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道立高校入試発表 [87.根室の話題]

  2,008年3月17日   ebisu-blog#142 
  総閲覧数: 7600/111 days (3月17日11時00分) 
 
 さきほど高校入試の発表があった。合格した人はおめでとう。全員合格を期待していたが、定員40名のところへ50名の受験者があった事務情報科を受験した三人の内一人が落ちた。残念だが試験の結果だから受け止めるしかない。受験は振り分けるために試験だから振り落とされたくなかったら勉強するしかない。決して手を抜いてはならない。
 すべてがそうだとは言い切れないが、5年間生徒を見ていると、たとえランク外でも何が何でも合格してやるという意気込みで最後の3ヶ月間を勉強し抜いた生徒は合格している。合格ラインぎりぎりの成績で、ほわんとして勉強に集中できなかった生徒が危うい、そういう傾向はあるようだ。
 受験者が定員を10名オーバーしていたから、他にも不合格だった人が9人いる。その人たちにも伝えたい。人生にチャンスは一度とは限らない。厳しい結果をバネにして奮励努力して欲しい。高校3年間の努力は人間を大きく成長させる。逆境で折れず、曲がらず、まっすぐに育って欲しい。逆境を乗り越えた経験のある人間は社会人となっても心配がいらない。わたしは三年後に成長した姿をみたい。あなたたちを教えた先生もみんなそう願っているだろう。
 合格した人も、3年後へ向けて、就職や進学が待っている。これもまた振り分けの儀式だ。ほとんどプータローに近いフリータになるのと、非正規職員と正規職員では待遇がまるで違うのが社会の現実である。北海道新聞28面にも「僕らに希望を⑤」というタイトルで道内の就職の現実が特集されている。君らは高校生だ、新聞くらいは読め、そして社会の現実を仮想体験しておけ。

 今日10時のニュースで米国の金利が3.5%から3.25%に下がったことが報じられた。日本の銀行は0.3%程度の定期預金金利で預金を集めて米国へ預金することで、5%も利ざやを稼いでいた。莫迦でも経営できたのが現在の銀行の真の姿だ。米国金利はついこの間まで5.25%だった。法外な利益が濡れ手に粟でえられていた。しかしこれからは違う。イージーな資金運用をしていた罰に、巨額の為替損失が控えている。世の中、美味しい話には落とし穴が待ち受けていることを知っておこう。

 日米金利差が縮小しつつある。団塊の世代の退職が始まっている。米国で運用されていた退職金資産は売り払われ、円転換される。円に対する需要が継続的に大きくなる。ついで、年金資産の売却・円転換が始まる。ドルは5年以内に60円の局面を迎えるだろう。

 日本の外為特別会計には1兆ドルの米国運用資金がある。そのほとんどが米国債だ。購入単価の換算レートは平均で117円/ドルだから、今日の為替相場は96円なので21兆円の為替差損が出てしまっている。年間税収の半分に近い。巨額な損失だ。
 新聞やテレビはそういうことを報道していない。新聞を読むだけではだめだということだ。経済の仕組みについても知っておくべきだ。そして自分の頭で考えろ。君らの時代はもうそこまで来ているが、多難な時代だ。戦後六十数年の政治のつけが一気に廻る時代だ。しっかり勉強して社会人となってほしい。 


国後島の山並み [A9. ゆらゆらゆ~らり]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#141 
  総閲覧数: 7519/110 days (3月16日13時45分) 
 
 晴れた中を微風が吹いている。お彼岸が近いのでお墓の掃除に行ってきた。年に数度、掃除をする。墓掃除は気持ちが良い。
 市営墓地からはオホーツク海が見渡せ、遮るものがないので国後島を一望にできる。実に大きな島である。沖縄よりも大きい。オホーツク海の左の端から右の途中まで国後島が広がっている。山のほとんどが雪を頂いて真っ白に輝いている。島中央付近の羅臼岳や東端の爺々岳がひときわ真っ白に見える。その右向こうに平べったく択捉の西端が見えていた。
 向こうからも根室半島が見えている。大きな波が来れば一呑みになりそうなほど平らで起伏の乏しい景色が広がっているのだろう。お互いの居住している土地が肉眼で確認できるほど近いが、往来は自由ではない。
 眺めているうちに往来が自由だった戦前の昔へタイムスリップした気がした。お墓で眠っている先人の多くは往来が自由だった頃の住人である。百年後にここに佇んで国後を眺める根室市民がどのような感慨を抱くのか私には想像がつかない。それはたぶん領土紛争がどのように解決できるかにかかっている。

#140 地方の医師不足解消策は(北海道新聞より)2,008年3月16日 [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#140 
  総閲覧数: 7431/110 days (3月16日8時45分) 
 
 地方の医師不足解消策は
【中標津】町立中標津病院長を3月末で定年退職する栗林弘院長(63)に、医師不足など地域医療が抱える課題を聞いた。
 
 ―24年もの間、院長を務めました。
「町の人が病院を大事にしてくれたおかげです。中標津には自然が残っていて、都市機能もある。中標津空港が近くアクセスも良い。他の町からうらやましがられました」
 ―北大に頭や胸のエックス線CT画像を電送し、専門の放射線科医が診断してもらう画像伝送をいち早く導入しました。
「1987年に他病院に先駆けて取り入れました。夜間の当直医でも専門的に判断してもらうことで、医師も患者も安心でき、釧路への患者搬送も減らせました」
 ―どの病院も医師不足に悩む中、18人の常勤医を確保しています。
「中標津になじんでもらうため、症例検討会や講師を招いての学術講演会を開き、医師同士が交流する機会をつくるよう努めました。テニスやボウリング大会、英国人に頼んで英会話教室などユニークなことにも取り組みました」
 ―就任当初、医師は5人だったそうですね。
「医師数は増えましたが勤務医は今もきつい状況にあり、医師離れの原因となっています。羅臼から救急患者を受け入れるようになり、当直医の負担を減らすため、時間外の受診を減らしてもらえるよう、町民にもお願いします」
 ―道は根室管内の自治体病院を縮小し、連携するよう求めています。
「地方から人口が減ると病院も縮小せざるをえなくなります。そのため医師を派遣しあうなど病院間協力は必要です。しかし医師は大学ごとに流儀が違います。チームワークが必要な医療では、単純に今いる医師を集約するだけではうまくいかないでしょう。診療科目ごとに同じ大学出身者でまとめるなどの方針が要ります」
 ―地方出身の医師は多くありません。
「この地域の子供の学力が低いとは思いません。医師に必要なのは人間性。私は母親が子宮がんになったのがきっかけで、医師を目指しました。勉強ができるだけの医師は要りません」
 ―どうしたら地方の医師不足は解消できるでしょう。
「地方の医師不足は医師を増やすだけでは解決しません。根室のように、地域住民と医師との交流会をひらくなど接点をもちお互いの立場を理解しあう機会があればもっとよくなるのではないでしょうか」

【コメント】
 24年間は長い。まれな事例といえる。いくつ者要因が重なってのことだろう。記事中にそのいくつをかいまみることができる。記事にあるように空港が町の中心部から10分のところにあることもそのうちのひとつだ。ダムのない川があることは渓流釣りを趣味とする人には最高だろう。魚影も本州の川に比べると断然濃い。院長の出身地が札幌であることも理由のひとつだろう。内陸型の気候である中標津は札幌によく似た気候である。家族がいる札幌へのアクセスは格段に良い。病院から空港まで5分である。千歳空港まで載ったことはないが、30分足らずの飛行時間ではないだろうか。中標津は栗林院長にぴったりの条件を備えた地である。
 Kさんからのメールでは、自治体病院は院長次第、首長次第の要素が大きいという。院長の最良を大きくして、医師の採用も含めて大幅な権限委譲をし、責任をもって仕事をしてもらうことが大事だという。責任とそれに見合う権限を与えることが自治体病院での医師確保の要件のようだ。

 栗林医師は家族のいる札幌に移るが、今後も名誉院長として月数回の頻度で診療や指導にあたる予定である。
 記事中にある、夜間の時間外診療を減らすことは、市民として協力すべきことだろう。これは根室も同じだ。単なる交流会に終わらず、協力の具体的な成果を生み出すことが大事なようだ。
 いろいろ勉強になる記事だった。「勉強ができるだけの医師は要りません」という言葉はよくわかる。ひとりだけだが、特別な事情があり、Eさんとペアで10年を超えて個人レッスンをした生徒が北里大学医学部へ進学した例がある。最後の方は輸入商社で統合システム開発をしていた時期やその次に勤めた大手臨床検査会社で上場準備のための統合システム開発を担当していた時期に当たる。仕事は忙しかったが、土曜日の午後はその生徒のために空けてあった。事情はかけないが渋谷の進学塾で個人指導をしていた数年間は勉強のできは著しく悪かった。悪い順に数えると私の経験では3本指に入る。2年ばかり教えるうちに、コツこと努力を積み重ねることのできる生徒にかわった。新宿駅からすぐ傍のNSMというマンションの13階で教えるようになってから、僻地医療の現状を勉強の合間に話すことがしばしばあった。高校生になって医者になりたいと言い出した。信じられない思いがしたのは母親だけではない、教えていた私もだ。両親ともに大学進学は無理だとあきらめていたはずである。それを彼は2年浪人して初志貫徹した。意志の強い生徒である。私は小学校4年から算数と数学を教えていただけである。翻訳家になったEさんの国語と英語の教え方が良かったのだろう、みごとに合格した。栗林院長に引けをとらない人間性豊かな医者になっているだろう。

 栗林院長が「勉強ができるだけの医者は要らない」というのはよくわかる。ニムオロ塾でも「勉強ができるだけの生徒は要らない」、同感である。病院も塾も、医者も生徒も根っこのところは同じである
 勉強ができるだけの性根の腐った人間に知性という武器を与えたらその弊害もまた武器の大きさに比例してしまうことは当然である。教育も人を診る必要があるということだ。そういう判断は教える側がしなければならない。教育の本質がが生徒と教師のコミュニケーションの中にあるというのはそのことも指している。教育を単なるビジネスと割り切ってはいけない理由もその辺りにあるのだろう。
 小さなしっかりした私塾を志向するニムオロ塾は、塾長が教えない生徒や責任をもってみれる範囲を超える生徒を抱えることはない。これは私塾としての外してはならない原則であると私は考えている。


医師11人なら4億円の赤字(北海道新聞) [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年3月16日   ebisu-blog#139 
  総閲覧数: 7393/110 days (3月16日0時30分) 

3月15日北海道新聞朝刊26面(根室地域版)より転載

 
  医師11人なら4億円の赤字
 
病院会計で市側見通し
【根室】定例市議会は14日、予算審査特別委員会で新年度予算案の一般会計歳出や病院事業会計などを審議した。市は病院事業会計で想定している市立病院の常勤医15人が確保できなかった場合、不足する医師1人につき1億円程度の減収になる見通しを示した。新年度も現在の11人体制のままだった場合、約4億円の赤字となり、収支不足に陥る。
 久保田陽氏(新風)の質問に、病院事務局の本田俊治管理課長が答えた。新年度予算案では一般会計から病院事業会計に、前年度比1億3千万円増の6億1千万円を繰り入れ、収支均衡を図っている。本田課長は「一日も早く15人体制を整備することが重要」と強調。不良債務解消に充てる「公立病院特例債」発行の前提となる「公立病院改革プラン」を秋をめどに策定する考えを示した。(仁科裕章)

《コメント》
 新年度、眼科医が道庁から派遣されることが決まった。産科医と合わせて2名増員である。減員がなければこの二人が純増である。非常勤の医師の数や勤務形態が変わらなければ、24億円程度の売上が見込める。営業損失は推計9億円である。6億円の繰入をしてもなお、3億円足りない。
 本田課長の推計、医師一人当たりの売上1億円は辻褄が合わない。一人当たり1億円なら平成10年度は常勤医師換算で20人いなければならない。H19年度の常勤医は4・5・6月が6名体制であったから、その後11名になっても年間平均値では10名の実績である。20億円を1億円で割ると20名となる。非常勤医師の勤務を概ね週2回と計算すると25名も非常勤の医師がいたことになる。ありえない。
 非常勤医はホームページを見ると5名である。診療従事日数を週2日とすると常勤医師換算2名である。だからH19年度は常勤医10名と常勤医師換算2名の合計12名だったことになる。一般会計からの繰り入れ分の「その他医業収益」1.4億円を差し引くと、純売上18.6億円。これを12名で割ると、医師一人当たり1.55億円の売上である。したがって、常勤医4人不足は6.2億円の売上減となる。
 赤字特例債は病院会計が赤字にならないことが前提で発行が許可されるから、本田課長も苦しい辻褄合わせをせざるを得なかったようにみえる。発行条件に違反しても特に罰則がないようだからこのようなインチキが横行することになる。
 病院管理課長単独でこのような辻褄あわせができるわけがない。財務課長や市長が了解の上での、というより緊密な連絡・調整・指示のもとに行われたと判断すべきだろう。もちろん数字のカラクリは道庁側も承知している。数字を3年分並べれば誰でも簡単にわかる。毎年11億円前後の繰入が3年間続いているのに、特段の理由がないのにH20年だけが6.1億円で済むわけがない。
 H19をベースに置くと、常勤医が3名増の年平均13名、非常勤医が5名とすると、売上推計値は23.3億円である。医業費用は33億円、営業外費用が8千万円程度あるから10.5億円程度の経常損失となる。一般会計からの繰入が6.1億円なら、病院会計は2名減員の13名体制でも4.4億円(4名減員ならば7.5億円)の赤字である。いまからH20年度の決算対策や後始末(一般会計からの繰り入れ増や新規職員の募集停止)を考えた方がよい。いつも決算では繰り入れが増えて辻褄が合っている。どこか削ってお金を回しているとしたら、全体に余裕のある予算と受け取っていいのだろう。きちきちの一般会計予算なら決算で7億円も繰入金を増額できない。
 専門家のKさんからのメールでは、医師一人当たり売上は1.5億円がマックスであるようだ。だから根室市立病院の医師たちは好くやってくれている。相当無理をしているのではないだろうか?数字を見ていて一人当たり売上が大きすぎて心配になる。


変わりつつある町(4) 水産業 [87.根室の話題]

 2,008年3月15日   ebisu-blog#138 
 総閲覧数: 7391/109 days (3月14日23時50分) 

 
  夜中ずっと雨だった。最低気温は+2度、昼頃まで降り続いた。これが雪なら70センチくらい積もったのかもしれない。
 
 水産業の中でも、とくに蟹屋さんに焦点を当ててみよう。
 光洋町の交差点をよく通るが、道路沿いに中西水産がある。5年ほど前はこのあたりを通ると、蟹を茹でる匂いが辺りを漂っていたが、この数年匂いに気がつくことがなくなった。茹でる設備が匂いの出ないものに変わったのか、取扱量が減ったのかはわからない。
 このごろ光洋水産がテレビでずいぶん宣伝している。ネット販売で大きく当てたようだ。

 1月の蟹の輸入量が激減した。前年比半分以下だったように記憶する。2月のブログで新聞から具体的な数字を引いて書いた。
 北方4島近海の蟹資源が少なくなり、密漁業者は数年前からウニへシフトしている。ロシアからの輸入量が減っている現状で、光洋水産が急激に売上を伸ばしている。1船買いすれば、他の業者へ蟹が廻らなくなる。根室では杉山水産が蟹の取扱高が多かったはずだ。マルシェデキッチンの杉山水産の売り場が縮小されて久しい。販売量が減っているのだろうか?
 資源量の減少に比例して蟹の輸入量も減る。それにロシア当局の密漁取締りが厳しくなりさらに追い討ちをかける。根室に陸揚げされる蟹の量が急減しつつあるようだ。

 5年後に、蟹業者は何社が生き残っているだろう。ロシアが密漁取締りに力をいれ、資源保護をするようになれば、花咲蟹やタラバガニも輸入量は少なくなってさらに高値で取引されるようになる。資源の減り方を考えると今後5年間で値段が2倍になる可能性もある。
 蟹の養殖はまだ実験段階で、確立された技術がないようだ。生態系がよくわかっていないのかもしれない。タラバガニや花咲ガニがまぼろしになる日がくるのだろうか?それとも、養殖技術が確立され、生態系が判明し、鮭のように資源が回復する日が来るのだろうか。4月からはじまる新しい年度中にそれが可能とはならないが、養殖技術の進歩を信じたい。

 歯舞組合が昆布醤油や舞い秋刀魚だけでなく意欲的な商品開発をしている。雑海草からフコダインの抽出に成功し、商業生産を試みているようだ。フコダインには抗癌作用があり、医薬品材料としても有望な物質である。

 根室半島の東側、納沙布岬まで、雑海草が繁茂している一帯がある。巡視船に乗って半島を廻ったときに、こんなに密に海草が繁茂しているところがあると驚いたことがある。利用価値がないように見えて、宝の山かもしれない。
 行者ニンニク(アイヌねぎ)だって原野に生えているのだから、根室の風土にあっているのだろう。栽培すれば有力な農産物になる可能性がある。なにか特別な薬効が発見されるかもしれない。水産物から農産物に話しが脱線した。

 水産資源は豊富にあるが、意外と利用の仕方に気がついていないということは他にもあるに違いない。いつか誰かが宝の山に気がついて、上手に取り出すだろう。それまで貴重な資源は群青色の海の中でゆらゆら揺れて出番の来るのをまっている。


変わりつつある町(3) 滞在型観光 [87.根室の話題]

 2,008年3月14日   ebisu-blog#137 
 総閲覧数: 7292/109 days (3月14日23時30分) 

 
  午後9時半、合同庁舎前の温度表示板は+5度。見間違えたかと思った。この時間帯では今年最高気温である。屋根を叩く雨音が心地よい。

 老舗の大野屋旅館が暖房設備の工事で休業したままである。もう1ヶ月以上たつがどうやら店じまいだったようだ。いろいろ噂は流れていた。2度利用したことがあったが、残念である。
 春国岱は一昨年の台風もどきの低気圧で倒木被害が30%近くにものぼることが明らかになった。それでも、大鷲は今日も春国岱の上空を飛んでいる。観光スポットとしては素晴らしい場所である。
 ところが木道は荒れ果てたまま整備されていないし、太いものでは直径80センチほどもある丸太で組まれた展望台も朽ち果てるに任せて、登ることすらできない。
 根室はパッケージ観光旅行では通過ルートに当る。滞在型の企画はほとんどないようだ。東根室駅も観光スポットのひとつだが、トイレすら整備されていない。列車で来て東根室でバスに乗り換えるツアーやバスで周遊してくるツアーがある。今年はとっくに始まっている。夏になると毎日何台かバスが停まるが、トイレがないので旅行客が気の毒である。明治公園内に二つもトイレを整備するくらいなら、観光客が訪れる最東端の駅である東根室にトイレの設置をすべきだろう。トイレを我慢できなくなったバス客が近所にトイレを借りに駆け込むことがある。

 滞在型の観光には宿泊施設が必要だが、老舗の大野屋旅館に続いて他の旅館が店じまいするようなことがないことを祈りたい。グランドホテルは相変わらず青息吐息のようだ。設備は古いままで外装も手入れがなかなかされない。その一方で、民宿常盤が開業した。しかし、根室全体では宿泊室数が減っている。新年度はどうなるだろう。旅館、ホテル、民宿は総じて勢いがないように見える。
 
 温泉の出ないことが大型の宿泊施設ができない理由のひとつに上げられるだろう。50度クラスの温泉さえ出れば、宿泊施設のみならず泉質によっては他にも用途が考えられるだろう。温泉付の特別養護老人ホームがあっても好いし、新病院のお風呂や暖房に利用することもできるかもしれない。

 根室には窓を開けて車を走らせていると、硫黄の匂いのする場所が一箇所ある。気のせいかもしれないし、そうでないかもしれない。私にはわからないので、専門家が調査して欲しい。

 市立病院赤字を住民一人当たり1万円に縮小できたら、年間9億円近いお金が浮いてくる。温泉掘削技術は近年ずいぶん進化したと聞く。根室市で温泉を掘削して、うまくいったら、ホテル業者にお湯を販売しても好いのではないか。地元資本でできないなら、自治体でやるという手がある。それくらいの遊び心が実現できるような健全財政でありたいものだ。

  このようなことを書き連ねながらふと別のことも頭に浮かぶ。朽ち果てるのを待つかのように丸太でできた展望台が白化している。さびしい感じはするが、人間の営為などいずれはこの展望台と同じ運命、生きていたものが白骨と成り果てることを象徴しているようにも見える。
 そうしてこの春国岱をもう一度眺めるとき、寂れたなかに実に味わい深い風情が感じられるのも事実である。
 気がつくと私が大鷲を見ているのではなく、大鷲が人間を観察しているようにも見えてくる。大型宿泊施設や温泉が根室のために必要か?そう問いかけるかのように大鷲が防波堤のコンクリートに佇んでじっとこちらを見ている。
 町の繁栄は自然破壊をもたらす。春国岱はこのままの方がいいのかもしれない。自己の利益のみを考える輩は時間とともに滅ぶ。人間よ、謙虚に、そして豊かな自然に遠慮しながらつましく暮らすべきだと大鷲が語ったような気がした。


変わりつつある町(2) 小売業 [87.根室の話題]

  2,008年3月14日   ebisu-blog#136 
 総閲覧数: 7248/109 days (3月14日13時40分) 

 
 風の強い日である。海氷はオホーツクのはるか彼方に消え去り、結氷した沿岸に取り残された氷が残るのみである。今朝の最低気温はは0付近だっただろう。

 市内の出生数の顕著な減少が幼児対象のビジネスに影響していることを前回のブログで書いた。この5年間で30%の減少である。同じ減少率を続けると假定すると平成23年には年間出生数が170人ほどになってしまう計算である。顧客が半分になるということだ。小学校や中学校の統廃合は時間の問題である。いずれは市内4校体制になるだろう。厚床地区にひとつ、歯舞地区にひとつ、市街化地域に二つである。

 小売業の変化はもう数十年前から一貫した傾向が出ている。仕入れができない。地元小売店単独での仕入では、全国展開チェーンにかなわない。最初の事例がファミリーデパートである。ポスフールに変わっている。今年度は、マルシェデキッチンがJRの系列になって息を吹き返したように見える。お店は以前よりもだいぶ込んでいる。地元単独の仕入ではポスフールや札幌コープに太刀打ちできない。こうして仕入を軸に系列化が進む。
 最近、セブンイレブンの進出が噂されている。市内に5店舗開業するという。いくつか具体的な話が伝わってくる。著名な全国チェーンである。
 周辺に位置する地元の小売店やコンビにとっては脅威だろう。最初は地元小売店が淘汰される。次に、大型店とコンビ二との間の競争が始まるだろう。

 もう地元企業が単独仕入で対抗できる余地がないようだ。翻って、中標津の東武サウスヒルズはよく戦っているようにみえる。たいしたものだ。実情はきついのかもしれない。
 新年度は、セブンイレブンが何店舗か開店するだろう。市民にとっては便利になるが、古くから続く地元の小売店で店じまいするところが出てくるかもしれない。
 仕入れ量が違うし、仕入れルートも違う。地元の小売店が仕入れるよりも安い値段で売っても利益がある。それほど仕入れ値段が違う。わたしもある大手企業で購買担当者の経験が数年あるので、規模の小さい企業の仕入れ交渉に限界のあることはよくわかる。問屋とは値段の交渉はしない。問屋をパスしてメーカーと直に交渉をする。問屋の役割は在庫を抱えて、注文したらすぐに納品できる倉庫機能として使っていた。購入量が違えば交渉の仕方もルートも違うのは当たり前だろう。全国チューン店が地元資本を駆逐していくさまは時代の流れであるのだろう。
 緑町商店街は昔日の面影がないほどに寂れた。かろうじて人がにぎわうのは、お盆と金比羅さんのお祭りのみである。


変わりつつある町(1) 出生数の減少 [87.根室の話題]

  2,008年3月13日   ebisu-blog#135 
 総閲覧数: 7157/108 days (3月13日23時40分) 

 
 夜9時頃の気温がついにプラスになった。太陽が沈むのも5時15分過ぎになった。海は氷が流されて群青色を取り戻しつつある。春がそこまで来ている。
 今日、啓雲中学校の卒業式があった。まずは卒業おめでとう。卒業生は2クラス80名弱である。各中学校が生徒数減少で部活がままならなくなっていることは何度かこのブログで書いた。
 年度末が近い。根室市がどのように変化しつつあるのか、今年度を振り返りつつ、少し視野を広げてみよう。

 この5年間で出生数が350人から250人へとおおよそ100人減った。30%減である。5年間の根室市の人口減少はおおよそ7%、2000人である。人口構成の変化からは根室市が急速に衰退することはほぼ確実である。

 光洋保育所は閉鎖した。幼稚園もそれぞれ生徒数を減らしているに違いない。幼児を対象にしているビジネスに影響がでている。幼稚園が学習塾を始めたり、ピアノ教室が幼児英語教室を開いたりしている。根室市全体の幼児数が急速に減っているので、スペースが空いているのだろう。
 根室は他地域に比べ教育熱が高い方ではない。私立中学や私立進学高校があるわけではないから当たり前といえば当たり前かもしれない。
 あと10年で出生数がさらに100人減り、年間150人になる可能性がある。高校を卒業した若者のうち地元で安定した就職先を見つけられるのは、60名くらいだろうか。だから、このままではいずれ年間出生数が100人になるときがくる。数字だけ見れば保育所も幼稚園も三分の一で充分である。三分の二は必要なくなる。このままではたった10年でそうなる。根室の人口は急速に高齢化していく。出生数の減少がもたらす影響に比べれば、根室支庁の統合問題など小さなことに思える。

 人口減を食い止めるためには、若者が安定して生活できる職場が必要だ。いくつか店頭公開する企業がでれば業種によっては雇用の機会は増える。市税収入も増加するし、なにより職場を根室で確保でき、若者の根室離れを食い止められる。
 “諸行無常”ですべてのものが移ろい行くなら、衰退の方向だけではなく、しっかりした安定の芽も育てていきたいものである。
 根室市内の企業が数社上場できれば、根室の経済の活力は飛躍的に大きくなるに違いない。


4月新年度、世の中さまざま(新聞2紙より) [26. 地域医療・経済・財政]

  2,008年3月13日   ebisu-blog#134 
 総閲覧数: 7056/107 days (3月13日0時15分) 

 
 市議会でH20年度予算案についての代表質問が始まった。病院事業会計の赤字幅は常勤医が何名になるかによるが、予算案は15名を前提にできあがっている。数字の辻褄合わせの必要上、15名体制を言っているだけだろう。昨年度も予算案は15名の前提だった。結果は11名である。市長は昨年と同じ答弁をしている。予算案では15人を前提にし、具体案を聞かれると答えられない。昨年は4・5・6月の3ヶ月間は常勤医が9名だった。今年はそんなことはないだろう。しかし11名体制が15名になるというのこともありそうにない。赤字特例債の発行条件は病院会計を黒字化することである。そこから15名体制が逆算されたのだろう。苦しい台所事情が垣間見える。民間会社でこんな事をしたら会社が潰れる。
 以下、3月12日北海道新聞朝刊より転載

 ただ、病院事業会計で想定している常勤医15人の確保については「国や道、大学と最終調整しており、現時点では明らかにできない」と明言を避けた。滑川氏、佐藤氏、鈴木一彦氏(共産党)への答弁。

 富山県氷見市の例を3月10日の日本経済新聞から・・・

 公立病院は民間に比べて高コスト体質。立派な施設に建設費や看護師・事務員の高い給与水準が経営を圧迫している。
 痛みを伴う改革に踏み切る自治体も現れ始めた。富山県氷見市は4月に市民病院の経営を金沢医科大に任せる。給与が下がり公務員でなくなる病院職員の労働組合は反発したが、市は「免職」という強硬手段もちらつかせて押し切った。年間5億円あった赤字を穴埋めする必要はなくなる。

 氷見市の人口は5.6万人、根室市は3.1万人。病院の赤字額は氷見市が5億円、根室市が12億円である。道東に医療を任せるべき医科大学はない。氷見市は行動した。さて根室市は?


一番とげれっぱ(卒業式の朝) [87.根室の話題]

 2,008年3月12日   ebisu-blog#133 
 総閲覧数: 6984/106 days (3月12日11時15分) 

 
 卒業式の朝、辺りは真っ白。昨夜降った雪がうっすら朝の景色を覆っていた。市内の中学校は今日が卒業式。「旅立ち」を歌っている頃かな?

 昨日、Ke中学のK君に卒業アルバムを見せてもらった。最初のページに卒業生全員が載っている。二クラス、80人弱である。団塊の世代の私たちが光洋中学を卒業するときには同期が550名いた。そういう感覚で見るものだから、80人弱では郡部の中学校にしか見えない。先生の数は校長も含めて25人。人件費が2億円とその他経費が5千万円かかっていれば、年間2.5億円である。生徒一人当たり100万円のコストがかかっている。独立採算なら生徒一人当たり毎月8万円の授業料負担となる。

 運動会でクラス対抗をやれば2組だから、いつも一番とげれっぱ(びり)しかない。なんとつまらないことだろうか。1学年80名以下ではクラブ活動もママならいないのは当たり前だろう。とっくに2校に統合していなくてはならない。いったい学校は誰のためにあるのか?今に至ってもなぜ小中学校統廃合の具体策がないのだろう。不思議な街、行政不在の町にみえる。根室市に学校統廃合を検討する教育委員会はないのだろうか?

 数年前に厚岸の中学校で不幸な事故があった。学校の前の側溝で脱輪した教員の車を出すために、手伝っていた先生たち3名が、吹雪の中を走ってきたトラックにはねられて死亡した。
 この中学校は生徒が13名、教員及び職員が13名と報じられた。生徒一人当たりの教育費はおおよそ年間1000万円である。三年間で生徒一人当たり3000万円の教育費をかけている。
 このことから3名の小規模校だと、生徒一人当たり年間1000万円のコストが、生徒250名だと100万円のコストがかかることがわかる。おおよその数字だが、一校あたりの生徒数が減少すると、一人当たりコストが加速的に増えることは明らかだ。

 これほど「潤沢に」教育費が使えるのなら、方向をちょっと変えただけで、医者を何人も育てられる。医者不足問題など簡単に解消できるのではないだろうか。それゆえ、教育費の使い方が間違っているように私には思える。マイクロバスで近隣の中学校へ運べば費用は1000万円もかからないだろう。10分の一以下で済む。このように小規模校1校を廃止しただけで、医者を育てる奨学金は簡単に捻出できる。あとは市の行政関係者(企画部門や教育委員会)にやる気があるのかないのかの問題だけだろう。