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#4623-3 低学力層にかかわる問題:深刻です Oct. 4, 2021 [65.b 成績下位層にかかわる問題]

 ソネットブログの1ページの用量を超えてしまったようなので、三つに分割しました。7000文字を超えるとオーバーフローを起こすようです。アップしたとたんに、データが半分くらい消えてしまっていました。昔は警告が表示されましたが、いまは警告なしに自動的にカットされてしまいます。長いブログは書くなということか。(笑)
 それで前回からの続き、3つ目、最終回です。

<下位
30%の低学力層にかかわる問題>
 高学力の生徒よりはそうではない生徒の方が多いのはあたりまえです。低学力の生徒がどういう問題を抱え、教える側や保護者はどのようにしたらいいのか、参考になれば幸いです。

  市内のA中学校の得点分布データを先に示しておきます。1年生は9/8日の学力テスト、3年生は9/15日の学力テスト総合Aです。どちらも満点は100点です。

 1年生20点以下 33/92人(35.9%) 10点以下13人(14.1%)
  2年生20点以下⇒ 20人/94人(21.3%)10点以下12人(12.8%)

 3年生20点以下 36/99人(36.4%) 10点以下16人(16.2%)
 
 20点以下の生徒は、独力で勉強できません。誰かがそばについていて、つきっきりで教えてやらないと勉強できないのです。そういう学力レベルが20点以下なのです。10点以下はもうお話にならない。全員逆九九がすらすら言えないでしょう。中1でこういう状態の生徒は中2になっても中3になっても50点なんて獲れません。自力では無理なのです。びっちりついて教えてやれば3人に一人ぐらいは50点以上取れるようにはなりますが、大変な手間がかかるんです。成績上位の生徒を同時に10人個別指導するぐらい手間がかかります。小学校6年間かけて、深く考えない、本を読まない、家で勉強しないということが習慣どころか、性格にまでなっているので、1年間で何とかなるのは10人に一人くらいですよ。数学のテストが十数点だった生徒が、1年後に女子で2番をキープするようになった例が一人だけいました。毎日塾へ来て、数学の教科書を開き、予習、独力でわかるわけもないので、質問攻めでした。かかりっきりになるわけにいかないですから。生徒数の少ない時にしかやれません。
 何がどのように手間がかかるのか説明します。

 前置きはそれくらいにして、成績下位層の生徒の話をします。家庭での学習習慣なし、読書習慣なし。語彙力が貧弱。九九はできると本人の弁。しかし、逆九九を言わせたら、何度もつかえ、しばしば出て来なかったり間違えます。74の段が入れ替わります。
しちしちしじゅうく、しちろくしじゅうに、しちごさんじゅうご、ししちにじゅはち、しさんじゅうに、しにがはち...
「しち」と「し」は言いづらいから、ここのように途中でひっくり返る生徒が中1年生で1割以上いますよ。皆さん「九九はできます」と言いますが、学力の低い生徒で逆九九が口からすらすら出てきたのを見たことはありません。逆九九がすらすら出てこない生徒は割り算に標準的な生徒の3倍以上かかります。そもそも逆九九を教えない小学校の先生が半数くらいはいそうです。中2にも中3にも逆九九がすらすら言えない生徒が同じ比率で存在しています。低学力層のためにセイフティネットがないからそのまま3年生になり、定員割れしている根室高校へ入学していきます。根室高校普通科の1/3ほどがそういう低学力層です。1/3もいますから、こういう生徒はめずらしくないのです。根室高校の先生たちは学力差があまりにも大きいのと、低学力層が1/3もいるので困っているでしょう。
 この生徒は九九からやり直しですが、他の生徒のいる前ではやりません。自尊心がありますからね。口のトレーニングですから、やればすぐによくなります。
 こういう低学力の生徒は家庭での学習習慣がないから、記憶エリアが未発達で、暗記がとっても苦手です。低学年ではお母さんの役割がだいじです。一緒に本を読んであげたり、九九の練習を一緒にしてあげるだけでも効果が大きいのですよ。低学年でそういうかかわりがなかった生徒は、脳の短期記憶エリアが未発達のままになっています。脳の記憶エリアが小学校低学年のままなのです。だから短期記憶エリアの拡張トレーニングが必要です。音読や時間を測ってやる計算問題トレーニングが必要です。斉藤孝著『読書力』を交替で音読する。でてきた文章を5回読んで、諳(そら)んじる。たとえば「エネルギーをめぐる世界の潮流は急激な変化の中にある」を5回音読したら、目を閉じて諳んじる、というように。英語の文章も「There are three parks near here.」を10回音読して、3回諳んじ、ついで3回書かせる、という風に。個別指導にならざるを得ないので、部活を停止して学校が終わったら、4時に来てもらって、毎日3か月間ほどトレーニングするのがいいのです。でも、部活を休める生徒は少ない。だから、実際にはなかなか救えないのです。
 保護者と先生たちは勉強とブカツとどっちが大切なのかしっかり考えてもらいたい。たかが地区大会での成績です、低学力のままでいるのと引き換えなんて、そんな重要性はありませんよ。
 短期間の記憶エリアが未発達かどうかは簡単にチェックできます。返却されたテストの点数を聞いてもこういう生徒は思い出せません。記憶エリアが未発達のまま6年間を消費してしまっています。だから、昨日返却されたテストの点数も思い出せない。短期記憶エリアが未発達というのは、脳の記憶機能が認知症の老人と同じだということです。記憶機能障害だと考えるべきです。
 どういう症状が起きているのかついでですから書きます。短期記憶エリアが未発達だと、計算規則を教えても何度も同じミスを繰り返します。10分前に間違えたので説明した箇所を、問題が変わればまた同じミスを繰り返していますから、教える方には根気が必要です。10倍以上の手間がかかります、そして勉強時間は増えているのに成果が出ません。1週間たつと忘れています。だから、同じ問題を何度も何度も繰り返してトレーニングしなければなりません。標準の生徒の10倍の手間がかかって、効果は小さい。でも誰かが手をかけてやらないと、そのまま高校生になり卒業。正規雇用の職にはほとんどが就けないでしょうね、非正規雇用で低所得(年収200万円以下)にあえぐことになります
 こういう生徒もなんとかしてやりたい。学校では放置です。2-3割、そういう生徒がいて、テストの結果を見て先生たちは気づいているはずですが、部活指導には熱心でもこういう手間のかかる生徒に救いの手は伸びてきません。保護者は学校の先生に何とかしてほしいと言っていいのですよ生徒も勉強嫌い、保護者もクレームを言わぬ、先生たちも手間がかかるので逃げる。校長もわかってはいるが、やるのはたいへんなので見て見ぬふりをする。放課後補習の教員確保と低学力の生徒を集めて補習へ出席させるために部活の半分停止くらいの措置が必要になりますからね。だから手を触れません。問題に目を瞑り部活をやらせていたほうがずっと楽です。教員になったときにはもっと夢があったはずですが、あの情熱はどこへ置いてきちゃったのでしょう?
 学校の先生は手間のかかることが嫌いなようです。「朝読書」にそれが象徴的に現れています。音読させてみたらすぐに読めていないことがわかります。でもそれはとっても手間がかかるのでやりません。1クラス25人に音読指導するには一斉音読しかありません。試しに20分間一斉音読をしてみたらいい。わたしは15年間ほどニムオロ塾で新書を2冊(斉藤孝『読書力』、藤原正彦『国家の品格』)を使って音読指導をしたことがあります。一斉音読ではなくて輪読主体でした。一人一人がどれくらい読めているのか確認しなければならないのでそうしていました。正しいトレーニングをすれば、生徒の語彙力は飛躍的に伸びるし、読書力も大きく成長します。

 低学力の生徒を救済するのは学校長のマネジメントの問題ですよ。ふだんの学力テストの結果を見ない根室市教委も同罪です。18年間見てきましたが、こういうところへは具体策がありません。ああ、計算問題集「カルク」を作成して配布したことがありました。現場を知らぬ政策、大失策でした。問題集を配って学力がアップするならこんなに便利なことがありません。学校の先生たちが手間暇かけてやらなきゃ、低学力層の生徒たちは救いだせないのです。
 何人も教育長が変わり、任期が終了する都度、根室から去っていきました。もう、道の教育局からはいらないのでは?釧路市(岡部義孝教育長)も別海町も自前で教育長にふさわしい人を任命しています別海町の前教育長は眞籠さんでした。別海中央中学校の青坂校長と二人三脚、学力アップに貢献しています。いまでは根室の市街化地域の中学校よりも別海町の方がずっと学力が高い。
 わたしの知っているだけでも、根室には教育長にしたい元校長が数名いらっしゃいます。人材はいるのです。青坂さんは厚床の校長をしばらくしてました。根室は地元で有能な人が出ると煙たがります。そして外部から、口先だけの能力のない者を連れてくる。わが古里ながら阿呆です。

(釧路教育長の岡部さんの議会答弁が面白いので、青字の部分をクリックしてください。釧路新聞の記事を取り上げています。この教育長は釧路の子どもたちの基礎学力を本気でアップするつもりですよ。生粋の釧路っ子、元市役所職員です。『釧路の教育を考える会』の角田会長も元釧路市役所職員経済部長教育長でした。釧路江南高校北大の生粋の釧路っ子です。)


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#4623-2 根室の高学力層にかかわる問題 Oct. 3, 2021 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

(ブログの用量がオーバーしたようなので、3つに分割してアップします)

 国立旭川医科大学に現役合格した生徒の中学時代の定期テストの最高点と並びました。学力テストではまだ得点にずいぶん差があります。でも2か月間よく勉強しました。
 学力テストも期末テストも学年1位。実績があがると、自信がつきます。それがさらに学力をアップさせます。そして学年トップはあたりまえという自信と心の余裕が生まれます。実績とそれに基づく自信がないと熾烈な競争には勝てません。ビビっていたら実力が出せませんから。
 毎日やることは、すぐに習慣となります。よい習慣も悪い習慣も、数年たつとその人の人柄や性格となります。だから、毎日やることを疎(おろそ)かにしてはいけないのです。

 この生徒は口数が少なく黙々と勉強していますので、授業の合間に息抜きを兼ねてときどき雑談。コミュニケーションのトレーニングも必要なんです。それで話題を探し、何になりたいか訊いてみたら、科学者になりたいそうです。宇宙に興味があるという。

「世界各地の著名な天文台には世界中から研究者が集まっています。そいう中にいる自分を想像してご覧?」

 この生徒の進路は、大学は米国の大学かも知れないと思いました。カーネギーメロン、マサチューセッツ工科大、スタンフォードなどがおススメです。高校で英検準1級を取得すれば、留学には十分ですよ。留学して1年間、英語の文献を数十冊も読めば語彙は飛躍的に増えて、英検1級レベルの語彙は獲得できます。それで十分です、英検一級なんて受験する必要もありません。国内にいるときにそういうレベルの語彙数を獲得するのは、高校生には無理がありますが、海外留学で好きなジャンルの英語の本を大量に読めば自然に語彙は増えます。それはもう勉強の領域ではなくて、好奇心を満たす行為ですから、遊びの領域です。好奇心が強くよく「遊ぶ」者はよく学ぶということ。論語は真理を述べています。

これを知るものはこれを好むものに如(し)かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず

 英作文問題と解説がすでに8,500題を超えました。これも好奇心のなせる業ですよ。最初の目標は500題でしたからね。面白くてとまらない、やめられない。(笑)
 ニムオロ塾では希望者へ毎日配信しています。札幌へ進学してからも配信には問題がありません。グループメンバーに登録を残しておけばいいだけです。便利な世の中になりました。問題には配信するごとに連番がふってあり、問題ごとにそれぞれ附番してありますから、どの問題でも質問は簡単に受け付けられます。会話がベースの英語ですから、それだけでは難解な英文を読むスキルは身につきません。ハラリの’Sapiens’の解説が40回分ほどアップしてあるので、難易度の高い英文を読むトレーニングはそれを利用したらいい。

 生徒一人一人、希望が違うので、視野を広げ、希望を叶えるための手助けをするのがわたしの役割です。根室にいると視野が狭くなります。それは中学生に限らない。根室にずっといる大人たちはもっともっとひどいことになっています。
 根室の土壌でしっかり育って、古里から離れて渾身の力で世界へ羽ばたいたらいい。
 予習方式の勉強スタイルと、深い思考様式を半年で身につけそうで、関わるのが愉しい。ドキドキ、ワクワクしてます。


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#4623-1 根室の高学力層の生徒にふさわしい進路とは? Oct. 3, 2021 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

<最終更新情報>10/4午前11 

 今回は、前半は高学力の生徒に関わる問題を、後半は下位30%の低学力層の生徒に関わる問題を取り上げます。

 7月下旬に保護者から相談に乗ってもらいたいという連絡を受けて、生徒と一緒に来てもらいました。生徒本人を見て相談に乗った方がいいからです。性格もわからないようでは的確な返事ができません。それに生徒の意向と保護者の意向と違っていることがよくあるのです。(笑)

 4月の学力テストの結果を見せてもらいました。学年5400点に少し届いていません。光星高校ステラコースにチャレンジしたいということでした。光星ステラは東大と国公立大医学部受験専用のコースであり、札幌南高校と並んで道内で最難関高校です。学力テストで450点を越えなければ合格はおぼつかないので、その旨伝えました。
 数学と英語の塾へも通っているので、使用している教材ももってきてもらいました。英語は難易度低すぎで、こんなレベルの教材では合格は無理、得点も6割台でした。使用している教材のレベルが学力テストの得点に直結しています。弱点は英語と社会と理科です、この3科目が6割台。
 数学は百点だったから、いままでのところはいいが、使用している問題集は道内最難関の高校受験には難易度が低いと判断し、必要にして十分なのにコンパクトな解説が載っていて、レベルの高い受験問題まで採録されているシリウスに変えることを薦めています。この生徒の学力なら、独力でシリウスを予習方式で高速学習できますから、授業速度の遅い集団授業の塾へ通う意味はなくなります。どうするかは本人の問題です。

 難易度の低い問題集は時間の無駄、学力に応じた難易度の問題集に切り換えたら、数学は得意そうだから、集中力がアップして頭の回転が違ってきます。問題集を切り替えるだけで「高速ギア」を会得できると判断しました。
 今年、根室高校から旭川医大へ現役合格した生徒には小51月、入塾早々からそういう学習スタイルへ切り換えさせました。気持ちよさそうに7年間勉強してました。7年間そういう学習を続けたのですから、もともとよかった頭がさらに進化してしまったのです。同じ時間内にやる学習量が標準的な生徒の3-5倍はありますから、そして思考の深さは数倍、それらに7年間の学習時間を掛けたら、莫大な学習量の差になるのです。競争相手は根室の同じ学校の生徒たちではないのだから、学校の順位は気にせずとも好いと、口が酸っぱくなるほど言い続けましたが、結果が勝手についてきて、学年トップを7年間維持することになりました。でも、小4から同じ方式で勉強すれば、ほかにも数人このレベルの生徒が同じ学年にいました。
 同じことが、7月下旬に入塾したこの生徒の周辺にも言えます。この学校の中3だけで5-6人ほど、学習スタイルを変えたら、同じレベルで戦える生徒たちがいます。そのほとんどが、小4からスタートして、独力で勉強できるような学習スタイルを身につけたら、北大程度なら現役合格できる能力の生徒たちだと思います。根室はそういう潜在能力の高い生徒たちを育てそこなっています、もったいないですね。根室市長が北大卒なのはあたりまえなんて時代をつくれるのです。
 集団授業形式では全国偏差値70超の生徒を扱いにくいのは事実です。根室高校自体がそうなっています。高学力層と低学力層の両方がスポイルされています。そうせざるを得ない事情入学してくる生徒たちの学力格差の拡大と低学力層の肥大化がありますから。根室西高校が廃校になって、根室高校1校体制になってから学力格差が拡大してしまいました。下位30%層はそれまでは根室高校へは入学できませんでしたから。根室高校の先生たちは想定外の事態に、右往左往しています。

 学習時間を訊いたら、平日は2時間程度、土日は4時間、週にたったの16時間です。これでは都会で勉強している生徒たちと勝負になりません。競争相手は根室の生徒ではなく、都会で小学生のときから難関高校合格をめざして勉強している生徒たちです。首都圏では開成中学などの中学受験の標準的な学習時間は週30時間を超えています。根室にいると「小さなお山の大将」になって、この辺りの事情が見えないから、はっきり告げました。「勉強時間が足りない」と。
 進学するための受験勉強のやり方の相談だったはずが、相談が終わったところで英語を教えてほしいという申し出があり、翌週から教え始めました。受験7か月前ですから、急がなければと思ったのでしょう。
 一つでも6割台の科目があったら合格できるはずもないのですから、学力テストで9割、定期テストでは百点が目標です。合計点では学力テストは9割り450点、定期テストでは490点が目標。

 2か月間で学力は期待以上にアップしてます。学力テスト総合Aで、前回よりも24点アップ、先週の前期期末テストでは490点台に届いています。これは100%生徒の努力の結果です。わたしは生徒の学力に見合うレベルの問題集を選んでやらせ、勉強の仕方を伝え、とりあえずの具体的な目標値を示しただけです。問題をやっていて何か大きな疑問がわけば質問するでしょうが、いまのところ質問はほとんど出ません。そういうレベルの生徒です。独力で学習するスタイルを2か月間でしっかり身に着けてしまいました。干渉しないほうがいいのです。教え込むことも干渉になります。こういう生徒は自分のペースで干渉なしにやるときに、能力が最大に発揮できます。授業での説明も必要のない時にやれば、余分な干渉になります。塾に頼らなくても、自律的に学習できるように変化しましたから、札幌の高校へ進学してからも問題なしです。こういうのをメタモルフォーゼ(das Metamorphose)というのです。


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