような状態になることから”ピンポン感染”といわれる状態になることがあります。淋病やクラミジアは、女性の症状が軽くて気づきづらい。健康体だと勘違いしやすいので感染が広がっていきます」(中村医師)
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「梅毒は死に至る可能性を持った危険な病気です。自己判断で治療を中止したりすると周囲に広がる。治療はほぼ投薬のみですみますし、症状があれば保険もきく。数千円ですむ場合が多いです。異変を感じたらすぐ専門医にかかり、検査して、罹患していたらしっかり治療すること。人に伝染しない状態になるまでは、抗体量の経過観察が必要ですので病院に通い続けることが大事。パートナーがいらっしゃる方は、両方が陰性となるまで治療することが大事です」
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大陰唇への接触でも感染しますので、コンドームをつけても100%防げるわけではありません。口や性器に潰瘍がある人は梅毒の可能性を考慮して、性行為は避けるべきでしょう。男性の場合は、セックスした後に性器をよく洗っておしっこを出す、というのが対策にはなりますが、そこまでの効果は期待できない。相手のことをよく知る、ということが大事。雰囲気や見た目に流されてはいけません。信頼できる決まったパートナーと性交渉を持つ、というのが一番の防御策です」(中村医師)
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 梅毒は、簡単に感染するので、不幸にして感染したら、すぐに病院へ行って治療しましょう。抗体量を検査して完治したことを確認してください。途中で治療をやめてはいけません。

<TP抗体検査>
 梅毒トレポネーマに一度でも感染すれば、TP抗体検査は陽性になります。感染後数週間たたないとTP抗体検査は陽性になりません。
 治療を始めてから、治療の効果を判定するのにTP抗体検査で抗体量を測定します。感染の恐れがなくなるほど抗体量が減少すれば、治療が終わります。
 他に、TP抗原検査があります。これは細菌であるトレポネーマそのものを検出する検査です。

<余談:新規感染者推計>
 梅毒新規感染者数の推移グラフを貼り付けます。
梅毒新規患者推移s.jpg

 2012年に新規感染者は875人、2022年に12966人です。増加率を計算すると30.94%になります。これで、2023年を計算すると16,977人、2024年は22,231人です。次の指数関数式で年平均増加率を計算しました。

 y=(1+a)^x
 (1+a)^10=12966/875
  a=0.3094

  平成20年(2012年)までの13年間の新規感染者数の平均値は700人弱ですから、今年はその30倍強の梅毒新規感染者がでる恐れがあります
 指数関数的な変化がいつまでも続くわけはないので、昨年(2023年)の新規感染者数データを検索してみました。2024年1月5日現在の届け出データがありました。四半期ごとの数字を足し合わせたら14906人ですから、10年間のデータからの指数関数式による推計値は2071人実際より多かったということ。2024年は16000人くらいかもしれませんね。この推計値だと22.8倍になります。

 厚生労働省はもっと警鐘を鳴らすべきですね。中・高校生には保健体育の授業で梅毒感染について正確な知識を与えるべきではないでしょうか。文科省も感染が拡大しないように具体的な措置を講じてもらいたい。
 

<余談-2:産経新聞>3/7追記
 3/7の産経新聞記事が梅毒とクラミジア感染症を採り上げています。今年は新規患者発生数が、平年の20~30倍になっている可能性がありますので、性感染症について正しい知識を持ちましょう。

20代女性に急増する梅毒・クラミジア 放置しないで!勇気を持ち未来を守るアクションを 知る/決める 私のカラダ④

https://img-s-msn-com.akamaized.net/tenant/amp/entityid/BB1lj2Ig.img?w=644&h=517&m=6



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#4245 Zoomで対処可能!:新型コロナによる休塾時の対応 May, 9, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 根室でCOVID-19感染者が出て、中高が休校になれば、1か月間塾を休むつもりでいた。次々に中高生で感染者が出たら、それが2か月、3か月連続という事態もありうることは塾生たちに伝えてある。
 高3の受験生が6人いるからなにか対策が必要だと考えていた。英作文授業はすでに2コース、1/14からライン配信をしている。

 FB友の化学物理学の教授からZoomでのセミナー参加にご招待いただいたので、昨夜Zoomについて調べてみた。
 概要を調べてみたが導入に特に問題はなさそうだ。ソフトをインストールすればいいだけ。パソコンにカメラもついているからとりあえずなんとかなりそうだ。
 生徒たちのネット環境を確認しておく必要がある。オンライン授業で使えるパソコンとタブレット端末の有無を調べておこうと思う。やれるところからやればいい。
 実際に導入してみた人のブログが参考になる。個人でやるには導入作業はとってもたいへんそうだが、やっているうちにすぐにスキルは必要十分なレベルに上がるもの。
*「zoomを活用するためのチェックリスト
http://office-aosaka.com/2020/05/06/【ict活用】zoomを活用するためのチェックリスト/?unapproved=207&moderation-hash=d3a8e785edaa8e8d10ef4a620d03f7f2#comment-207

 個別指導がオンラインで同時に何人相手にできるかはやってみなければわからないが、臨機応変に対応すればいいだけ、やればわかる。(笑)
 便利な世の中になった。

<ラインで配信でやっている英作文トレーニング>
1/14から、大西泰斗先生のNHKラジオ英会話の英文をベースに英作文問題・解説をつくって、ライン配信して高校生たちに週4日計最低20題やらせている。毎回5-10題の問題量である。先週56日目が終わった。そしていま100日目の500題目(多分、600題以上)を作り終わった。3か月弱のストックができた。


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#4241 COVID-19検査拡大へ方針転換:保険点数は500点でいい May 5, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 東京都医師会センターが都内で40か所以上のPCR検査センターを立ち上げ、大手民間検査センター3社と契約済み。京都大学等からも保健所の縛りをなくしてPCR検査ができるようすべきと要望を突き付けられていた。国民からの批判が大きいので、専門家会議はPCR検査についての方針転換を表明せざるを得なくなった。人口10万人当たりでの数字を見たら一目瞭然。

(写真:読売新聞)

* https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%ef%bd%90%ef%bd%83%ef%bd%92検査数「他国より明らかに少ない」…政府の専門家会議、センター増設求める/ar-BB13zRTy?ocid=spartandhp#image=1

 保険点数の公表は3/5である。同日付で最大手臨床検査センターSRLは同日付で処理能力が1100テスト/dayであることを公表している。47都道府県の衛生研究所全部を合わせた実際の処理件数が3000-6000テスト程度である。
*道立衛生研究所
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/profile/about.html

 公表されたCOVID-19PCR検査の保険点数は1350点だから13500円、臨床検査名称はSARS-CoV-2PCR検査となったようだ。これは臨床検査学会が名称を管理し、SRLが事務局をしている日本標準臨床検査項目コードに付された正式名称なのだろう。すぐにネット配信されただろうから、全国の病院やクリニックのシステムはこのコードで動いている。準備は2か月も前に整っている。必要なプライマーの自家製造も2月初旬に体制を整えている。

<1350点の保険点数は異例、500点に切り下げるべき>
 ところで1350点というのは異例に高い点数になっている。衛生研究所の原価ベースに厚生労働省が設定したのだろう。従来の保険点数の価格帯からは500点くらいが「相場」である。大手民間検査センター3社はこの点数で十分に採算がとれる。老人を除き患者負担は3割だから1500円で検査できることになる。
 13500円のものがなぜ大手民間検査センターならどうして4割になるのかは簡単な話だ。1日当たり10テストと100テスト、1000テストではコストがまるで違う
 実際にそういうシミュレーションをして、新規導入項目の受託価格を決めていたことがある。研究部や特殊検査部の検査担当者がそれぞれ計算して、それをオーソライズするようないい加減な体制だった。研究部や特殊検査部の課長さんたちの相談に乗っていたことがある。会社の利益に大きな影響があるので、原価計算システムや予算システムと連動させた、新規導入項目や既存項目の販売価格決めのために利益シミュレーションシステムを1988年ころに構想していた。そんなシステムをもっている会社はいまでもないだろう。
 変動費は検査試薬代のみ。固定費はPCR検査機器の減価償却費そして人件費である。テスト数の桁が上がるにつれて、固定費負担は急減する。生産性が悪く、国内基準での精度管理体制である衛生研究所の検査コストは高くついて当然である。道立衛生研究所の感染症部のウィルス・グループは数人だろう。だから、検査数増大には耐えられない。実務上検査を制限せざるを得ないのである。各地の保健所とのやり取りが目に見えるようだ。まことに気の毒である。

<大手臨床検査センターの規模はケタ違い>
 大手臨床検査センターのSRLを例に挙げると、八王子ラボには800人前後の臨床検査技師がいるのではないか。1994年ころに調剤薬局事業をスタートさせるために調べたら70人を超える薬剤師がいた。PCR検査の導入は1988年ころにさかのぼる。製薬メーカー・ロッシュとPCR検査に関わるロイヤルティ契約をしたのは1990年ころのことである。わたしは学術開発本部スタッフで製薬メーカとの試薬の共同開発案件2個とPERT法による共同開発業務の標準化、学術情報部のラボ見学案内のうち海外メーカからの部分と異動する前から学術情報部長のKさんと臨床検査項目コードの産学協同プロジェクトにかかわっていた、私の提案で大手6社と臨床病理学会の産学協同プロジェクトとして始まった仕事だったからだ。忘れてた、沖縄米軍からの依頼で出生前診断検査の導入調整、慶応大学病院との出生前診断検査MoM値の日本標準値決定のための産学協同プロジェクトもこの時期にやってしまった。SRL側のマネジメントを担当していた。精度保証部のほうはCAPライセンス査察へ向けての準備作業の応援くらいなもの。大きな仕事はなかった。ああ、学術開発本部内の3部の業務3割カットなんてプロジェクトもわたしの担当だった。各人の業務の棚卸をして、優先順位付けした3割カットしました。特別忙しいという感じはなかった。多い時にはプロジェクトを5つ抱えていたこともあったから。毎週行われていた開発部の会議で担当者から報告があったのでロッシュのPCR検査ロイヤルティの話は記憶にある。ロッシュと契約する前にPCR検査が導入されており、その時には購買課で検査試薬の価格交渉とSRLの固定資産購入全部を担当していたので、最初のPCR検査機器はわたしが購入している。SRLにはかれこれ30年を超えるPCR検査の実績がある。研究部と特殊検査部への導入が早かった。わたしが八王子ラボの機器購入を担当したのは2年余だったが、それからあとでウィルス検査部でもPCR検査導入がされただろう。量が増えれば特殊検査部から、ウィルス部へ検査が移管される。だから、PCR検査経験者は少なくない。

<保険点数は半分以下に下げるべき>
 医療費はそれでなくても年々増大の一途をだどっており、減らすためにこの20年間で療養型病床数を20万ベッド減らしている。さらに採算の悪い地方の病院の統廃合によって20万ベッド減らす計画が持ち上がっている。
 患者負担は小さい方がいい、検査拡大に伴って、保険点数は500点に引き下げられるべきだと思う。心配なら、厚労省は大手3社に問い合わせてみたらいい。下げれば都道府県の衛生研究所は採算割れするから、やればやるほど赤字になり、都道府県の一般会計から繰入金を増やさざるを得なくなるだろう。生産性が悪いのだからやめたらいいのである。官から民へである。各地の衛生緩急所はパンディミックの初期だけ対応できたらいい。

<処理能力アップの必要日数>
 例えば、1000テスト/日から10000テスト/日への処理能力のアップには、SRLなら3週間程度かかる。PCR検査室増設用のスペース検討に2日、BSEL-3へ改造するのに発注から工事完了まで10日間、その間に必要な人数の人事異動発令とトレーニングをしたらいい。トレーニングには標準作業手順書を使えばいいだけ。RNAウィルスだから前処理に手間がかかる。異動で来る人たちはみなさん日ごろからルーチン検査をしていて検体の取り扱いには慣れているプロの職人であるから、およそ3日間のトレーニングでやれます。RNAウィルスPCR検査のベテランがすぐそばにいるのですから、問題が生じても対応できるでしょう。

<世界最高レベルの精度保証:CAPライセンスラボ>
 SRLは1988年ころ世界で一番厳しい精度管理基準CAPライセンスを取得している。国内基準ではなくて、一番厳しいCAPライセンスを基準としてやっている。2年ごとの更新・査察を受け入れているので、標準作業手順書は新規導入検査や既存項目の手順変更のさいには必ず提出されている。日本語と英文で精度管理部門が厳格に管理している。他の大手2社もあとから続いてCAPライセンスを取得しているので精度管理体制は同じだ。だから、国内基準の都道府県の衛生研究所よりもかなりレベルの高い精度管理体制になっている。

<検査を担当する人材確保も専用機器も制限なし>
 もちろん、機器の増設も必要だから、発注したらいい。PCR検査装置は単に温度を上げたり下げたりして増幅するだけの装置だからそれほど高額ではない。検査結果データを読み取るところがコンピュータ処理になっているだけ。
 大手臨床検査センター3社には検査要員に関する制限や機器の制限はない。

<余談:生徒たちがめんこい>

 ebisuはニムオロ塾で週に4日授業している。看護専門学校への進学を勧めた生徒たちはもう戻ってきて市立根室で働いている者もいるし、全道各地で看護師として働いている。いまニムオロ塾で看護学校への進学を目指して勉強中のものも数人いる。
 それぞれの病院で感染症患者を受け入れたときに、体調に異変を感じたら、すぐに新型コロナPCR検査を受けられるようにしてあげたい。
 大手民間検査センターはニーズが大きくなってもいくらでも処理能力を拡張できる。わたしは、知りうることをここに記して、大人の責任の一端を担いたい。そして状況が改善できるように祈る。


<msnニュースより抜粋>
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PCR検査数「他国より明らかに少ない」…
 政府の専門家会議、センター増設求める

 専門家会議は、日本の人口10万人当たりの検査数が187・8件で、イタリア(3159件)、米国(1752・3件)、韓国(1198件)など他国と比べると「明らかに少ない」と指摘。検査の陽性率は5・8%で他国と比べて低いことから、「潜在的な感染者を捕捉できていないわけではない」としつつも、都市部を中心に「検査待ち」が多く報告されたことなどに注目した。

 検査が進まなかった理由としては、▽発熱などの症状を訴える人からの相談を受け付ける保健所が業務過多である▽検査を担う地方衛生研究所の体制が十分でない――ことなどを挙げた。感染者の中には急激に重症化する人もいることから、検査を拡充し、早期診断と適切な治療につなげることが必要だと訴えた。

 その上で専門家会議は、医師が必要と考える患者を迅速に検査できるよう、保健所を介さずに検査ができる「地域外来・検査センター」の増設や、防護具の確実な調達、検体採取をする人へのトレーニングなどを求めた。
 厚生労働省によると、国内のPCR検査の実施可能件数は現在、1日約1万6000件。政府が目標に掲げる「1日2万件」には達しておらず、実施件数も1日最大で9000件程度にとどまっている。


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 こちらも是非お読みください
*新型コロナウイルス「最前線の医師」が語った本音

デイリー新潮2020年05月02日06時32分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailyshincho/nation/dailyshincho-625938
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 新型コロナウイルス関連の報道では、数多くの医師がメディアに登場して、自身の知見を述べている。しかし、最前線で感染者たちと接している医師の話をじっくりと聞く機会は意外と少ない。実際にはその患者を診たことがない「専門家」(中には医師ではない者もいる)のオピニオンのほうが多く流布されている。現場からの声として紹介される多くは、治療現場の苦境といったところに限定されているようにもある。

 そこで今回、ある総合病院で新型コロナウイルスを実際に診察し、また現場の統括もしているベテラン医師に匿名を条件で本音を語ってもらった。匿名にした理由は「特におかしなことを言ったつもりはありません。同じように考えている医師も多いと思います。でも、ただでさえ忙しいのに、病院あてに抗議などが来るとたまらないから勘弁してください」というものである。

――お勤めの病院はどんな感じですか?

 現状をお話しする前に、平時の病院、医療がどうだったかを少しご説明させてください。 もともと日本は国民皆保険ですし、東京は医療へのアクセスが極めてイージーになっていました。中学生までは医療費ゼロですし、救急車を呼んでもお金は請求されません。欧米なら数万円は確実に取られます。それゆえ、子供を昼間病院に連れて来られないというだけの理由で、救急外来を夜間に普段使いするような親までいたのです。

 だからいつも病院が混雑していることが問題になっていました。一方で、開業医の先生を含めて医療機関側もそれで儲けていた、という面もあったことは否定できません。「どんどん来てください」とやって、医療費は国に負担してもらえばいいのですから。 ただ、新型コロナウイルスの影響で、普段は安易に病院に来ていた方が減ったので、全体としての患者数は減っています。 感染症や救急を担当していない病棟や医師はむしろ時間に余裕ができているようです。不要不急の手術も延期にしていますから。 1、2月に比べて3月の病院全体の収入は3割減というところでしょうか。病床の稼働率も10%ほど下がっています。 おそらくこれは開業医などでも同様でしょう。「売り上げ」が落ちて困っているところもあるだろうと思います。

 一方で、私たち新型コロナの担当医たちだけは忙しくなっています。うちの病院では新型コロナの診察を救急医が受け持つようにしています。その担当医らの仕事は、大雑把にいって1.5倍になっているという感じです。ただでさえ忙しかったところに、仕事が急増しました。
 私が若い頃は救急を専門とする医師は月15日くらい当直というのが当たり前でしたが、さすがに今はそうはいかないので、当直は月6〜8日くらい。週休2日は確保できるようにして、休日出勤の際には代休も取るように、という方針でした。
 これがさっき言ったように仕事量が増えているため、「当分、代休は取れません」という感じになっていて、実感としてかなりキツい日々が続いているのは事実です。
 私自身は現場の診療の他に、病院全体の感染症対策等々の仕事が増えました。省力化できたことといえば、テレビ会議が増えたので結果として会議の時短などが進んだことでしょうか。

――新型コロナに関しては、膨大な情報量が発信されています。この状況をどう見ますか?

 SNSで誰もが発信できるようになったことで、不安をかきたてる情報が溢れすぎている、という印象はあります。
 また地上波のテレビ、ワイドショーがセンセーショナルに伝える傾向があるのは良くないと思っています。たしかに政府の言う通りのことを流すのでは政府広報になってしまうので、良いことだとは言えません。 しかし、恐怖を煽って,今の対応が危険だと強調しすぎているように思います。
 現政権が嫌いなのかもしれませんが、それと医学の問題は別です。
 現在の政府方針、専門家委員会の方針は、専門的な知見のある人たちが議論して打ち出したものであり、相応の合理的な判断だと現場の医師から見ても思います。
 ですから煽られておかしな行動をとるのではなく、とにかく今の対策を守ってもらわないと,収束できるものもできなくなると思います.
 にわか専門家のコメントが全部間違っているとは言いませんが、大事なことをうまく伝えられていないと感じます。自称専門家はもちろん、芸能人の方などの不用意な発言でも、視聴者は扇動されます。
 外国の例を簡単に紹介するのも問題です。「海外ではこうだ」というのですが、それぞれの国によって医療レベル、保険制度、国民性、文化など異なる背景があります。だから安易に「あそこがいい」「ここがいい」という話ではありません。
「アフリカの〇〇ではこうだ」と言われても、その国は常に様々な感染症の脅威が存在する国かもしれません。その国の政策を参考にする、といっても無理があるのではないでしょうか。

――「何もしないと42万人が死ぬ」というシミュレーションも恐怖を煽っていたのではないでしょうか?

 あれはあくまでも「何も対策を講じなければ」という前提で、最悪の事態を示したのですから、「ステイホーム」を訴えるという点では良いのではないでしょうか。
「エアロゾル」感染といった言葉が独り歩きしたせいで、ちょっと勘違いがあるように思うのですが、基本的には空気感染ではなく接触・飛沫感染です。だからちょっと話をした程度であれば、問題はない。
 空気感染だと思うと「じゃあ空気がいいところなら大丈夫」という勘違いが生まれます。ここが心配です。
 たとえば「空気がいい」ゴルフ場に行く、公園でジョギングをする、というのは問題ないように思っている方もいるでしょう。
 たしかにゴルフ場でプレーするだけなら感染はしないでしょう。しかし、その前後に外食をしないでしょうか。ジョギングの最中に無意識にガードレールを触って、その手で顔を触り……となっていないでしょうか。
そういうリスクがあるからこそ、「ステイホーム」と呼び掛けているわけです。あくまでも個人的な、そしていささか楽観的な見方ですが、きちんと自粛をしていれば、あと1、2カ月のうちには良い状態が来るのではないか、と思っています。

――そうした報道に煽られて、検査や診察を求める患者さんが殺到していて、かえって病院が困っているとも聞きますが、どうなんでしょう? 

 確かに、必要とは思えない患者さんが検査を求めてくる事例はあります。直接こちらの病院には来なくても、かかりつけ医から紹介状をもらってきて、検査を求めるケースです。そういう人の中で検査を断られた人が、SNSやテレビで「検査も受けられない」と主張することもあるのでしょう。
 ただ、この間、数多くの新型コロナウイルス感染者を診てきた者として言えるのは、「この人は陽性だな」と思う人は検査に回さなくても、ほぼわかる、ということです。あくまでもその診断を確定させるために回すのです。病歴を聞き、問診をして、CTを撮り……といった診察の過程でかなりの確率でわかります。
 ところが、そうした経験のないお医者さんが、患者さんに強く言われたとか、あるいは患者さんサービスの一環で検査を求めるとどうなるか。結果として、本当に早く確定して欲しい人の検査スピードが遅くなります。
これが問題です。

――テレビに出ている「専門家」の強い主張の一つが、「とにかくPCR検査を増やすべき」というものでした。これはどうなのでしょう? 

 これは絶対に間違いです。少しでも専門知識がある人は、全くこれを望んでいません
 他国と日本が違うのはこの点で,本当に医師が疑った例にのみ検査をやっている点で感染の広がりをコントロールできていることは確実です。
 とはいえ確かに検査のスピードは遅かったから、そこは今改善を進めています。 ただし、誰彼構わず検査をオーダーできるような状況を作らなかったことは100%正しかったと考えています。
 日本のように国民皆保険の国で、なおかつ感染症に詳しくない町のクリニックのようなところまでもが、自由にPCR検査をできるような環境を作っていたら、間違いなく院内感染が多発していたでしょう。おそらくニューヨークやイタリアの比でない状況になったと思います。
「かかりつけ医」に相談することは否定しません。しかし、そこに多くの人が押し寄せたら結局クラスターを発生させかねません。そういう状況を作らなかった点では、当初、検査を絞ったことは決して批判されるようなことではないのです。
 現在報告されている院内感染にしても、慣れてない人が普段使わないような感染防御具を適切でない使用をしたがために他の人や患者に感染させる例があとを絶ちません。
 ドライブスルーでのPCR検査を増やせ、という意見についても、乱暴に思います。病院外での検査体制は進めたほうがいいでしょうが、やり方を間違えるとかえって感染者を増やすことにもなりかねません。

 別の観点から補足させてください。
 毎年のインフルエンザの流行の仕組みをご存じでしょうか。
 PCR検査が注目されることで「偽陽性」「偽陰性」といった言葉もよく目にされるようになったと思います。前者は「本当は陰性なのに陽性と出ること」で後者は「本当は陽性なのに陰性と出ること」ですね。
 実はインフルエンザの検査でも「偽陽性」「偽陰性」は一定の確率で発生します。日本では「インフルエンザかな?」となったらまず病院に行って、検査をしてもらって、タミフルを飲んで、ということが当たり前に思われている方が多いかと思います。
 でも実は、こんなことをしている国はそんなに多くありません。一つには先ほどから言っているように、医療費が高い国では、そのたびに大変な料金が発生するので、いちいち検査しない、という人が多いのです。また、タミフルは病気を治す薬というよりは、よくなるまでの期間を短くする(7日が5日半になる)という性質のものです。
 アメリカならば、この検査とタミフルだけで下手をすると500ドルはかかるでしょう。だから多くの人は「家で寝て回復を待つ」のです。私もそうしています。
 ところが日本は医療費が安いことに加えて、「休むなら証明書を出せ」という習わしが学校や企業にあるので、こぞって病院に来て検査を求めるわけです。
 問題は、インフルエンザの簡易キットの感度は7割から8割なので、2〜3割の人は本当は陽性なのに「陰性」という結果になります。
 その人たちは、病院のお墨付きをもらったということで、自由に動き回りますから、コミュニティの中で感染を広げます。実は、これが毎年のインフルエンザの流行の大きな原因なのです。今回のことを教訓に、「インフルの証明書がないと休めない」といったおかしな慣習はなくしてほしいものです。何にせよ具合の悪い人は休むべきです。結果としてそのほうが学校や職場のためにもなります。
 そして、今年、インフルエンザがあまり流行していないのは、多くの人が手洗い、うがいをして、なおかつちょっとでも具合が悪ければ、自ら行動を抑えるようにしたからです。その結果、「実はインフル」の人が感染を広めなかったわけです。
 話をPCR検査に戻せば、検査の無闇な拡充に反対している人たちが怖れているのは、インフル同様に、「お墨付きを得た、でも本当は陽性です」という人が感染を広めることにつながりかねないからです。
 よく韓国やイタリアのほうが日本よりも検査数が多い、といって日本を批判する人がいるのですが、これは話がまったく逆です。韓国やイタリアは最初に検査数を増やし過ぎたために、感染を広めてしまったのです。
「医療資源が無限にあり」「偽陽性の人でも全員どこかにちゃんと収容できて」「(偽)陰性の人が行動を慎んで他人にうつさないようにする」という前提がすべてそろっていれば、検査数をどんどん増やすのもいいでしょう。
 しかし、そもそも検査はそんなに簡単なものではありません。検査というのは少なくとも検体を取る人と、検体を検査する人の両者がいてはじめて検査ができるのです。仮に医師会の先生たちが頑張って検体をたくさん出しても、検査する人が増えなければ結果が出るのがより遅くなってしまいます。本当に必要な検査が滞るのです。
 もしも「やる気になればできる」と言い張る方がいるのなら、ぜひそういう人材がどこにまだ眠っているのかを教えていただきたいものです
 検査の技術の習得は一朝一夕にはできません。だから長期的な観点では、もっと日本はこういう検査もスピーディにできるようになればいい、と言われれば「その通りです」と答えます
 しかし、今まさに感染爆発を防ごうとしている時期に実現不可能なことを言っても仕方がありません
 テレビに出ている中でも、自称「専門家」ではなくて、本物の専門家の先生方もいらっしゃいます。そうした方に、「日本のPCR検査数は少ないのでは」とか「より検査体制を充実させられるといいのでは」と問えば、「そうですね」と答えるでしょう。それ以外の答えをしようがありません。

 しかし、それで「それみろ、やっぱりPCR検査が足りないんだ」と言い張るのはやめてください。
 繰り返しますが、現場で本当にこの病気を診ている医者で、もっと検査数を増やせ、などと言っている人はいないはずです。 

――ではなぜお医者さんの中で「PCR検査を増やせ」という声が根強いのでしょうか? 

 例年、この時期はインフルエンザの患者さんで病院、特に開業医さんは混み合うのです。経営のことを考えると患者さんがたくさん来るのは悪いことではないと考える先生もいるでしょう。今年はインフルエンザ自体が流行していませんし、万が一新型コロナウィルスに感染している患者に検査をすれば、感染のリスクがあるためほとんど行われていません。現在、新型コロナの診察はあまりやっていないでしょうが、一部の人にとっては「検査は怖いから検査センターにお願いするとして、診察は引き受けたい」といったモチベーションがあるかもしれません。
 そういう人にとっては、かりに「PCR検査センター」のようなものが出来れば、都合が良いかも……というのは穿った見方でしょうか。 

――「WHO」の関係者と名乗る方、ノーベル賞受賞者の方もPCR検査を増やすように主張していますが。 

 海外にいて、どのくらい日本の事情をご存じなのかわかりません。また、たとえノーベル賞を受賞された素晴らしい先生方であっても、必ずしも感染症やこの病気の専門家ではないので、仰ることがすべて正しいとはいえないと思っています。
 医学はそれぞれの科や専攻の専門性が高い分野なので、たとえノーベル賞受賞者であっても、専門外のことには確証を持って発言していないのではと感じることもあります
 なお、「検査、検査、検査」というWHOの事務局長の発言もいまだに曲解されている方がいます。あれはあくまでも発展途上国などで検査を軽視している国に対してのメッセージであって、日本などを念頭に置いているわけではありません。

――ただ、検査をまったくしないと不安だという気持ちもよくわかります。「37.5度が4日間続くまで様子を見る」と言われても、その間に急激に悪化したら……と不安になるのでは。

 気持ちはよくわかるのですが、熱だけが兆候とは限りませんし、本当に具合が悪くなったら救急車を呼ぶほうがいいと思います。新型コロナ以外でも、いろいろな病気がありえるのですから、本当に具合が悪い時はそうするべきでしょう。...


 続きはURLをクリックしてお読みください。これもご意見の一つではあると思います。現場で診療している医師や看護師さんたちにもいろいろな意見があると思います。

 

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<ebisuの感想>投稿欄の内容に少しつけ足しました
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通りがかりさん

現場で新型コロナ感染症治療にあたっている医師の方のご意見ですね。ありがとうございます。
本文へ追記転載しました。

わたしにはうなずけるところもあるし、そうではないところもあります。

全体を通してみると、話に飛躍がありすぎます。当たり前のことですが、お医者さんにも視野の広い方と狭い方がいらっしゃるというだけ。
次の点は、私の書いたものをお読みいただけたら、納得頂けるでしょう。診療現場の医師とは言ってもすべてをご存じなわけではないのです。
以下は、PCR検査について言及してある部分を抜粋しました。大きな事実誤認です。
PCR検査をやる人材がどこに眠っているかについてですが、大手民間臨床検査センターにニーズに応えられるだけ十分な人材がいます。
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 もしも「やる気になればできる」と言い張る方がいるのなら、ぜひそういう人材がどこにまだ眠っているのかを教えていただきたいものです。
 検査の技術の習得は一朝一夕にはできません。だから長期的な観点では、もっと日本はこういう検査もスピーディにできるようになればいい、と言われれば「その通りです」と答えます。
 しかし、今まさに感染爆発を防ごうとしている時期に実現不可能なことを言っても仕方がありません
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自分が知らないということすらご存じないご意見です。実現不可能な話ではありません、大手臨床検査センター3社にはPCR検査がどれほど増えようとも、それに対応できるだけの人材がいます。現実にとっくに用意されているという話です。診療に当たられている感染症の一専門医の方が知らないのはしかたがないでしょう。しかし、専門家会議の面々はずっとこんなことも知らずに、2か月以上も時間を浪費してしまったのです。

ものごとは複雑、だからいろいろな人が意見を言うことが大事なのです。北大の西浦さんのシミュレーションについても言うべきことはあります。データを独占していることと、シミュレーションの前提条件が概要すら説明されていません。変わり目の実績データを20個ほどからy=a×1.115^xという計算式が導けます。途中までの計算値は西浦さんの複雑なモデルとそう違わないはずですが、90日を入れたら、東京都の人口をオーバーしてしまいます。だから、せいぜい30日か40日程度しか蓋然性がなさそうにみえます。モデル計算なんて前提条件の塊ででき上がっています。国内に感染症数値モデルの専門家は彼だけではないでしょう。追試できるような体制が好ましい。データの独占ではなくて公開が必要です。ネットの時代ですから、オープンな議論をしたらいい。

そしてもっと大きな問題があります。ことは感染症にとどまらない。1929年の世界大恐慌以来の「大恐慌」が始まっている可能性が大きいのです。とっくに医療人だけで議論できる問題ではないというのがわたしの意見です。グローバリズムの行き過ぎに対する反動であり、リカードの比較生産費説による国際分業体制の破綻です。経済の枠組みが、ポスト・コロナでは大きく変わります。外側に向かっていたベクトルが、一斉に内側に向かって収縮し始めます。

現場で感染症の治療に当たっておられる医師や看護師、そのほかさまざまな医療スタッフが働いています。そういう皆さんには敬意を表します。だからと言って、感染症の医師以外はこの問題を取り上げるなという意見には賛成しかねます。看護師さんも現在の過酷な臨床現場の状況を告発して医療がすでに崩壊していることを具体的に発信している方もおられます。
新しい事態に直面すれば誰だって間違えることはあります。専門家委員会だって判断を何度も間違えているのです。「37.5度、4日間の発熱が続いた場合」という条件を、批判をずっと浴び続けて、ようやく5/6から外すことになったようです。

感染症と言えば大きなトピックスは1988年ころのエイズ(HIV)騒ぎです。あのときも「エイズサーベイランス委員会」を当時の厚生省が組織しました。委員は感染症の専門家でした。医師からの報告書だけで感染数を把握してましたが。当初の数年間は全国で陽性者は100人未満。1988年かその翌年だったと思いますが、SRLではHIV陽性が毎日1-2件出てました。年間およそ500件です。他にも検査している用の多い検査センターがありました。当時は江東微研の検査数が多いという噂を聞いてました。陽性検体はウェスタンブロット法での確認検査をしてました。厚生労働省はSRLに問い合わせすら行っていません。エイズサーベイランス委員会が把握していたのは、実際の感染者の1/10以下でした。その数字をもとに判断して対策が遅れ、先進国で唯一日本だけがHIVが感染拡大するという情けない事態を招いたのです。専門家会議は32年前の大失敗に学んでいません。検査数を制限することでパンディミックを後押ししてしまったとわたしは見ています
HIVのときはネット環境も今とは違うし、現職だったから声もあげにくかった。いまは外側から知りうることを発言できます。新型コロナは経済にも甚大な影響を及ぼしつつある。1929年の世界大恐慌を上回る景気後退が進行しているかもしれないのです。感染症専門医という小さな村の中の議論だけではとっくに対処できない現実があります。

いろんな方の意見があっていい、読んだ方の判断にゆだねます。
この問題に関しては独断と偏見は避けたいのですよ。現場の医師の発言でも、ダメなものはダメ、事実誤認があれば指摘します。国民の健康と安全、そして経済がだいじですから。


by ebisu (2020-05-05 22:55) 

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 2月下旬だったかな、感染症研究所OBの根路銘国昭という方への取材記事を読んだ記憶があります。「3月にも新型コロナのパンディミックが続いているなんてことを主張する人がいるが、ばかげた話だ。消えてなくなっている」と断言しておられた。新型であるにもかかわらず、内容を検討もせずに季節性インフルエンザと同じだと思っていたのでしょう。軽率な発言でした。この方、国際的にも著名な感染症学者だそうです。どんな専門家も、専門家だからこその間違いがでることがあるのです。それが小さなものなら無視していいが、被害を拡大させるような誤謬は見過ごせないのです。2/14のインタビュー記事です。わからないものを分からないとは専門家ほど言いにくいのではないでしょうか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/根路銘国昭


**「コロナウイルス感染拡大は「3月までに終結」と大御所が断言する理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70375?media=bb

根路銘 テレビで4月、5月にさらに感染が広がるおそれがあると発言している人がいて唖然としました。コロナウイルスは気温が上がると生きていけないんです。もともと冬の寒い季節に活発になる風邪のウイルスなので、2月末から3月に入れば自然に終息すると私は見ています。


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#4234 根室高校学校祭と金刀比羅神社例大祭の行方:人材育成のチャンス April 24,2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 根室高校でも各祭典区でもそろそろ学校祭や金刀比羅神社の例大祭開催をどうすべきか議論がなされる頃だろう。

 学校祭はクラス一丸となって合唱や工作物・店そして野外のクラス対抗パフォーマンスにほぼ一月間の放課後を費やして取り組むから、集団の中からリーダーが自然に出現して、その力量が試される。学力も大切だが、人をまとめる力であるリーダーシップも同じくらい重要なのだ。なにかイベントがなければ磨かれない。恒例化したイベントは、お定まりのルーチンをこなせば何とかなるが、一度っきりのイベントはリーダーの力量が試されるものだ。もって生まれたものや一人一人の性格や個性や経験値そして周りの者たちの評価がはっきりとでてくる。

 今年は三密にならぬように工夫が必要だろう、中止というのは安易な考え。挙行できる工夫を提案し、そこへ引っ張って行ける人材が出てくるかもしれぬ。中止するにしても、なんとかやる方法はないかと模索したうえで、中止するなら、そういう過程で人は育つ。

 団塊世代が高校生だった時は、学校祭、体育祭の全校一斉マラソン{(男子20km、女子10km)28度の気温の中で女子生徒が熱中症で死亡、そのご根室高校の体育祭最大のイベント、マラソン大会は消滅したままである}、文化祭、丸刈り校則改正、進路別クラス編成反対運動、3年生と2年生の総番グループの激突(「13:7の決闘」と道新に載った)、そして数十年続いた伝統の総番制度廃止。元革マルの中大法学部卒の先生が時事問題研究会を率いていた、かたや共産党系の民青が高校生に食い込んでいた。元市議のSさんが専従だった。生徒会活動は活発だったから、政治的にも面白い激動の時代だった。根高の歴史でこんなに出来事の多かった年はないだろう。わたしたちはそういう中で高校時代を過ごしていた。武漢コロナ騒ぎの切迫した状況になんとなく似たものを感じている。(笑)
(口数の少なかった1年上の生徒会長Sさん、明るいキャラの副会長のF堂さんは室蘭税務署長をもう12年前に退職、もう一人の副会長のH谷さんはヤクルト釧路支店長だったと聞いた、生徒会会計のN野さんは大学も一緒、よく面倒見てくれた。2学年先輩の生徒会会計の人は字がすごくきれいだったから、生徒会の帳簿をつけるのに気がひけた。ペン書きしていた。その美人の先輩は体育のT中先生と卒業してすぐに結婚された。同期の「最後の総番」ヒロシとは同じクラスで気が合ったがあいつは水産会社の取締役、同じクラスの中央執行委員のK尻は羅臼出身いま絵手紙の先生、隣のクラスの副会長H勢は優秀な奴で21歳で税理士試験に合格して、それ以来東京有楽町で自分の事務所を切り回している、双沖の昆布漁師の息子だ。同じく中央執行委員のT岡、歳をとってもはなやかで話しながらよく笑う。気のおけない女友達だ。ツルンでよく動いた同じクラスのA野はいまも共産党でなかなか頑固者、かわらないよ。1週間停学喰らって外出できなかった羅臼のヤスベのところへ毎日花札やりに行ったが数年前に癌でなくなった。あいつとは三年間一緒、ちょっと寂しいところを感じる坊ちゃんだった。A野とヤスベは短距離が抜群に速かった。高校入学して体力測定のとき1500m走でA野が100m走のような速度でダッシュ、負けじとヤスベが続いて、冗談じゃねえぞとしかたなく俺も続いた。5人とも4分30秒を切ってしまった。5人グループごとに走ったが最速タイムだっただろう。「バカヤロー、100m走じゃねえ」と西和田出身のA野に怒ったっけ、その日からともだち。へとへとだった。大学でも体力測定を兼ねて1500m走が行われた。高校のようになるのは嫌だったので、速いペースで走り出したら、一人で飛び出す格好になった。あわてて少し落としてみたが、根性なしで誰もついてこない。それがきっかけで九州出身の体育会系のやつと友達になった。菓子屋のせがれで、跡を継ぐために大学で勉強しながら、洋菓子か料理の専門学校へ通っていた。(笑) 世の中にはすぐ身近に面白い奴がたくさんいる。)


 さて、後輩たちは、武漢コロナウィルス感染症の影響で、すでに2か月休校。これから5月・6月もおそらくは休校延長、1月と2月も武漢コロナ再来で休校という事態になったら、勉強と学校祭運営でどういう対処の仕方を見せてくれるのか楽しみである。ああ、2年生の修学旅行は来年へ延期になるだろう。3年生の秋の修学旅行では受験生が困るだろうな。いまから、それをスケジュールに入れて、勉強したらいいだけだ。最悪の事態を予測して準備がなければひどいことになる。

 SARS騒ぎで学んだはずなのに、感染症対策がほとんどなかった大人たちがいま右往左往している。北海道知事も東京都知事も政府も有効な対策が打ち出せない。2月下旬と3月に、「これから2週間が山場です」という謳い文句をこの国の総理大臣からも東京都知事からも何度聞いたことか。
 鳥取県だけは悠然と構えている。平井県知事がしっかりしていた。1月21日に対策委員会を立ち上げた。そのころ北海道は雪祭りの準備中、流氷祭りもそうだ。知事サイドでも道議会でも中止の議論さえないかった。ところが鳥取県知事は「疑わしきはPCR検査」と声高に叫び、病院外に検査センターを作って片っ端から対処して、感染拡大を防いだ。具体策がちゃんと打ち出せ、実行できるかどうかが問われた。平井鳥取県知事の対応と北海道知事の対応を比べてみたら力量の差は歴然としている。

*「4月まで感染者ゼロ 鳥取県・平井知事が語る「疑わしきはPCR検査」の理由 」
https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/4月まで感染者ゼロ-鳥取県・平井知事が語る「疑わしきはpcr検査」の理由/ar-BB136EOr?ocid=spartandhp
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なぜ病床数を12→322へ増やせたか

――鳥取県では、新型コロナウイルスの感染者がゼロのうちから様々な対策を講じ、県内初の感染が分かってからも、平井知事の記者会見での説明が「わかりやすい」とSNSでも話題になっていました。
平井伸治知事(以下、平井) 新型コロナウイルスが中国で注目を集め始めた頃から、大きな影響がいずれ来るかもしれない、先手を打つことができればと考えてきました。実は私たちにとって、2009年に流行した新型インフルエンザ対策が記憶に新しいんですね。当時、鳥取県内にも感染が広がりました。「これは始まると早いだろう」とにらんで、1月21日から新型コロナウイルス対策の組織を鳥取県庁に立ち上げました。新型インフルエンザの時、我々が取り組んだ感染症対策をベースにして考えていこうと。 県内には高齢者の方が多く、基礎疾患を持つ方もいらっしゃる。そうした方々を抱えながら、病院の数は決して潤沢ではないんです。必要数はあると思うのですが、絶対数がやはり大都市よりは少ない。「よほど準備をしてかからないといけない」という危機感が当初からありました。....

――新型コロナに感染した患者さんを受け入れることができる病床(感染症指定病床)数を12から322(4月21日時点)まで引き上げることができたのは、なぜですか。

平井 日を追って感染が拡大していくなか、2月20日に鳥取県医師会をはじめ医療関係者らとの対策会議に私も乗り込みまして。「これから医療体制をしっかり作らなければならない。医師会も協力していただきたい」「新型インフルエンザの時のように、院内感染対策をしっかりやりましょう」という2点のポイントをお伝えしました。
 正直、最初から上手くかみ合ったかは分かりません。「うちの病院に新型コロナの人をもってこないようにしてほしい」という率直な意見もあったようです。しかし、海外・日本の事例を見ても、無症状の感染者の方が多くいます。私から、「ここは病院側が万全の態勢をとって院内感染を防いでいくべきではないか」と申し上げました。
平井 ただ意見を言っているだけではしょうがないです。院内感染を防ぐためには防護措置も必要ですから、県から医療機関に、新型インフルエンザ流行を機に備蓄した約23万枚のマスクと消毒液を緊急放出しました。我々も医療機関を支えるぞ、ということを実際の行動で示していこうと。

コロナ対策で「政治の話をしてはいけない」
――新型コロナに関連して、安倍首相をはじめとする政府や、都道府県知事の記者会見の様子が連日報道されています。会見の場で、平井知事がわかりやすく伝えるために何か気をつけていることはありますか?
平井 新型コロナウイルス対策は、政治の話をしてはいけないんですよね。命と健康を守るために何をやるべきか、率直に、迅速に行動しないと解決しない。全国的にみると、どうも政治の世界に引き込まれすぎているのかな、と個人的には懸念しています。何かのパフォーマンスであってはいけない。
――東京五輪の延期を巡る動向や、政府の布マスク2枚配布、給付金の方針転換などに不信感を持っている人も多いと思います。
平井 本当に大切なのは、一体この事態をどうやって解決するか。今は国だとか県だとか、関係なく協力していくべき時ですよね。そして最もあってはならないのは、患者さんや医療機関に厳しい目が注がれるようなこと。
 残りは当該サイトへジャンプしてお読みください。


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 今年の金刀比羅神社例大祭は、各祭典区の代表たちが集まって、どういう検討をして、今年の金刀比羅神社例大祭を挙行するのかしないのか、そのなかで人が育つことを期待している。

 

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#4233 クラスターってなに? April 23, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 武漢コロナウィルス感染症(Covid-19)で「クラスター」という言葉がテレビや新聞紙上で叫ばれている。英英辞典CALDで引いてみた。

 cluster:a group of similar things that are close together, something surrouding something.
●Have a  look at the cluster of galaxies in this photograph.
●There was a cluster of fans around him, asking for autographs.

 密集している似た者同士の集まり、何かを取り囲んでいるもの。
 ●この写真に写っている銀河星団を見てよ。
 ●彼の周りを取り囲んでいるファンの一団がいて、サインをおねだりしていた。



 『スーパーアンカー第5版』
 cluster:(花・果実などの)房、かたまり 2.(人・動物などの)密集した群れ集団、(天文学)星団



=== 根室高校生のみなさんへ ===
<高校英語教科書音声アプリ>4/24追記
 VIVIDの音声アプリが¥1000で販売されていることを投稿してくれた(早起きの)人がいます。スマホへダウンロードして使うものです。根室高校のみなさん、ぜひこれを使って徹底的な音読トレーニングしてください。画面に教科書本文が表示されます。CD版よりずっと便利!

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VIVIDは1冊分1000円の音読用のアプリを購入すれば可能です。

http://www.daiichi-g.co.jp/eigo/soundbook/
by NV100クリッパー (2020-04-24 06:42) 
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#4230 弊塾の新型コロナ対応:半年休みになるくらいのつもりで… April 21,2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 昨日は高校生が2部に分かれて8人来ていた。
 「新型コロナ感染症は5月に入っても新規患者数は4月とそう変わらないだろうから、休校は延長されると覚悟しておけ。」
 6月に小康状態になれば7月から学校は始まる。もちろん夏休みはなしになる、根室の夏は涼しいからどうってことはない。朝は15度、最高気温も30度を超える日はあっても3日くらいなもの。
 夏に小康状態になれば秋も大丈夫だ。12月下旬からまた新型コロナ感染者がボチボチ出始め、1月には増えるから、そのあたりからまた休校の可能性が高い。
 こうして俯瞰してみると、最悪のケースで休校が3・4・5・6・1と5か月あることになる。勉強のほとんどを予習で独力でやらないといけない状況が予想される。
 数学や英語の予習ができる生徒は10%以下だろう。2/3の生徒はやりようがないから、あきらめてしまう。根室高校普通科で数学と英語の勉強が独力でやれるのは各学年それぞれ3人しかいないだろう。真ん中以下の学力の生徒たちは、学力がさらに下がってしまうのはもう防ぎようがない、教えてもらわないと勉強できないのだから。これまで、独力で予習して授業を受けていたかどうか、普段の学習スタイルで学力が急激に下がる生徒と、なんとか自力で学力アップできる生徒に分かれていく。塾依存の勉強スタイルの生徒も打つ手がなくなる。
(偏差値40-45の道立高校普通科なんてどこも似たようなものです、高校生の学力低下は深刻です。3年生は受験にもろに響き、1年生は数学の基礎がスカスカになる。2年生の数学は分量が1年生の2倍あるから推して知るべし。道教委さんや道教育庁もこういうことを具体的に考えてもらいたい。)

 たとえば、高校数学はユーチューブで単元ごとにフリーの好い授業がいくらでもあるから、自分に向いた先生を見つけて視聴したらいい。これなら、平均的な学力の生徒もなんとかなる。学校のふだんの授業のように騒ぐ生徒がいないから、聞き洩らすこともない。なれたら、こっちの方がいいかも。物理だって化学だってある。苦手の単元はネットで検索して授業を見つけよう。

 英語は市販の教材がいくらでもある。リスニング、音読、長文、それぞれ自分に合ったものを購入して徹底的にやったらいい。弊ブログの左側にカテゴリー欄がある、そこに「44-2 原書講読講座 Sapiens(24)」と高校3年の教科書を使った特訓授業「78.高校英語教科書を読む(9)」があるから、そちらを使ってもらえたらうれしい。すでに24回分、高校3年生の授業なら2年間分がアップしてある。もちろんタダ。(笑) SAPIENSはamazonで買ったらいい。原書講読授業は英語偏差値60以上の生徒向けである。英語が苦手の人はカテゴリー#78を使ってもらいたい。

 中高生に感染者が出れば、現在の文科省の指針に従えば、学級閉鎖や学年閉鎖ではなくてその学校全体が休校になる。そういう状況になったら、塾も休みにせざるをえない。学校も塾も休みという状況が断続的に数か月になる可能性があるのだから、それ相応の覚悟と具体策を各自で考えて勉強してもらいたい

 3年生には1/14から英作文問題を週に4日、5題/日、LINE配信して、やってきた人へ随時個別解説している。すでに45回、225題を消化した。1,2年生は基本問題を先週からライン配信している。新型コロナ感染症対策ではなかったのだが、タイミングが合ったので、そうなっている。これは塾が休みになっても継続できる。
 学校が休校中は来る必要のある人だけ、休む人は休塾扱いとする。自分で判断し、そして親もとよく相談して決めるように。


 そんな話を金曜日に塾生にした。

 中高の英語の教科書の選び方に大きな問題があることははっきり書いておく必要がある。英語学習には教科書の音読トレーニングが不可欠だが、自力で新しい章を音読できる生徒は5%もいるだろうか?音源のサイトへジャンプできる二次元バーコード付きの教科書を採択すればいいだけだが、中学校のSUNSHINEも根室高校のVIVIDにも二次元バーコードは印刷されていない。4/22に高校1年生3人に英語の特訓授業をしたが、Cとseeとsheを正しく発音できた生徒はいなかった。三人とも「シー」とやってくれた。発音記号はshe [ʃiː] 、Cとseeは[si:]だから「スィー」。三人の生徒は違う中学校の出身者である。新出単語の発音記号が本文の右のページに出ているが、発音記号の説明をしている先生はいるのだろうか?
 3月4月と2か月休校になっているが、こういう生徒たちが独力で教科書を読んで学習できるわけがないとわたしは判断している。だれが選らでいるのか知らないが、ふだんの教科書選びがこういう「緊急事態」のときに決定的な弱点となって生徒たちを襲い、学力低下を加速してしまう。

 先週から高1対象に、毎週水曜日英語特訓授業を始めた。自由参加方式だが1年生は全員来た。ほうっておくと英語が苦手の生徒は数学ばかりやって、英語をやらない。個別指導の欠点である。きっかけを創ってやれば、ほとんどの生徒が英語が好きになるから、無理やりやってアレルギーを剥がしてしまう、そのための毎週水曜日2時間、音読と文型解説中心の特訓。
 高2の生徒は奇数月にやり、高1は偶数月だ。とりあえず各々10回の授業を予定している。それに合わせて英作文も文型中心のやさしい問題を配信している。読解と作文で相乗効果が出るように配慮している。
 特訓授業も学校で感染者が出たら中断する。英作文問題と解説の配信はそのまま続けたい。

 教室へ入ってきたら、手洗い。換気扇はつけっぱなし。人数がいちどに9人になることがあるが、そのときは2台の換気扇をつけっぱなしにしている。換気口は開放にしたまま、教室内を一方向に空気が流れているので、暖房をつけていてもちょっと寒い。根室の最近の気温は0-12度くらいで、桜の花もまだ咲いていない。



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#4229 新型コロナ感染症医療の過酷な現場から:なにがどうなっている? April 20, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 かわいそう。
 感染症指定病院の病棟がいまどうなっているのかわたしたちは知らない。
 医療崩壊はとっくに起きている。このままでは、治療に当たっている看護師たちに自殺者の心配をせざるを得ないほど状況は過酷さの色合いを濃くしている。武漢コロナウィルスに感染して、いつ医療の世話になるかもしれないわたしたちは現実を知ろう。そして医療崩壊を外側から防ぐには何ができるのかを考えたい。

 ところで根室管内に指定感染症病院はいくつあるかご存じだろうか?
 ●町立別海病院(84床)、
 ●町立中標津病院(一般病床180床、療養病床19床)
 ●市立根室病院(一般病床131床、感染病床4床)
 そう、一つだけ、感染症病床は根室管内で市立根室病院の4ベッドだけです。釧路にも市立病院があるが、感染症病床は4ベッドだけ。
 別海町にも中標津町にも感染病床はありません。感染者が同時期に4人を超えたら、ワンフロア全体を感染病棟にして対処するしかない。東京ではすでにそういう事態が起きてしまい、医療崩壊を起こしている病院があります。その次の段階では、重篤な症状を起こしてもキャパオーバーで入院できず「自宅療養」をせざるをえなくなるでしょう。
 平成27年度に行われた国勢調査によれば、根室管内1市4町の人口は76621人です。
 「四谷三丁目」の過酷な病棟現場が明日の市立根室にならないことを祈ります。 


 文末に別の医療現場の記事のURLを貼り付けてありますので、ご覧ください。
https://note.com/yo_tsu_ya_3/n/nd83fab39b68c?fbclid=IwAR0Lf-oUu6jS-2yTseYyAODHmZQwOEdFmi7IzziSITOb7QcVcyLrzGJJStg
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医療の現場から②
2371
四谷三丁目
2020/04/19 23:12
気が狂いそうなのでしたためておく。

私は首都圏の「けっこう大きな病院」に勤める看護師だ。
今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、行政からの要請を受けて最大80名の陽性患者を受け入れることが決定した。80床の空床確保のために入院患者の大移動、新規入院や手術の制限が始まったのが4月の初め。そこから2週間が経過した。

ちなみに3月末より現在まで、全職員マスクは3日に一枚の使用制限がかけられている。

4月の2週目。新型コロナウイルス感染症陽性患者の受け入れ拡大が決定してからの混乱は、収まってないがなんとなく慣れてきた。混乱していることに慣れてきた。

大騒動だった患者の大移動は完了し、3日間使いまわしたマスクの臭さに辟易しながらも通常業務は続く。
丸1日患者さんと喋り倒したあとのマスクを3日間保管するとあんなに臭うなんてことは一生知りたくなかったが、とにもかくにも2週間も同じ状態が続けばなんとか慣れようともがくようになった。昼飯をカレーにした翌日盛大に後悔して以来、もっぱら蕎麦を食べ続けている。

ちらほらと陽性疑いの患者が現れCTとPCR検査を実施することも“日常”となり、なんとなく、みんな「こんな調子が続くのかな」と思っている気配があった。
「怪しい」患者さんもPCR検査陰性1回で通常対応可になるのは未だに解せないが。解せないが2回3回やる余裕がないことは分かる。分かるので仕方がない…のだろうか。うん。

同じころ、上層部から「職員はなるべく公共交通機関を利用せずに通勤してほしい」とお達しがあった。「市民を守るためにも」という文言にけっこうビクッとする。そうか。「私たちが感染源になる」ことを懸念しないといけないのか。まあ、そうか。そうなのか。そうか……

通勤中にソシャゲができなくなることに葛藤したが、しょうがないので車通勤に切り替えた。これも医療従事者の務めかな、と思うくらいの調子は取り戻していた。
渋滞を覚悟していた職場最寄りのインターは、自粛要請のためかびっくりするくらい空いていて、想定よりもかなり早めに着いた。

看護師駐車場の片隅で、泣いている子がいた。

目が合ってしまい、うろたえつつ、じろじろ見るのも悪いだろうかと思ってそそくさと脇を通過した。4月に入職したばかりの子だろうか。たった2週間で泣かせるなんて恐ろしい病棟だなぁ……どこだろう……なんて考えながら職場につくと先輩がいたので、思わず話題に出した。

「ああ多分ね、A病棟の看護師じゃないかな……。みんな毎日泣いてるんだって」

驚きを通り越して肝が潰れた。
40床全てが新型コロナウイルス感染症陽性患者で埋まる予定のA病棟は、今年新卒入職者が配属されなかった。当たり前だが、新人を受け入れられる状況ではない。元々いた2年目以上のスタッフと、新卒者の不足分を補うために中堅やベテランスタッフが何人か異動したと聞いていた。

泣きながら仕事をしているとは????

いや、その通りだ。泣きながら仕事をしているそうだ。みんな泣いているらしい。私が見たわけではないが。事実、みんな泣いているらしい。

みんな泣いているとは??????

文字通りだよ。みんな泣いているらしい。過酷な業務に耐えかねて泣きながら出勤し、いつまでも終わらない業務を泣きながらこなしているらしい。こなす、こなすとはなんだろう。泣きながら???それはこなせてないんじゃないか???

考えれば当たり前だ。レシピ(人工呼吸器)付きの患者なんて、1病棟に一人いるだけで業務は逼迫する。呼吸器の管理、頻繁かつ気を遣う吸痰に、2時間ごとの体位交換、全介助の清潔ケア。点滴タワーはシリンジポンプまみれだろう。それが何人?しかも全員新型ウイルスの陽性患者だ。

「来週の私たちかもね」
先輩がポツリと零した。肝がつぶれた。私はまだまだまだまだ甘かった。この期に及んで甘かった。

「新型の感染症が世界中に蔓延するフィクション」の中で、対応する看護師が泣きながら仕事している描写があったら、私は「医療現場の描写にリアリティがないな~」とか言うかもしれない。「看護師=女=すぐメソメソする、みたいなイメージで書いてない?現実の看護師なんてメンタルゴリラばっかりですけどw」とか調子よくこき下ろす自分が想像に容易い。

現実が、私の想像できる「リアリティ」を超えている。

次の陽性患者受け入れ病棟がB病棟に決まった。当然ながら収容予定は80床なので、2病棟分必要になる。
エレベーターのA病棟とB病棟の階数ボタンは、ビニールテープで×が貼られ押せなくなった。ちょっと前までは他病棟からヘルプに行くこともあったが、もうそれもない。完全な隔離病棟だ。
受け入れが始まるとすぐに、「B病棟のスタッフも泣き始めたって……」と聞くようになった。

かき集められた精鋭部隊ではない。たまたま配属されていた職場に白羽の矢が立ってしまっただけのスタッフたちだ。たまたま配属されただけの職場が、ある日突然地獄になる。理不尽だとすら思う。いや理不尽だろうこれは。

他病棟だってA,B病棟から転棟してきた患者の対応でいっぱいいっぱいで、易々と人手を回せる状態じゃない。A,B病棟全体を隔離する規模になってしまったので、手が空いたからと一時的なヘルプをするのも感染制御の観点から不可能だ。どん詰まっている。

医師たちが、「最終的には100床受け入れるってね」「そうなるよな」「そのうち2割が重症者か…」と立ち話しているのを聞いてしまった。
80床のはずでは????20床、ICUまるまる一つ分だ。誤差の範囲じゃないぞ。何が何がどうなってるんだ。次、地獄に落ちるのはどこだ。来週の私たち。先輩の言葉を思い出し胃が冷える。

テレビで我が県の知事が、「感染症指定病院に要請し、受け入れを拡大予定」と話している。突然20床増えた意味が分かった。当然それを責めるわけではない。いくら増やしても足りないくらいじゃないだろうか。責めはしないが、受け入れるのは我々である。ただただ事実として、地獄が広がっていく。

4月3週目。当然のごとくN95の在庫が切れた。分かってた。もう分かってました。イタリアでもアメリカでもどこでもかしこでも尽きていたN95が当然のごとく尽きた。

何もかもが、「前例」通りに突き進んでいく。2か月前のイタリアに右へ倣えだ。

右へ倣えだ。この国の医療現場は、他国が2か月前に通っていた道を丁寧になぞって地獄へ突き進んでいく。

N95は滅菌室で再滅菌して使いまわすことになった。書いていて発狂しそうだ。陽性患者対応に使用したウイルスたっぷりのN95を、滅菌室に運んで常駐の滅菌委託業者さんが滅菌する。使い捨てのマスクを。

「絶対に入ってこないで!!!」と滅菌室から全部署に連絡があった。そうですよね。ウイルスたっぷりのマスクを滅菌中なので。気が狂いそうだ。滅菌室のスタッフが可哀そうでならない。
滅菌のプロフェッショナルたちも、新型の感染症陽性患者に使った使い捨てマスクを再滅菌する未来なんて想像してなかっただろう。なんなんだこれは。

再滅菌したマスクは該当の病棟に返っていく。たまたまそこに配属されていたスタッフが、使い捨てのマスクを延々と使用し、未知の感染症患者に対応していく。泣きながら。

その彼らにポリ袋がかぶせられる日も近いんだろうきっと。ねえ。

気が狂いそうだよ。

私は陽性患者100名を収容予定の感染症指定病院に勤務していて、毎朝緊張しながら体温測定をしていて、サージカルマスクは3日間使いまわしていて、コロコロ変わる手術予定に振りまわされていて、疑陰性なんじゃないかとヒヤヒヤしながら患者対応をしていて、自分が感染源になる可能性にビビって車通勤に切り替えて、昼食にカレーは控えるようになって、でも、
まだまだまだまだ全く「大丈夫」な看護師だ。私がいるのは地獄じゃない。こんなもんじゃない。こんなもんじゃなかった。こんなもんじゃないんだよ。

考えるだけで気が狂いそうだよ!!!!!!!!!!!!!!
死人が出るよ。患者さんのことじゃない。院内感染の話でもない。自殺者が出るよ。

知ってください。お願いです。知ってください。最前線は地獄の底だ。

駐車場で泣いていた子。新卒と間違えるほど若い子だった。人目につくところで泣いていたのはSOSだったんじゃないか。思い切って話しかけるべきだったんじゃないか。後悔し続けている。毎朝駐車場で探してしまうが、あれ以来見かけたことはない。

怖くて仕方がない。
うちはまだ院内感染が起きていない。どう考えても時間の問題だとしか思えないが、とりあえず最大の爆弾はまだ爆発していない。それでこれなのだ。すでに院内感染が発生している病院はどれほどの苦境にいるのだろう。想像するだけでキツい。怖い。

言葉にするだけで気が狂いそうだ。この国のどこかで、すでに命を絶った医療従事者がいるかもしれない。最前線はそういう状況だった。とっくのとうに地獄の窯の底だった。

4/18。NHKで新型コロナウイルスの特集をしていた。右上に出ている見出しには「差し迫る医療崩壊!」とある。

とっくに崩壊してんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

見て分からないのか?!?!?!?!?!?!?!

NHKに限らない。メディアさんたち、いつまで「差し迫った」だの「どう防ぐ」だの「瀬戸際」だの言うつもりだ???1か月くらい前からずーーーーーーっと迫り続けてない???今どの辺まで迫ってるの???瀬戸際の瀬戸際の瀬戸際くらい????来週は瀬戸際の瀬戸際の瀬戸際の瀬戸際か???????

「ついに訪れた医療崩壊」くらいのさ!!!!!見出しをつけるくらいのさ!!!!!!

そんくらいの気骨を見せてよ!!!!!!!!伝えてくれよ!!!!!!!!!!

視聴率とれるぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

医療現場は崩壊してます。
毎日泣きながら働く最前線スタッフの苦しみと、底が尽き果てた医療資材と、ベッドを増やしても増やしても溢れ続ける患者と、もう防ぎようのない院内感染と、何をとっても崩壊しきっているとしか思えない。意地でもそれを認められないらしいメディアさんのおかげで、最近テレビそのものが苦痛でしかたない。

どうして????何なの??「これもう崩壊してるよね」って言ったらどっかから怒られるの???ここは北朝鮮か??????
(4/20 サンデージャポンで「ついに崩壊か?!」という見出しを確認。サンジャポにいいね!する日がくるとは)

4月16日。日本看護協会が厚労省へ要望書を出した。

https://www.nurse.or.jp/up_pdf/20200416173648_f.pdf

https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20200417/k10012391731000.html

とても失礼ながら、こんな強く声を上げる団体だと思っていなかった。毎年給料から年会費2万円を強制徴収する団体という認識しかなかった。表参道のエルメス(ヴィトンだったかもしれない)の隣に立つビルを見るたびに、「私たちの年会費で建てたビル」「埼玉に引っ越せ」と野次っていてすまん。びっくりした。
危機に際して、所属する団体のトップが自分たちを守ろうと毅然と声を上げてくれることが、現場の声をくみ取って動いてくれることが、こんなに安心感を与えるものだと思わなかった。体験したことがなかったので。ねえ内閣総理大臣。

要望書を見た友人が心配してLINEをくれた。医療職ではない人が見てもギョッとするくらい、逼迫するものを感じたのだろう。

「お願いだから、自分の身を最優先にしてね」の言葉にちょっと泣いた。私も本当に、本当にそう思う。

これを読むかもしれない看護師さんに伝えたい。医師にもコメディカルにも、委託業者さんにも、クラークさんにも、助手さんにも伝えたい。声を上げる気力もないほど追い詰められている崩壊しきった医療現場のあなたに、どうかどうか届いてほしい。

逃げていい。逃げましょう。
絶対に身を粗末にしないでほしい。死なないでほしい。お願いだから。

心が潰れそうな思いでいる。同僚が、友人が、私の大切な人が、誰かの大切な人が、地獄の底にいるかもしれない。医療資材が次々に底を尽きる現場で泣きながら働き続けて、心身を壊してしまうかもしれない。命を絶ってしまうかもしれない。気が狂いそうだ。

本当にお願いだから、絶対に死なないでほしい。誰も死なないでほしい。逃げてほしい。

あなたも私も、生活の糧に医療職を選んだだけのごく普通の人間だ。専門職としてのプライドも信念も、たぶん奉仕精神みたいなもんも持っているけども、それは生業の範疇の話であって、食べていくために必要だから身に着けたのであって、言うなれば職業人としてのプライドだ。
絶対に殉じるようなものじゃない。

ポリ袋かぶせられる前に逃げて何が悪いんだよ!!!!!!!!!!!!

何でこんな目に合わないといけないんだ?!?!?!
私はまだ地獄には落ちていない。まだ怒ることができる。声を上げる気力がある。その私でも、怒りよりも絶望感に心を浸され始めている。

なんでそのまんまイタリアと同じことになってるんだ?
この世界難を前に、2カ月間何をしていたの?

オリンピック開催に躍起になり、サージカルマスクを自分のパーティーで何百枚も配り、横流しし、466億円をかけて不良品入りの布マスクを配ってました。あと犬を撫でてる動画を公開した。そうですか。ハイ。

あんたらがポリ袋被ってくれ!!!!!!!!!!!!!!!

「先手先手」の意味知ってるか??????????

そしてマジで気を失いそうなんだけど不良品の話は本当なの???

もうねさすがにデマであってほしいと願うレベルだよ!!!!!!!

不良品が事実だとして!!!!!どこで作ってんだそのマスク!!!!!!!!ねえまさか新型コロナウイルス付いてないよね?????本当に冗談じゃないんだけど?????
ここが最底辺だろうと思うたびに、「最低」の底が軽々とブチ抜かれていく。本当に怖いよこの国が。現政府が。おかしいだろ。普通に考えて何もかもおかしいだろ。

466億円かけて虫付きの布マスク配る国だぞ!!!!!!!!!

正気でいられないよ!!!!!!!!!!!!

こんな政府のせいで死にたくない。医療現場だけでなく、と言う余裕はもうなくなってしまった。建前は吹き飛んだ。
私は我が身の安全と、同じ医療現場で苦しんでいる仲間のことしか考えられない。あなたのことが心配だ。お願いだから、命を絶たないで。

サージカルマスクもプラスチックガウンもN95も、何も間に合わないし、金がもらえたとしても先の話だろう。

4/17に発表された新型コロナウイルス診療への診療報酬倍増は、久々にブチ切れないニュースだった。だけども、残念ながらこれはスタッフの手に渡る金ではない。具体的に、どこの部分が何点上がるのか発表されないことには、病院に入る利益だってどんなもんか分からない。

今まで散々、お金を取りやすいところから、手がかかりやすいところから、狙い撃ちするように診療報酬を削り取られ続けてきたので、信用ができない。これはまた、別の怒りが噴き出してしまうからやめておくが。

看護協会が「危険手当て」と明言したのはここだろう。地獄の底で苦しんでいるスタッフ全員の手元に行き渡る報いが欲しい。「命がけ」が文字通りである現実に、国や行政からの具体的な報いがほしい。エールはもういい。

逃げような。

朝起きて、「無理だ」と思ったらすぐ逃げてほしい。
スマホの電源を切って、鞄にパンツと歯ブラシだけ詰めて、堂々と公共交通機関を使って、安らげる場所に逃げてほしい。できれば、友人とか家族とか恋人とか、あなたを大切にしている誰かの元に。
真面目な方ほど、患者さん思いで真摯で誠実な“医療従事者”ほど勇気がいるだろう。患者さんや他のスタッフの顔が浮かんでしまうだろう。よくよく分かる。でも勇気を出して、逃げてほしい。心からのお願いだ。

私はそうするつもりだ。叩くなら叩けばいい。知ったことか。

身近に医療従事者、および病院スタッフがいる方。ちょっとでも不安があったら、連絡をとってみてください。できれば電話をして、声を届けてください。思いもよらぬところで、全く予期せず地獄に落ちているスタッフがたくさんいる。
「心配しすぎだよ」と笑われるくらいならそれでいい。取り返しのつかない悔恨が生まれてほしくない。

これは私が目にしているそのままの現実だ。書き記す気力があるうちに、見たものを、この感情を残さねばと思い書いている。

感情の中でも特に「怒り」は、抜きんでて鮮度が命だから。フレッシュな怒りを持ち続けるのは不可能だ。だけど、言葉を使って真空パックしておくことはできる。

この渦中における感情をそのまま書き写した言葉は、きっと後々自分の中で価値あるものになる。忘れてなるものか。

まだ気力がある方たち。「自分がこんな苦境に立たされている」と言葉にしてほしい。声を上げて、残しておいてほしい。
「もっと大変な人がいる」とか、建前なんか立てなくていい。矛先が鈍るだけだ。
他でもない“あなた”が苦しめられていることに怒っていい。声を上げていい。当たり前のことだと思う。自分のために声を上げるということが、「わがまま」とか「欲張り」と混同されて委縮していくのが、見ていてとても辛い。

みんな自分を大切にして。第一にして。
「もう無理」と思ったら、着の身着のままで逃げよう。

そんで国から貰えるお金をぜーーーーんぶ貰って生き残ろう。お金が足りなかったら、「足りない!」とまた声を上げよう。声を上げて、もらえたらラッキーだ。とりあえず声を上げたらいい。それでいい。「今ここにいる人」なら、誰でもみんなその権利がある。人権ってやつが。

諦めずに、うるさく、しつこく、声を上げよう。

そして生き残ってほしい。お願いだから。

駐車場で泣いていたあの子の姿が目に焼き付いて離れない。どうしたの?と一言、声をかければよかった。後悔し続けている。

あなたに届いてほしい。その一心で、今、これを書いています。

地獄のお隣、医療の現場より。https://note.com/yo_tsu_ya_3/n/nd83fab39b68c



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*別の記事がアップされてます。

https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/医療従事者の%ef%bd%a2悲痛すぎる声%ef%bd%a3が映す崩壊の現実-人も資材も設備も限界%ef%bd%a4差別という非道な例も/ar-BB12Uk37?ocid=spartanntp

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1109891.html?fbclid=IwAR2xEY7GWPy8gsKdoXz7CzBzf6OmkcjEM3-Ank2jRyxGH4R5ldj46-nRP1w

<余談:全国の感染症ベッド数>
平成31年4月1日現在の感染症指定医療機関
●特殊感染症指定医療機関4、10床
●第一種感染症指定医療機関55施設、103床
●第二種感染症指定医療機関351施設、1758床
全国で合計1871床
一般病床を空けて新型コロナ感染症患者を収容しなければならない。準備がなかったということ。それでもケアしなければならない、医者も看護師も気が狂いそうな状況下で仕事している。N95マスク、防護服、必要な機材をそろえてやらないとリスクが高すぎる。最初の患者が発生してから3か月が過ぎるが、状況は悪化するばかりだ。
https://www.mhlw.go.jp/.../kekkaku-kansenshou15/02-02.html


<弊ブログ過去にとりあげた記事>
*"Flu fears spread as cases stack up" (ブタ・インフルエンザ関連)
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2009-05-02

 別海で鳥インフル陽性(北海道新聞)(4)

 死骸さらに2羽確認(北海道新聞)(5)


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#4226 武漢コロナ感染症:休校初日のグラウンド April 18, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 武漢コロナ感染症対策で、今日4/18から5/6まで小中高が休校となっています。休校初日に母校(中学校)のグラウンドの周りを歩いてみました。

①テニスコート2面
バス通りに面して、テニスコートが2面あります。テニスコートのある中学校は光洋中学校だけ。都会の学校にはとっても贅沢なテニスコートです。元々は根室中学でした。戦後はこのテニスコートの場所は畑だったんです。肥料は人糞、トイレから長い柄のひしゃくで掬って木桶に入れて天秤棒で担ぎますが、慣れないと揺れて跳ねてズボンにつきます。(笑) 中学校で生徒たちが大根やキャベツを作っていました。戦後の食糧不足を補うためでした。団塊世代が入学したときにはもう畑はつくっていません。木桶を天秤でぶら下げて担ぎ損ねました。旧校舎は現在のグラウンドにもっと近いところにあったのです。1年8組から10組まではグラウンドに近い場所で、戦時中は馬小屋だった建物でした。そこを校舎に改造したので、吹雪には教室に雪が入ってきました、すこしですよ。3年10組のときは給食室のほう、一番端でグラウンドのバックネットの前でした。
 冬は今より雪が多くて、分厚い鋳物の石炭ストーブでした。生徒たちが交代で毎日石炭をとりに行きます。あったかかった、もちろんストーブの前の人だけ。真っ赤な顔してがんばってました。後ろは寒いんです。持って行ったアルミ製のお弁当をストーブの周りに並べて温めます。授業中にさまざまなおかずの匂いがしてきます。いいでしょ。(笑)
団塊世代が中学生になったときに、教室が足りないので、柏陵中学校が新設され、根室中学校は光洋中学校と名称を変更しています。だから、わたしたちが光洋中学校1期生です。
SSCN3481.JPG

②画面左側がテニスコート、右側がグラウンド

この土手は20度くらいあるかな、マウンテンバイクでギアを一番軽くしないと登れません。草でふかふかしてペダルがとっても重くなります。登りは姿勢を前傾にしてハンドルの上に体重を乗せます、下りはサドルからお尻を外して、後ろ側へずらせ、バランスを取ります。結構楽しいのですが、息が切れるので数回やったら終わりです。ほどほどがよろしいようで…
SSCN3479.JPG

③広いグラウンド、広さは?
奥のほうに犬を散歩させている姉妹とサッカーボールで遊んでいる少年が一人だけいました。
SSCN3478.JPG

④右端から写してます。左側手前に校舎があります。
グラウンドの広さは奥まで190歩、左右が95歩でしたから、今日の歩幅は95㎝ですから、180m×90mあります。この角度から20㎞先の納沙布岬の展望塔が見えることがあります。
SSCN3480.JPG

 外で遊ぶ中学生はほとんどいません。10年ほど前には教員住宅の付近で缶蹴りして遊んでいる元気な中学生が十数人ほどいました。とっても楽しそうだった。半分くらいが光洋中サッカー部で、女生徒もまざっていました。缶蹴りって思いっきり走るので体力つきます。(笑)
 百年以上も生徒たちが遊ぶのを見続けてきたグラウンドですが、人がいなくてなんだか寂しそうに見えませんか?在校生のみなさん、ボールもって遊びに行ってやってください。




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#4223 藤原辰史『パンデミックを生きる指針』April 16, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 すごい人がいた。読み応えのある論考である。次のサイトから緊急メッセージを全文引用した。(…)部分は意味を分かりやすくするためのebisuのつけ足し。
 

*https://www.iwanamishinsho80.com/post/pandemic?fbclid=IwAR2yXLiQraGym047OOYeTYQna8pw5UJ41WqNxcINNrYtQUlss7YEixGCW4E

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藤原辰史:パンデミックを生きる指針         ——歴史研究のアプローチ   
 
1 起こりうる事態を冷徹に考える 
2 国に希望を託せるか 
3 家庭に希望を託せるか 
4 スペイン風邪と新型コロナウイルス 
5 スペイン風邪の教訓 
6 クリオの審判 
(本文中で言及された①~④の記事には、末尾で示したQR コードからアクセスできます)
 (ebisu注:歴史の女神クリオが携えるのはラッパと書物、頭には月桂樹(げっけいじゅ)の冠をかぶっている。月桂冠とラッパは勝利と名声を表し、書物には勝者の栄光が記されている。歴史とは勝ち残った者の記録という寓意(ぐうい)なのだろう…https://mainichi.jp/articles/20190601/ddm/001/070/103000c)
 
1 起こりうる事態を冷徹に考える
    人間という頭でっかちな動物は、目の前の輪郭のはっきりした危機よりも、遠くの輪郭のぼやけた希望にすがり たくなる癖がある。だから、自分はきっとウイルスに感染しない、自分はそれによって死なない、職場や学校は 閉鎖しない、あの国の致死率はこの国ではありえない、と多くの人たちが楽観しがちである。私もまた、その傾 向を持つ人間のひとりである。     甚大な危機に接して、ほぼすべての人びとが思考の限界に突き当たる。だから、楽観主義に依りすがり現実から 逃避してしまう——日本は感染者と死亡者が少ない。日本は医療が発達している。子どもや若い人はかかりにく い。1、2週間が拡大か制圧かの境目だ。2週間後が瀬戸際だ。3週間後が分水嶺だ。一年もあれば五輪開催は大 丈夫だ。100 人に4人の中には入らないだろう。そう思いたくなっても不思議ではない。希望はいつしか根拠の ない確信と成り果てる。第一次世界大戦は 1914 年の夏に始まり 1918 年の秋まで続いたが、開戦時にドイツ皇 帝ヴィルヘルム二世はクリスマスまでには終わると国民に約束した。第二次世界大戦では、日本の勝利に終わる と大本営は国民に繰り返し語っていた。このような為政者の楽観と空威張りを、マスコミが垂れ流し、政府に反 対してきた人たちでさえ、かなりの割合で信じていたことは、歴史の冷酷な事実である。     ペストの猛威、三十年戦争、リスボンの大震災、ナポレオン戦争、アイルランドのジャガイモ飢饉、コレラやペ ストや結核の蔓延、第一次世界大戦、スペイン風邪、ウクライナ飢饉、第二次世界大戦、チェルノブイリ原発事 故、東京電力の原発事故。世界史は生命の危機であふれている。いずれにしても甚大な危機が到来したとき、現実の進行はいつも希望を冷酷に打ち砕いてきた。とりわけ大本営発表にならされてきた日本では、為政者たちが 配信する安易な希望論や道徳論や精神論(撤退ではなく転進と表現するようなごまかしなど)が、人を酔わせて 判断能力を鈍らせる安酒にすぎないことは、歴史的には常識である。その程度の希望なら抱かない方が安全とさ え言える。
     想像力と言葉しか道具を持たない文系研究者は、新型コロナウイルスのワクチンも製造できないし、治療薬も開 発できない。そんな職種の人間にできることは限られている。しかし(文系研究者にもやりうることは)小さくはない。たとえば、歴史研究者は発見した史料を自分や出版社や国家にとって都合のよい解釈や大きな希望の物語に落とし込む心的傾向を捨て る能力を持っている。そうして、虚心坦懐に史料を読む技術を徹底的に叩き込まれてきた。その訓練は、過去に 起こった類似の現象を参考にして、人間がすがりたくなる希望を冷徹に選別することを可能にするだろう。科学 万能主義とも道徳主義とも無縁だ。幸いにも私は環境史という人間と自然(とくに微生物)の関連を歴史的に考 える分野にも足を突っ込んでいる。こうした作業で、現在の状況を生きる方針を探る、せめて手がかりくらいを 得られたらと願う。       

2 国に希望を託せるか   
  まず、現実を観察したい。  
   新型コロナウイルスは世界を分断している。日本の内部も。そもそも、日本だけ感染者が少ないという事実は、 検査量の少なさに拠るところも多く、喜んでいられない。運悪く最近まで東京オリンピックを七月に実施したい と足掻いていた人たちが、日本社会に根拠のない楽観主義をもたらしてきた。しかし、延期が決定するやいなや 首都では感染者の数が急速に増えつづけている。世界では高齢者や重病者以外の感染者も死者も増えてきている。 さらにいえば、新型コロナウイルスは、人びとの健康のみならず、国家、家族、そして未来への信頼を打ち砕き つつある。すでにもう土台がぐらついていたものばかりであるが。 
    第一に、国家。     人びとは、危機が迫ると最後の希望をリーダーとリーダーの「鶴の一声」にすがろうとする。自分の思考を放棄 して、知事なり、首相なり、リーダーに委任しようとする。     たしかに、もしも私たちが所属する組織のリーダーが、とくに国家のリーダーがこれまで構成員に情報を隠すこ となく提示してきたならば、そのデータに基づいて構成員自身が行動を選ぶこともできよう。異論に対して寛容 なリーダーであれば、より創造的な解決策を提案することもできるだろう。データを改竄したり部下に改竄を指 示したりせず、きちんと後世に残す文書を尊重し、歴史を重視する組織であれば、ひょっとして死ななくてもよ かったはずの命を救えるかもしれない。自分の過ちを部下に押し付けて逃げ去るようなそんなリーダーが中枢に いない国であれば、ウイルスとの戦いの最前線に立っている人たち、たとえば看護師や介護士や保育士や接客業 の不安を最大限除去することもできよう。危機の状況にも臨機応変に記者の質問に対応し少数意見を弾圧しない リーダーを私たちが選んでいれば、納得して人びとは行動を起こせる。「人類の叡智」を磨くために、「有事」 に全く役に立たない買い物をアメリカから強制されるのではなく、研究教育予算に税金を費やすことを使命と考 えてきた政府であれば、パンデミックに対して少なくともマイナスにはならない科学的政策を提言できるだろ う。     ところが、残念ながら日本政府は、あるいはそれに類する海外の政府は、これまでの私たちが述べてきた無数の 批判に耳を閉ざしたまま、上記の条件を満たす努力をすべて怠ってきた。そんな政府に希望を抱くことで救われ る可能性は、『週刊文春』の 3 月 26 日号に掲載された「最後は下部のしっぽを切られる」「なんて世の中だ」 という自死寸前の赤木俊夫さんの震える手で書かれた文字群によって、また現在の国会での政府中枢の驚くべき 緩慢な言葉によっても、粉々に打ち砕かれている。この政権がまだ 45.5 パーセントの支持率を得ているという 驚異的な事実自体がさらに事態を悪くしている(共同通信社世論調査。2020 年3月28 日配信)。     その上、「緊急事態宣言」を出し、基本的人権を制限する権能を、よりにもよって国会はこの内閣に与えてしま った。為政者が、国民の生命の保護という目的を超えて、自分の都合のよいようにこの手の宣言を利用した事例は世界史にあふれている。どれほどの愚鈍さを身につければ、この政府のもとで危機を迎えた事実を、楽観的に 受け止めることができるだろうか。 

 3 家庭に希望を託せるか 
    第二に、家庭。   
  国が頼りなければ、家庭に生死を決める重荷がのしかかってくる。家族ほど近くて頼れて安心できる存在はない。「濃厚接触」は免れないから運命共同体とさえいえる。しかし、在宅の仕事が難しい親は、小学生の子どもを家 に置いていかなくてはならない。その不安と罪悪感と闘わなくてはならない。不況による解雇も増えている。遠 くに住む老いた両親に手伝いに来てもらうにも、感染リスクに晒されながらの長旅は正直心配だ。結局、経済基 盤も育児環境も改善しない。家庭が安全であるという保証もない。     そもそも、子どもにとって家庭は安全な存在だろうか。あるべきかどうかではない。そうなのかどうか、である。 日本は、七人に一人の子どもが貧困状態にある国である。経済状況の差をここまで広げた政策のつけは、こうい う危機の時代に回ってくる。私は、『給食の歴史』(岩波新書、2019 年)で、高度経済成長期でさえ給食で一日 の重要な栄養をとって食いつないできた子どもたちが多数いたことを書いた。まさに、現在は、子どもたちの最 後の生命線が絶たれている現状とさえいえるのだ。     たとえ、三食最低限のご飯が食べられている家庭でも、危険はまだ残っている。『クーリエジャポン』(3月29 日配信 ①)によると、「3 月 17 日の外出禁止令以降、家庭内暴力が増加した可能性があることを認めている。 パリ警視庁管轄の地域では1週間で 32 パーセント、憲兵管轄の地域では36 パーセントほど、家庭内暴力が増加 したという」。これはすでに女性への家庭内暴力が社会現象となっていたフランスだけの問題ではない。日本で も、普段は長時間一緒に滞在しない家族の成員が同じ屋根の下で過ごすことで、なんとなく気まずい空気が流れ ている家は少なくないだろう。普段虐待を受けている子どもにとって、家庭はますます逃げがたい牢獄となるだ ろう。子どもだけではない。配偶者、とくに夫の家庭内暴力を受けてきた妻には、外出が難しいこの現状は文字 通り牢獄にほかならない。今後、感染したことで家族の成員が欠けることも十分に考えられる。     家族が機能不全になったら地域に頼るしかない。しかし、不運なことに、そもそも社会的に弱い立場にある人を 支える場所が、新型コロナウイルスの影響で機能が低下したり、機能不全に陥ったりしている。地域の活動の場 所である PTA も自治会も NPO も、飛沫感染が恐れられるなか、活発な援助に手を出しにくい。子ども食堂も 学校給食もほとんど閉鎖され、子どもたちの腹と心の寂しさを誰も満たしてくれない。     しかも現時点で、近年頻発する水害や地震のような大災害が起こったならば、地域の避難所は間違いなく感染の 温床となってしまうだろう。ゆえに、現時点で各地方自治体は、災害時の避難の対応について早急にガイドライ ンを作成すべきである。  

  4 スペイン風邪と新型コロナウイルス  
   新型コロナウイルスの活動が鎮静ではなく、拡散の方向に向かっているいま、希望的観測から頼りうる指針を選 別していくため参考にすべき歴史的事件は、SARS やエボラ出血熱よりも「スペイン風邪」、すなわち、スパニ ッシュ・インフルエンザだと私は考える百年前のパンデミックである。アメリカを震源とするこのインフルエ ンザの災いは、戦争中の情報統制で中立国だったスペインからインフルエンザの情報が広まったため、スペイン人にとっては濡れ衣にほかならない名前が歴史の名称となった。1918 年から1920 年まで足掛け3 年かけて、3 度の流行を繰り返し、世界中で少なく見積もっても4800万人、多く見積もって一億人の命を奪い(山本太郎『感 染症と文明——共生への道』岩波新書、2011 年)、世界中の人びとを恐怖のどん底に陥れた。そのわりに教科書 でも諸歴史学会でもほとんど取り上げられなかった世界史の一コマである。私は、第一次世界大戦期ドイツの飢 餓について研究を進めていく過程で(『カブラの冬——第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』人文書院、2011 年)、多くの民間人をも苦しめたスパニッシュ・インフルエンザについて調べたことがあるが、現状のパンデミ ックと似ている点が少なくないことに気づく。どちらもウイルスが原因であり、どちらも国を選ばず、どちらも 地球規模で、どちらも巨大な船で人が集団感染して亡くなり、どちらも初動に失敗し、どちらもデマが飛び、ど ちらも著名人が多数死に、どちらも発生当時の状況が似ている。     ただ、当時は、インフルエンザのウイルスを分離する技術が十分に確立されておらず、医療技術的には現在の方 が有利、地球人口が17 億程度だった当時と、75 億人まで増えた現在とでは過去の方が有利だ。新聞以外にSNS も含め多くのメディアが必要・不必要にかかわらず情報を大量に発信しているのも現在の特徴であり、正直、ど ちらに転ぶかわからない。百年前はWHOも存在しなかったので、本来であれば現在の方が有利だと思いたいけ れど、なかなかそう思いづらいのは報道の通りである。 
    百年前の日本はちょうど米騒動とシベリア戦争(シベリア出兵)の時代である。当時、アジアもヨーロッパも北 米大陸にも、これまであり得ないほどの人の移動があった。第一次世界大戦の真っ只中だったからである。すで に 1918 年の春からインフルエンザが流行っていたアメリカから、多数の若い男たちが輸送船に乗ってヨーロッ パにわたっていた。換気が悪く、人口密度が高い船内でどんどん感染が広がり、健康そのものだった若者が次々 に死んでいった。ヨーロッパにはアジアからも多くの人たちが労働者として雇われていた。植民地である仏領イ ンドシナからはフランスへ、インドやビルマからはイギリスへ、中国からは苦力が多数ヨーロッパに上陸してい た(東南アジアの第一次世界大戦については、早瀬晋三『マンダラ国家から国民国家へ——東南アジア史のなか の第一次世界大戦』人文書院、2012 年)。やがて、アジアにも感染は拡大し、日本でも約40 万人前後が亡くな ったと言われている。    インフルエンザがここまで世界に広がり、多くの兵士たちが死んでいった理由として、戦争中の衛生状態や栄養 状態が考えられた。環境史家のアルフレッド・W・クロスビーによれば、兵士は、体調不良を感じても衛生的に 悪い条件で無理して作業に従事するため、悪化しやすく、感染しやすかったという。銃後は食糧不足に悩んでお り、やはりインフルエンザ・ウイルスの格好の餌食となった。しかも当時兵士たちを悩ませていた一つが虫歯だ ったことを考えれば(Ruchel Duffett, The Stomach for Fighting: Food and the Soldiers of the Great War , Manchester University Press, 2012, p. 21.)、ウイルスの主な生存場所である口腔の衛生状態は相当に悪かっただ ろう。     だからといって、いま、世界規模で繰り広げられるような戦争がなかったことを寿ぐことはできない。ここ十年 の人の移動の激しさは当時の比ではない。その最大の現象は昨今のオーバーツーリズムであるかつての兵士は いまのツーリストである。船ではなく飛行機で動くツーリストたちの動きは、頻度と量が桁違いだ。それが今回 の特徴である。   

5 スペイン風邪の教訓   
  スパニッシュ・インフルエンザの過去は、現在を生きる私たちに対して教訓を提示している。クロスビー『史上 最悪のインフルエンザ——忘れられたパンデミック』(西村秀一訳、みすず書房、2004 年)を参考にしつつ、ま とめてみたい。     
 
  第一に、感染症の流行は一回では終わらない可能性があること。スパニッシュ・インフルエンザでは「舞い戻り」 があり、三回の波があったこと。一回目は四ヶ月で世界を一周したこと。一回目よりも二回目が、致死率が高か ったこと。新型コロナウイルスの場合も、感染者の数が少なくなったとしても絶対に油断してはいけないこと。 ウイルスは変異をする。弱毒性のウイルスに対して淘汰圧が加われば、毒を強めたウイルスが繁殖する可能性も ある。なぜ、一回の波でこのパンデミックが終わると政治家やマスコミが考えるのか私にはわからない。ちょっ と現代史を勉強すれば分かる通り、来年の東京五輪が開催できる保証はどこにもない。 
    第二に、体調が悪いと感じたとき、無理をしたり、無理をさせたりすることが、スパニッシュ・インフルエンザ の蔓延をより広げ、より病状を悪化させたこと。何より、軍隊組織に属する兵士たちの衛生状況や、異議申し立 てができない状況を考えてみるとわかる。過労死や自殺者さえも生み出す日本の職場の体質は、この点、マイナ スにしか働かない。 

    第三に、医療従事者に対するケアがおろそかになってはならない。スパニッシュ・インフルエンザを生きのびた 人たちの多くが、医師や看護師たちの献身的な看病で助けられたと述懐している。目の前の患者の命がかかって いる場合、これらの人たちは、多少自分が無理しても助けようとすることが多いことは容易に想像できよう。し かし、いうまでもなく、日本の看護師たちは低く定められた賃金のままで、体を張って最前線でウイルスと戦っ ていることを忘れてはならない。世界現代史は一度だって看護師などのケアの従事者に借りを返したことはない のである。
     第四に、政府が戦争遂行のために世界への情報提供を制限し、マスコミもそれにしたがっていたこと。これは、 スパニッシュ・インフルエンザの爆発的流行を促進した大きな原因である。情報の開示は素早い分析をもたらし、 事前に感染要因を包囲することができる。 
    第五に、スパニッシュ・インフルエンザは、第一次世界大戦の死者数よりも多くの死者を出したにもかかわらず、 後年の歴史叙述からも、人びとの記憶からも消えてしまったこと。それゆえに、歴史的な検証が十分になされな かったこと。新型コロナウイルスが収束した後の世界でも同じことにならぬよう、きちんとデータを残し、歴史 的に検証できるようにしなければならない。とくにスパニッシュ・インフルエンザがそうであったように、危機 脱出後、この危機を乗り越えたことを手柄にして権力や利益を手に入れようとする輩が増えるだろう。醜い勝利 イヴェントが簇生するのは目に見えている。だが、ウイルスに対する「勝利」はそう簡単にできるのだろうか。 人類は、農耕と牧畜と定住を始め、都市を建設して以来、ウイルスとは共生していくしかない運命にあるのだか ら(たとえば、ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史——国家誕生のディープヒストリー』みすず書房、 2019 年)。もしも顕彰されるとすれば、それは医療従事者やケースワーカーの献身的な働きぶりに対してであ る。 
    第六に、政府も民衆も、しばしば感情によって理性が曇らされること。百年前、興味深い事例があった。「合衆 国公衆衛生局は、秋のパンデミック第二波の真っ只中、ほかにやるべき大事なことが山ほどあったにもかかわら ず、バイエル社のアスピリン錠の検査をさせられていた」。これは、「1918 年当時の反ドイツ感情の狂信的なま での高まり」が、変な噂、つまり、ドイツのバイエル社が製造していたアスピリンにインフルエンザの病原菌が 混ぜられて売られているという噂が広まっていたためである(クロスビー『前掲書』259 頁)。 
    現在も、疑心暗鬼が人びとの心底に沈む差別意識を目覚めさせている。これまで世界が差別ととことん戦ってき たならば、こんなときに「コロナウイルスをばら撒く中国人はお断り」というような発言や欧米でのアジア人差 別を減少させることができただろう。あるいは、政治家たちがこのような差別意識から自由な人間だったら、き っと危機の時代でも、人間としての最低限の品性を失うことはなかっただろう。そしてこの品性の喪失は、パン デミック鎮静化のための国際的な協力を邪魔する。 
 第七に、アメリカでは清掃業者がインフルエンザにかかり、ゴミ収集車が動けなくなり、町中にごみがたまった こと。もちろん、それは都市の衛生状況を悪化させること。医療崩壊ももちろん避けたいが、清掃崩壊も危険で あること。     第八に、為政者や官僚にも感染者が増え、行政手続きが滞る可能性があること。たとえば、当時のアメリカの大 統領ウッドロウ・ウィルソンも感染者の一人である。彼が英仏伊と四カ国対談の最中に三九・四度の発熱で倒れ、 病院に入院している間、会議の流れが大きく変わり、ドイツへの懲罰的なヴェルサイユ条約の方向性が決まって しまった。  


6 クリオの審判  

さらにいえば、新型コロナウイルスが鎮静化すれば危機が去ったと言うことはできない。実は、本当に怖いのは ウイルスではなく、ウイルスに怯える人間だ。ドイツの首相アンゲラ・メルケルは 3 月 18 日の演説で、日本の 首相とは異なり、基本的人権を制限することの痛みと例外性を強調した。東ドイツ出身の彼女にとって、移動と 旅行の自由は苦労してやっと得たものだった(日本語訳は、Mikako Hayashi-Husel ②)。だが、これが例外であ りつづけるのかどうか、私は大いに疑問である。今回のパンデミックは人びとの認識を大きく変えるだろう。人 びとの不測の事態に対するリスクへの恐怖が高まり、ビッグデータの保持と処理を背景とした個別生体管理型の 権威国家や自国中心主義的なナルシズム国家がモデルとなるかもしれない。ユヴァル・ノア・ハラリは新型コロ ナウイルスの後は、E U理念の復活のチャンスになりうるという希望的観測を慎重に抽出しているが、私は上記 の理由から、逆に価値が暴落する可能性も考えている(Yuval Noah Harari, In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership, in: Time on 15 March 2020. ③)。また、ハラリは、コロナウイルスの対応におい て、各国の遮断ではなく協力を呼びかけており、それには全面的に賛成するが、それにしても自国中心主義に溺 れる国家が国際社会には溢れすぎている。こうして、世界の秩序と民主主義国家は本格的な衰退を見せていくの かもしれない。すでにパンデミック以前から進行していたように。 


 または、ハラリは述べていないが、新型コロナウイルスを「滅菌」するための消毒サービスが流行して、恐怖鎮 静化商品の市場価値が生み出され、人びとが、ただでさえ蔓延していた潔癖主義に取り憑かれ、人間にとって有 用な細菌やウイルスまで絶滅の危機、それによる体内微生物相の弱体化、そして免疫系統への悪影響に晒される かもしれない。第一次世界大戦後、毒ガスの民需転用で殺虫剤商品が増えていくが(その一つがユダヤ人虐殺に 用いられたツィクロンBである)、これが公共交通機関や公共施設の消毒に用いられたのは、おそらくインフル エンザが猛威を振るったこととも関係しているだろう(拙著『戦争と農業』集英社インターナショナル新書、2017 年)。 


 消毒文化の弊害については、さしあたり、マーティン・J・フレーザー『失われてゆく、我々の内なる細菌』(山 本太郎訳、みすず書房、2015年)が参考になるだろう。そうして、ある特定のウイルスを体内に長年共生させ、 他の病原菌から守るような状況になる可能性を失っていくかもしれない。潔癖主義が人種主義と結びつくと、ナ チスの事例に見られるようにさらに厄介である(H・P・ブロイエル『ナチ・ドイツ 清潔な帝国』大島かおり訳、 人文書院、1983 年)。     このように、悪いことはいくらでも想像できる。しかし、世界史の住人たちは一度として、危機の反省から、危 機を繰り返さないための未来への指針を生み出したことがない。世界史で流された血の染み付いたバトンを握る 私たちは、今回こそは、今後使いものになる指針めいたことを探ることはできないだろうか。  


 第一に、うがい、手洗い、歯磨き、洗顔、換気、入浴、食事、清掃、睡眠という日常の習慣を、誰もが誰からも 奪ってはならないこと。あたりまえだ、という反応が帰ってきそうだが、歴史が我々に教えているのはむしろ、 戦争とそのための船上および鉄道での移動がこのあたりまえの習慣を困難にしたことである。人間を不衛生な場 所に収容・監禁することがこれを困難にしてきた歴史も、私たちは知っている。仕事が忙しくても、仕事中に上 記の基本的な予防(たとえば昼休みにも歯磨きをすることや共有のゴミ箱やトイレを丁寧に使うこと)を部下が 実践することを、上司が止めず、上司もみずから進んでやること。よく食べ、よく笑い、よく寝る、という免疫 力をつける重要な行為が、これまで仕事よりもあまり重視されなかったことを反省してみてもよい。 

    第二に、組織内、家庭内での暴力や理不尽な命令に対し、組織や家庭から逃れたり異議申し立てをしたりするこ とをいっさい自粛しないこと、なにより、自粛させないこと。その受け皿を地方自治体は早急に準備すること。 総力戦体制だから「城内平和Burgfrieden」(第一次世界大戦時にドイツで唱えられたスローガン)でいきましょ う、というのが、20 世紀の歴史の常道だったが、異議申し立ての抑制こそが、かえって新型コロナウイルスによ る被害を増大させるだろう。フランス大統領のエマニュエル・マクロンは 3 月 16 日のテレビ演説で「我々は戦 争状態にある」と繰り返し、アメリカ大統領のドナルド・トランプもみずからを「戦時下の大統領」と呼んで憚 らないが、この言葉は諸刃の剣である。緊急性を高めることのみならず、異論を弾圧することにも極めて効果的 な言葉だからだ。 

    第三に、戦争にせよ、五輪にせよ、万博にせよ、災害や感染などで簡単に中止や延期ができないイベントに国家 が精魂を費やすことは、税金のみならず、時間の大きな損失となること。どのイベントも、その基本的な精神に 立ち戻り、シンプルな運営に戻ること。とくに、日本のような災害多発列島はいつキャンセルしても対応可能な 運営が望まれる。  

   第四に、現在の経済のグローバル化の陰で戦争のような生活を送ってきた人たちにとって、新型肺炎の飛沫感染の危機がどのような意味を持つのか考えること。危機は、生活がいつも危機にある人びとにとっては日常である、 というあたり前の事実を私たちは忘れがちである。いつ落ちてくるかわからない戦闘機に毎日さらされている基 地周辺に住む人びとにとって、爆音で神経が参ってしまうリスクや事故に遭うリスクは、新型コロナウイルスに 感染するリスクよりも低いだろうか。原発事故によって放射性物質にさらされ、いまだに避難中の人びとにとっ て、病気になるリスクは、新型コロナウイルスに感染するリスクよりも低いだろうか。上司の嫌がらせを受けな がら働く人間にとって、過労死や自殺やうつ病になるリスクは、新型肺炎で死ぬリスクよりも低いだろうか。ホ ームレスが病気を患っている可能性は、新型コロナウイルスに感染する可能性よりも低いだろうか。派遣労働者 として働いているシングルマザーにとって、体を崩して子どもに負担をかける怖さは、新型コロナウイルスの怖 さよりも小さいだろうか。学校に馴染めない子どもたちが学校によって傷つくリスクは、この子たちに新型肺炎 が発症するリスクよりも低いだろうか。権力を握る者たちは、毎日危機に人びと晒してきたことを忘れているの だろうか。なにより、新型コロナウイルスが、こういった弱い立場に追いやられている人たちにこそ、甚大かつ 長期的な影響を及ぼすという予測は、現代史を振り返っても十分にありうる。 


 第五に、危機の時代に立場にあるにも関わらず、情報を抑制したり、情報を的確に伝えなかったりする人たちに 異議申し立てをやめないこと台湾の保健省大臣のように、体力的にも知能的にも、何時間でもどんな質疑が来 ても誠実に応答できる人間だけが、政治を担うことができる。また、インターネット上の新聞記事は、個人の生 命に関わる重要な記事にもかかわらず、有料が多い。情報の制限が一人の救えたかもしれない命を消すこともあ るのだ。せめて新型コロナウイルスに関する記事だけでも無料で配信するのが、メディアの社会的責任である。  


   日本は、各国と同様に、歴史の女神クリオによって試されている。果たして日本はパンデミック後も生き残るに 値する国家なのかどうかをクリオが審判を下す材料は何だろうか。危機の時期に生まれる学術や芸術も指標の 一つであり、学術や芸術の飛躍はおそらく各国で見られるだろうが、それは究極的には重要な指標ではない。死者数の少なさも、最終的な判断の材料からは外れる。試されるのは、すでに述べてきたように、いかに、人間価値の値切りと切り捨てに抗うかである。いかに、感情に曇らされて、フラストレーションを「魔女」狩りや「弱 いもの」への攻撃で晴らすような野蛮に打ち勝つか、である。  

   武漢で封鎖の日々を日記に綴って公開した作家、方方は、「一つの国が文明国家であるかどうか[の]基準は、 高層ビルが多いとか、クルマが疾走しているとか、武器が進んでいるとか、軍隊が強いとか、科学技術が発達し ているとか、芸術が多彩とか、さらに、派手なイベントができるとか、花火が豪華絢爛とか、おカネの力で世界 を豪遊し、世界中のものを買いあさるとか、決してそうしたことがすべてではない。基準はただ一つしかない、 それは弱者に接する態度である」(日本語訳は日中福祉プランニングの王青 ④)と喝破した。     この危機の時代だからこそ、危機の皺寄せがくる人びとのためにどれほどの対策を練ることができるか、という 方方の試金石にはさらなる補足があってもよいだろう。危機の時代は、これまで隠されていた人間の卑しさと日 常の危機を顕在化させる。危機以前からコロナウイルスにも匹敵する脅威に、もう嫌になるほどさらされてきた 人びとのために、どれほど力を尽くし、パンデミック後も尽くし続ける覚悟があるのか。皆が石を投げる人間に 考えもせずに一緒になって石を投げる卑しさを、どこまで抑えることができるのか。これがクリオの判断材料に ほかならない。「しっぽ」の切り捨てと責任の押し付けでウイルスを「制圧」したと奢る国家は、パンデミック 後の世界では、もはや恥ずかしさのあまり崩れ落ちていくだろう。 


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