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#5240 日銀保有国債の実質評価損は9.4兆円:日銀発表 May 30, 2024 [95.増え続ける国債残高]

 弊ブログでは、日本銀行保有国債の実質評価損と債務超過問題を数年前から取り上げてきましたが、日銀自身が保有国債の実質評価損額を公表し、大手マスコミが取り上げるようにようやくなりました。

 今朝(5/30)に朝日新聞記事によれば、日本銀行保有国債の実質評価損が9.4兆円に達しました。
 昨年3月末は0.3%台の金利でしたが、今年3月末は0.7%台へ0.4%アップしただけですが、実質評価損は9.3超円も増大しています。
(今朝の長期金利は1.025%ですから、これで計算すると実質評価損は15兆円を超えていますね。)
 3月末の日銀の純資産額がわからないので、代わりに上期の純資産額を見ると純資産額は4.4兆円ですから、すでに4.9兆円の債務超過状態です。
 
 日銀がこんな状態では、円の国際的な信認が崩れてしまって、超円安状態(昨日の終値は157.63円/$)が続いているのもうなずけます。中央銀行が実質経営破綻している国なんて日本以外にはありません。

 一方で、、日銀保有のETFは74兆円ですから、現在の株価はGPF(年金機構)と日銀の「管制相場」ですよ。いずれこのETFは市場で売却処分しなければなりませんが、売却したら株式市場は大暴落必死です。日銀が上場株の約10%を持っているということ自体が異常です。
 昨日の日経平均は38,556.87円ですが、保有株式の売却で30,000円に下落すれば、20兆円の損失が発生します。だから、暴落を恐れて、日銀はETF売るにについても売るに売れないのです。

 朝日新聞の記事の中に、政策金利(公定歩合:短期金利)が2.8%になれば、1年後には日銀当座預金への金利支払いと国債受取利息の差が拡大し、日銀は債務超過になるという言及がなされています。

 アベノミクスとマクロ経済学の末路です、もう手遅れ。あんな世迷言を信じた国民が半数以上もいたのですから。たわいのない特殊詐欺に簡単に引っかかるほど馬鹿だったということです。これからお利巧になりましょう。

 弊ブログの中から経済学の勉強教材を材料を提供します。21世紀の新しい経済学の誕生です。扉を開くキーは数学とビジネス倫理、マネジメント、職人仕事の四つです。



#5117 公理を変えて資本論を演繹体系として書き直す① Nov. 18, 2023

#5120 公理を変えて資本論を書き直す② Nov. 28, 2023

#5124 資本論の論理構造とヘーゲル弁証法 Dec. 5, 2023

#5125 公理を変えて資本論を書き直す③ Dec. 8, 2023

#5127 公理を変えて資本論を書き直す④:生産性とマネジメント視点の重要性

#5128 公理を変えて資本論を書き直す⑤:生産性シミュレーション Dec. 11, 2023

#5132 公理を変えて資本論を書き直す⑥:生産性アップと労働価値説 Dec. 20, 2023

#5138 集中力と「仕事(=遊び)⇔労働」概念:NHK地上波「スタニスラフ・ブーニン」を見て Jan. 1, 20

#5207 歴史的順序と論理的順序:『資本論』の論理的破綻と新しい経済モデルについて Apr. 8, 2024 



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#5225 日銀保有国債と政府国債債務の相殺は可能か? May 3, 2024 [95.増え続ける国債残高]

 国債は外人が持っているのではないから、問題がないという意見があります。

 そうですね、ゼロ金利でも国債は日銀が発行残高の半数を超えて(585兆円)購入しているので、問題がないようには見えております。
 フィッチ・レイティングスは日本国債の格付けを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更しています。コロナの流行で経済が縮小したことを理由に挙げています。米国債の金利は昨日4.585%ですし、円安傾向は止まらないでしょうから、外国の金融機関が日本国債を購入しないのはあたりまえのことなのです。つまり、海外の金融機関や年金基金には売れないのです。それどころか、国内の金融機関もシンジケート団をつくって購入することを嫌がっています。金利が低いからです。昨日の10年物金利はついに0.900%に上昇しています。それでも日米の10年物国債の金利には3.685%の開きがあります。

 国内の金融機関も拒否、海外金融機関では金利が低すぎるのと円安リスクがあるので売れないから、日銀保有が増えているというのが実態です。国内の個人や法人が保有しているから問題ないというのは、見方が偏っていますね。海外の金融機関には売れないほど低金利だというだけの話だったとしたら、問題なしどころか大問題です。金利を低く抑えすぎて、国際債券市場から日本国債は相手にされていないということなのです。日銀が保有国債の実質評価損ですでに債務超過状態(#5219で説明した通り17.8兆円)であることは織り込み済みですから、円への信認がこの12年間で大きく崩れました。為替相場が79円/$から160円/$へ2倍もの円安水準になっているのは、円に対する信認が低下したからです。国際金融機関が円の保有をやめて他の通貨へ移し出したら、円安がさらに急激に進む可能性があります。まだ、そういうことにはなっていません。日本の上場企業がリスクヘッジのために、預金の半分をドルへシフトしても急激な円安が進みます。わたしが財務担当役員なら預金の半分を外貨へシフトさせます。金ならもっと安全です。

 さて、585兆円の保有国債(債権=資産)を日銀が政府債務(債務=負債)と相殺処理すると、次のような仕訳がなされます。
 (借方)国債除却損 585兆円 (貸方)国債 585兆円

 これ、日本銀行が585兆円の損失を出すということですから、日銀の役員会である「政策委員会」の決議事項でなければなりません。日本銀行の役員は総裁・副総裁2名、審議委員6名、監事3名、理事6名で構成されています。
 役員は株主のために業務執行をしていますが、日銀に巨額の損失がでるような業務執行は許されませんから、これは実務上不可能です。
 もし、このような決定を政策委員会でしたとすると、生じた損害の賠償義務が政策委員に生じます。監事や理事にも善管注意義務違反で同様の損害賠償義務が生じるでしょう。

 仮に政策委員会が決定したとしても、決算には監査に限定意見がつきます。
 585兆円もの損失は株主総会の決議事項です。決算書には未処理欠損金585兆円が計上されます。損失処分案は株主総会決議事項ですの決定権限は不明です。これらは日商簿記2級の範囲の、極めて初歩的な複式簿記の知識で理解できます。
 損失処分案には、利益剰余金と資本助預金の取り崩し、そして減資、増資、減資手続きが書き込まれます。純資産は4.9億円ですから、債務超過で清算しない限り、580兆円の増資と、580兆円の減資が損失処理案に含まれるでしょうね。これらが滞りなく行われたら、政府は585兆円の国債の償還義務がなくなります。
 さてそんなことが可能でしょうか?

 日本銀行は株式会社財務省の認可法人です。政府が55%を保有していますが、45%は個人です。成立の経緯から天皇家とロスチャイルド家がその中にあります。45%の株主名はどういうわけか非公開になっています。
(日銀法の一部改正案の中に株主の異動に関する記述があり、ロスチャイルド家の住所変更(官報本紙第603号3ページ)がなされたことがあるようです。持ち株数出資額は不明です。)
 株主総会で、普通決議か特別決議かよくわかりませんが、政府は「利益相反取引」になるので議決には参加できません。残りの45%の出資者株主の2/3が賛成しなくてはいけませんが、自らの責任ではない日本政府のこの十数年の放漫財政による585兆円の損失を認めるはずがありません。
 だから、「日銀保有国債と政府債務の相殺」は実務上不可能です。

 リチャード・カッツや森永卓郎氏や高橋洋一氏、三橋貴明氏などの「債権債務相殺論」は複式簿記の基礎的な理解を欠いているだけでなく、会社法上の株式会社の諸規定に関する知識も、諸手続きに関する実務知識もないことを露呈しているように見えます。粗雑な議論と言っては言い過ぎでしょうか?

*#5224 円安はいいことなのか? May 3, 2024


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#5219 日銀は実質債務超過している:為替介入は無益 Apr. 26, 2024 [95.増え続ける国債残高]

 日銀法では国債については時価評価しなくていいことになっていますが、国際会計基準では金融機関と言えども保有債券の実質評価損の計上が義務付けられています。国債金利が購入した時よりも上昇すれば、国債の評価額(=現在価値)は低下します。
 国際的な金融筋が日銀を見る時には、日銀保有国債を時価評価して実質的な評価損を計算して確認するのはあたりまえのことです。
 さて、日銀保有国債はこのところの長期金利上昇でどの程度の実質評価損を抱えているのか計算してみましょう。ピッタリの情報がないときは、その近傍のデータで代用します。

●3月末の日銀保有国債残高は585兆円と公表されています。
●日銀保有国債の平均利回りが不明なので仮に0.3%とします。
 2016~2021年8月まではほぼゼロ%ですから、この仮定された金利平均値は実際の値よりもり高めと考えていいでしょう。(2016年1月~2022年2月までの6年1か月間は0.2%以下)
2024-04-26s.jpg

●保有国債の平均未償還期間を7年と仮定します。
●昨日の10年の長期金利は0.89%、これは実際の値(4/25)です。

 これらの数字を前提にして、実質評価損の計算をしてみます。
 585兆円×(1+0.003×7年)=597.2兆円
 597.2兆円÷(1+0.0089×7年)=562.2兆円...日銀保有国債の現在価値
 562.2兆円-585兆円=-22.7兆円...実質評価損

 日銀は保有国債で22.7兆円の実質評価損を抱え込んでいることになります。日銀の純資産額は4.9超円ですからすでに17.8兆円の債務超過です。

 (単利計算しましたが、複利計算だともうすこし評価額が下がります。
   597.2兆円÷(1+0.0089)^7=561.3兆円
   561.3-585=-23.6兆円 )

 日銀が保有国債残高を増やしていくのに比例して、80円/ドルからついに156円/ドルまで円安が進みました。
 これは国際金融筋が、日銀が実質債務超過状態にあることを認識して、円への信認が崩れた結果のことだという仮説を弊ブログで何度か主張してきました。
 この仮説が真なら、財務省が為替介入をしても効果がありません。すぐに円安に戻ります。19兆円しか介入資金がないので、4回の介入は不可能なのです。それ以上やるとなると財務省は保有している米国財務省証券を売却処分しなければならない。財務省が保有している米国財務省証券を市場で大量に売却すればドルは暴落しますから、円高になります。しかし、それは米国と協議しなければいけない。政治的には戦後79年経ってもいまだに植民地状態ですから、政府は米国財務省証券売却について米政府と協議すらできないでしょう。
 
 日銀が保有国債を債券市場で売却するには金利を2~3%へあげないと買い手がつきませんが、そうすると新規国債分から政府の国債利払い費が急激に増大します。数年で予算が組めなくなります。サラ金で借金している多重債務者と何ら変わるところがありません。借金を返すために、また借金を繰り返し、年々借金の額が増えて行っている状態です。とっくに手遅れです。
 政府財政破綻が現実のものになります。
 借金の元本が1円も返済できず、毎年借入残高が増大している企業に、お金を貸し続ける銀行はないでしょう。破綻処理するのがあたりまえです。政府財政はもう何十年もそういう状態なのです。とくに、第2次安倍政権(2012年12月)以降は国債の増発と日銀引き受け増大がひどくなりました。アベノミクス三本の矢のひとつであった異次元の低金利、ゼロ金利、それに続くマイナス金利で、金利上昇による国債増発にブレーキを掛けるという「歯止め」がなくなりました。

 だから、日銀植田総裁が何を発表しようが、日銀が保有国債を市場で売却可能になるほど長期金利を上げることができないのです。それは政府財政破綻の引き金を引くことになりますから。

 でもいずれそういうときが来ます。それがいつかは誰にもわかりませんが、ある日突然にやってきます。もう打つ手がありませんから。マイナンバー制度は財政破綻に備えて、国民の預金と保有株式に課税するための準備でもあります。すでに環境は整っています。1946年2月の大蔵省による突然の預金封鎖が、再現されることになるのでしょう。あの時も突然でした。預金が下せない!

 さて、新しい経済社会の創造のためにあたらしい経済学が必要です。
*#5207 歴史的順序と論理的順序:『資本論』の論理的破綻と新しい経済モデルについて Apr. 8, 2024 [A2. マルクスと数学]

<余談-1:日米金利差について>
 1978~1984年1月まで、産業用・軍事用エレクトロニクス専門輸入専門商社で仕事していました。仕事柄、為替動向は毎日モニターしていました。当時の日米金利差は、おおむね2%でした。だから、為替予約と仕入レートを連動させることで、つねに為替差益を確保できました。金利裁定取引が働くので、6か月先の為替予約レートは常に金利差の分だけ、差益が出ました。
 昨日の米国の10年物長期金利は4.647%、日本のそれは0.890%ですから、日米金利差は3.757%です。2%の日米金利差に6年間見慣れたわたしには、現在の金利差がとても異常に見えます。
 政府や日銀が政策的に長期金利をいじくりまわすのは、亡国の遊戯だと肝に銘じるべきでしょう。債券市場で無制限に日銀が国債を買いまくるとか長期金利を人為的にゼロ金利に長期間してしまうことは、人体になぞらえたら、自律神経系をずたずたにしてしまうとか、不良品のmRNAワクチンで免疫スステムを破壊することになったのです。国債市場は金利による自動調節機能を失い、戦時財政と同様になっていたのです。
 小泉政権時の竹中平蔵氏、安倍政権を支えたマクロ経済学の東大名誉教授浜田宏一内閣参与、罪が深い。もちろん、政権を奪取しても、こういう問題に目を向けることのできなかった民主党政権も。
 二十数年にわたって、騙され続けた国民にも問題ありです。もう少し政治や経済に関心を持ち、政治家やいい加減な経済学者たちの言説に騙されぬように利口になりましょう。

<余談-2:日銀総資産と為替レートの相関関係は?>
 日銀保有国債残高と対ドル為替相場で線形回帰分析をしてみたいのだが、日銀保有国債残高の推移データが見つからないので、12月末の日銀総資産推移データと各年度の平均為替レートデータでHP-35sを使って線形回帰分析をしてみたら、相関係数は0.720でしたから、日銀総資産と対ドル為替相場の間には強い正の相関があるということになります。強い正の相関関係だけではなく、日銀の保有国債残高が増えることで円安が進むという仮説が正しければ、保有国債を市場で売却しなければ、円安は収まらないのです。
  ところで、線形回帰式をデータ推計に使うときは相関係数が0.9を超えていないと使い物にならないというのが45年前に経営分析や損益シミュレーションをしていた時の経験智です。だから、統計学上は強い正の相関関係があっても、相関係数が0.9以下では実務上のデータ推計には使い物にならない程度の相関係数と判断します

 縦軸左側は日銀総資産で単位は千億円です。

 このグラフを見ると、2021年から為替が円安の傾きが急になっていることがわかります。傾きが変化したということですから、この13データによる直線の式よりも実際のデータが上の方に出ることを示唆しています。市場はどう反応するのでしょう?


<余談-3:日銀植田総裁記者会見の影響>
 4/26午後の記者会見で、国債買い入れ続行と円安が物価に与えている影響は大きくないと発言しました。それを受けて10年物国債の金利は0.925へ跳ね上がり、為替は158.19円/$へとさらに円安が進んでいます。日銀は打つ手がありません。
 金利が上昇するたびに、日銀は債務超過額を増大させることになります。植田総裁は震えているでしょう。



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#5121 債務超過寸前の日本銀行B/S Nov. 30, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 昨日のNHK早朝のラジオ番組で、日銀の保有国債に10.3兆円の評価損が生じていることを報じていました。お昼のニュースでは取り上げないし、昨日今日の朝日新聞を見てもそんなニュースはどこにもありません。
 そもそも、満期保有債券の評価損は計上しなくてよいと日銀法で定められていますから、現実には評価損が計上されることはありません。しかし、国際会計基準では計上することになっています。何かの都合で市場性のある保有債券を売却しなければならなくなったときには、評価損は現実の損失になるのですから、当たり前の話なのです。

 11/20付の日本銀行のB/S(貸借対照表)が公表されていますので、そこから、データを拾ってみます。

総資産額 753.1兆円
総負債額 741.0兆円
純資産額 12.1超円

 純資産額から国債の評価損を差し引くと1.8兆円となります。ちなみに、日銀の資本金はたったの1億円です。
 長期金利(10年物国債金利)が1%になれば、日本銀行は実質債務超過です。

 為替相場が150円/ドル付近で推移していますが、日銀の無制限の国債によって、円の信認が崩れてれてしまっているということだと、寺島実郎氏が数か月前にテレビで述べてましたが、わたしもその判断に賛成です。国際金融筋は近い将来の日銀債務超過を織り込んで動いているのだと思います。

 日本経済は「茹でガエル状態」で、昨年の今ころの137円/ドルからじわじわ円安が進み、円安による輸入資材や食糧の高騰で、物価がじわじわ上がっています。第2次安倍政権のときから、元内閣官房参与の東大名誉教授浜田宏一、黒田元日銀総裁と三人が日銀の独立性を破壊して「異次元の金融緩和」を後押し、さらに無制限の国債買い入れを続けてきた結果です。アベノミクスを支持し、投票した国民が愚かだったということです。大掛かりな特殊詐欺のようなものでしたから、これからは騙されないようにしなければいけませんね。
野党がいいと言っているわけではありませんので、誤解のないように願います。経済政策で中身のないのは、与野党共通しています。)

 為替相場は90~100円/ドルぐらいが適正だとわたしは見ています。
 OECDが公表している国別の平均年収ランキングでは日本は39,711ドルの24位で、42,747ドルの韓国は20位です。これは2021年のデータですから、円安が進んでいる現状を考えると、2023年はもっとひどいことになるでしょう。
 2021年の年間平均為替相場は109円/ドル、2023年はいまのところ139円/ドルです。100円/$で換算すると55,198$ですから13位です。円安というのは日本という国の経済的評価が下がるということなのです。円安誘導を喜んでいたらいつの間にか、平均収入が24位なんてことになってしまいました。安くておいしいと世界中から観光客が押し寄せて、オーバーツーリズム、日本国民は貧乏しているという姿になっています。観光産業がにぎわっても、ありがたくありません。
 円安は、日本が急速に高齢化して、生産年齢人口が加速的に減少していることも関係しています


 11/13に0.875%まで上昇した長期金利は昨日11/29は0.675%に落ち着いていますが、日銀が慌てて金利を操作した結果かもしれません。長いこと日銀が全額買入していたので国債の市場機能はほとんど停止していますが、日銀が何らかの原因で国債い買入ができなくなれば、長期金利は3%くらいに暴騰するでしょう。
 日銀が何らかの理由で国債引き受けができなくなれば、政府財政も破綻します。いまのペースの予算規模だと、毎年40~50兆円もの新規国債の増発が必要ですが、債券市場で販売するためには3%の金利は最低限かもしれませんね。10年続けたら、これから発行する分だけで年間12~15兆円もの利払い予算を組まないといけません。
 公務員給与を半分にせざるを得ないようなことが起きるのでしょう、政府のお財布にお金がなくなるのですからね。

 日銀の債務超過が生じたら、どこまで円安になるでしょうね。160~200円/$?わたしにもわかりませんよ、誰にもわからないでしょう。


<余談-1:言霊の国>
 日本人は将来起こる大きなリスクを具体的に評価して備えることが苦手です。言葉に出して具体的にリスクを議論すると、言霊の国ですから、なんとなく不吉に感じます。「おまえ、明日飛行機乗るのか、落ちるかもしれないよ」なんて言わないでしょ。言って、本当に飛行機が落ちたら、「あなたがあんなことを言ったからだ」と論理的には何の関係御有りませんが、叱られることは間違いないでしょう。
 だから、年金問題もわかっていても手が打てなかった。2024年のトラック輸送の一部ストップ問題、医師の働き方改革で、地域医療も都市部の医療も共倒れになりそうですが、いまごろ騒いでいます。国際医療福祉大学の高橋泰先生が今朝テレビで説明していました。1999年に特例許可老人病院の常務理事を引き受けたときに、顧問医がこの先生でした。ご挨拶した折にサイン入りの著書をいただいています。看護学校へ進学した生徒にあげました。

<余談-2:英作文問題制作>
 NHKラジオ英会話の英文と解説をベースに英作文問題を作っています。12月号の入力と問題追加が今日11/30完了しています。#1434、1673ページまで。おおよそ、16,000問題と解説になっています。結構楽しいのですよこれが。毎週2回、高校生に英作文問題と前回の問題の解説をemailで送っています。

#4905 日銀の国債買い入れ額は111兆円:どうなる日本! Jan. 8, 2023


#4968 日銀保有国債のリスク May 13, 2023

#5032 「政府の借金は国民の債権」だから問題ない? : Aug. 14, 2023

#5068 円安の本当の理由:寺島実郎氏の納得解説 Sep. 24, 2023

#5095 茹でガエルの日本:150円/ドル 円への信認が崩れてしまっている Oct. 29, 2023

#5097 ドル買い円売り・為替介入資金は1361億ドル Nov. 1, 2023

#5099 財政と日銀破綻:外貨預金へ逃避の懸念 Nov. 2, 2023




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#5099 財政と日銀破綻:外貨預金へ逃避の懸念 Nov. 2, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 植田日銀総裁の長期金利1%容認発言を受けて、昨日の円相場は151.39円/$でした。第2次安倍政権発足時の80円/$と比べると11年間で70円もじわじわと円安になっています。米国の10年物財務省証券の金利は4.926%ですから、日本の0.955%に比べて4%もの開きがあります。わたしが産業用エレクトロニクスの輸入商社で仕事をしていた時(1978-83)にはおおむね2%の差がありました。1年先物の為替相場は金利差を反映して常に円高でしたので為替予約と円定価表を連動させることで、為替リスクを回避できました。日米の金利は開き過ぎの感がありますから、いつまでもこのままではいられないでしょう。

 金利差が4%にもなっているのに、プライム市場への上場企業の財務担当役員が預金を外貨へシフトしない理由がわかりません。900億円の預金をもっていたら、1/3の300億円はドル預金に変えたら、利息が年間15億円入ります。何より円安のリスクヘッジになります。
 長期的に円安傾向が続くという保証があれば、外貨預金への雪崩現象が起きても不思議はありません。人口減少と高齢化と少子化で、日本経済はとっくに長期の縮小に入っています。生産年齢人口が8000万人台から6000万人へと急速に減少していきます。そういう長期的な流れを読むことに企業の財務担当者は鈍感なようです。企業の財務担当者は経理しか仕事のできない頭の固い人が多いのです。でも、世の中の流れが変われば、「右へ倣い」で動き出します。突出するのは嫌ですが、遅れすぎるのも同じくらい嫌なのです。

 個人預金は1000兆円を超しているでしょうから、これが1/3でもドル預金へシフトしたら、日銀はドルシフトの流れを止めるために、金利を上げざるを得なくなります。平衡にするには米国金利と同率にしなければなりません。日本国債を5%にすると、日銀は540兆円の保有国債の評価損で百兆円を超す損失に見舞われます。日銀は債券評価損を計上しなくていいのだから大丈夫だという向きはあります。今年2月に米銀がいくつか経営破綻していますが、債券金利が上昇したことが引き金になっています。評価損が出ることが判明したら、取り付け騒ぎが起きたのです。もっている債券を売りはらって支払い準備を増やそうとしたものの、足りずに破綻しています。

 国債金利が5%に上昇すれば、利払いはどんどん増えていきますから、予算が編成不可能になります。日銀が経営破綻したら、日銀による国債引き受けができなくなりますから、債券市場で売らなければなりません。そのためには米国債以上の金利の付与が必要になるのでしょう。政府財政の破綻が明らかになります。
 上場企業の財務担当者が自社の預金の1/3をドル預金にシフトするというのは、明日起きても不思議はありません。個人預金の1/3がドル建て預金へシフトするというのも明日起きても不思議はないのです。
 財務省が持っている円安介入用のドル資金はたった1361億ドルしかありません。5~6回の介入で枯渇するんです。預金シフトが起きたら、1361億ドルなんて、焼け石に水にもなりません。22年4月の平均値で見ると、1日当たりの円・ドル取引は1.13兆億ドルです。外貨準備の79%は米国財務省証券などの外貨建て債券ですから、売却しないと為替介入には使用できません。

 小心な人のようですから、植田日銀総裁、何か発言するたびに、強いストレスで体の震えがとまらないでしょう。

<余談:今朝の玉川さんの発言>
 今朝(11/2)の羽鳥モーニングショーで、玉川さんが「キャピタル・フライト」という言葉を使って、円預金がドル預金へシフトする可能性があることを指摘していました。日銀や政府財政の破綻の有力な引き金の一つです。巨大地震と津波、そして富士山噴火も数百兆円の復興資金が必要になるので、大幅な赤字国債を増発する必要が起きますから、それらも財政破綻の有力な引き金です。
 何かが引き金になって、外貨預金へのシフトが始まれば、もうその流れを止める手立てはないでしょう。預金封鎖、東京証券取引所取引停止、マイナンバーを使って預金や保有株式や不動産などへの課税がなされます。


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#5097 ドル買い円売り・為替介入資金は1361億ドル Nov. 1, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 植田日銀総裁が長期金利1%超を許容する発言(1%を上限とする⇒1%をめどに)を昨日(10/31)しました。とたんに、金利は0.95%へ上昇し、円の対ドル相場は151円/$を超えています。
 神田財務官は、為替介入の準備は万端整っていると発言してますが、その資金はわずか1361億ドルにすぎませんから、5回介入したらすっからかんとなり、打つ手がなくなります。つまり、「張り子の虎」なわけです。もちろん財務官はそんなことは百も承知だし、金融業界の関係者たちも承知していますよ。つまり、専門家には通用しないブラフ、そして蚊帳の外にいる国民への虚偽に近い説明です。アカウンタビリティ(説明責任)はどこへ行ったのでしょう?本当のことを言ったらクビになります、財務官僚の倫理レベルは地に落ちてますが、反骨精神の持ち主はいつでもどこでも稀ですから、しかたのないことなのでしょう。
 安倍元総理のモリカケ事件をきっかけに、財務官僚の倫理レベルが地に落ちてしまったことは承知の事実です。国会で嘘をついた財務官僚たちはお咎めなしでした。それどころか出世してましたね。財務官僚の地に落ちた倫理レベルは回復の兆しすら見えませんから、統一教会との癒着も含めてまことに罪の深い総理大臣でした。国会で108回も嘘をついた、稀代の総理大臣でしたから、官僚だけでなく政治家の倫理レベルも地に落ちてしまいました。
 健全な保守主義の立場から見ると、政治家と官僚の倫理レベルの低下は由々しき事態です。皆さん自分の利害や、所属している政党の利害が最優先になっているように見えます。国民や国のためなんて考え・行動する政治家や官僚は絶滅危惧種になったのでしょうか?

 外貨準備は1.29兆ドルありますが、そのほとんどは米国財務省証券(=米国債)で、売却には米国政府の同意が必要です。日本政府が大量に米国債を売りだしたら、米国債の金利が暴騰して、米国銀行や証券会社が経営危機に陥ります。日本が引き金を引くことになるので、やれるはずがないのです。
 米国債の金利は5%に近づいています。金利がさらに上がれば、米国債を保有している金融機関は、債券の評価損で債務超過となり、金融が大混乱に陥るリスクをはらんでいます。
 神田財務官が「準備は万端整っている」というのはわずか5~6回分の為替介入しかできないという、非常に脆弱なものです。国際的な投機筋はそんな事情を見透かして動きます。

 日銀は長期金利をアップして、日銀が日本国債を買えなくなった時に備えて、債券市場の正常な機能を取り戻す責任があります。金利が2%になったあたりからとっても危険なゾーンへ突入することになるのでしょう。物価上昇はすでに歯止めが利きません。

 植田日銀総裁、昨日の記者会見の時に震えていました。失礼とは存じますが、パーキンソン病などの病気によるものか、危機が迫っていることに身体が耐え切れずストレスによるものか、いずれにしろ危うい兆候に見えます。これでは実際の危機突入の局面で身体が持つとは思えません。
 財務省OBたちは、540兆円もの国債を抱えて日銀が戦後最大の危機にあることを承知しているので、だれも日銀総裁を引き受けたがらないようです。

 国が困難な局面へ突入してしまえば、ひょっとして大きな仕事を引き受ける人材が若い人たちの中から出てくるのかもしれませんね。出てこなくても、30年間ほど苦しい状態が続くだけで、そのうちに人口が4割も減少しますから、縮小均衡で住みよくできます。それには、縮小ビジョンを練り上げて、望ましい経済社会を実現するために具体的な長期戦略を立案して、坦々と実行することです。成長戦略なんて幻影を追い続けてはいけません。人口縮小、経済縮小の中に幸せを見つけましょう。

*「#5095茹でガエルの日本 150円/ドル 円の信認が崩れてしまっている」


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#5095 茹でガエルの日本:150円/ドル 円への信認が崩れてしまっている Oct. 29, 2023  [95.増え続ける国債残高]

  前回ブログ「#5094全米自動車労組初任時給68%増の28ドルへ」という記事で、トヨタ北米工場で働く新入社員の年収は900万円、日本の工場で働く新入社員は300万円と書いた。その原因の一つは為替が円安であることにある。
 安倍政権発足時は80円/ドルだった為替レートはいまや150円/ドルまで円安になっている。日本は「茹でガエル」状態にあることにそろそろ気がつこうではないか。円の国際的な価値がこの11年間で半減した事実をみているのに、なぜこういう事態に至ったのか、政治の世界でも経済学者の間でもほとんど議論になることがない。

 円の国際的な信認が崩れたというのは、政府が平時なのに赤字国債を増発し続けて、国債を含めた政府の借金の残高が1270兆円に膨れ上がり、いまも膨れ上がり続けていることによるだけではない。日本銀行が国債発行残高の半分を超える540兆円を保有しているからだ。金利が3%に上がれば、日銀はその純資産の3倍もの実質評価損を抱え、債務超過に陥る。
 金利はすでに0.85%に上昇してきている。保有国債の実質評価損で日銀の純資産が間もなく消えてなくなる。日銀が国債購入を停止すれば、民間銀行のシンジケート団が引き受けるしかないが、そのときに金利は3%を超えて暴騰するだろう。変動金利で住宅を購入した人たちは返済不能に陥るものが多くなる。

 政府財政が破綻すれば、為替レートは一時200円/ドルを超えるような事態が出来するが、預金封鎖、東京証券取引所封鎖、不動産登記封鎖により、課税すれば、政府の借金はチャラにできる。そのあと新円発行で為替相場は落ち着くことになるだろう。
 マイナンバーが便利なツールとして預金や株式や不動産の名寄せに使われるだろう。そのためにポイントをつけて普及を必死に図っている。

 タックスヘイブンと言われているケイマン諸島などに預金を移し、海外での株式投資などをしている者たちは、政府財政破綻によるあと始末の課税を免れることができるだろう。「悪い者ほどよく笑う」のは理不尽な話だが事実である。
 金地金に変えて財産を保有していたら、課税を逃れることができる。しかし、金の保有には強盗に遭うリスクがある。国民のほとんどが政府財政破綻による、課税を免れることができない。お金に執着しても仕方がないが、生活をする資金は誰にでも必要である。

 一人4万円の減税なんて言っているが、支払った税金のほんの一部が戻るだけだ。所得のあるなしにかかわらず、3人世帯で月に30万円の生活費が掛かっていたら、年間36万円の消費税を支払っている。そのほかに現役世代は所得税も支払っている。ガソリンにもお酒にも別途税金が上乗せされている。3人世帯で12万円戻ってくることでごまかされてはいけない。そのあとには増税が待っている。
 銀行預金の3割になるのか5割になるのか、とにかく歴代政府がばら撒きを続けてきた借金の山を崩すために、預金封鎖で強制的に課税・没収されることになる。3000万円の預金をもっている老人世帯なら、その半分をもっていかれる可能性があるということ。バラマキの片棒を担いだのは公明党だろう。野党だって、与党ほどではないがバラマキ経済政策には賛成してきた。

 富士山が噴火しても、首都圏で直下型の大震災が起きても、東南海連動型巨大地震と津波が起きても、それらがきっかけになって、政府財政破綻の引き金になりかねない。金利が暴騰して、数百兆円の復興予算を組むための赤字国債を発行する必要が生じるからだ。
 金利を低く抑えて政府財政破綻を伸ばすことはできるだろうが、円は200円/ドルへ向かってじわじわ下がり続ける。生活必需品がさらに1.4倍となり、所得が増えない状態が続くということ。ヘッジファンドがどこかで円先物取引のトリガーを引き、円売りを浴びせて、日銀を破綻に追い込むだろう。結果は同じことになる。国民の財産で政府が積み上げた借金の山を崩すことになるのである。

<余談-1:背理法と『資本論』>
 資本論の体系構成論理を明らかにして、資本論の端緒に措定された価値概念、抽象的人間労働が商品の価値の現象形態であるという概念規定、を背理法で成り立たぬことを証明しました。資本論体系の出発点の概念規定が否定されたら、体系全体が崩れます。労働価値説が真ではないことは√2が分数では表せないというのと同じくらい確かなことです。背理法は数学だけでなく、あらゆる学問に普遍的な、命題の真偽の判定ツールです。
*「#5088資本論の論理と背理法:労働価値説の破綻を証明」


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#5068 円安の本当の理由:寺島実郎氏の納得解説 Sep. 24, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 先週末(9/22)の対ドル為替相場は148.34円だった。年初は132.41円である。
 為替相場が固定相場から変動相場制に変わったのは1973年2月14日だった。それまでは360円/$の固定相場制。円高の最高値の記録は2011年10月末の75.32円/$である。
 産業用エレクトロニクスの輸入専門商社で働いていた1978~1983年まではシステム開発の外に、経営改善のために為替の管理もしていたので、そのころは変動幅(180~260円/$)が大きかった。会社の業績も為替変動に大きく影響されていたので、為替変動から会社の業績を切り離すシステムをいくつか作って組み合わせ、安定的に高収益をあげられるような企業へ変えた。
(その後、この企業はセキテクノトロンと社名を変えて株式上場している。2010年頃に業績悪化で上場廃止、吸収合併されている。)

 そのころ、日米の金利差は2%程度で、安定していた。だから為替予約は常に円高で差益が確実に稼げたので、定価表を為替変動に応じて四半期ごとに改定し、海外への発注額を元にして、決済月ごとに為替予約するシステムを作った。これで為替変動リスクがなくなった。

 150円/$というのは安すぎるが、その原因が何なのかずっと考えていた。日銀の10年もの国債金利は0.745%、米国財務省証券のそれは4.439%で、その差は3.594%あるが、こんなに円安になるほどの金利差ではない。
 90円/$くらいが妥当な対ドル為替レートだと思うが、平均所得が420万円として、現在の為替レートなら28,313$となるが、為替相場が90円/$なら46,666$である。ガソリンが180円/Lと高騰しているのも、その原因の大半は円安である。


 さて、ここからが本題である。長期にわたってなぜこんなに円安が進行するのかという理由がわからない。今朝のTBSサンデーモーニングで寺島実郎氏が政府の借金がGDPの2.5倍、世界ナンバーワンで突出している、148円/$というのは国際金融筋が日本の財政の脆弱性を評価した結果だと主張していた
 同感です。日本の財政状況は一向によくならないどころか赤字の規模が拡大しており、財政破綻へまっしぐらです。だから、長期にわたって円安が進行している。円安は財政悪化のシグナルなんですね。ようやく、このところの疑問、なぜこんなに長期にわたって異常な円安が続くのだろうという疑問の理由が腑に落ちました。
 円の国際的な信認が、財政の脆弱性によって大きく揺らいでいるので、とめどのない円安が長期にわたって続いている。国民が円を信用しなくなり、ドルなどの外貨へ預金をシフトさせる大波が襲ってくれば、円売りドル買いで、金利も暴騰して更なる円安が進み、一気に財政破綻と日銀の経営破綻が現実化します。
 仮に、そうなったときに200円/$という円安が襲うとしたら、そこへ向かってすでに道半ばというのが国際金融筋の円への評価ということ。
 日銀の国債保有残高が550超円にもなっています。発行残高の50%をすでに超えています。キチガイ沙汰です。日銀の独立性はとっくに吹き飛び、赤字国債の発行枠もすでにないも同然の状態です。まるで戦時経済・財政です。
 日銀保有の国債と政府の債務を相殺すれば問題ないなんてことを言う経済評論家がいますが、複式簿記を知らない大バカ者です。会社間では親子関係があれば、連結決算で相互の債権債務の相殺処理がなされますが、それは親会社と子会社の間のことです。まったく別の法人の財務省と日銀の間にそんな関係はありません。
 銀行からお金を借りると借りた方は借金で債務です、貸した銀行は債権をもっていますが、債権債務の相殺をしたらどうなるか?銀行には特別損失が発生し、借りていた方は大儲けです。返さなくていい、借金は棒引きです。それほどバカバカしい議論です。生半可な複式簿記の知識の者のいうたわごとです。

 財政破綻は1946年2月に起きていますが、預金封鎖と新円切り替えで、財産税課税がなされ、国民の負担で財政の建て直しが行われています
 銀行預金や所得税データがマイナンバーで紐づけされています。株式はとっくに電子データですから、これもマイナンバーで政府が全情報を抑えられます。不動産情報は法務局が電子データ化を進めています。つまり、国民は政府に対して裸の状態です。もっているすべての財産に財産税の課税がなされる準備が整ってしまっているということ。財務省は1270超円の政府財務残高を財産税で一気に解消するつもりでしょう。

 国民は大きな特殊詐欺に何度も引っかかっているようなものです。まともな保守主義を望むなら、次の選挙には国民の意志を示す最後のチャンスです。とても間に合わないとは思いますが、こんなでたらめは許さないという意志は示す必要があります。身近な国会議員と話してみたらいかがでしょう?案外まともな人がいるかもしれません。

*「#4487 金融緊急措置令発令(1946年2月17日):預金封鎖」


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#5032 「政府の借金は国民の債権」だから問題ない? : Aug. 14, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 NHKラジオ第一放送朝6時40分から10分間ほどの番組を聞いた。第一生命経済研究所の永濱利廣氏の「財源をどうする少子化対策」というテーマであった。

 少子化対策の財源は国債だという。論拠は次の3つでした。
①9割近くの国債は国内の居住者である国民が保有している
②政府の債務(国債残高)は国民の債権であるだから、国債が増えても政府の借金が増えるだけでなく国民の債権も増えているから問題なし
③膨らんだ国債残高は景気がよくなったら税収が増加するから、そのときに縮小すればよい

 すごい主張だね。日銀保有の国債は国債の発行残高の50%を超えている(540兆円)から、国民が90%を保有しているなんて長濱氏の主張は事実とまったく違っています。こんなことは高校生だってネットで調べたら簡単にわかるから、長濱氏が知らないわけはないでしょう。なぜこんな主張をするのでしょうか?

 ②が本当なら、Aさんが銀行から10億円借りても、それはAさんの債務であると同時に銀行の債権だから問題なしと言っているのと同じことです。Aさんが自己破産したら、銀行には損失が出ます。
 マクロだから問題ないと言っていますが、借金にミクロもマクロもありませんよ。
 政府の借金と日銀の債権(日銀保有国債)は相殺処理はできません。政府と日銀は別法人ですから、連結決算のように子会社と親会社の債権債務を相殺するわけにはいかないのです。これは簿記に関する基本的な知識のない人の言うことです。長濱氏は複式簿記の基本的な知識がないのかもしれません。世界の民間企業はすべて複式簿記で動いています。

 景気がよくなったら、国債残高を縮小すればいいと言っていますが、1990年に200兆円未満だった国債発行残高は年々増えて、1000兆円を超えています。国債発行残高の推移を見ても、それが減少したことは過去33年間一度もありません。日本は少子高齢化社会に突入しているので人口も減少しています。生産年齢人口はさらに加速的に減少するので、③の「景気がよくなったら国債残高を減らして」財政規律を取り戻す、なんてことはこれから30年後でも来ないでしょう。

 1946年2月に、大蔵省が預金封鎖を発表しています。膨大に積み上がった国債残高で政府財政が破綻、預金の引き出しがストップ、財政破綻を解消するために預金に課税されました。
 株式取引はとっくに電子決済です。銀行預金もマイナンバーで紐づけされつつあります。国税庁が持っている国民の所得データもマイナンバーと紐づけされます。不動産登記はいま、電子化が進んでいます。つまり、国民は丸裸になりつつあるのです。
 政府財政が破綻すれば、預金・株・不動産への課税が速やかになされるでしょう。そのためのマイナンバー導入です。

<余談:永濱利廣氏の経歴
 学部は早稲田大学理工学部工業経営学科卒ですから、原価計算は学んだはずです。商学部なら原価計算論を学ぶ前に、簿記や会計学も学ぶのが普通のコースですが、工業経営学科ではそうではないのかもしれませんね。簿記は数学と一緒で、演習問題をせっせと解かないと身につかない学問です。
 大学院は東大大学院経済学研究科の修士課程を修了しています。経済学研究科で簿記の晩狂をするはずもありませんから、彼の簿記の知識は学部時代に少しかじっただけ、そちらの科目では熱心な学生ではなかったのでしょう。修士課程を修了して、第一生命経済研究所へ勤務、現在に至るようです。
 安倍元総理の経済ブレーンに東大名誉教授の浜田宏一氏がいますが、日本では彼がマクロ経済学の大御所です。長濱さんは浜田宏一氏に学んだのかもしれませんね。「日銀総裁が、白川氏から黒田氏に変われば3か月で物価上昇2%を実現できる」とのたまわった方です。10年たっても実現できませんでした。マクロ経済学なんて古すぎます。現実をよく観察したらいい。


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#4968 日銀保有国債のリスク May 13, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 日銀保有国債は、昨会計年度末には581兆円だから、今年度末には600兆円をはるかに超えてしまう。仮に長期金利が米国並みの3.5%になったとしたら何が起きるのか、簡単な計算で確認してみたい。

 あなたが10年物国債をいま1000万円で購入したとしよう。関係を簡単にするために金利はゼロと假定する。6月に10年物国債金利が3.5%になったとすると、6月に国債を1000万円購入したら、10年後には1350万円受領できる。
 1000万円×(1+0.035×10年)=1350万円

 10年後に1000万円にするには、6月にいくら国債を購入すればいいだろう?
 A円×(1+0.035×10年)=1000万円
 A=741万円

 この計算結果から、6月に金利が3.5%になった時点で、保有していた国債1000万円は741万円の価値しかないことがわかる。

 741万円x(1+0.035x10年)=1000万円

 あなたが5月末までもっていた国債は6月には741万円の価値しかない。
 個人所有ではなく、会社が保有していたらどうなのだろう?満期まで保有していれば評価損の計上は必要ない。日本の会計規則では、「満期保有目的の債券は所得原価で表示する」ことになっている。日銀も保有する国債については金利がアップしても満期保有目的だから金利がアップしても国債の評価損の計上をしなくてよいことになっている。日本銀行法「会計規程」に従うが、定められている。日銀は一般企業とは法令で定められた別の会計規則に従っている。
(*日銀会計規程「第13条有価証券の評価方法及び評価基準」には国債の評価についての記述はない。日銀法会計規程は国債の保有を前提にしていないからだろう。戦時中の赤字国債増発と財政破綻を経験したから、日銀会計規程に国債の評価基準を書き込むわけにはいかなかった。ところが、年度末には600兆円超の国債を保有することになる。日銀は黒田総裁になってから、大きく変質したとしか言いようがない。同じマクロ経済学者の植田氏が4月から日銀総裁だが、彼も長期金利は2%へアップできない。日銀経営破綻の引き金を引くに等しい。もちろん、政府財政の破綻も同時に起きる。)

 評価損計上の必要なしなのだが、実質的な損が出ていないかというとそうではない。

 日銀保有の国債を600兆円、平均残期間を7年、金利がゼロから3.5%にアップしたと假定して損害額を計算してみる。

 600兆円÷(1+0.035×7年)=482兆円

 600兆円の国債の現在価値は482兆円ということになり、118兆円の評価損ということになる。

<SVBの経営破綻と保有債券は株式の売却>
 3/10に米国のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、米国連邦預金保険公社の管理下に移された。原因は、短期資金の預金で集めたお金を長期資産で運用したためだといわれている。2022年に上場したハイテク企業やヘルスケア企業の44%に資金提供していた。3/9~10日にかけてSVB株価が86%下落し、経営破綻懸念が高まったので、法人が一斉に預金を引き下ろして、別の銀行へ預けたために、支払資金が不足したので経営破綻へ追い込まれた。
 SVBは慌ててもっている債券ポートフォリオを売却して換金し、18億ドルの損失を計上した。購入金額では売れない。大幅に値下がりした市場価格で売るしかないのである。この損失をカバーするために23億ドルの保有株式の売却をしようとしたが失敗している。損失がカバーできるような価格がつかなかったのだろう。急いでいるから買いたたかれる。それが欧米の市場の現実である。
*「SVBの預金者保護費用、銀行界が2兆円負担 米当局案」5/12日経新聞配信
**「SVB銀行破綻を解説」3/13ヤフーニュース

<まとめ:日銀はすでに打つ手を失っている>
 結論は、日本の会計原則上、保有している国債を満期まで保有するなら、評価損は計上しなくていいのだが、それはインチキ。実際には市場ではすでに購入した価格では売れないのだ。会社が業績悪化で保有国債を売却する必要が出たら、1000万円では売れない、市場では741万円になる。
 したがって、評価損を計上しなくていいという会計規則は「絵に描いた餅」。記帳や仕訳は事実を事実通りにやるのが原則である。価値が下がっているのに、取得原価での表示のままにするというのは、会計処理としては不適切である。

 日本でも日銀が長期金利を3.5%にアップしたら、政府は赤字国債を発行できなくなるし、日銀や市中銀行が保有している国債の実質価値が大幅に下がる。金利が3.5%にアップすれば、先の假定では保有国債は20%も市場価値が低下する。
 令和3年上半期の日銀総資産額は724.6兆円、総負債額は719.6兆円であるから、純資産額は4.9兆円しかない。金利が1%へ上昇しても債務超過は避けられない。だから日銀は保有国債を減らすべきなのだ。減らすためには金利を上げないと売れない。にっちもさっちもいかない瀬戸際に来ている。すでに日銀が経営破綻を回避する方策はない。2012年の第二次安倍晋三内閣スタートと黒田氏の日銀総裁就任は、日銀経営破綻と日本政府財政の破綻を目的にしていたようにしか見えない。「アベノミクス三本の矢」で、この10年間で日銀総資産は500兆円も増えている。中身のほとんどが国債購入である。財政規律はなくなってしまい、すっかり戦時中に戻った。

預金保険機による預金保証は1000万円のみ>
 日本の銀行の預金保証は1銀行につき1000万円が限度である。プライム市場へ上場している企業は、数百億円単位の預金を保有している企業がほとんどだろう。財務担当役員がリスク回避のために、海外の銀行へ預金を一斉に移したら、何が起こるだろう?都市銀行と言えどもひとたまりもあるまい。リスク回避措置をしなければ、財務担当役員は責任を問われる。株主代表訴訟の対象となるのは確実だから、取締役の職を失うだけではすまぬ。リスクを放置すれば、損害が出たときに他の役員も法的な責任を問われるだろう。
 プライム市場へ上場している企業が一斉に預金を引き出したら、邦銀が支払資金を調達できなくなるような事態が起きる。邦銀に預けっぱなしにした企業は会社の存続にかかわるような損害を被る、理由は簡単、1銀行当たり1000万円しか保証がないからだ。経営破綻した銀行が清算処理されて、いくら戻ってくるのか確定するまで預金は下せない。

 日銀は長期金利を3.5%にアップするわけにはいかないし、政府も新規赤字国債の発行が著しく困難となり財政が破綻する。公務員給与も支払えない「債務不履行」が発生する。

 富士山噴火でも首都圏でM7クラスの直下型地震が発生しても、東南海巨大地震・津波が発生しても、数百兆円単位の損害が出て、そのためには赤字国債を大増発しないといけない。
 巨大な災害が起きれば、日本はそのときに、日銀の経営破綻し、そして政府財政も破綻する。長期金利を5%くらいに設定しないと国債が発行できなくなるだろう。

 政府は何をやっているのだろう。
 国会議員は災害とその影響について、国会で現実的で具体性のある議論をしてもらいたい。

<最近1週間で全国各地で起きた地震>
 北海道日高東部・震度4(5/11)、青森県東方沖・震度4/M5.5(5/11)、千葉木更津市・震度5強/M5.2(5/11)、能登半島珠洲市・震度6強(5/5)、鹿児島県トカラ列島近海・震度4(5/11)震度5弱(5/13)、沖縄県宮古島近海・震度3/M6.1。

 北、太平洋沿岸、日本海沿岸、九州南岸、沖縄県と震源地の分布が広い。

<リスクヘッジにはなにがよいのか>
 金は本源的な貨幣である。換金にも不安はないから、金での保有がいい。問題は保管である。自宅に保管したのでは強盗に襲われるリスクがあるので、貸金庫がいい。
 法人が預金の半分くらいを金で保有するようなことになれば、金相場がさらに上がりそうだ。田中貴金属店のような金地金を販売する会社は、リスク回避のために法人客へ金購入を勧めたらいい。ついでに、売った金地金の保管会社をつくって、事業拡大したらいい。
 首都直下型の地震が来ようと、東南海連動型巨大地震が来ようと、大津波が襲おうと、富士山が噴火しようと、金地金はリスクに強い。

<余談:10年物国債金利が2%に上昇したら、日銀は28兆円の債務超過>
 政府は今年度の国債利払い費予算を1.1%で組んでいるので、その数字を使ってみる。日銀国債保有残高を600兆円、平均残年数を7年とすると、満期までに日銀が受け取る金額は、646.2兆円となる。
 600兆円×(1+0.011×7年)=646.2兆円
 仮に、金利が2%にアップしたとすると、満期に646.2兆円を受け取るために必要な国債の金額は計算上566.8兆円となる。
 646.2兆円÷(1+0.02×7年)=566.8兆円
 評価損は33.2兆円である。
 600兆円-566.8兆円=33.2兆円

 日銀の純資産は4.9超円しかないから、28.3兆円の債務超過となる。

 さて、一般の銀行なら、払い戻し資金が枯渇すれば、SVBのように経営破綻になるが、日本銀行は中央銀行である。中央銀行の経営破綻とは何かという問題がある。発券銀行だから、いくらでも資金供給できるではないか、したがって経営破綻はあり得ないとその点からは言えそうだが、本当にそうだろうか?中央銀行の経営破綻とは何かという問題を稿を改めて分析してみたい。



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