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#5025 音読と間のとりかた:小学生から音読スキルの育成 Jul. 28, 2023 [47.1 読み]

 「読み・書き・そろばん(計算)」が学力を支える基本スキルであることは誰でも知っていますが、どうやってその技能を育むかについては、これだというやりかたはなさそうに思います。
 古里へ戻って20年間小さな私塾を営む傍ら、コンピュータゲームやスマホ時代の生徒達の日本語読解能力が低いことに驚き、語彙を拡張し音読スキルを身につけさせるために、日本語音読指導を授業の前に20分間ほどしていました。
 小学校高学年の生徒が少し、ほとんどが中高生でした。

 音読速度が遅い生徒は、書いてある言葉を自分が日常使う語彙に読み替えることがよくあります。「てにをは」ようするに助詞を間違えて読むこともよくあります。「わたし食べた」と「わたし食べた」「わたし食べた」「わたし食べた」では意味が違ってきます。「先読み」できずに、意味を確認しないで読んでいるうちはよくおこる現象です。
 数学の文章題が苦手な生徒は、文章を素早く正確に読めない者が多いのです。一気に読まないと、問題文全体が頭の中に入ってこないので、意味がつかめないのです。
 文書読解力は知っている語彙の大きさや音読速度と強い正の相関関係があります。

 まずは、書いてある通りに読むこと、そして、息継ぎを先生がやる通りに真似ることが大切です。小学校低学年で、本を読ませてスラスラ読めない生徒は息継ぎが問題であるケースがあります。その場合には、先生が示すお手本通りに息継ぎして読み、日本語のリズムと息継ぎに慣れることから始めたらよいと思います。もちろん、家庭でお母さんやお父さんがやってあげてもいいのです。学校の先生たちは助かると思います。息継ぎがうまくいっていない生徒の読み方の矯正はなかなか手間がかかりますのでね。

 世の中にはたくさんの本があるので、いいと思ったものを音読テキストにすればいいのです。
 たとえば、永井荷風に『震災』というタイトルの文章があります。文のキレとリズムがいいので小学3・4年生でも大丈夫です。

 コピーして貼り付けができないので、後で投稿欄に張り付けます。次の青字をクリックしていただくと、全文が載ったサイトへジャンプします。
 *永井荷風『震災』

 冒頭の「今の世のわかき人々」は「今の世の・わかき人々」と間を入れると読みやすいと同時に聞き取りやすい音読になります。
 2行目の「われにな問ひそ今の世と」は「われに・な問ひそ・今の世と」と読むとやはり読みやすく、意味を受け取りやすくなります。この短い間をとりはらうと、意味が聞き取りにくくなります。「な…そ」は「わたしには問うな」という否定の句ですが、間を取り払うと、聞き手はどこで区切って意味をつかんだらよいのか迷います。迷っているうちに次の句へ移ってしまうので、意味がつかめなくなります。英語の音読でも同じです。チャンクごとに間を入れると、聞きやすくなります。
 この永井荷風の文章はルビが振られているなら、音読テクストとして小学3年生から使えますよ、大丈夫です。
 荷風の「震災」は斉藤孝『声に出して読みたい日本語』p.90に総ルビで収載されています。この本は小学生用の音読テキストとして使っていたものです。

 音読は適切なところに間をとって、意味をししっかり把握しながら読むのがよろしい「先読み技術」が身に着くと、適切な間を置きながら読めるようになります
 つまり、初見の文を生徒に音読させて数分聞いているだけで、読解力が判断できます。
*朗読のコツ・読み方のコツとテクニック・練習に便利な道具

 俳優による文学作品の朗読や名人の落語を真似てみたら、そのすごさがわかります。興味があればやってみてください。
 市原悦子さんは癖のある演技の女優ですが、朗読は名人芸です。興味がわいたら、じっくり味わってください。
*宮沢賢治『風の又三郎』:朗読市原悦子

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫
 芥川龍之介『蜘蛛の糸』はユーチューブ動画でたくさんの人が朗読しています。短編ですから、ご自分で検索して、いいと思うものを聴いてください。

*詩の朗読 「間」の余韻を楽しんでください
 吉原幸子本人朗読「雨なのに」



 ここまで書いてきて、江戸時代の「論語の素読」がいかに優れた読みの技術の育成であったかが理解できます。
 塾長が読む通りに生徒たちは大きな声で朗誦します。それを繰り返して、息継ぎも論語のリズムも体に沁みこませていきました。江戸時代には全国に2万の寺子屋がありました。そこに通うのは、早い者で5歳から、通常は7-8歳から通いましたから、論語の素読をそういう年齢でやっていたわけです。気がついてみると、20年間やり続けたのは寺子屋の論語の素読と同じことでした。語彙レベルの異なるあるいは分野の異なる17冊の本を選んで朗読、輪読、シャドゥイング指導してました。
 現在の小学校と江戸時代の寺子屋の日本語読解力トレーニング法を比べると、著しく劣化したことがわかります。読んでいるテクストの内容の劣化と指導方法の劣化の両方が進んでいることは事実です。簡単なことなのに文科省も学校の先生たちからも、声が上がらないのはとっても不思議です。小学3年生くらいまでは、社会や理科は要らないから、国語の音読指導に週2時間ほど当てたら日本の子どもたちの学力レベルがうんとアップするのではないかと思います。

<余談:モーニングショーなどのキャスター>
 テレビを見ていると、間を置かずにべらべら喋るキャスターがときどきいます。何を言っているのか聞きずらいのは言うまでもありませんが、言っている中身はもっとひどい。思い付きをそのまま喋っているだけのことが多いのです。
 玉川さんというキャスターがいますが、あの人は間を取りながら話します。彼は話の前提条件自体に切り込むことがよくあります。たとえば、マイナカードの問題なら、そもそもその必要があるのかということを英国やドイツの例を引きながら、本質論へと議論の方向を変えていきます。いま話題のビッグモーターなら自動車修理工場が保険代理店を兼業することや、特定の保険会社から34人もの出向者を受け入れることの理由や是非を問いますが、これも本質論です。創業社長が記者会見で、不正請求を経営陣はまったく知らなかったと断言しましたが、それに対して、そもそも独裁的なオーナー経営で現場の工場長が独断で不正行為を働くなんてことが頻繁にありうるのかという根本的な疑問をすぐに提起します。現象論に終始する早口の他のコメンテーターに比べて際立っています。
 間をとっている瞬間瞬間に話していることを整理しているのでしょう。とても聞きやすく、わかりやすい主張、そして発話の仕方です。

 中高生のみなさんや専門学校生や大学生のみなさんは、適切な「間」をとって話すことを心がけてください。社内会議やお客様のところへ出かけて、立て板に水のような話し方をすると、信頼を失います。わたしが勤務していた東証一部上場企業には、饒舌だが話がどこに飛んでいくのかさっぱりわからない役付役員がいました。もちろん、数年でいなくなっています。長く役員をしていた人が有能であるとも限りません。人間は、何か自分に不都合なことを隠して話すときに、早口になります

 SRL創業社長の藤田光一郎さんが間の取り方の名人でした。俳優にしたいくらい、交渉事の時に間をとってグーンと圧力をかけます。JAFCO本社に出向していた東北の会社のことで交渉事があり、同行して勉強させてもらいました。光一郎さん、交渉事のやり方を見せておきたかったんです。寡黙なのです、ポツンと一言いって、間が空くんです。圧力が増すのが目に見えるようでした。JAFCOの役員が焦っていました。最初から最後まで見事な演技でした。現役社長で東証1部へ業種の異なる会社を2社初めて上場を成し遂げた人でしたから、JAFCO側の扱いが違いました。交渉が終わって、「お車はどちららへ?前に回すように手配しますから」、「いえ、電車できましたので、浜松町まで歩いて山手線で帰ります」、そう告げると、「ebisuさん、東証1部上場企業の社長ですからセキュリティ上問題ですよ」そう小声で囁かれました。当時のJAFCO社長は根室市立光洋中学校で隣のクラスだった伊藤君でしたね。セキュリティ上の問題があるということで、同窓会名簿にも住所を載せていませんでした。野村證券は不祥事で2回役員が総退陣してますから、彼は運がよかった。もう少し早く出世していたら、野村證券の役員として首を切られていたところです。運が強かったのでしょう。JAFCOは野村証券の上場支援事業分野の子会社です。

 音読トレーニングのときに、適切な間を置いてやるように心がけたらいいのです。数年間音読トレーニングを積めば、対話の時にかならずそれが出てきます。沁みだすように出てきます

<余談-2:精確に速く読むメリット>
 中高生になったら、予習して授業を聞くと、理解が深くなることは誰にでもわかる自明なことですが、そのときに重要なのが音読の速度と精確性です。標準の2倍の速度と2倍の精確度で読めたら、半分以下の時間でより深い予習ができます。
 習っている分野で興味を惹かれるものがあれば、関連する本を自分で探して、短時間で読み切れます。音読が速い生徒は、理解も速いのです。中高生は時間が24時間しかありませんが、読書速度が標準の2倍あるいは3倍の生徒は、一日の時間が32時間あるいは48時間にできます。(笑)
 よいテクストをたくさんインプットする(読む)人はアウトプット(作文)の品質もよくなります。たくさんの語彙の使い方を文章を読むことで知るからでしょう。意識すれば文体を真似ることもできます。永井荷風の文体はしばしば主語につく助詞が省略されます。意味が通じるぎりぎりのところまで余分なものを削いだ文章に推敲すればいいのです。
 読んでいるときに著者の文体が気になるようになりますが、それも読書の楽しみです。
 


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声に出して読みたい日本語

声に出して読みたい日本語

  • 作者: 斎藤 孝
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2001/09/12
  • メディア: 単行本



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#4305 英単語語彙力アップは多読から:NHKニュースで英語術 Aug. 08, 2020 [47.1 読み]

 ニムオロ塾は来週1週間夏休みです。10時18.3度、北風7m/sです。日本で一番涼しい夏ですから、受験生のみなさん、毎日8時間は勉強してください。頭が爆発しそうになるくらいぶっとうし集中してください。車なら、アクセルペダルを車の底が抜けるくらい思いっきり踏み込むようなもの、ドライブなら危険ですが、頭は使えば使うほどよくなりますよ、ホント。ひょっとして脳は筋肉でできているのかも。

 英単語の暗記は高校生ならほとんどの人が毎日コツコツやっていますね。スマホ利用のアプリで毎日やるのが飽きないようです。
 今回は英語の進研模試全国偏差値70以上の人や大学生向きの方法をとりあげます。

 語彙拡張には多読が効果が大きい。
 NHKの「ニュースで英語術」が優れものです。月~金曜日、週5日間毎日5分間放送しています。英文のスクリプトとその翻訳そして一文ごとの詳細な解説がオープンされているので、クリックしてみてください。
 毎回150語程度ですから、1年間で、ハラリの’Sapiens'換算で110頁ほどの分量です、たいした分量ではありませんね。しかしニュース英語ですから、分野はさまざま、当然語彙が広く数も多くなります。根室高校3年生の英語教科書’Vivid Ⅲ’が4500語程度ですから、8年分に相当します。それくらいは消化すれば進研模試英語偏差値は80に届くでしょう。
 音読教材としてもリスニング教材としてもすぐれもの、ノーマル・スピードですから、そしてときどき速くなります、速い箇所は「A-B間リピート」機能で繰り返し真似ましょう。リエゾン、音の脱落、強弱、繰り返し聞けば聞くほど奥が深い。

 慣れてきたら、「和文スクリプト」の方を参考にして、英作文してみたらいかが?その際にわからない箇所は「解説」が参考になります。
 極東の町根室のような田舎に住んでいても、英語だけは都会の進学校の生徒並あるいはそれを超える勉強が工夫次第でできます。


<四段階学習法>
①週に1つだけ選んで(意味を頭に浮かべながら)同調音読してみる
②2-3つに増やす
③5日全部聴いて、同調音読してみる
⑤翻訳文を参考にして英作文してみる


 ①なら偏差値50でもやれそうです。
 どうやってもいいのです、学力に応じて自分が気に入った方法でやってみてください。こんなにすばらしい教材なかなかありません。全部タダ、好い時代になりました。

(ただじゃありませんでした、根室と東京の自宅で2軒分受診料を支払ってます(笑) 東京の方は年に数回行くだけ、住んでいないので半額です。25460×1.5=38190円)


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#4079 日本語音読トレーニング再開 Sep. 8, 2019 [47.1 読み]

 日本語音読トレーニングを再開することにした。三つの理由でニーズが生じた。
理由その1: 夏休み以降入塾した生徒が二人いる。そのうちの一人は進研模試の国語テストの点数が一番低かった。訊いたら苦手だという。入塾のきっかけは得意だったはずの数学の点数が下がったため。問題をやっているときに、問題の読解力が貧弱なことにすぐに気がついた。数学の問題だけなら、読み方に慣れてくれば何とかなるが、国語に問題があると、そうはいかぬ。英語の学力にも響く。たとえば、文に一つわからない単語があるとすると、文全体あるいは前後の文からその単語の意味の推測がつかない。日本語の文でも、意味のわからない漢字や読めない漢字が出てくると、その文全体の意味の推測がつかない。長文読解速度を上げるためにスラッシュリーディング指導をやるがそれが不可能になる。ぶつ切りにしてしまうと、それをつなげて文意を理解できない。文ごとの論理展開の筋も読めないことになる。もちろん、段落読み(段落相互の論理的関係を頭に描きながらの音読)もできない。英語の学力がアップしても、母語に問題があると、すぐに伸びが止まるタイプである。事実その通りの経緯をたどっている。根室は幼児英語に熱心な地域だが、その一方で母語がおろそかになっているケースが多い。母語での読書スキルはすべての教科の学力を支える基礎なのだ。母語の読解力がなければ予習ができないことをあげれば十分だろう。いまや高校生3人に1人がそういう状態にある。
理由その2: 夏休み以降に入塾したもう一人、中3の生徒のほうは国語は平均的な点数だが、やはり数学の文章題の読みに問題があった。基礎計算にも精度と速度の両方で問題があったから簡単な計算問題をやっていた。総合Aまでは毎日来るように伝えたが、数日しても「カルク」が終わったら今度は別の問題集の同じレベルの計算問題をやっている。難易度の高い計算問題や文章題をやろうとしないので、学力テスト総合Aの過去問をやるように指示した。この生徒に理解できるようなレベルの解説をすればやれるようになる。難易度の高めの問題をやらないと学力テストの点数がアップしない。独力では難易度の高い問題が解けないのでやさしい問題へ逃げるのが癖になってしまっているように見えた。進路の希望を訊いたら、救急救命士になりたいので、そちらの専門学校に進学したいという。「救急救命士はかっこういい!」と憧れの目をして云った。看護師と同程度の医学知識が必要とすれば、医学専門書をたくさん読まなければならない。看護専門学校では500頁ほどのA4版の本を3年間で30冊読む。一番必要な能力は、読書力。「音読トレーニング」を木曜日4時からやろうと思うが、来るかと訊いてみた。お母さんが送ってくれないと無理があるので可能かどうか訊いた。来れる、やりたいとの返事。
 学力テストで国語が平均点だと、高校生になったらほとんど予習ができないと判断すべきだ。3人に一人は日本語読解能力が貧弱で、教科書を読んで理解できない。スマホの普及で読書をしなくなっている、そういう時代なのである。
理由その3: 札幌の看護学校進学志望の高3の生徒がいる。やはり国語が苦手で、数英国のうち国語の点数アップに困っていた。センター試験国語問題の過去問を夏休みの間毎日大問にひとつづつやるように言ってあるが、国語の学力が上がっている実感がないという。国語の学力を上げるのは高校受験5教科のうちで一番難しい、そして時間がかかるから1か月でそんな手ごたえがあるわけもない。でも、センター過去問だけでは不十分であるのも事実だ。この生徒が標準的なレベルの読書速度を手に入れたら、20点ほど国語の点数アップができるかもしれない。数学はいまやっている問題集が2周目、ほとんど終わりかけているから問題がなくなってきている。英語か国語のどちらかが20点アップすれば安全圏へ滑り込める。ドキドキハラハラだ。

 4人までなら一度にトレーニングできるので、国語の学力アップに悩む高2の生徒に電話して、音読トレーニングに誘ってみた。「ポケモンゴー」などのネットゲームにずっとはまっていたが、最近あることを契機に、ネットゲームや「二次元の世界」から脱した。人間、きっかけがあれば変われる。この生徒は「熱い鉄」の状態にあるから、「いま」トレーニングすればなんとかなる。1年ほど前に誘ったが、色よい返事はしてくれたが、音読トレーニングに参加しなかった。水を飲みたくない馬を池のそばまで連れて行っても水は飲まぬ。2月の進研模試の結果票を見てこのままではいけないと自覚した。そしてあるきっかけが訪れた。今度は喜んで「参加させてください、お願いします」、別人のようだ。それで、いいのだよ、まっていた。(笑)

 読む速度が遅いと、試験時間内に読んで解答を各時間が足りなくなる。良質の過去問を解いて、解き方に慣れるだけでなく、平均的な速度以下の生徒は読書スピードをアップしなければなんともならない。
 それで、毎週木曜日、4時から40-50分ほど音読トレーニングをすることに決定した。これしかとれる時間帯がないから、学校が終わったらまっすぐに塾に来てもらう。
 使うテクストは、

  斉藤孝著『読書力』岩波新書

 斉藤孝先生、初期のころの著作で、最近出している本に比べて文章が拙いところが散見されるが、中身がいいから、まあ、ご愛嬌だ。斎藤先生、作文の腕をずいぶん上げたことがわかる。
 10回を予定しているが、そのまえに終了できたら、うちどめ。さてどうなるか。

 このトレーニングに効果が大きいことは過去のデータがある。出てきた漢字、熟語で読めないものは10回書き取り、意味の不明な単語は国語辞書を引き、ノートに書く。場合によっては漢和辞典で字義解釈を読む。
 ちゃんとやり切ったら、国語の点数は必ず上がる。期待値は、進研模試で20-30点アップだ。参加しているだけで、家でこうした作業と、音読の反復トレーニングをまったくしなければ、効果はほとんどない。本気でやらないと学力アップができるはずもない。

 合計4人だが、ほかにも数人希望者がいるはず。10回終了したら、また別のメンバーで本を変えて10回程度の「日本語テクスト音読トレーニング」をやろうと思う。ちいさな私塾だから、塾長の判断次第でやれるところが強みだ。
 口を大きく動かし、はじめはゆっくり、だんだん速度アップしていく先読み技術を磨くのが目的並行して、三色ボールペンで線を引かせたい(斉藤孝メソッド)先読み技術を習得できたとたんに高速音読ができるようになると同時に文意の理解が飛躍的に改善できる。音読トレーニングは格闘技のようなもの。かなり体力がいるのだ、もつかな?アハハ。なんとかなるさ。わたしにとってもチャレンジだ。


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読書力 (岩波新書)

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  • 作者: 齋藤 孝
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  • 発売日: 2002/09/20
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語彙力こそが教養である (角川新書)

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#3763 中高生の文章読解力に関する仮説が挙証されていた Jun. 28, 2018 [47.1 読み]

 中学生の文章読解力に関して2014年に弊ブログ#2672「急激な学力低下はなぜ起きているのか?:ある假説 May 10, 2014」で原因を分析しある仮説を提示しておいたが、2016年の国立情報学研究所の調査で挙証されていた。文章読解力の著しい低下は根室だけではなかったのである。全国規模でそしてそれは高校生にも及んでいる。
 この調査では中3の15%が簡単な短文ですら読解困難である。弊ブログ#2672をもう一度お読みいただきたい。文章読解力は音読トレーニングで育てることができる。
 日本語語彙力が拡張するこ期に不十分な量の本しか読まずに過ごせば、思考能力の発達も阻害される。それは中高での学力低下につながっているのではないか
母語の習得期に英語を習わせてはいけない、日本語で考えることを阻害してしまうことがわかっている。思考は言葉(=母語)でやっているから、思考能力の正常な発達が阻害されてしまうのだそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/…/…/201709/CK2017092302000119.html
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中3の15%、短文も理解困難 教科書や新聞で読解力調査

 短い文章から事実を正しく理解する「基礎的読解力」について、国立情報学研究所の新井紀子教授や名古屋大学などのグループが、全国の小中高校生や大学生、社会人らを調べたところ、多くの中学生の読解力に問題があることが分かった。中学卒業までの読解力が将来に影響するという。
 調査では、中学や高校の教科書や、東京新聞などに掲載された記事など数百の題材をもとに問題を作り、コンピューターで無作為に出題した。
 三十分間でできるだけ多く解いてもらい、内容を正しく把握できているかを調べた。昨年から今年にかけて、全国の約二万四千人に実施した。問題はすべて選択式で、文章の意味が分かれば、知識がなくても解ける。
 その結果、中学三年生の約15%は、主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできていなかった。約半数が、推論や二つの文章の異同などを十分に理解していなかった。
 また、基礎的読解力は中学では学年が上がるにつれて緩やかに上昇するが、高校では上昇しなかった。高校の教科書が理解できず、力が伸びていない可能性があるという。基礎的読解力と進学できる高校の偏差値との間には、強い相関があった。
 新井教授は「基礎的な読みができていないと、運転免許など資格の筆記試験にも困難を伴うと予想される。中学卒業までに中学の教科書を読めるようにしなくてはならない」と話した。
 グループは今後も調査を継続し、基礎的読解力に困難を抱える子どもの早期発見や支援策の検討に役立てる。分かりやすい教科書作りなども提言していく。 (小椋由紀子、吉田薫)

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*「リーディングスキルテストで測る読解力とは 」大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 社会共有知研究センター センター長・新井紀子
https://www.nii.ac.jp/userimg/press_20160726-1.pdf

 #2672「急激な学力低下はなぜ起きているのか?:ある假説 May 10, 2014」

https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

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  これから述べることはひとつの假説である。医学的に証明されたものではないが、いくつかの観測事実に基く推論でもある。児童・生徒のいる家庭の10%にこれから話すようなことがあれば、いま起きている現実がたいへんよくわかる。この問題については、別の角度からもう一つ書くつもりだ。言語習得能力、とくに「話す・読む」のトレーニング量の問題に焦点を当て、どう育てれば「読み・書き・そろばん(計算)・話す」能力を伸ばせるのか、ヒントになれば幸いである。

 根室の市街化地域の3中学校の学力がこの6年間ほど落ち続けている。そろそろリバウンドがありそうなものだが、10年単位ではっきり学力劣化が起きていることは否めない。とくに五科目得点80%超の高学力層が四分の一に激減し、低学力層の肥大化が起きている。
 文協学力テスト(中3)で五科目合計平均点が6年間で50点も下がったB中学校の例を弊ブログで取り上げた。… ⇒続きは次のURLをクリック!
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

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  #2673 子どもの言語能力パワー・アップのために  May 11, 2014
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-10


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#3651 中学生の読解力: 国立情報学研究所調査より Dec. 1, 2017 [47.1 読み]

  11/28の北海道新聞第3社会面には「国立情報学研究所が調査 中高生の読解力に不安」という見出しで、記事が掲載されている。似た文章を比べ、意味が同じかどうかを問う問題が転載されているので紹介する。

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「幕府は、1636年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」
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 この二文は特別な知識がなくても、基礎的な文法を踏まえていれば意味が同じかどうか答えられる問題である。
 最初の文は中学校教科書からの引用である、この文を43%の中学生が「同じ意味」と誤答したということは、予習して教科書を読んだとしても、字面を追っているだけで、正しい意味をつかんでいないということ。「命じた」と「命じられた」では意味が正反対になるがこういう基本的な国文法すら理解していないなら、英文法の能動態と受動態の意味の違いも43%がわかっていないとみるべきなのだろう。この問題に高校生の28%が誤答している。こういう貧弱な日本語読解力の生徒たちが高校の標準的な教科書を独力で読んで理解することは、不可能と言わざるを得ない。
  中学校で朝読書をやっているところが多いが、43%の生徒たちはこういう文すら正確に理解できないから、字面を追っているだけ、意味がつかめていない、おまけに国語辞典も漢和辞典も引かないから語彙力すらアップしない。読めない語彙や意味の分からない語彙は飛ばして読んでいるのである。読解力アップという観点から「朝読書」を点検してみると読書指導の意味はない。
  素読や音読トレーニングをすれば、小・中学生の日本語読解力を確実に、そして大幅にアップできる。日本語読解力は主要五教科すべての学力の基礎である。
  要は指導の手間をかけること。中学校は週に一日だけ、部活を停止して、日本語音読授業をやるべきだろう。小学校も英語の授業はやめて日本語音読授業をやるべきだ。ニムオロ塾では月に2回、希望者限定の日本語音読授業をやっている。90分間、格闘技のようなもの、生徒はへとへと。
  国立情報学研究所の今回の調査データはやるべき教育施策がなんであるかを明確に指し示している。

  北海道新聞にはもう一つ事例が載っている。
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「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」

  これを読んで、オセアニアに広がっている宗教を、「キリスト教」と答えられなかった中学生は約38%、高校生は約28%だった。
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 問題を二つに分割できそうだ。ひとつは一時記憶域が狭いということ、もうひとつは、脳内に意味のイメージができていないということ。この段落でとりあげられているは三つ、仏教、キリスト教、イスラム教である。そしてそれらの地域的な広がり。世界地図を脳内に展開できれば、ユーラシア大陸の西の端が外の向こう側のアメリカ大陸がキリスト教、東側が仏教、その間に広がるのがイスラム教である。オセアニアと書いてあるから、オセアニアの定義を知らなくても理解できる。オセアニアは広い定義では環太平洋の島々、狭義ではオーストラリア、ニュージーランドとその周辺の島国を含む。

  出題された問題を別のサイトで見つけたので、さらに紹介と解説を続けたい。
*https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171128-00000005-resemom-life
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 また、文章から図表への対応付けが正しくできるかを問うイメージ同定の問題では、「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国がもっとも多くおよそ35%である」という中学校社会科の教科書から引用された文章を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図を選択肢でたずねたところ、正答できたのは中学生が12.3%、高校生が27.8%だった。
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  この文章から、メジャーリーグの選手でアメリカ出身者が何%いて、ドミニカ共和国出身者が何%いるか計算しながら読んで頭の中に円グラフを描くことのできる中学生は10人に1人の割合しかいないということ。
  メジャーリーグの選手で米国出身者は72%(100%-28%=72%)で、28%の外国選手のうちの35%は全体の9.8%(28%×35%=9.8%)にあたる。
  中1の正答率が9.0%、中2は12.0%、中3は15.1%となっている。高校生になったらそれが4人に1人の割合に倍増している。高校三年間の勉強の成果だ。それでも、この文章を正確に読み取れない者が高校三年生で64.3%も存在することは驚き。子どもたちの日本語読解力はこれほど落ちている。

  日本語読解力の著しい低下は日本人の仕事のレベルを低下させているのではないか?
  大野晋が戦後駐留軍の機関が日本語の使用を禁止しローマ字を導入しようとして、日本人の国語力の全国調査をしたことがあった。そのレベルの高さに驚き、米国はもちろん、日本人の国語学者たちが多数ローマ字の国字化に賛成していたが、鳴りを潜めた。弊ブログでも数度とりあげている。出題された問題は現在の大学生にやらせても難易度が高い。そういうテストで「国民の平均点」が7割をはるかに超えた。戦争直後のころの日本人の国語力はいまと比べてはるかに高いものだったのである。それが前後の経済復興と高度経済成長につながっている。



<<戦争直後の国語力はいまとは比較にならぬほど高かった>>
*#3405より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
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< 余談:国語力の著しい低下 >
 戦後直後に行われたCIEによる全国民対象の無作為抽出による国語テストの平均点は78.3点で、識字率は97.9%であった。国語の問題文はいま中学生に行われている学力テストとは比較にならぬほど難解な文章が並んでいる。満点が6.2%もいたのである。国民の国語力は60年間で半分以下になったのではないだろうか。
 データは大野晋『日本語の教室』(岩波新書)より

#3088 公民・歴史・地理から見た安保法制論議:憲法第九条と自衛隊 July 21, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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<敗戦処理と憲法第九条:70年前になにがあったのか>
 次は歴史からのアプローチだ。この条文は日本が白人との戦いにおいて負けた結果、戦勝国である最強の白人帝国(米国)が占領政策上天皇制の存続を認めたほうが統治しやすいと判断し、天皇の戦争責任を問わない代わりに世界に例のない第九条の条文をいれて他の国々を黙らせたという当時の事情はあるのだろう。米国は何が何でも、つまり天皇制維持を認めてさえも日本を統治して自分の支配下に組み入れる必要があった。アジアでの日本の力を無視できなかったのである。ほうっておけば、日本はいずれアジア諸国のリーダとなり、白人帝国と衝突することになる可能性が大きいから、米国の国益上、日本の天皇制を利用しつつ、米国文化へ取り込むために日本文化の破壊を目論んだ。
 たとえば文字政策を具体例に挙げたい。昭和21年当用漢字(1850字)が告示され、漢字制限が行われた。これは文人の国語力を下げただけではない、一般国民の国語力も著しく低下させてしまった。序(つい)で米国は日本独自の文化破壊を目的として漢字廃止を画策CIEによる国語テストを実施した。当時の人口7755万人から、戸籍簿に基づき無作為に17100人を選び16820人について国語力テストが行われた。該当者の年寄りを山の中まで迎えに行って、町役場や村役場につれてきて国語のテストを受けさせるというほど厳格なものだった。結果は予想とは大違い、平均点は78.3点、満点が6.2%、識字率が97.9%だった
 これだけ厳密な識字力調査は世界に類例がない。漢字や短歌の読み書き能力の高さや識字率の高さに驚いて米軍は漢字廃止政策を取りやめた。こんなに文化程度の高い国とでは次に戦争になったときにはやっかいなことになると思っただろう。
 驚くべきはその後の日本側の調査委員会の対応であった。6.2%の満点を強調せずに、漢字の読み書き能力が足りないという結論を下し、漢字制限へと動くのである。そして国語審議会が中学3年生までに学習すべき漢字を881字に制限してしまう。(大野晋『日本語の教室』(岩波新書)より)
 その後の経緯は明らかだ、文部省と国語審議会が漢字制限をし続け、日本の文化を根底から破壊し続けている。
 進駐軍が漢字を廃止するには日本国民を納得させるために、具体的な調査とデータが必要だったのだろう。世界に類例がないほど国語力のレベルが高いことが分かり、それで米国は漢字廃止をあきらめたのである。データの裏づけのない暴挙(漢字廃止)をしたら、日本人の国民感情を著しく傷つけ、米国への反感が一気に巨大なうねりとなりかねないと読んだのだろう。愚かだったのは日本の歴代の文部官僚と国語審議会のメンバーである
==============================

*#3650 子どもの想像力と語彙力拡張:3歳9か月児 Nov.30, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-30

 #3649 全国学力テスト管内別平均正答率分析
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-29

 #2067 同時通訳 『米原万里の愛の法則』を読む Aug. 26, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-27

*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13


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日本語の教室 (岩波新書)

日本語の教室 (岩波新書)

  • 作者: 大野 晋
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
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#3640 心情を表す語彙が課題 Nov. 18, 2017 [47.1 読み]

  11月9日に中学1・2・3年生の学力テストが実施されたが、2年生のある生徒の国語試験問題と答案を見比べて気が付いたことがある。

  何に気が付いたかというと、「押し黙った」とか「口をつぐんだ」というような、人の心の状態を表す句の意味を問う問題が3題出題されていたが、三つとも間違っていたこと。出題形式は四択だった。前後を読めばわかりそうなものだが、そういうジャンル語彙を知らなかったのである。
  音読トレーニングで取り上げたのは2冊とも「論説文」である。論説文には人間の感情や心の揺れを表す語彙はほとんど出てこない。そうした語彙は万葉集や『源氏物語』の時代から文学作品にふんだんに出てくる。心情表現の語彙の大きさの順に並べると次のようになるだろう。

   論説文 < 小説 < 文学作品

  随筆は論説文と小説の間に入るだろうし、短歌や俳句はもちろん文学作品に含まれる。芭蕉の句に「枯れ枝に 烏の止まりたるや 秋の暮」があるが、夕日に暮れなずむ景色の中に一点烏の黒が全体の風景を引き締める役割を果たしているのことに気が付くだけでなく、読み手がその時どのような心境だったのかについても伝わってくる。こういう風景に託した心情表現という高等技術は外国の文学作品では見たことがない。表現として短歌や俳句は語彙の問題の地平をを超えているところにある。
  この句は、数学者の藤原正彦が『国家の品格』109ページで採りあげて論じているので、興味がもてたら新潮新書で200ページ足らずの本なのでお読みいただきたい。

  ところで、この生徒は日本語音読授業を4月からやっている。月2回のペースでいま2冊目をやっており、 一つ目は斎藤隆著『語彙力こそが教養である』(角川新書)、二つ目は『日本人は何を考えてきたのか』を取り上げ、今週127ページまで読み進んだ。90分の音読授業で毎回40ページのペースで読んでいる。贅沢な話だが、二人か三人での輪読あるいは同期音読トレーニングだから、60分を過ぎたあたりからヘロヘロになり、呂律が回らなくなってくると助詞や名詞の誤読も増えてくる。90分間気を緩めずに先読みをしながらの音読は、集中力と気力の維持が必要なのだ。集中力が切れた瞬間に誤読が起きるから指導する側にはとてもわかりやすい。だから、60分でやめたこともある。集中が切れた状態で続けると、だらだら読みが癖になりかねないから、そういう状態になったと感じた瞬間に中止、残りの時間は読めなかった漢字の書き取りをやらせる。読めない漢字や誤読した漢字が出て来たときは、音読をストップしてルビを振らせている。「細かい」と「「細い」は送り仮名で読み方を判断しなればならないがこういう類のものや、何通りかの読みがあるが文脈との調和からどの読みがベストか判断しなければならないものもある。読み方には読み手の教養の範囲やスキルの程度が明瞭に出るもの。だから、半年、一年と続けていくと、そのあたりに変化が生じてくるので、聴いていると腕の上がったことが伝わってくる。そこに音読トレーニングの醍醐味がある。そういうわけで、毎月2回水曜日の音読トレーニングは楽しいからやっている。本気で取り組む生徒は必ず上達するし、上達させることができなければ指導する側の問題で、それはそれでその都度考え、効果的な方法を考えて試してみればいい。指導する側も指導技術が上がっていくからキリなく楽しめる。音読トレーニングは楽しい。
  英語もこういうスタイルの朗読授業は効果が大きいだろう。

  この生徒が学力テストで90点台の得点をするためには、文学作品を読まなければならない。だが、部活が忙しくて、そういう時間の余裕がない。80点台から90点台の得点へと踏み込むためには、間違えた個所のうちどこで点数をとるのか検討しなければならない。検討した結果、M君には課題がはっきり見えた。心情を表す表現の多い文学作品を濫読すれば、国語は90点以上とれるようになる。古典も課題だ。
  部活や自主トレを優先し続ければ、文学作品や古典を読む時間など取れるはずもないから国語の点数は頭打ちになる。どうするかは本人の選択。学力テストで国語80点台ならそれで十分という選択もある。私はもったいない気がするが、本人の選択の問題だから、点数をアップする具体的な方法を旨告げるだけで、どうしろとは言わない。
  文武両道はそのバランスがなかなかむずかしい、一部(10-20%)の人間ができるのみ。どうしてよいかわからぬ時は、より困難な道を歩め。

#3539 落葉樹の対義語は? Nov.12, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-11-12

#3607 同期音読トレーニング Sep. 6, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19


〈 音読リスト:#3405より 〉
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< 国語力アップのための音読トレーニング >
 中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『坊ちゃん』夏目漱石
○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
 『五重塔』幸田露伴
 『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
 『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆
 『語彙力こそが教養である』斉藤隆 ⇒現在音読中、2017年3月中旬読了予定

 これから読むものをどうしようかいま考えている。
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
 『福翁自伝』福沢諭吉
 『善の研究』西田幾多郎
 『古寺巡礼』和辻哲郎
 『風土』和辻哲郎
 『司馬遼太郎対話選集2 日本語の本質』文春文庫
 『伊勢物語』

(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で十数年使用した実績がある。音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが2年前から希望者のみに限定している。)
・・・
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語彙力こそが教養である (角川新書)

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  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 新書
日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす

日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本

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#3639 落葉樹の対義語は? Nov.12, 2017 [47.1 読み]

  中3の学力テストに落葉樹の対義語を問う問題があったが、「できなかった、習っていない」とある生徒、なにやら不満顔。ああ、意識の差があるんだと気がついたしだい、今回はそれについて書いてみる。

  試験には習ったことしか出ないものだと思っている様子、なるほどそう思い込んでもしかたのないような状況が根室市内の中学校にあるのも事実。定期テスト問題には教えたことしか出題しない先生がほとんどだろう。国語を教えている先生が最近、定期テストで半分くらい初見の問題を出題したが、その先生は例外、見上げたもの。他の教科でもそういう先生が一人いらっしゃる、教え方に自信がなければそういうテスト問題はつくれない。ebisuが知りうるのは狭い範囲だから、他の学校でもそういう先生が10-20%くらいいるのかもしれぬ。しかし、ほとんどの先生が教えたことだけを出題している。しかも教科書準拠問題集からそのまんまのケースが散見される。これでは成績上位層の生徒はつまらない。
  だが、学力テストは教えている先生が出題するわけではないから、習っていないことが出るのは当たり前と考えるのが普通ではないか。

  団塊世代が中学3年生の時に全国一斉学力テストがあった。社会の問題で国際機関名が略号で6個ぐらい出題されたが習っていなかった。北海道新聞を読み、これらの略号が出てくるつど元の正式名称を辞書で確認していたから全部正解できた。だから、1学年550人中で社会の点数が一番高かったことがある。習っていない問題で差がついただけ。参考書や問題集をいくら消化しても、同じ学年に550人もいれば、学年一位はまぐれでしか取れない。実力差でもぎ取るには、そういうレベルと超える勉強をふだんからしておけばよい。それが北海道新聞を読み、国語辞典と漢和辞典と英和辞書を引くことだった。試験の成績を上げたくてやっていたわけではない、面白いからやっていただけ。新聞を読めば地図帳で場所を確認もする歴史も地理も公民も国語も英語も計算も科学も、ひとつの新聞記事でつながってしまう教科横断的な思索あるいは各教科のクロスオーバがしょっちゅう生じる。役に立たない勉強はない。世の中で何かが起きたら、それを総合的に理解するには中学・高校で習うすべての教科の知識が必要になる

  落葉樹の対義語は常緑樹であるが、迷った生徒が多かったのではないか。たとえば、「針葉樹・広葉樹・落葉樹」と並べると、頭一文字だけが違っているから、同じものを三つに分類したようにも見える。
  漢字の字義から判断すると、落葉樹とは葉っぱが落ちる樹種をいう。乾燥期を生き残るために葉っぱの大きい樹種は葉を落とし休眠状態になる。そうしないと枯れてしまうからだ。自然とはじつに精妙にできているものだと感心する。針葉樹の葉っぱはとがって面積が小さいから、乾燥期でも葉っぱからの蒸散量が少ないから、葉を落とす必要がない。しかし、針葉樹でもカラマツのように葉っぱを落とすものがあるからこれらの用語の相互関係はややこしい。用語を整理すると次のようになるだろう。

  ① 常緑樹 ⇔ 落葉樹
  ② 針葉樹 ⇔ 広葉樹

 葉っぱが落ちるか落ちないかを基準に分類すると①になり、葉っぱの形状に注目すると②の分類ができる。
 そして、この両方の分類には関係がある。落葉樹は広葉樹の真部分集合である。数学記号を使うと紛れがない。

  落葉樹 ⊂ 広葉樹

  ややこしいのは、針葉樹の一部にカラマツのように落葉樹があること。専門用語や概念は対義語を一緒に覚え、別の基準での分類や上位・下位概念との関係もしっかり押さえておきたい。これがごちゃごちゃだと論理的な議論が成り立たない。中学生になったら、用語の定義とか概念についてはこういう整理を常日頃から心がけたいもの。

  国語の問題として出題されたが、わたしが社会科の教師なら、針葉樹林帯や広葉樹林帯の地図記号が出てきた時に、常緑樹や落葉樹の説明もついでにしておく。理科の教師なら裸子植物と被子植物のあたりで言及するかもしれない。
  生徒たちのボキャブラリーが貧困化している。教科書を独力で読み、予習できない生徒が国立情報研究所の最近の調査でも25%いる。根室の中学校では20-35%である。学校学年によってばらつきがあるのは当然だが、小学6年生用の語彙力テストで50点以下がそれくらいいるということ。

<朗読授業のススメ>
  学力の基礎は「読み・書き・そろばん(計算)」にあり、三つの技能は重要な順序に並べられている。
  小学校で朗読授業を週に1時間でいいからやってもらいたい。朗読は語彙力を拡張するのに役立ち、日本語読解力を大きく伸ばす。朗読は小学校の時期が旬である。『赤毛のアン』を読んでいたら、隔週金曜日に小学校で朗読授業のあることが書いてあった。

「それから金曜日は、一週間おきに、暗唱の授業があって、みんなで詩を吟唱したり、芝居や小説の対話劇を演じたりするんですって。ああ、考えると華やかな気持ちになるわ。」 p.274

  Every other Friday afternoon she has recitations and everybody has to say a piece or take part in a dialogue.  Oh, it's just glorious to think of it.      p.153

  松本侑子訳は日本語の格調が高く原文のもちあじと釣り合っているように感じた。原文は小学生が読むような語彙レベルのものではなく、大人の読み物である。

  週一ぐらいで、英語の朗誦授業があってもいいのではないか。例えば、小学生ならマザーグースを、中学生なら1500語レベルぐらいの短編小説や詩という風に。

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#3441 音読トレーニングと中2の語彙力 Oct. 20, 2016 [47.1 読み]

 音読トレーニング授業をしているとおもしろいことに気がつきます、大人と丁々発止会話できる生徒でも、日常使わない語彙が文章に出てくると、読めなかったり、会話で出てくる語彙に置き換わったりすることがよくあります。読みを急がせると読み違いが増えます。
 先週、斉藤孝著『日本人は何を考えてきたのか―日本の思想1300年をみなおす』(2016年3月初版)を読み終わり、『語彙力こそが教養である』(2015年12月初版)を読み始めました。

 20例ご覧にいれます。
*********************************
 1.思慮深い 
 2.苦痛や根性をったり 
 3.古典・名著からミステリー・・・
 4.語彙力低下の一途を辿(たど)
 5.感嘆詞 
 6.レポートの末尾
 7.紋切り型のメールしか送ってこない取引先 
 8.「部長はどうも言うことが浅い」とんじられる
 9.先人のぎだした言葉や 
 10.語彙力アップは、一朝一夕にかなうものではありません
 11.言い回しやフレーズなどの文章も含んだ知識の集合体と「語彙」としています
 12.性根を据えてかかるしかないな
 13.校則で、的確で、小気味がいい
 14.語彙がしい
 15.こうした評価をされるのは、部下としても不本意でしょう
 16.寺子屋では年端も行かない子どもたちが
 17.後述しますが・・・
 18.高層ビルのレストランで年配の取引先を接待しているとき。「すばらしい眺めだなあ」といわれて、とっさに「値万両ですね」と返せるのも引用力です。
 19.絶景かな、絶景かな。春の眺めは値千金とは小せえ、小せえ。この五右衛門には値万両、もはやも西に傾き、誠に春の夕暮れに花の盛りもまた一入(ひとしお)、はて、うららかな眺めじゃなぁ
 20.先人の知識を吸収できること請け合いです
*********************************

 『語彙力こそが教養である』から採録しました。33ページまででこれだけつっかえた箇所がありました。読み直して正解だったものも含まれています。目次や空白のページなどを除くと26ページですから、1ページに1つ弱ですから、中2としては誤読も含めて読めない字が少ないほうです。
 標準よりもかなり読めていますが、会話に出てこない文章語が苦手なんです。それから、自分の知っている語彙に置き換わってしまうこともよくあります。たとえば、荒療治⇒荒治療という具合に。治療という語彙は知っているのですが、「荒療治」という語彙は初見だったので、とっさに知っている語彙に入れ替わってしまったというわけです。
 折り返し部分の先読みはずいぶんと上手になりましたが、いまの読み方では読み違いが頻発するので、読む速度を落とさせました。
「速度を落としてよいから、しっかり先読みして完璧に読め、「てにをは」の読み違いや思い込みでの読むのを極力避けてやってみろ」
と指示して、正確な読み重視に切り替えました。しばらくはじっくり読ませて精度を上げます。誤読がいまよりも3割くらいに減ったら、速度アップ・トレーニングへ切り替えます。

 中学生は会話に文章語を混ぜると意味がわからなくなります。たとえば、
 「めいじだいがくで、きょうべんをとってきました」
 と話したとします。「教鞭」と「執って」を漢字に置き換えられなければ意味が理解できません。文章で見ても、「教鞭」は中学生には死語ですから意味がわからないでしょう。「鞭」は「むち」とも読みます。昔は先生が生徒を叩くための細い棒(本来は黒板に書いたことや、掛けた地図の指示棒です)をもっていたのです。それが「教鞭」です。だから生徒に教えることを「教鞭を執る」といいます。
(英国の古い映画では教師が鞭をもって教室に入ってきます。そして悪さをしたり、宿題をやってこない生徒のお尻を思いっきり引っぱたくんです。とっても痛そうです。細い竹ですから腫れ上がります。教師の言うことは絶対です、そう躾けるんです。ハリーポッターにそういう先生が出てきませんでしたか?わたしの母校の光洋中学校には細い竹の棒を教室にもって来る先生がお一人だけいらっしゃいました。なにしろ1クラスが55人、1学年10クラスでしたから、先生たちも百人ほどもいたのではなかったかと思います。残念ながらその先生には習う機会がありませんでした。(笑)
⇒後志のおじさんから投稿あり。あれは魔法使い(wizard)の杖(wand)だそうです。)
 
 こういう文章語の語彙をたくさん知らないと、国語の問題文を読むときに自分の知っている語彙への読み替えが起きます。授業を聞いているときにも文章語を使って説明されると、とたんに話がわからなくなります。
 語彙をたくさん知るということは教養を深めることでもあります。本を読めば自然に語彙が増えますが、意識して読む本のレベルを上げていかないと、語彙は増えません
 会話に自然に文章語を交えることができるようになれば、相手には教養がにじみ出て見えます。レベルの高い大人の話を聞くときに、言葉がわからずに何度も訊くようでは、次回から敬遠されます、話の途中で語彙説明をするのは面倒くさいですから。
 音読トレーニングの「実験台」になってもらった生徒は、年齢から判断すると、大人とのコミュニケーションレベルは偏差値65*(上位7%)を超えていますが、本を読むのが好きではありませんから、読む絶対量が不足し、それが音読したとき如実に出てしまいます。どんなにコミュニケーションスキルが高くても本を読まなければ文章語の語彙力はつかないのです。このまま読書を遠ざけていたら、高校現代国語をやるときには語彙力が決定的に不足するでしょうから、国語の得点が平均点付近まで下がります。
 もっと先のことを考えると、語彙力を貧弱なままに放置したら、将来、知的レベルの高い人との会話の機会が失われます。上場企業に勤務したときには仕事にも影響します。重要なことは文書で処理するので、書いたものを見れば語彙力レベルと教養の程度は一目瞭然で、ゴマカシが利かないのです。
 
 この本にはさまざまな語彙の増やし方が載っています。斉藤隆先生は東大法学部を卒業し、大学院で教育学を学んだ人ですから、語彙の増やし方もまるで受験勉強そのまんまです。中高の時代に身につけた学習習慣、スタイルはいくつになっても抜けないもののようです。こういうのを「病膏盲(やまいこうもう)に入(い)」といいます。(笑)
 ふつうはこんなことせずに、ある時期に興味のわいた本を片っ端から濫読して語彙を爆発的に増やすんです。それが語彙を増やす王道です。

 文章を書くスキルは『読書力』(2002年9月初版)よりも数段磨かれたようです。あのころは生徒と読みながら斉藤先生の文章を添削していました。たくさん本を出していたので雑だったのです。いや文章力が貧弱でした。この本は立派なものです、13年間の語彙力増大努力と文章力の鍛錬の成果がよく出ています。
 両方を読み比べてください、別人が書いたものではないかというぐらい差があります。こうありたいですね。斉藤先生の13年間の精進に乾杯!

(この本の次に、福沢諭吉著『福翁自伝』にするか、和辻哲郎著『古寺巡礼』にするか迷っています。和辻の本なら、間の取り方や緩急の付け方、聞き手が情景を頭に描きやすい読み方を指導するつもりです。両方とも中2にはとっても難しい、語彙レベルも今まで読んできた本とは格段に差があります。高校現代国語ではこれ以上の難易度のものは出てこないでしょう。しかし、日本語の美しさを基準にするなら、いくらでもあります。トップレベルの人たちに優劣は付け難い、個性の違いが文章表現に出てきますから、最後は好き嫌いの問題に落ち着きます。)

(その後に予定しているのは、どちらも高校レベルを超えています。和辻の『風土』と西田幾多郎『善の研究』です。この2冊は普通の学力の理系大学生の手には負えないでしょう。中3でここまで音読トレーニングをやれば、あとはほとんどの本を独力で読むことができます。読むか読まないかは本人の好奇心しだいです。)


〈 余談:音読の履歴 〉
 この生徒が2年半に読んだ音読テクストを紹介します(#3295に載っています)。

 斉藤隆『声に出して読みたい日本語①』
     『声に出して読みたい日本語②』
 音読破シリーズ: 斉藤孝のこのシリーズはルビが振ってあります!ぜひ、お子さんに買ってあげてください。(小学館 本体800円です)
   『坊ちゃん』
   『走れメロス』
   『銀河鉄道の夜』
   『羅生門』
   『山月記』
   『五重塔』
 斉藤隆『読書力』(岩波新書)、
 藤原正彦『国家の品格


 言葉から風景や読んだ人の心をイメージするためのトレーニング・テクストとして昨日『日本の古典を読む④万葉集』(小学館)を1ヶ月間預けた。
 毎日ひとつだけ意味を理解して繰り返し声に出して読み、言葉から風景や心象イメージをつむぐトレーニングを課した。
 採録した歌にはすべて現代語訳や注釈がついているから、それを読めば意味はわかる。
 詠物歌は季節の風物を読んだものだが、情景がイメージできるようになってほしい。相聞歌は恋の歌だから、恋心がまだ芽生えていない中学生にはわかりにくいし、共感をもって読むことはかなわないだろう。それでも大人の恋がどういうものであるのか短歌を通して知っておくことは無駄ではない。(笑)
 この時代は、気の利いた歌も読めないような男は教養がある美女には相手にしてもらえないのである。
 1ヶ月のトレーニングで、言葉から具体的なイメージをすこしは脳につむぐことができるようになるだろうか?




*#2709 偏差値と「100人(百校)中の順位」対応表 June 22, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-22

 #3111 記憶の構造と学力 Aug.21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-20

 #3155 日本語読み・書きトレーニング(2):総論 「読み」と「書き」 Oct. 12, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-12

 #3156 日本語読み・書きトレーニング(3):先読みの技 Oct. 14, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14

 #3157 日本語読み・書きトレーニング(4):「書き」の「守・破・離」」 Oct. 15, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14-1

 #3158 日本語読み・書きトレーニング(5):数学と「読み」のスキル Oct. 16, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15

 #3159 日本語読み・書きトレーニング(6):数学と「読み」のスキル-2 Oct. 19, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-19

 #3195 家庭学習習慣の躾は小学1・2年生のうちにやるべし Dec. 4, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-04

 #3248 本を読まない大学生は何%いるのか Feb. 28, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28-1

 #3254 音読は面白い!:脳は並列処理をしている  Mar. 10, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-10

 #3268 日本語力と数学の能力:実例 Apr. 8, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

 #3395 Z会Vテストで全国レベルを知る  Aug. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-08-20

日本人は何を考えてきたのか――日本の思想1300年を読みなおす

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語彙力こそが教養である (角川新書)

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新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

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古寺巡礼 (岩波文庫)

古寺巡礼 (岩波文庫)

  • 作者: 和辻 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/03/16
  • メディア: 文庫
善の研究 (1979年) (岩波文庫)

善の研究 (1979年) (岩波文庫)

  • 作者: 西田 幾多郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/10
  • メディア: 文庫
風土―人間学的考察 (岩波文庫)

風土―人間学的考察 (岩波文庫)

  • 作者: 和辻 哲郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/05/16
  • メディア: 文庫

#3410 怪談牡丹灯篭 白石加代子朗読  Sep. 13. 2016 [47.1 読み]

 朝早く目覚め、NHKラジオ第一放送をつけた。明け方の深夜放送にゲストとして女優の白石加代子が出演していた。インタビュアーに促されて、怪談牡丹灯篭の冒頭を読むことになった。
 ナレータとして読む部分、登場人物の部分と、それぞれ声音(こわね)を巧みに使い分けている。抑揚、声の強弱、リズム、間の取り方、変幻自在だ。朗読しながら読み手が酔いしれるところがないから、しらけずに物語の中へ入っていける。

 父親を早く亡くし、長女として家計を助けるために高校を卒業して、港区役所税務課へ勤める。そしてそこを退職して早稲田小劇場へ入団、みっちり修行している。正真正銘の女優、プロフェッショナル。
 
 こういう朗読を中高生に聞かせたい。とくに根室高校放送局のメンバーにはぜひ聴いてもらいたい。プロの技を味わうのは何より勉強になるだろう。

 生徒に音読指導している自分が恥ずかしくなる。論説文がほとんどだから、幸いにして声音の使い分けはいらない、これからも自在に速度を変えながら精確に読むことを心がけたい。


*白石加代子 ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E7%9F%B3%E5%8A%A0%E4%BB%A3%E5%AD%90

*百物語・・・ブログ「劇場の日々」より
http://natsumedate.at.webry.info/201406/article_2.html


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#3254 音読は面白い!:脳は並列処理をしている  Mar. 10, 2016   [47.1 読み]

  前回#3253「難関大学攻略:教育の地域格差と教育・受験戦略」で、集中と分散という方向の真逆な脳の並列処理、脳のコントロールについてちょっとだけ触れましたので、音読を例にとり、二つの集中力というタイプの脳の使い方を中心にして、集中型と分散型の同時並列処理にまで具体例で説明したいと思います。
*#3253⇒http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-08

<音読トレーニングの実際>
 中学生に音読トレーニングしていると興味深い現象に遭遇します。
 具体例で説明します。昨日は、『国家の品格』の108-124ページを読みました。
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「古池や 蛙飛び込む 水の音」という、日本人なら誰でも知っている芭蕉の句があり/ますね。日本人なら、森閑としたどこかの境内の古池に、蛙が一匹ポチョンと飛び込む/光景を想像できる。その静けさを感じ取ることができます。しかし、日本以外の多くの/国では、古い池の中に蛙がドバドバドバッと集団で飛び込む光景を想像するらしい。こ/れでは、情緒も何もあったものではない。  110ページ
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 一列に並ぶ文字数が本とこのブログでは異なるので、本の改行の箇所にスラッシュを入れておきました。
 
 一つ目の改行のところの直前を読みながら、同時に次の行を先読みしなければ、スムーズに音読できません。生徒の脳の中では声に出して「芭蕉の句が・・・」と読みながら、眼は次の行へ移って黙読しています。目で見た句を脳内に保持してそれを音読しながら、少し先の文をつねに黙読しているのです。 並列処理が脳内でスムーズに行われなければ、初見の本の音読をよどみなく続けることができません。
 最初の改行の手前「日本人なら誰でも・・・」という箇所を読みながら、視線を次の行の先頭へ移して先読み(黙読)しますから、声に出して読み上げている部分は見ていません、脳内に短い句を記憶してそれを読み上げています。
 生徒は二つ目の改行の後の「しかし、日本以外の多くは・・・」というところに来たときに、「日本人以外の多くは」と読み間違えました。脳内に少し前に読んだ「日本人なら・・・」という句が残っていて、混戦を起こし、文を眼でよく見ずに思い込みで読み間違えたのでしょう。短い句を脳内にコピーして読み上げるので、近辺で記憶した句がこのように混ざることがあります。ページを意識して各場所を変更しなければならないのですが、慣れていないと直前のページの句が影響を与えてしまいます。
 先読みをちゃんとしようと意識しすぎると、現在音読している箇所への注意が散漫になります。このように音読している箇所をちゃんと見て読み上げながら、少し先の文を黙読するのはなかなかたいへんです。

 生徒に読ませて、観察していると、自分が知っている語彙への置き換えが時々起きています。ストックにない語彙が出てきたり、ほとんど使わない語彙が出てくるときだけでなく、知っている語彙のときにも置き換えが生じます。
 先読みするときに、意味まで押さえていないから、声に出している箇所を読み間違えるのだと思います。
 高校2年生の現代国語の教科書に採録されているテクストは難解な文章語彙のオンパレードです。おまけに高度な論理を駆使した評論もありますから、こうした文章を読むときにはそれまでとは比較にならぬほど、意味解析で脳に負荷がかかります。その話は、またしますが、今日のところは『国家の品格』の文を例に挙げて観察したところを述べます。

 整理すると、声に出している箇所は脳内に書き込んだものを読んでいます。眼は先読みしているのですが、そのときに意味まで追って読めないと、適切な区切りかたができなかったり、読み違いが生じます。とくに次の文が漢字が混じらない平仮名で10文字くらいも続くと、どこで区切っていいのか、意味まで先読みできなければ、読みが一時停滞します。適当に漢字と仮名が混じることで日本語の文は読みやすくなっていますが、平仮名が連続すると途端に難易度が増してしまいます。 
 平仮名の連続の文は、そこで速度が落ちるだけですが、どのような事情があれ、語彙を読み違えると文の意味を正しく理解できません。とくに、「てにをは」を脱落させたり、異なるものに置き換えたりした場合は、チンプンカンプンになることがあります。
 たとえば、「日本以外の多くの国では」を「日本以外の多くの国でも」と助詞を読み違えたら、文意が違ってしまいます。漢字の置き換えも同様の結果をもたらします。慣れてくると、音読しながら、前後の二つの文の意味を比較しながら、整合性をチェックしつつ読めます。さらにそのスパンを広げて段落ごとの論理展開をチェックしながら読むことすらできるようになります。先読みといま読んでいる箇所に意識を集中しつつ、文相互の関係に意識を分散させて読みます。
 まずは精確に読むことを優先しますが、どの程度の読み違いをしているかは、音読させてチェックしないとわかりません。「読みのトレーニング」はとても重要ですが、そういうトレーニングが学校教育でなされることがありません。
(江戸時代には素読という音読文化がありましたが、学校教育が普及すると明治期以降廃れてしまいました。素読は江戸期の私塾で広く行われていましたから、わたしは中学生を相手に、そうした文化を形を変えて伝承したいのです。)

 国語のテストでも、数学のテストでも、問題文を速く精確に読める生徒は誤読してしまう生徒よりも点数が高くなるのは当然です。
 音読を速く精確にできるという人は、脳内で次の3通りの処理を同時にしていることになります。

①いま声に出して読んでいる箇所は脳内に記憶してそれを読み上げる
②眼で先読みする
③先読みした句の文節の区切りを確認して意味を理解し、いま声に出して読んでいる箇所と意味の整合性をチェックする

 音読はどうやら脳をフル回転させているようです。脳内が三つの並列処理を楽々できるようになれば、学力全般が上がるでしょうね。③で意味の整合性に違和感が生じれば、さっと確認しますが、ダメとなったら流れを止めてチェックです。
 「読み・書き・そろばん(計算)」といいますから、三つの技能を人の1.5倍速く精確にできる生徒は基礎学力の点で圧倒的に有利です。

<他の科目への影響大>
 社会や理科も教科書や参考書そして問題集はすべて日本語で書かれていますから、読む技能に秀でている生徒は、これらの科目の理解も速くて精確になります。つまり、短時間の勉強でより大きい効果をあげられるということになります。
 読むたびに無意識に脳内で並列処理をしてしまうので、高速で脳を駆使することに慣れてしまうようです。
 並列処理に慣れると、問題文の読解や計算に意識を集中しながら、どこかへんなところがないか意識を分散させてチェックできるようになります。ミスがあると、ある種の違和感が警告音を発します。第六感 sixth sense が働くようになります。

<繰り返す⇒習慣になる⇒鋳型ができる>
 脳は毎日使いますから、並列処理をその都度どのパターンでやっているか意識すると、次第に脳の操作に慣れてきます。集中しながら分散思考するという、矛盾したように聞こえる脳の使い方ができるようになります。あんがい脳は柔軟なのです。
 いくつ並列処理できるか試してみたらいかがですか?

<無意識を利用する>
 数学の難問題も数問、頭の中に放り込んでおいて、ときどき引っ張り出しているうちに、正解がひらめきます。入れて溜め込んでおくと、交感神経が静まったときに、無意識下で脳が処理してしまうような気がします。

<non-A&Bタイプ>
 今日は音読トレーニングで16ページ読みました。一段落ずつ生徒と交替で読みます。ナショナリズムとパトリオティズム(郷土愛)、武士道精神がとりあげられていたので、頻繁に解説を入れました。
  音読トレーニングをしていた生徒は、読書が好きではありません。とくに小説や文学作品が好きではないのです。言葉からイメージがわかないそうで、つまらないというのが本人の弁です。non-A&B型のタイプです。論説文は嫌いではありません。このように書くと、成績が振るわない生徒と誤解があるといけません、この生徒は1年間通して7回のテストですべて学年トップでした。五科目合計点は幸いなことに学年末テストが一番点数が高かった。しっかり成長しました。
 しかし、高校2年になったときに、現代国語に採録されている数々の名文はいまのままではとても読みこなせません。抛っておいたら国語の力が大学受験前に限界にぶつかるので、音読トレーニングで脳の使い方を伝授してワクチンを打っておこうというわけです。
 純文学や古典文学、そしてすぐれた評論、さらに自然科学や哲学や経済学関係の本まで、順次レベルを上げながら15冊程度を精選して音読トレーニングを続けるつもりです。どこかで興味のある分野が見つかるでしょうから、そこからは自分の興味で濫読することになればいい。そこが見極められたら、この生徒に対するわたしの音読トレーニング授業は終わりです。

<なぜ自分で教えているのか>
 50歳を過ぎてふるさとに戻り、2002年12月から私塾を営んでいますが、わたしがもう一度中学生か高校生に戻れたら通いたいと思える塾が目標です。だんだん近づいています。
 ふるさとの子どもたちに教えることは、わたしにとっては仕事であると同時に、18歳まで育ててくれた根室のさまざまな職業の大人たちへの恩返しであり、そして楽しい遊びです。


<余談:イメージ化能力>
 #2749より抜粋
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/archive/c2304641171-1
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#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014より抜粋
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16
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 言葉からイメージを創れるタイプをA型、創れないタイプをnon-A型、数直線や図形を頭の中に想い浮かべて処理することができるタイプをB型、それができないタイプをnon-B型と分類したい。
 もう一つ特別なタイプがある。文章を読みながら諸概念を構造物のようにイメージできる能力がそれである。言葉と言葉、異なる専門用語同士の関係を立体構造物を眺めるようにイメージできる能力をもつ者は稀だ。この能力をもつ者は、もたない者としばしば会話が成立たない。なぜか?同じイメージを共有できないからである。

 A型 ⇔ non-A型
 B型 ⇔ non-B型
 C型 ⇔ non-C型

 3組で各組2つだから、全部の組み合わせは2^3=8である。学力の点から言うと、
 non-A & non-B & nonC ⇒ 最弱
 A & B & C ⇒ 最強
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<イメージ化能力の発展段階に応じた教育>
 三つのイメージ化能力から学校教育のあり方を考えると、小学校では言葉のもつイメージを脳内につくりあげる能力を磨くために、日本語の良質のテクストを大量に読ませるべきだろう。小学校低学年では理科や社会科を外して日本語テクストをたくさん読むべきだ。
(数学の巨人の岡潔は晩年にこの国の教育を憂えて教育関係の著作をいくつも書いたが、小学校低学年では理科や社会はやる必要がない、「読み・書き・計算」を徹底すべきだと説いている。)
 中学校の段階では図形のイメージ化能力を重点的にトレーニングさせたい。高校生には概念のイメージ化能力を育成するために、哲学を必修科目とすべきだ。



<関連テーマ>
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*#2597 イメージの力(3):Aとnon-A型について  Feb. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-16-2

*#2595 イメージの力(2): 8タイプに分類 Feb.16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-16

*#2593 イメージの力(1):ピアニスト&作曲家加古隆の原風景 Feb.14, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-14

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