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#5190 運転免許証返戻と運転経歴証明書交付申請手続き Mar. 15, 2024 [37. 老人介護・医療]

 最寄りの警察署へ運転免許証の返戻に行ってきました。とっても空いていてすぐに手続き、「今日から失効するので乗れなくなります」と何度も念を押され書類2枚に住所と氏名と生年月日を記入して提出し受け取ってもらいました。運転免許証は丸い穴をあけて戻ってきました。
 「運転経歴証明書」は身分証明書代わりになりますが、更新はありません。写真が1枚必要です。2週間後に「運転経歴証明書」が交付されるので、また警察署まで取りに行きます。

 始めていく場所なので、グーグルマップのナビ機能を使ってみました。とっても便利ですね。車のナビと同じです。

 一昨年の11月下旬に20年ぶりに東京へ戻ってきて、1年4か月間バス利用、車のない生活に慣れてから免許証の返戻です。バス路線は3つですから、1時間に5本くらい走っています。バス路線が充実してなかったら、車はまだ手離せなかったでしょう。わたしは団塊世代のど真ん中です。



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#5048 いま帯状疱疹患者が増えているのはなぜ? Sep.1, 2023 [37. 老人介護・医療]

 NHKラジオ番組に「マイ朝ラジオ」というのをやっており、その中に、朝5時半ころから10分間ほど「健康」をテーマにしたコーナーがあります。今朝のテーマは「皮膚トラブル・帯状疱疹」でした。解説したのは昭和医大皮膚科学講座の猪又直子主任教授でした。

 帯状疱疹が近年年率2%の勢いで増えているそうです。10年間続くと21%患者が増えます。帯状疱疹は水疱瘡ウィルスによるものです。80%の人が子どもの頃に水疱瘡に罹患していますが、それが治っても、水疱瘡ウィルスは体の中で生きています。免疫が下がったときにそれが顕在化して症状を起こします。
 典型的な症状は帯状に赤い発疹が現れひどく痛むということ。眼にウィルスが移動して症状を呈すると、糖尿病があれば失明のリスクが生じますから、油断のならない疾患です。他に、発疹症状はありませんが顔面麻痺を起こすことがあるそうです。
 50歳以上の人が帯状疱疹に罹りやすいのだそうです。ストレスを軽減し、睡眠を十分にとることで、免疫力を高めることが予防につながりますが、加齢によって免疫力は低下するので、お年寄りに患者が多いということになっています。

 わたしは、2006年7月にスキルス胃癌と巨大胃癌の併発で胃と胆嚢の全摘、胃周辺のリンパ節切除、浸潤していた横行結腸の一部切除手術を受けています。そのあと抗癌剤のTS-1を10クールほど服用しましたが、白血球数が下がりすぎて副作用がきつくて、何度か服用中止を主治医と相談して決めました。
 その数年後に、顔面麻痺が起きました。2月中旬頃の寒い時期でしたので、血行が良くなかったのも原因の一つに数えられるかもしれません。左側がマヒして瞼の上げ下げができません。手で瞼を閉じたり開けたりしていました。主治医へ相談すると、大学院のときの指導医が顔面麻痺症状が起きて、ステロイドホルモンの大量投与で治った例があることを思い出してくれました。病院へ入院して、医師の監視の下でやらなけりゃならないので、とりあえず自分でマッサージして様子を見て、ダメなら入院治療できる病院を紹介してもらうことに決めました。掌をこすり合わせて暖かくしてから顔面のマッサージを繰り返していたら、1週間ほどで、手を使わなくてもなんとか瞼の上下ができるように改善したのです。マッサージと瞼の運動を頻繁に繰り返すうちに、元の通りに動くようになりました。麻痺している間は、皮膚が少し垂れ下がるので、表情に出ます。気がついた塾生が数人、心配していました。いま振り返って考えると、あの顔面麻痺は帯状疱疹の前駆症状だったのかもしれませんね。胃癌の特効薬TS-1が効きすぎて、白血球が基準値よりもかなり下がって、逆隔離ぎりぎりの状態でしたから。

 ところで、なぜいま帯状疱疹が増えているのでしょう?
 免疫が下がると水疱瘡ウィルスが顕在化して、症状を起こすと猪俣直子主任教授が説明してくれました。では、最近免疫が下がるような感染症でもあったのでしょうか?
 ありましたね、COVID-19です。いまもウィルスは変異して流行を広げています。
 新型コロナワクチンはmRNAを体内に投入して、細胞内に入り込み、ウィルスのスパイク蛋白を産生させます。するとそれを攻撃する抗体が大量に産生されて、mRNAが入り込んでスパイク蛋白を産生している細胞を傷害します。キラーT細胞など免疫機能が働いて細胞障害性のサイトカインが分泌されます。血管内皮細胞が傷つき、凝固系の障害が起きます。微小血管に血栓ができたり、血管内皮細胞そう害され穴が開いて溶血します。脳出血や脳梗塞が起きます。ワクチンはPEGコーティングされているので、血液脳関門をやすやすと通過してしまいますから、全身の微小血管のどこでも血栓や溶血症状を起こすことになります。これは、分子病態学の専門家の意見です。ワクチン製造で使われている、ナノ粒子のmRNAワクチンがPEGコーティングされていることが問題だと、指摘しています。実験でPEGを使っていたから、経験智で知っていることです。感染症の研究者にはそういう専門知識はほとんどありません。厚生省のホームページに「...ワクチンは数日で分解されると言われている」と忽那医師の意見が載せられていました。これは論拠のない意見でした。国立長寿研究所が職員の定期検診時のワクチン接種データを追跡調査した結果、抗体価が10%に低下するのに6-7か月かかっていますワクチンは数日では分解されないのです。体内で入り込んだ細胞から半年間もスパイク蛋白を産生し続けます。スパイク蛋白を産生する正常細胞は、免疫システムの攻撃にさらされます。それは細胞障害性サイトカインの暴走です。自分の細胞を抗原として認識して炎症反応を起こすので、自己免疫疾患と同じ症状を呈します。すると、免疫反応を抑えるIgG4が分泌され、免疫反応を抑え込みます。抗炎症性サイトカインが分泌されて、免疫反応が抑え込まれます。本物のSARS-CoV-2ウィルスが侵入してきても、免疫反応が鈍くなるのです。だから、ブースター接種すると、ブレイクスルー感染が起きるのです分子病態学者の意見では、新型コロナmRNAワクチンは逆効果になっています。そして深刻な副作用を起こしていると主張しています。イスラエルのメタニヤス首相はすぐにワクチン接種を中止しています。盛んにワクチン接種をしているのは日本だけです、異様ですね。
 大阪市立大学名誉教授である分子病態学者井上正康先生の主張はシリーズ記事「新型コロナワクチンの正体」で8回取り上げて詳細に解説してあります
*「#4981新型コロナワクチンの正体①
 カテゴリー「ブログ記事履歴」で今迄にアップしたすべての記事5000本が検索できます。100個ずつ、管理番号とタイトル名リストが並びます。
 検索の仕方も解説してありますので、タイトルリストの一覧表から興味のある記事のタイトルをコピーして右側にある検索ボックスへ貼り付けてください。#4994で、制御性T細胞について最近の研究を紹介していますので、そちらもご覧ください。
*「#4994幻のサプレッサーT細胞


 ここからはわたしの仮説です。新型コロナmRNAワクチン接種で制御性細胞が働いて免疫低下が起きてしまったので、水疱瘡ウィルスが顕在化して、患者が増えたのではないか。
 
 こんな記事を見つけました。近畿大学医学部の大塚教授のコメントです。
スペインの論文では新型コロナウィルスのワクチンを接種した人の内、10%程度が帯状疱疹の原因となるウィルスが再活性化したという報告がありました。ただし、帯状疱疹がワクチンの接種による副反応によるものなのか、たまたま何かが重なっているのかはわかってはいません。

 人間の体の仕組みはとても複雑で精巧にできています。何かを過剰にやるとときに深刻な副作用が出ます。感染症学者にはmRNAの開発・製造技術に関する専門知識がありませんから、分子生物学者や分子病態学者の意見に謙虚に耳を傾けるべきではないでしょうか?

<類似の現象が起きている>
 同じことが、福島第一原発のトリチウムの影響に関して起きています。原子力工学の専門家たちはトリチウムが出すのはβ線でエネルギーも低く、紙一枚で遮蔽できるから、遺伝子への影響はない、細胞表面に張り付いても細胞核までは距離があって放射線がDNAを傷つけることはあり得ないと考えています。政府見解も東京電力も同じ見解です。原子力規制委員会のメンバーにも分子生物学の専門家は一人もいませんので、政府見解と同じです。
 ほんとうにそうなのでしょうか?人間の身体へのトリチウム水(HTO)の影響は分子生物学者の専門領域です。原子力工学者たちに大きな見落としがないのか、次回、検討してみたいと思います。
 原子力工学者たちは物理学や原子力工学の専門知識があるだけに、自分たちの知識の範囲で理解してしまう傾向があるように見受けられます。分子生物学の視点を見落としてはいないでしょうか?
 HTOは体内に入ると有機物と結合してOBTとなります。水ですから化学的には区別がつきませんので、普通の水と同様に細胞膜をすんなり通り抜けます。DNAの二本鎖がほどけて複製されるときに材料として水素が使われます。それがトリチウム水HTOならトリチウムが使われます。普通の水と区別がつかないからです。トリチウムは半減期12年ですからβ線を出して100%崩壊して最も安定した元素のヘリウムHeに変わります。そこで何が起きるか、原子力工学者たちには専門外の領域、分子生物学の分野ですから、知らないのです。もちろん、その分野の専門書を読めばわかることですが、垣根を超えた学際的な知識を蓄えている学者が少ないのが現実です。専門分野が細かく分かれていて、他分野まで渉猟するのはなかなかたいへんなのでしょう。
 たとえて言うと、顕微鏡で観察していて、隣にあるものが見えない、視野の外になっていることが明らかになるでしょう。
 同じことは経済学でもあります。企業はすべからく複式簿記で管理されていますから、会計基準が変われば企業経営者の経営行動が影響を受けます。その結果その国の経済にも大きな影響があります。しかし、複式簿記を熟知している経済学者はとっても稀です。だから、日銀保有の国債残高が540兆円を超えていても、政府の債務と相殺することができるなんて、本気で考えて公言する経済学者やアナリストと称する人たちがいます。複式簿記を真面目に勉強した高校商業科や商業高校の生徒たちに笑われます。
 でも、それぞれの専門分野が細分化されて、統合的な視点を持つことが困難であることも事実ですから、わたしたちは情報の適否を判断するときに、そういう点にも用心すべきなのでしょう。情報が錯綜し、玉石混交している中から、玉を見分ける眼をもちたいですが、なかなか難しいというのが本音です。


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#5009 歯の治療:技術進化の恩恵 Jul. 8, 2023 [37. 老人介護・医療]

 七夕の昨日、歯科治療に行ってきた。先週型取りした右上の歯2本ができあがった。5本の治療のうち、中3本はインプラント2本のブリッジである。その外側2本の義歯が入った。違和感なし、咀嚼が楽だ。入れた義歯は、市場の奥歯がステンレス、手前側(奥から5番目の歯)は材質がセラミックスに見えるが、保険診療だった。自由診療だと療法セラミックスなら24~26万円だが、自己負担6000円ほどで済んだ。老人で寿命がそんなにあるわけではないので、自由診療にするか保険適用にするかは、主治医が判断してくれる。

 先週、左上の歯の根元のあたりが腫れていたので診てもらった。
「一難去ってまた一難」
 そうドクターが言った。押して確かめたら、グラついていた。
「抗生剤は飲みたくないよね」
 そうなのだ、胃のないわたしは抗菌用に抗生剤を飲むと腸内の菌叢がダメになって、「腸内炎症⇒口内炎」で食べたものを吸収できなくなり、体重が2㎏ほども減少してしまうので、飲みたくないのだ。暑い時期でもあるし、化膿して腫れがひどくなるから、抜歯の時に使っていた「ネオステリン・グリーン・うがい薬0.2%」を寝る前に使っている。
 義歯が要れ終わったころに、主治医は治療方針を立てて、説明をしてくれた。義歯を外して根の治療をして、2本をブリッジするという。再来週に1時間治療を予約した。今月は患者が混んでいるようだ。

 東京に戻ってきてから、歯科診療は安心でいられる。
 技術レベルが高い。
 もう二十数年のお付き合いだが、ドクターが新しい技術を貪欲に吸収しているのがよくわかる。
 上の歯のインプラント2本は、10年前なら歯茎の骨の厚みが薄いので勧めなかっただろう。新しい技術だと、ドリリングの精度が高いのでそういう心配がいらない。義歯も3次元画像データでつくるので、ブリッジでもネジ部分への接続部が寸分の狂いなくできあがっていました。


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#4983 身体拘束と胃管チューブ治療:切ない現実 May 29, 2023 [37. 老人介護・医療]

 高齢者終末期医療で食事が摂れなくなると、経鼻胃管チューブ経口胃管チューブの二種類がありますが、どちらも患者にとっては苦しいものです。患者は外したがります。だから、身体拘束をして手にはミトンという手袋を装着します。夏は蒸れるのでケアがたいへんです。本来は術後に食べ物断食べられないときに一時的な処置をして行われるものです。だから、それを寝たきりの高齢者に恒常的にやるのは無理があります。
*経鼻胃管チューブイラスト

 縁があって1999年から300ベッドほどの療養型病床の病院で仕事したことがありますが、夜間は病棟看護師の数が少ないので、身体拘束をゼロにはなかなかできません。かといって身体拘束を認めると、しなくてもいい患者にまで広がります。夜間は手が足りないので、看護師さんは手間のかかる患者の身体拘束をしたがるのです。人材は玉石混交ですから、なかには規定時間を超えて仮眠の時間を長くとりたい、楽をしたいと思う人がいます。
 「縛らない看護」を口酸っぱく言い続けて、総婦長はそれとなく各病棟を時々見回っていました。それぞれの病棟には一人ずつ婦長がいますが、ああ、いまは「師長」と言います、手っ取り早く身体拘束をしたがる看護師さんがたまにいましたから。深夜勤務の看護師さんの中には、身体拘束をしないと朝まで忙しい思いをするので、薬で抑制や物理的な身体拘束をしたがる人がいました。深夜は人数が少ないので、仕事がたいへんなことは事実です。300ベッド弱だと看護師さんの数も多いので、ピンからキリまでいるんです。だから、注意していないと危ない。病院として管理責任が問われます。

 わたしは病棟を巡回するわけにはいかないので、総婦長や各病棟の婦長や看護師さんたちとは機会を作ってコミュニケーションするようにしていました。いろんなルートで情報をインプットしておかないと適正な判断ができません。理事長のターミナルケアに対する方針ははっきりしてました。「苦しくない、痛くない、怖くない」、これら三つ、このガイドラインに反する延命治療はなるべく避けるというのが、理事長の運営方針でした。
 胃婁や経鼻胃管栄養補給や経口胃管栄養補給は患者には苦痛を与えます。終末期に、死ぬまでこれを続けることは患者を苦しめるだけです。点滴も腎機能が弱ると体がパンパンに脹れてきます。そうするともう数日しか持ちません。そういう事態に至ったら、点滴を外してあげたほうがいい。でも、「尊厳死宣言書」のようなものがないと、そうもいかないのです。身体にはもう水分が入って行かないほど水分過剰で腫れあがっているのに、点滴指示が担当医からだされます。腎機能が停止すればおしっこが出なくなります。

 点滴では間に合わなくなって、経管栄養処置をするかどうかは、患者や家族の意思が大事です。だから、「尊厳死宣言書」を元気なうちに書いておいて、家族に預けておくことが大切なのです。在宅介護の場合は無用な司法解剖を避けるためにも必要です。もちろん、主治医に相談しておくことも。主治医の死亡診断書が必要になりますから。

 ターミナルケアをしている看護師さんたちには、せつない思いを抱えながら仕事している人たちがいます。慣れて感覚がマヒしてしまって、効率が最優先の人ももちろんいます。身体拘束すれば事故は防げますが、患者にとっては苦痛以外の何物でもありません。介護師さん、看護師さん、患者、その家族、そして担当医、これらの人が患者の意思に沿ったターミナルケアをするためには、関係者間での、コミュニケーションも大切ですね。どうすれば一番いいのかはわかりません。皆さん悩みながら仕事をし、患者はケアを受けています。
 今朝5/29アップされたばかりのホットな記事、ターミナルケアを担当している看護師さんお二人の対話記事を紹介します。

「現場看護師が悩む延命治療の選択」

*「#4976 尊厳死宣言書の具体例」

<余談:選択肢>
 私自身は自分で食事をとれなくなったときには、そのまま枯れるように死にたいと思っていますので、経鼻胃管チューブや経口胃管チューブ、胃婁での延命治療は願い下げです。
 しかし、そうしてもらうというのも選択肢ですから、ご自分でよくお考えになってください。
 家族の気持ちもありますから、元気なうちに、どういう終末期医療を望むのか、つまりはどういう死に方が望みなのか、具体的によくよく話し合っておきましょう。


 療養型病床への病棟建て替えを頼まれて仕事していた時、この本使っていました。総婦長おススメの本です。病院の運営管理も仕事の範囲でしたので。話を聞くには、こちらもちゃんと本は読まなければ、話の内容がよく理解できないですからね。K理事長、「俺の入る病室造っておいてくれ」そう言ってました。ご要望通りに特別室、造りました。初期の認知症が始まっていることを自覚なさっていました。長年、老人医療にかかわって来てましたから、次の自分がどうなるのかはっきりわかるので、記憶も思考も、そして人格が崩壊していくのが怖かったのだろうと思います。でも、自然の流れですから、それもおおらかに受け入れたらいいだけです。何人も避けられぬ「モノの道理」なのです。

縛らない看護

縛らない看護

  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 1999/09/17
  • メディア: 単行本


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#4976 尊厳死宣言書の具体例 May 23, 2022 [37. 老人介護・医療]

 人はみな死にます。最後は腎臓機能が停止、点滴を続けると細胞の一つ一つが水分を排泄できずに脹れてきます。身体がパンパンに脹れあがりますが、そのころは意識が混濁しているでしょう。そうなると、せいぜい3日です。3日間の延命に意味はありません。

 1999年に首都圏の特例許可老人病院の建て替え(療養型病床基準適合の建て替え)を頼まれて、仕事したことがありました。そのときに、婦長や総婦長から、「かわいそう」という話を聞きました。助からないのに点滴を続けて、身体がパンパンに脹れあがってしまっているのを見ている看護師さんも苦しいのです。患者もケアする側も違う苦しみを味わっています。理事長は「痛くない、苦しくない、怖くない」をターミナルケアの基本方針にしていました。でも、担当ドクターによって判断が違います。胃婁や経管栄養をストップすると、自然死に近い形が穏やかに死ねるのですが、大学医局派遣医師は延命治療を最後までしたがりました。延命治療が点滴確保の注射の「練習」になるからです。患者は文句は言えないし、拒否もできません。「患者がかわいそう」、そういう訴えを聞きました。理事長と話すか、その医師へ本院の治療方針を話してくれということ。婦長さんでも医者には言いにくいのです。
 病気で痛いとか苦しいときだけはモルヒネを使ってあげたらいい。痛みが去り、意識は混濁し、少し死期が速くなります。それでいいのです。

 70歳を過ぎてしばらく生きていられたあなたは、いずれは何かしら病を得て食欲がなくなり、食が細くなっていきます。口にフレイル症状(弊ブログ#4975参照)が現れ、唾液量が減り、食欲が次第に薄れて食べられなくなるのです。死へ向かう自然な流れです。自分で食べられなくなったら、家族に看取られて枯れるように死にたいと思います。妻や子どもや孫に、穏やかな死にざまを見せてあげることが、最後にできることではないでしょうか?死は怖くないのだと。

 何の準備もなく死を迎えると、そうはいかないのが厳しい現実です。家族が慌てて救急車を呼べば、そのまま病院へ入院で、経管栄養胃婁ということになるかもしれません。ターミナルケアで経管栄養や胃婁をしても病気が治って退院できるわけではありません。死ぬまでの期間が長引くだけです。寝たきりです。望むならやっていただいたらいい、そうしたくないなら、自分の願いをかなえるために周到に準備をしましょう。

 希望通りに自宅で亡くなれば、老人の虐待事件もあるので、警察が訪れて確認のために司法解剖をするというかもしれません。
 そういう希望しない事態を招かないためには事前準備が必要です。
 それが、尊厳死宣言書を書いておくということ。心配な場合には近くの公証人役場で相談し、公正証書にしておけばいい。死後の取り扱いではないので、「遺言書」ではありません。「尊厳死宣言書」です。

 主治医や掛かりつけ医へは元気で自分の意志を伝えられる間に相談しておきます。自宅まで来て死亡診断書を書いてもらわなくてはいけませんので、交通費も含めて「お代」も具体的に確認し、家族に伝えておきましょう。医者とのコミュニケーションが大切です。率直にターミナルケアの希望を伝えておきましょう。

 心臓が止まっても救急車を呼ばないでください。掛かりつけ医の診療が終わってから、自宅へ来て死亡診断書を書いてもらえばいいのです。家族に看取られながら穏やかな死を迎えられたら幸せです。
 とても痛いとか苦しいようなら、措置が必要ですね。それは「尊厳死宣言書」に明記しておきます。

 弊ブログへよくコメントを下さるkoderaさんが、今日、ブログへアップしていたので、彼の書いたものをご紹介させてください。とってもシンプル、そして美しいものになっています。

*「創造性を開発しよう、新規商品企画をしよう」ブログ
 「尊厳死宣言書の私案

 とってもシンプル、そして美しいものになっています。

 なお、koderaさんとの尊厳死についての対話は、弊ブログ「#4968 日銀保有国債のリスク」投稿欄にあります。

 全国の公証人役場所在地が載っているサイトがありますので、ついでに紹介させてください。
*「公証人役場一覧



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#4649 高齢者のためのあずまにこにこサロン:中標津町 Nov. 11, 2021 [37. 老人介護・医療]

<前期高齢者ボランティアによる後期高齢者の見守り>
 ―老々介護ネットワークの在り方を模索—

 10月27日の北海道新聞に、中標津の高齢者のサロンの記事が載っていた。このサロンはボランティアによって運営されており、ここに集まってくる高齢者に声をかけて、見守り活動もしている。こういう活動は老人同士でやって、足りないところを若い人の応援を頼むくらいがいいのだろう。

 高齢になると認知症がでてくる、最初は「まだらボケ」の状態から次第に症状が悪化してくる。老々介護の高齢者は認知症が進むと介護手続きや社会福祉協議会への問い合わせなどができなくなる。まさにそういう状況になったときに、介護が必要になる。だから、そこをつないであげる人が地域にいなければ、ボケ始めた高齢者は、何もできずに、どんどん症状が悪化し、生活ができなくなって食事も満足に取れずにやせ細って、亡くなる事例が増えてくる。
 社会福祉協議会だけでは手が回らない。たとえば、根室の老人人口は8000人もいる。独居老人や老々介護のひとたちが、そういう事態に陥るのを防ごうと、中標津の場合は高齢者サロンが行政と老々介護の高齢者をつないでいる。「あずまにこにこサロン」の代表者は戸田幹雄(66歳)さんである。彼は標津町の出身。両親の介護経験もあっただろうし、自身もそういう域に近づいているから、他人事ではないのだろう。協力の和が広がることを期待したい。
「根室の高齢者サロン」でネット検索すると、「老人福祉センター・高齢者サロン」がヒットする。「根室市昭和町2丁目115番地 根室市福祉交流館内」にあるようだ。電話番号:24-1572
 中標津とは違ってボランティアによる運営ではないのかもしれない。何がいいのか試行錯誤してみて、結論を出せばいい。https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/.../kaigo.../9/1373.html

 根室市の登録ボランティア団体は8団体のみ。

DSCN5653s.jpg

 前期高齢者:65-74歳
 後期高齢者:75歳以上


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#4256 地域の老人医療・介護崩壊を招かないためになすべきこと May 24, 2020 [37. 老人介護・医療]

<最終更新情報>5/25朝8時半 <余談:外断熱仕様の重要性>追記

 介護施設やサービスにはさまざまある。療養型病床の病院、老人保健施設、特別養護老人施設、老人ホーム、グループホーム、ショートスティ、デイサービスなど。
 最近高齢者の入所系施設でのクラスター感染が散見されるようになっている。北海道では札幌市の介護老人保健施設で利用者と職員30人のクラスター感染があった。
 重傷者は感染症指定病院へ入院・隔離措置をとるが、陰性の入居者は施設にそのまま残置される。PCR検査がままならない現状を考えると、ヘルパーさんたちは身の危険を感じながら仕事しているのだろう。家族へ感染させるかもしれないというリスクを考えてやめる人も出る。フェースガードやサージカルマスクや消毒用アルコールも足りない。
 こうした施設が単独ではやれることには制限があって、十分な対処ができないことは想像に難くない。
 療養型病棟だと、褥瘡(じょくそう)を防ぐために頻繁に寝返りを打たせなければならないからそのために介助が必要。食事の介助が必要な患者さんもいる。オムツ交換も濃厚接触しなければできないし、ジエットバスやバブルバスの特殊浴槽に入れなければならない患者さんも少なくない。普通のお風呂を利用できる患者さんも介助の必要な人とそうではない人がいる。感染流行中は感染予防のために見舞客を病棟に入れることはできないが、医者・看護師・ヘルパーさんたちの中に、不顕感染者が出ることは防げない。症状が出たときにはすでにウィルスをバラまいた後になる。症状のでる直前3日間がもっともウィルス排出量の多いことが判明している。
 特殊浴槽は特養だって老健施設だってデイケアセンターだって備えているし、日々ヘルパーさんが入浴介助に当たっている。食事の介助は例に挙げた全施設で日常的に生じる風景である。

 こうした施設は、クラスター感染が発生した場合にどのような応援体制が必要なのか、施設内で具体的に議論して、所在地の市町村や都道府県に回答期限付きの具体的な要望書を出したらどうか?
 北海道知事や道庁や市町村長の動きは鈍いから、施設側から、欲しいもののリストと数量、応援スタッフの要件・人数・期間などを書いて提出したほうがいい。個々の事情は市町村長や北海道知事にはわからない、わからないのだから、道知事も市町村長も知る努力をすべきではないのか。

 コロナ騒ぎがあってから、わたしは大勢のヘルパーさんを抱えた療養型病床群の病院や老健施設やグループホームでクラスター感染が起きることを心配していた。首都圏の300ベッド弱の特例許可老人病院を療養型適合病院にするために常務理事として病棟建て替えの仕事をしたことがあるからだ。もし、自分が仕事している病院だったらどう対処するのか、他人事ではない思いでずっとテレビや新聞報道を見てきた。

 老健施設やグループホーム、特養施設内でクラスター感染が起きたときには、ヘルパーさんの応援部隊として感染症予防が指導できる看護師派遣や医師の派遣が必要になる。どの病院から応援部隊の看護師さんが派遣できるのか、その場合に、ヘルパーさんの感染防止対策はどのような手順ですべきか、必要な資材の確保や備蓄はどうあるべきか、そしてマニュアルの作成も必要だし、いざというときに備えて実践的なトレーニングもしておくべきだろう。やるべきことは多い。良好な経験値を積み上げておいたら、新たな感染症が出てきたときには十分な準備がなされていることになる。


 次の感染の波が来るまで半年くらいあるだろうから、具体策を練り実践的なトレーニングに充てて、間に合わせてもらいたい。放っておいたら多数の死者が出るだろうし、クラスター感染が起きた地域の老人介護医療や介護事業が崩壊する。クラスター感染を広げぬ鍵は初動体制にあるから、事前準備に地域の医療機関の枠を超えた協力体制があれば速やかに対処できる。

*茨戸アカシアハイツ(札幌市北区)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200524-OYT1T50066/

**「新型コロナで“介護崩壊”の危機? 高齢者施設で いま何が」「保健所は「施設内で看取って」、感染者が続々死亡…関係者証言」*
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012422701000.html



<余談:外断熱仕様の重要性>
 老人医療や介護ではオムツ交換時に強い臭気が出るのは致し方ないことである。外断熱仕様にしてあれば、各居住スペースに換気扇が取り付けてあればスイッチを入れて臭気を排出すればいい。必要なら小窓を空けて部屋ごとに空気の入れ換えもできたほうがいい。外断熱仕様の建物なら空気を入れ替えても部屋の温度変化が小さいし、コンクリート建物なら外壁に蓄熱できるから輻射熱でヒートショックが起きない。
 暖房は輻射熱を利用した暖房がいい、遠赤外線が一番居心地がいいのである。北海道は厳寒期には-10度以下に気温が低下する。マイナス30度にもなる陸別などの内陸部は別としても、オホーツク海と太平洋を分けるように突き出している根室半島でもマイナス5度は普通だ。強い北西の季節風が吹くから、外断熱仕様のない建物は石の建物を外から強い風を当ててガンガン冷やしながら暖房することになる。まことに効率が悪く不経済だ。外断熱仕様にすれば燃料用灯油の消費が半分くらいにできるのではないだろうか?なにより病気を抱えて入院・入所している老人には換気してもヒートショックの小さいことがありがたい。弱って来れば急激な温度変化は強いストレスとなって命を奪う。療養型病床の病院では、春先の暖かくなったころが一番死亡率が高くなる。寒い冬が終わろうとして、温度変化が一年間で一番大きいからだろう。
 ところで、外断熱仕様にするには建築費が1割程度高くなるが、冬の暖房と夏の冷房を考えると、燃料費や電気料金が3割以上(冬は半分以下で済む)は節約できるから、増える建物減価償却費の何倍ものコストカットが可能だ。北海道の冬の外気温と室温との差は25°~50°もある。
 わたしが1999年にやった首都圏の300床弱の病院は外断熱仕様を採用した。仕事で病棟に出入りするとき、時々強い便臭が気になっていたからだ。冬に窓を開けて空気の入れ換えをすると、室温が下がって患者さんたちが風邪をひくと婦長さんたちが言っていた。


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#4032 免許返上と代替交通手段の確保:ある専門家のご意見 July 11, 2019 [37. 老人介護・医療]


 先週市立病院の眼科を受診したときのことです。「10時に来てもう3時だ、いつになったら自分の番が来るんだ」といらいらして怒鳴ったお年寄りがいました。「責任者を出せ」と憤ってましたが、職員の方が15分ほど丁寧に説明していました。おそらく80代です。他にも病気を抱えて長時間待つのは辛い。2時半の予約のあったわたしが診察を終わったのが5時40分です。ドクターはまだ診察を続けてらっしゃいました。
 長時間診察を待っていたのは一人暮らしで運転免許のない方。診察カードを機械に読み込ませて受付を済ませ、それから自宅へ戻るわけにはいきません。3回タクシーを使うことになるので。来るときはバス。

 代替交通手段の問題を議論すべきだという専門家のご意見に頷きました。


https://www.msn.com/ja-jp/news/national/暴走事故で高齢者だけを悪者にする違和感/ar-AAE8Z0t?ocid=spartanntp#page=2
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まずは一つ目、高齢者の運転能力の問題から。高齢になると運動能力や判断力が落ちるのは事実だ。何の対策もしなくて良いとは思わないが、かといって問答無用で運転免許を取り上げるのが正解とも思えない。都市部に限れば、代替交通手段があるので、その人の環境によっては何とかなるだろうが、地方へ行くとどうにもならない。
 
坂道を20分も歩かないとバス停にたどり着けず、そのバス停の発着時刻表にあるのは朝昼晩に1本ずつという様な状況で、どうしろと言うのか? 家族が面倒を見られる環境ならば良いが、そうでなければ通院も日々の食料調達もままならない。
 
厚労省の統計資料「国民生活基礎調査の概況」の19ページの表組みを見ると、60代で約6割、70代以上では7割以上の人が通院を必要としていることが分かる。もちろん中には通院まで必要ないケースもあるのだろうが、当然命に関わるケースもある。
 
「高齢者が子供をはねた」という事実は重たいが、それで免許を取り上げれば、「通院できなくて死ぬ」人も出てくる。交通事故死と病死ではショッキングな印象に差があるだろうが、人の命に軽々しく軽重は付けられない。

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<市立病院がニホロに移転していたらアウトだった>
 これで思い出したのは、市立病院建て替え時のときの商工会館で一度だけなされた市側の説明です。ニホロに移転して建て替えるつもりでいました。お年寄りが、数人途中で泣いていました。
「ニホロに移転されたら通院できない」
バス路線から外れているので不便ですし、大半の市民はタクシーで片道千円を超えます。ニホロが一番安いという説明でしたが、その後北海道新聞が調べて駒場町の候補地の方が安いことが判明しました。市側は市民へ虚偽の説明をしていました。建て替えに関する市民委員会も騙されて、候補地を見学していました。上下水道や道路の引き込み工事を計算資料から除外してあったのです。説明会のときに質問しましたが、助役からの説明なし、あとで北海道新聞記者が駒場町の地主に買取価格を取材し、追跡報道してくれました。
 このときの市側の説明にはおまけがついており、現地建て替えは傾斜地なので現建物の裏側には建築不可能との説明でした。これも嘘。説明したのは前市長の長谷川氏、助役の時代でした。
 弊ブログで、現地建て替えが可能だと、理由と具体例を挙げて現地建て替えを主張しました。傾斜地で産廃の埋まった首都圏の土地で病棟建て替えを2000年にebisuはやったことがあり、岩盤が強固な市立病院現地で建て替えは何の問題もないことを説明しました。建て替えたときの開発申請資料の写しも当時の根室市役所の担当部長と課長に渡してます。お二人とも道庁からの出向組でした。市立病院はすったもんだした挙句、現地建て替えとなっています。
  カテゴリー「市立病院建て替え」だけで113本の記事をアップしてます。経営改革など関連記事も入れるとおよそ200本、よく書いたな。ふるさと根室のためと意地になっていました。(笑)
 ニホロでなくてよかったと今になって胸をなでおろしています。


*カテゴリー「市立病院建て替え」
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300757680-1



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#4000 五年目の車検:走行距離20936km May 18, 2019 [37. 老人介護・医療]

 月曜日に車検に出して、昨日金曜日の午後に五年目の車検が終わって車が戻ってきた。
 バッテリーがヘタっているので交換したほうがいいというので、アイドリング・ストップ対応の高性能バッテリーを薦めてくれた。
 エンジン始動のときに大容量の電力を食うので、バッテリーがヘタればエンジンがかからないことがあるかもしれない、安心して走れたらいい。アイドリングストップ機能をオンにしてあると、信号で頻繁にエンジンが止まり、そのあと始動することになる。オフにしておけば高性能バッテリーは必要なしということ、要は乗り方次第。4年に一度、通算15000㎞走った辺りで交換しておけばどんな乗り方をしてもいい。
 車載バッテリーについてネットで色々調べたが、ユアサが車載バッテリーメーカでは老舗ということが分かった。
 5年間で20936kmだから、年間4000㎞ほどしか走っていない。車がないと買い物が不便だ。あと何年運転できるかな。最近高齢者による自動車事故で若い人たちが一度に数人亡くなるような悲惨な事故が頻繁に起きているので運転をやめるタイミングをあらかじめ決めておこう。自転車に乗れなくなったら車の運転もやめようと思う。
 免許証を返納した後の生活パターンのイメージはまだわかない、不便だろうな。
 ボディがクッション材でできているような、排気量が小い試作車がテレビで紹介されていたが、あれも超高齢化社会へ向けてのアイデアの一つか。買い物や病院通いに限定するなら、ああいう車もありだ。根室の市街地なら渋滞の心配もない。過疎地と都会は高齢者対策も違って当然だ。

①距離メータ:20936km
SSCN2752.JPG



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#3766 老人介護:尊厳死の定義 july 2, 2018 [37. 老人介護・医療]

 生きる権利という言葉は聞くが、死ぬ権利という言葉はあまり耳にしたことがない。死ぬ権利を行使した者たちはこの世のものではないから言う口をもたぬ。
 死ぬ権利、就中(なかんずく)どのような死を迎えるかについての選択の権利はあってしかるべきではないか、来年70歳を迎える団塊世代のわたしはこのごろかように考えるようになった。

 縁があって首都圏の300ベッド弱の特例許可老人病院を療養型基準適合病院へ建て替えるために1999年に常務理事を引き受けたことがある。その折に老人医療の現場をつぶさに観察することができたことも、死生観に影響したかもしれない。
 70歳を少し過ぎた総婦長は「縛らない看護」を実践する口うるさい人だった。5病棟を見て回り、各婦長が患者を拘束していないか、薬漬けにしていないか自らチェックを怠らなかった。楽をしたい傾向のある婦長もいるし看護師もいる、命にかかわることだから性善説では管理ができない。薬の量を増やして寝たきりにしてしまえば看護や介護は楽になる。夜勤のときもゆっくり眠れるし、手間がかからない。だがそうすると患者の死期は確実に早まる、半年は早くなるだろう。この病院では長い人は13年間の「長期滞在」というケースもあった。看護や介護が手厚ければ病院に入院していても長生きする。
 天気の良い日は歩けない人は車椅子で、歩ける人は敷地内を看護師やヘルパーさんが交代で十数人ずつ散歩させたり、ベンチに腰掛けさせて話しかけている。わたしも何度か付き合ったことがあるが、認知症の老人は5分もしないうちに話が元に戻る、3回目くらいで看護師さんが目で合図してくると、切り上げていた。まるで壊れたテープレコーダのように同じことを繰り返し話すのだが、そうやって話すことが老人の精神と体に良い影響を与える。ニコニコしながら目を見て頷き、相槌を打ち、言ったことをオウム返しに言ってあげる、たったそれだけのことでいいのだ。
 かわいそうなのは意識がもうほとんどないのに管につながれ、点滴で生きている老人である。腎臓がゆるやかに機能を停止しても心臓は動いているし、肝臓も機能している。だが腎臓が機能を停止したら尿の排泄ができない。点滴によって補給された水分は体内にとどまり、細胞は水分でパンパンになる。身体が水膨れ状態になり全身が腫れあがるようになれば3日しかもたぬ。身体が水分過剰でパンパンに腫れあがる前に、無理な点滴は患者のためにもやめてあげた方がよい。クレームが言えぬ患者だから、中には点滴の練習をしたがる研修医もいる。そういうときは潮時を見計らって各病棟の婦長がストップをかける。

 院長は「痛くない、苦しくない、怖くない」の三つの「ない」を日ごろから看護師たちに説いていた。そういう死が迎えられるように親身になって看護してあげなさいということ。「自分の親だと思ってみてあげなさい」、繰り返しそう言っていた。
 この病院では毎月誕生日を迎える看護師さんとヘルパーさんにフランス料理のフルコースの食事会を開催していた。こういう機会でもないとなかなか食べにはいけないだろうから、マナーも含めて学ぶ機会があったほうがいいとの院長の配慮だった。院長(兼理事長)と常務理事のわたしは毎回出席となる。食事中にバカ話をしてよく笑い、笑わせる院長だった。新宿のおかまバーに看護師さんたちを連れて行って遊ばせることもあった。看護師さんたちによれば、おかまバーはとっても楽しいのだそうだ。客あしらいがよいということだろう。
 人を大事にしない企業には人が集まらない時代になった。しっかりした経営哲学のない企業にも人は集まらなくなっている、いい時代かもしれぬ。

 わたしは自力で食べられなくなったら、経管栄養は不要、緩慢な餓死をしたい、そういう状態で死ぬのは自然であり、不安もなければ苦しくもないからだ。人はいつか死ぬ、そのときを穏やかに迎えられたらいい。子どもや孫に死とはどういうものか見せて死んでいきたい。人はいつか死ぬものであり、臨終の床にあるわたしを看取(みと)ってくれる人たちもいずれ死ぬのだから、穏やかな死はどういうものか見せてあげたい。死は怖くない、老いることや病からの解放なのである

<尊厳死の定義>
 死は怖くない、死は老いることや病からの解放なのだと書いて、ようやく本題にたどり着いたようだ、危うく漂流するところだ、危なっかしくてしょうがない。
 尊厳死は法律ができなければやれない、現行法の下では殺人罪になりかねないからだ。また、あまり緩い法律を作ると、悪用されかねない。老人は家族からも邪魔者扱いになる場合が往々にしてある。
 病院が近くだとしょっちゅう見舞いにいかなければいけないから、介護施設はほどほどの距離がある方が歓迎される。あまり近いと、「あの家(うち)、年寄りを施設に預けっぱなしにして見舞いにもいかない」と近所の人の口がうるさいということもある。
 老人病院へ見舞いに来る家族は多くない。預けっぱなりになるケースが多い。それだけ在宅で介護したいたときにたいへんだったのだろう。ほっとしているのである。認知症の症状が出てくればじきに徘徊が始まり、昼夜が逆転すると、家族は夜寝られない状態が続く。仕事もっていたら体力と精神が続かない、介護で疲れ果て精神が壊れてしまう人もいる。仕事との両立ができなくなれば、一人息子で独身者の場合は親の介護で仕事を辞めざるをえなくなる。在宅介護とはそれほどたいへんなのだ。
 排泄も意識がなくなり、手にうんちがついていても本人はわからなくなる。足腰の筋肉が弱るだけではない、括約筋もだめになるから肛門を締めてウンチを切ることすらできなくなる、人は老いると壊れていくものだということが実感としてわかる。介護している家族のほうが精神的に追い詰められて命を削るようなきつい状況になる。介護しているものが先に逝ったら誰が親を介護してくれる?

<失政とわが町の貧困な老人医療の現状>
 特別養護老人施設や精神病院は療養型病床の病院に比べて、看護師の配置人数がすくないから、看護や介護の手厚さが違う。薬漬けにして寝たきりにするとか、拘束するケースが往々にしてみられるのは、看護師の配置人数が少ないからだろう。入院時の病状にもよるが、療養型の病院に比べて平均すれば半年は早く亡くなっているよ。根室には療養型病床がゼロだ。2.6万人の市で老人が8000人いる、そして療養型病床ゼロである
 市立病院建て替えの時に、市立病院職員へアンケート調査を実施したが、そのときに要望が一番大きかったのは療養型病棟の設置だった。ところが長谷川市長はこれを拒否。日本には稀な療養型病床ゼロの市になってしまったのである。中標津町にだって療養型病床の石田病院がある、なんとも情けない。
 民間企業にもいる、課長職なら任せて大丈夫だが、部長職にして大きな権限を与えたとたんにマネジメントできずに次々に仕事でミスを重ね、ラインの管理職を外されるという例がめずらしくない。仕事のできない者が大きな権限を持つとことごとくポイントを外して、とりかえしのつかぬことを次々にやる。四百年に一度の根室沖大地震の危険期間に入っており、78%の確率だという。それなのに、ふるさと納税資金というあぶく銭をつかんだら、使うことばかり考えている。大地震と20mの津波が明日襲ってきても不思議ではないから、全額災害対策として積み立てるべきだ。「広報根室7月号」が回ってきたが、ふるさと納税資金の使途がずらっと並んでいる、アホの極みだ。
 9月の市長選挙には山積みの課題を崩せる人材が立候補してもらいたい。
 ●花咲線廃止問題
 ●市立根室病院の年間17億円の赤字問題
 ●400年に一度の災害対策
 ●地元企業の経営改善による人口減少の緩和
 自分が儲けることのみ考え、経営哲学のない企業はダメだ。もちろんもうからない企業もダメ。
 根室市が取り組むべき大きな課題として以上4項目を挙げておく。


 ところで話の本題は尊厳死の定義であった。法律を作る場合に定義が問題になる。大辞林第3版から定義を紹介したい。

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尊厳死:助かる見込みのまったくないままに長期間にわたって植物状態が続いたり、激しい苦痛に悩まされ続けている患者に対し、生命維持装置などによる人為的な延命を中止し、、人間としての尊厳を維持したまま死を迎えさせること。
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 わたしは、「自力で食事が摂れなくなった場合」を付け加えたい。死ぬべき時が来たら死ぬのは自然なこと、胃瘻(いろう=胃に穴をあけて管を通し直接食べ物を注入する)や経管栄養補給は御免こうむりたい。それで再び元気になって歩いて回れるわけではないのだから。昔からそういう状態になれば、穏やかに息を引き取ってきたのだ。胃瘻なんて手段はたかだか最近20年くらいだろう。

*#3674 カラスの死と介護疲れで起きる尊属殺人のニュース価値
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30

 
 #3675 尊厳死について議論しよう June 30, 2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1


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