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変わりつつある町(4) 水産業 [87.根室の話題]

 2,008年3月15日   ebisu-blog#138 
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  夜中ずっと雨だった。最低気温は+2度、昼頃まで降り続いた。これが雪なら70センチくらい積もったのかもしれない。
 
 水産業の中でも、とくに蟹屋さんに焦点を当ててみよう。
 光洋町の交差点をよく通るが、道路沿いに中西水産がある。5年ほど前はこのあたりを通ると、蟹を茹でる匂いが辺りを漂っていたが、この数年匂いに気がつくことがなくなった。茹でる設備が匂いの出ないものに変わったのか、取扱量が減ったのかはわからない。
 このごろ光洋水産がテレビでずいぶん宣伝している。ネット販売で大きく当てたようだ。

 1月の蟹の輸入量が激減した。前年比半分以下だったように記憶する。2月のブログで新聞から具体的な数字を引いて書いた。
 北方4島近海の蟹資源が少なくなり、密漁業者は数年前からウニへシフトしている。ロシアからの輸入量が減っている現状で、光洋水産が急激に売上を伸ばしている。1船買いすれば、他の業者へ蟹が廻らなくなる。根室では杉山水産が蟹の取扱高が多かったはずだ。マルシェデキッチンの杉山水産の売り場が縮小されて久しい。販売量が減っているのだろうか?
 資源量の減少に比例して蟹の輸入量も減る。それにロシア当局の密漁取締りが厳しくなりさらに追い討ちをかける。根室に陸揚げされる蟹の量が急減しつつあるようだ。

 5年後に、蟹業者は何社が生き残っているだろう。ロシアが密漁取締りに力をいれ、資源保護をするようになれば、花咲蟹やタラバガニも輸入量は少なくなってさらに高値で取引されるようになる。資源の減り方を考えると今後5年間で値段が2倍になる可能性もある。
 蟹の養殖はまだ実験段階で、確立された技術がないようだ。生態系がよくわかっていないのかもしれない。タラバガニや花咲ガニがまぼろしになる日がくるのだろうか?それとも、養殖技術が確立され、生態系が判明し、鮭のように資源が回復する日が来るのだろうか。4月からはじまる新しい年度中にそれが可能とはならないが、養殖技術の進歩を信じたい。

 歯舞組合が昆布醤油や舞い秋刀魚だけでなく意欲的な商品開発をしている。雑海草からフコダインの抽出に成功し、商業生産を試みているようだ。フコダインには抗癌作用があり、医薬品材料としても有望な物質である。

 根室半島の東側、納沙布岬まで、雑海草が繁茂している一帯がある。巡視船に乗って半島を廻ったときに、こんなに密に海草が繁茂しているところがあると驚いたことがある。利用価値がないように見えて、宝の山かもしれない。
 行者ニンニク(アイヌねぎ)だって原野に生えているのだから、根室の風土にあっているのだろう。栽培すれば有力な農産物になる可能性がある。なにか特別な薬効が発見されるかもしれない。水産物から農産物に話しが脱線した。

 水産資源は豊富にあるが、意外と利用の仕方に気がついていないということは他にもあるに違いない。いつか誰かが宝の山に気がついて、上手に取り出すだろう。それまで貴重な資源は群青色の海の中でゆらゆら揺れて出番の来るのをまっている。