#4696 小1のとき吃音があった:母が音読につきあってくれた Jan. 19, 2022 [65.b 成績下位層にかかわる問題]
小1のときに、国語の時間に教科書を数行読まされました。緊張すると吃音(きつおん=どもり)が出ることがありました。2週間程度だったと思うのですが、母親が音読につきあってくれました。とっても楽しかったので吃音はすぐに治りました。それ以降は学校で本を音読するときに吃音はなくなりました。不思議ですね。
小4になると、母が「北海道新聞のコラム「卓上四季」を読んだらいい」と薦めるので、読み始めました。最初の内は国語辞書を引きながらでしたね、最初の内は意味の解らない言葉がたくさんありました。当時の北海道新聞はルビがふってありましたから、国語辞典だけで用が足りました。3か月も読んだら、辞書を引く回数が減りました。読んで理解できる語彙数が急激に増えたんです。「卓上四季」だけでは退屈で、社説も読み始めたのですが、当時も今も政治経済に関する社説が多いので、社説の延長で1面と2面を読むようになりました。そして5年生に。だから、普通の小学生とは知っている語彙数が格段に差がついたのです。普通の大学生並みの語彙力を小6のときにはもっていたと思います。中3のときに全国学力テストがありましたが、そのときに社会科で学年トップ(550人中)だったのは、新聞の政治経済欄を読んでいたからです。学校では習っていないことが出題されていましたが、全部新聞の政治経済欄に記載されていたことばかりでした。場所が出てくれば地図帳で確認もしていました。現在の北海道新聞はルビがふっていないので、小学生には読みづらいものになっています。そう中学生が同じ勉強の仕方をすれば、いまでも学力テストの点数は95-100点とれるでしょうね。肝心な点は、学力テストの点数が欲しくて勉強したのではないことです。好奇心で新聞の社説と政治経済欄を読み続けたということ。
社説や卓上四季は総ルビでもいいのではないでしょうか?小中学生に「新聞を読もう」なんて言いながら、ルビを振らないのはヘンです。読ませたくないのかと思ってしまいます。新聞が売れないのは新聞社の編集責任者や経営者が売れないような紙面づくりをやっているからです。ルビを触るだけで、対象読者層が拡大します。その上で、新聞を学習に利用してもらいたいと言ってください。
吃音の出る子どもさんには母親が一緒に音読してあげてください。きれいに読めると楽しいのです。たくさん読むうちに、「先読み」の技が身についてきます。先読みとは、いま声に出している部分よりも先の部分を黙読して、単語や意味の区切りや文脈を判断しながら読み取り、声に出すときにそれをフィードバックするものです。だから、改行があってもよどみなくすらすら読めるようになります。高速音読が可能になり、意味や文脈の理解が格段にアップします。
標準速度の2倍で読め、2倍で書くことができて、2倍の計算速度があれば、勉強時間は半分ですみます。実際には、高速になるのと集中力がアップしているので、もっと大きな差がついていますよ。トレーニングしないで、「読み書きソロバン」の速度が標準の半分だったら、成績下位30%に入って、なかなか抜け出せません。
小学校のうちに育てたいのは、「読み・書き・ソロバン(計算)」という基礎的なスキルです。音読が一番重要ですよ。「書き」のトレーニングについては、友人の「アオ」が自分の子どもにやった方法がすばらしい。それはまた別に紹介します。
(「アオ」は三人とも光洋中学校から釧路湖陵に進学させ、二人は東京学芸大学へ、一人は東京理科大へ進学させてます。小学生低学年での彼の子どもへの家庭学習習慣の躾がすばらしい。)
小学生のうちに育みたいのは、学習習慣です。「各学年×10分+20分」くらいがいい。勉強は本来は新しい知識や技術の習得ですから、達成感があり楽しいものです。学習と遊びは「楽しい」という共通部分があります。
勉強は楽しいものだという体験を、毎日の家庭学習の中で育んだら、中学生になったら、なんにも言わなくても面白くて、楽しくて、勝手に勉強するようになります。
中学生になって予習方式で家庭学習する生徒の大半は、成績上位20%に入っているように見えます。
(小学生のお子さんのいる方は、勉強のさせかた、家庭学習の躾(しつけ)方など教育に関して悩み事があれば、相談に乗ります。土曜日の3時半からが都合がよい、30分~60分程度を考えています。1対1ではやりませんので、お二人以上でお誘いあわせの上来てください。事前に連絡をいただけるとありがたい。ボランティア活動ですから塾への勧誘はいたしません。中高生の塾ですから、小学生は原則、教育相談のみにしています。)
<余談-1:読書との出遭い>
新聞は4年のときに読み始めましたが、単行本の分厚いものをはじめて読んだのは、小6のときだったと思います。新卒で4年生の担任となった鶴木俊介先生(故人)に何か悪さをしたので「職員室までおいで」と呼ばれました。叱られると覚悟して行ったのですが、先生はシェークスピアの『リア王』を手渡しして、「読んでみたらいい」と貸してくれました。世界児童文学全集の中の一冊だったかもしれません。夢中で読みました。それ以来、文学作品も読むようになったのです。いまでも、感謝しています。
光洋中学校の図書室に会ったSFものはあらかた読んでしまいました。『海底2万里』が一番面白かった。学級文庫にも文庫本のSF小説が何冊かありました。
高校になると、哲学や経済学へ興味が移り、専門書を読むようになっていました。公認会計士2次試験の勉強も始めたので、受験参考書の近代経済学の本とマルクス『資本論』を読むようになりました。異なる学説を比較して読むスタイルはこのころからです。スタートは、小学1年生の時に母親がつきあってくれた音読でした。
書くトレーニングはこのころ(高校2年)始まりました。公認会計士2次試験の答案練習で文章力を培いました。400-800字くらいでコンパクトに文章をまとめるスキルが身につきました。
<余談-2:緊張のコントロールは呼吸で>
吃音は緊張することが引き金になったのでしょうね。自信がつけば緊張しなくなります。だから音読トレーニングが有効だったのだろうと思います。
緊張は簡単に解除できます。お腹から息を吐き切ればいいだけです。吸気は自然の起こります、息を吐き切ったらもう吸うしかありません(笑)
勝手に息が入ってくるので、もう1回お腹から絞り出すように吐き切ります。これで完了です。
嘘だと思った人はやってみてください、本当だとわかります。ヨガや座禅でも歩行禅でも似たような呼吸をします。
わたしは、人と議論するときに、大事な場面では呼吸をコントロールします。慣れたら一息でできます。相手の息の状態もよく見えるようになります。
<余談-3:読み・書き・ソロバンの速度の差>
音読は早い人と遅い人では2倍以上の差があります。書く方は中1の生徒7人ほどで試した結果、2:5くらいです。計算速度実測で1:30でした。これが一番差が大きい。遅い人が5問題やるのに、最速の生徒は150題やってしまいます。この最速の生徒は、高校では塾へ来てませんでしたが、小樽商科大学へ合格しています。一番遅い生徒は標準速度の1/4以下でした。だから、同じ問題量をこなすのに何倍も勉強しなければなりません。毎日塾へ来て、勉強時間は3倍くらいいやってました。彼も道内の私大へ進学したと聞いています。
珠算が3段以上なら、計算速度は標準の10倍以上あるでしょう。数Ⅱの定積分計算がとっても速くできます。
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#4624 学力テスト総合A:根室の中学生の数学の学力の実態 Oct. 9, 2021 [65.b 成績下位層にかかわる問題]
数学と理科の得点分布が、左寄りで、分布が得点下位の方に偏っています。英語も左に偏って、最頻値が21-30の階層にあります。この科目も問題ありです。学校ではデータの分析をして、生徒たちの学力向上対策を練っているのでしょうか?やっているはずですが、20年近く見ていますが、変わらないどころか、学力は低下しています。釧路根室管内の18中学校で、根室の市街化地域の中学校の学力テストの平均点は最下位グループを形成しています。
北海道新聞根室支局が取材して、どんな風だったか記事「荒れる中学校 授業抜け出し後絶たず」に記録されています。根室だって、成果を上げている現場の先生たちはいます。
ところで、国語が正規分布に近いですね。分布が左に偏っているのはその科目の得点の低い生徒の割合が多いということです。
数学の得点分布表を拡大してみます。
得点階層は左から、0~10点、11~20点、…と10点刻みです。
0-10点 16人 16.2%
11-20点 19人 35.4%
21-30点 10人 45.5%
31-40点 15人 60.6%
41-50点 15人 75.8%
51-60点 12人 87.9%
61-70点 5人 92.9%
71-80点 3人 96.0%
81-90点 3人 99.0%
91-100点 1人 100.0%
合計 99人
この中学校の生徒数は根室市全体の生徒数の約半数を占めています。釧路根室管内の市街化地域の中学校では学力テスト五科目合計点の平均値が最下位です。なかでも数学がひどい、20点以下の得点層は基礎計算も怪しいのです。10点以下の10人は、一人も逆九九がすらすら言えないでしょう。だから、割り算になると手が停まります。
2年生の計算速度を計測したことがあります。5-6人の生徒に同時に同じ計算問題をやらせてみました。最速の生徒と最遅の生徒では計算速度に30:1の差がありました。予想外の大差でしたね、やらせた私の方がびっくりです、これほど開きがあることは予想してませんでした。最速の生徒が90題解き終わるのに、最遅の生徒は3題しかできなかったのです。同じ1時間数学の勉強をしたら、最速の生徒と同じ量の問題をやるのに、最遅の生徒は30時間やらなければならないということです。計算スキルの差は大きな学習量格差を産み出します。こういうことが3年間続いたら、学力格差は埋めようがありません。「読み・書き・計算」の3基礎技能で一番差が大きいのが計算です。次は読む速度ですが、これは1:5くらいです。学力テストで国語が高得点の生徒は読む速度が大きい。読書習慣があって、小学生の時に大量に本を読んでいます。一度濫読期を経ている生徒は語彙が豊かになり、読む力がしっかりしているので、高校生になってからの学力の伸びが大きい。
書くのは1:3程度の差です。書く速度は北海道新聞の「卓上四季」を使って、十数人の生徒にやらせて何度も計測した結果です。
どのクラスを見ても、これぐらいの速度差は普通になのでしょうね。わずか5-6人でこんなに速度差が出るのですから、クラス全体30人ではこれ以上の差があるはずです。最速の生徒はいま小樽商科大で勉強しています。最遅の生徒はよく勉強しました。一度だけ定期テストで最遅の生徒が最速の生徒に勝ったことがありましたね。学力テストではそういう逆転が起きません。最遅の生徒は道内の私大へ進学したと聞いています。
もう10年ほども前になるだろうか、別の中学校の習熟度別の数学の授業を参観させてもらったことがあります。基礎グループの10人ほどの授業でした。補助教員がついて教員の方は2人体制です。メインの先生が説明した後に問題をやらせましたが、ほとんどの生徒が自力ではできません。補助教員が一人の生徒に説明していたが、数人は手持無沙汰で、何もしていなかった。ずっとそのままでした、一人にかかりっきりになって他の生徒が見えていない様子。個別指導の経験がなければこういうことになるのでしょうかね。そうした点を除いても、教員2人による基礎コース生徒10人の指導は無理があるように見えます。理想を言うと、低学力の生徒10人の指導には5人くらい必要です。計算規則を説明しても、次の問題をやらせると同じミスを犯すというようなことが学力テストの得点が10点以下の生徒には頻繁に起きます。だから、繰り返し説明するしかないのです。そして日を置いてまた同じ問題をやらせてチェックしなければいけません。賽の河原の石積みににたような状況が数か月続きます。子どもが石を積むと、鬼が来て積んだ石を崩して去ります。また一から石を積み直していると、また鬼が来て崩してしまいます...延々とそうした作業が続きます。でも、繰り返しやっていれば、鬼も根負けしてあきらめて来なくなります。そうしたら勉強が楽しくなりますよ。
ようするに、得点が50点以上の生徒を10人教える以上の手間が低学力の生徒一人にかかります。生徒が覚え、計算規則や文章題の読み方解き方を身に着けるまで、何度も、何度も繰り返し教えるしかないのです。根気の勝負です、あきらめたら生徒を放り出すことになります。数学の文章題は日本語で書かれていますから、音読指導で読書力をアップしなければどうにもならない場合もあります。文章題に使われている漢字が読めないというのはときどきあります。「周り」を「しゅうり」、「用いて」を「よういて」と読んで「意味わからない?」というように。読書習慣のない生徒が半数はいますから、なかなか手ごわいのです。どうして6年間も7年間も、家庭も学校も放っておいたのだろうと思います。ここまでくると「治療」がとってもむずかしくなっているのです。
<提案:現状を打開するために>
この中学校も習熟度別編成ですが、得点10点以下の生徒35.4%にはまるっきり効果なしですよ。何年も習熟度別クラス編成で指導してきた結果がこれですから。
やり方変えてください。たとえば、
●学力テストで数学20点以下の生徒は放課後40分補習へ強制参加
●成績上位の生徒5名にお手伝いをお願いする
成績上位10名からボランティアで5名、指導の補助をしてもらいましょう。先生たちだけで間に合うはずがありませんからね。補習期間は「毎日×1か月」、これぐらい徹底してください。
小学4年生の時に鶴木俊介先生が新卒で花咲小学校へ赴任してきて、担任となりました。「今日の算数わからなかった人は残れ!」と言って、少数や分数の四則計算は頻繁に放課後補習してくれました。計算のできる生徒が数人つきあって、手分けして教えてました。だから、少数や分数の計算のできない生徒は今よりもずっと少なかった。ああいう光景はいまの花咲小学校にはないのかもしれません。中学生の学力テストの得点分布を見るたびにそう思います。
<30点以下の生徒たちの未来は?>
数学の得点が30点以下は45人(45.5%)いますが、この階層の生徒は高校を卒業して、どこへ進学しようが、ほとんどの生徒が非正規雇用となるでしょう。中学校で数学が30点以下の生徒でも合格できる大学は少なくありません。ボーダーフリーと言われている大学です。偏差値40(成績下位16%)でも合格できます。でも、そういう大学を卒業しても、正規雇用の職にはほとんどの人が就けないでしょうね。正規雇用だとブラック企業がまっています。
非正規雇用の年収120-200万円です。30歳になっても所得は上がりません。男なら結婚できる年収を稼ぐことが困難です。
女子は銀行ローンの奨学金を利用してボーダーフリーの大学への進学はあきらめましょう。看護学校への進学が条件がいいと思います、根室市の奨学金10万円/月を借りて進学しましょう。卒業したら、市立根室病院へ就職できるので、奨学金という名の借金返済のために風俗産業で働くなんてことはしなくて済みます。
中学校で数学が30点以下の生徒は社会人になってから正規雇用に就くことは著しく困難です。悲しいことですが、奨学金を返済するために、大学卒業後に風俗産業で働くことを余儀なくされている人が増えています。
こういうことを回避するためには、銀行ローンでの奨学金でボーダーフリーの大学への進学をあきらめるか、偏差値50以上(平均以上の学力)の大学へ合格するために、いまとことん勉強するか、二者択一です。
自分の将来はいつでも自分が決めています。いまスマホで何時間も時間を潰し、本も読まず、勉強しないで、部活三昧や遊び惚けていると、苦労は未来でしっかりまっています。自分が日々そういう選択をしているのです。「文武両道」を心がけましょう。部活が忙しいからと勉学の手を抜くことがあってはならないのです。抜けばどうなるか?
30歳になった時を想像してください。たとえば、看護専門学校へ進学して、国家試験に合格し、正看護師になって、市立根室病院へ就職すれば、初任給21万円です。2年目からは夜勤手当もつきますから年収350万円はカタいところです。30歳になるころには450万円前後の年収です。それに比べて非正規雇用の同期は年収200万円以下、しかもいつクビになるかもしれないという、不安の中で仕事をすることになります。年収で200万円以上の差がついてしまいます。
どういう道を選択するかは、小中高生の時代に、自分が決めているのです。正規雇用の職で、生活をエンジョイできる年収が欲しければ、いまとことん勉強するのが一番簡単な方法ですよ。
<学力と年収>
わたしは根室高校で日商簿記1級と珠算能力検定1級と計算実務検定1級を揃えて卒業して地元の銀行支店で仕事して公認会計士の資格を取るつもりでした。3年生の春に担任の冨岡良夫先生にそう告げると、「都市銀行は他に行きたい者がクラスにいるので譲れ、生徒会もやっているのだから学校推薦するから日銀釧路支店を受けろ」と言われて、都市銀行を受けそこないました。日銀釧路支店に就職して高卒で、一生年下の大卒に使われるなんてまっぴらごめんです。生徒会では会計、予算編成から決算まで一人でやっていました。2年生のときには根室商業の伝統が残っていた「丸坊主」の校則改正をやってます。春休みの2週間で工業簿記の問題集1冊をやり終えてから新学期の工業簿記の授業が始まりましたが、工業簿記担当の白方先生は2年生の時に神戸商科大を受験しろと薦めてくれましたが、大学進学のつもりはない、就職して独力で公認会計士の資格をとるつもりと答えました。神戸商科大は兵庫県立でレベルが高かった。その時はもう二次試験参考書で公認会計士の受験勉強を始めていました。何が幸いするかわからないものです、冨岡先生が都市銀行就職に反対してくれなかったら、大学への道はなかったと思います。泉下の冨岡先生に感謝しています。
経済の高度成長でお店(ビリヤード店と居酒屋そして後に焼き肉店『酒悦』)がずいぶん流行りました。売上も増えていたので高校3年の12月にオヤジに相談したら、大学進学OKの返事がありました。小学生の時から高校卒業まで毎日ビリヤード店を手伝っていました。運命の糸車がひょんなことから回って、東京の大学と大学院を卒業できました。経済学で研究テーマがあって、考えるところがあり、業種を変えて何度も転職を繰り返しました。マルクスの労働概念に違和感があったからです。業種を変えて仕事して、マルクスの労働概念を覆そうと思っていました。大学に残ったのではわかるはずもないと感じていました。臨床検査最大手のSRL(東証1部上場企業)が一番長くて16年間でした。
52歳で古里へ戻ってきましたが、サラリーマン時代に年収の一番多かったときは1800万円です。中高の時代にとことん勉強したからです。なんども転職できたのも、学力とマネジメント・センスのお陰です。ここでいう学力は受験学力ではありません。しっかりした基礎学力です。「読み・書き・計算」能力のことです、ようするに国語と数学の力です。それがあればさまざまな専門知識を本を読むことで独力で獲得できます。複数の必要な分野の専門知識と技術があればそれが必要な複雑で高度な仕事が回ってきて経験を蓄積できます。そういう環境に身を置き続けることで、仕事を通じて考え抜く力が研ぎ澄まされます。
そこそこの年収で生活したかったら、中高時代、たったの6年間だけトコトン勉強してみてください。わずか6年間の努力で、その後の数十年間、生活をエンジョイできる収入がえられます。
<まとめ>
数学得点分布は中1も似たようなものです。つまり、3年間そのままだということ。習熟度別クラス編成だけでは低学力の生徒は救えないということをデータが示しています。担当の先生、そして校長先生、やり方を変えて、生徒たちを救ってあげてください。
中3だけの問題ではないので、中1の学力テストの得点分布表を貼り付けておきます。
1年生は得点30点以下が48人(52.2%)です。3年生は45人(45.5%)ですから、1年生の方が心配ですね。
2年生のデータです。30点以下は36人(38.3% 総数94人)になります。平均点が高いのは学力上位層が厚いからですね。90点以上が12人(12.8%)もいます。そして30点以下が一番少ない。分布は横一色線に近い。両端が多くなっています。どうしてこんな分布になってしまったのでしょう?原因が何かありそうです。こういう分布では習熟度別クラス編成でないと教えられませんね。
PTAのみなさんも、データに基づいて、学校の先生たちと話し合ってください。何とかしないといけませんよ。
わたしは光洋中学の1期生です。根室中学が光洋中学と柏陵中学校に分かれたた時に、光洋中学校の新入生でした。同じ学年は10クラス生徒数は550人でした。全校生徒数1500人のマンモス校でした。
このような学力の現状をみるのはつらい。小さな塾一つでは救える生徒は数人のみ。学校の先生も協力してください。
<境界知能のこどもたちは15%存在する:児童精神科医宮口幸治>
●子どもたちの中には、「発達障害」や「知的障害」と診断はされていないが、やる気がなかったり、不適切な行動を起こしてしまったりする子どもたちがいます。このような子どもたちの背景には、どのようなことが考えられるのでしょうか?
「勉強が苦手」「やる気が出ない」といった子どもたちの中には、IQ70未満の知的障害には該当しないものの、IQ70~84で何らかの支援が必要とされる「境界知能」や、はっきりとした原因はわかりにくいけれど、何かしらの課題を抱える「グレーゾーン」に位置付けられる子どもたちがいます。
こうした子どもたちは、本来、一定の支援が必要であるにもかかわらず、教育現場や家庭で見過ごされがちで、「しんどさ」を抱えながら生活していることが少なくありません。
●なぜ、「しんどさ」を抱えているにもかかわらず、適切な支援がなされていないのでしょうか。
境界知能やグレーゾーンとよばれる子どもたちは、「発達障害」や「知的障害」というはっきりとした診断があるわけではありません。そのため、問題や課題が周囲に気づかれにくい、または、気づかれたとしても、本人のやる気のなさや努力不足、としてとらえられてしまうことが多いです。
例えば、この境界知能に該当する人は、定義上全人口の約14%います。つまり、1クラスの人数が35人の場合、約5人が境界知能に該当するという計算になります。境界知能の子どもだけでも、これだけの子どもたちが、何らかの支援を必要としているにもかかわらず、現在は診断がないために特別な支援の対象とはなっていません。
ちなみに、「IQ70未満」という知的障害の定義は1970年代以降のものです。1950年代の一時期は知的障害は「IQ85未満」とされていました。しかし、IQ85未満では知的障害のある人が全人口の16%もいることになり、これでは人数が多すぎて支援が追いつかないということで、知的障害の定義がIQ70未満に引き下げられたという経緯があります。しかし、定義は変わろうとも、IQ70〜84の人たちが知的障害のある人と同様の、もしくはそれに近い「しんどさ」を抱えているのはまぎれもない事実です。
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#4623-3 低学力層にかかわる問題:深刻です Oct. 4, 2021 [65.b 成績下位層にかかわる問題]
ソネットブログの1ページの用量を超えてしまったようなので、三つに分割しました。7000文字を超えるとオーバーフローを起こすようです。アップしたとたんに、データが半分くらい消えてしまっていました。昔は警告が表示されましたが、いまは警告なしに自動的にカットされてしまいます。長いブログは書くなということか。(笑)
それで前回からの続き、3つ目、最終回です。
<下位30%の低学力層にかかわる問題>
高学力の生徒よりはそうではない生徒の方が多いのはあたりまえです。低学力の生徒がどういう問題を抱え、教える側や保護者はどのようにしたらいいのか、参考になれば幸いです。
市内のA中学校の得点分布データを先に示しておきます。1年生は9/8日の学力テスト、3年生は9/15日の学力テスト総合Aです。どちらも満点は100点です。
1年生20点以下⇒ 33人/92人(35.9%) 10点以下13人(14.1%)
2年生20点以下⇒ 20人/94人(21.3%)10点以下12人(12.8%)
3年生20点以下⇒ 36人/99人(36.4%) 10点以下16人(16.2%)
20点以下の生徒は、独力で勉強できません。誰かがそばについていて、つきっきりで教えてやらないと勉強できないのです。そういう学力レベルが20点以下なのです。10点以下はもうお話にならない。全員逆九九がすらすら言えないでしょう。中1でこういう状態の生徒は中2になっても中3になっても50点なんて獲れません。自力では無理なのです。びっちりついて教えてやれば3人に一人ぐらいは50点以上取れるようにはなりますが、大変な手間がかかるんです。成績上位の生徒を同時に10人個別指導するぐらい手間がかかります。小学校6年間かけて、深く考えない、本を読まない、家で勉強しないということが習慣どころか、性格にまでなっているので、1年間で何とかなるのは10人に一人くらいですよ。数学のテストが十数点だった生徒が、1年後に女子で2番をキープするようになった例が一人だけいました。毎日塾へ来て、数学の教科書を開き、予習、独力でわかるわけもないので、質問攻めでした。かかりっきりになるわけにいかないですから。生徒数の少ない時にしかやれません。
何がどのように手間がかかるのか説明します。
前置きはそれくらいにして、成績下位層の生徒の話をします。家庭での学習習慣なし、読書習慣なし。語彙力が貧弱。九九はできると本人の弁。しかし、逆九九を言わせたら、何度もつかえ、しばしば出て来なかったり間違えます。7と4の段が入れ替わります。
「しちしちしじゅうく、しちろくしじゅうに、しちごさんじゅうご、ししちにじゅはち、しさんじゅうに、しにがはち...」
「しち」と「し」は言いづらいから、ここのように途中でひっくり返る生徒が中1年生で1割以上いますよ。皆さん「九九はできます」と言いますが、学力の低い生徒で逆九九が口からすらすら出てきたのを見たことはありません。逆九九がすらすら出てこない生徒は割り算に標準的な生徒の3倍以上かかります。そもそも逆九九を教えない小学校の先生が半数くらいはいそうです。中2にも中3にも逆九九がすらすら言えない生徒が同じ比率で存在しています。低学力層のためにセイフティネットがないからそのまま3年生になり、定員割れしている根室高校へ入学していきます。根室高校普通科の1/3ほどがそういう低学力層です。1/3もいますから、こういう生徒はめずらしくないのです。根室高校の先生たちは学力差があまりにも大きいのと、低学力層が1/3もいるので困っているでしょう。
この生徒は九九からやり直しですが、他の生徒のいる前ではやりません。自尊心がありますからね。口のトレーニングですから、やればすぐによくなります。
こういう低学力の生徒は家庭での学習習慣がないから、記憶エリアが未発達で、暗記がとっても苦手です。低学年ではお母さんの役割がだいじです。一緒に本を読んであげたり、九九の練習を一緒にしてあげるだけでも効果が大きいのですよ。低学年でそういうかかわりがなかった生徒は、脳の短期記憶エリアが未発達のままになっています。脳の記憶エリアが小学校低学年のままなのです。だから短期記憶エリアの拡張トレーニングが必要です。音読や時間を測ってやる計算問題トレーニングが必要です。斉藤孝著『読書力』を交替で音読する。でてきた文章を5回読んで、諳(そら)んじる。たとえば「エネルギーをめぐる世界の潮流は急激な変化の中にある」を5回音読したら、目を閉じて諳んじる、というように。英語の文章も「There are three parks near here.」を10回音読して、3回諳んじ、ついで3回書かせる、という風に。個別指導にならざるを得ないので、部活を停止して学校が終わったら、4時に来てもらって、毎日3か月間ほどトレーニングするのがいいのです。でも、部活を休める生徒は少ない。だから、実際にはなかなか救えないのです。
保護者と先生たちは勉強とブカツとどっちが大切なのかしっかり考えてもらいたい。たかが地区大会での成績です、低学力のままでいるのと引き換えなんて、そんな重要性はありませんよ。
短期間の記憶エリアが未発達かどうかは簡単にチェックできます。返却されたテストの点数を聞いてもこういう生徒は思い出せません。記憶エリアが未発達のまま6年間を消費してしまっています。だから、昨日返却されたテストの点数も思い出せない。短期記憶エリアが未発達というのは、脳の記憶機能が認知症の老人と同じだということです。記憶機能障害だと考えるべきです。
どういう症状が起きているのかついでですから書きます。短期記憶エリアが未発達だと、計算規則を教えても何度も同じミスを繰り返します。10分前に間違えたので説明した箇所を、問題が変わればまた同じミスを繰り返していますから、教える方には根気が必要です。10倍以上の手間がかかります、そして勉強時間は増えているのに成果が出ません。1週間たつと忘れています。だから、同じ問題を何度も何度も繰り返してトレーニングしなければなりません。標準の生徒の10倍の手間がかかって、効果は小さい。でも誰かが手をかけてやらないと、そのまま高校生になり卒業。正規雇用の職にはほとんどが就けないでしょうね、非正規雇用で低所得(年収200万円以下)にあえぐことになります。
こういう生徒もなんとかしてやりたい。学校では放置です。2-3割、そういう生徒がいて、テストの結果を見て先生たちは気づいているはずですが、部活指導には熱心でもこういう手間のかかる生徒に救いの手は伸びてきません。保護者は学校の先生に何とかしてほしいと言っていいのですよ。生徒も勉強嫌い、保護者もクレームを言わぬ、先生たちも手間がかかるので逃げる。校長もわかってはいるが、やるのはたいへんなので見て見ぬふりをする。放課後補習の教員確保と低学力の生徒を集めて補習へ出席させるために部活の半分停止くらいの措置が必要になりますからね。だから手を触れません。問題に目を瞑り部活をやらせていたほうがずっと楽です。教員になったときにはもっと夢があったはずですが、あの情熱はどこへ置いてきちゃったのでしょう?
学校の先生は手間のかかることが嫌いなようです。「朝読書」にそれが象徴的に現れています。音読させてみたらすぐに読めていないことがわかります。でもそれはとっても手間がかかるのでやりません。1クラス25人に音読指導するには一斉音読しかありません。試しに20分間一斉音読をしてみたらいい。わたしは15年間ほどニムオロ塾で新書を2冊(斉藤孝『読書力』、藤原正彦『国家の品格』)を使って音読指導をしたことがあります。一斉音読ではなくて輪読主体でした。一人一人がどれくらい読めているのか確認しなければならないのでそうしていました。正しいトレーニングをすれば、生徒の語彙力は飛躍的に伸びるし、読書力も大きく成長します。
低学力の生徒を救済するのは学校長のマネジメントの問題ですよ。ふだんの学力テストの結果を見ない根室市教委も同罪です。18年間見てきましたが、こういうところへは具体策がありません。ああ、計算問題集「カルク」を作成して配布したことがありました。現場を知らぬ政策、大失策でした。問題集を配って学力がアップするならこんなに便利なことがありません。学校の先生たちが手間暇かけてやらなきゃ、低学力層の生徒たちは救いだせないのです。
何人も教育長が変わり、任期が終了する都度、根室から去っていきました。もう、道の教育局からはいらないのでは?釧路市(岡部義孝教育長)も別海町も自前で教育長にふさわしい人を任命しています別海町の前教育長は眞籠さんでした。別海中央中学校の青坂校長と二人三脚、学力アップに貢献しています。いまでは根室の市街化地域の中学校よりも別海町の方がずっと学力が高い。
わたしの知っているだけでも、根室には教育長にしたい元校長が数名いらっしゃいます。人材はいるのです。青坂さんは厚床の校長をしばらくしてました。根室は地元で有能な人が出ると煙たがります。そして外部から、口先だけの能力のない者を連れてくる。わが古里ながら阿呆です。
(釧路教育長の岡部さんの議会答弁が面白いので、青字の部分をクリックしてください。釧路新聞の記事を取り上げています。この教育長は釧路の子どもたちの基礎学力を本気でアップするつもりですよ。生粋の釧路っ子、元市役所職員です。『釧路の教育を考える会』の角田会長も元釧路市役所職員⇒経済部長⇒教育長でした。釧路江南高校⇒北大の生粋の釧路っ子です。)
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#4595 雨降って地固まる? July 30, 2021 [65.b 成績下位層にかかわる問題]
一般論であるが、小学校から少年団活動(部活を小学校ではそう呼んでいる)に熱心で、家庭学習習慣をつけられなかったケースがときどきある、その割合は中学校で部活をやっている生徒5人に2人くらい。この層を何とかしたら、根室管内で最低の根室の中学生の学力の底上げができる。
中学生になるとそこそこ上手なら道内の私立高校のスカウトから声がかかる。そうすると有頂天になって、プロになれるなんて勘違いをする者も中には出てくるが、スカウトにすれば50人に声かけて半数も集められたら十分で、そのうち2/3は捨て駒である。レギュラーになれるのは3人に一人でいい。
たとえば、道内のある高校で部員が80人を越えている部がある。しかし選手登録は25人、ベンチ入りできるのは20人、5人はスタンドで応援。根室から強豪校へ進学していった生徒たちでレギュラー選手になれるのはサッカーや野球の場合は半数以下である。もちろんプロへの道はもっともっと険しい。
文武両道でなければ高校卒業したあと生活していけないと嫌な勉強も嫌々ながらもしていたのが、強豪校へ推薦で入学できる可能性が見えてくると本格的に勉強が嫌になる。たとえ妄想であっても本人の眼には「プロへの道」が見えてしまうからだ。
プロで通用するくらいの選手は中学ですでに群を抜いているし、トレーニングの仕方も自分の考えをもってやっているケースが多い。
一流のプロは子どものころから特別なトレーニングをしている。具体例を挙げると、スリークッション世界チャンピオンの小林先生はビリヤード店の息子、どんなトレーニングをしたか知らないが、理論面ではたくさんの検討を積み重ねている。どうやればいいか迷うボールの配置を図面を書いてもっていくと、プロの技を解説してくれる。セミプロ用の教本を書いてくれませんかと問うと、誤解して文句を言う読者が出てくるので面倒だとおっしゃってました。その代わり、図面を書いてもっていくと、下手くそな私にも丁寧にプロの技を説明してくれます。
アーティステックビリヤードで世界銀の町田正さんの実家のビリヤード店(八王子市)には、素振り用鉄製のキュウとマッセ練習用の1辺が80㎝の正方形のミニ台があった。マッセはキュウを首に当てて垂直に立てて球を上から撞くので、数百回も練習するとラシャ(石のスレートの上に張ってある緑色の生地)が圧力と摩擦で穴が空いてしまう。だから頻繁にラシャを取り換えられるようにミニの台をあつらえたのだろう。息子にそこまで練習させたお父さんの執念を感じた。まるで『巨人の星』の父親星一徹である。「シルクハット」というマッセの大技をできるのは世界で町田正さんだけだが、そういう道具でトレーニングを積んだからこそできる技だ。あれを見てビリヤードのプロにならなくてよかったと思った。かなわない。もっとも、十代でプロになっていたら、その後はトレーニングメニューの工夫もしただろうし、理論面での研鑽も積み重ねただろうから、そこそこ戦えたとは思う。当時(1960年代)はビリヤードのプロは飯が食えない時代、それを知っていて、それでもプロになるという覚悟はわたしにはなかった。無謀さも必要条件なのである。
6年ほど前に、高校進学せずにブラジルへいってサッカーしたいという中学生がいた。
「ブラジルはポルトガル語だよ、英語が大嫌いじゃなかったっけ?」
「やめた」
とあっさりあきらめた。「腹減った、何か食べたい」、日常会話なんて語彙が少ないから何とでもなる。ポルトガル語だってへっちゃらだと言い切れたら、大丈夫だろうと思って試したのに覚悟がなかった。簡単に折れた。あれではブラジルに行って何か困難にぶつかったらひとたまりもない。プロになるには才能とこの道で喰っていくという覚悟が要る。
(根室高校の同級生に神田たけしという劇画家がいるが、彼は高3の夏休みが終わってから、根室高校を中退して『ゴルゴ13』のサイトウタカオ先生の所へ赴き弟子にしてもらった。斉藤先生のもとで3年修行してから独立している。絵が好きで上手な友人Tがいたが、神田のような覚悟はなかった。プロになって50年、昨年彼の作品展が根室市文化会館で開かれたが、飾られていた原画は駆け出しのころとはまるで違っていた。風格のあるすばらしい絵が並んでいた。アマチュアとは描いた絵の枚数が比較にならない。技は五十年間磨かれていたのだ。)
ゴールキーパーだったが中学時代は頭を使わないプレーをしていたので、ボールをキャッチすると蹴っ飛ばして敵へボールが渡る。自分がボールをキャッチしようと意識をボールに集中したとたんに味方の配置が変わるのが見えないそして読めなくなる。ボールをキャッチする直前に味方のいた方向に蹴るが、そこには敵のプレーヤーがいる。結局敵側にボールが渡って、数回そんなことを繰り返すうちの点を入れられてしまっていた。サッカーだって一流選手は頭を使ってプレーしている。頭を使わないやつは一流のプレーヤーにはなれない。その点だけはわたしにはわかる。
高校へ入ってからは「名ゴールキーパー」だと噂されるようになった。頭を使ったプレーができるようになったのだ。ゴールキーパーはチビには無理だが、身長も伸びた。大学サッカーをやりたいと言っていたが、自分の望みをかなえて、レギュラー選手になって活躍している。
件(くだん)の生徒は先週は、面白くない顔して勉強していたが、「勉強したくないんだろう?」と尋ねたら「勉強なんてしたくない」とはっきり。嫌で嫌でしょうがないという顔をしていた。8月は毎週水曜日に中3の英語音読・読解トレーニングを予定している。任意参加の補習の特訓である。無理に出席させたら、勉強嫌いにますますなるし、本気でやろうとしている他の7名の生徒の迷惑になる。
お母さんに話してしばらく休塾するように説得してあげると伝えてあった。
ところが、昨日塾へ来たらニコニコして、勉強を始めた。
「勉強いやだっていったよな、だからお母さんに休塾するように話してあげるって」
「先生、勉強する、先週はほんとうに勉強するのが嫌だった、だけど勉強しなかったら高校卒業してから困る」
「おいおい、あと1時間でお母さん来るよ、俺はどうすりゃいいんだ?」
「いや、父さんが来るって言ってた」
「じゃあ、8月は水曜日休まずちゃんと英語の特訓授業に来るか?本気でやらないとモノにならない。1回でも休んだら即休塾だ」
「やります!」
「日本語音読の方は読めなかった漢字を10回書き取りして来いと言ったが、一度もやって来ない、これもちゃんとやるか?」
「やります」
「じゃあ、じゃあ執行猶予だ、8月は様子見することにする」
そのあとお父さんが来られたので、そのまま伝えた。気分にムラのあること、先週はやる気をなくしていたこと、全部ご存じだった。この2か月間は勉強したくないから、1時間もしたら勉強やめて暇つぶして、1時間10分ほどで帰っていた、何度言っても改まらなかった。6月からの記録を見せて説明した。ちゃらんぽらんなところがあり、性格はなかなか治るものではない。約束したことを一つ一つやらせるうちにちゃんとしてくるので、1か月様子を見ましょうということで話がついた。
本当に手間のかかる生徒だが、あんなに嫌がっていたのが、ころっと今週は変わっていて、ニコニコして「勉強する!」っていう。わがままだが、メンコイところがあるのも事実。
バカッタレ!しっかり勉強するぞ。
このやり取りを聞いていた今週入塾したばかりの中3の生徒が、乱暴なやり取りに吃驚したのか、「先生トイレに行ってきます」と2度。
8月の英語特訓受講者の枠は7名、一人空きができないと君の分はないので、金曜日に空きができたか否かがわかると伝えてあった。机を一つ増設して8人編成の授業をやることに決めた。ああ、暑くてなかなかたいへんな夏になったな。2時間ぶっ通しの音読授業は声を出すだけで大きなエネルギーを要求する。手を抜かずにやり通せたらうれしい。(笑)
<余談:原因不明の中3生徒増加>
5月から来ている中3が2人いる。一人は週に3日来て熱心に勉強していたら、学年順位が53番もアップしてしてしまった。数日置いて来た同じ部活の生徒も7番アップ、9月の期末テストでは二人ともさらに順位がアップしそうだ。やる気を出して頑張る生徒の学力の伸びは予測できない。とんでもなくアップすることがあるからだ。
どういうわけか今年は中3の生徒がばらばら入塾してくる。先週と今週、また塾生が増えた。しばらく募集停止を考えていたのだが、それぞれ事情があるので引き受けた。高3の大学受験生と新規の中3が入れ替わったようなもの。昨年は8割が高校生だった。水曜日の中3の2時間連続英語音読特訓授業は定員7人だが、8人でやることにした。9人は「物理的」に無理。
勉強しなくても根室高校へは全員が入学できるから、中学生の通塾は根室西高校廃校に伴う、高校統合後に激減していた。勉強せずとも定員割れしている根室高校普通科へ全員合格できるのに、中3生が増えるのは、根室高校普通科「特設コース」以外では偏差値50以上の大学進学が不可能だという生徒や保護者たちの危機感の現れなのかもしれない。
特設コースのクラス(40人)だけが以前の根室高校普通科の平均的な学力層である。特設コース以外からは偏差値50以上の大学へ入学はすでに不可能であることが明らか。
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