SSブログ
49.1 英語音読トレーニング ブログトップ
前の10件 | -

#5108 thatの読み方:/ðæt/ or /ðə/ Nov. 10, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

 リスニングしていると、thatの読み方には2種類ありますね。そのまま真似すりゃいいだけですが、どのように使い分けるのか気になります。
 弱音になり /ðə/”ザ”の場合と、普通に /ðæt/  ”ザッツ”と読む場合の二通りあります。どのように使い分けているのでしょう?
 thatが指示詞や代名詞の時は後者で、接続詞て主語が後続しているケースは弱音の”ザ”と読むケースが多いようです。

 大西泰斗先生のNHKラジオ英会話11月号から例文を拾ってみます。
--------------------------------------------------------------
 
He’s not sure, but I have no doubt that he’ll let you join.
 
(まだ決めてはいないみたいだけれど、きっとあなたを入部させてくれるわ)
 Dr. Stein, I understand that you have created two androids.
 (スタイン博士、あなたは2体のアンドロイドを製作されたのですね)
------------------------------------------

 このように、人称代名詞の前に置かれた接続詞のthat /ðæt/  ではなくて、 /ðə/  と軽く発音されることが多いですね。後続するのが人称代名詞ですから、定冠詞と同じ発音でも誤解される恐れがないからでしょう。


<余談:英作文問題制作>
 高校生対象に4年前から英作文問題を作って十人前後へメール配信しています。大西泰斗先生のNHKラジオ英会話の例文と解説を利用して、英作文問ぢ亜に置き換えたものです。参考文献10冊ほどから、英文を増補してあります。A4判で1450ページ、14000題ほども在庫が膨らんだので、しばらく制作をお休みして、溜まった分をメール配信するだけにしていましたが、9月からまた作業を始めました。今度は、問題を増補せず、ほとんどそのままにしてあります。必要と思われるところに解説を付け足すだけで、それも少々だけ。
 11月号分を作り終えましたが、1612頁になっています。毎月約336問題になるので、3か月で1000題増えていきます。とりあえず来年3月まで作業を続行することに決めたので、1350題ほど増えそうです。
 17000題の英作文問題集ができあがる予定ですが、メール配信は来年いっぱいで終了予定です。配信している元塾生たちが大学受験のためにつくり始めたのですから、目的を果たせば終了です。いま作成している分は配信の予定はありません。なんだか楽しくてやめられないのです。(笑)


にほんブログ村


一億人の英文法 (東進ブックス)

一億人の英文法 (東進ブックス)

  • 出版社/メーカー: ナガセ
  • 発売日: 2022/12/23
  • メディア: Kindle版
『1億人の英文法』をおススメします。
こんな視点の英文法書はいままでありませんでした。索引がついていないのが難点ですが、内容はすばらしい。イラストによる解説がふんだんにあることと、話すことを目的に整理した「イメージ重視」の英文法書です。ときどき立ち止まって、考えてみないと、他の文法書との連絡がつきません。頭の体操してください。大西先生は10日間でこれを通読するくらいでないと、英語はモノにならないと書いています。あと1か月余で冬休みですから、10日間、この英文法書の読破に費やしてください。疲れたら、数学の問題集をやって気分転換と脳を休めてください。使う部位が違うようですので、リラックスできますよ。(笑)


一億人の英文法 CDブック (東進ブックス 一億人シリーズ)

一億人の英文法 CDブック (東進ブックス 一億人シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ナガセ
  • 発売日: 2012/06/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
一億人の英文法問題集 大学入試対策編 (東進ブックス 一億人シリーズ)

一億人の英文法問題集 大学入試対策編 (東進ブックス 一億人シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ナガセ
  • 発売日: 2013/09/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
一億人の英会話――「話すため」に必要な英文の全パターンドリル (東進ブックス 一億人シリーズ)

一億人の英会話――「話すため」に必要な英文の全パターンドリル (東進ブックス 一億人シリーズ)

  • 出版社/メーカー: ナガセ
  • 発売日: 2020/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0)  コメント(0) 

#5085 英語音読におススメCD教材:『赤毛のアン』 Oct. 14, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

 アガサ・クリスティ―『そして誰もいなくなった』の朗読CDを二つ紹介しました。この小説は内容が面白いので飽きずに読めます。しかし、完全版の170 words/minの方は音の短縮の版かが多すぎて、音読トレーニング教材としては適していないことがわかりました。詳しくは#5084に記してあります。150 words/minのゆっくりしたほうは、リライト物ですから、分量は1/4ほど語彙数は1/5以下でしょうね。高校の英語教科書みたいでつまらない。
 例えば、「米国の大金持ちの妻」と「米国の大金持ちの三番目の妻」では、読み手の方の面白さがまるで違ってきます。ああ、お金目当てで結婚して、ヨット好きの亭主に話を合わせていたが、船酔いするので、さっさと屋敷と島を処分させたのだな、なかなか強そうな女だというように想像力を働かせることができない。

 では教材として何があるかと、手持ちのCDをチェックしたら、L.M.モントゴメリー『赤毛のアン』がありました。160 words/minで、ナレーターのBarbra Carsoさんはきれいに原文通りに読んでくれています。1908年の刊行ですから、物語の時代が古いことが難です。そこは我慢してくださいね。

  CD 9枚 完全版 Anne of Green Gables
 3155円です。
 
 手持ちの、それもたった3種類のものの比較によるご推奨ですので、世の中にはたくさんの英語朗読CDがありますから、他も当たってみてください。

<映画のDVDを使った物まねのススメ>
 映画もいいでしょうね。台詞の読み方、そのときの情景が映像で与えれらますから。例えば「カサブランカ」や「ローマの休日」のような古い映画は、安価ですから、高校生や経済的に楽ではないほとんどの大学生には求め安くていいでしょう。字幕が英語と日本語の両方に切り換えられるものを選んでください。好きなシーンの台詞をひたすら繰り返し真似したらいい。好きなシーンの台詞はすぐに暗記できます。
 この2枚を含めて、映画のDVDを数枚持っています。

<余談:時代の移り変わりと思い出>
 いい時代になりました。CDやDVDで英語の勉強ができるのですからね。
 高校1年生になったばかりの時(1964年東京オリンピック)に、sonyのテープレコーダーを買ってもらいました。オープンリールで、同じところを聞くにはガチャガチャと早戻しのハンドルを操作し、すぐに再生位置に戻して聞かなければなりませんでした。あんまり乱暴にやると壊れそうでした。35000円くらいしてました。大卒初任給の年次統計を参照すると19,100円です。どうしてそんなに高価なものを買ってもらえたのかというと、ミシンか何かの積み立てで、溜まった金額が40000円ほどになったので、電気屋さんからそろそろ商品化って下さいと言われて、何がいいかとお袋はわたしに相談。それでソニーのテープデッキを選んだというわけ。NHKのラジオ英語講座を録音して聴いてみたのです。まだ、カセット式のテープレコーダーが発売される前のことでした。
 小学生の時からビリヤード場がわたしの遊び場でした。中学生になったときには、毎日2~3時間店番していました。だから「ご褒美」でもあったのです。
 団塊世代でしたから高校受験は根室高校商業科は2倍の倍率でしたが、倍率が何倍でも関係ありません。毎日変わらずビリヤードの手伝いをしていました。いろんな職種と性格の大人がお客さんでしたから、愉しかった。勝負事にはその人の性格や世界観がもろに出てきます。それをみながら、それぞれの人がその職種でどんな仕事の仕方をするのか妄想していました。だいたい当たっていたと思います。
 高校2年生になるとオヤジは写真の引き伸ばし機一式をそろえて注文して買ってくれました。あるとき、「鳥渡ついてこい」といって緑町3丁目にあった写真屋さんへ行くと、引き伸ばし機を渡され、現像の仕方を店の人が教えてくれて、...サプライズでした。ほしいなんて言ったことがありません。オヤジは結婚するときにもっていたカメラを売って、写真の趣味をやめてます。自分が欲しかったのでしょうが、一度だけ「1枚焼かせろ」と言ってやってみただけで、一切口出ししません。写真を乾燥機にかけているところへ来て眺めるだけ。いいとも悪いとも言いません。好きにやらせて愉しむだけ。干渉しない、いいオヤジでした。

 ここまで書いていま思い出しました。ヤクザの親分のTさんが常連客の一人でしたが、まだ誰も客がいないときでも、一度もわたしにゲームしようと言ったことがありませんでした。お行儀のよい幹部3人ほどだけ店への出入りを許していましたが、彼らも一度もわたしにゲームの相手をしてくれと行ったことがないことを思い出しました。Tさん、出入りを許した幹部には息子とビリヤードはするなと言い渡していたんだといま気がつきました。相手したことのないお客さんって他には思い出せません。若頭のK生さん、当時30歳前後だったと思いますが、瘦せ型で見るからに元気のある人でした。高校時代にスナックへ出入りしていて、チンピラ風の客に絡まれて、あわや喧嘩になるところを、なぜか現れて「息子、どうした?」と訊くと、すぐに相手の男のところへ行って小声で何かを話して場を収めてくれました。その間2分とかかっていません。k生さん、すぐに店からいなくなりました。絡んできた相手はおとなしくなっていました。あの社会では若頭って偉いんだなって感心しました。それからはスナックへの出入りはやめました。喧嘩になってケガさせたら警察沙汰になって高校退学になりかねません。それに、借りを作ると碌なことになりません。

 高校時代になぜスナックに出入りできるほどお金があったかについても書いておきます。毎日店番をしていたことは書きましたが、ときどき土曜日は客がいれば24時間営業していました。「オヤジ寝てていいよ、今日は俺が朝まで店番するから」といって朝まで営業していました。売上が多いんです。それで10%もらう。それから、珠算塾の高橋先生から、S山先輩(2学年)が中央大学文学部へ合格して卒業し汐見町の分塾の講師がいなくなり、1年間ピンチヒッターを頼まれました。当時で8000円もらっていました。毎月、15,000円ほど毎月お小遣いがあったのです。大卒初任給の7割ほどですから、現在の貨幣価値では15万円ほどです。たまにはスナックにでも出入りしなけりゃ高校生には使いきれない。(笑)
 しかたないので、友達つれて「甘太郎」(緑町2丁目)で買い食いした後、今度は塩ラーメンが食べたいと「浅草軒」(梅ヶ枝町3丁目)でラーメンを食べるようなことしていました。
 近所(緑町3丁目)にあったパン屋さんの「畠山」で焼き立てのふわふわの食パンを買って、森永の練乳をたっぷり乗せて食べるなんてこともしてました。1斤食べ終わると練乳一缶がなくなります。お菓子よりもおいしかった。
 緑菓子店の串団子もおいしかった。餡子は「緑の父さん(鷲尾さん)」が手造り、団子は包丁で輪切りしてました。餡子がいいからとってもおいしいのです。餡作りには手をかけるけど、団子には手をかけない、仕事の主張のはっきりした職人さんでした。人がいないと「トシボー、一緒にやろう」とよく誘ってくれました。女の子2人だけだったので、ヤッコの同じ年のわたしをかわいがって遊んでくれました。あんなにおいしい串団子にまだお目にかかっていません。幼馴染のヤッコちゃんはもう十数年前に癌で亡くなりました。幼稚園の頃にヤッコのところで一緒にお風呂に入った仲だと聞かされて、びっくり。残念なことに記憶にありませんでした。(笑) 中学生になっても高校生になってもいちども口をきく機会がありませんでした。家が50mほどしか離れていないので、高校には毎日同じバスで通っていたはずです。年頃になると男女を意識するので気軽に声をかけにくかったのかもしれません。
 不思議なことにヤッコとも花屋のケイコとも洋裁店のユッコとも一度もクラスが同じだったことがありません。ユッコのところから50mほどのところの田塚歯科医院の二女のケイコは高校までずっと一緒のクラスでした。ユッコと田塚歯科医院のケイコの間に小学校の同級生の荒関の家がありましたが、NTTの空き地で一度も缶蹴りやドッジボール、ケンパなどの遊びをしたことがなかった。ヤッコと花屋のケイコとユッコが、家の前のNTTが建て替わるまで広い空き地になっていたので、遊び仲間でした。小学校の時は男女の体力差はあまりありませんので、一緒に本気で遊べます。ああ、角の床屋のマーちゃんも一緒に遊んでましたね。梅ヶ枝町1丁目の魚屋さんの女将さんです。夏場は毎日のように暗くなるまで一緒に遊んだ幼馴染でした。




nice!(0)  コメント(0) 

#5084 音の変化の面白さ:テテテビンボー?? Oct. 13, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

アガサ・クリスティ―の『そして誰もいなくなった』から、1ページ目と2ページ目に出てくる音の変化を紹介したい。

 Verious glowing advertisments of it had appeared in the papers.

 アンダーラインを引いた部分はナレーターの Dan Stevens さんは「テテテペイデン」と読んでいる。前回紹介しているが、この8行ほど前にある "all that had appeared in" のほうは「オーダツーザペーレンティン」であった。”all the tha da ppearedin”と区切ると、だいぶん似てくるが、”tha”の部分の音は「ツー」である。今度は「テ」と読んでいることになる。ofを「テ」と読むのもわけがわからぬ。ofの弱音は/ə /である。

 この文の次も同じように発音している。
 Then came the first bald statement that it had been bought --- by a Mr. Owen.

  アンダーライン部は「テテティビンボー」と発音している。thatを「テ」と発音しているのは3箇所に共通だから、thatが弱音になるときは「テ」でよろしいということになる。boughtは/bɔ:/だけで/bɔ:t/の最後の子音/t/が脱落している。
 tha ti tha (d) been bought 
 /te te  te    bi:n    bɔ:/

 これはだいぶよさげである。弱音になると速く&曖昧なり、最後の子音が飛んでしまう。ネイティブはこれを聞いて元の文を脳内に復元できるのでしょう。thatとitと助動詞hadならいい加減なあいまいな音に変えてもは意志の疎通に不都合が起きないということなのでしょうね。
 ここで代名詞のitはthe modern house and tha islandですからtheyで受けるのがあたりまえの様に思えますが、アガサの脳裏にはこれらを一体のものとしてproperty(不動産)という単語が脳裏に浮かんでいたのでしょう。それで代名詞はitを使った。これはわたしの推測です。

 10行目から始まる文もわけのわからない短縮が起きている。
  There had been it original purchase by an American millionaire who was crazy about yachting --- and account of the luxurious modern house he had built on this little island off the Devon coast.

  デボン海岸はイングランドの南西部にあるらしい。そこの沖合の島にヨット狂いの米国の大金持ちが豪奢な現代建築の家を建てた。

 he (had) built on this little island ⇒「ヒービルt オンザスリットル」

 hadは音が脱落していた。/hid/と発音していてdが弱音で速くなったので消えているのかもしれない。ここで困るのは「ピ」音が入っていることだ。

 on th islittle ⇒ th islittle
  これなら「オンザ・イスリットル」とならなければならない。音を聞いている限りではp音が入り「オンザ・スピリットル」に聞こえる。

 音読は聞こえたままをただひたすら真似を繰り返すだけ。
 もやもやが残ります。

 thatが「テ」となることはどうやらたしからしい、それだけでも収穫です。それとappearedが出てきたら前後の単語との連携で音が分割、変化するので要注意ということ。

 たったこれだけやって、発音トレーニングにこの完全版のCDは不適だということがわかりました。高校生や大学生の諸君は IBCオーディオブックスのリライト版の方でトレーニングしてください。こちらは語彙が簡単、そしてキレイです。内容はちょっと詰まりませんが、音読トレーニング用教材としては優れています。

 「#5081」の方でIBCオーディオブックスを紹介してあります。
 


nice!(0)  コメント(0) 

#5082 オーダツーザペーレン??:英語の音の変化 Oct. 11, 2023  [49.1 英語音読トレーニング]

 アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』の完全版は170 words/min.の速度ですが、たまにはとっても聞き取れない文が出てきます。1ページ目第9行から例を一つ上げましょう。

 He went over in his mind all that had appeared in the papers of Sldier Island.
 (ウォーグレイブ判事はこれまでに読んだ兵隊島に関する記事を一つ一つ、思い浮かべてみた。)
 アンダーラインの部分が聞き取りにくいので、文字を見るのをやめて音だけ聞いてみると、「オーバーツーザペーレント」と聞こえ、最後の方の音は弱く曖昧になっています。
 この音を聞いてネイティブはこの文の単語の綴りを復元でき、内容を正確に理解できるのでしょうから、何らかの共通した音の変化に関するルールがあるはずです。
 そこで、リエゾンしていると思われる音と、脱落したと思われる音を、当該箇所の音声を分解して見当をつけてみます。

 alltha ・t[h]a・ da・ ppeare[d]in
 オールザ・ツァ・ダ・ピアリィン
 /a:l・ðə ・ ・də ・piə rin/


 実際に聞こえたのは/ /のところは/tuə /でした。
 青字の部分が弱く曖昧になっています。allthaのthaはtha[t]と同じ音です。taだと「ラ」音に変わります*が、t[h]aを「ラ」としたら、区別ができなくなります。

  *What are you talking about?(何言ってるんだい?)
 この文は短縮発音になると「wha tare=ワラー」となります。ta=ラ、ti=リ、tu=ル、te=レ、to=ロです。

 区別がつかないと復元できませんので、t[h]aの母音はaの弱音で曖昧ですから「t+アの弱音=ツ」というのが変音規則かもしれませんね。たくさん集めたらだんだん姿が見えて来るでしょう。しばらくお待ちください。

 appeared((新聞に)載っていた)は前のhadと後ろに置かれたinと音がくっついて、二つに引き裂かれているように聞こえます。この部分は速くなっているので[h] と[d]の音が脱落していますね。

 これでネイティブはこの朗読を聴いて元の単語に復元して、言葉の意味を瞬時に理解しているのでしょう。引き裂かれ、前後の単語と癒着しているappearedの復元が一番難しそうですね。

 こういう事例にたくさんあたることで、慣れてきて、聞いた瞬間に元の単語が脳裏に復元できたら、映画の98%は聞き取れるのでしょう。事例を増やして、機能的に音声変化のルールをつかんでみたい。
 IBCのオーディオブック版の150 words/min.の方にはこうした事例が出てこないので、いくらやっても、こういうレベルの音の変化を処理できるようにはなりません。
 
 こんなとんでもないのが何か所出て来るかな?記録をつけて、しばらく遊んでみることにします。
    

にほんブログ村


 改訂版であるこちらの方は、この箇所をどのように朗読しているのでしょう、気になりますね。
And Then There Were None

And Then There Were None

  • 出版社/メーカー: HarperCollins Publishers Limited
  • 発売日: 2006/12/27
  • メディア: Audible版

 こちらはアガサの小説が二つセットになったCDですが『そして誰もいなくなった』の方はわたしのもっているCDと同じものです。
The Secret Adversary & And Then There Were None: Two Bestselling Agatha Christie Novels in One Great Audiobook

The Secret Adversary & And Then There Were None: Two Bestselling Agatha Christie Novels in One Great Audiobook

  • 出版社/メーカー: HarperAudio
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: Audible版

nice!(0)  コメント(0) 

#5081 英語音読トレーニング用教材として何がいいのか?Oct. 10, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

 いま音読トレーニング用教材として使っているものを三つ挙げて説明したいと思います。

 大西泰斗先生のNHKラジオ英会話は一回80語前後で、40秒ですから、120 words/分です。ずいぶんとのんびりした速度です。
 アガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』はIBCオーディオブックスでは150 words/分です。オリジナル・テキストを高校教科書レベルの英語にリライトしています。
 オリジナルの方の朗読CDは170 words/分です。

 それぞれ①(大西先生NHKラジオ英会話)、②(アガサIBC版)、③(アガサオリジナル版)とします。
 ①は30回音読するのにかかる時間は、22分くらいでやれますね。
 ②と③は100~300回くらいやったほうがいいようです。1~2段落(長い段落はぶつ切りにしてやります)、毎日20分くらい、週5日間。速度が大きいので最初のうちは口の運動ですね。すぐに慣れて口が追いついてきます。主語のところで切る、前置詞句で切る、音がつながる、音が脱落する、冠詞類や限定詞は速度が速くなり音が変わる、などがよくわかるようになります。「BとP」音を意識して音読するとか、「VとF」音に注意して音読とか、「BとP]音をはっきり区別しながら音読なんていうように、いろんなバリエーション、テーマで音読の意識の置き方を変えると退屈しません。意味に意識を置いて読むと英文がそのまま語順通りに理解できるようになってきます。戻り読みの癖が抜けていくので、英文読むのがとっても楽になります。息の仕方もCDの音源通りに再現、ピッタリ合わせられるようになります。日本語の音読トレーニングと一緒ですね。

 日本語の方の音読トレーニングは15年間、中高生相手にやりました。小学生のみなさんは日本語音読トレーニングを優先してやった方がいい。速く精確に読めることは単位時間当たりの学習の生産性をアップする決め手の一つです。予習が短い時間でやれます。
 落語のCDやDVDで真似てもいいし、俳優の朗読CDで名作を読んでもいい。息継ぎの仕方がわかります。息が合えばいいんです。
 日本語の方は先読み技術の習得が読解力をアップするカギですね。英語で先読みできるようになるかしら?そうなったらすばらしいな。

 小学生の英語は、ひたすら音読、並行して発音トレーニングをした方がいい。小3から英語を授業で教えているようですが、時数がぜんぜん足りません。子音と母音の発音の仕分けは、大人がちゃんと教えてやった方がいい。
 小学校の今の授業時数だと、英語アレルギーになる生徒が大量に出そうです。音読トレーニングをすればずっと減らせます。小学生で英語授業が効果のあるのは学力の高い生徒ですから、10人に1人ぐらいですよ。半数は英語アレルギーになり、中高と英語で苦労します。お金をかけても逆効果でしかないということ、そういう生徒に教える中高の先生もお気の毒です。

 毎日20分くらいの音読トレーニングで英語アレルギー予防をしてはいかがでしょう?
 中学生なら、教科書にQRコードがついていてスマホでそれを読めば教科書会社提供の音読が聞けますから、それを利用したらいい。高校生になったら教科書+他の音源を利用すべきです、リーディング速度と内容に問題がありますから。
 テキストは自分で選びましょう。これから述べるのはわたしが最近やり始めた方法です。
 ②は150語/分、③は170語/分の速度ですが、③は朗読がいいので②よりも楽かもしれません。楽というのは心地がよいという意味です。
 テキストの方は③の方が語彙数も構文も格段に難しい。文学作品は慣れていないとやっかいです。高校英語の範囲をずっと超えています。深読みできたら作文の参考にもなります。
 ③の速度で30分間音読すると、5100語ですから、高校3年生の教科書と同じ分量です。20分間でも3400語ですから、高校1年生の教科書全部を音読するのと同じ分量ですよ。圧倒的な音読量ですから、眼で見て、口に出して、耳で聞く、これで英語が上達しないわけはない。小4から始めたら、高2で英検準1級はたぶん余裕で合格できます。(笑) もちろん、②と③は小学生用の教材には無理がありますので、別のものを使った方がいい。後でアップしますので読んでください。

 ②と③の文を冒頭部分を少しだけ引用して比べてみます。
Sitting in the first-calss train car, Judge Lawrence Wargrave smoked his cigar and glanced at his watch --- the train would reach Devon in two hours.
  Mr. Wargrave sat back and thought about all the news reports on Soldier Island. First, a rich American had bought the little island and built a large house on it. But his wife ended up hating the place, so they left, putting the island and the house up for sale.
  After that, the papers reported that a man named Mr. Owen had bought the property.

③の方の冒頭の部分。
 In the corner of a first-class smoking carriage, Mr Justice Wargrave, lately retired from the bench, puffed at a cigar and ran an interested eye through the political news in The Times.
  He laid the paper down and glanced out of the window. They were running now through Sommerset. He glanced at his watch --- another two hours to go.
  He went over in his mind al that had appeared in the papers about Soldier Island. There had been its original purchase by an American millioneaire who was crazy about yachting --- and an acount of the luxurious moderen house he had built on this little island off the Devon coast.  The unfortunatel fact that the new third wife of the American millionaire was a bad sailor had led to the subsequent putting up of the house and island for sale. Various glowing advertisements of it had appeared in the papers. Then came the first bald statement that it had been bought --- by a Mr. Owen.

 benchというのは裁判官のことです。「長椅子」では意味不明になるので、すぐに気がつきます。
 元裁判官のウォーグレイブは一等の喫煙車輛に乗車しており、読んでいた新聞はタイムズで、政治に関する記事に好奇心の強い目を走らせています。②の方にはこれらの具体的な状況が脱落しています。高校教科書レベルの語彙と文章構造にリライトしているのですから仕方ありません、文章の量も②は③の1/4くらいに圧縮されています。

 ところで、この箇所でアガサがなんでan (interested) eye(片目)で読んでいると書いたのかはわたしにはわかりません。わたしは目が疲れると、本を右目だけで読んだり、今度は右をつむって左目だけで読んだりします。歳をとると目が疲れやすくなるのです。この箇所を読んだ時にこうした自分の癖を思い出しました。定年退職したばかりの裁判官も同じ癖があったのかな?アガサは解釈を読者の想像にゆだねています。わたしはブログのタイピングも時々片目交代で使っています。ヘンでしょ?

 到着が「2時間後」であるということですが②は"in two hours"と高校標準英語で書いているのに対して、③は"another two hours to go"とオシャレな表現になっていますね。
 ②では「米国人の金持ちの妻」ですが、③ではもっと具体的に「三番目の妻」となっています。この島と豪奢なお屋敷が嫌いで、その理由を船酔いするためと詳述してあります、だから島を去ってこの不動産を売りに出したのです。買い物に行くには船に乗って島を出て本土へ行くのですから、船酔いの質だと嫌になりますよね。そうなのに、ヨット狂いの大金持ちの三人目の妻になりたくて結婚しているのですから、ここには三番目の妻の財産への打算がはっきりと書き込まれています。②の方はそのあたりの事情がすっかり抜けてしまっていますから、味気ないですね。
 このようにアガサのオリジナルの文章はずっと意味深で表現も凝っているのです。
 面白そうなので、両方比較しながら1年間音読トレーニングをしてみます。(笑)

 (小学生英語については小中高で一番教え方がむずかしそうなので、稿を改めます。)

<余談-1:凝った表現>
 ③で引用した最後の部分(2ページ目の1行目に出てくる文)の表現が凝っています。

  Then came the first bald statement that it had been bought --- by a Mr Owen.

 倒置ですね。「それで、そっけない記事が載った」と書いて、そのあとに説明「島が買われた」を付け加えています。"a Mr Owen"も意味深ですね。日本人の苗字なら例えば「佐藤さん」ですね。佐藤さんはたくさんいるので、不定冠詞付きで「とある佐藤さん」「佐藤さんという人」とでも書いているのです。
 ところで、なぜ主語が倒置されたのでしょう。この文は第1文型です。主語が関係節修飾されているので、主語と関係節は一塊にしないといけないからです。
 Then the first bald statement that it had been bought --- by  Mr. Owen --- came.
 主語を冒頭にもって来たら、随分読みにくい文章になってしまいます。耳で聞くと意味が聞き取れないでしょうね、これは物書きの文章ではありません。
 ②の方はthe island and the houseをthe propertyという別の名詞で言い換えていますが、アガサ・オリジナルの③の方はitで受けているんです。高校英語ではitで受けたら×でしょうね、だから、リライト版の方では the propertyという単語で言い換えざるを得ませんでした。では、なぜアガサはitを使ったのでしょう?
 島とお屋敷は不動産として一体のものですから、アガサの頭の中では一つのもの(=不動産)として意識されていたのだろうと思います。ここは不動産を売り出す場面ですから、島とお屋敷は切り離せない一つの実体です。だから、代名詞のitで受けたのではないでしょうか。代名詞や冠詞類の扱いは、書き手が脳の中でどのように対象を意識したかで違ってきます。―面白いでしょう?

 そういうわけで、表現を楽しむなら、断然③がいいとわたしは思いました。

<余談-2:英語という人生の旅の友>
 経済学や会計情報システムやシステムエンジニアリング、医学関係の専門書はこんなに凝った文体で書いていませんから、ずっと楽に読めます。もちろん、その分野の専門知識があることと、専門用語をそれぞれ1000~3000知っていたらという話になります。たとえば、理系学部出身者は日経新聞の記事レベルでも、意味不明な箇所がたくさん出てきます。経済・金融・財政・企業経営などに関する専門知識を必要とする記事が載っていますからね。それらに関する専門書も少しは読んで素養を育んでおかないと、日経新聞と言えども手も足も出ない記事にしょっちゅう遭遇することになりかねません。簡単な日本経済新聞でも、読みこなすにはこれらの分野の専門知識が必須なのです。英語で書かれた文も同じことが言えますね。
 わたしの英語はもっぱら、大学院の専門分野であったマルクス経済学と民間企業5社で担当した仕事で育んだものです。実際には、たとえば好奇心からシステム関係の専門書を読み漁っていたら、そういう仕事、社内にシステム開発担当者がいないのと、システム開発には対象となるいくつかの専門分野や業務の知識が必要なので、「お前が担当しろ」ということになるのです。(笑)
 欧米のNATUREやSCIENCEや医学専門雑誌を仕事の時間に読み漁っていると、たまたま席の横を通りかかった学術開発本部担当役員が読んでいたチョムスキーの『Knowledge of Language』を手に取って見て、すぐに折り返し社内電話がかかってきて、「俺のところは来ないか?」「いいですよ」、そして翌日には異動しているなんてこともありました。強引な引き抜きでした。異動してからわかりましたが、3つの部門を(開発部・学術情報部・精度保証部)をマネジメントできる人材がいませんでした、ちょうどよかったのです。マネジメントの視点からは開発部門が難題でした。検査試薬の共同開発がメンバーバラバラのやり方で工程管理ができていなかったので、パートチャートで標準化してます。
 異動前は購買課で機器担当とシステム担当をしていた時で、さらにその2年半前に管理会計課で経営統合システム開発と予算編成及び予算管理と固定資産管理の仕事していた時に提案した検査試薬のコストカットを、購買部門がやれないというので富士銀行から出向していた副社長のYさんがプロジェクトをつくるから「おまえがやれ」と言われて、プロジェクトを引いて、交渉が成功裏に終わると購買課へ異動辞令、2か月間の約束だったのに反故。都立病院への贈賄事件で売上の伸びがストップしたので、利益確保にタイミングの良い提案でした。うまく利用されました。(笑) それで15-20億円の原価カットを2年続けて3回やった後のことでした。個人の机の中にしまい込んであった、さまざまなメーカーの取扱商品に関する資料を、共通の本棚を置いて、大きな穴開けようのパンチ機を購入して、ハードカバーのファイルにとじ込んで、並べ、ラボ内の検査各部署の人がいつ来ても、担当がいなくても自分の欲しい商品を探せるように改善しました。例えば、消耗品担当者が休むと、メーカーの商品資料が鍵のかかった机の中にあるので取り出せないのです。バカバカしいので全員の了解をとって大きな本棚を入れて整理しました。購買在庫管理システムの不具合や新機能付加の仕事も一段落したので、暇に飽かせて、検査部門のさまざまな検査担当者にメーカーの営業担当者から取り寄せてもらった測定に関する学術文献を読み漁っていましたが、飽きると仕事時間中にチョムスキーの著作を読んでいました。自然言語理解に興味があったからです。1988年頃は人工知能開発に興味がありました。1986年に「臨床診断システム開発と事業化案」を書いて、創業社長の藤田光一郎さんから200億円の予算で、フィジビリティスタディを承認してもらっていました。エキスパートシステムですから、人工知能ではありませんでした。産学共同プロジェクトで出来上がった日本臨床検査項目コードは1991年に最初のバージョンが公表されて、いまでも全国の病院やクリニックで使われていますが、これは「臨床診断システム開発と事業化案」の中に10個あるプロジェクトのひとつでした。大手6社と臨床病理学会の項目コード検討委員会の櫻林郁之助先生との産学協同プロジェクトの背景には、「臨床診断システム開発と事業化案」が背景にあったのです。世界でこの分野で標準コードがあるのは日本だけです。知的興味で異分野の本を読みだすとそれに関わる仕事がついてくることが多いのです。
 それぞれの分野で最先端の仕事やプロジェクトになると、日本の文献では間に合わなくて、いくつかの分野の英語の専門書群を読んでました。だから、英会話の方は必要を感じませんでしたから、音読量に長年不足を感じていました。74歳になっていまごろそれを補おうとしています。(笑)
 昨年、古里の極東の町から東京へ戻ってきてきて、気分一新、必要になったから音読トレーニング中です。
 好奇心が知的活動の原動力ですね。
 機会があったら、また国立大医学部受験の生徒と関わってみたい。O君の時とは教え方がだいぶ違ってきそうです。


にほんブログ村

CD付 そして誰もいなくなった And Then There Were None (IBCオーディオブックス)

CD付 そして誰もいなくなった And Then There Were None (IBCオーディオブックス)

  • 出版社/メーカー: IBCパブリッシング
  • 発売日: 2014/12/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 オリジナル版の方のCDの出版社が見つかりません。箱捨てちゃったのかな?
  本棚を探したらありました。

 Harper Audio ナレーターはDan Stevens、CD5枚組で、録音時間は6時間です。


 ナレーターが違いますが、「完全版」となっているので、こちらがよさそうです。
 AND THEN THERE WERE NONE

発音トレーニングにはフォニックスがいい。発音と綴りの関係がよく理解できるので、特に小学生が綴りを覚えるのには必須の発音トレーニング教材です。

CD BOOK フォニックス<発音>トレーニングBOOK (アスカカルチャー)

CD BOOK フォニックス<発音>トレーニングBOOK (アスカカルチャー)

  • 作者: ジュミック今井
  • 出版社/メーカー: 明日香出版社
  • 発売日: 2005/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
CD BOOK ドリル式フォニックス<発音>練習BOOK (アスカカルチャー)

CD BOOK ドリル式フォニックス<発音>練習BOOK (アスカカルチャー)

  • 作者: ジュミック今井
  • 出版社/メーカー: 明日香出版社
  • 発売日: 2009/09/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
DVD版の発音トレーニング教材は、口元が大写しになっているので、真似しやすいです。ふたつ使って試しましたが、どちらでもいい。

DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本

DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本

  • 作者: 鷲見由理
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
発音指導DVD&CD付 英語の発音がよくなる本 ミス・アッシリィの発音を見て聴いてマスターする

発音指導DVD&CD付 英語の発音がよくなる本 ミス・アッシリィの発音を見て聴いてマスターする

  • 作者: 巽 一朗
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2005/03/03
  • メディア: 単行本
  ジングルスというシリーズものがあります。thの発音トレーニングにはこれが一番よかった。小説を利用した音読トレーニングで、発音にいまいち不足を感じている人には好いでしょうね。レベル85,86,87と、3つ出ています。レベル85が出てきませんでしたので、amazonの該当アドレスを貼り付けておきます。
 タイトルのjingleというのは「同じ音の繰り返し」という意味です。

英語の発音 ザ ジングルズ レベル86発音筋肉強化編

英語の発音 ザ ジングルズ レベル86発音筋肉強化編

  • 作者: スティーブ・ウォーカー(著)
  • 出版社/メーカー: (財)日本英語発音協会サミットエンタープライズ
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
英語の発音 ザ ジングルズ レベル87発音筋肉国際編

英語の発音 ザ ジングルズ レベル87発音筋肉国際編

  • 出版社/メーカー: ダイエックス出版
  • 発売日: 2015/04/16
  • メディア: 単行本
amazonで検索したら、2019年の版が出ていました。私のは2002年に出版されたものです。
『英語の発音ザ ジングルス 85基礎筋肉編』で検索してください。


nice!(0)  コメント(0) 

#5065 You should have seen that coming.:生成文法からの解説 Sep. 18, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

 標記は『NHKラジオ英会話9月号』Lesson 114のダイアログ本文(9/21放送予定)に出てくる文です。
 You should have seen that coming.

 仮定法過去完了の文ですから、「~すべきだったけど、そうはしなかった」過去の行為を咎める発言です。
 シーンは、異星人の警備に当たっていたガードマンが、鍵をかけた部屋に閉じ込めて、コンビニへ買い物に行き、戻ってきたら、部屋には異星人がいなかったという流れの中で、異星人を担当している科学者が、どうして異星人がいなくなるようなことになったのか、ガードマンに話を聞いているところです。

 大西泰斗先生の解説では仮定法過去の文であることだけ述べられています。彼はこういうタイプの文を「目的語説明型の文型」と説明しています。「that=coming」、thatとcomingが主語と述語の関係になっているからです。
 もう少し広い概念である「説明ルール:説明は後ろに置く」の適用例だと考えることもできます。
 「指定ルール:指定は前に置く」と「説明ルール」の2大ルールが英作文をより簡単なものにしてくれますので便利な概念です。
  大西先生は常にプラクティカルです。丸ごと文例暗記すれば、会話で口から瞬時に出てくる、そこまでやらないと、会話では使えない。私は苦手ですが、ほんとうにそうですね。

 これでは満足しない生徒がたまにいます。「地下鉄はどうやって車両を地下に入れたのだろう?」なんて疑問がわくと数日それに集中してしまい、眠れなくなるなんて言うタイプの生徒がいます。
 そういうときに便利なのが生成変形文法です。
 やってみますね。

  基底文に分解すると次の2文になります。
A: You should have seen that.(あなたはそれを理解すべきだったのにそうしなかった)
B: That is coming.(それは起こるべくして起きる)

 seeの目的語の指示代名詞のthatはBの文の主語と同一ですから、関係代名詞で接続します。
A+B : You should have seen that (that is) coming.

 「主格の関係代名詞+be動詞」は消去変形が働くので、消去されます。こうして、元の文ができます。
元の文:You should have seen that coming.

 指示詞のthatは直前の文にある、「"he was gone"、異星人がいなくなってしまうという事態」を指しています。既述の特定の文章"he was gone"を表しているので、漠然とした状況を受ける"it"でも、特定の名詞を受ける"it"でも受けられません。特定の事態を受けているのですからthatなのです。

 現在進行形が未来を含意するときは、モノの道理として、時間が経過すれば当然にそれが起きるということを表します。
C: It will rain tomorrow.((天気予報で)明日は雨です)
D: It is going to rain soon.(間もなく雨が降りそうだ)
E: It is raining in an hour. (1時間後に雨が降りそうだ)

 Dの文は、西の空に黒い雲が出ていて、西風が吹いてきたときというような状況が想定されています。Cの文は現在の天気図や衛星画像やコンピュータシミュレーションの結果の予測値です。根拠はありますが、Dの文ほどの確実性はありません。Eの文はもっと確実性が高くなります。その土地の古老の漁師が経験に基づいて1時間後の気象判断をしているような蓋然性の高い趣があります。すでに天気がその方向に向かって着々と進行中であるというイメージが現在進行形が未来時制に用いられる所以(ゆえん=理由)です。

 2022年3月までにA4判で1426ページ、14000問題ほどの英作文とその解説集を作りました。大西泰斗先生の「ラジオ英会話」のテキストを英作文用に改編して、英英辞典による単語の解説や十数冊の参考書から関連する文例をピックアップして付け加えていました。いま15人ほどにメールで週に2回配信しています。2021年11月放送分を昨日配信しましたので、まだ2年分くらいの「在庫」があります。
 先週から、また『ラジオ英会話9月号』をWORDにタイピングし始めました。時々、気になるところがあるので、こんな風に解説を付け加えています。学校の授業では冠詞類の説明があまりなされないようなので、時々ラジオテキストの文例を使って解説を挟んでいます。昨夜、A4判で1480ページ目のタイピングを完了しました。
 日本一涼しい極東の町から昨年11月に東京へ戻ってきてこの暑さ。暑くて暑くて、なんにもする気が起きませんでしたが、そろそろ、数学の学習も再開しようと思っています。複素平面の問題集をやり終えていません。暇な老人の暇つぶしにはもってこいですね。

 真夏日が100日になろうとしている首都圏ですが、夏真っ盛りは過ぎて、夜は秋の虫たちが鳴いています。秋の夜空は藍色が濃くなるような気がします。そういう夜になく鈴虫の音がきれいです。夕暮れ時に聞こえてきていたヒグラシの音はしなくなりました。
 今日も天気予報は最高気温が34度になると告げています。気温はまだ暑いですが、心は忍び寄る秋に寄り添っているようで、やる気が少し出てきました。
 英作文のメール配信は来年いっぱいで終わりにします。配信予定のない問題・解説集の増補版ですが、愉しいので今までとは少し視点の違った英作文問題解説集にしたいと思っています。無駄もまた楽しからずや(笑)
 



nice!(0)  コメント(0) 

#5058 映画で気軽なリテンション:『愛は静けさの中に』 Sep. 11, 2023 [49.1 英語音読トレーニング]

NHK衛星放送で9/8に『愛は静けさの中に』と9/11『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という映画を見た。
 どちらも字幕付きだったので、リテンションをしながら楽しんだ。聞き取りにくかった部分は、字幕を参考にして台詞を補った。全部が聞き取れなくても気にしない、今まで自分の語彙にためてあるものが、物語の中で使われて出てくるので、シーン展開の中で使い方が覚えられる。時々、メモとってました。

 この映画の原題は"Children of a Lesser God=小さき神の作りし子ら"と "Extremly Loud & Incredibly Close"である。
 『愛は静けさの中に』というタイトルは、翻訳者が内容を見てつけたものなのだろう、ピッタリだ。前者は主演の女優が21歳の聾啞者(役も耳の聞こえない女性を演じている)で美しい。この作品がデビュー作となったマリー・マトリンはアカデミー主演女優賞をいただいています。後者は9/11でワールドトレードセンター106階へ仕事で出かけていて父を失った子供の話である。アスペルガーな少年は、父が残した「鍵」に執着して、3年間学校へ行かずに執拗に調査を続ける。その過程でさまざまなことを知り、成長していく。「鍵」にはどんでん返しがある。
 後者の映画は現代そのまま直訳です、滑稽なほど工夫がありません。「ものすごくうるさい」のはアスペルガーの主人公のこと、「信じられないほど近い」のはそのお母さんです。父を亡くした息子と最愛の夫を失ったお母さん、息子はお母さんとの距離がどんどん離れて行っているのを感じながら、三年間異常なほどの計画性と綿密性で調査をし続けますが、お母さんは離れてはいませんでした。毎日ピッタリと息子に寄り添っていたのです。原題そのままの映画でしたから、直訳するしかなかったのでしょう。
 『アスペルガーな息子と内緒で伴走する母親』
 『9/11で父を失った息子と妻の物語』
 どれもダメです。直訳か英語原題そのままがいい。

 ドアベルを鳴らしても誰も出てこない、ガラス越しに家の中をみながら、
 "No one's there."(誰もいないや)
 会話ではよく使われるシンプルな表現です。
 ひょんなことから一緒に調査に付き合うお爺さん。お婆さんの家の「間借り人」という設定でしたが、じつは事情があってお婆さんと結婚できなかったドイツ人男性。両親をドレスデンの空襲で同時に亡くしたときのショックから、それ以来声が出せません。少年の歩くのがとても速いので、"I can't walk that fast." (そんなに早く歩けないよ)とメモを書いて渡します。
  このthatは副詞のthat(そのように)です。父親が会話の時に肩をすぼめる癖がありました。一緒に毎日歩き回って人を訪ね、老人に同じ癖を何度も見出した少年は、ついにたまりかねて言います。
 "You must be my grandfather."(ぼくのおじいちゃんでしょ)
 こちらもジジイですから、この台詞に胸が熱くなりました。感動を伴なって脳と心にインプットされる台詞は響きが違います。脳にインプットされるだけでなく、心の琴線に触れるんです。

 青太字をクリックしたら、ストーリーが確認できますが、映画も見てほしい。どちらもティストがまったく違いますが、それぞれすばらしい。傑作です。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

#4835 available:使われることが多い語彙です Sep. 28, 2022  [49.1 英語音読トレーニング]

 今日9/28は水曜日なので、高3の英語教科書VIVIDⅢを使った高1の生徒のための音読トレーニングの日です。p.91~97まで。

(1) A lady named Laurene Powel was there to listen to his speech.  Because no other seats were available, she sat in one at the front.

  available:入手できる、購入できる、利用できる

 この単語はよく出てきますが、日本語にしにくいことが多いのです。これは処理しやすいですよ。「利用できる」で直訳で意味が通じますが、わざわざ、「利用できる椅子がなかった」なんて言いませんよね。
 「他に席が空いていなかったので、最前列のひじ掛けのついた椅子に座った」
  sat in oneとあるので、ひじ掛けのついた椅子であることがわかります。ひじ掛けがなければ、sat on oneと書いたはずです。

(2) When Steve arrived, she found herself sitting next to the guest of honor.  She jokingly told him that she had won a contest and that the prize was dinner with him.

 さて、スティーブが会場に到着します。ローリンが主賓席の隣、つまりスティーブの席に座っていました。ローリンは冗談めかしてスティーブに言います。「コンテストで優勝したら、その商品はスティーブ、あなたとの食事よ」、最前列は主賓席ですからね、コンテストなら優勝者が座る席です。ローリンは洒落を言ったのです。
 この文は間接話法の文ですが、直接話法で書くと、次のようになります。
  She jokingly told him "I win a contest and the prize is dinner with you."
 彼女は現在形で言ってます。つまり、「コンテストで優勝したら、当然にその賞品はスティーブ、あなたとの食事よ」、わたしが座っているのはあなたの席なのだから。


(3) But once in his car, he had a change of heart: "If this were my last night on earth, would I rather spend it at a business meeting or with this woman."

 仮定法ですね。ここは上手に訳してました。
「スティーブは車の中で心変わりしました。”これが最後の夜だとしたら、その最後の夜に仕事の打ち合わせをしたいのか、それとも彼女と一緒に食事したいのか”」
 スティーブは仕事の打ち合わせに行くつもりだったのが、車の中で心変わりして、これが自分にとって最後の夜なら彼女と食事がしたいと心の底から思ったのでしょうね。
 it=my last night

(4) Steve ran across the parking lot and asked Laurene if she'd have dinner with him.  She said yes, and they walked into town.

 lotは「(ある目的用の)土地」なのです。parking lot「駐車場」です。
「スティーブは駐車場を駆け抜け、ロリーンに一緒に食事するつもりがあるかと尋ねました。ハイと応じて、二人は町へ歩いていきました。」

(5) It was back in June 2005 at Stanford's commencement address that Steve first made the announcement that he was suffering from cancer.

 これは強調構文です、強調構文の中でもこのタイプは分裂文cleft sentenceと言います。
*#4501 cleft sentence①
*#4502   cleft sentence②
*#4505   cleft sentence③

 「指定ルール:指定は前に置く」が適用されています。「2005年の6月にさかのぼる」はそれ以下の節を指定しています。commencementはスタンフォード大学の大学院ビジネススクールの学で位授与式です。そこでの演説addressでスティーブは自分が癌に侵されていることを告白しました。


(6) In his speech, he honestly admitted that no one wants to die, and advised students as follows: "Your time is limited, so don't waste it living someone else's life."  Don't let the noise of other's opinion drown out your own inner voice.

 わかりにくい文ですね。in his speechは指定ルールの適用で、「スティーブのスピーチで言われたことです」と、この句の次の文を指定しています。
 speech=addressです。同じ語を続けて使うのはボキャ貧まるだし、恥ずかしいので言い換えます。
「演説で、スティーブは誰も死にたい人などいはしません、そして学生に次のように伝えました。”あなたたちの時間は有限です、だから自分の時間を無駄にしないでください/誰かほかの人の人生を生きるというように”」
  わかりにくい表現が出てきたときには、次を読み進めたらいいのです。たいがい具体的に表現していますから。ここでは「誰かほかの人の人生を生きるような」ということが、「他人の意見という雑音に惑わされるな/自分自身の内なる声をかき消してしまうような(雑音)」と、しっかり説明してくれています。

(7) And most important, have the courage to follow your heart and intuition.

  この文には二人とも困ったようです。どういう文型なのか判断がつかなかったようでした。前に置かれた句は、「だから、重要なことがある」と前の文を受けてそのあとの文を指定しています。have以下は命令文です。そこがつかみにくかったようです。

「だから、重要なことがあります。あなたのこころと直感に従う勇気をもて(と私は言いたいのです)」


(8) more A than B「BというよりはAである」
 1. Pandas are more cute than beautiful. 「パンダは美しいというよりかわいい」
 比較級を使う場合は、同じものを比べます。だから「美しい」と「かわいい」は比較級にならないのです。では、比較級を使う場合の事例をあげてみます。
  Pandas are cute.
      Lions are cute.
      Pandas are cuter than Lions [are cute].
  2. Some of his teachers regarded him more as a troublemaker than as a special kid.

   「スティーブは特別な子どもというより、扱いにくい子供とみなす先生たちがいた。」
 『英文法総覧』p.350では「同一物の異なる性質の比較」としてこれが採り上げられています。
  Tom is clever than John.  Tom is more clever than honest.
  「トムはジョンよりも賢い。トムは正直というよりはむしろ賢い」
  He is more shy tha unsocial.
  「彼は社交性がないというよりは、むしろ内気なのだ。」

<スタンフォード大学のビジネススクールについて>
 p.92に1989年10月にスティーブはスタンフォード・ビジネススクールで演説の機会が与えられてことが記されています。
 スタンフォードは理系の大学ですが、ビジネススクールがあります。大学院のコースで修士課程です。ここを修了するとMBAの学位が与えられます。公認会計士も米国は理系分野の学部出身者が多いようです。日本では文系の大学院にビジネススクールがあります。なんだかヘンですね。
 ビジネススクールではビジネスに関する教科が教えられますが、たとえば会計学は、コンピュータシステムを前提とした実践的な管理会計学が教えられます。原価計算も同様です、上場企業で原価計算をコンピュータシステムを使わずにやっている企業は1980年代の半ばにはありませんでしたが、日本の原価計算学会は、まるでシステム音痴でした。経営分析には数値計算が必要になるので、コンピュータの数値計算プログラミングも必須です。日本では1980年代はAccounting Information Systemのような分野は翻訳書がありませんでした。会計学とコンピュータシステムの両方を理解できる会計学者が日本に存在しなかったからです。 

<リテンションは英語力を飛躍的にアップする>
 リテンションとは1文を読んだ後、その分を丸ごと再現するトレーニング法です。3回読んだら、顔を上げてテキストを見ないで、口に出してみましょう。チャンクごとに意味をつかんでいないとできません。それを英語の語順通りに口に出します。英文法知識もフル動員してやります。英検準1級以上にチャレンジする人にはおススメのトレーニング法です。
 水曜日の高1の生徒に試してみたら、2行の文でもリテンションできました。脳への負荷が大きいのですが、トレーニングを繰り返すとしだいになれます。英検準2級をこれから受験する人でもやれますよ。
 家で一人で、コツコツやってください。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

#4828 andとso:  Sep. 21, 2022 [49.1 英語音読トレーニング]

  水曜日は高1の2名対象の2時間の英語音読トレーニング授業、VIVIDⅢの第4章のPart4、58,59頁と第7章のスティーブ・ジョブズのpart2と3をやりました。
 andとsoに注目して読んでみてください。

   Many people have old cellphones at home, and often they don't know what to do with them, Dewar says that the useres should know this: cellphones cotain dangerous elements, so they mustn't be thrown into a landfill.  Also, if cellphones are refurbished, that will help decreases the demand for coltan mining, and can save gorillas and other animals in t have also started programs in their habitates.
   Now it's your turn to take action.  Cellphone companies have also started programs to collect old phones, so it is easy to have yours recycled.  At the same time, encourage your family and friends to do the same.

 最初のsoも最後のsoも「Aがあってだから次は当然B」という役割の接続詞。andは並列の接続詞というよりはこのsoを少し弱めただけ。やはり、「Aがあって、だから次は当然B」という役割の接続詞です。
 それと書き手はsoが三つ続いたのでは文体の単調さがあらわになり、みっともないので、so⇒and⇒soと変化を付けたかったのです。

①so「スマホには危険な元素が含まれており、(当然)地中に埋めてはいけない」
②and「スマホが再生処理されれば、それはコルタン採掘需要の減少に役立ち、その結果、ゴリラや他の動物たちが救われる」
③so「スマホを扱う会社は古いスマホを集めるプログラムをスタートさせた、それで、スマホのリサイクルは簡単である」

 andのここでの機能は並列の接続詞ではありません。「Aがあって当然Bがある」という論理的な順序を表していますから、soの弱形です。並列なら前後を入れ替えることができますが、ここでは論理的な順序を含んでいるために、前後を逆転できないのです。
 スマホに含まれる危険な元素とは、たとえばリチウムイオン電池に含まれるさまざまな化合物質があります。

 ステーブ・ジョブズの章でも具体的なイメージがつかみづらい表現がでてきました。躓いたのは次の文です。もう一人は読めてました。
   ""When you're a carpenter making a beautiful chest of drawers, you're not going to use a piece of polywood on the back, even though it faces the wall and nobody will ever see it. You'll know it's there, so you're going to use a beautiful piece of wood on the back."

 everはseeを指定しています。大西先生の「指定ルール:指定は前に置く」です。「チェストの裏面が壁に面しており、そして誰も後ろ側を見さえしなくても」という意味です。書き換えてみましょう。
 even though it faces the wall and anybody will never see it.「裏側は誰も見ない」
  表現を変えると、ニュアンスが違ってきますね。ここでのandは並列の接続詞です。前後関係を考慮して臨機応変に判断しましょう。
 もう一つ、2番目のアンダーラインが扱いにくかったようです。
 「(作った当人である)あなたはそれがそこにあることを承知しています、だから裏面にもいい材料の木材を使うのです」
 裏面にどんな材料を使ったのかを、作った本人は承知しているということ、自分自身をごまかすことはできない、職人魂とはそういうことです。

 面白い文が出てきました。現在の政府の経済政策や教育政策は誤っているのではないかと考えさせられました。アップルの創業者のような新たな産業分野を切り拓く人材が日本には必要です。まったく逆のことをやっているように見えます。本文から引用するのでじっくりお読みください。

   Many women in the 1950s, were stay-at-home mothers, and Steve was lucky that Clara was able to spend a lot of time with him at home. She even taught hem how to read before he started school.

「1950年代は専業主婦がふつうで、ステーブはラッキーでした。お母さんのクララが家で一緒にたくさんの時間を過ごしてくれたからです。クララは就学前にステーブに読み方を教えてすらいます」

 クララが専業主婦だったからこそ、アップルの創業者ステーブが誕生したのです。彼女が共働きだったら、ステーブに就学前に字の読み方を教えることはかなわなかったでしょう。
 日本の産業が長期にわたって低迷しているのはGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・amazon)のような新分野を切り拓く巨大企業が生まれないこと、つまり、そういう創業者を輩出できないからなのです。
 それなのに、政府は夫婦共働きを推奨し、促進しています。男が一人で稼いで女性は専業主婦というのは、よほど男の稼ぎがよくないと不可能です。40%が非正規雇用で、その平均年収はよくても300万円足らずですから、男一人の稼ぎで暮らしていける家庭なんて10%もいません。
 クララとステーブのように、日がな一日、母親と子どもが一緒に過ごし、就学前に文字の読み方をじっくり教えるなんて、現在の日本のふつうの家庭では不可能ではありませんか。異彩を放つ人材がたくさん輩出してこそ、新しい産業分野を担うものが出現するのではないでしょうか?
 政府の経済政策や教育政策を根本から変える必要がありはしませんか?
 専業主婦の役割を見直す必要がありはしませんか?



にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0) 

#4826 モクロー君のプレゼント:写真家ビビアン・マイヤー Sep. 20, 2022 [49.1 英語音読トレーニング]

 台風14号は宮崎県で大きな風水害を引き起こし、速度を上げて日本海を北上中です。根室も今朝から強い雨が降り続いています。小中学校は臨時休校のようです。根室高校は昨日夜の時点では、臨時休校連絡がまだなかったようですが、さて、今頃授業していますでしょうか?
(ほとんどの生徒が車で送ってもらったようです。小中学校も高校も授業していました。)

 9/14に根室まで来て、高1の生徒二人に英語の授業をしてくれました「タクロー君」ことハンドルネーム「後志のおじさん」から、9/23に44頁の長文の読み方の「極意ノート」が送られてきました。当日参加した二人と、参加したかったけど都合のつかなかったもう一人の高校1年生に、送られてきたコピーをあげました。


 2021年度の共通テスト第Ⅱ日程の英語問題の問5の問題文が丁寧に解説してあります。120 words/mの速度がないと問題文全文を読むことができないという指摘は、具体的な読解速度目標があってとてもいいものでした、彼女たちの役に立ちます。漫然と読解トレーニングを続けていては、入試の時まで95%の生徒はその速度には達しないでしょう。「戻り読みしない」「文法事項は身についているか?」「語彙力はあるか?共通テストレベルで4500語は必要」と畳みかけるように具体的です。

 音読トレーニングは、チャンクごとにスラッシュを引いて、語順通りに日本語にしていく読み方のトレーニングですから、だんだんよくなっています。戻り読みの癖をとるために1月から、音読トレーニングをしています。1.2年の教科書が終わって、3年生の教科書に入っています。
 最後は日本語にしないでチャンクごとに読んでいくと速度は150words/分を超えるのでしょう。モクロ―君は180words/分で読めるそうです。TOEICスコア930点、すごいですね。ドイツ語もかなり速い速度でペラペラでした。彼の方法論で語学学習したらそうなる。大事なことは、覚えなくてもいいからひたすら口に出して繰り返し発声すること。その内に自然に体が覚えてしまいます。

 ところで、この問題のトピックは、写真家のビビアン・マイヤーです。シカゴの街路上で人々の日常の姿を被写体に気づかれることなくたくさん撮っています。当時のシカゴで暮らす人々のありのままが6X6判のフィルムに切り取られています。

 In 1952, at the age of 26, she purchased her first 6X6 camera, and it was with this that most of her photograghs of on the streets of Chicago were taken.

  1952年に彼女は26歳になっていますが、6X6カメラを購入します。buyよりもpurchaseのほうが固い用語です。たとえば、企業の購買部門はpurchase departmentと言います。

--------------------------------------------
 SRLの購買部門で3年間仕事した経験があります。一人で検査機器や設備を毎年20億円以上買っていました。最先端の機器に仕事で接することができますから、愉しい。医療機器の展示会へも仕事で出かけられます。少し範囲を広げて、ATCC(American Tissue Culture Center)の有料講演会もね。講演会への出席はあとで報告書を人事課へ提出するだけでいいのです。仕事をシステム化したり、標準化して半分位の時間でやれるようになると、ラボの図書室で、海外の科学雑誌や医学専門誌、二十数種類を仕事時間中に読み漁れます。極楽でした。(笑)
 あるとき、自分の席でチョムスキーの「Knowledge of Language」という言語学の専門書を読んでいたら、学術開発本部担当役員の石神さんが机の横を通りかかって、「何読んでいるんだ?」と本を手に取ってタイトルと中を見ます、彼が席に戻るとすぐに電話がありました。「俺のところに来ないか?」「いいですよ」、強引な人ですからすぐに人事と交渉して翌日異動辞令が出ました。八王子ラボの1階から2階へ引っ越すだけ。半年後には学術開発本部スタッフとして取締役の片腕として本部内で手が付けられなかった仕事をいくつか担当して次々に片付け、本部内のマネジメントを仕事にしてました。
 開発部と学術情報部と精度保証部の三つの部門が学術開発本部に属してました。それぞれの部門の仕事も担当することになりました。本部内の全部の部門のマネジメントができるスタッフがいなかったのです。大きな仕事を次々に片づけたので、「数年後には俺が使われているかもしれないな」って取締役がつぶやいてました。
 大きな仕事とは一つは開発部でやっていた、製薬メーカーとの検査試薬の共同開発プロジェクトにかかわる仕事の標準化です。各人それぞれバラバラなやり方でマネジャーが管理不能だった仕事のスタイルを、PERTチャートを利用して標準化しています。もちろん、わたしも2案件担当しています。DPC社のⅣ型コラーゲンと塩野義製薬の膵癌マーカーでした。自分でやってみるのが一番理解が深くなります。もちろん全員から、それぞれのやり方をヒアリングしてます。その上でのPERTチャートを利用した標準化でした。システム屋でなければできないやり方です。開発部には一人もそういう経験のある社員がいませんでしたから、石神さん大喜びでした。これで、誰がどこまで進捗しているのか一目瞭然になりました。マネジメントはこういう具体的な専門ツールを知らないとできません。
 二つ目は沖縄米軍からの出生前診断検査の導入要望でした。学術営業部の佐藤君から、資料を取り寄せてほしいと、向かいの席の米国在住25年の臨床検査技師「お姉さん」の東さんが学術論文を取り寄せてました。「佐藤君がシステム本部に不可能だと断られてこまっている、あなたならできるでしょ」とポンと英文の学術論文を向かいのわたしの机に置いたのです。毎週金曜日には5時になると、「Nice weekend, bye!」とにこやかに手を挙げて挨拶してさよならする人でした。佐藤君がシステム本部に断られた理由もすぐにわかりました。妊婦の妊娠週令や体重、人種など必要な情報のいくつかが、SRLの基幹業務システムの入力項目になかったのです。業務受付システムの大改造になるので、システム本部が不可能と返事したのはあたりまえでした。なるほどな、さてどう解決してやろうかと一日考えて、やり方を決めました。沖縄営業所でのパソコンでの処理を考えました。足りない情報は沖縄営業所で入力し、三項目の検査データが出たら、八王子ラボから沖縄営業所へ検査結果ファイルを送信して、沖縄営業所で入力した情報とファイルの結合処理し、そこで計算処理をして報告書をプリントする。たったそれだけのことで、不可能だった仕事が可能になりました。沖縄米軍は重要顧客の一つですから沖縄営業所が出生前診断分の検査依頼の数項目の入力は嫌だというはずがないのです。C言語の扱えるプログラマーを1人、1か月間出してもらって、計算処理の仕様書を書いて渡しました。上野君という30少し前のプログラマーでした。すぐにやってくれました。賞味一月はかかりませんでした。わたしがHP41cで曲線回帰プログラムが扱えないと仕様書が書けませんでしたね。元データは学術論文に載っていましたが、回帰式は載ってませんでしたので、こちらで計算しないとプログラミング仕様書が書けないのです。HPの計算機は1978年から使い続けていたので、これの標準統計計算機能を使って処理できます。SRL社内で当時HPの科学技術計算機が使えるのは研究部に一人と、学術開発本部のわたしだけでした。学術営業の佐藤君はラッキーでした。これは1990年お仕事です。
 三つめは慶応大学病院から出生前診断検査のMoM値の基準値を探る研究への協力。ドクターからこの関連の文献を探すように佐藤君が依頼されていました。わたしの向かい側の席の東さんが頼まれていたものです。その仕事もわたしが同時に担当しました。沖縄米軍でやった仕事を説明して、どんな体制をとるのか説明に信濃町の慶応大学病院へ説明に行きました。必要な検査試薬はメーカー二社に連絡してタダで提供してもらいました。その前の年まで、全部の製薬メーカー相手にわたしが仕入れ価格の値引き交渉をしていましたから、DPCともう一社どこだったかな、ノーは言えません。だから、研究成果は製薬メーカの方で利用していいように、慶応大学のドクターと話をつけておきました。これで、製薬メーカーの社内稟議は通せます。仕事で協力してくれる相手に対する尊敬と配慮はいつでも不可欠です。検査と多変量解析のコストは学術協力を名目にしてSRL負担、5年くらいにわたって妊婦6000人ほどのデータをとりました。白人を100とすると黒人が120、日本人基準値は130でした。理由が何かあるはずですからそれ自体が次の研究テーマでしょう。まだ誰もやっていないようです。110くらいではないかと予想していたので、予想外でした。ドクターは国際的にも注目されるいい論文書けたでしょう。8年ほど前までそのときの基準値が、実質的な日本人基準値でした。異常値が出ると羊水染色体検査をします。脊椎二分裂症や無脳症の場合は母体にリスクが大きいし胎児は生きて生まれません。ダウン症も高い精度でスクリーニングできます。
 四つ目は海外製薬メーカーからのラボ見学要望への対応です。ラボでは3000項目の検査をしており、検査部だけでも8部あり、検査課に至っては30近くありました。これを全部説明して回るのは至難の業。営業から移動してきたYさんも3年たっても苦労してましたね。対応に満足いかないと営業マンを通じてクレームの入ることがあるのですから、石神本部長の指示でしたが、学術情報部のラボ見学担当者3名から、やれるはずがないので無理ですと川尻学術情報部長をすっ飛ばして石神さんに強い拒否がありました。無理ありません、わたしのバックグラウンドを知らないのですからね。石神さん「一度ebisuをラボ見学の付き添いで一緒に回らせ、つぎにebisuにやらせてみて判断しろ」と指示。分厚いマニュアル渡されましたが、ざーっと30分も読んだらOKでした。こんな説明しかしていないのかとびっくり。彼らについて回って、翌日、今度はわたしが大学のドクターを連れて回りました、もちろん3人が付き添ってます。仕事が終わってI取締役「どうだった?できないか?」、それで終わりです。検査機械については前職の産業用エレクトロニクス商社で、5年間欧米50社の最先端の計測器や質量分析器を見てたし、毎月いくつか行われる海外メーカーのエンジニアの新製品説明会も6年間欠かさず出席してました。そして毎月技術営業に対して行われていた、東北大助教授の測定原理についての勉強会にも出席していたのです。SRLで2年半ラボの隅から隅まで仕事で機器を見て回っていますから、SRLで検査機器に一番詳しいのはわたし、結石前処理のアームロボット開発は検査管理部の尾形さんとわたしが検査担当者と一緒に導入してます。精工舎の時計組み立て工場を見学して決めました。小さなメーカーの技術屋戦に仕事を依頼して、途中でブレードで問題が発生し50の異なる形状のブレードを試して、最終的に問題が解決されたり、いくらでも開発の話ができます。他にも液体シンチレーションカウンターのバイヤルを天井近くまで積み上げて、地震を怖がっていた検査員に世界初の紙フィルター方式のファルマシアLKB製品導入をもちかけたり、栄研化学の酵素ビーズ法の大型検査機器LX9000の市場へ出す前のテストと、半年間の独占使用契約締結などの仕事をしていたので検査機械については詳しいのです。確かにラボ見学担当はむずかしい仕事です。それはそういう機械の測定原理やその導入や共同開発にタッチしたことがない人に言えることで、わたしのケースには当てはまらないのです。検査機械につながれた検査サブシステムも見ただけで、なにをしているのかわかりますし、説明できます。SRLでは経営情報系のシステム開発を実際に短期間でやったシステム屋でもありますから、検査機械についてもそれがつながれている検査サブシステムについても、すぐに理解できます。石神さんはそうしたわたしのバックグラウンドはご存じありませんでしたよ、でも仕事人としては信頼してくれてましたし、理解してくれていましたから、結果を見て笑っていました。誤解があってもあえて反論はしないほうがいいし、する必要もないのでしょう。時がたてば誤解は自然に消えてなくなりますから。
 四つ目は大手六社と臨床病理学会の産学共同プロジェクトに学術情報部長の川尻さんが毎月参加していました。キックオフはわたしが仕掛けたプロジェクトですので、1年ぶりくらいに一緒に出席しました。わたしが本部から関係会社管理部へ異動になった後で、日本標準コードとして臨床病理学会の櫻林郁之助教授(自治医大)から発表されています。それがいまも、全国のすべての病院システムで動いています。学術開発本部にいた17か月でそういう仕事をしてます。
 3年間も学術開発本部に居たら、取締役はわたしを副本部長にできたでしょう、これと決めたら強引な人でしたから。2段階昇格しないと副本部長はやれないのです。
 ああ、また一つ思い出しました。研究部で多変量解析を担当した、応用生物統計のSRLナンバーワンの専門家、古川さん。あるとき私を日野駅前の居酒屋に誘って、「ebisuさんからの依頼だからやるんです、他の人からの仕事なら断ってます」とそういいました。事情がありました。彼は慶応大学産婦人科医と学会でもめごとを起こしていました。彼の言い分は「BMLのデータだから学会で議論できるような精度はない」ということで、元データを学会の席上で問題にしたのです。慶応大学病院のドクターはカンカン。創業社長の藤田さんが頭を下げてことは収まりました。だから、古川さんは、通常の経路での仕事の依頼なら100%断っていたでしょう。数年かけて、このプロジェクトが終わってから、彼は会社を辞めて独立してます。一流の職人は頑固です、その人の仕事をちゃんと評価する者のいうことは聞いてくれます。好い奴でした。
 わたしの上司は異動する都度目まぐるしく変わりましたが、学術開発本部担当取締役の石神さんが一番素直に仕事の評価をしてくれました。半年も仕事すると、たいていの上司は恐れをなしてしまいます。自分がとってかわられると不安が起きるのでしょう。周りが仕事ぶりを評価しだしますから。石神さんはそんなことはなかった。存分に使ってくれました。このように学術開発本部での仕事は愉しいものだったのです。
(社長になる近藤さんは、後に私に帝人との治験合弁会社の経営を任せますが、わたしがSRLでどのような仕事をしてきたのかには、最後までまったく知識がありませんでした。その点だけは話が通じなくてたいへんでした。もちろん他の点では馬が合っていましたよ。慶応大学医学部卒のインテリですが、案外度胸がいいのです。(笑)
 彼との接点は、合弁会社の経営を任される前は、社長室兼務の3か月のみ、その間近藤さんから仕事の指示は一度もありませんでした。どういうつもりだったのか聞きそびれました。経営管理課長と社長室と購買部兼務を3か月で拒否したわがままな奴だと思っていたのでしょう。とんでもない誤解でした、ちゃんとそれだけの理由がありました。トンもないのはわたしの方ではなくて経営管理部の方でした。だから、わたしが異動した後、優秀な若手が二人も転職しました。数人がずっと我慢してました、わたしが戻ってきて、片っ端から問題を処理したので喜んでました。そこへ経営管理部の次長職の人事を間違えたのです。二人が仕事ができないと見切っていた課長職を次長職にしました。それが引き金でした。誰がこんな腐った部署で仕事するかと異を唱えたのです。取締役のMさんは1984年に私が転職したときの経理課長です。経営統合システムで財務経理・買掛金支払いシステムが誰も担当できる者がいなくて一番遅れていました。わたしが担当して8か月で本稼働に持ち込みました。購買在庫管理システムも買掛金支払いに関係があるので、仕様書を半分ほど書きました。問題のあった減価償却費予算の精度不良も、投資・固定資産管理システムをつくって解決、ほかに隘路になっていた仕事を次々に処理しましたから、あとで元経理課員だった社員が、「Mさんを取締役にしたのはebisuさんだ、ebisuさん損してる」って、よく見てます。
 英英管理課員で辞めた一人はエイベックスで国際経理課長、もう一人はベンチャー企業へ転職して、その企業が上場し、40歳前後で経理担当役員になっています。もったいなかった。だからその後、経営管理部は著しく機能が弱体化します。そして子会社管理機能は新設された事業管理部に移行しました。機能は元の経理部に戻ってしまいました。看板だけ「経営管理部」でしたね。人事を間違えると、組織はガタガタになるし、有能な社員から辞めていきます。他でも処遇を改善してやれますから。新社長になった近藤さんにはそういうことが理解できませんでした。彼の経営スタイルの大きな弱点でした。でも、理詰めで判断するところはすばらしかった。他の役員にはまねができません。)

 でも、1年半後に新設された別の部署・関係会社管理部で仕事することになるのです。経営管理分野は米国の最先端の経営管理知識と6年間の経験のある分野ですから。ほとんど一人で仕事してました。部長を入れて5人のメンバーでしたが、だれも経営管理の専門知識や経験がなかったのです。部長職のOさんだけ、もとコンサル会社の経験ありでしたが、ニーズに合うスキルはなかった。そこも1年半ほどで、東北の臨床検査会社の取締役経営企画室長として創業社長の特命で出向します。まことに運命はわからないものです。次々に仕事が変わるので、どんなに成果を上げても昇格できませんでした。社長の特命事項は上司が決まりますが、仮の人ですから、仕事の指示はできませんし、機密事項が多いので上司にも連絡はしませんから評価は低くなるのです。いや東北の臨床検査会社の時も帝人との合弁会社の時も、上司が誰であるかすら知らされていません。会社が配布した組織表で知りました。だから、一度も話したことすらないのです。もちろんかれらにわたしのやっている仕事の内容が専門的過ぎて理解できません。そして報告はすべて社長にしていますから。大きな成果はその都度上げてますが、結果から見ると、会社の人事制度の埒外で仕事してることになります、損な役回りでした。でも、仕事はスリリングで、複合分野の高度なスキルの必要な仕事ばかり、とっても楽しかった。
----------------------------------------------

 6X6 cameraは「ロクロクカメラ」と日本語ではそういいます。フィルムサイズが6㎝X6㎝の正方形ですから、「ロクロク判」と言ってました。ローライフレックスが有名ですが、ビビアンが買ったカメラはそれだったでしょう。フィルムサイズが大きいので引き伸ばした(develop)ときに、プリントがきれいです。何に比べて過というと、35mmサイズのフィルムで写した写真に比べてです。24X36mmですから面積は8.64cm^2ですから、6X6判の方が面積は7.3倍ですから、大きく引き伸ばした時に明らかな違いが出ます。
 35mmフィルムカメラ用のフィルムには24コマのものと36コマの2種類が販売されていました。わたしは高校生の時に36枚撮りのフィルムを使っていました。引き伸ばし機をもっていたので自分で引き伸ばして愉しんでました。オヤジが昔プロの写真家に写真を習ったことがあったので、息子のわたしにやらせてみようと、サプライズで引き伸ばし機一式を高校2年生の時に買ってくれたのです。贅沢な趣味でした。小学生の時からビリヤード店を手伝っていたので、ご褒美の意味もあったのでしょう。(笑)
 最初に就職したのは紳士服の製造卸の小企業でした。安田さんという先輩社員がいました。あるとき写真の現像を教えてくれるかというので、承知しました。それでカメラは何がいいのかと聞くので、ゼンザブロニカマミヤ(6X7判)がいいと言いました。何だそんなカメラを推奨したのかというと、安田さんの相談が、「ebisuさんがいま買うとしたら」と条件を付けたからです。普通は35mmカメラを買うように言いますが、引き伸ばしをするというので、それなら大判のフィルムサイズが圧倒的にいいですからね。わたしのFB友にプロの写真家がいます。フィルムサイズ30cmほどの大型カメラを操ります。プリントの実物を一度見てみたいのです。ピント合わせもたいへんですし、レンズによっては自分でシャッターを取り付けなくてはいけません。

 そういうわけで、引き伸ばした時に断然プリントの質感が違うからです。安田さんゼンザブロニカを買いました。マニアの間では有名な日本の高額メーカーです。6X6判のカメラで撮った写真はピントが合っていたらいくら引き伸ばしてもきれいなんです、そしてやわらかい。実際に引き伸ばしを教えながら、こちらの方が楽しませてもらいました。

 ビビアンの母親はフランス人、父親はオーストリア人(アメリカに住んだ)でしたが、結婚してほどなく別居し、ビビアンはフランスと米国の間を行ったり来たりして生活します。母親はその後遺産で受け取った農場を売り払い、写真家のジャンル・バルトランと一緒に暮らしています。自然に写真が好きになり、趣味となったのでしょう。
 彼女は倉庫にたくさんのフィルムネガとプリントを残していました。倉庫料が未払いになったために競売にかけられて、三人の人がそのネガやプリントを手に入れます。彼女の死後にその写真が高く評価されます。興味のある方は「ビビアン・マイヤー」でググってください。
 共通テスト問題はなかなかいいトピックを取り上げてますね。
 

にほんブログ村


nice!(0)  コメント(5) 
前の10件 | - 49.1 英語音読トレーニング ブログトップ