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#5147 災害拠点病院市立和島病院に学ぶ Jan. 15, 2024 [30. 地域医療問題]

 今朝(1/15)の朝日新聞第3面に災害拠点病院である市立輪島病院の状況が載っていた。
 入院患者85名を他の病院に転院させたという。2007年から院長をやっている医師の苦渋の判断だ。元旦の夕方に被災し、常勤医20名中、10名が駆けつけて診療に当たっているが、2週間たって医師やスタッフたちは疲弊している。このままでは職員の命が危うい。災害派遣医療チーム(DMAT)は、「病院が崩壊してしまう」と助言、それで入院患者を転院させた。そのあとに感染症(新型コロナ、インフルエンザなど)で40~50名が入院している。少しずつ増えているという。
 水がないので人工透析ができない。
 近隣の福祉施設と災害時に食糧等の支援の約束をしていたが、同じ地域ではまったく役に立たなかったと院長は後悔している。独立で医療が続けられるような仕組みをもっておくべきだったという思いが強い。

 ところで、輪島市は人口規模では極東の町である根室市とほど一緒である。令和5年12月1日の輪島市の人口は23,192人、根室市は23,006人(令和5年12月末日)である。
 病院の規模は輪島市が199床(一般147床、感染症4床、療養病床48床)、根室市は135床(一般病床135、感染症4床、療養病床ゼロ)となっている。

 どちらも地域中核病院で、災害拠点病院となっている。
 病院は水と電力がないと診療に著しい制限が出るから、災害拠点病院は井戸の掘削による水の確保と自家発電設備が最低限必要となる。災害が起きてからでは手遅れで、起きる前に設備を備えておかなくてはならない。
 とくに極東の町の根室は、釧路まで120㎞もあるし、千島海溝で四百年に一度の巨大地震が起きれば、釧路の被害も大きいから、透析患者を釧路へ運んでも治療できないことが予想される。水と電気の確保は災害拠点病院として確保が欠かせない。

 火力による自家発電設備とソーラパネルの屋上設置による発電設備を用意すべきだということ。
 水は井戸を100mも掘れば、湿地の下の帯水層にぶつかるから、ソーラパネルと電動ポンプで汲み上げが可能だ。
 根室市は市立病院が災害拠点病院として単独で機能しなければならない。備えあれば患いなしだ。

 今回の能登半島地震から、全国の僻地にある自治体や住民が学ぶべきことは多い。
 東南海連動型巨大地震や首都直下型震災、四百年に一度の千島海溝巨大地震はいつ起きても不思議ではないが、日本全国どこで明日巨大地震が起きても不思議ではない、日本列島とはそういうところなのだ。原発はもってのほかだろう。またいつ爆発が起きても不思議はない。

<余談-1:療養病床>
 同じ程度の規模の市なのに、輪島には療養型病床が48ベッドあり、根室にはゼロである。地域の老人医療の貧困さを療養病床ゼロの事実がつきつけている。病院建て替えの時に、病院職員へのアンケートでも療養病床を設置すべきだという意見があったが、当時の市長や副市長、市議会が無視した。地域医療協議会からも同様の意見が出されていたが、それも無視した。全国に稀な療養病床ゼロの市がこうした誕生した。
 高齢か割合に差があるので、書いておく、石川県の高齢者の割合は45%、根室市は30%前後。


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#5076 地域医療に関する投稿はこちらへ:#4616投稿欄の引っ越し Oct. 4, 2023 [30. 地域医療問題]

 先週から蜻蛉(トンボ)が飛んでいます。昨日の最低気温は14.4度でした。20度以下は4度目かな。
 90日の真夏日最長記録が更新されるかどうかはわかりませんが、すっかり秋めいてきたことは確かです。今日の最高気温は22度が予測されています。東京は今日一日雨が降ったりやんだりなのでしょう。

 ところで弊ブログ「#4616市立病院経営改善を:画期的な監査意見」の投稿が178個になっていますので、地域医療に関するコメントをこちらに移動します。
 続きを投稿する方は、こちらへどうぞよろしくお願いします。


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#3604 市立根室病院の赤字額はなぜ17億円に膨らんだままなのか Sep. 3, 2017 [30. 地域医療問題]

 荒川正憲氏が院長に就任したのが2007年、旭川医大の引き上げで常勤医が6名まで減少した時期であった。獅子奮迅の働きで根室の地域医療を支えてくれた。
 20010年1月1日、正月の突然の院長交代、東浦氏が院長に就任、現在に至る。病院は経営形態が変わり、2年前から指定管理者制度へ変更。

 赤字額が11億円を超えるようになったのは、2008年からである。2011年には13億円に膨らみ、2012年から17億円台に跳ね上がっている。赤字額の推移は弊ブログ記事#2296「地域医療対話(4)」に載っている。

*#2296 地域医療対話(4): 経営の問題点がよくわかる一覧表  May. 13, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-3

 2004年の臨床研修医制度の変更で大学病院は本院の医師不足をきたし、地方の病院から医師の引き上げをやった。2007年3月末での旭川医大の撤退はそういう背景のもとになされた。釧路医師会病院も2009年ころ旭川医大の医師引き上げで閉院を余儀なくされた。制度改正、つまり国策により地方の病院は深刻な常勤医不足を起こしたのである。
 もう一つ指摘しなければならないことがある。国立大学の独立行政法人化と、それに続く公立大学の独立行政法人化による影響である。独立採算となった大学医学部や医科大学は、収入を増やさなければならなくなった。ではどうしたのだろう?

 病院の建て替えをしてから決算書を見ていないので、仮定の話をしてみたい。
 常勤医一人を雇うのに人件費はおおよそ2500万円、その常勤医一人分を大学からの日単位での派遣医師で充当しようとすると、おおよそ8500万円かかる。大学は常勤医を派遣するよりも、日単位での派遣医で繰り回した方が収入が増える仕組みになっている。仮に常勤医10名分を市立根室病院が日単位での派遣医で賄おうとすると、8.5億円-2.5億円=6億円 コストアップする。
 (基礎データは弊ブログ#2287をご覧ください)

 独立行政法人化した大学医学部や医科大学にとっては、便利で手っ取り早い収入増である。単なる仮説にすぎぬが、論拠のある仮説であるから、市議会関係者は検証してみたらいい。

 冷静に数字を見ると、17億円の赤字の内8億円ほどは国からの補助金で補填されるから、根室市の持ち出しは残りの部分である。つまり、国から補填される8億円が根室市を経由して、医師派遣をしてくれている大学医学部や医科大学へ渡るという構図ができあがっている。
 独立行政法人化によって引き起こされたのだから、これも「国策」と言っていいだろう。こんなことなら、独立行政法人化などやらずに、今まで通り大学へ直接補助金を交付したほうがいいのではないか?

 年額で4億円赤字額を減らせたら、10年で40億円の財源が出てくる。年間赤字額が17億円のままで構わないなら何もせずともよい。だが、減らしたいなら、常勤医を増やすことが有効な対策になるのではないか?無理にやれば派遣元の大学とトラブルになりかねないから、そこは理解と納得ずくで穏やかに進めればよい。
 根室市役所のホームページや病院のホームページで、診療科名と医師数、給与条件を明示して全国募集するという手がある。
 30-40歳代の医師にとっては年収2500万円は魅力だろう。都会では勤務医の年収はそんなに高くはない。問題は子どもの教育だろうから具体的な解決法を考えたらいい。
 根室の子どもたちだって、毎年1~2人くらいは国立大学医学部へ進学できるような能力の生徒がいるが、育てそこなっているだけ。両方合わせて解決する方法を考えてあげたらいい。

 市議会議員選挙投票日は9月10日である。地域医療や地域の未来に関わる子どもたちの教育に関心をもって発言してきた市議は誰か、普段の活動をよく思い出して投票したいものだ。いままで関心がなかったなら、これからどう取り組んでくれるかを問いたい。真剣にやったら、片手間にはやれないよ。釧路市議会議員の月田さん(3月まで釧路市議会議長)や金安潤子議員、寺子屋で公務員アォード賞を受賞した大越議員の三人のお付き合いのある釧路市議会議員を見ていると市議の仕事は片手間になんかできっこないということがよくわかる。、
 現役引退が数名、新人が4名だったかな、ほとんどの市議がそのまま再任される。巷で言われているように18名の市議定数が大きすぎるのかも。ハードルが低くても若い人が出てこないのはどうしてだろう。
 選挙後に市議定数に関する議論が市議会でなされることを望む。
 妥当な数は?
 ①12名ぐらいはいかが?
   競争原理が働いて、市民の意見を拾わざるを得なくなる。
   ②無報酬=ボランティアで30名という案も検討に値するかも。土日に市議会を開くようにすれば、やれるだろう
   ③市議は満65歳になったら無報酬の名誉職、定員枠は20名。若い人が出やすくなる。

  

  #2287 「いまいる常勤医を大切にせよ」:市立根室病院の経営改善
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-2


#2290 地域医療対話(1)  May 10, 2013



#2291 地域医療対話(2)  May 11, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10-1

#2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み  May. 13, 2013






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#3146 市立根室病院のH26年度赤字額は17.8億円 Sep. 30, 2015  [30. 地域医療問題]

 9月30日付け北海道新聞朝刊、根室地域版に載っていた記事を紹介する。

==========================
市立病院への繰入総額
 一般会計から17億円
  市議会決算特別委

【根室】市議会定例月議会は29日、決算審査特別委員会を続行し、昨年度の一般会計(民生費、衛生費、土木費)と市立根室病院事業会計について審議した。
 私立病院の2014年度決算では、一般会計から病院事務局への繰り入れ総額が約17億8100万円、地方公営企業報で病院事業会計への繰り入れが認められている基準内繰り入れ総額が10億2300万円となったことが説明された。
 本田俊治氏(創新)への答弁。病院事務局によると、前年度比でそれぞれ約2億9千万円と約1億6千万円の増加となる、本田氏は10億円を越える基準内繰り入れ総額について、「普通交付税や特別交付税などで補填されても半分程度(約4億8300万円)は一般財源からの持ち出しになる。市民にわかりやすく説明すべきだ」などと指摘した。病院は「今後の経営改革とわかりやすい説明に勤めていきたい」などと説明した。
==========================

 赤字の額が17.8億円かというとそうではない。資金の収支に関係のない損失はこのなかには入らないからだ。民間企業の会計基準で決算公表すれば、損益計算書を読む学力があればだれにでも損失の額がわかる。公的会計基準での公表ではなく、民間会計基準での公表を義務付ければいいだけのことだ。文教厚生常任委員長である本田さんが提案して市議会で決議すればいいだけの話、そんなにむずかしいことではない。
 市税収入は年間27億円前後である、病院事業赤字の負担の重さがわかろう。市の財政課は以前市議会で、10億円を超える病院事業赤字が続けば、市財政がもたないと答弁していた。市議会でもう一度、財政課の見解を訊いてみたらいい。

 北海道新聞は、独自の取材をして、病院事務局に問い合わせて、民間会計基準で当期損失がいくらになっているのか取材して、記事にしてもらいたい。

 最近の報道では、法定福利費の預り金が数年にわたり未納になっていたことが、監査委員から指摘されたようだ。2000万円を超える預り金が未納になっていれば、簡単にわかるはずだが、監査が機能していなかったようだ。実質監査がなされず何年間も使い込みを見逃した落石組合と状況が似ている。こんな状態のまま地方公営企業報全部適用の指定管理者制度に移行している。運営チェック体制がないという、実にきわどい状態であるということ。

 藤原前市長時代はおおむね8億円前後だったが、長谷川市政になってから、市立病院の一般会計繰入額はすぐに10億円を超えた。最近数年間は16~18億円で、2倍以上になっている。
 病院建て替えのときに病院事務局が作成した「新改善プラン」では、建て替え後の一般会計繰入金の最大額は11億円だった。毎年それを6億円以上の上回る繰り入れが続いている。病院事務局は当初計画の甘さをどのように反省しているのか、市議会は問いただしてもらいたい。そして決算は、当初計画と対比して「広報ねむろ」で民間会計基準で公表してもらいたい。

 経営改善担当の管理職を新設しても効果なく、経営改善を外部委託しても損失額は膨らみ続けるばかりであるのに、なぜ、損失額が2倍以上に膨れ上がったのかについての満足な説明がなされたことは一度もない。
 一般会計繰入金が20億円を超えたことはないが、病院の旧建物を除却した年度は、当期損失額が20億円を越えただろう。「広報ねむろ」で正直に経営状況を市民へ報告すべきだ。
 
 市長、市役所幹部職員、市議会、監査委員、病院事務局、マスコミ(新聞)関係者がそれぞれ自分の職務を忠実に果たすだけで、状況はずいぶんと改善できるはず。


<余談>
 記事によれば、赤字補填の財源の一部は国からの特別交付税と普通交付税交付金4.8億円である。
 政府財政が破綻したときは、ない袖は触れないで、これが消滅する。それだけではない、他の地方交付税交付金や国庫支出金も大幅に減額になる。万が一にもそうなれば、病院は維持できない。だからふだんから、経営改善しておくことが大事なのである。
 米国の格付け機関であるスタンダード&プアーズ社が日本国債の格付けを下げた。AA-からA+となった。スロバキアやアイルランドが同じ格付けである。中国AA-、韓国AA-よりも格下。
 よい順番に並べてみると、

 AAA  ドイツ、ルクセンブルグ、オーストラリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、カナダ、シンガポール、英国、香港
  AA+  米国、フィンランド、オーストリア、、
  AA   フランス、ニュージーランド、ベルギー
  AA-  サウジアラビア、中国、韓国、・・・
  A+   日本、スロバキア、アイルランド
  A-
  BBB+
  BBB
  BB+
  BB
  BB-
  CCC+  ギリシア 

*主要国の国債格付けランキング
http://lets-gold.net/sovereign_rating.php

 政府債務残高は2015年末に1232兆円にもなる。世界の格付け機関は、日本政府が1232兆円の債務を返済できないリスクが高くなっていると判断している。
 預金凍結、デノミによる新円発行のリスクが近づいている。アベノミクス「新三本の矢」は中身がない。まえの一番大事な一本「成長戦略」は結局中身がないまま看板を書き換えることになった。やったのは安保法制である。安倍総理の言うことをいったいだれが信用するのか?
 健全な保守主義を志向する、自民党国会議員や道会議員のみなさんは、正直・誠実に行動して、政治に信頼を取り戻してもらいたい。

*政府債務残高の推移
http://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html


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#3049 抜歯 : 根室で北大口腔外科医の治療を受けた May 24, 2015 [30. 地域医療問題]

 右上、奥から3番目の歯が炎症を起こし、食事をするときに当たって痛かった。歯がぐらつくことを専門用語で弛緩動揺(チカンドウヨウ)というのだそうだ。それであたる部分をすこし削ってもらった。その部分で噛むと、それが刺激となりまた炎症が起きるから、いずれ抜歯になりますとの診断だった。

 東京聖蹟桜ヶ丘のH歯科クリニックで年に一度インプラントした歯のチェックをしてもらっている。その際に、H先生にどうしたものか聞いてみたら、レントゲンを撮って確認してくれた。炎症が起きているから早めに抜いたほうが良いとの診断。左上の一番奥の歯がクラウンをかぶせてある下側の部分が舌でさわると削れているようなので、それもチェックしてもらったら、こちらは内部が虫歯になっているから根室へ戻ったらすぐにかぶせ直したほうが良いとの診断。
 右上の奥から3番目の歯は根室で抜歯しておいて、次に東京へ来たときに治療することになった。圧力が大きいので二本ブリッジだともたないかもしれない。健康な歯を削って3本ブリッジという選択肢もあるが、2本で考えている説明があった。ちょっと厄介そうだ。

 東京にいたのは5日間、時間がないので東京での治療は無理なので、根室のF先生宛に治療すべき歯の状況を説明した「紹介状」を書いてくれたので、戻ってきてからF先生にお渡しした。
 そうして早速、左上一番奥の歯のクラウンを外したら、だいぶ虫歯が進行していた。かぶせなおして食事が楽になった。スキルス胃癌で胃を全摘したから、歯にトラブルがあると体重が減り、体力が落ちていくから要注意なのだ。

 右上奥から3番目の歯は舌で触ると亀裂が入っているのがわかる。地元の歯科医のF先生のところで左上の歯の治療をしている間に、食事中に欠けた。真ん中の部分が欠けて取れてしまった。
 外側が残り、抜歯がむずかしい。F歯科では月に一度北大口腔外科のドクターが来て、難易度の高い抜歯はこの先生がやってくれる。F先生は問題が起きるかもしれない治療は無理をせずに、口腔外科専門医にゆだねる。これは患者にとってありがたいことだ。2年ほど前に左上の親知らずをこの先生に抜いてもらったことがある。
 先週土曜日に口腔外科医が来て、抜歯をしてくれた。麻酔が効いてくると、1.5分程度で簡単に抜いてくれた。歯は縦に根元まで裂けていた。ぐらぐら弛緩動揺するわけだ。

 3年前にF先生にインプラント治療の相談をしたら、北大を紹介するという。インプラントは専用手術室が必要だ。自分のところではやらないとはっきり。高度なスキルの必要な治療は専門医を紹介するというのがF先生のスタイルである。歯科治療のおける「病診連携」のようなことを考えているのだろう。根室の開業医(医師・歯科医師)はそうしたネットワークづくりが実にお上手な方がいる。患者にとってはありがたいことこの上ない。

 東京で掛かっていた歯科クリニックのH先生は2年前ですでに500例を超えるインプラントの経験があり、ワイフがやっていたから安心してやってもらえた。
 東京の歯科医はしょっちゅう専門医の研修を受けて、最新技術の習得をしている。ときにはメーカのトレーニングを受けるために北欧まで行っていることもある。ほとんどの専門学会の研修会が東京で行われるので、新しい技術を導入し、スキルを上げたい歯科医にとっては東京は便利な場所だ。インプラントも歯科矯正もそれぞれ専門の「腕のよい職人」がいる。

 二本歯にトラブルがあったので、食事の量に影響した。体重が1.5kgほど減ったままだ。少し動いて筋肉をつけて、1.5kg取り戻したい。そういうこともあって今日は早朝サイクリングに出かけた。
 根室のF先生と、東京聖蹟桜ヶ丘のH先生に感謝・・・m(_ _)m

<余談>
 東京のH先生は札幌のご出身で北大歯学部卒なのだが、15年ほど前に話をしていたら根室が知床半島にあると勘違いされていた。わたしも行ったことのない道北は知らないところがいくつもある。網走や北見にも行ったことがない。行ったことのないところは関心も薄く、知識が不確かなもの。札幌から見たら、根室は遠い異国なのかもしれない。帯広・釧路経由で437kmある。東京⇒仙台が380kmだ。東京人で札幌⇒根室の距離が東京⇒仙台よりも大きいと思う人はほとんどいないだろう。北海道は案外広い。

 時代小説を読んでいると、道産子のebisuには西日本が実感としてよくわからない。ときに地図で確認しながら読むのだが、気候や風土の実感がないから位置がわかってもどこかふわふわ感がある。
 江戸の小説を読むときは江戸時代の地図があると便利だ。それを見ながら読んだら楽しみが倍になるだろう。日本橋人形町や日本橋本町、銀座に本社のある会社で仕事をしたことがあるから、それらの界隈は歩いて空気を吸ったので比較すべき実感がある。埋立地が広がったので日本橋界隈はいまとはまるで違う。よく遊んだ渋谷や新宿もそうだ。
 30年ほど前になるが神田三省堂に江戸時代の地図の複製が何種類か売っていた。


*#3048 早朝のサイクリング May 24, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-05-24


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#3025 市立根室病院経営形態変更 Apr. 15, 2015 [30. 地域医療問題]

 市立根室病院情報誌「NCHニュース」というパンフが「広報根室4月号」に折り込まれて配布された。そのパンフによれば、4月1日から地方公営企業法「全部適用」に経営形態が変更された。市が病院事業管理者に経営をゆだねるものである。東浦院長が病院事業管理者となった。
 新臨床研修医制度が始まり、旭川医大の引き上げが決まって常勤医が5名ほどまで激減したきつい時期を乗り切ってくれた荒川前院長を袖にして、札医大への鞍替えを図った市長と東浦院長、このコンビになってから、約8億円前後だった赤字幅があれよあれよというまに10億円を超え、さらに11億円も超えて17億円に拡大してしまっている。彼の病院運営に問題がなければ赤字幅が2倍になるというのは考えられぬ。問題があるのなら、その問題と真摯に向き合い、解決すればよいだけ。

<隣町の厚岸町立病院は経営改善が進んでいる>
 近隣では厚岸町立病院がこの数年で赤字を大幅に改善して、国基準の補助金投入(赤字補填)で間に合っている。市立根室病院の規模におきなおすと、一般会計補助金が8億円台で間に合っているということ、つまり9億円の経営改善がなんらかの形でできたということだ。厚岸町立病院の院長は病院経営管理者としても優れた手腕をおもちのようだ。
  市立根室病院は現院長になってから、8億円前後だった一般会計繰入金が11億円を超え、17億円が続いている。赤字額は一時20億円を超えたようだ。こうした経緯を考えると現院長はそもそも病院事業管理者としてふさわしいのだろうか?

<病院運営上の問題が常勤医の退職を引き起こしている>
 昨年お辞めになった市立根室病院元副院長の外科医のT先生はこちら(厚岸町立病院)で仕事しているようだ。何もなくてすぐ近くの隣町の町立病院へは移らないと考えるのが自然だ。ebisuは事情を知っている。似たような事情でこの数年間に何人のドクターがお辞めになったのか。いくらお金をかけて斡旋業者を使って常勤医を招聘しても、運営に問題があれば退職が相次ぐ。民間では離職率が高い企業はブラックと称されてしまう、病院業界は狭いから、お辞めになった数人のドクターが運営の実情を周りの者に話せば、噂としてさっと道内の医者の間に広がる、道内の医者の間では市立根室病院はすでにブラック企業なのだろう。だから関東や関西へ募集の手を広げざるをえなくなる。この件に関しては市長に大きな責任がある。今年も常勤医の退職が複数あるとは巷の噂で、どういうわけか根室という町はこの手の「極秘情報」に関しては、ほとんどのケースで「うわさ」通りになるのである。
 その結果、常勤医の予定定員18に対して、毎年12~14名となっている。この恒常的な常勤医不足は市長と現院長の「自作自演」ということになる。

<正直な仕事で病院経営改善を>
 市民や病院職員の不安を払拭するために、病院事業管理者は赤字幅縮小についてビジョンと具体的なスケジュールと達成手段を示すべきではないのか?運営についても今までどこが拙くてそうなったのか、そして何をどう変えるのかが示さなければ改善ができないだろう。正直な仕事はというものはそういうものだ。
 市長と院長は当事者だから運営上の問題点のよって来る原因をよくご存知だ。お二人の「自作自演」の結果なのだから。

<民間企業と同じ企業会計基準で決算公表すべき>
 公的会計基準による決算報告では、年度によって赤字になったり黒字だったりしているが、これは夕張を破綻させたインチキ会計基準であり、実態がまるでわからない。たとえば、17億円の赤字を出しても根室市の一般会計から赤字を補填したら黒字になるし、借金をして赤字を穴埋めしても黒字となるのである。
 簡単に言うと、20億円の赤字を出しても、大地みらい信金から20億円の借入を行えば黒字になる、公的会計基準とは実にインチキなのである。500万円の売上で1000万円使っても、501万円借金を増やせば公的会計基準による決算では黒字ということ。だから、夕張市は突然破綻した。前年まで黒字だったのが突然にお金が回らなくなり破綻した、市民には寝耳に水である。調べてみたら、実際には黒字ではなくずっと赤字を続けていた。公的会計基準で報告を受けているから、市民は蚊帳の外、事実は何も知らされなかった。こういうカラクリで地方自治体の財政破綻は突然襲うのである。お金を貸した信金は道庁が全部肩代わりしてくれるからリスク・ゼロである。しかし、そういうイージーな営業戦略を採っていた夕張信金はすでに消滅して存在しない。
 大地みらい信金が夕張信金と同じ道をたどる懸念はないのだろうか、職員の皆さんは自分の職場を守るために、信金の営業戦略に注文をつけるべきだ。それが根室の町のためにもなる。
 そういうわけで、病院の経営実態は民間会計基準で損益計算書を公表しないと市民にも病院職員にもわからない。もちろん市議たちにもだ。事実を知らなければ経営健全化の具体的な議論もできぬ。
 過去3年分を公表すれば、民間会計基準での決算では損失が20億円を超えた年度があることがわかるだろう。市税収入はわずか28億円しかない、それも町の人口減少により年々減少していく。長期にわたる人口減少にも関わらず、根室市の予算規模は165億円に膨張している。過去20年で見ると一番少なかったときは140億円台だった。放漫財政は後年次負担を増やすことになるから、根室市の財政規模縮小は喫緊の課題なのである。人口がさらに5000人も減ってから、放漫財政のツケである市債残高を償還するのは実にきついことになるのはだれにでもわかる。夕張市民がいまその憂き目にあっている。25年の返済計画で破綻後急激に人口縮小が進んだ高齢化した市民が負担している。小学校の中学校もとっくに1校しかない。こういうところにも問答無用でツケは回るのである。

<政府財政破綻を前提に備えをすべき>
 国の財政が破綻して補助金がなくなれば、市税収入の7割を病院運営につぎ込まなければならない、市役所職員に給料が支払えなくなる。お金は天から降って来ないし、地から湧いて来ない。そろそろ国の補助金という打ち出の小槌がなくなるときのことを想定して、備えを固めておかなければならない。政府財政破綻はありうる、次第に現実味を帯びてきている。

<この規模での赤字が続けばどうなるの?>
 このまま市立根室病院赤字が続けばどういうことになるかは、以前に市役所財政課が「市財政がもたない」と市議会で答弁しており、その兆候はすでに出ている、赤字の補填ができずに損失繰延を2回行ったのではないか。一度目は10億円の赤字特例債を発行した。その返済で、その後の経営が苦しくなった。
 経営がうまくいかなければ、数年で民間医療法人へ運営委託しなければならなくなるだろう。そのときにはドクターや看護師やスタッフのほとんどが解雇になる。運営委託を受けた民間医療法人が医者も看護師もスタッフも用意することになる。

<岐路に立っている実態を正直に知らしめよ>
 大きな岐路に立っているのだから、病院経営の実態を民間会計基準で過去3年間にさかのぼってホームページ上で公表すべきである。
 そうした経営実態を理解した上で、病院職員と市民が協力すればよい。病院職員も経営実態を知れば自分たちの首が掛かるのだから本気で経営再建に協力するだろう。

 しんどい話だが、仕事はとことん正直に誠実にやるのがベスト。
 ごまかしたり手を抜けばにっちもさっちも行かぬところに追い込まれる、それが経営の常、だからこそそうなる前に手を打たねばならない。

<正直に誠実に取り組め:ラスト・チャンス>
 病院事業管理者になったら、医者であっても「経営のことは知らぬ」ではすまない。病院のバカ管理職が弊ブログに勤務医を騙(かた)って投稿してきたことがあった。文面は知性と倫理レベルの程度を表し幼稚で品性を欠くものだった。根拠のない悪口雑言が並ぶ中に、医者には病院経営は関係がないと書いてあった。病院事業管理者はそうはいかないのだよ。そして、経営再建には職員だけでなく、ドクターの協力が欠かせない。そんなことも理解できない管理職がまだいては運営の改善などできるはずもない。

 正直に誠実に仕事をすれば、いままでのことはどうあれ根室市民の評価は変わるよ。武士の情けだ、行間が読めないようなら救いようがなかったということ。これがラスト・チャンス、もう後はない。後悔しないように襟を正して世のため人のために行動したらいかが?


*#3021 根室市長施政方針にみる「官民」という言葉のセンス Apr. 11, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11

 #3022 平成27年度根室「市政方針」論評  Apr.11, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1


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#2921 市立根室病院の常勤医数は今年も計画未達だった Dec. 26, 2014 [30. 地域医療問題]

今年も後5日です、根室の地域医療の一年間を振り返ってみたいと思います。

 過去8年間、常勤医数は一度も計画値を達成していません。増えないだけでなく市立根室病院では運営に異を唱える常勤のドクターたちの「整理」が進んでいるようにみえます。

札医大系の医師は対象外ですが、辞めたドクターの中にも札医大OBの方はいます。現在隣町の外科のN医師、釧路の整形外科系某病院のK医師のお二人です。

 二人は札医大系なのに何故?

外科のN医師は当時前院長に内緒で恵庭の病院で前院長の同僚だった整形外科のK医師を根室に呼ぶことに成功しています。こんな事は病院の責任者の許可が無ければできないことですが、実質の責任者である市長が黙認したのでしょう。

こうして内科、外科、整形外科の責任者が札医大OBとなり北大出身の前院長を追い出したようです。こういうことをすると口コミで道内の医師の間で市立根室病院の評判が悪くなるだけでなく、根室の評判が悪くなります。だから、最近数年間は業者を通じて道外へ医師募集の手を伸ばさなければならなくなっているようです。

これはebisuの推測ですが、市長は医師の確保が思うようにならないので、札医大に丸ごと引き受けてほしかったのではないでしょうか。だが、その希望は受け入れられなかった、当然です。そのような甘いことを考えていたとしたら、医療事情をまったく知らないということです。
 札医大に引き受けてほしいなら、前院長に正直にその旨を話すべきだった、小手先の工作など何もいらなかった。きっと前院長は相談に乗って一緒に考えてくれたでしょう。「札医大に引き受けてもらいたいので・・・」と説明したら、臨床研修医制度が変わって、札医大にもそういう余裕はないよとほかの解決策を一緒に考えてくれた筈です。
 正直な対応は第三者が見ても気持ちのよいもの、根室市政にはそういう正直さが足りない。
 諮問委員会方式のいくつかあった、そしていまもある「~市民委員会」も同じです。市民委員会とは名ばかり、市側で指名した委員が過半数で、委員長は町内会連合会長か市の取引業者、そこで事務局案をそのまま通す。閉鎖的な委員会でことを決める、この8年間ずっと市民の意見に耳を貸さず一部の者たちだけでことを決めてきました、不正直でした。明るい根室を築くために、もっと市民とフランクに話すべきです。8年間市長の職にあり、いま3期目です。9月の市長選挙では対立候補に東京からにわかに女性の鴨志田りえさんが立候補した。現職が獲得した票数は有権者の35.4%に過ぎません。批判票が多かった、そのことを忘れてはなりません。多くの市民は一般市民の声に耳を傾けることを望んでいます。「オール根室」などという1割のグループだけで市政を運営していることにうんざりしています。
 そろそろ改めませんか?

*#2808 現職長谷川俊輔候補の勝利: 現職支持は有権者の三人に一人  Sep. 14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-14-2

*#2809 市長選挙が終わり弔鐘が鳴る Sep. 15, 201
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

東京医大、旭川医大と2度も特定の大学に引き受けてもらうことが無理だと手痛い経験をしたのに、また同じ轍を踏みました。
 運営に異を唱える常勤医がこの3年間にパラパラやめていきましたが、純化路線が進んでも札医大の「分院」にはならないのは理由のあることです。
 臨床研修医制度が変わってから、そういう人的余裕は旭川大になくなって撤退したし、札医大にもないのです。2007年にわたしがスキルス胃癌の手術をした釧路医師会病院も旭川医大系列の病院でしたが、医大本院の臨床研修医が不足して医師を派遣できなくなり術後2年ほどで閉鎖になりました。わたしは東京の元厚生省官僚のあるドクターから道内の医大の臨床研修医数がどういう状況にあるのか資料をいただいて承知していました。
 道内各医大本院ですら臨床研修医が不足しているのです、市立根室病院は道内3大学から支援を受けながら、自力で常勤医師募集活動をして運営していくしかありません。ところがいくつか具体的案理由があって北大との関係を悪くしてしまった、そして旭川医大が撤退した。

打つ手がなくなり、市長は民間医療法人へ丸ごと引き受けてもらう案を考えているのでしょう。地方公営企業法全部適用による指定管理者の任命、これは序曲で、次にまっているのは民間医療法人への運営委託です。

年間の事業損失は17億円前後、長谷川市政以前は年間約8億円の損失でした。民間医療法人への運営委託はいくつか問題があります。

①市側の損失負担額をいくらにするのかという問題

②医師の入れ替え問題

③職員の処遇の問題

通常の民間委託では医師は医療法人側が手配するので運営移管に伴い現在いる先生たちは解雇される。これは損失負担額とも関係しています。民間医療法人の医師の給与は市立根室病院ほどは高くありません。
 次に職員ですが、これも医療法人側が連れてきます。病院経営の考え方や処遇が異なるので、ほとんどのスタッフを入れ替えざるを得ないのです。実務上は3割残せないでしょう。もちろん残る人の給与も3割カットくらいになります。医療法人側の給与ベースにあわせることになるからです。これも年間赤字額を減らすためにやむをえない措置です。

根室の地域医療政策は老人医療について市立根室に療養型病床を設けないという決定的なミスをしました。そして市立根室病院は年間赤字額を2倍に増大させてしまい崖っぷちに追いやられ選択肢が狭くなって心配です。
 わたしの推測がことごとく外れることを祈っています。

 

話を戻します。人間関係は複雑です。出て行ったお二人は札幌には戻らないで根室の隣町に居ます。いずれ院長ポストが変わるときがきます。民間医療機関への運営委託が先かどうかはわかりません。
 K医師は既に時々整形外科への支援と称して根室に出張。一方の隣町のN医師には、最近黒部から来ていたT副院長が根室から去り手薄になった外科(札医大系)を支援するという大義名分ができました。手術を手伝うために根室に出張してくる可能性はあります。
 手術をやっていない整形と上が抜けてしまった外科(外科は元々チーム医療)では現実問題として現場が進まない。

 

なんだかとっても複雑なことになっているようです。孫悟空、沙悟浄、猪八戒を掌上で操っているのはお釈迦様ですが、いずれは民間医療法人への運営委託をするとしても、当面どうするのでしょう?

<赤字額がまったくわからない市立根室病院の決算情報>
 常勤医は一向に増えません、昨年度も計画未達で今年度もそうなります。常勤医は一時6名まで減り、その後12~14名の間を動いています。計画では16名か17名だったかな、そんなものだったと思いますが、派遣医を増やすことで対応せざるをえないようです。
 今年も地域医療の中核病院は大きな赤字を出していますが、公的会計制度による報告ではさっぱり赤字の実態が見えません。
 北海道新聞根室支局が取材して本当の赤字の額がいくらになったのか根室市民に知らせてほしいものです。

 広報ねむろ1月号が昨日届いていますが、市立根室病院事業のH25年度の赤字が7.5億円になっています。これは公的会計基準によるもので、一般会計繰入金が収入の部に加算されています。繰入金は赤字補填ですからこの金額は収入(売上)に加算すべきではなく損失に加えるべきものです。国の基準内繰入金を収入の部に上乗せしています。民間会計基準では粉飾決算と判断されます。根室市は民間会計基準で市立根室病院事業決算を市民に報告すべきです。公的会計基準で「広報ねむろ」に載せて内容を理解できる市民は市の財政課職員ぐらいです。だれに報告しているのかよく考えて報告様式を選んでほしいものです。ここにも一般市民無視の市政が姿を見せています、「よらしむべし、知らしむべからず」。次の弊ブログで取り上げます。

  

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#2874 よくわからぬ新聞記事:市立根室病院事業決算いったい赤字額はいくら?   Nov. 20, 2014 [30. 地域医療問題]

 19日の北海道新聞朝刊に市立根室病院の決算情報が一部載っていたが、よくわからない。肝心の病院事業赤字額がいくらであるか載っていないのである、市民が知りたいのは病院事業でいくら赤字額が発生し、市の一般会計等からいくら補填されたのかということ
(市立病院の経営が継続できるのかということを心配している市民や患者やその家族が多い。市税収入29億円の根室市で市立病院を維持していけるのだろうか?)
 北海道新聞根室支局の前々任者まではこの辺りの数字の扱いはきわめて明確だったような気がする。あるいはさらにもう一人前の方まで・・・だったかもしれぬ。

 赤字額が載っていないだけでなく、「一般会計などからの繰入金は11億4300万円で、計画を4億6200万円上回った」となっている。
 これには国基準の8億円前後の一般会計繰入金が含まれているのかというのが疑問の一つ目。
 に二つ目の疑問は、根室市の「決算カード」に載っている「病院事業」区分の「普通会計からの繰入金額」が14億8897万円となっているが、どちらの数字が正しいのかということ。

  ついでに付け加えると、道新は2度、一般会計繰入金から国基準の繰入金を除外して取材記事を掲載している。国基準の繰入金は8億円前後あるから、その分だけ繰入額が小さく見える。市民に誤解を与えるので弊ブログで2度ほど指摘したが、今回の記事はその点が改善されているのだろうか?
(8月27日付北海道新聞根室地域版に掲載された記事に誤りがあったので弊ブログ#2790で内容を指摘してある。以前の根室支局の記者さんは弊ブログをモニターしてくれていたから、こういうミスはなかった。元市立病院管理職だった本田市議に確認してもわかることだし、市役所財政課でも親切に説明はしてくれる。ebisuは担当記者に市役所財政課で確認することを薦めたい。)

 いずれにせよ病院事業赤字額を新聞に載せてくれたら市民のほとんどが実情を理解できる。決算対策特別委員会のメンバーは赤字額がいくらか承知しているのだろうか?年間赤字額も知らないで一般会計繰入金額だけ議論しているならこの委員会はいらない。新聞記事を読む限りでは委員諸氏は赤字額に言及していないように見える。市長の諮問委員会はかくも好い加減な仕事になる。諮問委員会方式はやめたほうがいい。日曜日に関心のある市民参加のできる説明会を総合文化会館で開くべきだ。

*平成25年度版根室市の「決算カード」・・・財政課のホームページ
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/90f544667780cf46492570c700066ba3/$FILE/H25カード.pdf


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市立病院の昨年度外来、入院
  患者数 計画下回る
    繰入金は4億6200万円増

 【根室】市立根室病院の経営に市民の意見を反映させる財政再建対策特別委員会(山本連治郎委員長)が18日、同病院で開かれ、病院事業改革プランに基いた2015年度事業計画に対する業績が報告された。外来患者数、入院患者数共に計画を下回り、出席者からは「計画が甘いのでは」といった厳しい指摘があった。
 13年度の外来患者数は13万2010人で木ひゅう達成率91.9%、入院患者数は3万7533人で同92.7%だった。いずれも医師不足などが影響したためで、収支不足を補うための一般会計などからの繰入金は11億4300万円で、計画を4億6200万円上回った。
 出席者からは「市立病院はきちんと原因を分析しているのか」「民間企業では考えられない」などの声が上がった。
 また医師体制の充実についても議論した。90年4月に17人体制だった常勤医は、今年10月現在で13人まで減った。東浦勝浩院長は市立病院の現状について「大学病院ではないため医師確保が難しい状態が続いている。ただ、地域医療に理解をもつ医師に来てもらっており、院内の雰囲気は良好だ。
 病院事業改革プランは、赤字穴埋めのための公立病院特例債を国に認めてもらう際、数値目標を掲げて経営再建の道筋を示す計画。09年3月の策定以降、実績が毎年、計画を下回る状態が続いている。(丸山格史)
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 「市民の意見を反映させるために財政再建対策特別委員会」となっているが、委員長殿は市民の1割しか代表しない「オール根室」村の一員で、この委員会は市長の諮問委員会だから、市長派ばかりで固められているのだろう。
 市政に批判的な意見をもつものを排除する長谷川市政の基本姿勢は市長選挙後もまったく変らないようだ。九月の市長選挙での長谷川氏の得票数は有権者総数の36.3%しかなかった。

 アンダーライン下部分は誤解を招く表現である。13人に減ったとなっているが、昨年も一昨年もその前の年も13人ではなかったか?今年度減ったわけではない、この数年間変化はないのである。だから17人という計画値が非現実的。計画数字合わせをするためにこのような非現実的な計画を毎年繰り返している。

 常勤医指数は外科医の副院長がお辞めになって先月根室を去り、厚岸町立病院へ。「院内の雰囲気は良好だ」というのは院長の眼から見た判断だろう。ポロポロ常勤医がお辞めになるが、いくつか不協和音が聞こえてくる。市長も一枚かんでいるから困ったものだ。4月は年度替りだが、不協和音でまたお辞めになる医師がでないことを祈るのみ。
 道新はお辞めになった医師で近隣の市町村でお仕事をしていらっしゃる方にインタビューをしたらいかが?医局が和気藹々かどうかくらいは何人かの医師がお答えになってくれるのではないか? 病院運営がどうなっており、どのように改善すればいいかの手がかりになるかもしれない。

 
<参考資料>
*市立病院事業改革プラン
 22ページに平成25年度の一般会計繰入金の計画値が載っている。「内繰出し基準額」は8.3億円となっている。これが何を表すのかよくわからぬ。企業会計専門家のebisuが見てもわからない。財政課でヒアリングしないとわからないようなものをしらっと公表するな。財政政権対策特別委のメンバーは民間人だろう、このような官庁用語のへんな資料を見せられても理解できる者はひとりもいないだろう。
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ab6a5de4a6624e6492577b300226d2f/$FILE/%E5%B8%82%E7%AB%8B%E6%A0%B9%E5%AE%A4%E7%97%85%E9%99%A2%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%EF%BC%88%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%EF%BC%89.pdf

*本田市議作成資料「改革プラン改定版分析その4 7.一般会計繰出金」
 この資料にはH25年度の一般会計繰出金額は9億8327万円と出ている。これも他の資料とすこし数字が合わない。この金額に追加分の4億6200万円を足しても、「決算カード」の数値と少し違う。
http://nimuoro.typepad.jp/pdf-file/20101023.pdf

*(2)「改革プランと9月末までの経営状況等を比べて」
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/10/9-a5cb.html

*#2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比  May 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06

 #2286 市立根室病院『改革プラン(改訂版)』と実績対比 May 7, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-1

 #2790 誤報あり:「争点整理 根室市長選①医療」 2014 Aug. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-27


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#2817 市立根室病院 外科常勤医の退職 Sep. 26, 2014 [30. 地域医療問題]

  9月27日北海道新聞に標記の記事が載っていた。外科医の副院長が30日退任の予定だという。送別会の話しが耳に入ったのは9月初旬だった。#2800でとりあげた。T副院長は黒部市民病院からいらっしゃった。あのときはお二人の医師の移籍だったから根室市の側に市立病院を黒部市民病院のブランチ化する意向があるのかと思った。
 市長選挙期間中だったから書かなかったが、副院長殿は病院の運営を変えるべきだと市長に直訴したが、けんもほろろ、「嫌ならお辞めになっても結構です」という風なことを言われたという噂がある。もう半年以上前のことだ。言うだけムダ、聞く耳はないとわかって、がっかりしたT先生の姿が目に浮かぶ。噂の真偽のほどはebisuにはわからぬが、ことの顛末は「噂」がどうやら真相に近いものだったことを証明している。
 「噂」を耳にしたときに時間の問題でお辞めになると感じた。赴任してきて、事前に聞いていた話とだいぶ違う状態と運営に疑問をもってお辞めになったドクターが前の年にもお一人いらっしゃった。言っても無駄だと感じたら言わずに他の病院へ転職すればいいのである。
 こういう情報が市長選挙のときに多数の市民の耳に入っていたら、選挙結果は違っていたのかもしれない。
 この種の情報は医者の間に口コミで広く伝わっていくものだから、市長の職にある者は、好い加減な対応をしてはいけない。もちろんふだんの病院運営も医者や職員とのコミュニケーションに心がけ、とくに異論に耳を傾け真摯に聞く心をもたなければならない。そういう資質を備えた人が院長職や市長職にあれば、こうしたことは続いておきなかった。

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外科常勤医来月1人減
   
市立根室病院

 【根室】市立根室病院の竹山茂副院長(外科担当)が30日、退任する。これに伴い、これまで常勤医2人体制だった外科は、10月から常勤医一人。出張医1人の体制に変り、金曜午後の診療は休止する。
 一方、9月1日付で人工透析担当医の山本真根医師が着任しており、病院全体の常勤医は10月から13人体制となる。山本医師は札幌医大や道内民間病院での勤務経験がある。
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 T先生はこの数年間で年間赤字額を3億円にまで減らした近隣の公立病院へ転職なさるようだ。地域医療のレベルを落とさず、運営の改善を重ねていく隣町の病院長の経営姿勢に共感したのかも知れぬ。その町立病院の業務改善内容は北海道新聞がとりあげたことがある。わがまちの市立病院をそういう話題で北海道新聞根室支局が取り上げる機会はあるのだろうか?

 常勤医から派遣医に変ると人件費が3倍に膨らむ。常勤医一人分を派遣医でまかなうと年間8000~9000万円かかるのである。市立根室病院赤字拡大の原因の一つは、派遣医の増大にある。院長も市長もこの部分に手をつけるつもりはないようだ。派遣医が増えたことは赤字増大の原因の半分に満たないだろう。常勤医の計画は18名だったような気がするが、例年似たような状況だから計画人員は蜃気楼のようなものだ。病院建設前だったら、正直な予算を立てたら、道の許可が下りないという事情があったが、いまはそういう事情はないのだから、インチキ計画の策定をやめて13名で計画をつくればいい。仕事は正直に誠実にやるものだ。市議会はいつまでこんなインチキ予算をそのまま認めるのか?何年たっても市議会は市政チェック機能を果たせない、根室に市議会がないのも同然だ。

 人工透析に専門医が登場する。前院長が腎臓の専門医だったが、市長のたいへん失礼な不手際があり、お辞めになってから、人工透析には専門医が不在の状態が続いていた。患者さんや家族が不安がっていた。専門医がいないことが原因だったかどうかはわからぬが、この数年間亡くなる患者さんが増えていなかったら幸いだ。専門医とそうでない医者では人工透析の患者さんの経過観察や治療方針に違いが出るのは当然のことだろう。だから、専門医のご登場に拍手を送りたい。
 客観的な話しをすれば非札医大系の外科医が去り、出張医(どこの医局が関わっているかは新聞記事からは不明)が一人増え、札医大から人工透析担当の常勤医が一人増えたということか。

 中小企業家同友会全国協議会が中小企業は従業員とその家族を大切にしないと生き延びれないと宣言して、そういう方向へ舵を切っている。市立根室病院は規模としては135ベッドの小規模病院であるから、中小企業と言っていいだろう。ドクターや看護師、そのほかのスタッフ職員を大切にする経営へ変らなければ赤字は減らせないのではないか?前市長時代は概ね8億円前後だった赤字額が最近数年間は15~20億円に膨らんでいる。
 売上22~25億円の民間企業でこんなに赤字を出したら1年間でつぶれている。赤字額は年々増えている。足りないものだから市債の増発でまかなっているが、次の市長や次の次の市長の財源を食い荒らし、子ども達に借財の返済を残すことになる。やってはならぬことを平気で2期8年間やってきたが、3期目がはじまった。
 3期目の市長は有権者のたった36.3%からの支持しか受けていない。

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 このまま推移すると予測されるコース。
 指定管理者制導入⇒経営改善できず⇒民間医療機関への運営委託検討⇒運営委託と医師および職員のリストラ⇒診療機能の一部縮小

 もうレールが敷かれたも同然である。市立病院経営の市側の年間赤字負担額をいくらにするかが問題となるだろう。
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*#2800 市立根室病院外科医のT副院長が退職 Sep. 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-07

 こちらの方(#2611)はコメント欄の議論が面白い。ハンドルネームで病院勤務医を名乗る方(なりすまし?)の我田引水の意見が振るっている。
 #2611 平成25年度市立根室病院赤字額はいくらか? Mar. 5, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-05



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#2800 市立根室病院外科医のT副院長が退職 Sep. 7, 2014 [30. 地域医療問題]

 今日は蟹祭りだ。天気はいいし、風も弱い。気象庁のデータに拠れば正午の気温は23.4度、湿度63%、北北西2.7m/secのすずしい微風。

  かねて院長と病院の運営体制について不協和音が噂されていた外科医T副院長の送別会があったようだ。市民の一人としてありがとうございましたと一言御礼申し上げたい。
 病院のホームページ「診療体制」にはまだお名前が載っている。
*市立根室病院「診療体制」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/doc/8112c314aa2a18934925749f00213738?OpenDocument

 T医師は姉妹都市の黒部市民病院から市長が招請した医師の一人である。あるドクターが高い評価をされていた。
 院長と副院長、そして市長の間に何があったのか、医療業界は狭いから、道内のドクターの間では退職に至った具体的な事情が流れるのだろう。

 以前、弊ブログのコメント欄に市立根室病院の勤務医を名乗る人が院内の医局は和気藹々とのたまっていた。2014年4月11日に「大好きな根室の勤務医」「根室を愛した勤務医」というハンドルネームで投稿なさった方、成りすましでないのなら直情径行タイプの正直な方だろう、院内で何が起きたのか、現場を見るか話しをどなたかから聞いているはずですから、差し支えない範囲でこの1年間の経緯と副院長退職の理由についてコメント欄で解説をお願いしたい。

 この数年で何名かのドクターがさまざまな事情で去った。その中の何件かは院内運営方針に関するトラブル。運営上の意見が合わなければ排除、ここにも話し合いを拒否した閉鎖性が顔を出す。
 他大学出身者を排除して「札医大純化路線」をひた走る。長い目で見れば、札医大にとっても根室市民にとってもよいことではありません。
 その結果、常勤医数はちっとも増えない。異論を聞く耳を持たず、それどころか異論を言う者を排除しようとする、このような幼児性の強い閉鎖性を取り除かないとどうにもならぬ。
 世の中は意見が違って当たり前、どんな企業でも意見の違う者がそれぞれ闊達に意見を言い、そして折り合いをつけて組織を動かしている。そうでないのは中国共産党や北朝鮮労働党のような組織だけ。
 常勤医数はいま13名、それとも12名?計画は16名だったか、20名だったか、毎年現実離れしているので失念してしまった。どなたか思い出したらコメント欄へ書いてほしい。

 本件については病院問題に詳しい本田市議が事情を知っているだろうから自身のブログで近いうちに何かコメントするかもしれません。おそらく書かないでしょう、書いたらいろんなところからバッシングがある。意見の違いを乗り越えて議論できない駄々っ子のような大人が、さまざまな組織の長をやっているのが根室。

 市議会文教厚生常任委員会は院内で何が起きているのか市役所ホームページで市民へ説明したらいい。市民へのアカウンタビリティ(説明責任)があるのではないか。ここもおそらく責任放棄、大人の仕事ができぬ。大人なら仕事はその権限と責任と報酬が一体のものであることを忘れないでほしい。

 仕事は正直に誠実に渾身の力でやろう、そうでなくては形を変えて何度でも同じことがおきる。

(余計なことかもしれないが、医心伝心ネットワーク会議は送別会を開いたのだろうか?来られたときと同じように去られるときにも礼を尽くしたいもの。なにがあったかはそういう場で問わず語りに聞けるものだ。そうしたら適切な措置を講じて次のケースの発生を未然に防ぐことができる。いままでそういうことができていないから何度も繰り返される。)

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<市立根室病院勤務医を自称する方からの投稿が寄せられた弊ブログ紹介>
 常勤医数18名と書いてありましたが、14名。データが好い加減で、一方的な主張を書き連ねたコメントでした。現実を見てすこしはバランスがよくなってはいませんか?善意に解釈すれば、あなたはあのときに本件の問題を知らなかったのでしょう。大問題が生じていることすら知らなかったのは、院長あるいは院長派の言ばかりを聞かされていたからでしょう、うかつでしたね。
 もう一度書く勇気がおありかな?勇気がなければ無理しなくて結構ですから沈黙したままでいてください。
 ebisuは大学病院のドクター数名と仕事上のお付き合いがありましたから、品位と内容から判断して、あの投稿は
9割がたは院長派の病院管理職による成りすましだと思っています。
*#2611 平成25年度市立根室病院赤字額はいくらか? Mar. 5, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-05

 判断の理由を書いておきましょう。ドクターとの仕事の一つは全国の病院が使用している臨床検査項目コードです。事実上の日本標準になっていますから、市立根室病院もその恩恵にあずかっています。
 臨床病理学界の臨床検査項目コード検討委員会・委員長櫻林郁乃介先生(自治医大)から公表されましたが、臨床検査大手六社のシステム部門と学術担当部門との産学共同プロジェクトによる数年の作業を経て実現したものです。BML社のシステム部長の呼びかけで臨床検査会社間でラボ検査項目コードの標準化をしようという意図で立ち上げられた会議でしたが、臨床検査会社間でコードを標準化しても全国の大病院が利用する可能性はありませんでした。臨床病理学会検査項目コード委員会のオーソライズがあれば事実上の日本標準コードになるので、たまたま縁あって半年ほど前に臨床病理学会臨床検査項目コード検討委員長からの協力要請が個人的にあったので、委員長である櫻林先生と六社のコーディネートをしました。
 これは当時NTTデータ通信事業本部と可能性を探っていた「臨床診断支援システム・ネットワーク事業プロジェクト」で予定した10個のプロジェクトの一つでした。こちらのほうは創業社長のFさんが200億円投資の事業構想案に簡単にOKを出してくれました、面白い会社です。東証Ⅱ部上場のために中途入社して1年後(1985年)のことです。この時は統合システム開発を8ヶ月で終了し、全社予算管理を統括していました。私の本職は上場審査をクリアするための統合システム開発と全社予算編成と予算管理でした。面白い会社でしょう。やろうと思えば、どの部門に所属していようが、詳細な企画書を描き経営会議の了解をもらえば何でもできる会社でした。
 臨床検査項目コードの方はSRL社内のシステム部門のK課長とK臨床検査部長(女性)の協力の賜物です。システム部長がそんなことをしたら会社にとって損だと強く反対しましたが、それを三人で押し切ってしまいました。世のため人のために仕事をしようというプロジェクト。
 保険点数が2年ごとに変るたびにSRLから改訂された臨床検査項目コードと保険点数の対応表がインターネットで配布されています。全国の病院側はその対応表を読み込んで臨床検査保険点数表を院内コードに自動更新するだけでいい。そのお陰で、全国の病院から手作業でなされていた保険点数入力作業がなくなりました。じつはもう一つ産学協同プロジェクトで事実上の日本標準になったものがあります。二十数年前に日本ではじめての出生前診断トリプルマーカ基準値はK大学病院産婦人科医グループが数年かけてデータを取り、日本人の基準値が欧米人よりも3割高いことを発表しましたが、あれも産学協同でした。当時学術営業で担当したのが現在栄養医学研究所社長のSさん、コーディネイトとシステム化は学術開発本部のebisu、統計解析は研究部の応用生物統計専門家のFさん(この人も優秀な人でした、後に統計解析の会社を創って独立しています。)というチームで対応した仕事でした。検査はRI部だったと思いますが、どれか一つは別の検査部だったかもしれません。信濃町のK大へはラボ側の窓口として一度だけご挨拶に伺いました。数年間にわたり3000例を超える妊婦の血液からMoM値の日本標準値が確定しました。国際的にも意義のある研究でした。出生前診断に目をつけられたK大の先生たちに敬意を評したいと思います。
 ラボ見学を担当していた時期が1年半ほどありますが、その際にも、海外の製薬メーカから見学にこられたドクターや国内の大学病院のドクターを2~3時間ご案内して、見学後に少しの時間お話しをさせていただいています。
 会社買収と資本参加の二つの案件でわたしを存分に使ってくれたSRLのF創業社長、その後を継ぎ、T社との治験事業の合弁会社の立ち上げと黒字転換を三年間の期限を切って任せてくれたK社長はどちらも医師でした。
 臨床治験システムで東京医科歯科大の治験担当責任者のドクターとも少しの間お付き合いがありました。当時は治験関係の合弁会社でデータ管理と経営管理担当役員をしていたので、打ち合わせの大事なところは担当者と一緒に権限のある私が話しをお伺いしなければならなかったからです。人様のお仕事をお手伝いすることは、そこに何らかの問題があるわけですから、それらを知り、解決案を担当者と一緒に考え、予算措置をして協力すれば、社内にさまざまな実務上のノウハウが蓄積できます。それが次の仕事の種・新商品開発の種となるのです。だから儲けを増やして、世のため人のためとなる仕事ができるように、経営上の余力を確保することも経営者としての役割でした。

 そうしたドクター達を脳裏に浮かべてみると、あの投稿がドクターの手になる物とはどうしても思えないのです。品位に欠けあまりに俗っぽい、今回も一連の投稿を読み直しましたが、印象は変りませんでした。

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