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国後島の山並み [A9. ゆらゆらゆ~らり]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#141 
  総閲覧数: 7519/110 days (3月16日13時45分) 
 
 晴れた中を微風が吹いている。お彼岸が近いのでお墓の掃除に行ってきた。年に数度、掃除をする。墓掃除は気持ちが良い。
 市営墓地からはオホーツク海が見渡せ、遮るものがないので国後島を一望にできる。実に大きな島である。沖縄よりも大きい。オホーツク海の左の端から右の途中まで国後島が広がっている。山のほとんどが雪を頂いて真っ白に輝いている。島中央付近の羅臼岳や東端の爺々岳がひときわ真っ白に見える。その右向こうに平べったく択捉の西端が見えていた。
 向こうからも根室半島が見えている。大きな波が来れば一呑みになりそうなほど平らで起伏の乏しい景色が広がっているのだろう。お互いの居住している土地が肉眼で確認できるほど近いが、往来は自由ではない。
 眺めているうちに往来が自由だった戦前の昔へタイムスリップした気がした。お墓で眠っている先人の多くは往来が自由だった頃の住人である。百年後にここに佇んで国後を眺める根室市民がどのような感慨を抱くのか私には想像がつかない。それはたぶん領土紛争がどのように解決できるかにかかっている。

#140 地方の医師不足解消策は(北海道新聞より)2,008年3月16日 [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#140 
  総閲覧数: 7431/110 days (3月16日8時45分) 
 
 地方の医師不足解消策は
【中標津】町立中標津病院長を3月末で定年退職する栗林弘院長(63)に、医師不足など地域医療が抱える課題を聞いた。
 
 ―24年もの間、院長を務めました。
「町の人が病院を大事にしてくれたおかげです。中標津には自然が残っていて、都市機能もある。中標津空港が近くアクセスも良い。他の町からうらやましがられました」
 ―北大に頭や胸のエックス線CT画像を電送し、専門の放射線科医が診断してもらう画像伝送をいち早く導入しました。
「1987年に他病院に先駆けて取り入れました。夜間の当直医でも専門的に判断してもらうことで、医師も患者も安心でき、釧路への患者搬送も減らせました」
 ―どの病院も医師不足に悩む中、18人の常勤医を確保しています。
「中標津になじんでもらうため、症例検討会や講師を招いての学術講演会を開き、医師同士が交流する機会をつくるよう努めました。テニスやボウリング大会、英国人に頼んで英会話教室などユニークなことにも取り組みました」
 ―就任当初、医師は5人だったそうですね。
「医師数は増えましたが勤務医は今もきつい状況にあり、医師離れの原因となっています。羅臼から救急患者を受け入れるようになり、当直医の負担を減らすため、時間外の受診を減らしてもらえるよう、町民にもお願いします」
 ―道は根室管内の自治体病院を縮小し、連携するよう求めています。
「地方から人口が減ると病院も縮小せざるをえなくなります。そのため医師を派遣しあうなど病院間協力は必要です。しかし医師は大学ごとに流儀が違います。チームワークが必要な医療では、単純に今いる医師を集約するだけではうまくいかないでしょう。診療科目ごとに同じ大学出身者でまとめるなどの方針が要ります」
 ―地方出身の医師は多くありません。
「この地域の子供の学力が低いとは思いません。医師に必要なのは人間性。私は母親が子宮がんになったのがきっかけで、医師を目指しました。勉強ができるだけの医師は要りません」
 ―どうしたら地方の医師不足は解消できるでしょう。
「地方の医師不足は医師を増やすだけでは解決しません。根室のように、地域住民と医師との交流会をひらくなど接点をもちお互いの立場を理解しあう機会があればもっとよくなるのではないでしょうか」

【コメント】
 24年間は長い。まれな事例といえる。いくつ者要因が重なってのことだろう。記事中にそのいくつをかいまみることができる。記事にあるように空港が町の中心部から10分のところにあることもそのうちのひとつだ。ダムのない川があることは渓流釣りを趣味とする人には最高だろう。魚影も本州の川に比べると断然濃い。院長の出身地が札幌であることも理由のひとつだろう。内陸型の気候である中標津は札幌によく似た気候である。家族がいる札幌へのアクセスは格段に良い。病院から空港まで5分である。千歳空港まで載ったことはないが、30分足らずの飛行時間ではないだろうか。中標津は栗林院長にぴったりの条件を備えた地である。
 Kさんからのメールでは、自治体病院は院長次第、首長次第の要素が大きいという。院長の最良を大きくして、医師の採用も含めて大幅な権限委譲をし、責任をもって仕事をしてもらうことが大事だという。責任とそれに見合う権限を与えることが自治体病院での医師確保の要件のようだ。

 栗林医師は家族のいる札幌に移るが、今後も名誉院長として月数回の頻度で診療や指導にあたる予定である。
 記事中にある、夜間の時間外診療を減らすことは、市民として協力すべきことだろう。これは根室も同じだ。単なる交流会に終わらず、協力の具体的な成果を生み出すことが大事なようだ。
 いろいろ勉強になる記事だった。「勉強ができるだけの医師は要りません」という言葉はよくわかる。ひとりだけだが、特別な事情があり、Eさんとペアで10年を超えて個人レッスンをした生徒が北里大学医学部へ進学した例がある。最後の方は輸入商社で統合システム開発をしていた時期やその次に勤めた大手臨床検査会社で上場準備のための統合システム開発を担当していた時期に当たる。仕事は忙しかったが、土曜日の午後はその生徒のために空けてあった。事情はかけないが渋谷の進学塾で個人指導をしていた数年間は勉強のできは著しく悪かった。悪い順に数えると私の経験では3本指に入る。2年ばかり教えるうちに、コツこと努力を積み重ねることのできる生徒にかわった。新宿駅からすぐ傍のNSMというマンションの13階で教えるようになってから、僻地医療の現状を勉強の合間に話すことがしばしばあった。高校生になって医者になりたいと言い出した。信じられない思いがしたのは母親だけではない、教えていた私もだ。両親ともに大学進学は無理だとあきらめていたはずである。それを彼は2年浪人して初志貫徹した。意志の強い生徒である。私は小学校4年から算数と数学を教えていただけである。翻訳家になったEさんの国語と英語の教え方が良かったのだろう、みごとに合格した。栗林院長に引けをとらない人間性豊かな医者になっているだろう。

 栗林院長が「勉強ができるだけの医者は要らない」というのはよくわかる。ニムオロ塾でも「勉強ができるだけの生徒は要らない」、同感である。病院も塾も、医者も生徒も根っこのところは同じである
 勉強ができるだけの性根の腐った人間に知性という武器を与えたらその弊害もまた武器の大きさに比例してしまうことは当然である。教育も人を診る必要があるということだ。そういう判断は教える側がしなければならない。教育の本質がが生徒と教師のコミュニケーションの中にあるというのはそのことも指している。教育を単なるビジネスと割り切ってはいけない理由もその辺りにあるのだろう。
 小さなしっかりした私塾を志向するニムオロ塾は、塾長が教えない生徒や責任をもってみれる範囲を超える生徒を抱えることはない。これは私塾としての外してはならない原則であると私は考えている。


医師11人なら4億円の赤字(北海道新聞) [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#139 
  総閲覧数: 7393/110 days (3月16日0時30分) 

3月15日北海道新聞朝刊26面(根室地域版)より転載

 
  医師11人なら4億円の赤字
 
病院会計で市側見通し
【根室】定例市議会は14日、予算審査特別委員会で新年度予算案の一般会計歳出や病院事業会計などを審議した。市は病院事業会計で想定している市立病院の常勤医15人が確保できなかった場合、不足する医師1人につき1億円程度の減収になる見通しを示した。新年度も現在の11人体制のままだった場合、約4億円の赤字となり、収支不足に陥る。
 久保田陽氏(新風)の質問に、病院事務局の本田俊治管理課長が答えた。新年度予算案では一般会計から病院事業会計に、前年度比1億3千万円増の6億1千万円を繰り入れ、収支均衡を図っている。本田課長は「一日も早く15人体制を整備することが重要」と強調。不良債務解消に充てる「公立病院特例債」発行の前提となる「公立病院改革プラン」を秋をめどに策定する考えを示した。(仁科裕章)

《コメント》
 新年度、眼科医が道庁から派遣されることが決まった。産科医と合わせて2名増員である。減員がなければこの二人が純増である。非常勤の医師の数や勤務形態が変わらなければ、24億円程度の売上が見込める。営業損失は推計9億円である。6億円の繰入をしてもなお、3億円足りない。
 本田課長の推計、医師一人当たりの売上1億円は辻褄が合わない。一人当たり1億円なら平成10年度は常勤医師換算で20人いなければならない。H19年度の常勤医は4・5・6月が6名体制であったから、その後11名になっても年間平均値では10名の実績である。20億円を1億円で割ると20名となる。非常勤医師の勤務を概ね週2回と計算すると25名も非常勤の医師がいたことになる。ありえない。
 非常勤医はホームページを見ると5名である。診療従事日数を週2日とすると常勤医師換算2名である。だからH19年度は常勤医10名と常勤医師換算2名の合計12名だったことになる。一般会計からの繰り入れ分の「その他医業収益」1.4億円を差し引くと、純売上18.6億円。これを12名で割ると、医師一人当たり1.55億円の売上である。したがって、常勤医4人不足は6.2億円の売上減となる。
 赤字特例債は病院会計が赤字にならないことが前提で発行が許可されるから、本田課長も苦しい辻褄合わせをせざるを得なかったようにみえる。発行条件に違反しても特に罰則がないようだからこのようなインチキが横行することになる。
 病院管理課長単独でこのような辻褄あわせができるわけがない。財務課長や市長が了解の上での、というより緊密な連絡・調整・指示のもとに行われたと判断すべきだろう。もちろん数字のカラクリは道庁側も承知している。数字を3年分並べれば誰でも簡単にわかる。毎年11億円前後の繰入が3年間続いているのに、特段の理由がないのにH20年だけが6.1億円で済むわけがない。
 H19をベースに置くと、常勤医が3名増の年平均13名、非常勤医が5名とすると、売上推計値は23.3億円である。医業費用は33億円、営業外費用が8千万円程度あるから10.5億円程度の経常損失となる。一般会計からの繰入が6.1億円なら、病院会計は2名減員の13名体制でも4.4億円(4名減員ならば7.5億円)の赤字である。いまからH20年度の決算対策や後始末(一般会計からの繰り入れ増や新規職員の募集停止)を考えた方がよい。いつも決算では繰り入れが増えて辻褄が合っている。どこか削ってお金を回しているとしたら、全体に余裕のある予算と受け取っていいのだろう。きちきちの一般会計予算なら決算で7億円も繰入金を増額できない。
 専門家のKさんからのメールでは、医師一人当たり売上は1.5億円がマックスであるようだ。だから根室市立病院の医師たちは好くやってくれている。相当無理をしているのではないだろうか?数字を見ていて一人当たり売上が大きすぎて心配になる。