#1300 患者の安全管理(3):三つの例 Dec. 11, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
「市立根室病院医療事故等公表基準」によれば「レベル4医療事故は「事故により、死亡した場合」と規定されており、過失のある事故は「原則公表する」*となっている。
問題は「過失」があったかなかったかで、医療事故で診療側の過失を立証することがとてつもなく困難であることは知られるとおりである。
いずれにせよ程度の問題はあれ過失がある場合は、その原因を究明し再発防止策をとることは当然の義務である。
心臓カテーテル検査禁止を言い渡していた医師に院長は再開を認めたようだが、禁止していたことを再開するには再発防止策がとられていなければいけないのだが、事故の有無さえ確認できないから、ましてや適切な再発防止策がとられているかどうか市民は知る術がない。
さて、もう一つの医療事故は2010年に起きている。外科であるが、具体的な情報は差し控える。レベル4の事故の発生月と科名の情報公開を求めたが確認できなかった。残念ながら、事故処理されているのかどうかすら不明のままである。
H市議のブログに11月28日書き込み**があった。患者が死亡して家族へ連絡が入り行ったときには死後硬直していたというものである。何度か巡回したはづだが、気がつかなかったのだろう。問題は死亡に気がつくまで、死後どれほどの時間が経っていたのかである。
どういう「事故処理」がなされ、どのような再発防止策がとられたのだろう。病院側が事故について規程(「公開基準第5項*)どおりには情報公開をしていないから、情報の真偽は定かではない。定かではないままあいまいな情報が噂として流れる。こういう情報が積み重なって病院の評判が落ちていくのは病院にとっても患者にとっても不幸である。
事故が事実なら再発防止策を公表したほうが入院患者や家族は安心できる。
こういうことは従来、「噂」として流れていた。自分の身近にいる者だけでもそれぞれの市民が複数件の誤診例を知っているだろう。市立病院には長い歴史があり、根室の中核病院として君臨してきた。よかろうが悪かろうが選択の余地のない市民も多数いる。どれほど医師が頻繁に交替しても、誤診の山を積み重ねても、市立病院に頼らざるを得ない患者は多いのである。
だからこそ、誤診をできるだけ少なくし、医療事故を防止するように病院側も努力してもらいたいと願う。
誤診も命にかかわる医療事故も、命を扱う医療だからこそときに起こるのは避けがたいのだから、無用の誤解や尾ひれがついて噂となって流れないようにきちんと情報公開することが大事なのではないだろうか。
いつどういう事故が起きてどのような再発防止策がとられたのか、それだけでいいのだが…できませんか?
---------------------------------------------------
*「市立根室病院医療事故公表基準」は以下のようになっている。
5.公表すべき主な内容
原則として、次の項目について公表するものとする。
(1) 発生した事実:日時、場所、状況、原因
(2) 当該関係者に関する情報:所属、専門分野、経験年数、学会専門医/認定医等
(3) 今後の対策と改善状況
(4) その他、必要と思われる内容
7.患者様及び家族への配慮
(1) 公表にあたっては、事前に患者様及びご家族等に十分説明を行い、原則として書面により同意を得る。
(2) 公表する内容から、患者様や職員が特定、識別されないよう十分配慮する。
**H市議のブログに載ったコメントを一部抜粋
(H市議のブログへジャンプするにはわたしの「読んでいるブログ」のリスト(右側の欄)にあるのでクリックすればよい)
・・・(市議の)先生方は 器だけ 新しく 大きくなれば 市民は安心して この市立病院に 命を預けられるとお考えなのでしょうか?
もし そうなら 大きな間違いです。
先日も 入院患者が 亡くなりました。
そして 家族に連絡が入ったのは すでに 息を引き取り 冷たくなり 死後硬直で硬くなってた 状態だったそうです。
病院側の理由として その日は休日だったため
気がつくのが遅くなり 看護婦が 気づいたときには
すでに 死亡されたました。と言うことでした
信じられますか? このような説明・・・
--------------------------------------------------
**#1299 患者の安全管理(2):心臓カテーテル検査
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-09
#1298 患者の安全管理(1):確認できなかった医療事故
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-07
#1299 患者の安全管理(2):心臓カテーテル検査 Dec. 9, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
【情報公開:それぞれの担当部署&担当者の対応はよい】
根室市へ情報開示請求を何点かしたがそのほとんどは速やかに処理され、対応も丁寧なものであったことを付記しておきたい。
医療事故関係の内部規定3点は即日メールにて情報管理課担当者から送付いただいたし、平成20年度のシステム更新投資については財務諸表付属明細表に載っていないこと自体が誤解を生むとの説明も聞いたいただいたし、投資の明細についても後日市役所に別件で伺った折に、担当者を同行して管理課長が納得のいく説明してくれた。感じのよい対応だったことを記しておきたい。
数年前に問い合わせて折りを思い起こせば、経理担当者が私の質問にやはり丁寧に答えてくれた。このようにほとんどの情報は問い合わせたり、出向いて聞く労を厭わなければ親切な説明がえられる。現場の担当者や管理職はおおむね市民の方を向いて仕事をしているように日頃から感じている。
事故報告について問い合わせに応じない、情報非開示のかたくなな姿勢がある一方で、そうではなく市民へ積極的に情報開示をしたいという二つの力が市役所内部でせめぎあっているようにみえる。
市民に背を向けた情報非開示のトップは市民説明会を拒否したH市長であることはいうまでもない。アカウンタビリティを重視するトップへ替われば市役所の現場担当者はもっと仕事がやりやすくなり、市民は市政に信頼を寄せられるのだろう。
【裁判係争中の医療事故にかかわる心臓カテーテル検査】
さて、市立根室病院は現在裁判中の医療事故を1件抱えている。それは心臓カテーテル検査に関するものである。私は医者ではないから診療のことについてはよくわからないのでウィキペディアを検索して調べてみた。
*「心臓カテーテル検査」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%87%93%E3%82%AB%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB%E6%A4%9C%E6%9F%BB
詳細は上記のURLをクリックしてお読みいただきたい。この検査は動脈からカテーテルを挿入して動静脈の形態観察や心血管造影検査をするものである。合併症の頻度は1%と記してあるから、トレーニングを受けた医師が適切に行えばそれほどリスクが高い検査ではないようである。
検査後種々の合併症が起きることがあるようで、検査後の患者の経過観察が慎重になされなければならない。
どういう合併症があるのか典型的な例を一つだけ挙げておく。
--------------------------------------------------------
*「心タンポナーデ」 ウィキペディアより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%87
心タンポナーデ(しん-)とは、心臓と心臓を覆う心外膜の間に液体が大量に貯留することによって心臓の拍動が阻害された状態である。容易に心不全に移行して死に至るため、早期の解除が必須である。
特に外傷や大動脈解離の上行大動脈型等の大血管損傷が原因の場合、急速に死に至る可能性が高く、早期の診断と手術が必須であり、また手術に至った場合も救命率はきわめて低い。 上記以外の原因の場合は、心腔穿刺にて排液を行えば症状は急速に消失する。
------------------------------------------------------
【心カテ検査とリスク管理】
検査で出血が起き血圧が下がることがあるらしいが、手術が必要になるから、心臓血管外科医のいる病院での検査が望ましいという意見もある。
リスクは1%と低いから、担当医師のスキルや検査後の患者の管理体制がきちんとなされれば特に問題のある検査ではなさそうだ。
コメント欄への書き込みによれば、H院長は(ある医師の)心臓カテーテル検査の再開を認めたようだ。再開を認めたということは、最近まで禁止していたということ。何か理由があったから禁止していたはずである。
【専門外科医のいる体制でないとやれない内視鏡検査がある】
わたしは心臓カテーテル検査については知らないが、胃カメラ検査なら身をもって体験しているので、そのことを書こうと思う。
4年前に食事の後、膨満感が半日しても収まらず、夜寝ると胃液が逆流して食道が焼けるという症状が始まった。数日後に食べられなくなり、女房に叱られて地元の消化器内科で生まれてはじめての胃カメラ検査を受けた。その当時は市立病院には消化器内科医も外消化器科医もいなかった。
いくつかの理由から胃癌という自覚があったのでその旨告げて検査をしてもらったが、結果は内視鏡での診断で癌だということだった。念のために採取した細胞を病理検査に回すという説明があった。同時に行った血液検査も癌マーカーは高い数字を示していた。
スキルス胃癌を疑っていた私は、粘膜細胞を採取して病理検査するように担当医へお願いしたが、これは断られた。そのおりの説明はこうだ。
「粘膜から細胞を採取する際に胃壁を破るリスクがあるが、根室には消化器外科医がいないので万が一のときの処置ができない、釧路の病院に入院してすぐに検査を受けるべきだ」
固形物は胃の出口をふさいだ「癌組織」で通らないから、ヨーグルトと水分補給のみでやりすごした。最後の授業になるかもしれないので気が張っていた。2週間後に生徒たちの期末テストを控えていたので、テスト前日までの授業を終えて、テスト当日釧路医師会病院へ入院した。きちんと仕事をし終えたから気分は爽快だった。人間死ぬときには何をどうしても死ぬし、死なぬときは死なぬもの。死ぬも生きるも天が決めることという気分だった。根室の専門医のO先生、消化器内科医のT先生、執刀医のG先生、手術を見守ってくれたA院長、時々思い出してはこころの中で感謝している。
釧路医師会病院はその当時消化器内科医と消化器外科医の揃った専門病院だった。いい医者や看護師がそろった患者満足度の高い優れた病院だったが、残念ながら3年前に旭川医大の医師引き揚げで廃院となった。スキルスの診断をつけてくれた内科医、アケトジのところを大胆に切ってくれた外科医そして看護師さんたちに命を救ってもらった。
【判断を変えた根拠の開示】
検査といえども専門外科医のいないところでやらないほうがよい検査があることは事実である。
さて、本来はリスク(1%)の低い心臓カテーテル検査を市立根室病院でやっていいかどうかについては専門家の意見はどうなのだろうかと思う。
H院長は以前はなぜ(ある医師の)心臓カテーテル検査を禁止し、いまどのような理由で解禁するのだろう。
*コメント欄への書き込みあり
病院のホームページに消化器外科医がほとんど経験のない心臓血管外科医との紹介があるという。わたしも検索して確認した。ホームページばかりでなく、今年4月1日付けで作られた「病院案内」も同じである。
第3回定例市議会で赤字が拡大している原因を問われて病院の担当者が「病院が患者から信頼されていない」説明したが、このような病院運営方針では患者の信頼がえられるはずもないだろう。
わたしは専門家ではないので、専門家と思われる書き込みの内容を紹介しておく。
「市立根室病院のHPを見て驚きました。消化器外科の筈なのに何故か外科・心臓血管外科と成っています。血管外科ですらないのに”心臓”血管外科とも成ると、これはもう詐称ですね。聞いた話では透析患者の内シャント作成が数例、手足の静脈疾患を何例かやったそうですが、それだけで血管外科を標榜するのさえおこがましいのに、あまつさえ心臓・血管外科ですか。もう呆れて物が言えません!
そんな態度だから取り返しの付かないトラブルを起こすんですよ。
」
**市立根室病院 「診療体制」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/doc/8112c314aa2a18934925749f00213738?OpenDocument
私は昨日のブログで小規模病院で無理をしてはいけないと書いた。無理をすると医療事故は増えることになるだろうから、無理のない範囲でやってもらうのが患者にとっては安心だ。
#1298 患者の安全管理(1):確認できなかった医療事故 Dec. 8, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
【医療事故は適切に管理されているのか】
医療事故は診療がある限りなくすことのできないリスクである。限りなくゼロにすることが望ましいが現実の医療で事故が起こるのはある意味で必然的なことでもあるから、所定のルールに従って適切に処理されていればそれでいい、患者の安全は制度上管理されていることになる。
民間会社では品質管理部門がこの仕事に当たるが、工場で作られる製品の品質管理部門は工場長の下ではなく、本社直轄部門となっているのが普通の品管部門のありようである。内部統制上の配慮から、品質管理部門は工場から独立していなければならないから、工場長が品管部門の責任者を兼務することはないし、品管部門が工場長の下に置かれることもない。
ところが病院組織では診療部門の責任者と事故調査委員会の委員長を病院長が兼務しており、内部牽制が制度的に保障されていない。だから、病院長次第で患者の安全がないがしろになる場合がある。院長職は重い責任を担うものであるからその人選には医療に対する見識が問われる。大丈夫か?それが今回のテーマである。
【情報公開請求】
10月29日に医療事故について情報公開請求をした。期間は昨年度及び今年10月まで、項目は医療事故の発生月と診療科名である。2週間たって11月12日渡されたのが、19日付けで北海道新聞に掲載された「市立根室病院の医療事故件数」表である。これには発生月も科名も記載されていないので、要求と違う資料である旨伝えた。
11月16日に病院からお二人お見えになって、発生月も科名も公表できないとの説明があった。理由は患者から公開しないで欲しいという申し出があることと、科名がわかれば担当医師が特定されるからということだった。
わたしは事故例の患者名や担当医を知りたいのではないので、そういう情報は要求していないことを説明したが、話は平行線。まあ、ここまでは病院側の管理職としてはありうる対応だろう。
「市立根室病院医療事故公表基準」は次のようになっている。
5.公表すべき主な内容
原則として、次の項目について公表するものとする。
(1) 発生した事実:日時、場所、状況、原因
(2) 当該関係者に関する情報:所属、専門分野、経験年数、学会専門医/認定医等
(3) 今後の対策と改善状況
(4) その他、必要と思われる内容
7.患者様及び家族への配慮
(1) 公表にあたっては、事前に患者様及びご家族等に十分説明を行い、原則として書面により同意を得る。
(2) 公表する内容から、患者様や職員が特定、識別されないよう十分配慮する。
わたしには発生月と科名が公表できない理由がさっぱりわからないから、病院は情報公開に消極的あるいは否定的だと感じ、情報公開請求をなぜしているのかを説明して情報管理課を通じて再考をお願いした。
【確認できなかったレベル4の事故1例】
私の手元にはレベル4(死亡事故)についての情報が2件寄せられている。1件は内容とその後に問題はあるが適正に処理されていることがわかった。現にあるリスクとの関連で採り上げることになる。
今年発生したレベル4の事故は受け取ったリストには科名と発生月の記載がないために確認できなかった。
事故報告がなされていないのではないかという疑いを払拭するためにレベル4の事故について発生月と科名を確認したかった。
再検討をお願いしたが、12月6日に主管窓口の情報管理課から病院側から公開できなとの最終回答の通知をいただいた。
ここにいたってようやく安全管理上の問題点を公表する決心がついた。できれば触れずにおきたかったというのが本音である。
私に寄せられた情報の確度は高いものであるが、事故処理されていなければ院長やかかわった医師は内部規定違反をしていることになる。1件は技術上の問題だろうが、もう1件は医療倫理上の問題を含んでおり、状況はそのまま、患者はリスクにさらされている。
一人で医療が行われるわけではないから、関係者が何人もいるはずだが、だれも声をあげないところに病院の重苦しい雰囲気が感じられる。医療は医師も看護師も他の医療関連スタッフも職人であり、上下関係も職種でハッキリしているから、下のほうからはあからさまな内部告発になるのでいいにくかろう。組織にありがちなことではあるが、くさいものにフタをする体質こそが問われなければならない。患者に信頼されるいい病院をつくるためにはくさいものにフタをするような姿勢ではいけないのだとebisuは思う。
患者やドクターが特定される恐れがあるという理由で発生月と科名の公表を拒否したが、これでは公開基準第5項の「公表すべき内容」はすべて非公開扱いとなりあって無きがごとしの規定となってしまう。よらしむべし知らしむべからず、こういう前時代的な姿勢は改めるべきだ。
【病院への信頼を取り戻す努力をすることも経営改善策のひとつ】
第3回定例市議会で病院の担当者がある市議の質問に答えて曰く「市民の信頼が得られていない」から売上が減少し、赤字が拡大したと。
では、市立病院は市民や患者の信頼をえるような情報公開努力をしているのかと問わねばならぬ。臭いものには蓋では市立病院の信用失墜を自らやっているようなものと言われてもしかたあるまい。内部諸規程に違反していないのなら、前年度のレベル4の事故について、発生月と科名を公表されたい。
わたしは、医療事故に関する諸規程が厳格に守られていることを確認したいだけである。
【小規模病院の限界を知るべき】
135ベッドの病院で手を広げすぎ、無理な診療をすれば医療事故は増える。経験のないことを無理してやることになるからだ。ブラックジャックは手塚治の世界、有能な医師はいても万能の医師はいない。患者は場合によっては己の命を預ける決心をすることになるから、医者は己の技術に謙虚であるべきだ。
市立根室病院でやるべき診療と他の病院へ任せるべきものとをしっかり分類しなければならない。そういう意味で道東の病病連携と根室の地域医療が見直されるべき時期なのだろう。
#1283 病院会計への繰り出し圧迫 Nov.19, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
11月18日付北海道新聞根室地域版の記事を紹介する。担当記者は病院建て替え問題の専門家と言ってもよいだろう。
病院事業の赤字拡大で来年度予算の投資的経費が圧迫されているという指摘はその通りだろう。そして経営改善がまったく進まない病院事業はさらなる赤字拡大をもたらし、ますます「投資的経費」を削らざるをえない状況に追い込まれる。将来、学校建て替え等の事業ができなくなると心配する市幹部もでてきているようだ。
市09年度一般会計決算
病院会計への繰り出し圧迫
投資的経費全体の13%
独自施策実施難しく
【根室】市の2009年度一般会計決算が19日の臨時市議会に提出される。現時点での国の「早期健全化基準」に達する危険はないものの、市立根室病院事業会計への繰り出しが重く、市の独自施策や公共事業などに使う投資的経費が圧迫されている。(幸坂浩)
一般会計の歳入は162億2685万円で、歳出は159億9347万円。財政健全化法に基づく4指標のうち、特に将来の財政見通しにかかわる歳入に対する市債残高などの割合「将来負担比率」は119.3%で、財政再建計画策定が義務となる基準(350%)を大きく下回った。
市の貯金に当たる各種基金の残高は約17億1600万円で、職員給与の独自削減などで前年度より3億弱増やした。市債の償還が集中する11~14年度の赤字に備えるためで、市財政課の角知浩課長は、歳入の大部分を占める地方交付税を国が大幅削減しない限り「市財政が傾くことはない」と説明する。
ただ、歳出を目的別に見ると、投資的経費は20億840万円で、全体の12.6%しかなかった。残りは、市債の償還に当てる公債費や人件費など、市政運営にかかる経費で、病院事業会計の赤字を埋める繰り出しが同7.3%の11億7300万円と重しになっている。
市幹部は「病院の赤字を少しでも減らさないと、将来学校建設などが厳しくなる」と危機感を持つ。職員給与の独自削減も続く可能性がある。
市議会は、24~26日に開かれる決算審査特別委員会に審査を付託し、決算の内容を議論する。
< コメント >
財務課長は言い方が慎重である。「歳入の大部分を占める地方交付税を国が大幅削減しない限り「市財政が傾くことはない」」と言っており、しっかりexcuseがついている。
他方、国家財政の危機により地方交付税交付金は5年以内に見直さざるを得なくなる。建物部分の市債の償還期間は30年だそうだから、その期間の大半が引っ掛かるだろう。このようにして交付税措置があるからと2倍に予算を膨らませたツケは必ず回ってくる。
国債等と政府保証債務の9月末残高は954兆円である。来年度中には1000兆円を超す。このまま行けば今後5年間でさらに250兆円積みあがり1200兆円にもなる。
円への国際的な不信任が起きるだろう。それを防ぐには国家財政を健全化しなくてはならない。地方交付税制度や公務員人件費の大幅なカットをせざるをえなくなる。どうやら民主党は政権奪取前の選挙では財政健全化を声高に叫んだが、やっていることは真逆、史上最高額の50兆円を超える新規国債増発を繰り返しながら外圧で追い込まれることになるだろう。
30代で民間企業でシビアな仕事を経験したことのない者たちの寄せ集め集団特有の欠陥が最悪の形で露呈することになる。地元選出の国会議員も例外ではない。
平成21年度は実質病院事業赤字11.7億円ですんだが、22年度は14億円に繰出金が拡大する。23年度は医師不足から15億円を超えるだろう。これは一般会計からの繰出金部分であり、。病院建て替えがすめばさらにさらに実質負担分が2~3億円増大する。実質赤字額は3.8億円の旧建物除却損等(この部分は繰出金は必要なし)が加わり20億円前後になり、市財政は予算が組めないほど逼迫する。
学校建設などへの影響を心配し始めている市幹部がいるようだ。だったら、なぜ総事業費62億円の建て替えに反対せぬ、経営改善視点のまったくない基本設計に異を唱えぬ。いまからでも遅くはない。君らは傍観者ではない、当事者である。出世の道が一時閉ざされたっていいじゃないか、己に正直に仕事をする公務員を市民は支持する。
#1282 62億円の総事業費でも市財政はもつ? Nov. 18, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
【4指標は当面大丈夫】
本田市議の11月13日付のブログに根室の財政力に関する説明が載っている。数値情報は出ているがその基礎データが見えないのと、解説がないのでいままではさっぱりわからなかった。
財政健全化団体への指定には4項目の基準がありそのいずれかが抵触すれば健全化団体指定となる。その4項目とは「実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率」である。
一度計算してみようと算式を調べたら、データが公表されていないので計算不可能なことがわかってやめた。
市役所財務課へ問い合わせなければわからないが、本田市議は調べてくれたようである。こういう基本的なことを財政課へ行って調べてブログ上で説明する市議は他にはみあたらない。市議としての彼の活動は賛否両論あるだろうが、こういう地道なヒアリングとデータの解説・公表は評価すべきだ。
結論から言うと、どの指標にも抵触していない、健全だということである。
*本田市議ブログ「根室市の財政状況について」
http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/11/post-1d61.html
【公的会計基準の問題】
H20年度をみると病院事業の実態は23億円の売上に対して実質赤字の補填に他会計から11.3億円の繰り入れがなされている。つまり、瀕死の病人に大量の輸血(一般会計から損失補填)をしている状態である。輸血停止=死である。ではどの程度の輸血が望ましいのか、基準がないので、わたしは市民一人当たりおおよそ年額2万円を目安にすべきと考える。3人家族なら年額で6万円である。
さて、上記の4基準をクリアしていれば財政は健全かというとそうではない。公的会計基準による決算では財政の健全性はまったく判断できないのである。
サラリーマン生活の約半分を企業で経営分析や経営改善をしてきた私ですら、上記指標を計算できない。やたら複雑であり、基礎数字も提供されていない上に、企業会計基準と用語が同じでもまったく内容が異なるからである。
たとえば、病院事業の貸借対照表であるが企業債や長期借入金が資本の部に起債されているが、これは長期負債であり負債の部に記載しなければ企業会計原則に従えば粉飾決算となる。損益計算書には一般会計からの繰入金が医業収益や医業外収益に10億円以上も紛れ込んでいる。これも企業会計原則からいうと粉飾決算に該当する。
そして計算式にはやたらと例外的な取り扱いがあって、とても経営の実態や財政の実態を素直に表示するものとはいいがたい。
企業会計なら5年分の財務諸表を手に入れ、経理担当者に疑問のある経理処理について何点か確認すれば、その企業の経営状態はかなり正確に把握ができるものであるが、公的会計は財政担当者にしかわからないことだらけである。だから夕張市は突然に破綻した。
【財政調整資金17億円の存在】
もう一つ分かったことがある。財政調整資金が17億円あるということだ。この数字も初めて見た。なにかあったらこの資金を使えるということだろう。「財政調整資金」という名目で資金がプールされているわけではないだろう。備荒資金等いろいろなものを集めて17億円あるということだがその内訳が見えない。財務課があるというならあるのだろう。
今年度14億円の赤字を出して「改訂改革プラン」どおりに行かずとも、財政調整資金を使い一般会計からの資金補填で無理やり帳尻をあわせて来年度分の起債許可を下ろしてもらうことはできそうだ。
【病院経営の赤字拡大】
問題なのは病院経営である。10月の定例市議会でH市長は本年度の実質赤字見込みを修正し12.3億円と答弁した。
ところが医師の退職が相次ぎ14億円に実質赤字額が膨らむ見込みである。「改革ブラン」は修正されて11億円余の赤字見込みになっているが、さらに3億円ほど赤字が膨らみそうだ。
それでも、「財政調整資金」の17億円を使えば一般会計からの補填が可能だ。来年度15億円を超える赤字を出しても、全額一般会計から補填できる。しかし、その次の年度あたりで、財政調整資金は枯渇するだろう。それ以降はまったく余裕のない綱渡りの財政状況となる。
【一般会計で補填できなければ病院はいずれ経営破綻】
要は、病院事業の赤字を減らせなければ、いずれ病院経営は破綻するということだ。年額15億円前後の赤字を出し続けたら財政調整資金で当面補填できても病院経営は3~5年で破綻しかねない。
財政調整資金が枯渇したら、職員給与の削減で財源を捻出しなければならなくなる。ここにいたれば市職員がさわぎだすだろう。夕張市職員や夕張市民がそうだったように、現実を目の当たりにしないとわからないこともある。
【経営は悪化の一途をたどっている】
H市長になってから5年目だが、病院経営にはまったく具体的な改善がみられない。それどころか毎年赤字額の記録を更新して悪化の一途をたどっている。
その一方で病院建物の仕様や院内情報システム仕様には経営改善のための視点が入っていないから建て替え後も大幅な赤字は継続する。
【看護師や医師不足の影響】
経営の不安定な赤字病院に応募してくる看護師はまれだから看護師が不足する。20名弱の看護師の定年退職がこれから4年くらいの間にあるようだが、補充が間に合わなくなり、入院病棟の閉鎖を余儀なくされるような事態が予測される。
医師のほうはどうだろうか?8月末には16名いた常勤医師のうちすでに2名が退職し、さらに噂される医師が退職し、補充できなければ4月には常勤医師数が10人へ減少する。
今後5年間ほど病院事業は経営悪化の一途をたどることになりそうだ。そこへ62億円の巨費を投じて病院の建て替えがなされる。
【暴走機関車が走る】
市立根室病院の経営破綻を防ぐためには年額8億円以下を目安として実質赤字縮小を図るべきだが、H市長にはそういう意識も具体策もない。ただただ「オール根室(=地元経済界)」を叫び、病院コンサルタントの提言(総事業費25~30億円)を無視して突っ走るのみだ。
【縮小均衡の可能性】
医師が不足し、看護師が不足し、病棟閉鎖が起き、縮小均衡に至れば病院事業の実質赤字額も小さくなる可能性はある。患者は不便になるが、病院の赤字額は減少する。これはこれで病院機能の縮小という現実的な問題をはらむ。根室の地域医療は隘路にあるようだ。
【もうひとつの不安】
借金返しに国の交付金を当てにしているが、国家財政は破綻寸前である。これから5年で国の借金はさらに250兆円ほど増え1100兆円を超えることになる。
国債残高と政府保証債務の合計額が1000兆円を超すのは来年か再来年である。この辺りで地方交付税交付金制度が全面的に見直し、カットされる可能性が高い。62億円の総事業費のかなりの部分が交付金を当てにしているのである、危ない。
建物部分の起債の償還期間は30年だというから、交付金制度の見直しに必ず引っ掛かることになる。ほとんどの期間が交付金での補填なしで、返済を余儀なくさせられる。そのころには関係者はみんな退職していて知らぬ顔か?いや図々しく市議や「オール根室=地元経済団体」の重鎮を続けている者は何人もいるだろう。情けないがそれも「根室の旧弊」のひとつではある。
#1277 病院事業:市議会決算審査特別委員会の顛末 Nov.12, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
標記委員会は9日に終了している。11月10日の北海道新聞根室地域版に載った記事を紹介する。
市立病院
繰り入れ増など追求
市議会委 09年度決算を認定
【根室】市議会決算審査特別委員会は最終日の9日、市立根室病院事業会計の2009年度決算を審査した。赤字を補う一般会計からの繰り入れが増加するなど、当初予算と決算が大きく異なることに対して厳しい意見が相次いだものの、同会計を含む全4公営企業会計の決算を共産党を除く賛成多数で認定した。
病院事業会計への一般会計からの繰り入れ(実質赤字額)は11億7300万円で、当初計画より4億2700万円増加。08年度決算と比べても、2400万円増えた。
ただ、人数が多いほど収益が改善するとされる常勤医は16人で、08年度より2人増えた。
このため、神忠志(共産党)は繰り入れが増えた理由を追求。病院事務局の担当者は、夜間や土日の勤務を依頼する出張医に来てもらう費用がかさんだことなどを説明した。
これに対し神氏は、09年度はどのような方針で医師確保に取り組んだのか事務局の考えをただしたが、佐々木利行事務長は「若い医師の招聘に努めたい」と今後についてだけ述べ、質問に明確に答えなかった。(⇒議会無視)
また、1日当たりの患者数は入院が97.1人、外来が574.1人で、いずれも「事業改革プラン」の目標より1割ほど少なかった。
その原因を聞いた瀬谷周平氏(無所属)に対し、担当者は「(市立病院が)市民の信頼を得られていない」と苦渋の見解(それもあるがいま始まったことではないだろう。起債許可をもらうために辻褄併せで患者数を過大に見積もるのが慣例となっている。つまりインチキ予算編成が真の原因だが、担当者はそうは言えない)を示した。(幸坂浩)
*アンダーラインと緑色の括弧書きはebisuが追加した。
< コメント >
不認定は共産党神市議一人のみ。市民説明会開催を含む8項目の要望書を突きつけた3人の市議のうちの一人、瀬谷市議(決算特別委員)は決算を「認定」した。
29.9億円の建て替え補正予算に賛成し、いままた予算と4億円以上も隔たりのある決算を「認定」したのである。あの「8項目の要望書」をH市長は拒否したにもかかわらず、補正予算と決算になぜ賛成したのだろう?
私が言っているのは簡単な話だ。信念に基いた「要望書」だったら、それを無視されたのだから補正予算案にも決算にも反対を貫くべきだ。共産党のように組織の支持がなければ市議会で市側の提案に反対を表明することすらできないのなら、まさしく「オール与党」体制だ。
残念ながら根室には自立した個人といえる市議は一人も存在していないようで、それゆえ何人いても市政のチェック機能は果たせないものであることを根室市民は思い知らされた。
いやいや、「要望書」を公表しただけでもかつてなかったことで大きな変化である、立派なものだと肯定的に受け止めたい。根室に自立して考え行動できる市議が育つのにまだ一世代かかるのだろう。気長に待ちたい。
こうしてH市長の62億円の建て替え機関車は市議会というブレーキをなくして暴走を始めた。すぐ向こうには実質赤字15億円超への拡大による起債不許可というリスクが待ち受けている。
H市長と市議たちの責任は重く、とても負いきれるものではない。このままでは災厄は病院の診療所化と市財政の著しい悪化となって市民へ降りかかる。
*#1276 建て替え工事入札にはリスク条項の説明が必要では?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-12
#1271 「医師6名の退職と37.3億円の起債不許可のシナリオ」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-07
#1267 「病院建て替え(挽歌):破たん前の夕張市に酷似」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-1-2
#1276 建て替え工事入札にはリスク条項の説明が必要では? Nov. 12, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
10月6日の北海道建設新聞に「根室市立病院改築の入札が12月上旬にも公告へ」という記事が載っているとブログの読者の一人が教えてくれた。旬のいい素材をいただいたら料理人は仕事をしたくなる。
市議会で29.9億円の工事着工が承認されたのは10月29日だったが、気の早いことに3週間以上前に新聞記事になっていた。金額が補正予算どおりだから、市議会よりも業界新聞へのアナウンスが先行したのだろうか?
9月からすでに医師2人が退職し、年末に2人、3月末に2人退職が「噂」されている。今年度の実質損失は14億円前後に膨らみ、医師補充ができなければ来年度は実質赤字は15億円を超えるだろう。一般会計では補填できない金額に膨らむ。
つまり、来年度工事分は道の起債許可が下りないというリスクがあり、そうなれば支払不履行が起きる。進捗42%で工事がストップしたらどういうことになるのだろう?
起債許可が下りない場合に業者との支払にかかわる紛争を解決するための条項を契約書に明記すべきだ。そしてその内容を事前に市議会にかけて承認を取るべきだろう。
H市長は医師確保策も含めて、建て替え途中で工事がストップした場合の対策や建て替え後の損益計算書がどうなるのか財源の明示も含めて市民へ説明すべきだと思う。
H市長は嘘偽りなく正直に誠実に仕事をすべきで、ありうべき事態に備えて具体的な対策を立てて市民への説明責任を果たせ。
ebisuの心配はブログの投稿に見るように他の市民も抱いているものだ。「市民との協働」の基礎には重要事項について自ら説明責任を誠実に果たすということがなければならぬ。
工事が2011年度進捗率42%でストップすれば建物は工事半ばで雨風雪にさらされることになる。財源のめどがつかなければ数年放置され、ついには取り壊しになる可能性すらある。
建設着工を半年延期し、計画をゼロベースで見直して体制を立て直し、62億円の総事業費を30~35億円にカットするのが最善の選択だろう。
小樽市では市立病院の用地買収にかかわる起債が不許可となり、基本設計業務委託にかかわる違約金が発生し住民訴訟がなされ判決が出たと今日(12日)の北海道新聞25面に出ている。
解約金2600万円を巡り、山田市長へ1市民から損害返還請求の住民訴訟がなされた。請求棄却の判決理由で裁判長は次のように語っている。
「裁判長は「業者との契約の時点で、起債許可の可能性がなかったとまでは認められない」と述べた」
市立根室病院の場合はすでに医師が二人辞め、12月末にはさらに2名の退職が「噂」されている。そして3月末にはさらに2名の退職で、補充のめどは立っていない。このままでは4月には常勤医の数が10名になってしまい病院事業の赤字拡大は明らかだから、H市長と議案に賛成した市議たちは市が被る損害について賠償の住民訴訟が起こされたら責任を負うことになるやもしれない。権限には責任が伴うことを忘れるな。
市民に一度も説明しないまま工事を強行して起債許可が下りず工事が途中でストップしたらH市長と満場一致で29.9億円の工事着工の補正予算に賛成した市議たちはどのように責任をとるのだろう。
取り返しがつかないとebisuは思う。
愚かな市長とそれを支える地元経済界「オール根室」、一人として29.9億円の補正予算に反対する者のいなかった市議会、破綻前の夕張市と薄気味悪いほど似ている。
それぞれの役割を演じている者たちは夕張市との相似性に気がつかないのだろう。愚かである。
(夕張市では地元金融機関○○信金が破綻に分不相応な役割を演じた。地元経済界と市議会はハコモノ行政にもろ手を挙げて賛成し夕張市を食い物にしたと言ってよい。もちろんハコモノの建設に当たってはコストカット意識など微塵もなかっただろう。
職員の半数はリストラ、残った者も給与3割カット、そして市民にさまざまな災厄が降りかかったことは何本かのテレビ番組が伝えるところとなった。病院は診療所になり、いままた医師数が減少して維持すらたいへんな困難を伴っている。小中学校は1校へ統廃合となる。)
*10月6日北海道建設新聞「根室市立病院改築の入札が12月上旬にも公告へ」
http://e-kensin.net/news/article/6355.html
**#1271 「医師6名の退職と37.3億円の起債不許可のシナリオ」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-07
#1267 「病院建て替え(挽歌):破たん前の夕張市に酷似」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-1-2
#1271 医師6名の退職と37.3億円の起債不許可のシナリオ Nov.7, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
さて、頭の中にあることを何から書こうか迷いつつ、未整理のまま書き始めたい。書いているうちに自然に整理がつくものだ。
麻酔科医の退職、続く外科医の退職、そして年内にもう2名の医師の退職が噂されている。3月末には定年で退職する医師ともう一人の医師の退職が噂される。事柄の性質上固有名詞はあげられない。
常勤医師数:16-6=10名
すでに判明している退職がこれだけということだから、さらに引き算(退職)が増えないという保証はない。予定されていた足し算(産婦人科医一人の招聘)はあきらめたようだ。無理をすればさらに引き算が増えるだけだから、「算術的に引き合わず」という判断が働いたのだろう。院長判断だろうか。もう一つ足し算があったはずだがどうしたのだろう?情勢が変わってしまいこちらは焼け石に水となった。
コメント欄に昨日かなり具体的な内部情報が書き込まれた。ebisuが承知の事実もあるが、読んでも検討すらつかないことも書いてあった。院長には気の毒なので本欄でいま採り上げるのははばかられる。どうしても知りたい人のみ昨日のブログのコメント欄を読んで欲しい。今後の医師招聘にかかわる情報も書いてある。私のこのコメントに対するスタンスは「コメント返し」に書いておいた。書かなかった部分は理由があってのことで、ご推察いただきたい。
【今年度の病院事業の赤字14億円、来年度16億円へ急拡大】
さて、常勤医師がこれだけ減ってしまっては、減った分の補充はほぼ不可能だろう。道内のどこのマチも医師不足で困っているからだ。うまく行って半分補充できたらいいほうだ。
わたしは詳しい話しを知らないのだが、3年前の常勤医6名へ減少した折の危機は残った常勤医の先生たちが月に一週間を超えるような夜勤体制を組み「消耗戦」を戦い抜いたことと、姉妹都市の黒部市の市民病院から出張医の派遣で助けてもらったこと、その恩義を忘れてはならない。だからこそ、その後の自立の努力が求められるのだが、不手際続きで2度目の危機を自ら招いてしまった。すでに何度も取り上げているので、いちいち個別に採り上げないが、お粗末というほかない(A前院長はその折に残って根室の医療を支えてくれた一人であったが、H市長はすっかりお忘れのようだ)。
仮に10名体制になったらどうなるのだろう。道が起債不許可のダメ押しをする可能性がある。
道の審査の実態ははいい加減なものだ。事態は何も変っていない。改革プランと現実の乖離も相変わらずである。改革プランの効果がまったく見られず、実質赤字額が11億円を超えて拡大基調にあるのに、7000万円弱の今年度分の起債許可を出してしまった。そのようなことはないはずだが、審査は単なる名目で実効がないようにebisuには見えてしかたがない。
国は総額22億円、2種類の補助金交付を決定しているから、その事業の起債が来年度不許可になれば、面子丸つぶれである。間に入った道も同じだ。だから、むりやり条件をつけ、屁理屈を弄して起債に許可を出す可能性もあるが、そうしたら、病院事業の経営破綻というもっと悪い結果がすぐに後を追うことになるから、厳しい条件をつけて、改善の実効が出るまで許可は出せないという結論になるのではないか。これ以上の推測はやめにしておく、1年間経てばわかることだ。
6名×7000万円÷2=2.1億円
大雑把な話だ。麻酔科医の退職と外科医の退職は手術数及び入院患者数の減少というように病院経営に影響が大きい。3月末退職は今年度には影響なしだが、麻酔科医の退職の影響の大きさを考えると「÷2」くらいの影響があるということだ。月数で比例計算すると約1億円であるが、これだと麻酔科医退職の影響の大きさを過小評価してしまうことになる。
こういう計算は数値面を追いすぎるとかえって間違える。手にできるデータが少ないのだから、どんなに精緻に計算しても計算精度は上がっても結果の精度には無関係である。データ処理にはある種の「感覚」が大事であると経験智が教えてくれる。ざっくりでいいのだ。
おおよそ、2億円程度の実質損失の拡大はあるだろうというのがebisuの推計である。16名体制で年間12億円の実質損失だとすると今年度着地は14億円、来年度は16億円へ急拡大する現実的な可能性が出てきたわけだ。
一般会計から16億円の補填が可能かどうか、市議会で市議は質問したらいい。財務課長が財源はないと正直に答えてくれるだろう。
「改革プラン」が絵に描いた餅であることは、年度予算と同様に毎年4~6億円もの乖離が出ていたことでハッキリしていた。否、外れることを承知の確信犯であった。起債許可を得るために、辻褄併せのインチキな予算と「改革プラン」をつくり続けた。
今年度も当初8億円、次に9億円、そして先ごろの市議会では12.3億円の実質赤字見込みが公表されたが、年内退職の医師4名分は計算に入っていないだろうから、実質赤字はさらに拡大し、14億円に膨らむだろう。
市議会は建て替え後の病院事業損益がどうなるかも確認せずに、数日前に29.9億円の建て替え工事を満場一致で承認してしまった。職責を放棄したおろかな決議であった。
起債不許可になったらどういうことになるのだろう。
【起債不許可後のシナリオ】
起債の総額は38.0億円である。まだ、7000万円弱の起債が認められたに過ぎず、市議会はH市長の「見切り発車」を認めてしまった。
起債不許可=支払不履行だろう。
年額16億円を超える実質赤字を一般会計で補填する傍ら、着工してしまった工事の支払もしなければならないという前代未聞の事態が起きそうなのだ。
38.0億円の起債の残り、37.3億円が不許可になれば、ない袖は振れないから支払をめぐって業者と訴訟が起き、工事は途中でストップしかねない。組まれた鉄骨が、雨ざらし、雪と氷ざらしになるさまをみることになるのである。考えられるシナリオのうちで最悪のものが現実性を帯びてきた。
全額の支払が不可能でも一部は支払わなければならない。そのための財源捻出のために、職員給与の大幅カットは避けられない。経営破綻の夕張市とそう変らないことになるだろうが、おおよそ何割カットすることになるのかデータがないので私は試算できない、根室市役所財務課の役割だ。
【いま市議会がなすべきこと】
H市長と市議会は市民に対してどういう責任のとり方をするのだろう。10名の市議が市の予算を使いH市長と共に東京で政府の抗議文を渡すだけだという。効果がないことを承知で「やってるふり」、具体的な返還戦略も描けない情けない集団。地元で病院問題が火事を起こしているというのに、焼け落ちるまで気がつかないようだ。効果がないのだから、市のお金を使って半ば物見胡散遊山の東京見物と言われても反論できまい。根室で記者会見すれば十分である。
市議たちがなすべきことは、臨時の市議会を開き、医師確保と経営改善が確認できるまで、工事の差し止めを決議することだ。
ebisu提案にしたがって、ゼロベースで市民参加の下に基本仕様を見直し、成央小学校を統廃合して30~35億円での建て替えができれば満点だ。そうすれば病院建て替え事業については別海町と対等に張り合える。
経営改善を織り込んでいない現行基本設計は廃棄したい。打つ手をなくしたH市長には助け舟になるがいいではないか、根室の医療が完全崩壊するよりはましである。
残されたチャンスは一度だけ。タイミングを逃したら根室の地域医療が崩壊する。いまは瀬戸際、市費を使って東京へ行っている場合ではないというのが一般市民の感覚。
オール与党で呆けていないで、そろそろ目を覚まし、ふるさとのために汗を流す市議が何人か出てもいいのではないか?
*関連記事:あわせてお読みいただければ、私たち根室市民がおかれている状況の全体が理解できるはずです。
#1267 「病院建て替え(挽歌):破たん前の夕張市に酷似」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-11-1-2
**昨日のコメント欄より
今日の根室新聞に「メドベージェフの国後訪問に抗議して、政府に決議文を提出する」って書いてありました。で、決議文を提出するために市議会北方領土対策特別委員会のメンバー10人全員で東京へ行くそうです・・・(-_-;)それって100万円はかかる出張になるんですよね。
***#195「少し過激な北方領土返還論」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07
#465「"Japan sent uranium to U.S. in secret"は北方領土返還運動の好機か?」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30
#1269 日本側に死亡者?中国漁船衝突事件映像流失:仕事は正直にやるのが一番: Nov. 5, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
この事件は最初からどこかおかしかった。漁船には集魚灯がないし、海保の巡視艇にぶつかっても平気だ。普通の漁船なら体当たりしたら相当破損するのではないだろうか?下手をすると沈没だ。流出映像をみると、多少の装甲を施してある巡視艇よりも頑丈な造りに見える。
なぜ中国に遠慮したのかについては事情はつまびらかではない。最初から正直に映像を公表して、本当のことを海外と国内に説明すべきだったのだろう。何か思惑があって公表をためらった。
何か思惑があれば、事実を隠蔽せざるをえなくなる。たしかに政府は事実の隠蔽に成功したことが何度もあるだろう。比較的年次の新しいものではイラクでの外務省職員の殉職事件がある。帰ってきた車は車高が高いにも関わらず、斜め上から射撃され、縦断は床を貫いていたといわれている。つまり高い位置から狙撃された。並行して走行してランクルよりも高い位置から射撃可能な車種は軍用装甲車両しかないと当時週刊誌が書いていた。飛行機で到着して下ろしたときにはシートがかけられて車の映像は一切表に出なかった。その週刊誌にはシートがかけられたまま飛行機から降ろされた車のスナップ写真が載っていた。真実はこうして闇に葬られた。米軍からは一切情報が洩れてこなかった、見事な情報統制だったといえるだろう。
このような隠蔽はなんらかの事情を隠すために行われる。
今回の流出映像を見る限り、なんてことはない衝突の記録だ。巡視艇が左に舵を切ったところへ後ろからスピードを上げてぶつかってくるサマがはっきり映っていた。事実関係は白く濁った航跡からも明白であるように見える。
これだけだったら正直に公表するのが一番いい処理だったのだ。そうすれば、情報漏えい事件も起きなかった。すぐにビデオを公表しなかったという判断ミス、そして機密流出という機密情報管理上の不手際が重なった。
ところで証拠物件の漁船はどうしたのだろう?ネットで調べたら事件の1週間後の9月13日に返還したらしい。船体構造や「装甲補強」の調査ぐらいはしてあるのだろうか?不手際というものはどういうわけか連鎖するもののようだ。
*11月7日23時45分追記
ときどきコメントを寄せてくれるHoly Talkerさんというハンドルネームの方が中国語の新聞に、衝突事件で日本側に死亡者が出て日本側(海保?)が抗議したという記事が載っているのを見つけてくれました。中国と経済的な結びつきが強くなっているので、菅総理大臣と仙石官房長官は事実を隠蔽したのかもしれません。
日本国内に大きな波紋を呼び、対中外交に強硬路線をとらざるをえなくなれば、国内経済への深刻な悪影響が懸念されます。レアアースだけでも大騒ぎしたくらいですから。
でも、こういう事件で政府が自国民を欺くのを中国やロシアが見ている。強く出れば日本は情報統制までして及び腰になるとタカをくくるようになる。菅政権は中国市場と国内経済しか頭にないようです。領土、領海、国防よりも経済を重視している。間違いですね。
ロシアと経済協力関係が進展していけば、北方領土についても同じことが起きる。いや、すでに起きてしまっている。2006年8月16日の湾中組合長(当時)カニカゴ漁船がロシア国境警備艇の銃撃を受けて30代の船員がなくなっている。そしてメドベージェフの国後訪問があったばかりだ。領土も領海も国民の命すら犯されても強硬姿勢が取れない、その弱腰がばかにされている。なんでこんなに卑屈な国になったのか。
以下、コメント欄から引用します。
http://www.bbc.co.uk/zhongwen/trad/china/2010/09/100907_china_japan_diaoyu_crash.shtml
中国語の新聞ですが、この記事が正しければ、本当は1名死亡しています。
(原文)
--------------------------------------------
日本海上保安廳稱,碰撞最初在星期二(9月7日)上午10時15分(格林尼治標準時間1時15分)發生,事故沒有造成人員傷亡。
--------------------------------------------
簡単な翻訳をすると・・・
日本海上保安庁と9/7(火)午前10:15(グリニッジ時間1:15)に衝突が発生した。この事故で人員が亡くなった。
という感じの意味になります。
ただこの文からどちらが亡くなられたという断定できない。
以降を翻訳すると、
日本側が中国側へ抗議しているという文もあることから、日本側で亡くなられた方がいることになると思われます。
この件を調査していると、真偽は不明だが、2ちゃんねるでも殉職情報があり、人名まである状態です。
**前海上保安庁長官の講演録11ページにカニカゴ漁船銃撃事件が載っている。
http://www.jpmac.or.jp/investigation_results_research/policy08/J-5.pdf
#886「ロシア国境警備艇羅臼漁船を銃撃」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-31-1
#890「被弾の羅臼漁船2隻、隠蔽工作」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-02-03
**11月8日午後1時10分追記
お昼のテレビ番組に初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏が出演して、次の発言をしていた。
①接舷した後もみあって二人海に落ちて銛で突かれた
②ビデオは接舷後の後半部分がある、全面公開せよ
彼はいい加減なことを言う人ではない。それなりに情報を確認しての発言のように思われる。
「貧弱な「海防」まだわからぬか」というタイトルで産経ニュースに彼の主張が載っている。11月8日付けである。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101108/plc1011080313002-n1.htm
≪思い起こせよ『海国兵談』≫
尖閣沖の中国漁船衝突事件で、林子平(はやし・しへい)の『海国兵談(かいこくへいだん)』を思いだした。寛政3(1791)年に刊行された全16巻の「海防論」だ。
列強によるアジア植民地化が進む中、鎖国政策で泰平の眠りに耽(ふけ)る幕府に、南下してくるロシアの脅威に備えて近代的な海軍と沿岸砲台の建設を強く説いた警世の書だったが、幕府はこれを発禁処分にし、林子平に閉門蟄居(ちっきょ)を命じ、失意のうちに彼は憤死する。
だが、彼の「海防論」は尊皇攘夷(じょうい)の志士たちに受け継がれ、明治維新の原動力となった。やがて日本が日清・日露・第一次大戦と勝ち進み版図を広げるにつれ、「海防」は国防の基本政策となり、国境警備、沿岸警備、島嶼(とうしょ)防衛の海防思想は国民に浸透、旧海軍には海防艦という艦種も生まれた。
それが敗戦で一変する。艦砲の射程から決まった3カイリという国家の不可侵権としての「領海」は兵器ハイテク化もあって軍事的意味を失い、12カイリプラス排他的経済水域200カイリの海底資源、漁業権という経済上の観念に変わった。
あれだけ人口に膾炙(かいしゃ)した「海防思想」は失われ、軍事的には第七艦隊任せ、警察的には海上保安庁の任務となった。海防艦に取って代わったのは海保121隻の巡視船(他に巡視艇237隻)だ。軽武装、低速24ノットの弱体な沿岸警備隊で四方を海に囲まれた島国の全長3万5千キロの海岸線、43万平方キロの領海、447万平方キロの排他的経済水域を守ることとなった。・・・
*ニムオロ塾には海国兵談の著者林子平作製の日本列島古地図を壁に貼り付けている。地元の根室印刷の会長であり考古学者(國學院文学博士)北構保男先生が蒐集した200枚余の古地図の一つを社長の山田さんが複製印刷して無料で配布したものだ。これともう一枚の複製をいただいたのは2011年の暮れだったかな。先生はうれしそうな顔で「社長がきれいに複製印刷してくれた」と言いながら「君の分もとってあるよ」と2葉いただいた。
ロシアと中国が下に描かれ、上を塞ぐように日本列島が描かれているから、東が上、西が下になっている日本列島図である。ロシアと中国から見ると日本列島は太平洋への出口を塞ぐ厄介な存在にみえる。林子平はこういう視点で考えていたのだろう。(2014年4月11日追記)
#1268 似て非なるもの:市民説明会と「出前講座」Nov.5, 2010 [33. 地域医療改革の烽火]
「広報ねむろ11月号」が配られた。町内会組織を通じて配られているようだ。根室らしい。町内会組織の強さは全道指折りで、全道に稀なNPO法人がゼロの町である。裏返してみれば、古い体質を温存して発展性のないマチということ。仔細に物事を観察すれば、根室のマチの本質がいたるところに現れていつことに気がつく。
H市長は「出前講座」で病院問題について市民へ説明すると市議会で発言した。しかし、但し書きについての説明はなかった。不都合なことはつねに隠す、というのがこの市長の基本方針のように私には見える。揚げ足を取るつもりはないが、私の耳で聞いただけでは心配だから、新聞記事の該当部分を以下に引用する。
また、一部市議が市民説明会の開催を要望していたことについて、長谷川市長は「(11月からの)まちづくり出前講座のメニューに市立病院を掲げた」と述べ、10人以上の市民でつくる団体が希望すれば、担当職員が説明に出向く考えを明らかにした。
コメント欄へ投稿があり、「広報ねむろ」に出前講座の説明が載っており、批判をするなら説明はしない旨の但し書きのあることを知った。確認したら、「その他」の説明の3番目に次の但し書きがあった。
「(3)政治・宗教・営利を目的にした催し、批判・苦情処理・個別相談等への職員派遣は行いません。」
三人の市議の市民説明会開催要求を拒否しただけではない、批判を封じて一方的な説明で済まそうということらしい。根室の地方自治はこの程度だということだ。
経営や収益見通し等、基本的なことが明らかになっていないのに、これでは聞くこともできない。「批判」をするなら説明しないということのようだ。
民主主義というのは多様な意見、そしてそれらの対立を前提にして成り立つもので、相互批判は健全な民主主義を育てるために不可欠なものである。批判を許さない政治は中国や北朝鮮に見るように、「一党独裁」の専制政治の特徴である。
「根室市まちづくり出前講座」となっているから、根室の市政は批判を封じたまちづくりをしたいらしい。「根室再興プラン」とはそういうまちづくりだったのか?
総務課広報広聴担当となっているから、総務課長や総務部長がそういう考えなのだろうか?もちろん市長が市民にオープンなスタンスをもっているなら、このような出前講座の但し書きを認めるはずがないから、H市長はまちづくりの基本に市政への批判を許さないという、原理原則をお持ちなのだろう。
以上は7ページにあった
「市の取り組みや課題を分かりやすく説明します」
「根室市まちづくり 出前講座」
へのebisuの感想である。
次に、3㌻に「協働のまちづくりと行財政改革の推進」という項目があるのでそちらもみて感想を述べたい。H市長の提唱する「「ふるさと再興」、希望の根室へ」 と題した文から少し抜粋する。
「~、市全体での「あいさつ運動」、「声かけ運動」などのコミュニティの活性化や~などに取り組みます」
「市民との協働による円滑な行財政経営の推進」
「「第五次行財政改革」と着実に推進します。」
効果のない改革ほど「××次行財政改革」と何度でもお題目に使われる。効果があるなら1度ですむ。効果のないものほど次数が上がる。
批判を許容しないコミュニティの活性化などありうるのだろうか?批判を許さないで「希望の根室」が語れるのだろうか?批判を許さず「市民との協働」というのは何なのだろう?協働とは一方的な関係ではないだろう?言いたい事も言えずに我慢してだまって共に働くことが協働か、そうではあるまい。相互に対等な者同士の関係をいうのだろう。
そもそも「協働」という言葉の意味、日本語をわかって使っているのだろうかという疑問がわく。大人がこのような体たらくでは中高生に笑われますよ。
病院問題についても次のようなお題目と説明が続く。
「市立病院の医療体制の充実と建設の推進」
「市民の命を守る市立根室病院について、安定的医師派遣システムの構築や医療従事者の確保などをはじめとする医療体制の充実と経営健全化に最善を尽くすとともに、長年の懸案事項であった「新病院建設」は平成24年秋の官制に向け、着実に推進します。」
そう言いながら、建て替え後の現実的な損益計算書すら示していない。常勤医師は年末までに4名退職とうわさされている。すでに2名がうわさどおりに退職した。来年3月末にはさらに2名の退職がうわさされている。そして最近産科医の招聘で不手際があった。こういう状況は世間では「不安定」という。そして「医療体制の充実」ではなく、「医療体制の崩壊」というのが常識だろう。「経営健全化に最善を尽く」した結果が、これなのか?
言っていることと現実が天と地ほども離れているので、言葉の意味がお分かりになっていないように見える。そして目の前の現実が見えないようだ。
H市長がなんだか根室の金正日に見えた来た。意味不明の「オール根室」は金正日を支える「共産党朝鮮労働党*」なのだろうか。
とにかく、病院建て替えは基本仕様や総事業費の明細すら最終的なものが市民へ示されないまま、建て替え後の損失規模も明らかにならず、常勤医が16名から10名へ激減する中、進められる。
今年度の実質損失は14億円前後になるだろう。医師補充がうまく行かなければ、来年度の実質損失は15億円を超える。病院の経営破綻リスクが膨れ上がる。打つ手があるなら説明して欲しい。
建築途中で経営破綻したらどうするのだろう?破綻させないためには5年程度は年額15億円以上の財源を捻出しなければならないが、これは建て替え分を含まない金額である。
一般会計で実質損失を全額補填できれば残りの起債を道は認めるだろうが、それがどうやったら可能になるのか?
わからないことだらけで、とにかく突っ走り始めた。
周りは岩礁だらけ、ここは進路を確認しながらゆっくり船を進めるべきだろう。ところが見張りも立てずにスピードを上げている、船が難破するのは当然だろう。誰のためにそのように急ぐのだろう?半年遅らせて再検討するだけで、難破は避けられたというのに・・・
*コメント欄に北朝鮮は共産党ではなく労働党であるとの指摘がありました。その通りなので訂正いたします。(5日12時15分)