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#5224 円安はいいことなのか? May 3, 2024 [7. 計算してわかること]

 円安になると輸出産業が有利になるのでいいことだという人が多い。ほんとうにそうなのだろうか?
 2018年のデータを見ると、日本の輸出依存度(輸出/GDP)は14.76%、ドイツの47%に比べてずいぶん低い。
 円安になって潤うのはたったの18%ということになります。輸入依存度は14.54%です。こちらはエネルギーと食糧価格に直結しているので、国民生活に影響大です。

 一人当たり実質GDPデータを見ると、2012年は406万円、2024年は454万円です。
 2012年の平均為替レートは79.7905円/$、日銀が2度介入して昨日のレートは153.59円/$だからそれぞれドル換算すると、2012年5.088万ドル、2024年2.956万ドルです。41.9%も一人当たりGDPが減少したことになります。

 日本人の平均給与(年収)データを見ると、2012年は408万円、2020年は433万円です。仮に2024年が450万円だとして、ドル換算すると、2012年5.11万ドル、2024年2.93万ドルで12年間で42.7%の減少となります。

 NY-WTI原油価格は2012年と2024年でそれほど大きな変化はありませんので、円安によってガソリン代や灯油代が原料高により、2倍になったということです。電気料金もアップしています
 食糧自給率はカロリーベースでは38%ですから、62%が輸入です。だから円安の影響を大きく受けています。円安は国民生活を直撃していると言ってよいのです。

 円安になって、一般の国民が得るものはほとんどありません。それどころか大打撃です。GDPの14%しかない輸出産業がわが世の春を謳うのみです

 日銀保有の国債と政府債務(国債残高)を相殺処理すれば問題なしという主張を海外の経済学者や日本の経済学者、アナリストが主張していますが、そういう実務が可能かどうかを、複式簿記や、株式会社形態である日本銀行の諸手続きなどを法的側面からも検討してみたいと思います。
 この手の主張をする人は、東洋経済が時々採り上げるリチャード・カッツや森永卓郎氏、高橋洋一氏、三橋貴明氏など、うようよいます。ご当人たちは大まじめのようです。
  赤塚不二夫のナンセンスギャク並みの愉快なご意見ですので、弊ブログで次回、政府と日銀との間で債権債務の相殺は実務上不可能であることを具体的に解説したいと思います。
 

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