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患者の選別 新型鳥インフルエンザへの備え(3)⇒人工呼吸器 [87.根室の話題]

  2,008年5月1日   ebisu-blog#178 
  総閲覧数: 12,037/157 days (5月1日0時00分) 

  
 WHOのインフルエンザ対策専門家の意見によれば、新型鳥インフルエンザの患者の治療には人工呼吸器が必要だが取り扱いが難しいようだ。
 たとえばメーカによって機能の名称や操作の仕方が違う。携帯電話のマニュアルを考えてもらえばいい。あの分厚いマニュアルから必要な箇所を選択して、きちんと読まなければ患者の命に関わる事態が発生する。人工呼吸器は数をそろえるだけでなく、その操作に熟練した看護師さんがいなければ適切な治療ができないものらしい。

 現場の看護婦さんの意見の載ったサイトを見つけた。人工呼吸器の機能と使う側の注意事項が具体的に記述されている。パンデミックが起きる前にどのようなトレーニングが必要か考える材料になる。

 実際にパンデミック起きた場合に、どういう症状や状況の患者に人工呼吸器を使った治療を優先するのかという重大な問題がある。機器の保有について現状を前提にすると、患者百人に一人の割合すら人工呼吸器による治療ができないのではないだろうか。
 誰がどのような基準で救う患者を選択するのだろうか?
 
そういうことも考えながら、下記のサイトに書かれた文章を読んで欲しい。
 
 『克服!人工呼吸器』
  http://www2.synapse.ne.jp/insomnia/resp/

 『アラーム』
  http://www2.synapse.ne.jp/insomnia/resp/contents/h-2.html

 『呼吸器関連の感染対策』
 滅菌を適切にしていないと院内感染によるウィルス性肺炎が広がる危険性が指摘されている。修羅場と化した治療現場できちんと滅菌して人工呼吸器を取り扱うことはほとんど不可能に思える。看護師さんが確保できるかどうかも疑問なのだ。せめて洗浄や滅菌の仕方を具体的に書いたマニュアルを機器ごとに作成して配布できる体制を整えておくべきだ。インターネットの利用が効果的だろう。あとは現場の判断になる。人工呼吸器による治療は、機器の台数が少ないことと取り扱える看護師さんが少ないことを考慮するとほとんど不可能だ。パンデミックが起こらないことを祈るしかない。
 人工呼吸器が使えない状況でどれほどの治療ができるのだろうか?新型鳥インフルエンザ・ウィルスによる肺炎を起こして呼吸不全に陥っている患者をタミフルで救えるとは思えない。
  http://www2.synapse.ne.jp/insomnia/resp/contents/h-4.html

人工呼吸器の仕組みについての簡単な説明かこちらへ・・・
  http://www2.synapse.ne.jp/insomnia/resp/contents/a-2.html


十和田湖で新型鳥インフルエンザ発生(2) [87.根室の話題]

  2,008年4月30日   ebisu-blog#177 
  総閲覧数: 11,801/155 days (4月30日0時30分) 

  前回ブログ『SARS対策は必要か』で新型鳥インフルエンザを取り上げた。わが町の対策がどうあるべきかについて論じたので、そちらを見ておいてほしい。事前の準備が必要な、いろいろな問題が発生する。そして、きちんと準備し、適切に対処すれば感染拡大を防ぐことができるので、それほど怖いものではない。要は対策を誤らないことだ。

 タイミングよく?十和田湖の白鳥が鳥インフルエンザで死んだことが報じられた。先ほどのテレビのニュースでは、検査の結果H5N1型の強毒性のウィルスによるものであることが判明した。
 
 まだ人から人への感染は起きていない。
 中国、インドネシアや韓国で鳥インフルエンザが蔓延している。インフルエンザの疑いのある鶏の処理をしていた人間が高熱を出したと報じられている。通常は鳥のインフルエンザは直接人間に感染することはないようだが、ウィルスはすでに鳥から人間への感染を起こすように変異してしまっているようだ。
 鳥から人へ接触感染するから素手では死んだ野鳥には触らないようにと、日本でも警告がだされた。
 スペイン風邪のときは豚が媒介して、ウィルスが変異を起こし、人から人へ感染しパンデミックを起こした。当時12億人の世界人口で2000万人から6000万人がスペイン風邪で死んだと推定されている。

 テレビ報道によれば、厚生労働省は人から人へ感染する新型鳥インフルエンザがパンデミックを起こした場合、国内の死亡者は64万人と予測しているという。1000万人が罹患して6.4%が死亡するというシナリオだろうか、4000万人が罹患して1.6%の死亡なのだろうか。厚生労働省の推計はその元データがはっきりしないと評価のしようがない。後期高齢者健康保険料の例もあるし・・・厚生労働省が患者の立場で発言したことはない。天下り先の製薬メーカ側の立場での発言が多い。この推計も私には信じられない。「よらしむべし、知らしむべからず」の言葉通りに、推計の前提条件が開示されてはいないのだから。

 インフルエンザウィルスの専門家はどのように考えているのだろうか。ネットで検索していたら、専門家の意見が載っていた。新型鳥インフルエンザは全身の細胞に作用しサイトカインストームを起こすので、免疫力の低い老人よりも、免疫力の高い若者の死亡率が高くなると書いてあった。巷に言われているのとは専門家は見解が違うようだ。治療に人工呼吸器が必要なようだが、パンデミックがおきたときに必要な人工呼吸器を備えている地方自治体は一つもないだろう。パンデミックが終わった後は不要になる。準備できる自治体があるだろうか。なければ治療できずに呼吸器不全で次々に死んでいくのだろうか?
 アドレスと要旨を抜粋して貼り付けておくので、ジャンプして対談取材の内容を自分の目で確認して欲しい。

  http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/90/

田代眞人氏は、日本を代表するインフルエンザの研究者であるとともに、世界保健機構(WHO)で新型インフルエンザ対策を担当するインフルエンザ協力センターのセンター長を務めている。

「田代:従来のインフルエンザウイルスはトリ型もヒト型も弱毒型です。トリの場合は感染してもほとんど症状が出ませんし、ヒトでは気道の粘膜細胞など一部の細胞でしか増殖しません。ウイルスは細胞に入り込んで増殖し、最後に細胞を破壊して出てきます。ですからウイルスに冒された部位では細胞が破壊されて炎症が起きます。弱毒型の場合は、気管しか炎症を起こさないわけです。

 一方強毒型は、全身の細胞で増殖する能力を持ちますですからさまざまな臓器で炎症が起きて多臓器不全を起こしますし、血流にウイルスが入り全身に回るウイルス血症という症状も出ます。特に重症の肺炎を起こすため、治療には人工呼吸器が欠かせません。

 これとは別にH5N1ウイルスはサイトカインストームという症状も起こします。免疫は通常、ウイルスから身体を防御するのですが、その免疫が暴走して、自分の体を攻撃してしまうのです。免疫活性が低い老人よりも、活性の高い若者のほうが危険なのです。

・・・ところが今回のH5N1ウイルスは、致死率が非常に高いのが特徴です。気道のみならず、肺の深いところに感染し、ウイルスによる肺炎を引き起こします。細菌による合併症の肺炎ではなく、ウイルスが肺炎を起こすのです。妊婦が感染した場合には、ウイルスが胎盤を通過して胎児に感染した例も報告されています。このようなことは通常のインフルエンザではありえません。」

SARS対策は必要か?(1) [87.根室の話題]

  2,008年4月27日   ebisu-blog#176 
  総閲覧数: 11,630/152 days (4月27日17時00分) 

  今日はSARS(重症性呼吸器症候群)とか新型鳥インフルエンザという名前で呼ばれている病気に対する備えが必要か否かを考えてみたい。

 2002年5月3日に出版された本に次のようなことが書いてあった。

 ウィルス学の権威である土屋清博士は、
 「ウィルスを含めた生物はすべて磁気を帯びている。地球もまた北極と難局という磁場が形成され、宇宙の微生有機物も磁気の強い北極に吸い寄せられている。つまり宇宙のインフルエンザが磁気の強い北極地方に引き寄せられている可能性がある」
 と解説する。
 つまり、11年周期で活発化する太陽の黒点によって太陽風が発生し、宇宙空間のインフルエンザ・ウィルスなどが地球の北極に運ばれるというわけである。
 北極地方のカモの腸には生まれたときからインフルエンザ・ウィルスが寄生し、そのカモが中国や北欧諸国などに毎年群れをなして南下している。假説ではあるが、宇宙から太陽風に乗って10年ごとに飛来する新型のインフルエンザ・ウィルスが北極のカモに規制する可能性があると指摘されるのだ。
 北海道大学の喜田宏博士は、
 「中国南部のある地方では、新型ウイルスが人に感染する条件がそろっている。個々では人間とアヒルや豚が共に生活する世界で唯一の生活習慣をもっている。新型ウィルスはアヒルに感染するが、アヒルのウィルスが人間の細胞に結合することはなく、そのウィルスがアヒルから人間に直接感染することはありえない。ところがアヒルから豚には容易に感染し、その豚のウィルスが形を変えて人間に移動することができる。つまり新型ウィルスは豚を媒介することで人間に感染する。アヒルの新型ウィルスは冬に北極から南下する鴨によって感染することがわかっている」
 と指摘する。

 中国発のSARS(重症呼吸器症候群)が発生したのが2002年11月であるので、その半年前にこの本が出版されている。まるでSARSの出現を予告したような内容である。本の後半部分の内容に多少問題ありと判断したので書名は書かない。

 新型鳥インフルエンザによるSARSは2003年3月から広東省を中心に大流行の兆しを見せた。
 とくにアジアの人種に強い毒性を持つようで、欧米人は罹りにくいようだ。カナダに飛び火したが広がらなかった。そのことから新種のコロナウィルスを遺伝子操作して、特定の人種にのみ感染するように作られた生物兵器が試験的にばら撒かれたという謀略説まである。

 死亡率は60歳以上だと40%60歳以下だと6%のようだ。年寄りが弱いことはよくわかる。体力が衰えていたり免疫力が低下しているから、風邪を引いて肺炎で亡くなる老人は普通に見られ、珍しくはない。まして重症性の呼吸器症候群であれば老人の死亡率が高いことは当然である。

 最近の新聞報道では東南アジアでSARSが定着しつつあり、人から人への感染によるパンデミック(爆発感染)が近づいているようにみえる。豚を媒介として鳥インフルエンザ・ウィルスが変異を起こせば、人から人への大規模な感染が始まる。
 接触感染や飛まつ感染を防ぐために、外出時は高機能の医療用マスクをつけるとか、外出から戻ったら入念に手洗いを行い、嗽(うがい)をすることが大切だ。
 
 もし、パンデミックが起こり人口の10%が4ヶ月間でSARSに感染、死亡率が5%とするとどのような事態が予想されるだろうか。
 人口3万人の町では3000人の患者が出て、150人が死ぬことになるように見えるが、年齢で罹患率や死亡率が異なるので、60歳以上と60歳未満に分けてシミュレーションすべきだ。
  60歳以上の市民の罹患率を20%、死亡率を40%とすると、4ヶ月間での60歳以上の市民の死亡数は
   8000人×0.2×0.4=640人
 60歳未満の罹患率を10%、死亡率を5%とすると死亡数は、
   22,000人×0.1×0.05=110人
 合計で4ヶ月間に750人が新型鳥インフルエンザで死ぬことになる。

 ウィルスは感染拡大と共に弱毒化していくらしいから、数年の間に死亡率は下がるだろう。しかし、当面の死亡率は60歳以上は40%、60歳未満は5%である。
 感染者が病院へ行けば病院はたちまちSARSの感染源となり、病院機能は麻痺してしまい、老人の入院患者を中心に死亡が相次ぐだろう。
 市立病院はしばらくの期間閉鎖を余儀なくされる。医者の中にも感染者が出るだろう。12人しかいない常勤医で1000人の患者を診ることは不可能である。
 1日平均6.25+α人と考えると、データはばらつくから最大で1日当り14人程度の死亡は予測の範囲に入れるべきだろう。焼却炉が3基あるが、一回に2.5時間かかると假定すると、陽のあるうちの葬儀を考えると、9人が通常の処理能力の上限ではないだろうか。火葬施設の処理能力を超える日があるので、順番待ちが予測される。遺体保管についても対策が必要になりそうだ。

 患者をどのような体制でケアするか?
 罹患率を10%とすると、一時的には1000人程度の患者を隔離して治療する必要が生ずる。病院以外に臨時の治療施設が必要だが、医者がいない前提である程度の治療ができるように準備をしておかなければならない。
 SARSの標準治療法について、発症後を数段階に分けて具体的なガイドラインを作っておかなければ、間に合わない。それは厚生労働省と呼吸器学会の役割だろう。
 SARSに限っては、医者でなくても治療できるように、臨時の法制も準備しておかなければならない。市にSARS対策本部を置いて、医者の協力の下に臨機応変に対応すべきだろう。

 臨時の隔離施設は患者の食事を準備できるところがいい。そうした施設は根室には限られている。広さからみて学校しかなく、給食設備を考えると光洋中学校に限定される。緊急医療施設として利用する場合、4ヶ月間は学校として使用できない。そのために生徒を柏陵中学と啓雲中学に振り分けなければならない。1校で300人程度までしか収容できないのではないだろうか。小学校も花咲・北斗・成央のうち1校は入院・隔離施設に転用する必要があるだろう。
 感染拡大の時期は12月から3月が予想される。中3年生は受験シーズン真っ只中であるから、不安を小さくするためにも、事前の準備が必要だ。
 食材や作った料理の受け渡しで感染しないように、手順を決めておかなければならない。食事を作る人と患者との接触もできるだけ避けなければならない。
 中学校の給食が一時停止になる。お弁当で切り抜けられるだろうか?親が隔離された場合に、子供の世話は誰が面倒を見るのか?老人の世話をしている人が隔離された場合には残された老人はどうやって面倒を見るべきか?事前に検討しておかなければ対処が難しい問題だらけである。
 使う布団も患者が持ち込むしかないだろう。患者が退院するときには消毒が必要だが、その手順も決めておかなければならない。消毒用アルコールの濃度が何%だったらウィルスを殺せるのか。高機能マスクや消毒用アルコールの備蓄はどれくらい必要かなど、事前の準備で感染被害は小さくできる。
 発症後、治った人は免疫をもっているから、そういう人の協力を仰いで患者のケアをすることも考えられる。
 1918年のスペイン風邪では、当時の世界人口12億人の2~5%が死亡したと推計されている。栄養状態や衛生状態、医療技術や薬がまるで違うので、新型の鳥インフルエンザでそのまま歴史が繰り返されるとは考えにくい。ただ、新種のウィルスに対して人類が免疫をもたない点だけは同じである。
 パンデミックがおきないことを願うが、起きた場合でも適切な準備と冷静な対処があれば、それほど怖いことではあるまい。
  *スペイン風邪http://ww1.m78.com/topix-2/flu.html
                                             備えあれば憂いなし

消化器外科医が近く着任の予定 [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年4月27日   ebisu-blog#175 
  総閲覧数: 11,560/152 days (4月27日0時25分) 

  数日前の北海道新聞によると消化器外科の先生が一人常勤でいらっしゃるようだ。山口県からだという。
 山口大学医学部へ治験の仕事で何度か訪問したことがある。古い家並みが目立つ町で、人通りが少なく閑散とした風景が広がっていた。人口減少は根室よりも激しいものがあるのではないだろうか。空き家が増えているが、売りにでても買い手がなかなかつかないとタクシーの運転手さんが言っていた。明治の元勲を多数輩出した松下村塾で有名な吉田松陰の影響の強く残るお国柄で、気骨のある人が多いように感じる。一回り以上先輩だったが同じ会社に山口県出身の人がいた。「粗にして野なれど卑にあらず」(石田礼助)、飲むと何度か言っていたのを思い出した。
 空港でお土産に買う「豆四郎」が美味しかった。「ういろう」をふた回りほど小さくした概観のお菓子である。

 それにしても消化器外科医が来るのはありがたい。消化器内科の先生がいても、消化器外科医がいないと胃の内視鏡検査も充分には行い得ない。サンプルをとるときに胃壁を破るような事故があっても消化器外科医がいないと処置できない。絶対安全な範囲での検査しかできなかった。
 今後は根室で充分な内視鏡検査ができるようになるだろう。混雑の極みにあった消化器内科の岡田病院もすこしは緩和されるかもしれない。ほとんど休むまもなく先生が階段を駆け上がり駆け下りて診療していた。
 市立病院は常勤医が12人となる。医師一人増員によって年間換算で1.4億円売り上げ増が見込める。5月から来てもらえるなら、赤字が1.28億円ほど減らせる。年間赤字幅が3年ぶりに10億円を切るかもしれない。慶賀すべきことだ。

 近隣の自治体である厚岸町立病院の記事が4月21日の道新に載っていた。町立病院(98床)は6年ぶりに黒字だそうだ。もちろん一般会計からの繰出金が3億円ある。(市立根室病院は199床だが、1病棟閉鎖中で149ベッドである)
  
4月21日付北海道新聞より
 町の求めで札医大の地域医療総合医学講座助教授から転じた佐々木院長が着任し、患者に対する「信頼再生」に力を注いだ。総合医を目指す同講座所属の医師らが定着し、現在はないか、外科など6科で常勤医5人、研修医1人の体制で1次救急も引き受ける。・・・一方で支出削減を徹底し収入で費用を賄えた比率を示す医業収支比率は06年度で95.1%と前年比で15ポイントも上昇。全道の町立病院ではトップ級だ。
 病院会計に対して道庁は法廷基準を上回る補助金を一般会計から交付。06年度の黒字転換も、実際は前年度より1億円多い3億円の交付を受けてのことだが、、若狭靖町長は「増額は病院への町民の信頼回復があってこそ可能」と強調する。

ブログ更新頻度ダウン(お知らせ) [B5. お知らせ]

  2,008年4月21日   ebisu-blog#174 
  総閲覧数: 11,125/146 days (4月21日0時00分) 

  ブログを始めて146日が過ぎた。そろそろ本業が忙しくなってきたので、ブログの更新頻度を落とすことにした。毎週月曜日、午前零時を目標にアップしたい

 次回のテーマは「小さな町のSARS対策」について可能な範囲で考えてみたいと思っている。SARSはそろそろパンデミック(爆発感染)の時期が近づいている。学校や塾生にもさまざまな影響が予測される。北海道新聞や日経新聞も鳥インフルエンザ問題をそれぞれ採り上げだした。市町村単位ではまだ具体的な対策を進めているところはなさそうだ。
                                            備えあれば憂いなし


滝川市保護費搾取事件にみる日本人の価値観の崩壊 [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年4月20日   ebisu-blog#173 
  総閲覧数: 10,882/145 days (4月20日0時00分) 

  4月19日北海道新聞朝刊より
 保護費搾取
 滝川市長に結果責任
 第三者委最終報告「支給は不当」
 【滝川】滝川市の夫婦らによる生活保護費搾取事件をめぐり、当時の同市の対応を検証してきた第三者委員会は18日、約2億4千万円の支給が「病状調査や検診命令などを行わず、不相当」とし田村市長と末松静夫副市長についても「結果的に多額の公金が詐取され、行政の信用を著しく失墜させた責任は問われる」と対応を厳しく批判する最終報告を公表した。田村市長は記者会見で謝罪したが、言及の継続で責任を取るとし、辞任を求める声に対しては「今後の対応と信頼回復を進めるのが責任」と否定した。
 34面の記事より
 市長減給「甘い」
 市民ら憤慨と失望
【滝川】2億4千万円に上る血税を夫婦に支払い続けたことに対して、田村弘市長が18日、自らが示した責任の取り方は減給処分だった。「甘すぎる」「市民にどう説明するつもりなのか」―市民の多くから不満の声が上がった。

 《コメント》
 この市長は助役時代に保護費を詐取した男に会っている。最初は面識がないと言っていたが、後で会ったことがあることを認めた。保護費詐取についても責任を感じていないようだ。言い逃れをし、事実がばれるとその都度、そこだけを認める。そして責任は取らない。
 生活保護費を詐取した夫婦も悪いが、田村市長もそれに負けず劣らず悪い。社会科の先生は学校で生徒にどのように教えればよいのだろうか?
 責任ある立場のものが職務を全うせず、言い訳ばかりして、責任を取らない。2億4千万円もの血税を詐取されて、何のチェックもできなかったことに重大な管理責任を感じていない。それどころか助役時代には当の本人に会っているのだから、市長は当事者でもある。
 責任の取り方を知らないというか、みったくないというべきか。卑怯千万な振る舞いであり、日本人が恥ずべき行為としてきたことである。
 日本人の伝統的な価値観にしたがえば、「出処進退はきれいにする」、「退け際をきれいにする」、「潔く退く」、「悪いと思ったら素直に謝る」、「責任は潔くとる」、「卑怯な振る舞いはしない」、などである。
 滝川市の田村市長は助役時代も言い訳ばかりするような仕事のやり方をしてきたのだろう。市長になっても一向に直っていない。 肩書きが人を育てるというが、この人の場合はそうではなかったようだ。

 たまには日本人の鏡のような、責任のとり方を心得た、立派な市長がいてほしい。そして生徒たちにこんな立派な市長がいると紹介したいものである。


森写真館閉店 [87.根室の話題]

  2,008年4月19日   ebisu-blog#172 
  総閲覧数: 10882/144 days (4月19日0時00分) 

 40代以上の人は懐かしい写真館だ。森写真館は、現在のところから少し離れた裏通りにあった。スタジオは2階だった。昭和36年に友人と卒業記念に撮った写真が残っているから、50年程度の歴史があるだろう。
  いつ開業し、どのような仕事が楽しかったのか、苦労話も交えた取材記事を読んでみたい。北海道新聞と根室新聞の取材が楽しみだ。そのうち町の歴史の一コマとして載せてくれるだろう。

 森さんは中学校の修学旅行に一緒についてきてスナップ写真をたくさん撮っていた。当時はまだ150万人の美しい都市だった札幌や登別温泉などを回る楽しい修学旅行だった。夜中の3時頃まで騒いで起きていた。
 高校の修学旅行も森写真館のオヤジさんがついてきた。スナップショットが残っている。撮った写真は有料で焼き増ししてくれたが、とても採算が合うような仕事ではなかったはずだ。当時は引き伸ばし機を持っていたので撮った写真を自分で焼いてみて、森さんの撮った写真と比べ、構図だけ見てもテクニックの差が大きい、プロはやっぱり違うと思った。
 修学旅行への同行は、卒業アルバムが森写真館製だったので、それに使う写真を撮り溜めていたのかもしれない。学校にしっかり食い込んだ写真屋さんだった。

 幾分古びたシャッターに3月31日付で閉店した旨、紙が張ってあった。オヤジさんは80歳くらいだろうか。2年ほど前に古い写真の複写をお願いしたときにすこし話したことがある。新規開店した緑町のある店をそれとなく応援していた。遠い昔に開店したときの苦労を重ね見ていたのかもしれない。
 根室で仕事を続け、50年の歴史に幕を下ろした町の写真屋さん、ご苦労様でした。
 たくさんの人が折に触れ、思い出に残る記念写真を撮ってもらったことだろう。心から、ありがとうと言いたい。m(_ _)m


【訃報】2012年10月17日追記
 10月15日にお亡くなりになった。折込には85歳と書いてあった。根室市民斎場で16日(通夜)、17日(葬儀)が執り行われた。
 合掌。


道内人口急減 知恵絞り地域守らねば(道新・社説) [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年4月18日   ebisu-blog#171 
  総閲覧数: 10778/143 days (4月18日0時00分) 

 4月17日北海道新聞社説より

 道内人口急減
 知恵絞り地域守らねば
  道内の人口が560万人の大台を割り込んだと、総務省が発表した。27年前の水準だ。
 人口の増減は地域の活力を映し出す。十年前から人口減は始まっていたが、1年で3万人を超すのは初めてだ。
 減り方が加速している。全道で危機意識を共有したい。
 国の人口問題研究所の推計によると、道内は2030年に468万人にまで減る。20年後に90万人も減少する計算だ。
 厳しい未来が近づく。国と道は当面急いでやるべき対策と、息長く続ける総合的な対策に、同時に取り組まなければならない。
 すでに東京、大阪、名古屋の三大都市圏に人口の50%を超す集中が進んだ。道内でも札幌に三分の一の人々が住んでいる。
 この状態を放置し続ければ、仕事があり経済力がある大都市が勝ち残り、過疎地との格差は広がる一方だ。地域の活力を削ぐ事態は食い止めねばなるまい。
 まず雇用の確保が急務だ。
 人口減の大きな要因は、道内に仕事がなく東京などへ流出する、いわゆる社会減だからだ。
 中高、大学の新卒者はもとより、倒産で転職・離職する社会人の再就職先が少ない。道内の完全失業率は全国平均よりかなり悪い。
 高齢者を支える若い世代と働き盛りの流出は重い。道は4年間で十万人の雇用を生み出す計画に着手したばかりだ。可能な限り、前倒しする積極さが必要だろう。
 人口流出は、ただでさえ進んでいた出生率の低下、ひいては人口の自然減を加速させる。
 都市部を軸に働き手となる女性の社会進出を促し、同時に出産や子育てを支える環境づくりも欠かせない。国と道、さらに市町村が担う役割はますます大きい。
 道内で深刻なのは過疎の問題だ。8割の市町村が過疎地で、人口、消費、地方交付税などが少しずつ縮む悪循環の連鎖に苦しむ。
 過疎法が来年度で期限切れだ。過疎地は食料をうみ、森林で環境を守る。新たな視点による支援策を中長期的な地域対策とすべきだ。
 発想を切り替え大胆に挑戦することもあっていい。
 働く環境や子育て支援を進めて地域対策とし、経済成長を維持する政策が欧州で実現している。道内でも積極的な移住の受け入れなどが順調な伊達市のような例がある。
 人こそが活力を生む最大の資源だ。国と道は地域の隅々まで意識して対策を練り上げるべきだ。
 知恵を凝らした新たな動きが地域から起こることも期待したい。

《コメント》
 北海道は全国統計よりも10年早く人口減少が始まっている。人口問題研究所の人口減少率を逆算すると-0.81%であり、20年間で人口が16%(90万人)減少すると予測している。札幌が横ばいと假定すると、他の地域が25%近い人口減少をきたすということだろう。根室の人口は2.3~2.4万人程度にまで減少することになる。
 根室だけでなく、道内全体に社会資本の整備は、この人口減少を前提に行わなければならない。過大な社会資本投資は後世に借金の山を残すだけである。老人施設などは廃校になる小中学校あるいは高校をリサイクルしてできるだけ利用すべきだ。
 雇用創出については地方自治体ができることは限られているので、過大な期待はできない。原料供給基地としての地位に140年間甘んじてきたが、加工を盛んにして販路を押さえることが、北海道の雇用を増やすことにつながる。
 高品質を誇る北海道ブランドの加工製品群を育てるためにはどうすればよいのだろうか。
 たとえば、歯舞漁業協同組合が開発した商品群にその萌芽をみることはできないだろうか?漁業協同組合が製品開発の拠点になりえないだろうか?農業高校は酪農加工製品開発の重要な拠点にはなりえないだろうか?
 手造りの魚の燻製、原料を厳選した高級チーズ、モンサンミッシェルのようにミネラル分の多い牧草で育てた羊など、テーマを絞って検討すれば10年くらいで具体的な成果が得られそうなものもある。わたしにはアイデアがないが、根室人の叡智を結集して10年間手間隙をかければ、高品質の地域ブランド商品がいくつか開発できる可能性があるだろう。問題は人材である。とりあえず情熱の塊のような人が欲しい。そして確かな技術をもった人も。
 漁業と農業が広域で手を組む。たとえば、漁業の根室、漁業と酪農の別海、酪農の中標津、これら三つの地域が手を組めば、全国に通用する地域ブランドが確立できるのではないだろうか。
 北海道の人口減をとめるためには、センター(札幌)が繁栄するのではなく、ペリフェリ(札幌から遠く離れた地域)が自立して繁栄することが必要条件である。
                                                 備えあれば憂いなし


#170 道内人口27年ぶり560万人割れ(北海道新聞より) [A8. つれづれなるままに…]

  2,008年4月17日   ebisu-blog#170 
  総閲覧数: 10685/142 days (4月17日0時00分) 

 根室湾から沿岸氷が消えた。ようやく海にも春の訪れだ。気分一新、タイヤを冬用から夏用に換えた。昨年よりも10日ほど早い。

 昨日、旭山動物園の将来について、北海道の人口減を考慮に入れて設備投資を抑制しないと危ういと書いたが、今朝の道新に「27年ぶりに560万人割れ」という記事が載った。道内人口は97、98、99年がピークでその後逓減しているが、とくに昨年の減少が大きかった。その理由として、

「道内経済の活性化による抜本的な雇用確保策を講じない限り、「社会減少に歯止めをかけるのは困難」(総務省幹部)とみられる。道路などの社会資本整備でも、人口減を前提にした取り組みが求められそうだ。」

 対照的なコメントがある。高橋はるみ知事だ。「社会減対策として、魅力的な北海道づくりに加え、少子化対策として子育て支援などを、より積極的に進めて生きたい」と述べている。総務省幹部が「抜本的な雇用確保策を講じない限り「社会減少に歯止めをかけるのは困難」とコメントしているのと好対照をなしている。
 道内に仕事がないから東京へ人口が流出しているのであって、子育て支援は関係ない。ここでも行政はひどい勘違いをしている。道知事の認識がこれではまともな対策などあろう筈がない。

 北海道全体の減少率は-0.54%だが、子供の減少率は2倍以上だろう。働くところが少なくなって、結婚適齢期の若者を中心にした人口流出により根室は10年後の出生数が半減する可能性が大きい。似たようなところは道内あちこちにある。
 他所ごとながら、潜在顧客激減が見えているので旭山動物園は過大な設備投資はやめたほうが良い。10年後3分の2、年間200万人の入園者数を維持することはほぼ不可能だ。値上げしても10年後の売上は昨年度よりも減るだろう。これ以上大規模な設備投資をすれば、設備の老朽化が始まる10年後には維持費が捻出が困難になる。維持費の捻出できなくなった施設を想像してみればいい。お金を払って見に来る人はほとんどいなくなる。入場者数が1割になることも考えられる。冬の時代に備えていまから準備しておかないと北海道全体の人口減少の波をまともにかぶることになる。どうなるかは夕張市のハコモノ群が具体例で教えてくれている。

 この記事によれば、北海道は前年比で-0.54%である。根室の人口減少率はもっと大きく-1.6%である。道内では札幌が過去40年間で人口が150万人から190万人へ増えている。昔は札幌へ出れば仕事があり、何とか食えたということだ。いまは、それすら不可能になり、東京への流出が増えているということだろう。
 青森県、秋田県、高知県が前年比1%を超える減少である。この10年間の変化は、中央と地方の格差が大きくなっただけではなく、地方間で格差が拡大しているということだ。トヨタのある愛知県は東京並みの人口増加率で、東京に次いで第2位である。


旭山動物園と旭川市の経済・財政 [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年4月16日   ebisu-blog#169 
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 テレビで旭山動物園をとりあげていた。
 年間入場者数307万人で国立上野動物園の350万人に次ぐ。最近、料金を580円から800円に値上げした。以前の料金だと年間17.4億円の売上である。改定料金で300万人の入場者があれば24億円の売上となり、6.6億円の増収が期待できる。20億円や30億円の投資をしても数年で回収できそうである。

 問題は料金値上げによって入場者数が何%減少するのか、そして老朽化が始まる10年後に現在の三分の二(年間200万人)の入場者数が死守できるのかということだろう。北海道全体の子供の数は10年後どれほど減っているのだろう。根室市は今のままの傾向が続けば出生数が半減する。300万人の大半は北海道の子供と保護者だろう。

 05年、06年と2年続いて黒字だそうだ。設備投資が続いたこともあり、現在26億円の借金を抱えており、返済が終わるのは19年後だという。子供の人口減少速度が大きいから、それまで年間300万人の入場者数が確保できることは考えにくい。事業拡大は割りと簡単にできるが、バランスを維持しながら縮小するのは難しい。たいてい判断が遅れて大手術になり血を流すことになる。

 タクシー運転手やホテル、レストランにも取材していたが、通過型観光に組み入れられており、地元旭川を潤すようにはなっていないらしい。他のところからバスで動物園まで来て、またバスで次の観光地へと向かう。道東観光などに組み入れられて旭川市内での宿泊がほとんどないから、宿泊型観光には役立っていないとどの業界の人も口をそろえる。市長へのインタビューでも市の経済にプラスの影響はほとんどないという結論だった。どうやったら市の経済活性化につなげられるのか模索中という。

 毎年、新しい施設を作り、リピータを増やす努力をしている。国立上野動物園に追いつき追い越せと、現場関係者の号令が聞こえそうだ。テレビでも頻繁に取り上げられ、話題を提供している。職員は一生懸命に仕事をしている。
 狼と鹿を同じゾーンに囲い、金網で仕切って見せる施設が建設中だという。何匹もの狼を広い場所で見られる動物園は日本にはない。次々と新しいアイデアが生まれ、実行に移され、入場者記録を塗り替えてさぞ満足だろう。その一方で、新しい施設でまた十億円を超える借金が増えるだろう。維持費も跳ね上がる。どんな施設も適切なメンテナンスが必要で、いろいろな施設を増設すればするほど、固定費である維持費も膨らみ続ける。関係者は10年後20年後の旭山動物園の姿を考えているのだろうか?

 夕張市が一時同じような感じではなかったのだろうか。箱物をどんどん増やし、観光客は増える。北海道では他に例がない映画のイベントも軌道に乗せ、関係者は創造的で満足のいく仕事をしていたのだろうと想像する。

 人口35.6万人の旭川市に、年間300万人を超える観光客を呼び込むような動物園が本当に必要なのだろうか。少し冷静に考えれば、異常なことではないのだろうか。
 設備投資が回収できる20年後まで、年間300万人の入場者が確保できるのだろうか?誰のための、何のための動物園だろうか。今一度原点に戻って考えるべきではないのだろうか。旭川市民や道民主体の施設なら、適正規模があるはずだ。むやみな拡大をしないということも事業の将来を誤らない大切な勇気である。

 事業は拡大期が一番危ない。拡大することが自己目的になったときに、転落が始まる。
 入場者数は、旭川の人口の2~3倍程度が適正ではないだろうか。そこまで減少してもやっていけるような範囲に設備投資を押さえるべきだ。
 旭山動物園が夕張市の石炭博物館のような箱物群と同じ運命をたどらないことを祈る。