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#4709 光洋中学校は毎日オンライン授業 Feb. 2, 2022 [35.1 COVID-19]

 光洋中学校は1/31~2/5まで全校閉鎖措置をとっていますが、いまタブレット端末でオンライン授業をしています。Zoomによるオンライン授業とロイロノートという市販ソフトを利用しています。

 COVID-19パンディミックが3年目に入っているので、準備があったのでしょうね。全校閉鎖措置と同時にタブレット端末の持ち帰りをさせました。予測して手順を決めていたのかもしれません、素早い対応でした。お見事!
 先生も生徒もやっているうちに慣れるでしょう。

 ロイロノートの中身は見ていませんが、この手の教材づくりの常識から判断すると、さかのぼり学習ができる「プログラム学習法」が組み込まれているはずです。使い慣れたら、低学力層の生徒が、その機能を利用して遡って理解できていないところを復習できます。学力上位層は予習してどんどん消化してしまえばいい。
 難関大学へ進学する都会の生徒は、私立の中高一貫校で1年前倒しの授業を受けています。学習ソフトを利用してどこまでできるかやってみたらいい。

 東京へ戻ったら、いまいる生徒たちの希望者にはzoomでオンライン授業をするつもりです。高校卒業するまでのアフターサービス、きっと楽しいよ。

*光洋中学校ホームページの「1/31学校だより」に学校閉鎖の事情とオンライン授業についての説明が載っています。スマホでQRコードを読み込めば、元の鮮明な文書を閲覧できるのではないかと思います。わたしはダウンロードして、写真加工ソフトで拡大して読みました。

 説明の中で、濃厚接触者については保健所からの連絡はなく、感染者から濃厚接触者へ直接連絡が行くので、生徒のだれが濃厚接触者か把握できないと書いてあります。わたしのところもPCR検査陽性となった生徒の保護者から連絡が来ました。生徒や保護者にも説明しないといけない大事なことなので、他にいた2名の生徒が濃厚接触者に該当するのかしないのかも判断がつかないので、保健所から連絡をもらえるように頼んだら、数時間後に保健所から連絡をいただきました。同席していた2名は濃厚接触には該当しないと説明していただいたので、その後の対応ができました。
 2日前に、札幌の医療関係者が濃厚接触者になったとFBにアップしていましたが、保健所から連絡があったと言ってました。根室の状況を伝えると驚かれていました。「医療行政の崩壊」と表現してました。根室はこのところ週に100名前後のPCR検査陽性者が出ているので、手が回らないのでしょう。一人当たり15名の濃厚接触者があるとすれば週に1500名ですから。やむを得ない措置なのでしょう。(2/3午前9時追記)


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#4707 柏陵中に続いて光洋中も3年生は学年閉鎖:高校受験生の受難 Jan. 30, 2022 [35.1 COVID-19]

 柏陵中に続いて光洋中も3年生が2/6まで全校閉鎖になりました。タブレット端末を慌てて生徒へ渡しています。オンライン授業をするためでしょうね。先生も生徒も不慣れ、当初はトラブル続出でしょうが、たぶんすぐになれますよ。いや、いきなりは無理ですから、市販の問題集がソフトとして載っているのでしょう。それをやれということかな。
光洋中はzoomと市販ソフトの両方利用してやっているようです。いきなりだから生徒も先生もたいへんですが、しだいになれます。使い方次第で成績下位30%の生徒たちを救う道が見つかるかもしれません。1/31追記)

 入試一月前だから、大事な時期です。2/3に予定されていた模試も順延でしょうね。わたしが濃厚接触者にならなくても、学校がこの状態では、結局授業はできないのです。

 2/7日から学校も授業をやるのでしょうが、また感染者が出る確率は大きい、家庭内感染しますからね。オミクロンはインフルエンザ並みの感染力になってきています。エアロゾル感染は空気感染に近づいていますね。ウィルスの大きさはどれくらいかというと、
新型コロナウイルス   0.050–0.2 μm
●インフルエンザウイルス 0.08–0.12 μm

 サイズはほとんど一緒ですね。不織布マスクでは横からすり抜けて拡散します。
 唯一の対策は室内換気です。
 学校の教室には換気扇がついていませんから、廊下側のドアと窓を開放しないといけませんね。でもそれでは生徒たちが風邪をひきそうです。
 ニムオロ塾は教室に換気扇がついています。つけっぱなしにすると暖房付けても、もちろん寒いです。寒い人は防寒着きたままやってもらってます。半袖のつわものもいます。若いってすばらしい。
 念のために今朝10時40分に体温計で測定しました。35.9度、わたし平熱低いのです。スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で、胃と胆嚢の全摘、胃の周囲のリンパ節切除、横行結腸一部切除しているのでね。血圧も下が50で上が90くらいです。でも授業は重労働ではないのでへっちゃら。

 学校で授業再開しても、また感染者が出たら学年閉鎖になります。感染者が2ケタの日が多くなっているので、しばらく学年閉鎖の繰り返しになりそうです。全部の科目で授業の積み残しがないことを祈ります。ふだんの教頭や校長の授業進捗管理が問われています。
 英語はだいぶ良くなったようです、2校とも最後のreadingのところ「マララの国連演説」のあたりをやっています。以前は2月になって慌てて残りを消化してしまうなんていうのが常態になっていましたから。こういうときに、ふだんきちんとやっているかどうかが問われます。英語は大丈夫です。1月半ばには教科書は全部終了して、1月下旬には総復習期間とするのがベストですね。私立高校の受験は2月ですから。

 わたしのところは、大学や看護学校受験の生徒は全員希望通りの学校に合格して終わっています。私立高校受験の生徒も数学と英語は対策を終了しています。あとは家で理科と社会の勉強に力を入れてもらえばいいだけ。ちゃんと間に合っています。
 2年前から始めた英作文トレーニングはメール配信ですから、ふだん通り、先ほど問題と解答・解説を送信しました。今回は関係代名詞がテーマでした。

<余談>
 根室管内の1/30のPCR検査陽性者数28人。いままでで最大値かな。家庭内感染を完全に防ぐ方法はないので、学校も受験生もたいへんです。(例えば、お風呂やトイレは一つしかない。)
 根室高校普通科はめずらしく定員120名に対して応募131名ですから、11人が不合格となります。


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#4706「濃厚接触者」:ニムオロ塾は9日間休業しますJan. 28, 2022 [35.1 COVID-19]

<最終更新情報>1/29朝8時18分追記

 わたしが「濃厚接触者」になったので、今日(1/28)から2/5までニムオロ塾はお休みです。高校受験が近いのに申し訳ありません。
(大学や専門学校受験の高3の生徒たちは進学先が決まっています。今日、最後の一人が釧路労災病院付属看護学校へ一般入試で合格したと連絡がありました。おめでとう。)

 水曜日はお休みなのですが、中3の希望者に2時間の英語の音読特訓をしています。今週は3人でした。1時間15分遅れてきた生徒が金曜日にPCR検査陽性になりました。
 英語の発音トレーニングは口元を見せないとできませんので、わたしはマスクを外して授業してました。生徒たちはマスクをしたままやってもらっています。教室には換気扇がついているので、回しっぱなしにしていました。感染を防ぐには換気が効果が高い。濃厚接触者はわたしのみ、マスクをしていた他の2人は該当しない旨、保健所の担当の方から説明がありました。万が一感染したとしても、ウィルスが細胞内に入り込んで増殖して体外へ翌日に出るなんてことはありえないので、金曜日から塾を休業するのでセーフです。こういうことを判断するのにも、ある程度の学力は必要なのです。ネットのデマ情報から、確かな情報を検索して読み、消化しなければ適切な判断なんかできやしません。ふだんの勉強が大切ということです。

 保健所の担当の方からお電話いただいたのが午後3時24分でした。それから英作文問題をメール配信している生徒にはメールで休業連絡を入れて、さらに念のために全員へ電話連絡を入れてます。生徒が3人来ましたが、事情を説明してすぐに帰ってもらっています。5時半には連絡を終わって、ブログにアップするかどうか少し考えていました。不安になる人もいるかもしれないので、必要な範囲で情報を開示することに決め、キーボード-を叩いてこの記事をアップ、6時25分でした。

 保護者の中には医療施設や老人介護関係の施設で働いている方もおられますから、電話で状況を具体的に説明する必要がありました。この時期、老人を受け入れている施設は感染防止にたいへんです。悪い情報ほど関係者に早く正確に伝えるべきなのでしょう。
 1999年に首都圏の300ベッド弱の療養型病床の病院で病棟建て替えの仕事していた時に、インフルエンザが猛威を振るい、感染防止のために、家族の見舞いを遠慮していただいたことがありました。総婦長や婦長と何度も話し合って、感染防止に勤めた経験があります。だから、老人ケアや医療施設管理者側の懸念はよくわかります。

 今日の根室のCOVID-19PCR陽性者数は17人です。先週は84人陽性者が出ています。人口2.4万人の町も急激にPCR陽性者数が増えています。PCR陽性者一人につき、「濃厚接触者」が15人とすると、もう1500人以上がこの小さな町で「濃厚接触者」を経験しているのでしょう。
 明日はあなたが濃厚接触者やPCR陽性者となるかもしれません、適切な判断と行動で乗り切りましょう。

 保健所の担当者の加納さん、忙しいところ連絡ありがとう。ご要望通り、適切な対応をとりました。
 加納さんと電話でお話ししたときに、「自主隔離というのは指定感染症法に基づく行政命令ですか?」とお聞きしたところ、「要請です」とお答えになりました。休業しなくても法律上の問題はありませんが、倫理上の問題が生じます。「要請」は実質を言うと「休業命令」と一緒です。重要な点なのでネットで法律を調べました、「要請」となっています、おかしな立て付けの法律ですね。休業の補償はしないが、休業はしてもらいたいということ。もちろん、休業する9日間の授業料はカットします。

 このところ、やる気のある生徒数人につきあって張り切りすぎたかもしれないので、天がくれた休暇をありがたく頂戴します。
 幸い、PCR陽性になった生徒の症状は軽いそうです、早く全快することを祈ります。


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#4701 COVID-19で学級閉鎖:根室市の先週のPCR陽性者84人 Jan. 25, 2022 [35.1 COVID-19]

 今朝(1/25)の北海道新聞によれば、根室市の先週のSARS-CoV-2PCR検査陽性者数は84人だった。これだけ広がれば、生徒たちにもPCR陽性者がでて当たり前である。中学校が1校、昨日から月末まで学年閉鎖になった。

DSCN6092s.jpg

 先週84人もPCR陽性者が出たのに、市立根室病院へ入院している患者は1人のみ。オミクロン株は感染しても症状がないか、軽いというのはほんとうのようだ。

 根室はこのところ真冬日(最高気温が0度未満の日)が続いており寒い。しかし、ニムオロ塾は換気扇を回しっぱなしで授業をしている。
 教室に使っている部屋は、元々は書斎として建て増しした16畳で、作り付けの本棚(幅3.6m)が天井まである。どういうわけか大工さんが不要というのに、換気扇を取り付けてもらった。その16畳が12年後に「教室」として利用することになるとは思わなかった。いま、当初から換気扇が取り付けてあったのでとっても重宝している。
 わたしにはこういうことが周りでたまに起きる。そのときには理由がわからないのだが、なんとなく換気扇が取り付けたくなる。工事の最中に大工さんに相談するが、他に換気口を取り付けてあるので不要だという返事。それでも取り付けてほしくてお願いしたら、しようがないなという顔をしながらも「わかりました」と返事が返ってきた。そのときは特別な理由がないので、こちらも「建築基準法に従って換気口が取り付けてあるので換気扇は不要です」という大工さんの説明に理屈の上では納得しつつも、さらにお願いするということになる。先のことはわからないのだから、なんとなくそんな感じがしたときは、理屈や損得を超えて、自分が判断した方向でやってもらうにかぎるのです。理由はたいてい何年も後からわかります。預言者じゃないのだから、事前にちゃんとした理由の説明ができないのです。
 転職するときにもそういうわけのわからない感覚がしてました。「ああ、もうここにいてはいけない、離れなくては」、辞表を出して職を探して、あるいは引き抜きに応じて、あとからそれがなぜ必要だったのか合点が行くのです。必要な時が来れば、自然にアンテナが働くものです。私利私欲、損得抜きで天の声を聞いて判断すればいいだけ。じつに簡単なことなんです。

 ところで、オミクロンにはいま日本で感染爆発をしているBA.1のつぎにさらに変異した株のBA.2があって、こちらの方が感染力が2-3倍だというんです。だから、BA.1がピークアウトした後にBA.2がすぐ追いかけて流行する可能性があります。デンマークでBA.2がパンディミックを起こしています。でも感染速度が大きいので、そうなった場合でも3月にはピークアウトするのでしょう。もう少しの辛抱です。
 春よ来い、早く来い。


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#4700 ポストコロナ:コロナPCR検査センター経営破綻続出? Jan. 24, 2022 [35.1 COVID-19]

 雨後のタケノコのようにPCR検査センターが生まれた。なぜそうなったのか?
 主要な原因は三つ。
 ①2年続いても収まるどころか第6波で最大規模となったCOVID-19パンディミック
 ②法外に高いSARS-CoV-2PCR検査の保険点数
 ③感染研、都道府県立衛生研究所等の利権構造の存在

 先週のPCR検査陽性の最大値は5万人を越えた。東京都だけでも11,227人(1/22)である。今週は全国で10万人に達する日があるかもしれない。でも、2月末にはピークアウトしている公算が大きい。だから、ポストコロナについて気になる点を抑えておく必要がある。今回はPCR検査という視点からポストコロナの風景を俯瞰してみたい。

 SARS-CoV-2PCR検査は、検査外注が1800点、自分のところでやれば1350点である。実際の価格はそれを10倍すればいい。SRLの原価計算システムを熟知し数年間ラボのすべての検査部検査課を歩き回わり、2年半にわたりラボのすべての検査機器の購入や共同開発を担った経験のあるわたしの推測では、大手センターのPCR検査のコストはおそらく2000-3000円程度だろう。なぜこんな法外な価格が設定されたのか?生産性の低い感染研や都道府県立衛生研究所の検査原価をベースに計算し、保健所経由でしか無料検査が利用できない仕組みにしたからだ。感染研の専門家たちがデータを独占したいということもあっただろう。国際的に通用する論文を書くにはCOVID-19の検査データは宝の山なのだ。おそらく、感染研や公立衛生研究所の原価ベースでの価格設定だっただろう。
 この検査を受託することで、感染研や公立の衛生研究所は超過利潤を手にしている。それぞれの決算書を見たら一目瞭然だろう。ため込まれた資金がどのように使われているのだろう?

 いま、保険点数の見直し作業が行われている。4月から1800点だったSARS-CoV-2PCR検査は700点に値下げされるようだ。約40%である。いまはぼろもうけできても、4月には売上は半分以下。そしてコロナパンディミックが終われば、ゼロになる。
 雨後のタケノコのように生まれた検査センターはそのほとんどが売上を失い消える運命にある。公立衛生研究所でPCR検査拡張のために非正規雇用で雇われた職員も仕事を失うことになる。さっさと、次の職場を見つけたほうがいい。先の見込みはないのだから。じり貧になってから職を探しても、殺到するからたいへんですよ。

 働いている人たちが気の毒だが、しょせんはやってはいけない「浮利」を追った事業だった。「浮利」とは長続きのしない、はかない一時の利益のことである。住友家の家訓にも「浮利に趨(はし)らず」とあるが、これは日本企業の伝統的なビジネス倫理の一つである。

<余談:保険点数改定と検査項目標準コード>
 改定後の保険点数が公表されると、SRLにあるコード管理事務局が数千項目の検査項目名とコードと点数のテーブルを改定する。チェックがたいへんだろうな。全国の病院システムやクリニックのパッケージシステムがインターネット経由でそれを取り込み、何事もなかったように4月1日から、新しい保険点数で動く。
 これは、1986年に「臨床診断支援システムとその事業化案」でこのプロジェクトを下位の10個のプロジェクトに分割したときに定められた一つ、「臨床検査項目コードの標準化作業プロジェクト」の成果である。
 BML社の北川システム部長の提案で、業界統一コードを作ろうという呼びかけが大手六社にあり、その2回目のミーティングにSRLシステム開発課長の栗原さんと臨床科学部長の川尻さんと一緒に参加した。栗原さんがわたしにそういう作業部会が発足したことを知らせてくれた。彼は職務上、このエキスパートシステムの稟議書を閲覧していて、わたしに声をかけてくれた。業界で標準コードをつくっても病院が採用するはずがないので、日本標準コード制定の作業プロジェクトにしようと栗原さんと話して、臨床病理学会項目コード検討委員会の委員長だった櫻林郁之助(当時、自治医大助教授)を引っ張り出すことに決めた。櫻林助教授はSRL顧問で、臨床科学部四課の免疫電気泳動の研究者でもあった。だから、臨床化学部の川尻部長(女性)に話しを通しておく必要があった。櫻林先生には1984年に、項目コード検討委員会の仕事を手伝ってほしいと頼まれていたので、大手六社がバックについた産学協同プロジェクトは願ったりかなったり。(笑) 喜んで応諾してくれた。
 2度目の会議で日本標準コード制定へ目標変更と臨床病理学会との産学協同プロジェクトに全員の賛成が得られた。それぞれ、システム部門と学術部門から専門家を共同プロジェクトに出すことにも了解が得られた。3度目の会議から櫻林先生が参加している。
 六社が自社で使っている検査項目コードと検査名を持ち寄って具体的な検討作業が始まった。数が多いので分類と附番ルールを決めるのは時間のかかる作業でした。毎月1回持ち回りで会議を開き、コードが決まるまで3-4年かかった。わたしは5回目くらいまで出席している。六社をまとめ目標を設定し、必要な産学共同プロジェクトメンバーを集めたら、あとは彼らの仕事である。
 1989年に学術開発本部へ異動になった。精度保証部、開発部、学術情報部の三つの部が所属していたので、石神取締役直属の本部スタッフだから、三つの部の仕事にタッチしていた。そのときにもう1回出席している。川尻さんは学術開発部長に異動になっていた。たぶん、この産学協同プロジェクトがらみだっただろう。学術部門から一人出すことになっていたから、川尻さんを学術情報部長にすればいいだけだった。
 事務局をどこに置くかで問題が発生していた。SRLシステム開発部長の志茂さんが産学協同プロジェクトに反対していたので、櫻林先生は当初からお冠だった。BMLへ事務局が行きかかったが、ちょうどいい時にわたしが出席した。BMLは新ラボを建設していたので、システムも入れ替えを予定しており、そのついでの業界統一コードで新システムを運用しようという目論見があった。「臨床診断支援システム開発と事業化案」のプロジェクトの一つである、日本標準コード制定、そして産学共同プロジェクトへ切り換えたのはSRLのわたしだった。櫻林先生から手伝うように申し入れがあって2年後にこの産学協同プロジェクトが発足していた。そうした事情を話したら、櫻林先生は矛を収めてくれた。わたしよりも年上、口ひげを生やして偉ぶったところのない人だった。日本標準臨床検査項目コードの制定と公表は臨床病理学会だったから、業績は彼のもの、業界は標準コードを手にした。これで、病院側はどの検査センターに外注しても項目コードの入れ替えなんて面倒な作業がなくなった。保険点数改定時の手入力での入れ替え作業もゼロになった。
 わたしは日本標準コードはたたき台のつもりだった。世界標準制定へのたたき台だったのである。日本人が世界標準制定に寄与したのはハリケーンの藤田スケールくらいなもの。

 わたしは、異動を繰り返し、次々にさまざまな課題の社内プロジェクトや社外との共同プロジェクトを担当したので、ひとつのプロジェクトに数年間携わるような立場にはいなかった。帝人との臨床治験合弁会社だけは、立ち上げプロジェクトに途中から呼ばれて、立ち上げ後は経営の全権を認めてもらって、役員として約3年継続して担当した。これだけが例外。
①1月末までに新会社を予定通りに立ち上げ稼働させること
②赤字の解消
③合弁の解消と資本の引き取り⇒SRL完全子会社化
④帝人の臨床検査子会社の吸収合併

 日経新聞に公表した合弁会社立ち上げはプロジェクトが暗礁に乗り上げ、11月初旬にわたしは子会社からSRL本社の近藤社長に呼ばれて、期限通りの立ち上げと、②③④を三年でやるように頼まれた。近藤さん、元厚生省の医系技官で課長補佐だったから、平気でこんな要求が出せたのだろうと思います。普通は不可能だから、こんな要求はしません。本社へ最初のプロジェクトへ参加するために行ったときに、ちょうどエレベータを降りてきて、エレベータ前で3分ほど話して、4つの課題を引き受け、経営の全権委譲を即決しましたね、思いっきりのよい人でした。わたしにはとっても相性がよかった。(笑) 実は近藤さんと仕事をするのはこれが2度目でした。東北の臨床検査会社へ出向し15か月で創業者の藤田社長に呼び戻されたときにちょうど近藤さんへ社長が交代してました。もどったときに肩書は「経営管理課長・社長室・購買部兼務」でした。一つとっても気に入らぬ理由があって(近藤さんではありません)数か月で辞退、子会社への出向を希望、SRL東京ラボへ出向が叶いました。そんなわがままを聞いてくれるのも部署を変えながらその都度大きな実績を繰り返したたきだしていたからかもしれません。わたしが経営管理部をやめると社員が二人辞めてます。ebisuさんがいないなら「やってられない」。若い人は学びがなくなった職場で仕事を続けるのは人生の貴重な時間の浪費です。20代後半から30歳代は責任のあるそれなりの仕事をしないと腕が上がりません。元気のいい若者でした。一人はエイベックスの課長へ、もう一人は転職した会社が上場して40歳前に経理担当役員になっています。優秀な社員はバカな上司には仕えない、外部が評価します。

 全部期限内にクリアしました。帝人の石川常務には社長はebisuさんだとご指名があった。帝人は合弁会社をやるたびに失敗、後始末を帝人側でしていたのです。「合弁会社がうまくいくなんて言うのも、(資本引き取りによる)合弁解消の申し入れも初めて」と笑って応じてくれました。創業30年以上たっても赤字にあえぐ臨床検査子会社も始末に困っていたのは1990年頃、染色体画像解析装置を帝人の臨床検査子会社が購入したので、知ってました。だから、近藤さんに言われる5年も前から、買収してやろうと考えていました。染色体画像解析装置は東北の臨床検査会社も購入していました。利益が出るほど検体は集められません。SRLが染色体外注検査の8割を握っていたからです。東北の臨床検査会社も経営分析して、資本提携交渉をし、15か月役員出向してました。売上高経常利益率15%の経営改善案を書いたからです。染色体画像解析検査を柱に、赤字会社がSRLの売上高経常利益率を上回る高収益企業に3年でなる改善案でした。藤田さん、ノーでした。出向は創業者の藤田光一郎さんが社長をしていた1993年のことです。オヤジが大腸癌が再発し全身転移で亡くなった年でもあったので記憶にあります。44歳のときでした。



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#4699 オミクロン株にワクチンの効果はあるのか(2) Jan. 22, 20220 [35.1 COVID-19]

 武漢株の遺伝子解析に基づいてデザインされたmRNAワクチンは30か所以上も変異してしまったオミクロン株に効果があるのか?基本的なところで疑問があります。オミクロン変異株用にデザインされたmRNAワクチンはまだ開発されていません。
 COVID-19についてはいろんな研究機関やさまざまな専門家から情報が発信され、それらはしばしば真逆のことがあります。わたしたちは何を頼りに判断すべきなのかさっぱりわかりません。そういうなかで、ハンドルネーム・リゲルさんからとっても大切な投稿がありましたので本欄へ転載して、このような問題の背景には何があるのか、皆さんと共に考えてみたいと思います。

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ebisuさんこんばんは

このようなデータはきちんと正しく解析してもらいたいですね。
打つのが良いのか良くないのか。私のような素人には判断つきませんから。

ただ、このデータだけではワクチン接種が死亡率をあげたのかはわからない。
そもそも接種者と非接種者の年齢層の割合が同じではないかもしれない。
接種者は高齢者の割合が高く、非接種者には若者が多い可能性もある。
高齢者は重症化すると死亡にいたる確率が高く、若者は低いだけなのかもしれませんし。私などは重症化しないだけでも儲け物だと思っています。重症化しなければ死ぬ可能性も低いでしょうし。

打った高齢者と打たなかった高齢者の死亡確率、同じように若者の。それぞれのグループの死亡率を出してもらわないと分からない。揃っていない若しくは、揃っているのかわからないデータは無意味です。

未知のものですから専門家も色々見解の違いもあるでしょう。
今は人類皆が発信者、何が真実なのか分かりづらい時代です。
by リゲル (2022-01-21 23:13)
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リゲルさん
おはようございます。
論旨にまったく同感です。

データのバックグラウンドが不明だと数字の意味がわかりません。専門家会議はこういうデータの解析を日本人でしてもらいたいですね。2年たってもこういう作業がまったくなされていず、「人流抑制」「人数制限(尾身会長の発言)」などのようなデータに基づかぬ提言ばかりです。

なんちゃら作業部会のメンバーであった西浦氏の80万人死ぬというシミュレーションと似たようなものです。前提条件を公表していませんでした。直近1か月ほどの実データでカーブフィッティングしてみたら同じ結論が出ましたが、半年後には東京都の人口を上回ってしまいます。指数変化するのであたりまえ。だから、数か月単位の予測には使えない方法でした。大外れでしたが、前提条件を公表できないのでは、学者としては終わりです。あれ以来、西浦氏のデータ解析は信用しないことにしています。

英国研究機関の調査データの理解ですが、たとえば、未接種者の感染率が高いのは、11歳以下の子どもたちに家庭内感染でCOVID-19が拡大しているということかもしれません。日本ではそうなっています。
接種済みの人の内、高齢者はリスクが高いので外出しない傾向が多いので、接種者の感染率が低いという可能性もあります。
すると、このデータで一番信頼できるのは死亡者数ということになりそうです。
未接種者には11歳以下の子どもたちと重症化リスクの低い若い人達が多いので、死亡率がワクチン接種者に比べて低くなるということが言えるのかもしれません。

いずれにせよ、このような調査とデータ解析を専門家会議が旗を振ってしてもらいたい。それが感染症専門家としてのかれらの重要な役割ではないでしょうか。データに基づく政策提言をしてもらいたい。2年間何をしていたのか、ド素人の集まりにしか見えません。
彼らが本当に日本の感染症専門家の叡智の集まりだとしたら、この国は学力面でとっくに終わっています。子どもたちの学力低下も大問題ですが、COVID-19パンディミックで大人の方がひどいことが明らかになったのかもしれません
教育関係者としてそのことを憂います。
by ebisu (2022-01-22 09:09)  
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ああ、もう一つ、重症化リスクの評価について書いておきます。
重症化した患者さんの内、未接種者が38%、接種者が62%となっていて、ワクチンに重症化リスク低減効果があるように見えますが、リゲルさんが書かれたように、ハイリスクの老人が外出を控えていますので、それを割り引くと、ワクチンの重症化予防効果はないという読み方も蓋然性が高い。
専門家会議や医系技官のたくさんいる厚生労働省は日本でしっかりした調査とデータ解析をして、世界に発信してもらいたい。
by ebisu (2022-01-22 09:24)
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 中学校3年生は数学で「相似な図形」を習います。形が同じで大きさが違う図形を相似な図形と言います。三角形が相似なときは、「△ABC∽△DEF」と書きます。難問が作りやすいので、苦手だった人が少なくないのではないかと思います。
 COVID-19パンディミックは、武漢型株⇒デルタ株⇒オミクロン株と変異を繰り返して、最大の感染爆発期を迎えています。すでに2年が経過したのに、相変わらずデータに基づかぬ政策提言をする「専門家会議」や厚生労働省にわたしは半ば呆れています。
 同じ構図が教育分野で根室市政にも現れています。ふだんの学力テストデータすら見ない根室市教委はその最たるものです。データの裏付けも解析もないエビデンスに基づかぬ政策提言を毎年繰り返して、根室の子どもたちの学力は、ふだんの学力テストデータで見る限り、釧路根室管内の市街化地域の中学校では最下位を低迷しています。別海中央中学校の方が、光洋中学校や柏陵中学校よりもずっと平均点が高いのです。中標津の2つの中学校が数年来、最低レベルの根室の2中学校に近づいてきています。中標津町には高校が二つありますが、これが1校体制になったら根室の中学校と同じレベルに低下し、最下位を競うことになりそうです。
 ふだんの学力テストデータからは中標津町の町教委と根室市教委は同じ問題を抱えているように見えます。そしてそれは別海町の町教委の政策に何か学ぶべき具体的なことがあることを示しています。別海町は歴代の教育長が具体的な政策面でちゃんと努力してますよ。人口三万人以下の地域の子どもたちの学力はその地域の教育長の見識と具体的な政策次第で何とでもなるということです。
 COVID-19パンディミックと根室の子どもたちの学力低下に相似パターンを感じるのはわたしだけではないでしょう。ちゃんとふだんの学力テスト結果をモニターして、データにもとずく政策提言と、その検証作業をして、根室の子どもたちの学力向上に寄与してもらいたいと願っています。昨年11月に赴任した新しい教育長さん、そろそろ仕事して、市教委のホームページで情報発信してください。

<リゲルさんはデータ分析の経験者?>
 リゲルさんの指摘は至極もっともなのですが、ふつうはあそこまで整理した議論はできません。仕事で何かのデータ解析経験があるのかなという気がします。あるいは経験はないが、数学に素養のある方なので、思考が論理的なのかもしれません。わたしにはうれしい投稿でした。


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#4698 オミクロン株にワクチンの効果はあるのか? Jan. 20, 2022 [35.1 COVID-19]

 英国の研究機関がオミクロン変異株にたいして現在のワクチンの効果データを公表している。
 ワクチン接種者は未接種者よりも有意に死亡率が上がっている。ワクチンを接種すると死亡リスクが増大する、なぜこんなことが起きるのだろう?そのメカニズムは英国の研究機関もまだ明らかにしていない。
 英国のワクチン接種率は76%である。

2022-01-20s.jpg

 左の棒グラフから、
 ① 感染者 (42%:58%)
 ② 重傷者 (38%:62%)
 ③ 死亡者 (20%:80%)

 カッコ内の二つの数字は左側が、ワクチン未接種者、右側がワクチン接種者の割合である。
 ①を見ると、感染者の中でワクチン未接種者の占める割合が42%で、ワクチン接種者は感染者の58%を占めていると読めばいい。英国のワクチン接種者は76%だから、ワクチン効果がゼロだとしたらワクチン未接種者は24%であるはずだが、42%いるのだから、ワクチン未接種者は1.75倍の感染リスクがあり、ワクチンの効果は感染に対してはあると言える。
 ②は重傷者をワクチン未接種者とワクチン接種済みの人に分けたものである。これもワクチンの効果がゼロなら、(24%:76%)となるはずだが、未接種者の方が8%多いから、その程度は重症化を防ぐ効果があると言える、ワクチン未接種は1.6倍のリスクありということになる。
 ③の死亡者数データは、はワクチン効果がゼロだと仮定すると(24%:76%)だが、未接種者は20%だから、ワクチン接種をした人は死亡率が高くなるとデータが語っている。ワクチン未接種だと死亡リスクは0.8倍であり、ワクチン接種者は死亡リスクが1.05倍ということになるのだろう。死にたくない人はワクチンを打たぬ方がよいということだろうか。いずれにせよ、大した差ではない。だとしたら、ワクチンを打つことに意味はあるのか?

 このデータは「厚生労働省に聞いたら…ワクチン接種者の方が死亡しているデータが、英国で出ているのですが」という動画サイトにあったものである。厚生労働省は都合の悪いデータは公表しないと主張している。

 実際に厚生労働省へ電話で問い合わせているシーンを動画に撮っている。相手は厚生労働省の職員ではなく、問い合わせに答える専門知識のある作業を請け負った外部機関の人である。
 データは見たので、今度は理屈からワクチン接種の効果の有無を追いかけてみる。電話でのやり取りには、いくつか気になる論点があったので、二つにまとめてみた。
① 免疫には体液性免疫と細胞性免疫があり、ワクチンは体液性免疫でB細胞が抗体を産生することでウィルスが細胞に侵入するのを防ぐのだが、武漢株用にデザインされた現在のワクチンはオミクロン株にはほとんど効かないとその担当者が答えている。デルタ株はスパイク蛋白の変異が5か所だったがオミクロン株は30箇所に変異が生じているので、もはや効かないと答えていた。
②オミクロン株の変異が大きくて体液性免疫が働かないが、細胞性免疫が作用して重症化を防ぐと言っていた。細胞性免疫はワクチンには関係がない。キラーT細胞とヘルパーT細胞がウィルスが侵入した細胞を破壊することで重症化を防ぐ。電話に出た担当者は、ワクチンが産み出す抗体がオミクロン株に感染予防効果も重症化予防効果もないことを認めた上で、細胞性免疫が重症化を防ぐと言明している。なんと、理屈の上ではワクチンに効果がないので、話を細胞性免疫にすり替えているのである。

 つまり、理屈の上からはワクチン接種はオミクロン株には感染予防にも重症化予防にも効果がないということ。それどころか、英国の研究機関のデータが示すのは、ワクチン接種者は有意に死亡率が高くなるということだ。

 1/20の北海道新聞根室版によれば、根室市は小学生(1-5年生)の保護者に808人にアンケートを取り、集計している。ワクチン接種を望む保護者が4割を超えている。ワクチン接種を「希望している」のは42%で342人、「希望しない」が7%で55人、残りの51%は態度保留だろうか、記載がない。
 マスコミはワクチン接種に都合の悪いデータを報道しない、厚生労働省も同じだ。根室の小学生の保護者で、この英国の研究機関のデータを知っている人はゼロだろう。ワクチンの効果を疑問視するデータも見ないで、判断している人がほとんどである。死亡率データはワクチン接種者のほうが多いのである。なぜそうなるのか、専門家会議はちゃんとデータを見て、理由の究明をすべきだろう。
 ワクチンありきで、総理大臣も厚生労働省も専門家会議も、なぜか突っ走る。
 

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#4689 コロナPCR検査保険点数が半分に Jan. 5, 2022 [35.1 COVID-19]

 COVID-19のPCR検査名は、SARS-CoV-2PCR検査であるが、いままで委託検査だと1800点(18000円)、病院内でやると1350点(13500円)だった。それが4月から700点に下げられる方向で検討されている。
 1年半以上前にSARS-CoV-2PCR検査は、検査センターの原価から考えて、500点が妥当だと弊ブログに書いた。下げないのは感染研と都道府県の衛生研究所で独占的に検査して、データを独占すると同時に法外な収入をあげようという「二重の利権」にかかわる問題であった。

 経緯は2020年5月5日の弊ブログ#4241「COVID-19検査:保険点数は500点でいい」拡大へ方針転換に書いてある。

#4241より転載
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 東京都医師会センターが都内で40か所以上のPCR検査センターを立ち上げ、大手民間検査センター3社と契約済み。京都大学等からも保健所の縛りをなくしてPCR検査ができるようすべきと要望を突き付けられていた。国民からの批判が大きいので、専門家会議はPCR検査についての方針転換を表明せざるを得なくなった。人口10万人当たりでの数字を見たら一目瞭然。

(写真:読売新聞)

* https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%ef%bd%90%ef%bd%83%ef%bd%92検査数「他国より明らかに少ない」…政府の専門家会議、センター増設求める/ar-BB13zRTy?ocid=spartandhp#image=1

 保険点数の公表は3/5である。同日付で最大手臨床検査センターSRLは同日付で処理能力が1100テスト/dayであることを公表している。47都道府県の衛生研究所全部を合わせた実際の処理件数が3000-6000テスト程度である。
*道立衛生研究所
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/profile/about.html

 公表されたCOVID-19PCR検査の保険点数は1350点だから13500円、臨床検査名称はSARS-CoV-2PCR検査となったようだ。これは臨床検査学会が名称を管理し、SRLが事務局をしている日本標準臨床検査項目コードに付された正式名称なのだろう。すぐにネット配信されただろうから、全国の病院やクリニックのシステムはこのコードで動いている。準備は2か月も前に整っている。必要なプライマーの自家製造も2月初旬に体制を整えている。

<1350点の保険点数は異例、500点に切り下げるべき>
 ところで1350点というのは異例に高い点数になっている。衛生研究所の原価ベースに厚生労働省が設定したのだろう。従来の保険点数の価格帯からは500点くらいが「相場」である。大手民間検査センター3社はこの点数で十分に採算がとれる。老人を除き患者負担は3割だから1500円で検査できることになる。
 13500円のものがなぜ大手民間検査センターならどうして4割になるのかは簡単な話だ。1日当たり10テストと100テスト、1000テストではコストがまるで違う
 実際にそういうシミュレーションをして、新規導入項目の受託価格を決めていたことがある。研究部や特殊検査部の検査担当者がそれぞれ計算して、それをオーソライズするようないい加減な体制だった。研究部や特殊検査部の課長さんたちの相談に乗っていたことがある。会社の利益に大きな影響があるので、原価計算システムや予算システムと連動させた、新規導入項目や既存項目の販売価格決めのために利益シミュレーションシステムを1988年ころに構想していた。そんなシステムをもっている会社はいまでもないだろう。
 変動費は検査試薬代のみ。固定費はPCR検査機器の減価償却費そして人件費である。テスト数の桁が上がるにつれて、固定費負担は急減する。生産性が悪く、国内基準での精度管理体制である衛生研究所の検査コストは高くついて当然である。道立衛生研究所の感染症部のウィルス・グループは数人だろう。だから、検査数増大には耐えられない。実務上検査を制限せざるを得ないのである。各地の保健所とのやり取りが目に見えるようだ。まことに気の毒である。

<大手臨床検査センターの規模はケタ違い>
 大手臨床検査センターのSRLを例に挙げると、八王子ラボには800人前後の臨床検査技師がいるのではないか。1994年ころに調剤薬局事業をスタートさせるために調べたら70人を超える薬剤師がいた。PCR検査の導入は1988年ころにさかのぼる。製薬メーカー・ロッシュとPCR検査に関わるロイヤルティ契約をしたのは1990年ころのことである。わたしは学術開発本部スタッフで製薬メーカとの試薬の共同開発案件2個とPERT法による共同開発業務の標準化、学術情報部のラボ見学案内のうち海外メーカからの部分と異動する前から学術情報部長のKさんと臨床検査項目コードの産学協同プロジェクトにかかわっていた、私の提案で大手6社と臨床病理学会の産学協同プロジェクトとして始まった仕事だったからだ。忘れてた、沖縄米軍からの依頼で出生前診断検査の導入調整、慶応大学病院との出生前診断検査MoM値の日本標準値決定のための産学協同プロジェクトもこの時期にやってしまった。SRL側のマネジメントを担当していた。精度保証部のほうはCAPライセンス査察へ向けての準備作業の応援くらいなもの。大きな仕事はなかった。ああ、学術開発本部内の3部の業務3割カットなんてプロジェクトもわたしの担当だった。各人の業務の棚卸をして、優先順位付けした3割カットしました。特別忙しいという感じはなかった。多い時にはプロジェクトを5つ抱えていたこともあったから。毎週行われていた開発部の会議で担当者から報告があったのでロッシュのPCR検査ロイヤルティの話は記憶にある。ロッシュと契約する前にPCR検査が導入されており、その時には購買課で検査試薬の価格交渉とSRLの固定資産購入全部を担当していたので、最初のPCR検査機器はわたしが購入している。SRLにはかれこれ30年を超えるPCR検査の実績がある。研究部と特殊検査部への導入が早かった。わたしが八王子ラボの機器購入を担当したのは2年余だったが、それからあとでウィルス検査部でもPCR検査導入がされただろう。量が増えれば特殊検査部から、ウィルス部へ検査が移管される。だから、PCR検査経験者は少なくない。

<保険点数は半分以下に下げるべき>
 医療費はそれでなくても年々増大の一途をだどっており、減らすためにこの20年間で療養型病床数を20万ベッド減らしている。さらに採算の悪い地方の病院の統廃合によって20万ベッド減らす計画が持ち上がっている。
 患者負担は小さい方がいい、検査拡大に伴って、保険点数は500点に引き下げられるべきだと思う。心配なら、厚労省は大手3社に問い合わせてみたらいい。下げれば都道府県の衛生研究所は採算割れするから、やればやるほど赤字になり、都道府県の一般会計から繰入金を増やさざるを得なくなるだろう。生産性が悪いのだからやめたらいいのである。官から民へである。各地の衛生緩急所はパンディミックの初期だけ対応できたらいい。

<処理能力アップの必要日数>
 例えば、1000テスト/日から10000テスト/日への処理能力のアップには、SRLなら3週間程度かかる。PCR検査室増設用のスペース検討に2日、BSEL-3へ改造するのに発注から工事完了まで10日間、その間に必要な人数の人事異動発令とトレーニングをしたらいい。トレーニングには標準作業手順書を使えばいいだけ。RNAウィルスだから前処理に手間がかかる。異動で来る人たちはみなさん日ごろからルーチン検査をしていて検体の取り扱いには慣れているプロの職人であるから、およそ3日間のトレーニングでやれます。RNAウィルスPCR検査のベテランがすぐそばにいるのですから、問題が生じても対応できるでしょう。

<世界最高レベルの精度保証:CAPライセンスラボ>
 SRLは1988年ころ世界で一番厳しい精度管理基準CAPライセンスを取得している。国内基準ではなくて、一番厳しいCAPライセンスを基準としてやっている。2年ごとの更新・査察を受け入れているので、標準作業手順書は新規導入検査や既存項目の手順変更のさいには必ず提出されている。日本語と英文で精度管理部門が厳格に管理している。他の大手2社もあとから続いてCAPライセンスを取得しているので精度管理体制は同じだ。だから、国内基準の都道府県の衛生研究所よりもかなりレベルの高い精度管理体制になっている。

<検査を担当する人材確保も専用機器も制限なし>
 もちろん、機器の増設も必要だから、発注したらいい。PCR検査装置は単に温度を上げたり下げたりして増幅するだけの装置だからそれほど高額ではない。検査結果データを読み取るところがコンピュータ処理になっているだけ。
 大手臨床検査センター3社には検査要員に関する制限や機器の制限はない。

<余談:生徒たちがめんこい>

 ebisuはニムオロ塾で週に4日授業している。看護専門学校への進学を勧めた生徒たちはもう戻ってきて市立根室で働いている者もいるし、全道各地で看護師として働いている。いまニムオロ塾で看護学校への進学を目指して勉強中のものも数人いる。
 それぞれの病院で感染症患者を受け入れたときに、体調に異変を感じたら、すぐに新型コロナPCR検査を受けられるようにしてあげたい。
 大手民間検査センターはニーズが大きくなってもいくらでも処理能力を拡張できる。わたしは、知りうることをここに記して、大人の責任の一端を担いたい。そして状況が改善できるように祈る。


<msnニュースより抜粋>
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PCR検査数「他国より明らかに少ない」…
 政府の専門家会議、センター増設求める

 専門家会議は、日本の人口10万人当たりの検査数が187・8件で、イタリア(3159件)、米国(1752・3件)、韓国(1198件)など他国と比べると「明らかに少ない」と指摘。検査の陽性率は5・8%で他国と比べて低いことから、「潜在的な感染者を捕捉できていないわけではない」としつつも、都市部を中心に「検査待ち」が多く報告されたことなどに注目した。

 検査が進まなかった理由としては、▽発熱などの症状を訴える人からの相談を受け付ける保健所が業務過多である▽検査を担う地方衛生研究所の体制が十分でない――ことなどを挙げた。感染者の中には急激に重症化する人もいることから、検査を拡充し、早期診断と適切な治療につなげることが必要だと訴えた。

 その上で専門家会議は、医師が必要と考える患者を迅速に検査できるよう、保健所を介さずに検査ができる「地域外来・検査センター」の増設や、防護具の確実な調達、検体採取をする人へのトレーニングなどを求めた。
 厚生労働省によると、国内のPCR検査の実施可能件数は現在、1日約1万6000件。政府が目標に掲げる「1日2万件」には達しておらず、実施件数も1日最大で9000件程度にとどまっている。


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 こちらも是非お読みください
*新型コロナウイルス「最前線の医師」が語った本音

デイリー新潮2020年05月02日06時32分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailyshincho/nation/dailyshincho-625938
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 新型コロナウイルス関連の報道では、数多くの医師がメディアに登場して、自身の知見を述べている。しかし、最前線で感染者たちと接している医師の話をじっくりと聞く機会は意外と少ない。実際にはその患者を診たことがない「専門家」(中には医師ではない者もいる)のオピニオンのほうが多く流布されている。現場からの声として紹介される多くは、治療現場の苦境といったところに限定されているようにもある。

 そこで今回、ある総合病院で新型コロナウイルスを実際に診察し、また現場の統括もしているベテラン医師に匿名を条件で本音を語ってもらった。匿名にした理由は「特におかしなことを言ったつもりはありません。同じように考えている医師も多いと思います。でも、ただでさえ忙しいのに、病院あてに抗議などが来るとたまらないから勘弁してください」というものである。

――お勤めの病院はどんな感じですか?

 現状をお話しする前に、平時の病院、医療がどうだったかを少しご説明させてください。 もともと日本は国民皆保険ですし、東京は医療へのアクセスが極めてイージーになっていました。中学生までは医療費ゼロですし、救急車を呼んでもお金は請求されません。欧米なら数万円は確実に取られます。それゆえ、子供を昼間病院に連れて来られないというだけの理由で、救急外来を夜間に普段使いするような親までいたのです。

 だからいつも病院が混雑していることが問題になっていました。一方で、開業医の先生を含めて医療機関側もそれで儲けていた、という面もあったことは否定できません。「どんどん来てください」とやって、医療費は国に負担してもらえばいいのですから。 ただ、新型コロナウイルスの影響で、普段は安易に病院に来ていた方が減ったので、全体としての患者数は減っています。 感染症や救急を担当していない病棟や医師はむしろ時間に余裕ができているようです。不要不急の手術も延期にしていますから。 1、2月に比べて3月の病院全体の収入は3割減というところでしょうか。病床の稼働率も10%ほど下がっています。 おそらくこれは開業医などでも同様でしょう。「売り上げ」が落ちて困っているところもあるだろうと思います。

 一方で、私たち新型コロナの担当医たちだけは忙しくなっています。うちの病院では新型コロナの診察を救急医が受け持つようにしています。その担当医らの仕事は、大雑把にいって1.5倍になっているという感じです。ただでさえ忙しかったところに、仕事が急増しました。
 私が若い頃は救急を専門とする医師は月15日くらい当直というのが当たり前でしたが、さすがに今はそうはいかないので、当直は月6〜8日くらい。週休2日は確保できるようにして、休日出勤の際には代休も取るように、という方針でした。
 これがさっき言ったように仕事量が増えているため、「当分、代休は取れません」という感じになっていて、実感としてかなりキツい日々が続いているのは事実です。
 私自身は現場の診療の他に、病院全体の感染症対策等々の仕事が増えました。省力化できたことといえば、テレビ会議が増えたので結果として会議の時短などが進んだことでしょうか。

――新型コロナに関しては、膨大な情報量が発信されています。この状況をどう見ますか?

 SNSで誰もが発信できるようになったことで、不安をかきたてる情報が溢れすぎている、という印象はあります。
 また地上波のテレビ、ワイドショーがセンセーショナルに伝える傾向があるのは良くないと思っています。たしかに政府の言う通りのことを流すのでは政府広報になってしまうので、良いことだとは言えません。 しかし、恐怖を煽って,今の対応が危険だと強調しすぎているように思います。
 現政権が嫌いなのかもしれませんが、それと医学の問題は別です。
 現在の政府方針、専門家委員会の方針は、専門的な知見のある人たちが議論して打ち出したものであり、相応の合理的な判断だと現場の医師から見ても思います。
 ですから煽られておかしな行動をとるのではなく、とにかく今の対策を守ってもらわないと,収束できるものもできなくなると思います.
 にわか専門家のコメントが全部間違っているとは言いませんが、大事なことをうまく伝えられていないと感じます。自称専門家はもちろん、芸能人の方などの不用意な発言でも、視聴者は扇動されます。
 外国の例を簡単に紹介するのも問題です。「海外ではこうだ」というのですが、それぞれの国によって医療レベル、保険制度、国民性、文化など異なる背景があります。だから安易に「あそこがいい」「ここがいい」という話ではありません。
「アフリカの〇〇ではこうだ」と言われても、その国は常に様々な感染症の脅威が存在する国かもしれません。その国の政策を参考にする、といっても無理があるのではないでしょうか。

――「何もしないと42万人が死ぬ」というシミュレーションも恐怖を煽っていたのではないでしょうか?

 あれはあくまでも「何も対策を講じなければ」という前提で、最悪の事態を示したのですから、「ステイホーム」を訴えるという点では良いのではないでしょうか。
「エアロゾル」感染といった言葉が独り歩きしたせいで、ちょっと勘違いがあるように思うのですが、基本的には空気感染ではなく接触・飛沫感染です。だからちょっと話をした程度であれば、問題はない。
 空気感染だと思うと「じゃあ空気がいいところなら大丈夫」という勘違いが生まれます。ここが心配です。
 たとえば「空気がいい」ゴルフ場に行く、公園でジョギングをする、というのは問題ないように思っている方もいるでしょう。
 たしかにゴルフ場でプレーするだけなら感染はしないでしょう。しかし、その前後に外食をしないでしょうか。ジョギングの最中に無意識にガードレールを触って、その手で顔を触り……となっていないでしょうか。
そういうリスクがあるからこそ、「ステイホーム」と呼び掛けているわけです。あくまでも個人的な、そしていささか楽観的な見方ですが、きちんと自粛をしていれば、あと1、2カ月のうちには良い状態が来るのではないか、と思っています。

――そうした報道に煽られて、検査や診察を求める患者さんが殺到していて、かえって病院が困っているとも聞きますが、どうなんでしょう? 

 確かに、必要とは思えない患者さんが検査を求めてくる事例はあります。直接こちらの病院には来なくても、かかりつけ医から紹介状をもらってきて、検査を求めるケースです。そういう人の中で検査を断られた人が、SNSやテレビで「検査も受けられない」と主張することもあるのでしょう。
 ただ、この間、数多くの新型コロナウイルス感染者を診てきた者として言えるのは、「この人は陽性だな」と思う人は検査に回さなくても、ほぼわかる、ということです。あくまでもその診断を確定させるために回すのです。病歴を聞き、問診をして、CTを撮り……といった診察の過程でかなりの確率でわかります。
 ところが、そうした経験のないお医者さんが、患者さんに強く言われたとか、あるいは患者さんサービスの一環で検査を求めるとどうなるか。結果として、本当に早く確定して欲しい人の検査スピードが遅くなります。
これが問題です。

――テレビに出ている「専門家」の強い主張の一つが、「とにかくPCR検査を増やすべき」というものでした。これはどうなのでしょう? 

 これは絶対に間違いです。少しでも専門知識がある人は、全くこれを望んでいません
 他国と日本が違うのはこの点で,本当に医師が疑った例にのみ検査をやっている点で感染の広がりをコントロールできていることは確実です。
 とはいえ確かに検査のスピードは遅かったから、そこは今改善を進めています。 ただし、誰彼構わず検査をオーダーできるような状況を作らなかったことは100%正しかったと考えています。
 日本のように国民皆保険の国で、なおかつ感染症に詳しくない町のクリニックのようなところまでもが、自由にPCR検査をできるような環境を作っていたら、間違いなく院内感染が多発していたでしょう。おそらくニューヨークやイタリアの比でない状況になったと思います。
「かかりつけ医」に相談することは否定しません。しかし、そこに多くの人が押し寄せたら結局クラスターを発生させかねません。そういう状況を作らなかった点では、当初、検査を絞ったことは決して批判されるようなことではないのです。
 現在報告されている院内感染にしても、慣れてない人が普段使わないような感染防御具を適切でない使用をしたがために他の人や患者に感染させる例があとを絶ちません。
 ドライブスルーでのPCR検査を増やせ、という意見についても、乱暴に思います。病院外での検査体制は進めたほうがいいでしょうが、やり方を間違えるとかえって感染者を増やすことにもなりかねません。

 別の観点から補足させてください。
 毎年のインフルエンザの流行の仕組みをご存じでしょうか。
 PCR検査が注目されることで「偽陽性」「偽陰性」といった言葉もよく目にされるようになったと思います。前者は「本当は陰性なのに陽性と出ること」で後者は「本当は陽性なのに陰性と出ること」ですね。
 実はインフルエンザの検査でも「偽陽性」「偽陰性」は一定の確率で発生します。日本では「インフルエンザかな?」となったらまず病院に行って、検査をしてもらって、タミフルを飲んで、ということが当たり前に思われている方が多いかと思います。
 でも実は、こんなことをしている国はそんなに多くありません。一つには先ほどから言っているように、医療費が高い国では、そのたびに大変な料金が発生するので、いちいち検査しない、という人が多いのです。また、タミフルは病気を治す薬というよりは、よくなるまでの期間を短くする(7日が5日半になる)という性質のものです。
 アメリカならば、この検査とタミフルだけで下手をすると500ドルはかかるでしょう。だから多くの人は「家で寝て回復を待つ」のです。私もそうしています。
 ところが日本は医療費が安いことに加えて、「休むなら証明書を出せ」という習わしが学校や企業にあるので、こぞって病院に来て検査を求めるわけです。
 問題は、インフルエンザの簡易キットの感度は7割から8割なので、2〜3割の人は本当は陽性なのに「陰性」という結果になります。
 その人たちは、病院のお墨付きをもらったということで、自由に動き回りますから、コミュニティの中で感染を広げます。実は、これが毎年のインフルエンザの流行の大きな原因なのです。今回のことを教訓に、「インフルの証明書がないと休めない」といったおかしな慣習はなくしてほしいものです。何にせよ具合の悪い人は休むべきです。結果としてそのほうが学校や職場のためにもなります。
 そして、今年、インフルエンザがあまり流行していないのは、多くの人が手洗い、うがいをして、なおかつちょっとでも具合が悪ければ、自ら行動を抑えるようにしたからです。その結果、「実はインフル」の人が感染を広めなかったわけです。
 話をPCR検査に戻せば、検査の無闇な拡充に反対している人たちが怖れているのは、インフル同様に、「お墨付きを得た、でも本当は陽性です」という人が感染を広めることにつながりかねないからです。
 よく韓国やイタリアのほうが日本よりも検査数が多い、といって日本を批判する人がいるのですが、これは話がまったく逆です。韓国やイタリアは最初に検査数を増やし過ぎたために、感染を広めてしまったのです。
「医療資源が無限にあり」「偽陽性の人でも全員どこかにちゃんと収容できて」「(偽)陰性の人が行動を慎んで他人にうつさないようにする」という前提がすべてそろっていれば、検査数をどんどん増やすのもいいでしょう。
 しかし、そもそも検査はそんなに簡単なものではありません。検査というのは少なくとも検体を取る人と、検体を検査する人の両者がいてはじめて検査ができるのです。仮に医師会の先生たちが頑張って検体をたくさん出しても、検査する人が増えなければ結果が出るのがより遅くなってしまいます。本当に必要な検査が滞るのです。
 もしも「やる気になればできる」と言い張る方がいるのなら、ぜひそういう人材がどこにまだ眠っているのかを教えていただきたいものです
 検査の技術の習得は一朝一夕にはできません。だから長期的な観点では、もっと日本はこういう検査もスピーディにできるようになればいい、と言われれば「その通りです」と答えます
 しかし、今まさに感染爆発を防ごうとしている時期に実現不可能なことを言っても仕方がありません
 テレビに出ている中でも、自称「専門家」ではなくて、本物の専門家の先生方もいらっしゃいます。そうした方に、「日本のPCR検査数は少ないのでは」とか「より検査体制を充実させられるといいのでは」と問えば、「そうですね」と答えるでしょう。それ以外の答えをしようがありません。

 しかし、それで「それみろ、やっぱりPCR検査が足りないんだ」と言い張るのはやめてください。
 繰り返しますが、現場で本当にこの病気を診ている医者で、もっと検査数を増やせ、などと言っている人はいないはずです。 

――ではなぜお医者さんの中で「PCR検査を増やせ」という声が根強いのでしょうか? 

 例年、この時期はインフルエンザの患者さんで病院、特に開業医さんは混み合うのです。経営のことを考えると患者さんがたくさん来るのは悪いことではないと考える先生もいるでしょう。今年はインフルエンザ自体が流行していませんし、万が一新型コロナウィルスに感染している患者に検査をすれば、感染のリスクがあるためほとんど行われていません。現在、新型コロナの診察はあまりやっていないでしょうが、一部の人にとっては「検査は怖いから検査センターにお願いするとして、診察は引き受けたい」といったモチベーションがあるかもしれません。
 そういう人にとっては、かりに「PCR検査センター」のようなものが出来れば、都合が良いかも……というのは穿った見方でしょうか。 

――「WHO」の関係者と名乗る方、ノーベル賞受賞者の方もPCR検査を増やすように主張していますが。 

 海外にいて、どのくらい日本の事情をご存じなのかわかりません。また、たとえノーベル賞を受賞された素晴らしい先生方であっても、必ずしも感染症やこの病気の専門家ではないので、仰ることがすべて正しいとはいえないと思っています。
 医学はそれぞれの科や専攻の専門性が高い分野なので、たとえノーベル賞受賞者であっても、専門外のことには確証を持って発言していないのではと感じることもあります
 なお、「検査、検査、検査」というWHOの事務局長の発言もいまだに曲解されている方がいます。あれはあくまでも発展途上国などで検査を軽視している国に対してのメッセージであって、日本などを念頭に置いているわけではありません。

――ただ、検査をまったくしないと不安だという気持ちもよくわかります。「37.5度が4日間続くまで様子を見る」と言われても、その間に急激に悪化したら……と不安になるのでは。

 気持ちはよくわかるのですが、熱だけが兆候とは限りませんし、本当に具合が悪くなったら救急車を呼ぶほうがいいと思います。新型コロナ以外でも、いろいろな病気がありえるのですから、本当に具合が悪い時はそうするべきでしょう。...


 続きはURLをクリックしてお読みください。これもご意見の一つではあると思います。現場で診療している医師や看護師さんたちにもいろいろな意見があると思います。

 

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<ebisuの感想>投稿欄の内容に少しつけ足しました
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通りがかりさん

現場で新型コロナ感染症治療にあたっている医師の方のご意見ですね。ありがとうございます。
本文へ追記転載しました。

わたしにはうなずけるところもあるし、そうではないところもあります。

全体を通してみると、話に飛躍がありすぎます。当たり前のことですが、お医者さんにも視野の広い方と狭い方がいらっしゃるというだけ。
次の点は、私の書いたものをお読みいただけたら、納得頂けるでしょう。診療現場の医師とは言ってもすべてをご存じなわけではないのです。
以下は、PCR検査について言及してある部分を抜粋しました。大きな事実誤認です。
PCR検査をやる人材がどこに眠っているかについてですが、大手民間臨床検査センターにニーズに応えられるだけ十分な人材がいます。
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 もしも「やる気になればできる」と言い張る方がいるのなら、ぜひそういう人材がどこにまだ眠っているのかを教えていただきたいものです。
 検査の技術の習得は一朝一夕にはできません。だから長期的な観点では、もっと日本はこういう検査もスピーディにできるようになればいい、と言われれば「その通りです」と答えます。
 しかし、今まさに感染爆発を防ごうとしている時期に実現不可能なことを言っても仕方がありません
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自分が知らないということすらご存じないご意見です。実現不可能な話ではありません、大手臨床検査センター3社にはPCR検査がどれほど増えようとも、それに対応できるだけの人材がいます。現実にとっくに用意されているという話です。診療に当たられている感染症の一専門医の方が知らないのはしかたがないでしょう。しかし、専門家会議の面々はずっとこんなことも知らずに、2か月以上も時間を浪費してしまったのです。

ものごとは複雑、だからいろいろな人が意見を言うことが大事なのです。北大の西浦さんのシミュレーションについても言うべきことはあります。データを独占していることと、シミュレーションの前提条件が概要すら説明されていません。変わり目の実績データを20個ほどからy=a×1.115^xという計算式が導けます。途中までの計算値は西浦さんの複雑なモデルとそう違わないはずですが、90日を入れたら、東京都の人口をオーバーしてしまいます。だから、せいぜい30日か40日程度しか蓋然性がなさそうにみえます。モデル計算なんて前提条件の塊ででき上がっています。国内に感染症数値モデルの専門家は彼だけではないでしょう。追試できるような体制が好ましい。データの独占ではなくて公開が必要です。ネットの時代ですから、オープンな議論をしたらいい。

そしてもっと大きな問題があります。ことは感染症にとどまらない。1929年の世界大恐慌以来の「大恐慌」が始まっている可能性が大きいのです。とっくに医療人だけで議論できる問題ではないというのがわたしの意見です。グローバリズムの行き過ぎに対する反動であり、リカードの比較生産費説による国際分業体制の破綻です。経済の枠組みが、ポスト・コロナでは大きく変わります。外側に向かっていたベクトルが、一斉に内側に向かって収縮し始めます。

現場で感染症の治療に当たっておられる医師や看護師、そのほかさまざまな医療スタッフが働いています。そういう皆さんには敬意を表します。だからと言って、感染症の医師以外はこの問題を取り上げるなという意見には賛成しかねます。看護師さんも現在の過酷な臨床現場の状況を告発して医療がすでに崩壊していることを具体的に発信している方もおられます。
新しい事態に直面すれば誰だって間違えることはあります。専門家委員会だって判断を何度も間違えているのです。「37.5度、4日間の発熱が続いた場合」という条件を、批判をずっと浴び続けて、ようやく5/6から外すことになったようです。

感染症と言えば大きなトピックスは1988年ころのエイズ(HIV)騒ぎです。あのときも「エイズサーベイランス委員会」を当時の厚生省が組織しました。委員は感染症の専門家でした。医師からの報告書だけで感染数を把握してましたが。当初の数年間は全国で陽性者は100人未満。1988年かその翌年だったと思いますが、SRLではHIV陽性が毎日1-2件出てました。年間およそ500件です。他にも検査している用の多い検査センターがありました。当時は江東微研の検査数が多いという噂を聞いてました。陽性検体はウェスタンブロット法での確認検査をしてました。厚生労働省はSRLに問い合わせすら行っていません。エイズサーベイランス委員会が把握していたのは、実際の感染者の1/10以下でした。その数字をもとに判断して対策が遅れ、先進国で唯一日本だけがHIVが感染拡大するという情けない事態を招いたのです。専門家会議は32年前の大失敗に学んでいません。検査数を制限することでパンディミックを後押ししてしまったとわたしは見ています
HIVのときはネット環境も今とは違うし、現職だったから声もあげにくかった。いまは外側から知りうることを発言できます。新型コロナは経済にも甚大な影響を及ぼしつつある。1929年の世界大恐慌を上回る景気後退が進行しているかもしれないのです。感染症専門医という小さな村の中の議論だけではとっくに対処できない現実があります。

いろんな方の意見があっていい、読んだ方の判断にゆだねます。
この問題に関しては独断と偏見は避けたいのですよ。現場の医師の発言でも、ダメなものはダメ、事実誤認があれば指摘します。国民の健康と安全、そして経済がだいじですから。


by ebisu (2020-05-05 22:55) 

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 2月下旬だったかな、感染症研究所OBの根路銘国昭という方への取材記事を読んだ記憶があります。「3月にも新型コロナのパンディミックが続いているなんてことを主張する人がいるが、ばかげた話だ。消えてなくなっている」と断言しておられた。新型であるにもかかわらず、内容を検討もせずに季節性インフルエンザと同じだと思っていたのでしょう。軽率な発言でした。この方、国際的にも著名な感染症学者だそうです。どんな専門家も、専門家だからこその間違いがでることがあるのです。それが小さなものなら無視していいが、被害を拡大させるような誤謬は見過ごせないのです。2/14のインタビュー記事です。わからないものを分からないとは専門家ほど言いにくいのではないでしょうか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/根路銘国昭


**「コロナウイルス感染拡大は「3月までに終結」と大御所が断言する理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70375?media=bb

根路銘 テレビで4月、5月にさらに感染が広がるおそれがあると発言している人がいて唖然としました。コロナウイルスは気温が上がると生きていけないんです。もともと冬の寒い季節に活発になる風邪のウイルスなので、2月末から3月に入れば自然に終息すると私は見ています。


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#4610 COVID-19PCR検査陽性者50万人ごとの拡大速度の推移 Sep. 2, 2021 [35.1 COVID-19]

 SARS-CoV-2デルタ株が猛威を振るっている。50万人ごとに感染者を区切ると最近の感染速度がどれほどのものか数字で実感できる。データは今朝のNHKラジオニュースから。
  ①0 ~  50万人 15か月間
  ② ~100万人 4か月間
  ③ ~150万人 26日間
 9/1までの26日間でPCR検査陽性者数は50万人に達した。東京オリンピック開催期間7/23-8/8がデルタ株蔓延の期間と重なっている。
 ①に比べると③は17.3倍の速度である。これは感染の仕方が変化したと推定せざるを得ない。当初が接触感染や飛沫感染だとしたら、感染力の強さから、現在は空気感染に近くなっているのではないのか?満員電車での通勤も感染減の一つとして疑わざるを得ない。

 それでもまだ全人口1.26億人の150万人だから1.2%にすぎない。
 いつになったら、デルタ株はピークアウトするのだろう?
 誰にもだれにもわからぬ。

 政府が21都道府県に出した「緊急事態宣言」は9/12に終了する。
 しかし、また延長されそうだ。

 非正規雇用の人たちの生活が心配だ。
 バイトができなくなっている学生もしんどい思いだろう。借金で進学している学生の割合が増えている。バイトをしてしのいでいる学生も多い。借金をしてる学生の割合は40%に近づいている。
 ちゃんと飯食っているか?




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#4590 新型コロナワクチンは安全か?:岡田正彦新潟大学名誉教授の意見 July 22, 2021 [35.1 COVID-19]

 ネットには新型コロナワクチンに関する真偽不明の様々な情報が飛び交っています。迷ったときには原理原則に還る、ワクチンの仕組みを学んで、自分で考え、どう判断したらいいのかよく考えましょう。
 ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンとはどういうものなのか、アストラゼネカ社のDNAワクチンとはいったい何なのか、ワクチンをすでに打った人も、これから打とうと思っている人も、そしてワクチンの安全性に漠然とした疑義を抱いている人も、勉強するつもりで動画とそれを文字起こししたものをご覧ください。

 
「医師が教える新型コロナワクチンの正体 本当は怖くない新型コロナウイルスと本当に怖い新型コロナワクチン」

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https://youtu.be/4J5chcXmfR4

 教授は政府がワクチン接種を勧める宣伝を大規模に行い、異論を許さないのは戦時中の大本営と同じだと述べています。

 以下、太字や青太字に注意してお読みください。文章を精確に読み取るトレーニングのつもりで読んでみましょう。
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 ファイザー社とモデルナ社のコロナワクチンは、このメッセンジャー RNA (mRNA)が主役となっているというわけです。

 本来、このメッセンジャー RNA は、一回タンパク質を作ると役目が終わりになりますので、数分から、せいぜい 10時間程度で(ヒト細胞内の酵素によって)分解されることが知られています
しかし、ファイザー社とモデルナ社のコロナワクチンの RNA は「分解されない」ように改変されています
一方で、抗体は約 2ヶ月で半減し、3ヶ月でほぼなくなってしまうことがわかってきています。そのため、もし人工遺伝子が短時間で分解されてしまうのなら、3ヶ月ごとにワクチン接種が必要になってしまいます。
 しかしさらに一方、もしこの人工遺伝子が半永久的に残るのだとしたら…それは大変なことですね。つまり先ほどの「免疫細胞による免疫反応」がいつまでも起るわけです。(青字は仮定条件ですから、確定事項ではありません:ebisu注)
 このような病態は、すでにあり、自己免疫病などと呼ばれています。関節リウマチのような病気がそれにあたります。
 「自己免疫性コロナ病」というような病名は存在しませんが、もしかすると、そんなようなことが起こってしまうかもしれません。…(これも仮定条件による推測です。「いまのところそうした可能性が否定できない」と読み替える必要があります:ebisu注)


 次は、アストラゼネカ社のワクチンです。
 スパイクタンパク質をコードする遺伝子を人工的に試験管の中で作るまでは、ファイザー社やモデルナ社のワクチンと同じですが、アストラゼネカのワクチンの場合、試験管内で合成されるのはメッセンジャー RNA ではなく、「 DNA 」です。


 この DNA を脂質微粒子ではなく、なんと「ウイルス」に包みこんで注射をします。
使われるウイルスは、もちろんコロナウイルスではなく、比較的安全とされる AAV といわれる特殊なウイルスの一種だと思われます。このウイルスは、分裂する能力がありませんので、体の中に入っても、感染症を起こすことはありません。これを、筋肉注射します。
 ただ、アストラゼネカのワクチンの場合、内容がほとんど公開されていないため、どのような添加物が入っているのがわからないという問題があります。
 運び屋(ベクター)のウイルスと人工コロナ DNA を安定化させるための物質がさまざまに含まれていると思いますが、どのような添加物が入っているのはわかりません。
 運び屋ウイルス( AAV )は、注射によって血流に入りますが、ウイルスというものは、人間の細胞に侵入することが仕事であるため、この運び屋ウイルスも容易に細胞内に侵入します。
 これが血流に乗って、細胞に接触するところまでは、先ほど(ファイザーとモデルナのワクチン)と同じです。
そして、細胞の核の中に入り、人間の、つまりワクチンを接種した人の細胞にある酵素を使って、DNA の一部を切り取って、そこにコロナの遺伝子を組み込んでしまうということをやってしまいます。
 しかも、運び屋ウイルスの中には、このタンパク質(コロナのスパイクタンパク)を合成しろ、という信号も含まれておりますので、やがて、メッセンジャー RNA が作られ、これにより、先ほど(ファイザーのワクチン)と同じように、コロナウイルスのスパイクタンパク質が合成されます。
 ただし、ファイザー社などのメッセンジャー RNA と異なるところは、DNA ですから、接種した人の細胞の遺伝子の中に組み込まれて、それはずっと残ります。
 ですので、絶えずこのタンパクが作り続けられることになります。
 したがって、過剰な抗体生産により、その免疫反応も、おそらくさらに強いものではないかと想像されます。


 さて、ここで、細胞の中での遺伝子の組み換えについて、もう一度考えてみたいと思います。
 運び屋ウイルスは、過去、さまざまな遺伝子治療などの実験に使われてきたもので、正体はよくわかっているのですが、ただひとつ欠点があって、それは「どこに DNA を組み込むのか、制御ができない」ということなのです。運び屋ウイルスの行動は、制御できないために、どこにコロナの DNA が組み込まれるか予測不能なのです。
アメリカの研究者が、同じ方法を使って、犬で遺伝子治療の実験を行った報告書があります。人間の遺伝子には、「ガンを促進させる遺伝子」あるいは「ガンを抑制する遺伝子」などがあるわけですが、そのすぐそばに組み込まれたことを発見したと報告されています。
 実験を繰り返していれば、がん促進遺伝子の中に組み込まれていたおそれもある。
 したがって、この研究者は、「実験に使った動物を、これから 10年くらい観察しなければ、安全性は確認できない」と論文の中で述べています。


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 ワクチン接種後2-6か月で中和抗体が産生されなくなることがわかってきたということは、mRNAワクチンの効き目が数か月ということです。体内でmRNAが分解されて消失してしまうまで数か月ということ。したがって、岡田先生が言及している「もしこの人工遺伝子が半永久的に残るのだとしたら…それは大変なことですね」というmRNAワクチンへの懸念はほとんどないことになります。
 アストラゼネカのDNAワクチンは遺伝子組み換えを起こすので、どの部位の組み換えが起きるのか制御できないために、組み替えられた遺伝子が複製されて受け継がれるのでリスクが大きいということになります。こういう医学文献はよくよく嚙み砕いて読まなければ、誤解を生じてしまいます。


*「#4569 効きすぎるmRNAワクチン:中和抗体価は60倍」

*臨床治験とわたしの関り
 エスアール・メディサーチは臨床検査の最大手SRLの子会社ですが、1997年1月にSRL社長だった近藤さんから1996年11月に特命で帝人との合弁会社立ち上げを指示されて作った会社です。創立当初の名前はエスアールエル帝人バイオ(略称STMでした)。
(わたしは経営をしただけで、医学の専門家ではないことをお断りしておきます。製薬メーカーとの検査試薬の共同開発はDPC社とⅣ型コラーゲン、塩野義の膵癌マーカーを学術開発本部スタッフであった2年間に開発部の仕事として担当したことがあります。検査機器にはとっても詳しいと思います。2年半担当していたのと、前職(産業用・軍事用エレクトロニクス輸入専門商社)で働いた6年間に、欧米50社の最先端の産業用・軍事用エレクトロニクス製品に精通しました。だから、臨床検査ラボの検査機器は理解が簡単でした。)
 SRL本社近藤社長からの指示事項は4つ。
①新聞に公表した97年1/14に合弁会社を立ち上げること
(合弁会社立ち上げプロジェクトが暗礁に乗り上げ、期限通りにスタートできないという結論になって、プロジェクトを何とかしろとSRL東京ラボに出向していたのをSRL本社に呼ばれたのです。2か月しかありませんでした)
②治験事業という赤字部門の合弁会社なので黒字にすること
③帝人と合弁解消をして株を引き取ること
④帝人の臨床検査子会社を買収すること
 以上4つを3年以内にやること。無茶な要求でしたから、「新会社の経営の全権をゆだねることと、期限通りに全部やり遂げるためにやり方については一切任せてもらう」、こういう条件をつけましたら、近藤さん即答でした。「任せる」、プロジェクトへの初参加のために1年半ぶりにSRL本社へ行ったときに、外出する近藤さんとエレベータ前で偶然出会って、3分ほどの会話で決断しました。慶応大学医学部出身のインテリなのに、太っ腹でしたね、近藤さん。(笑)
 社内ではこんな仕事を期限内にできる人材は他にはいませんから、当然のご指名でした。難事件の解決を任されるテレビ番組「相棒」の杉下右京みたいです。SRLへ転職した1984年からそういう暗礁に乗り上げている仕事が次々に回ってきました。経営統合システム開発、輸入検査試薬の実務デザイン、投資及び固定資産管理システム実務デザインと開発、臨床検査項目コードの標準化のための産学協同プロジェクト(日本臨床検査医学会臨床検査項目コード委員会櫻林教授と臨床検査大手6社)の提案とキック・オフ、慶応大学産婦人科ドクターたちとの出生前診断トリプルマーカ―日本人基準値制定に関する産学共同プロジェクトのマネジメント、赤字臨床検査子会社の経営改革、臨床検査会社の経営分析と買収交渉など、失敗したことがありませんでした。(笑)
 帝人本社との交渉を含めて2年10か月で四条件すべてクリアしました。
 そういうわけで99年9月末まで帝人との臨床治験合弁会社の経営を担当していましたから、臨床治験や前臨床分野に関しては多少の知識と経験があります。世界中の大手製薬メーカとお付き合いがありました。SRL社は業界ナンバーワンなだけでなく、仕事がとっても面白い会社なんです。


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