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#5191 春闘5%賃上げの経営への影響はどの程度か? Mar.16, 2024 [8. 時事評論]

 春闘で5.28%の賃上げが実現したそうだが、それでも実質賃金がアップできるかどうかは微妙のようです。

 仕事で作成したさまざまな資料が8cmのファイルで10本ありました。稟議書の原稿や経営改革提案書、さまざまなシステム設計書、新規事業提案書、コストカット提案書、経営分析報告書、企業買収交渉報告書、開発プロジェクト標準作業手順書、出向時の親会社社長への定期報告書などです。それを2022年11月の引っ越し時に処分しました。仕事で作成した5ディメンション、25ゲージの経営分析報告書資料のほとんどを廃棄してしまったので、手元に実データがないのです。そこで、簡便な損益計算書モデルを設定し、製造業で5%の賃上げがどれくらい営業利益率に影響するのか試算してみたいと思います。
 次のように数字を仮定します。

 売上高  1000億円
 原材料費 200億円
 人件費  450億円
 物件費  250億円
 営業利益 100億円...売上高営業利益率10%

 人件費比が5%アップするとどうなるか?
 売上高  1000億円
 原材料費 200億円
 人件費  472億円
 物件費  250億円
 経常利益     78億円...売上高営業利益率7.8%

  売上高営業利益率が10%から2.2%ダウンして7.7%になります。影響はそれほど大きくありませんが、ボーナス支給額には影響しそうな額です。基本給がアップして、ボーナスが多少減るということになるでしょう。

 規模を小さくして、売上高10億円の中小企業はどうなるでしょうか?トヨタ自動車を見ても、トヨタ本体は史上最高の利益を上げても、下請けは「カンバン方式」にあえいで、利益は薄い。
 次のような、経営構造を仮定して、人件費5%アップが可能かどうか見てみます。

 売上高  10.0億円
 原材料費 2.2億円
 人件費  5.0億円
 物件費  2.0億円
 営業利益 0.8億円...売上高営業利益率8%


 仮に、こういう経営成績だったとしたら、5%賃上げの影響は、次のようになります。物価高で原材料費は10%増、物件費は5%増を仮定すると...

 売上高  10.00億円
 原材料費 2.42億円
 人件費  5.50億円
 物件費  2.10億円
 営業損失 0.02億円...売上高営業損失率0.2%

 この中小企業に5%の賃上げは不可能となります。どこかで生産性をアップしないといけません。自ら生産性をアップする提案をして、実行できる優秀な若者を雇用しようとしたら、初任給を18万円から30万円へアップしなければならないなんてことも起きるでしょう。収益構造からみて、そういう有能な若手の人材を雇用するのはむずかしい。リスクを覚悟で人材を確保しやらせてみるしかありませんが、そんな人材はめったにいませんから、ほとんどは失敗に終わります。

 これらのことから、利益率の薄い大量生産品を製造している中小企業は、赤字へ転落することになるので、賃上げができないのです。ますます、優良企業と経営基盤の不安定な中小企業の給与格差が拡大することになります。

 労働組合は、経営に参画しなくてはいかない時代です。マネジメントの拙劣な企業は生産性をアップできません。それゆえ、賃上げが不可能となり、人材確保が難しくなって、ジリ貧になります。生産年齢人口が急激に縮小し始めているので、人材確保ができなければ、生き残れないというふうに経営環境が激変し始めたのです。

 2週間ぐらい前だったか、土木建設企業の山崎組という企業が、重機のオペレーターに女性を使っている例がテレビで紹介されていました。リモートなんです。現場は人が入らないように整備されていて、本社のオペレータールームで、モニターを見ながら女性が重機の操作をしていました。横の部屋では子供が遊んでいました。現場に行かなくてもいいので、子供を産んだばかりの母親でも勤務出来ます。生産性も2倍以上にアップしたとか。
 ゼネコンでは、完全無人でリモートで土木工事をしていました。いままで10人いた重機のオペレーターは3人と言ってました。基本的にGPSで位置を確認しながら、プログラムで重機が動いています。3人のオペレータはモニターがたくさん並んだ部屋で監視業務です。400㎞離れたところの土木工事をしていると説明してましたね。

 自動化で古い話をさせてください。1988年ころに、仕事でセイコー社の腕時計組み立て工場を見学させてもらいました。自社開発したアームロボット十数台で腕時計の組み立てをしていました。Aという種類の時計の組み立て100個が終わると、次はB製品の組み立てが、十数秒の間を置いて始まっていました。パーツフィードはおそらく人間の手がかかっていますが、セットし終わったら、完全自動で、組み立て工場内に人はいません。モニターで監視しているはずです。
 SRLではこのアームロボットを利用して結石の検査の前処理工程を自動化しました。精密加工に向いていたんです。結石を金槌で叩いて、粉状にして、穴あきの五円玉のようなステンレス製の金属板に固めます。それを赤外分光光度計にかけて、ライブラリーと突合して、結石の成分の分析をして、検査報告書を出力します。臨床医は検査報告書を見て、患者の結石がどのような成分から構成されているのかを確認して、治療薬を処方します。

 ここからはまとめです。
 日本の上場企業の多くは、非正規社員を増やして、人件費総額を削ることで利益を上げてきましたが、そうした構図が人口減で生産年齢人口が急激に減少し崩れ始めました。高い初任給を提示しないと、有能になる可能性の高い若者を雇用できなくなりました。新入社員の給与をアップさせたら、その上の20代の真ん中から30代の社員の給料もアップしなければ、新入社員の方が給料が多いなんて現象が起きかねません。経営上けっこう大変なことなのです。
 生産性を上げる工夫のできない企業は、給料をアップできませんから、たとえいま優良企業であってもいずれ長い時間をかけて淘汰されます。
 若手の有能な人材が何人も辞めていく企業も、たとえ現在が優良企業で、業界ナンバーワンでも、20年後にはナンバー2に転落します。経営能力のない取締役が何人もいたら、有能な社員は十数年も経つうちに嫌気がさしてやめていきます。長期的に見ると大きな戦力ダウンを招くのですが、長期の変化には気がつきにくいものです。

 春闘満額回答が相次いで、そこで働いている正規雇用の社員人たちにとってはうれしい限りですが、マネジメントが拙劣な企業はこれから利益率を低下させて、窮地に陥るということです。そういう風にして企業の新陳代謝が進みます。
 働く人にとっても、消費者にとってもいい企業が生き残ればいいのです。

「売り手よし、買い手よし、従業員よし、世間よしの四方よし」

<余談-1:生産性アップをマルクスはどのようにとらえたか?>

 労働価値説に立てば、生産性アップは「労働強度の増大」としか理屈のつけようがないのです。いままで、10人が8時間かかって作っていたものを、5人で8時間で同じ量が生産できるようになったとしたら、生産された商品の市場価格は同じですから、労働強度の増大としか説明のしようがないのです。ところが、先に山崎組とゼネコンの例であげたように、労働強度の増大はありません。つまり、労働価値説は「観測的事実」と違うのです。労働価値が商品価値を決定するという命題が誤謬だということです。労働価値説が誤謬なら、剰余価値学説も誤謬ということになります。企業の利潤の源泉は不払労働の搾取ではないということ。生産性の高い企業が利益を上げます。生産性を上げられない企業は、市場価格を生産と販売コストが上回ってしまいます。生産性の高い企業は高い給与を従業員に支払えますが、生産性の低い企業は低い給料しか払えません。利益の源泉の重要なポイントは生産性の高さにあります。

 中国やロシアは、生産性アップは労働強度の増大ですから、生産性アップという動機が働かないのです。経済が停滞して当然でしょうね。
 


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#5178 東京証券取引所上場株の時価総額はドルベースでは下がっている! Mar. 3, 2024  [8. 時事評論]

 2/20のNHKニュースによれば、上海証券取引所へ上場している企業の1月末日の株式時価総額6.04兆ドルが東京証券取引所上場株の時価総額6.34兆ドルを下回りました。
 先週は日経平均が39,000円を超えています。じきに、40,000円を超えるのでしょう。

 1月末日の為替レートは146.54円/$ですから、円換算すると「6.34兆ドル×146.54円/$=929.1兆円」となります。
 アベノミクスで悪名高い、安倍政権が発足した当時は東証の上場株時価総額は600兆円と言われていましたから、発足時の12月末の為替レート80円/ドルで計算すると、おおよそ7.5兆ドルでした。
 「7.5兆ドルー6.34兆ドル=1.16兆ドル」
 これが第2次安倍政権発足(2012年12月)以来、12年間で日本が失った経済的価値の指標のひとつです。ドルベースで見たら、この12年間日本経済は著しく衰退しています。サラリーーマンの年収だって実質賃金が低下しています。ドルベースではほぼ半額に低下してしまいました。凄い変化です、これだけ経済を衰退させた歴代首相はいませんよ、安倍晋三氏は経済衰退を加速させたチャンピオンでした
 このように尺度を円からドルに変えると現実がまるで別の様相を呈していることに気がつきます。
 12年間でこれほど円安が進むというのは円の信認が崩れてしまったと見たほうがよろしいようです。日銀保有の国債残高が昨年3月末時点で576兆円で、国債発行残高1080兆円の53.3%になっています。円への信認が崩れるのは当然でしょう。それが、150円/$という円安の正体です。長期金利が2%にアップするようなことが起きたら、日銀も政府財政も破綻します。
 首都圏特化型地震、富士山噴火、東南海連動型巨大地震、都市型巨大災害が起きれば、国債の新規発行額が200兆円規模になります。金利を上げずには新規発行ができないし、金利を2%に上げたら、日銀保有国債に数十兆円規模の実質評価損が発生して経営破綻。日銀引き受けでしのげば為替相場は200円/$に近づくことになります。そうなれば、物価が急騰すると同時にドルベースで見たサラリーマンの所得はさらに大幅に低下します。

 もとより安倍政権やマクロ経済学に基づいた「アベノミクス三本の矢」という経済政策だけのせいでもありません。日本の経営者が無能であったということ。いままでの経営スタイルではもう長期衰退あるのみということです。低賃金では若い人を雇うことすらできなくなります。


 難関大学出身者が上場企業の経営者になるというスタイル自体がもう時代に合いません。たかが「受験エリート」です。答えのある問題を速く解けるだけの能力ですよ。実社会では正解のない問題と格闘することになるので、受験勉強はほとんど役に立たないのです。とはいっても、国語と数学と英語の学力は必要です。最低これだけはそろっていないと、複合分野が関わる現実の問題に解決策を見つけることは著しく困難ですから。

 有能な社員はとっくに会社を見放して転職してます。この20年ほどは、高校生ですら日本の大学ではなく海外のエリート校を目指して進学する人が増えています。もちろん、年収が3~5倍もあるような海外企業へそのまま就職していますよ。
 学卒の時代ではありません。海外の有力企業のエリート社員や取締役は博士学位保持者が多いから、学卒ではその輪の中にはなかなか入っていけません。日本だけが国際基準から大きく外れた人事採用、人事システムを採っています。超のつくような優秀な若者が、海外の大学へ進学し、そのまま海外企業へ勤務する例が増えています。企業の成長を牽引するのはそういう人たちです
 こんな構造が20年、30年と続いたら、日本企業の体力が根こそぎになるのはモノの道理です。

(狭い経験の範囲で具体例をひとつを挙げてみます。1978年9月からわたしが5年半勤務した産業用エレクトロニクスの専門輸入商社は初代がHP社創業者の二人と同期のスタンフォード大学卒、2代目が慶応大学大学院経済学研究科、三代目が東大卒でした。わたしが中途入社した時には初代はとっくになくなっており、当時四十代半ばであった二代目の時代でした。三代目が経営を引き継いで十数年、2010年に経営不振で上場廃止、他社へ吸収合併されましたが、その時三代目はやはり四十代だったでしょう。わたしは経営統合システム開発に関してオーナー社長(二代目)と意見が合わず、しかたがないので1984年にその輸入商社を辞めて、臨床検査業界最大手のSRLへ転職してます。入社1か月後には10倍規模の予算で経営統合システム開発を担当しました。辞表を出した時には転職活動はしてませんでした、先のことは考えずに、「やるだけはやった、これまで」と未練がなくなり、ある件で直接社長に確認しなければいかなかったので、情報に間違いがないことを電話で確認し、「そういうことなら、もうこの経営情報系システム開発の担当はできません、辞表は上司に出しておきます、お世話になりました」と告げました。電算機室係長ということで一人だけでシステム開発してました。上司は営業第2部長のO川さんで、コンピュータシステム開発については知識のない人でした。統合システムを開発するために創られた新しい部署で、専門知識や経験のある部長職がだれもいなかったので、仮の上司でしたね。半年間ほどのお付き合いでしたが、すっかりシステム開発の職人になりきっていたわたしは仕事の指示を受けたことも仕事の評価も聞いたことがありませんでした。それまで三菱のオフコンをやめて、NECの小型汎用機で統合システム開発を社長が決定。オービックのS沢SEとは5年間の付き合いでした。彼は数年後にオービックの開発担当役員になっています。
 日本電気情報サービスのナンバーワンSEのT島さんと挙動作業、わたしは外部設計と実務デザインを担当してました。T島さんは内部設計担当。仕事の分担がはっきりしていました。だから仕事に就いては社内のしがらみがなくなっていたので辞めやすかったのでしょう。最初の上司のN村取締役だったら、辞める前に相談はしたでしょう。義理と人情がありますから。入社一週間後に立ち揚げられた電算化推進委員会の委員長だった、営業担当常務のK藤さんが脳出血で倒れてなかったら、話は違っていたかもしれません。どういうレベルの仕事をしているのか理解してくれてました。
 SRLでは16年間愉しく仕事させてもらいました。関商事(上場時の社名はセキテクノトロン)は20年間はやっていけるような経営上の改革をいくつもやりましたその後、20年間経営改革や新規事業分野の開拓をせずに寝ていたのでしょうかね。東京営業所長のE藤さんと、為替変動の影響を受けないシステムを開発して強固な経営基盤をつくったし、仕事のやり方を変えて、営業の生産性を1.5倍にして、さらに営業利益率をコントロールするシステムを開発し、27%だった粗利益率を42%にまでアップしました。利益の1/3はボーナスで社員へ配分、1/3は内部留保で、自己資本率をアップさせ、経営基盤を安定させました。そのご株式上場を果たしています。
 それなのに、わずか25年で経営不振で上場廃止、そして吸収合併されました。中小企業は人材がなによりの財産です。営業担当常務のK藤さんがポルトガルの国際会議で脳出血で倒れたことも大きな痛手でした。社長にモノが言えたわたしの最初の上司だったN村さんもわたしが辞めてから数年で、会社を退職しています。キーとなっている人の使い方を何人か誤ると、中小企業はもろいものです。)

 でもまだ日本企業の多くは戦えますよ。
 「売り手よし、買い手よし、従業員よし、世間よしの四方よし」
 こういう企業経営をしたらいいだけ。日本人が作るものは品質が高いのです。精巧で丈夫で長持ちすることもその大きな特徴です。オーナー経営者や取締役がエゴを引っ込めて、謙虚にやったらいいのです。
 不安要素があります。その中のひとつは技術の継承が途切れてしまうケースが増えているということ。技術をもったベテランが20年も前から退職し始めて、若い世代へ技術伝承できなかった分野が増えています。帝人とSRLが臨床治験の合弁会社をやったときに、帝人側の古い社員の人が言っていました。
「帝人は海外でしか工場をつくっていない、国内には工場を建設の経験のある技術者がもういません」
 繊維工場建設を経験した社員がゼロになってしまったのです。1998年頃の話です。

 伊勢神宮の式年遷宮は20年ごとに行われます。60代で棟梁、実際の作業は40代の中堅どころが担い、20代の見習いが手伝って、先輩たちの采配と手仕事をしっかり見て学ぶ。そういうふうにして世代から世代へ技術を引き継ぐことが可能になります。仕事がなければ技術を引き継ぐことができないのです。日本企業と日本経済がいま、大きな節目のなかにあることは誰にでもわかることです。

 日本企業はこの30年間、配当を増やし、内部留保を取り崩して自社株買いを行うことで、株価を操作してきました。すべて株主と取締役のためです。非正規雇用を増やし、弱い立場の非正規雇用の従業員の給料を社員の半分以下に抑えることで実質賃金を切り下げ、取締役と株主のエゴのカタマリの経営にひた走ってきただけ。従業員よしにも世間よしにもなっていません。「お受験エリート」は技術の継承に関心が薄いのがその特徴です。そこを担っているのは「たたき上げの職人たち」ですから、毛色が違うのでコミュニケーションできないのです。本社エリートは文系出身者がほとんどで生産現場を知らない。取締役になっても生産現場へ足を運ばないし、生産現場の腕の良い職人たちと話もしない。いや、そちらの専門知識がないので、相手の話を聞いて理解できません。理解できるのは複数の専門分野をもったごく一部の人材だけ。つまり、本社エリートのほとんどがじつはマネジメントできないということ。

 東京証券取引所への上場株の時価総額は、ドルベースではこの12年間で15.5%も下落しました。
 それでも、まだ復活の芽はあります。まともな経営をしたらいいだけです。
 都市型巨大災害が発生したら、上場企業は内部留保を取り崩して、1年間給料を保障すりゃいいんです。とりあえず、全国のほかの地域でのんびりやってもらって、それから考え、行動したらいい。日本企業には分厚い内部留保があります。自社株買いなんてやめなさい、来るべき時に備えて内部留保をさらに厚くすべきです。日本列島は地震・津波・火山噴火・台・集中豪雨の災害列島でもあります。
 民間企業は具体的な災害対策を公表すればいい。働いてくれる人を大事にする経営を計画し・公表し・いざというときには誠実に実行する。そうやって若い人を集めたらいい。

 無能な経営者は社員や非正規雇用の給料をアップできません。人件費を削ることで利益を増大させてきただけですから。まずは人事システムを変えることです。数億円あるいは数十億円と、いくら成果を上げても給料が上がらないのでは、その内嫌になります。お金だけなら、転職しても同じ程度の年収なら稼げますから。とっくにそういう時代です。民間企業の取締役の90%は報酬に見合った仕事なんてしてませんよ。何をどのようにやって、会社の利益にいくら貢献したのか毎年社員へ公表してみたらよろしい。

 40代には「都内の公立中学校⇒有名私立大付属高校⇒米国の大学⇒ゴールドマンサックス」なんてコース選択をした、女子が現れるような時代です。
 公立中学のトップクラスがそういう進路を選択できる時代に30年も前からなっているということ。これからますます増えますよ。日本で受験勉強を一生懸命にやって難関大卒しても、戦えませんよ。リーダーシップや正解のない問題に取り組み、答えを見つけていくなんてトレーニングを積んでいませんから。高校卒までにやってないことは案外できないのです。

<余談:GDP推移>
 2012年が日本のGDPのピークでした、6272億ドルです。第二次安倍政権が12月に発足するとそこから坂道を転がるように日本のGDPは縮小し始めます。2023年は4230億ドルです。11年間でドルベースでは日本のGDPは32.6%も下落したのです。次の10年後、2034年には日本のGDPが3000億ドルになることを想定して、さまざまな政策や計画を立てる必要がありそうです。
 たとえば、電力需要が3割減少したら、原子力発電の必要がなくなりそうですね。現在の50基の原子力発電所で稼働しているのは、11基のみです。原発の稼働は小さな事故が多くて50あるうち11しか動いていません。40基は不要だったということです。原発建設は1基につき1兆円かかると言われています。廃炉や使用済み核燃料の始末にも同じくらいかかるのでしょう。誰のために、そして何のためにこんなにたくさんの原子力発電所を造ったんでしょうね。
 同じところの2022年の資料では稼働中の原発は4基となっていました。

*「名目GDP(US$)の推移」

<余談-2:日米株価ポイント逆転>3/4追記
 「日経平均<米国ダウ」という不等式がずっと成り立ってきました。「米国ダウー日経平均=8000」なんて時期もありましたが、はじめて「米国ダウ<日経平均」という事態が先週月曜日(2/26)から生まれています。先週の米国ダウ終値は39,087.38$、日経平均は¥39,910.82でした。



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#5175 日銀保有のETF67兆円売却のチャンス到来! Feb. 29, 2024 [8. 時事評論]

 NHKラジオ放送の朝のニュースによれば、上海証券取引所へ上場している企業株式の時価総額が、東京証券取引所への上場株式時価総額を下回ったそうだ。2:1が1:1になったのだから、どれほど大きな資金が中国から東京証券取引市場へ流れたのかわかろうというもの。株価は、バブル期の最高値を超えて、39000円オーバーで推移している。近いうちに4万円の大台に乗りそうだ。

 日銀保有の株式をチェックしたら67兆円となっている。ETFで購入したものだが、ETFを購入することで日銀は株式の買い支えをしていたわけだ。年金基金も年金支払いへ充当するために、保有株を売却しているだろうから、政権の要請で、東京証券取引所上場株の値崩れを防ぐには、日銀が買い支えるしかなかった。
 さりとて、日銀のスタンスが、日本株売却へと替われば、株式が暴落しかねないリスクはある。でも、こんなチャンスは二度とないかもしれない。株式を買い支えるなんてことを中央銀行がやってはいけないことをやり続けたわけだから、そろそろ解消したらいかが?

 国債の暴落の日が近づいています。長期金利を上げざるを得ない事情がいつどこでどのような形で顕現してくるのか、誰にもわかりません。誰にもわかる形で現れたときには、預金封鎖と課税、株式売買停止と株式保有に係る課税、不動産課税などが一斉にスタートします。預金も株式も電子化されているので、簡単に捕捉・課税できます。不動産登記も電子化が進んでいます。しかし、相続の関係でぐちゃぐちゃになっている物件が多いので、課税は個人を到底するのがむずかしい部分がどれほどあるのか、やってみないとわかりませんね。だから、預金と株式が財務省の狙い目なのでしょう。
 バラマキで、国債増発をし続けた最後は、国民の財産で贖(あがな)われるのです。フィナーレが近づいていますよ。
 首都直下型地震や東南海連動型地震による損害額は200兆円なんて予想がありますが、さて、金利を上げずに国債発行ができますでしょうか?日銀が全額買い取ったとして、為替相場がいまのままで済むでしょうか?200円/ドルまで下がれば、日本株はドルベースでは25%の下落率となります。国際投機筋が安いとみて日本株を買うのか、それとも売りに出して手じまいするのか、どっちに転ぶのか誰にもわかりませんね。

 民間企業は内部留保を厚くしておいて、そうした都市型大災害が起きたときには、出社せずとも1年間は給料を支払い続けられる体力を残しておいてほしいものです。日本人の貯蓄性向が著しく高いのは、地震・噴火・台風などの災害が多い日本列島に居住しているからこその、伝統的に培われた習慣であるような気がします。

 今日本政府はそうした伝統的な価値観を否定するような政策をとり続け、国債残高の山の高さが年々かさ上げされています。災害に備えて貯蓄するどころか、借金の山に埋まっています。アリとキリギリスの寓話を思い出します。国会議員一人当たり年収3000万円のほかに政党交付金を300億円ほども出しても、この程度の政治しかできないのでは情けなさ過ぎます。裏金問題の国会議員は全員辞職せよ。こんな法令違反やデタラメの限りを尽くしているのに支持する選挙民がいるのですから、始末に負えません。百年かかっても選挙民が目覚める見込みは薄いから、デタラメな政治が今後もまかり通るのでしょう。
 でもね、ダメなことはダメと言いましょう。でたらめな国会議員を辞めさせるには、選挙民が選挙制度を通じて行動するしか選択肢がありません。同じことを国会議員以外の国民がやったら脱税で罪に問われるのに、国税庁も動かない。政権を忖度して国会で虚偽答弁を繰り返した財務省理財局長が国税庁長官に「栄転」したぐらいですから、国税庁に期待ができないのも無理はありません。日本の政治家たちは性根が腐ってしまっているように見えます。ある経営者が、自民党道議のFBにこんなことを書き込んでました。

「そもそも、お金のことは秘書に任せていただのと戯言を言って自らの責任を取らないような人物が政治を司る資格はないですね。同僚の国会議員も何も言わないのであれば同罪ですよ。明らかな犯罪をして、納税もしないのでいいのであれば、誰が税金を支払うのでしょうか?まずは、北海道議会から自民党本部に対して勧告をすべきですね。」3/1追記

 ところで、全世界の企業が複式簿記でその活動や財産の変動状況を記録(日本政府や地方自治体は別です、いまだに単式簿記で時代遅れ、例外中の例外です)していますが、その複式簿記を知らぬ経済学者やアナリストの中には、日本国債は返済しなくていいものだなんて、魔法使いのようなことを言う者がいます。あれはただの無知ですよ。複式簿記の基本知識すらないということ。
 「政府の借金は国民の資産だから大丈夫」だなんてごたくを大真面目で語っています。
 言い換えてみましょう。

 「あなたの借金は銀行の資産ですから、あなたがいくら借金を増やしても大丈夫、返済の必要はありません。銀行の資産とあなたの負債を相殺処理すればいいのですから」

 親会社と子会社の間での取引なら、連結決算でそういう特殊なケースでの会計取引はあり得ますが、政府と日銀は別の組織ですから、聞くも愚か語るのも愚かな話です。


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#5166 傷病兵を連れ戻し前線の突撃隊へ送るロシア Feb. 21, 2024 [8. 時事評論]

 ウクライナで起きている戦争で、ここ数日ロシア軍の攻勢が伝えられている。ウクライナ東部のアウディーイウカをロシア軍が奪還したようだ。


 今朝2/21朝のNHKラジオニュース解説番組を聞いていたら、ロシア兵の妻がの事例が紹介されていた。

 胃腸に持病がある夫が「動員=徴兵」されて前線へ送られた。1年間で返すという約束だった。1年半たってから、持病が悪化して戦えなくなり、戻ってきた。そのまま市立病院へ入院治療を受けていたら、軍の病院へ移すと言われて、そのまま連れていかれた。
 軍の施設では治療はされなかった。病気は治ったということで前線へ「突撃隊」に編成されて送られた。以来3か月間連絡がない。おそらく殺されたのだ。軍から連絡はない。
 妻は怒っている。夫がいなくなってしまったら失うものはもう何もない。この妻が属しているネットワークは、約束通り1年間で帰還を要求しているだけ。軍を批判したり、ウクライナ戦争に反対したら、逮捕監禁されるからだ。声高に主張すればナワリヌイ氏の例がある。拘束され反逆罪で送りになったジャーナリストは数知れず。FSBに暗殺されたと思しきジャーナリストも百人を超える。犯人はどれもつかまっていない。警察が暗殺部隊のFSB職員を捕まえられるはずがないからだ。

 さて、プーチンはなぜ傷病兵を突撃隊として前線へ送り、同胞を殺戮しなければならないのだろう?
 答えは簡単だ。傷病兵が戻ってきて治療を受けて家族と面会していたら、戦争の実態が帰還兵から漏れるからだろう。軍への批判はすべて国家反逆罪になるように法律も改正している。

 ナワリヌイ氏が北極圏にあるシベリアの刑務所(スターリン時代には最悪の強制収容所)で殺された。遺体は2週間家族に渡さないという。使った毒が消える期間をまっているなんて噂が流れ始めている。

*「ロシアの女性たち、夫や恋人の復員求め抗議-予備役招集から1年余り」
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ロシアのプーチン大統領がウクライナでの戦争に動員する予備役30万人を招集してから1年余りが過ぎ、兵士の家族らが復員を要求し始めた。
  クレムリン(大統領府)に対する抗議活動を開始したのは、愛する人を戦争から早く帰還させるよう求める予備役の妻や母親、恋人らだ。昨年9月に招集された予備役の帰還を訴える運動「ザ・ウェイ・ホーム」は、通信アプリのテレグラムでフォロワー3万7000人余りを集めた。
  これまでのところ、この運動を巡る当局の対応は、抗議行動をしないよう警告する警察の派遣程度にとどまっている。
  女性たちのこうした運動は現時点ではまだ小規模だが、プーチン大統領が出馬を表明した来年3月の大統領選を控え、政権運営に影響を与える可能性もある。
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 報道の自由は守らなければならない。報道の自由がなくなったら、日本も中国やロシアのような国になりかねない。そこで、NHK経営委員がNHK会長に報道内容や取材の在り方にクレームを入れた、この事件はとっても重大である。

*「NHK経営委員長はすぐに辞任を」 かんぽ報道で録音開示命令

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 かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が会長を厳重注意した際の議事録や録音データを開示すべきかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(大竹敬人裁判長)は20日、市民グループの請求を認め、NHKに録音データの開示を命じた。さらに開示を怠ったとして、NHKと森下俊三経営委員長に計228万円を支払うように命じた。
弁護士「議事録隠し明らか」
 「非常に画期的な判決だ」。判決後、東京都内で記者会見を開いた原告団の沢藤大河弁護士はこう語った。判決は、NHKが「ない」としていた録音データの公開に加え、森下委員長が開示義務を怠ったことを不法行為と捉えて損害賠償も認めた。その2点への高評価だった。
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#5153 ドイツのGDPが日本を抜いた:円安は日銀の国債保有残高と関係あり Jan. 29, 2024 [8. 時事評論]

 2023年のドイツのGDPは4.45兆ドルとなり、日本のGDPを抜いたようだ。日本のGDPはまだ公表されていないが確定している1-9月期に前年分を加算しても追いつかない。
*日経新聞1/16
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日本の2023年の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ、世界4位に転落する公算が大きくなった。ドイツ連邦統計庁が15日、23年通年の名目GDPの暫定値を公表した。両国のGDPをドル換算で比べると日本は円安で目減りし、ドイツは物価高が押し上げた。
ドイツの名目GDPは前年比6.3%増の4兆1211億ユーロだった。日銀が公表している23年の平均為替レートを用いてドル換算するとおよそ4兆4500億ドルとなった。
日本の23年10〜12月期の名目GDPはまだ発表されていないものの、23年1〜9月期をドル換算すると3兆1000億ドルほどだ。
日本の名目GDPがドイツに並ぶためには23年10〜12月期に190兆円程度となる必要がある。日本の22年10〜12月期の名目GDPは147兆円だった。前年同期から3割程度増える計算となり、足元の状況で達成は困難だ。
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 2023年の為替レートの平均は140.49円/$。
 2009~2013年は100円/$を割っていた。90円/$なら、ドイツをはるかに引き離して、GDPは世界第3位ということになる。つまり、ドイツとGDPの逆転は、円安によって生じたものと言えよう。

 顧みれば、安倍政権に変わってから、円安が進んだ。日銀総裁を白川氏から黒田氏へ替え、東大名誉教授の浜田宏一を経済ブレーンに加え、アベノミクス三本の矢で異次元の金融緩和を進めた途端に為替相場の基調が変わったと言えよう。

 ドイツの人口は8443万人(2023年3月)で日本の人口1億2330万人の68.5%に過ぎない。
 GDPの逆転は対ドル為替レートが極端な円安であることに起因する。
 対ドル為替レートは2022年4月に120円/$を突破し、2022年9月以降は140円/$前後である。
(2022年9月の購買力平価の為替レートが140円/$だから、ドル表示のGDPはそのまま購買力平価によるGDPと言えそうです。...2/10追記 投稿欄での議論をご覧ください)

 2022年12月19日の日経新聞によれば、2022年9月に日銀の国債保有残高が50%を超えた。

 2013年1月10日 158兆円
 2022年末 704兆円
 2023年末 750兆円

 日銀保有の国債残高は、この1年間だけで46兆円も増えている。

  国際金融機関は昨年9月以降は日銀の経営破綻リスクを織り込んで行動しているように見える。円の信認が根幹から崩れ、為替相場が円安基調に変化した。国債発行残高の半分以上を日銀が抱え込んでいる限り、この円安基調は変わらないということだ。

 2023年6月4日の日経新聞によれば、日銀の国債評価損が一時8兆円にもなった。長期金利を2%にアップしたら、数十兆円規模の評価損が発生して、巨額の債務超過により実質経営破綻となるから、長期金利のアップには限界がある。日銀が経営破綻してもすでに為替相場はそういうリスクをある程度織り込み済みだ。

 ところが国内はそれではすまない。日銀が経営破綻すれば、国債の日銀引き受けが消滅するから、低金利では新規国債発行ができなくなるから、長期金利を3%程度にまで上げざるを得ない事態が生ずる。
 日銀と政府財政は一蓮托生であり、日銀が破綻すれば政府財政も連鎖的に破綻する。現在の税収では歳出を6割程度に減らさなくてはならないことになる。国債の償還分は減らせないから、それ以外の予算は半減以下ということになるだろう。
 国防の要である自衛隊員の給料の支払いにすら窮することになる。

 昨日1/28午前8:59、東京湾を震源とする地震があり、震度4の地域が広がった。能登半島沖地震の次は首都圏直下型地震かもしれぬ。安政の大地震(1855年)から170年、富士山噴火もありうるシナリオである。

 首都圏直下型地震や東南海連動型地震が起きれば、200兆円を超える復興資金が必要になるだろう。そのときに国債発行ができなければどうする?
 平時には、借金を増やすのではなくて、非常時に備えて資金や必要な物資を蓄えておくのがあたりまえの方法だが、この国の住民と政府や国会議員は、日本列島が四季折々の自然の恵みの土地であると同時に、世界有数の地震や火山噴火や台風などの大災害を繰り返してきたところでもあることを忘れたのか?
 アリとキリギリスの寓話はいま日本の政治の姿を象徴しているように見える。




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#5151 官製賃上げと国民負担率の増大という矛盾 Jan. 24, 2024 [8. 時事評論]

 岸田首相が春闘での賃上げ要請を経団連にしている。賃上げで消費を拡大して経済に好循環をもたらそうというわけ。
 その一方で、国民負担率(国税+地方税+社会保障負担)は増大を続け、同じ所得なら実質手取りは減少を続けているのである。
 どれくらいか?
データ元:「国民負担率の推移」
①1970年 24.3%
②1990年 38.4%
③2023年 46.8%

 年収500万円で②と③ケースで手取りを計算すると、それぞれ308万円、266万円となる。33年間で42万円国民負担が増大して使えるお金が減少している。

 なぜこんなことになっているのか?
 もちろん要因はひとつではない。一番大きいのは消費税だ。消費税の導入は1984年4月である。これが段階的に引き上げられて、いまや10%になっている。介護保険のスタートは2000年4月、これも国民負担率上昇に一役買っている。ふるさと納税制度は地方税の再分配システムだが、大都市で持ち出しになるところへは、国から補助金が支出されているから、これも国民負担率の増大や、財政赤字拡大に一役買っている。増税して補填する補助金の手当てをしないと維持できない制度なのである。そんなことは政府からほとんど説明がなされない。
 赤字国債での財政ファイナンスも入れると国民負担率はこの33年間で、38.4%から53.9%へ激増した。そして国債の発行残高は毎年30~50兆円のペースで積み上がりつつある。政府債務残高はすでに1500兆円を超えたようだ。

 かてて加えて、この30年間で国民一人当たり実質所得は上がっていない。OECDでこんな国は他にはない。

 民間企業の経営者の団体には賃上げを要請しておきながら、自らの放漫財政運営を放置し、国民負担率を上げることで、足りない分をあがなっている。歳出を減らす努力はまったくしない。
 消費税率を下げる、国会議員の報酬を引き下げる、ふるさと納税を廃止する、財政が赤字の間だけは公務員給与を民間企業並みに下げる...痛みを伴う財政改革はいくらでもやりようはあるではないか。
 自らできることを一切やらずに、民間経済団体に賃上げ要請というのはまことに不可思議だ。一緒になって旗を振っている連合の芳野会長は頭のネジが外れているのだろう。


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#5144 党の責任が抜けている:政治資金パーティ券裏金問題 Jan. 11, 2024 [8. 時事評論]

 今朝(1/11)7時台のNHKラジオ放送で、田中秀征(元衆議院議員・元経済企画庁長官)が、自民党がスタートさせた政治刷新本部のお題目には「党の責任」という重要な項目が抜けていると指摘していた。
 300億円のお金が政党交付金として支出されているのだから、その範囲内で政治活動をすべきで、違法を承知で裏金作りをしていた議員は、相応の責任をとるべきだと。

 つまり、議員辞職せよということだ。そういう国会議員を支持した国民の責任にも言及している。地元に何人も秘書を置いて、裏金でその活動資金を賄っていた議員は責任をとるべきだし、そういうことを政治刷新本部で議論すべきというのが田中秀征氏の意見である。

 自民党議員でスタートし、新党さきがけの仕掛け人、細川護熙と武村正義を担いで新党を結成し、その後武村氏と意見の対立から袂を分かち離党、「党友」として活動。筋の通った政治家である。

 東大文学部西洋史科を卒業、衆議院議員に落選したときに、北大へ学士入学、その後衆議院議員に返り咲く。

 政治刷新本部38名のうち10名が安倍派で占められている。そのメンバーの大半が、本来は政治刷新されて政治の世界から足を洗うべき存在なのだから、本部長の岸田総理はまたしてもやっているふりだけ。これでは支持率が上がりようがない。
 それでも野党支持が増えている気配がない。野党自身にも問題はあるだろうが、国民はこうした政治に甘んじているように見える。田中秀征氏が言うように「国民の責任(=裏金作りをしていた国会議員には票を入れない)」が問われているのだろう。

*東洋経済オンラインより抜粋
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同本部は麻生太郎副総裁と菅義偉前首相が首相経験者として最高顧問に就任。さらに茂木敏充幹事長や森山裕総務会長ら党七役に加え、首相最側近の木原誠二幹事長が事務総長、小倉将信前こども政策担当相が事務局長に起用されるほか、小泉進次郎元環境相ら青年局長、女性局長経験者が参加する見通し。

さらに複数の若手議員、外部有識者も加えるため、メンバーは38人の大所帯となり、11日に初会合を開く。菅氏と共に最高顧問に就任する麻生氏は8日の地方講演で、「信頼をきちんと回復し、引き続き政権を担っていく決意を新たに対応していきたい」と改革断行への決意を強調してみせたという。




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#5142 災害への備え:「濾過装置付きシャワー+コンテナハウス」 Jan. 6, 2024 [8. 時事評論]


 水100Lで100人の人がシャワーを浴びられる濾過装置付きのテント型浴室を開発した企業があります。
 能登半島地震が元旦に起きてからすでに6日目なのに、お風呂にも入れない被災者が多いようです。こういう設備を備蓄して置いて、被災地に空輸できるようなシステムを用意してほしいと思います。国はこういう事業に補助金を出してください。
 別海町の高橋工業さんが、コンテナハウスを開発してホテルとサウナ事業を展開しています。セットで災害用浴室を保管できれば、これから起きるであろう日本各地の地震災害に大きく貢献するのではないかと思います。
 ぜひ、7割の補助金出して、備蓄してください。

*水再生装置シャワー
*NAKASHIBETSU HOTEL KUTEKUN
*高橋工業
*スムノア
 「住む」+「ノア」:ノアの箱舟のノアですね。災害用仮設住宅としてはヘリで空輸できて便利です。コンテナハウスは軽いので、船への積み込みも手間いらず、風が穏やかならヘリでの空輸もできます。
 国の予算で別海町に備蓄したらいかが。別海町には200haの牧場がざらにあります。乳価が低迷し、資料の輸入価格が上がっているので、採算合わずに売りに出るところが増えるでしょう。だから、備蓄基地建設コストを抑えられます。全国5箇所ぐらいの備蓄基地があればいい。


#4936 首都直下型地震関連死者数はどれほどになるのか? Mar. 5, 2023


 同じテーマで昨年3月2日に<仮設住宅の備蓄とコンテナハウス>の問題を取り上げていました。
#4935 人口増大は国土脆弱化を招き人口減少は国土強靭化に寄与する Mar. 3, 2023

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2023年3月3日にブログへアップしたものを紹介します。地震はいつどこで起きるかまったく予測がつきませんね。
<仮設住宅の備蓄とコンテナハウス>
 ところで、地震対策としてコンテナ形式の仮設住宅の備蓄をしてもらいたい。地震が起きてから仮設住宅が整うまで数か月かかっている。1万戸ほどの備蓄があってもよいだろう。いま起きそうなのは、首都圏直下型地震、千島海溝で5500年に13回起きた巨大地震と大津波、東南海連動型巨大地震と大津波。大きなものだけでもこれら3つは明日起きても不思議ではないのだが、仮設住宅備蓄の備えはない。
 別海町がコンテナハウスの備蓄に最適かもしれない。別海町の牧場は平均的な規模で200町歩(200ha)もあるから、牧場を廃業した跡地を使えば、コンテナハウスの備蓄倉庫の場所の問題はなくなる。製造メーカーも別海町にあるから、100個ほど製作して保管コストがどれくらいかかるか、国から補助金を引き出して実証実験してもらいたい。災害用仮設コンテナハウスの機能の改良や維持保管自体が一つのビジネスになる。
 問題は災害勃発時の被災地への輸送である。コンテナ船が用意できなければいけない。被災地では道路が寸断されているので、近くの港から、自衛隊の大型ヘリで空輸することになるだろう。民間企業には大型ヘリの備えはないから、自衛隊にどれくらいの機数があり、災害用に何機振り向けられるのか、シミュレーションが必要だろう。1万戸のコンテナハウスを1か月で運ぶには、1機あたり4往復/日として10機だと30個、風の小さい日が1か月間で半数とすると、「10機×4回×15日=600個」となるから、20機あっても1200個/月しか運べない。6000個/月を考えると、100機の大型ヘリが必要になる。大型災害対策用にこれくらいの準備がないと間に合わぬということ。ふだんから、パイロットを育成し、機体を準備し、整備していなければ到底かなわぬ規模である。だから具体的なシミュレーションと長期戦略が不可欠なのだ。
 災害が起きてから、仮設住宅の設置場所を探したり、自衛隊との調整に手間取るのでは被害拡大を最小限にできない。事前の現実的で具体的なシミュレーションが必要で、その過程や結果の公表が、国民の安心につながる。

<災害時でも清潔な組み立て式水洗トイレ、水源は井戸水で…プールの水でも代用可能>
 考案したのは、井戸や井戸水をためる貯水槽を整備し、下水道につながるマンホールの上に陶器製の便器やビニール製テントなどを設置するシステム。使用後は手押しのポンプで水を流せる。プールなどの水でも代用可能で、マニュアルを習熟すれば短時間で組み立て可能だ。



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#5117 公理を変えて資本論を演繹体系として書き直す① Nov. 18, 2023 
#5120 公理を変えて資本論を書き直す② Nov. 28, 2023 
#5124 資本論の論理構造とヘーゲル弁証法 Dec. 5, 2023 
#5125 公理を変えて資本論を書き直す③ Dec. 8, 2023 
#5127 公理を変えて資本論を書き直す④:生産性とマネジメント視点の重要性 Dec. 10, 2023

 

#5138 集中力と「仕事(=遊び)⇔労働」概念:NHK地上波「スタニスラフ・ブーニン」を見て Jan. 1, 20

#5098 職人の仕事「千年の和釘に挑む」:NHKBS番組 Nov. 1, 2023



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#5140 正月2日夕方の日本航空旅客機事故:「羽田の奇跡」 Jan. 4, 2024 [8. 時事評論]

 2日の午後6時少し前にニュースを見ようとしたら、羽田で滑走路上で何かが燃えている画像が映し出されました。説明はありません。車両が燃えているのかなと思いました。数分後に今度は左側にカメラが動いて、もう一つ何かが燃えていました。何が起きているのか中継しているアナウンサーもわからない様子。
 6時5分くらいだったでしょうか、旅客機の主翼付近が映し出され、カメラはそこから動きません。三つの窓からオレンジ色の炎が見えてます。他の窓には黒い煙が動くのが確認できます。火はどんどん燃え広がって、オレンジ色の染まる窓が前方へ異動していきます。円形の窓13個ほども炎が前進し、屋根を突き破って炎が出始めます。
 6時25分くらいになって、千歳発の日本航空機と海上保安庁の輸送機(ボンバルディアDHC8型)が滑走路上で衝突炎上したという説明がありました。
 6時30分くらいになってから前方の脱出用スライドが映し出されました、だれもいません。
 乗客と乗員は全員退避したとアナウンスがありました。

 後からわかりましたが脱出用スライドは後部の方も降りていました。2箇所から避難したようです。367人が載っているエアバスA350-941は脱出用スライドが6箇所設備されているのではないかと思いますが、確認できません。中央部分は炎に包まれているので、危険があり使えません。
 10分間ほどで全員が避難したようです。電気系統が故障したのかマイクが使えなくなって、ハンドマイクで誘導がなされました。乗客がスマホで撮った映像に「速く出してください!」という子供のお願いする声が入っていました。パニックを起こした乗客も数名いたようですが、指示に従って荷物もハンドバックも持ち出さずに避難したので、スムーズに運びました。自宅の鍵がバックの中だったので、家に入れずに困った方もいたようですが、仕方ありません、命の方が大切ですから。ああいう非常時に優先順位を判断して、ほとんどの人が的確に行動できるというのはすばらしいことです。
 英国ガーディアン紙はこの完璧な避難の様子を「羽田の奇跡」というタイトルで褒め称えています。
 記事のURLを貼り付けますので、高校生は全文読んでみてください。
*Miracle at Haneda: how abin crew pulled off great escape from Japan plane fire
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According to the airline, all 367 passengers and 12 crew disembarked in 18 minutes, although it is not immediately clear how much of the time was spent physically getting passengers down slides.
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  日本航空の発表によれば、実際には何分間でできるのか定かではない中で、乗員12名と旅客367人がわずか18分でダウンスライドで脱出させたと書いてあります。使ったダウンスライドは複数形になっているので、機体の前と後ろのダウンスライドからということ。6時少し前から 現場の火災中継を見ていましたから、そのときはまだ脱出が完了していなかったということ。スライドで乗客が避難中だったようです。後部のダウンスライドは火が出ていないほうだけを下ろしていました。判断が的確です。中央部のダウンスライドも危険と判断して下ろしていません。全部で8個のダウンスライドが設備されていました。

<余談-1:事故の遠因>
①東京の空は米軍の空域で、羽田で完成している空域は米軍と重複している
②羽田は滑走路が4本もあり、混雑しているのでふだんから管制業務の難易度が高い
③正月元旦で、ふだんよりも混雑していた ⇒C滑走路は2~3分に1機の離発着管制をしていた(6日朝日新聞)
④能登半島地震対応で海上保安庁所属機が頻繁に離着陸し、イレギュラー対応を強いられていた
⑤国際線の羽田空港乗り入れが2020年3月以降増えている

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羽田空港は2020年3月29日(日)から国際線の大幅な増便が始まり、これを対象に東京都心を通る新飛行ルートも施行を予定されるなど、年を追うごとにその国際線航空便の割合が多くなっています
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https://ecnavi.jp/mainichi_news/article/6db131cf772876536c57db4176fa9ffd/#goog_rewarded

 これら5つのことが重なり合って、たまたま管制塔と海上保安庁機の機長との間に行き違いが起きた模様。

<余談-2:災害続き>
 元旦の夕方4時10分頃に能登半島を襲ったM7.6、最大震度7の直下型地震に続いて、2日の日本航空機と海上保安庁輸送機との衝突事故、海上保安の輸送機は救援物資を被災地へ輸送する任務に就いていました。
 そして3日には北九州市駅前での飲食店街の火事(35店舗2900平米焼失)と災害が続いています。
 地震と火山噴火の大国ですから、災害への備えを年初から見直しておけとの天の警告かもしれません。1か月間は生き延びられる支度があるのか点検したいものです。なければ補充を。
 そして具体的な災害対策をと子孫に負債を残さない健全な財政政策を主張する政治家を選挙で選びたいものです。

<余談-3:仕事をまっとうした機長> 4日午後6時追記
 機長は機内に乗客が残っていないか点検し、数名残っていた人たちを下ろしてから、最後に降りてきたと4日夕方5時半からのテレビニュースが伝えていました。仕事への責任感の強い機長でよかった。主翼燃料タンクに火がついている中での行動です、なかなかできることではありませんよ、侍のように豪胆ですばらしい行動でした。
 思い出したのが、2014年の韓国のフェリー「セウォル号沈没事故」です。船長がパンツひとつで慌てて真っ先に逃げ出し、修学旅行の高校生などを置き去りにして救助されたことでした。乗客の死者は299人でした。


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#5094 全米自動車労組初任時給68%増の28ドルへ Oct. 28, 2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>10/28午後11:50 ビジネス倫理の追記

 標記のニュースが昨日(10/27)配信されている。
 28ドル*8時間*22日*12か月=59136$
 年間6万ドル弱が、米国の自動車産業労働組合員の初任給である。一昨日の為替レートは150.36円/ドルだから、円換算すると908万円の年収になる。
 2020年12月の資料によれば、トヨタの初任給は大卒で20.8万円、年収では300万円弱だろう。米国の自動車産業に比べると、1/3の初任給である。

 米国な物価も高いから、給与が高くても当然だが、それにしても3倍はないだろう。どうしてそういうことになるのだろう?
 為替レートが円安過ぎるからだ。75円/ドルなら、443万円である。感覚的な話だが、この為替相場なら、日米の物価の差も給与差もリーズナブルに思える。

 ではどうしてこんなに異常な円安になっているのだろう?
 
 国際金融筋が、GDPの2.3倍もの国債残高を抱えている日本はすでに財政破綻状態だとみなしていることによるのではないか?ヘッジファンドや国際金融機関の円への信認が崩れてしまったのではないか。安倍政権スタート時は80円/ドルだったのが、11年をかけて150円/ドルまでじわじわ下がり続けているが、今頃になってどうやら円への国際的信認が根底から崩れていることに気がつかざるを得ない。為替レートがそうした背景を反映している。
 これはわたしの単なる仮説にすぎないが、そうでも考えないと、同じ業種のこの大きな賃金格差の説明がつかない。

 海外から日本へ来る観光客は、日本の食べ物がおいしくて安価なことに喜んでいる。本国で食べる半分以下で食べられるからだ。オーバーツーリズムも円安が産み出したあだ花かもしれぬ。

 英語が達者な職人は海外で働けば、年収が3倍になるような世の中に様変わりしてしまった。技術職の一部は3倍以上の年収を求めて海外へ出ていくだろうが、それでも全体の1割には届かないだろう。
 英会話をマスターして海外移住することが年収アップにつながる時代になった。その原因の一つは、無責任な赤字国債増発と日銀の国債買い入れにある。日銀の国債保有残高は540兆円を超え、すでに国債残高の半分を超えた。
 日銀が買い入れを停止したら、政府は国債の新規発行ができなくなり、金利を3%程度まで上げざるを得なくなる。日銀は国債の実質評価損を抱えることになるが、純資産額をはるかに上回り、債務超過に陥る。もちろん政府財政は破綻する。預金封鎖が起きて、赤字国債残高の処理のために課税され、預金残高は半分程度になるのだろうか。

 減税なんてする余裕なんてとっくにない。そんな資金があるなら、平時の赤字国債発行を辞めるべきだ。首都圏大震災、千島海溝沿いの巨大地震と津波、東南海連動巨大地震、富士山噴火など、地震や津波だけでも発生すれば、数百兆円もの復興資金が必要になる。温暖化で生態系が変わりつつあり、農作物や水産資源に激変が起きつつある。高齢化社会へ対応するためのインフラ整備すらできていない。お金をバラまいて借金を増やす余裕なんてとっくにないのだ。

 実質評価損の計算は何度か提示したので過去ログを見てください。カテゴリ―「95 増え続ける国債残高」に設例があります。

(注:仮説が正しいかどうかはわかりません。ほかにこれが理由ではないかというようなものがあれば、コメント欄へ書き込んでください。)

 さて、ここからが本論です。視点が少し変わることになります。トヨタには北米に6か所生産拠点があります。同じトヨタで、北米工場で働く新入社員と豊田市の工場で働く新入社員では、給与格差が1:3ということになります
 労働価値説の立場に立てば、同じ会社の同じ生産システムでの労働ですから労働価値は一緒ですし、生産性も違いはありません。しかし国が違えば、円とドルの貨幣の交換比率(対ドル為替相場)によって、格差が生まれるというのは事実です。つまり、労働価値学説は国が異なれば破綻しているということです。労働価値説が破綻すれば、剰余価値学説もドミノ倒しに倒れます。そして不払労働を搾取しているという理論も成り立ちません。これら三つのドミノは連続して倒れてしまいます。
 それにしても、この給与格差は理不尽です。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というビジネス倫理からも許容できません。売り手と買い手の外に、「企業で働く従業員もよし」でなければいけません。
 この理不尽な給与格差に直面して日本のトヨタ労組とトヨタの経営者はどうするのでしょう?注目してよいと思います。


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