SSブログ

#4172 Sapiens: p.17, 18, 19 Jan. 26, 2020 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

 取り上げたい箇所は3か所ありますが、高校生対象にメール配信方式での英作文トレーニングを先々週から始めたことや、2020年版での『青チャート数Ⅲ』の複巣数平面が平成26年度版よりも30ページほど増え、複素平面幾何の問題がかなり増えているので、全部解くのに数日忙しく、ブログで遊んでいる時間がありません。決算と税務申告書作成も今週中にやることになりそうです。
 そんなわけで、最重要な一箇所だけの紹介になります。暇になったときにまとめて紹介したいとは思ってます。本文に印はつけてありますから。

 以下、"Sapiens" 19頁第3段落から引用。

<19.3>  Whichever way it happend, the Neanderthals (and the other human species) pose one of history's greater what ifs.  Imagine how things might have turned out had the Nenaderthals or Denisovans survived alongside Homo Sapiens.  Whatokind of cultures, societies and politeica structures would have emerged in a world where several different human speicies coexisted?

 
 ’what ifs’が辞書に載っていないというので、’what if’について解説をした。’what if’はこれで一つの単語だと解釈してもらいたい、その複数形です。
 会社の経営計画でさまざまな’what if’、つまり’what ifs’頻繁に使ってきました。’what if question’とは、たとえば、臨床検査会社で、人的生産性向上3倍にするような業務システムと検査システムを構築したら、売上、売上総利益、営業利益はどうなるだろう、というようなの「Aすれば(Aしたら)、Bはどうなる?」というもの。
 42年も前のことだが、産業用エレクトロニクスの輸入商社で、営業マンが注文してから1年先の納期にになる製品の仕入価格や為替相場を想定して一日の半分くらい見積書作成作業に追われているので、それを毎日見ていて何とかしようという東京営業課長の遠藤さんが円定価システムで自動化したら、何とかなりそうだ、ebisuさん一緒にやってくれないかと、中途入社まだ1年のわたしに相談を持ち掛けてきた。営業課長で営業事務のやり方、生産性アップを常日頃から考えているだけでなく、社内でもいつもトップセールスでした。わたしが知っている営業マンでは彼が最高でした。SRLの営業部門にはこんな優秀な人はいませんでしたね。数は10倍近くいましたが…。「30分だけ飲みに行こう」と誘ってくれるのですが、必ずハシゴで、終電に乗れないこともありました。5時まで飲んで、酒が抜けず、午前中はトイレで数回吐いて仕事なんて無茶もしてました。そんな日でも人形町の「芳梅」のおかゆランチを食べたら、「エンちゃん」とまた飲みに行きたくなります。いいコンビでした。「独立起業しよう」と誘われたことがありました。米国メーカの日本法人設立の動きがあって、遠藤さんに白羽の矢が立った。断ったら、かれは独立しませんでした。彼が社長でわたしが副社長、強い営業マンと経営に秀でたわたしのコンビ、面白い会社ができたでしょうね。好い奴です、エンちゃんどうしてるかな。
 営業マンは理系の大卒と国立高専が3人、その営業マンの人的生産性が2倍に上がるから、同じ人数で倍の売り上げ達成化可能だし、営業マンが一人一人計算していた見積価格は会社の利益政策で設定・管理できる。28%しかない粗利益率を40%にコントロールできるなんてことを、酒を飲みながら話して、翌日から具体案を考えた。問題は仕入レートと、注文してから数か月からい年後に輸入される世界最先端の商品の支払い時の決済レートには為替変動で差異が生ずる、それを消せなければ、会社の業績は為替変動の波に足元をすくわれる。うまい方法を考案した。バルクで為替予約をすることを思いついた。円定価レートと仕入レートをリンクさせて、バルクで為替予約をしてしまえばいい。90%が予測範囲内に収まれば、為替差損の発生は消滅し、日米金利差で為替差益が必ず出せる。お客様にも予算を採って発注時に円定価で注文できるから、実際に入荷したときに為替レートがいくらになっていようが関係なしということになる。お客様が予算をとるときに金額が決められるので、担当者も都合がいい。それで、懸案だった納期管理システムを立ち上げて、円定価システムと連動させた。社内での為替管理業務は不要になった。3年間で見事に高収益会社となり、財務体質も大幅に改善できた。その後、この会社は上場することになる。そして約30年後に上場廃止、他社へ吸収合併されている。
(初代社長はスタンフォードでHP社創業者のヒューレットやパッカードと同期の友人、2代目は慶応大学大学院経済学研究科卒、わたしはこの人の下で20代後半から34歳まで仕事した。3代目が1年浪人して東大へ合格した後で辞めたので、3代目はあったことがない。会社を辞めて、1か月後にオービックのS沢SEから電話をもらった。やめたことを知って電話してくれたのだ。輸入商社専用の統合システムパッケージを開発するので、オービックに来ないかと誘われたが、その時はもうSRLへ転職していたので、お断りした。十数年前にオービックの役員をみたら、開発担当役員S沢さんの名前があった。5年間一緒にいくつかのシステム開発をしたので、かれと仕事することでシステム開発技術を学んだ。対等で仕事したかったので専門書を30冊ほど読んだ。彼は当時、事務系システム開発では、オービックトップのSE。最後の1年間は日本電気情報サービスの高島SEと仕事した。社長の関さんが、大口取引先だったNECに、コンピュータを三菱からNECに切り換えることを条件に、統合システム開発なので日本電気にトップクラスのSE派遣を要求した。それで来たのが日本電気情報サービスの高島さんだった。S沢さんとはやりかたが違ったので、いくつか新しい方式を学べた。統合システムは簿記・売上債権管理、為替管理、仕入・納期管理業務、円定価システムなどの専門知識と、実務設計力を必要とした。仕様書はプログラミン儀仕様書レベルで外部設計をしている。プログラミングは必要に応じて5年間で3言語マスターした。)
 こうして、仕入レート(仕入時の外貨換算レート)を自動計算し、必要な為替予約をすることで、為替差損発生が消滅しました。たった3年間で、円高・円安に翻弄されて、赤字ギリギリの低空飛行だった会社が高収益会社に化けました。ようするに「こうしたら・ああすれば」が’what if quetion’。「タラ・レバ」と訳したっていい。
 そういう'what if'が2個以上あれば'what ifs'となる。こんなにビビッドで具体的な解説は、極東の町の塾でないと聴けません。(笑)
 問題はアンダーライン部分である。O君、この文は仮定法ではないか、それも倒置だと主張した。hadは使役かとわたしは考えたのだが、’might have turned out’があるのと、直前の文に'what ifs'がある。O君が正解です。

「どちらが起きたにせよ、ネアンデルタール(とそれ以外の人類種)は歴史上の大きなファット・イフ・クエッション(たら・れば)を提起している」
 
 わかりやすいようにこの仮定法過去完了の文を、倒置をほどいた文に書き直してみる

 ①Imagine how things might have turned out
 ②the Nenaderthals or Denisovans had
survived alongside Homo Sapiens.

 turn out: ...になる、進行する
 どの辞書にも、'turn out' の最初の項目には「~わかる」が載っていますが、それではいけません。電子辞書は、こういう時にスクロールしなければみれません。紙の辞書だと全部視野に入りますから、圧倒的にサーチしやすいのです。このあたりでも、電子辞書を使うか紙の辞書を使うかで、学習の深さに差が出てきます。電子辞書は発音が耳で確認できるので便利ですが、一覧性がないという弱点もある。臨機応変に両方使って、自分で比較したらいかが? 


 このように二つに切って、間にカンマを入れ、倒置しない文で書いてくれたら読みやすいのだが、主節と条件節の順序が入れ替わっているうえに、条件節の主語が倒置されてhadとsurvivedの間に挟んであるので、難易度が上がっている。こういうのを文法工程指数の高い文章という。こういうレベルの本を1冊読めば、慣れます。なぜ、主節と条件節をカンマで区切らなかったのか、あるいはなぜ倒置法を使ったのかを考えてみるのは一興です。わかりやすい文にはなりますが、幼稚に見えます。だから修辞法にこだわったのでしょう。区切りのカンマを外したら、倒置しないと"might have turn out Neanderthals or Denisovans had survived alongside Homo Sapiens" となって、Neanderthals以下がturn outの目的語に見えてしまいます。そこまでが主語に見えてしまうからではないでしょうか。hadを倒置して先頭にもって来ることで、読み手にサインを送った、そうわたしは解釈します。

「実際はどうだったにせよ、ネアンデルタール人(と他の人類種)は歴史にまつわる「もし」のうちでも屈指のものを提起する。もし、ネアンデルタール人かデニソワ人がホモ・サピエンスとともに生き延びていたら、どうなっていただろう?いくつか異なる人類種が共存する世界では、どのような文化、社会、政治機構が誕生していただろう?」柴田訳

 O君は英語の特殊な構文を解説した参考書を一冊読んだらしい。そこに仮定法の倒置の例が載っていた、どんぴしゃりの文で、河合塾の冬季特訓でやった東大過去問レベルの文と喜んでいた。

 ところで、二つ前の段落に次のような文がある。
"One possibility is that Homo sapiens drove the to extinction."(一つの可能性はホモ・サピエンスがネアンデルタール人やデニソワ人たちを絶滅に追いやったということ)、
 そしてひとつ前の段落の"Another possibility is that competition for resources flared up into violene and genocide"(別の可能性として、資源をめぐる競争が高じて暴力や大量虐殺につながったことも考えられる)が、あって、冒頭に掲げた段落が続いている。O君、段落が離れたところにあった"one possibility"と "another possibility"もちゃんとつなげて考え、段落ごとのロジックを読んでいた。余裕が出てきたのか、慣れてきたのか、生徒の成長を感じた瞬間である、うれしいものです。こうして生徒たちは「勝手に育っていく」のです。わたしは、なんにも「教導」しません。(笑)

<サンドイッチ法>
 文章を文脈の中でロジカルに解釈していくと、自然に正解に行きつきます。直前に合った'what ifs'との関連と、直後の文を読むと、書いていることがはっきりわかります。"サンドイッチ読み"すれば判断できる場合が多い。それでもダメな場合は、文法工程指数の高い句構造や節構造をシンプルセンテンスに分解すればいいのです。だから意味不明な個所があっても構わず先を読み進むことが大事です。先を読み進んでサンドイッチ読みする習慣をつけましょう。共通一次試験のリーディング対策として、効果の高い技です。
 日本語の本なら、文庫本や新書版を百冊以上読んだ人なら誰でも、そういう読み方をしているでしょう。当たり前のことを当たり前にできるようになることで、英文読みのスキルは嫌っていうほど上がります。だから、正攻法でいいのです。 

<余談:仮定法の基礎
 仮定法を忘れた読者もいるのではないかと、意味の違いが比較できるように並べておきます。
 1.それやれるよ(潜在的可能性:現在形)
   I can do that.
 2.それできなかった(過去形)
     I couldn't do that.
 3.もっとお金があれば、できるかもしれない。(実際にはおカネがなくてできない⇒反実仮想:仮定法現在)
     If I had much money, I could do that.
 4.できたかもしれない(やればなんとかできたのに実際にはあのときはあれができなかった:仮定法過去完了)
     I could have done that.
 
 4番目は軽い後悔の念を伴うことが多いことはおわかりでしょう。助動詞のwouldやcouldやmightが使われますが、それぞれ、話者や書き手の気持ちを表現しています。could haveは「クッダヴ」と発音しましょう。


<英作文トレーニング実施中!>
 これが最近忙しい理由の一つです。英作文は高校2年生だけ、週4日×5題=20題問題を作ってメールで配信中。やってきたのをチェックして、生徒の学力に応じた解説をしている。あんなに英語にアレルギーがあってやろうとしなかったのに食いつきがいいので、こちらもうれしい。
 高1は問題数を少なくしている。まだテスト段階、生徒たちの学力に応じた英作文問題を開発中(笑)
 ニムオロ塾長は走りながら考える。不可能そうに見える仕事も、それで全部やり切ってきました。必要なものをやりながら補充していきます。

<走りながら考える:具体例>
 たいがい、1年あるいは数年前から、好奇心の赴くままに専門書を読んで学んできたことが重要な役割を果たす難易度の高い仕事が回ってくるようなめぐりあわせが何度かありました。マルチな専門分野をもっておくこと、そしてそれを好奇心のままにつねに拡大していくことが人生を切り拓くためには大事なことのようです。

 ついでだから、書きます。
 第一段階:簿記・会計学・原価計算
 第二段階:理論経済学(経済学の基礎的概念とその体系構築との関係に関する研究)
 第三段階:統合システム開発技術と世界最先端のマイクロ波計測器、外国為替の専門知識、経営分析の専門知識
 第四段階:臨床検査に関する専門知識、臨床検査試薬開発に関する医学専門知識

 こんな感じで、専門分野を増やしてきました。数学と英語はさまざまな専門書を読むためになくてはならぬ基礎スキルでした。
 第一段階は高校時代、第2段階は学部(商学部会計学科)と大学院、第3段階は産業用エレクトロニクスの輸入専門商社の6年間で、最後は臨床検査業最大手のSRLでの16年間。臨床検査項目の日本標準コードを大手6社と臨床病理学会項目コード検討委員会の櫻林郁之助教授との産学共同プロジェクトを発案、マネージメントできたのは、そうしたさまざまな専門知識があってのことでした。臨床検査コード標準化プロジェクトは1985年か86年に書いた『臨床診断システム支援事業』の10個のプロジェクトの一つにすぎません。全国の大学病院や著名な専門病院をネットワークでつなぐつもりでした。血液疾患のような診断手順が複雑な病気は専門医育成に役に立ちます。病理もそうです。グレーゾーンの病理標本を数十万単位で収集してデータ解析することで、自動判定可能になるし、そういうデータで繰り返し判読して診断精度を急激にアップできます。つまり、いくつかの分野では専門医育成にこの事業で蓄積したデータが絶大な威力を発揮することになります。いまなら、あの構想が実現可能です、コンピュータも通信速度もとっくに要件を満たしてます。どこかであの構想を1000億円で買ってくれないかな?数十兆円のビジネスになりますよ。わたしが一部分だけマネジメントしてもいい、大きいプロジェクトは人材確保とキックオフの仕方が大切ですから。SRL創業社長の藤田さん、即座に経営会議にかけて1週間でgoサインだしてくれました。フィジビリティ・スタディと事業化の目途をつけるために、とりあえず200億円使っていい。(笑)
 創業社長の藤田さんは医者です、小児科の医師。次の社長は近藤さんでした、この方も医師ですが、厚生省の技官になって、臨床はやらずじまい。どちらの社長も重要な仕事を任せてくれました、恵まれてましたね。高度な経営分析スキルと統合システム開発スキルがあった上に、検査現場を熟知していたので、臨床検査会社の買収も2件担当して、そのうちの1社に先方からの要求で経営改善を目的の役員出向もした。近藤さんには帝人との臨床治験検査受託及び治験データ管理合弁会社の経営を任せてくれました。赤字解消と資本買取による合弁解消そして帝人臨床検査子会社(羽村ラボ)の買収という、面白そうな仕事を、3年間の期限付きで引き受けました。全部やりましたよ。3年かからなかった。楽しめました。だから藤田さんと近藤さんに感謝。平社員だって、トップの理解があれば、そして複数の専門分野をもち、仕事の実績があれば何でもできますよ。
 いま、この臨床検査項目コードは全国の病院でもれなく使われてます。病院のコンピュータにはすべて採用されてますから、わが町の市立根室病院も主治医のところのO医院も例外ではありません。利用者側には見えません、コンピュータ・システムの中で標準項目コードに自動変換されてやりとりしてます。2年に一度保険点数の改定があるたびに、日本標準検査項目コード管理の事務局になっているSRLがテーブルをネットにアップして、それを各病院が取り込んで使っているのでしょう。SRLは業界最大手ですから、こういう無償の仕事もやるべきで、社会的責任があります。だから、高収益会社である必要があります。社会的責任を担うにはコストをカバーできる利益がなければいけません。企業は儲けなければ存在価値なしですが、儲けること、利益追求が自己目的になったらアウトです。だから、数百年前から、日本の企業は次のような商売道徳を大切にしてきました。
売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし
 日本企業は昔から、アクセル(儲けましょ)とブレーキ(商業道徳)のついた車だったんです。最近、そうではない経営者が日本にもはびこるようになりました。カルロス・ゴーンが日本の経営者の貪欲な欲望の堰を切ってしまった。せめて日本の企業だけは、ちゃんとやろうよ、そう言いたい。日本が世界に商業倫理の範を示したらいい。日本が世界中に輸出すべきものは日本企業が生産する品質の高い製品に非ず、それを支えてきた「商いの倫理」です、人間は動物本能を抑止しなければならない、若い人たちに期待してます。いつかどこかで、このブログを読んだあなたのお役に立ちますように。






nice!(1)  コメント(0) 

#4171 数Ⅲ開始10日目で青チャート50頁消化:育ち方 Jan. 24, 2020 [51. 数学のセンス]

<最終更新情報>
1/25 1:40 青チャートH26年版とR2年版の比較追記60頁増加。
1/26 8:20 標準問題で脳をあまり使わない、難易度の高い問題へパワーを温存しておくの進研模試数学得点9割越えのポイント


 高校2年生のO君が数Ⅲを始めたのは、1月13日からである。
 塾用教材のシリウスには複素平面を扱ったものがないので、「青チャート数Ⅲ」を使うことに決めていた。複素平面の世界では、掛け算は偏角(角度)の足し算、割り算は偏角の引き算、累乗計算は回転を表すことを計算規則とそれを図に描いて説明してから、オイラーの公式を黒板に書いた。

 e^iΘ=cosΘ+isinΘ

T:「複素関数では超越数eの累乗が三角関数で表されるんだ、まるでアリスの「ワンダーランド」だね。」
O:「不思議ですね
T:Θをπ(Pi)に書き換えてみるよ。

 e^iπ=cosπ+isinπ

T:「右辺は数Ⅱで三角関数が出てきたから、どうなる?」
O:「-1です」

 e^iπ=-1

T:「ネイピア数eと円周率πはどちらも超越数で、無限小数だが、それが純虚数iという指揮者が現れたとたんにシンプルな整数-1に化けてしまう。わたしはとっても美しいと感じるが、O君の目にはどう映っている?」
O:「美しいと思います」
T:「なーんだ、ちゃんと感動できる、なのに短歌や俳句には美しさを感じない(笑)」
O:「… m(_ _)m」

 10分間ほどそういう対話をしてから、青チャート数Ⅲ問題集を開始した。昨日は1月23日だから11日目である。どこまで進んだか尋ねたら青チャート数Ⅲの50頁辺りをやっていた。複素数は82頁あるから、月末には終わりそうだ。どういうわけか、数Ⅲに入ったとたんに加速している。
O:「複素数、面白くてやめられないんです(笑)」

 指数関数三角関数で表現できる(等式の左辺が指数関数、右辺が三角関数)ということは、これら両方の式が、共通のものに還元できるということを示している。それが、無限級数である。数Ⅲでは初歩的なものだけが出てくる。好い専門書があるから、そちらに目を通してみたらいい。『πとeの話』という本だ。
 『オイラーの贈り物』も素晴らしい本である。数学好きな生徒は買っておいたらいい、いつか読むことになる。世の中には数学が大好きなんて人間はあんまりいないから、絶版になる可能性がある。

 小5のとき、正月明けから塾へ来た。数か月で6年生の問題集を終わり、シリウスシリーズで中学数学の勉強を始めた。シリウスはそれぞれの章にコンパクトに数題例題があるだけ、あとはひたすら難易度の高い問題集を解く。演習方式の問題集である。問題量が多いので、全問題をやらせるのは数学が「よくできる」程度では無理、だから様子を見ながらやらせたのだが、大丈夫だった。「よくできる」の上を走った。
 中3の途中から数Ⅰを始めた。そして数Ⅱと数B、この2冊がとんでもなく分厚い。章の終わりには難関校の受験問題が並んでいる。問題数は青チャートの10倍はあるだろう。数Ⅱの問題集と解答集は、B5版の大型で277頁と557頁、数Bは209頁と335頁ある。全問題やり切ることになる。面白かったのか、ベクトルと数列はさっさと終わって得意分野にしてしまった。いま、積分の受験問題過去問が並んだところをやっているから、まもなく数Ⅱも終了する。
 はやく数Ⅲをはじめたくて、週2時間の塾の数学授業のうち、1時間を数Ⅲに充てている。青チャート数Ⅲは451頁(H26年度版)あるが、4か月くらいで消化しそうな勢いである。問題量が少ないので、トレーニング不足が心配だから、例題を全部やるとか、別解も全部やって練習量不足を補わないといけないのだろう。何か問題集を探しておいたほうがよさそうだ。標準問題は脳を使わなくても解けるくらいにしておけば共通一次9割の得点が可能になる。今月受験した進研模試で3度目の9割越えになるだろうから、そのあたりの感触が生徒にはすでにある。テストの際に難易度の高い問題に対処するには、標準問題で脳を使わないほうが余力をもって対処できることが実感できる。その余力が感じられないときには9割超にならないからだ。
 シリウスでコンパクトな説明のみで、問題を片っ端から解いてきたので、青チャートは例題が多いので簡単に見えているのだろう。数分間、例題を眺めて理解すると、例題を見ながら、問題を解いている。
 でも、数Ⅲは奥が深いし、キリがないから、わずか451頁の青チャートでどこまで迫れるか、まあ、やれるところまでやってみたらいい。やればやるほど課題がたくさん見えてくるのが数Ⅲだろう。高校数学を超える範囲はネットで検索したらいい。そのあたりをどこまで調べるかが鍵になる。1日は24時間しかないから、どこかで切り上げないといけない。もどかしいだろうな。時間がいくらあっても、好奇心を充足できないもどかしさ。

 学校の授業はペースが遅いし、簡単なことしかやらないので彼にはストレスである。だから、中学生の時から、数学の授業時間中にシリウスを広げて問題を解いていた。数学の先生に理解してもらうまで、トラブルはあった。高校でも、同じスタイルで授業時間を過ごしているが、もうトラブルにはならない。高校生は自主的・自律的に学習するのが基本だから、学校の指導方針とも齟齬はない。遅い授業を無理強いしたら、能力のある子どもたちが旬の時期に学力を飛躍的に伸ばす芽を摘んでしまう。学校が出す一律の宿題も不要だ。進研模試で数学90点以上の生徒に、数学の宿題を無理強いしないでもらいたい、学習の妨げになる。中学校の学力テストで数学90点超の生徒も同じことだ。どこの学校でも、遅くて難易度を下げた授業をせざるを得ないなら、能力の高い生徒は放っておいてもらいたい。
 100人に一人はこういうレベルの生徒がいるが、学校の授業の速度や扱う問題の難易度が能力に合わない、だから、放っておいてもらうのが一番いいのである。授業中、難易度の高い問題を解くのに熱中しているだけなのだから
 いままで、難易度の高い問題集シリウスシリーズを使って独力でコンパクトな解説を読み、問題を解いてきた、そのスタイルが、数Ⅲになって大きな効果を発揮している。どういう学習スタイルを身に着けさせるかが大事なのだ。数Ⅲになって消化速度が加速している。複素数の計算には、数列のさまざまなタイプの特性方程式が絡む複合問題があるが、数Bで大量の問題を解いているので、スーッと通り抜けてしまう。複素数の問題を解くことが、ベクトルの復習になっている。だから、数Ⅲの勉強を徹底すると数Ⅱや数Bの復習になってしまう。80%は実数の範囲で慣れ親しんだ操作を複素平面上でおさらいするだけだから、簡単なのである。数Ⅲの微分積分も計算トレーニングだから、慣れたらいいだけ。シリウスで5年間半端ではない問題量を消化してきたのが、数Ⅲの学習速度を加速しているように見える。

 数Ⅱと数Bを始めたときから1時間以上考えてもわからない問題だけ質問するように伝えた。それまでは10分ほど考えてわからなければ質問していた。簡単に質問を繰り返すと、塾長への依存心が強くなる、依存心を育ててはいけない、自立心の芽を摘むことになる。そうせざるを得ない生徒もいるから、生徒の能力に応じてで分けて指導している、個別指導の利点である。たま~に、シビアな質問を投げてくる。「1時間考えたけど、この問題わかりませんでした」「一晩考えたけどわからない」、その場で即答できればするし、できなければ調べて確認して翌日解説するようにしている。
 たいがい、とってもいい質問なのだ。数Ⅱだったかな、「解答を見てもここがわからない」というので、即答できず、わたしも納得がいかないので、Grapesというグラフソフトとプログラマブル科学技術用計算機HP-35を使って確認したら、解答集にミスが見つかった。わからないことを考え抜いた末に「わかりません」と言えるところがすごいのだ。解答を見て覚えてしまってもいいのである。でも、数学は深く理解しておかないと伸びしろがなくなる、O君は自分をごまかさない

<H26年版とR2年版の比較>
 青チャートの平成26年版は451頁、2020(R2)年版は511頁ある。60頁増えたのだが、本の厚さはぴったり同じであるから、その分だけ上質の紙を使って調整したということか。解答集の方は451⇒487頁だから、36頁増である。解答・解説がいくぶんかコンパクトになったということ。厚さは5㎜ほど薄くなっているから、だいぶ紙質が改善されたようだ。その分、本体値段が1771円から1960円へアップしている。複素平面がH26年版では54頁までだが、R2年版は82頁まで。複素平面だけで28頁増えている。中を見たら、大学数学へ一歩踏み込んでいる。どおりで増加分の半分が複素平面の章に集中しているわけだ。

<英語の学習法> 
 いま、ハラリの”Sapiens”を読んでいる。夏の終わりころから始めた。O君は河合塾の冬季特訓で採り上げた東大過去問の方が楽だと言ってる。そろそろ速度アップし手もいい時期だと伝えたら、難易度の高い大学入試問題は段落中の難易度の高い文(生成文法でいうと文法工程指数の高い文が多い)を突いて出題するから、現在の精読(英文を書きとり、訳文も普段使っている言葉で書く)をまだしばらく続けたいとのこと。
 知らない単語が1ページに10個あっても、段落ごとのロジックを追って粗筋は外さずにすでに読めるレベルに達しているはず、なかなか慎重だ。彼にとって読書の楽しみは、いまは難易度の高い文をよく読むこと。いい加減な読みでもいいから、速い読み方をになれたら、ずっと楽しくなれる。生徒にとっては、サピエンスは内容が面白いので楽しいのである。(笑)
 はっきりしないところだけ辞書を使って調べ、考えたらいいのだが、3月いっぱいまでこのペースかな。
 ところで、先週からメール方式で英作文トレーニングを始めた。月火木金の四日間、毎日5-8題、英作文問題を作成して送信している。翌日、授業の前に5分間ほどチェックと「対話」で作文トレーニングができる。とりあえず1か月やって、難易度調整しながら、どの程度の問題が適しているか観察している。
 英語が苦手な高2の生徒5人へも送信を始めた。NHKラジオ英会話レベルの英作文問題だから彼らには難易度が高すぎるが、解説を丁寧にやればいいだけ。昨日、二人が、生徒会室で他の塾へ通っている生徒を巻き込んで、一緒に作業してきた。勉強しどころ満載である。「身になる英作文トレーニング」は、やはり、5-10分程度の解説で十分やれることがわかった。予想通り解説を丁寧にやればいいだけ。高1の生徒には中3レベルの英作文から始めたほうが良さそうなので、来月から開始するつもりだ。半年も続けたら、500題、解答解説付きだから「立派な英作文問題集」が一冊できあがる。(笑)

 リスニングはいくつか教材を挙げて、家でやるようにいっているが、やりかたが大事なので、個別にチェックしていく。10分前後の音源で、視点を変えて百回も2百回3百回も、ひたすら繰り返して音読トレーニングすることが効果が大きい。ちゃんとやれば、文章の中で使われるhurtとheartが聞いた瞬間にだれでも聞き分けられるようになるよ。やりかたは、学校の先生や塾の先生に指導を受けたほうがいい。

<余談:育ち方>
 「育ち方」と書いたのは、わたしが「育てた」わけではなくて、生徒が己の好奇心の赴くままに勉強して、勝手に育ったてしまったというのが実感だからである。好奇心をくすぐることぐらいは繰り返しやっている、塾長の役割なんて、それぐらいなもんだよ。(笑)
 このレベルの生徒は、いまでも1学年に3人くらいいるだろう。問題は「育ち方」である。根室市内の中学生1学年の生徒数は200人くらいである。わたしは2002年の11月に故郷に戻ってきて塾を開いたのだが、20年前ころには400人いたし、学力上位層は現在の5倍以上存在したから、上手に育てたら、毎年5-10人は医学部へ進学できるレベルの生徒がいたということ。もったいない。市立根室病院の常勤医は12人、医者がいなくて困っているのは、地域に学力の高い生徒がいても、育てそこなってきたということ。30年かける用意があるなら、医者は根室でいくらでも自給自足できる。これからだって、年に2人、医学部へ進学する生徒を育てられたら、30年間で60人である。3人に一人が、根室で10年間仕事してもらえたら、市立根室病院は常勤医不足なんてことはなくなる。そして、そういう教育環境が用意されたら、40代のドクターが根室で仕事するのに子どもの教育という大きな障害がなくなる。年収が高額だから、根室出身ではないドクターもいくらでも集まる。130ベッドの病院でも、日本で地域医療の分野で先端の病院になりうる。どういうビジョンで地域医療を運営し、それへ向けて人を育てるかということが大事なのだ。根室の地域医療問題を根底からひっくり返すにはこういう長期戦略が必要
 進度の遅い授業や学力を無視したつまらない一律の宿題の無理強いはやめてもらいたい。たとえば、学力テストで数学90点以上の生徒は宿題免除でいい。授業も聞きたかったら聞けばいいし、難易度の高い問題集を授業中にやってもいい、それくらいの寛容な指導をしよう。そういう環境を提供すれば、勝手に育っていく。学力の低い生徒は、一律の宿題を出したらいい。放課後補習への強制参加もやるべきだ。英語アレルギーの高2の5人の生徒たちですら、2時間10回の英語補習で全員アレルギー症状が消滅している。そして英作文トレーニングをやっているのだ。チャンスをあげたら、這い上がってくる、指導する側が適切な手を差し伸べてないだけ。放っておいたら、生徒はそのうちにあきらめてしまいます。

(良書を厳選した日本語音読トレーニングを4年間やった。15冊だったかな、最後の2冊は福沢諭吉『福翁自伝』や物理学者で東大全共闘元議長山本義隆『近代日本150年史 科学技術総力戦体制の破綻』。山本は長年にわたって駿台予備校の物理の先生でもある。O君は小6のときから厳選して音読トレーニングをしてきたから、論説文の読みが深くなった、並みの大学生では比較にならぬ。)





にほんブログ村


πとeの話―数の不思議

πとeの話―数の不思議

  • 作者: Y.E.O.エイドリアン
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2008/09/25
  • メディア: 単行本
新装版 オイラーの贈物ー人類の至宝e^iπ=−1を学ぶ

新装版 オイラーの贈物ー人類の至宝e^iπ=−1を学ぶ

  • 作者: 吉田 武
  • 出版社/メーカー: 東海大学出版会
  • 発売日: 2010/01/01
  • メディア: 単行本
近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)

近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書)

  • 作者: 山本 義隆
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 新書



nice!(0)  コメント(0) 

#4170 大学共通一次試験:英語への対応 Jan. 18, 2020 [8. 時事評論]

<最終更新情報>
1/21朝10時45分 英語の勉強の仕方と覚悟について追記

<分野と配点の変更>
 大学受験生はセンター試験の最中であるが、これが最後、来年からは「大学共通一次試験」となる。民間試験導入は見送りになったが、英語の出題はがらりと変わる。リスニングとリーディング各百点の配点となる。文法語法問題や英作文問題がなくなるようだ。
(根室高校の1年生と2年生は、今日土曜日ベネッセ進研模試を受けているが、いずれ近いうちにリスニングとリーディング問題の配点が半々になる。)
*http://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/5063
 リスニングも長文も、生徒たちは両方対応しなければならない。教える方の学校や塾の先生が変わるわけではないから、生徒たちが、文科省の方針が変わるたびに呻吟することになる。長い人生のうちでわずか3年間のこと、身悶えしながら、学力アップをしたらいい。苦労に潰される人もいるが、苦労で自分を磨き、光り輝く人もいる、君はどっちの道を選ぶ?(笑)

<リスニング対策は2段仕込みでいけ!>
 リスニングは音読を3か月ほど徹底的にやれば、格段によくなる、だから毎日30分は音読トレーニングに時間を投入せよ。2段仕込みが効果が大きい。①一段目が発音トレーニングで、②2段目は10分程度の音源を使った同調音読トレーニングである
 CD教材を用いて音読練習するには、発音トレーニング教材で子音の発音を一通りやれば、ちゃんとした英語の発音になり、自分で発音できれば音が聞き分けられる。たとえば、heartとhurt、母音の発音がまったく異なる。音に区別がつかなくても文脈で判断はできるが、それではリスニングに支障が出る。音だけで瞬時に判断できるようにならなくては聞き取れない。意識が文脈を判断する方に流れたとたんに、次の音を聞き逃してしまうからだ、瞬時に聞き取るには、相応のトレーニング量が必要だ。母音の発音に注意力を集中した同調音読、子音の発音に注意力を集中した音読トレーニング(子音はbとf、pとv、thとs、tとd、mとn、bとv、pとfなど適宜選んでやればいいのです、ようするに明確な狙いを設定してやること)、音の消失部分に注意力を集中した音読(たとえば、"show and tell" "ショーアンテル"と聞こえます、dの音がtに吸収されてしまいます。"until"と聞こえたら、その時点でリスニングはアウトです、その部分は捨てるしかない、こだわったら次の音が通り過ぎてしまいます)、定冠詞と不定冠詞に注意力を集中した音読、前置詞に注意力を集中した音読、名詞語尾の複数形に注意力を集中した同調音読、リエゾンに注意力を集中した同調音読...10分程度の同じ音源で百回2百回3百回と視点を変えて音読を繰り返することで、スキルが育つ。同調音読を繰り返すことで、耳はいつのまにか自然に英語の音を聞き分けるようになっていますリスニングはリスニングをすることでは鍛えられない、同調音読をひたすら繰り返すことが効果が大きい、「音読修行」だよ。(笑)
 学校の授業でこんなトレーニングをやる先生はいない、時間もないしね、学校や学習塾に期待しても無駄、田舎の大半の生徒は家庭学習でやるしかない。幸い好い教材がたくさん出ている。リスニングには発音矯正用のものと、10分前後の音源の朗読ものを数百回、徹底的に繰り返しやればいい
 大学入試のやり方を変えたからといって、英語の先生たちの発音がよくなるわけではないから、地方の大学受験の生徒はちょっと苦労だね、でも苦労は人を磨きますから、嘆かず愚痴らず、せっせと努力しましょう。

<先生たちの学力格差はピンキリ:生徒はそれを克服する智慧をもて>
 学力の地域格差は生徒たちばかりではない、指導する先生たちの学力格差も厳然としてある、たまたまはずれだったら、嘆いていても仕方がない、それを乗り越える工夫をすればいいだけのこと。

 英語学力のベースは中学校でつくられます。中学校の先生は教育大学出身者が多い。どれくらいの学力差があるのか、全国の教育大学の学生の学力をベネッセの偏差値で比較してみます。日本でナンバーワンが筑波大(旧東京教育大)です、北海道では北海道教育大札幌分校が一番、同釧路分校は最下位です。それぞれ70と57と52です。全国に大学が100校だとしたら、筑波大国際学群は2番目、北海道教育大札幌校は24番目で、北海道教育大釧路分校は42番目です。偏差値50が大学生の学力の平均値を表しますから、そういうレベルの学力の先生が増えたら、その地域の子どもたちの学力が下がるのは当たり前の気がしてきます。現在の平均的な大学生の学力はお粗末です。進学率50%では無理もない、その中の平均ですから、日本標準で考えたら、世の中全体の上位25%ほどの学力です、学力から見たら四人に一人は学校の先生になれます。もちろん、塾の先生はだれでもなれますが、宣伝が下手だったり、学力アップ効果がなければ生徒が来ないだけ。学校と違ってちゃんと自然淘汰が働きます。(笑)
 データにあるように、「首都圏⇒札幌⇒釧路」、センター(首都圏)からペリフェリ(田舎)へ、先生たちの平均的な学力は下がるようです。もちろん、どの大学だって玉石混交でして、偏差値が低くたって素晴らしい先生もいらっしゃるが、すくないことは否めない。
(学習塾だって同じことです。東京渋谷駅前の進学教室で3年間専任講師をしていたことがありますが、学卒は東大・東京教育大・慶応・早稲田まで、半数以上が大学院生でした。先生の質がいい、そのかわり授業料は高い、1974年ころで、1:2の「個人指導」で3万円の授業料。大学初任給があのころと比べると2.5倍くらいになっていますから、現在価値に換算すると月7.5万円の授業料。全国チェーンの個別指導塾の3倍、東京・渋谷駅前はずいぶん高いでしょ。その進学教室はとっくになくなってます。理事長が大学を設立したくて、そっちへお金をつぎ込み、経営が立ちいかなくなったと聞いています。野心家でした。東京では「個人指導」の草分けの塾でした。先見の明があったのでしょう。事業は順風満帆で拡張期に入ると、急激に不安定になることがあります、個人経営から会社経営への切り替えの時期です、それが上手にやれない企業はつぶれます。人の教育と社内制度の充実が鍵です。)
 たとえば、根室高校に東大卒や東京外語大卒の英語先生なんて、たぶん過去にいたことがない。いま、早稲田英文科卒の英語の先生がいらっしゃる、早稲田だって玉石混交だが、その先生は生徒の評価が高い。生徒たちは案外しっかり先生の学力や教養の深さ、教育への熱情を評価してます。わたしは根室高校1年生のときだけ、北大卒、沢井先生に英語を習いました。毎週金曜日の毎日ディリーニュース「社説」を教材にした大学3年次の時事英語授業も含めて、英語は沢井先生が最高だった。文型中心の解説、そしてバリトンのいい声で音読してくれましたから、すーっと頭に中に入っていきました。中高6年間で、幸せな英語授業は1年間だけ、あとはお粗末でした。沢井先生は団塊世代のわたしたちが卒業して数年後に、釧路高専の教授として転任されたと聞いてます。わたしの中で英語のポジションが変わりました、機会を与えてくださった沢井先生に心の底から感謝しています。
 こういうわけで、極東の町根室はセンター(都会)から見ると僻地ですから、先生や私塾も含めて教育環境に地域格差があることはいたしかたなしです。たいがいの困難は乗り越えるためにあります、教育環境に地域格差が大きければ、それを乗り越える別の工夫をすればいいだけ。ネットの授業を検索したっていい、フリーのものがたくさんあります、amazonで本を検索しても自分の気に入ったものを見つけられます、好い時代になりましたね。後は自分の覚悟です、正月の小遣いからいくらお金を投資するのか、そしてスマホでラインをしたり、ゲームをしている時間をどれだけ削り、英語の勉強時間に回すかです。毎日10分なのか、1時間なのか、2時間なのかということ。毎日30分程度の勉強で、英語ができるようになるなんて思わないこと。水泳だって、野球だって、サッカーだって、バレーボールだって、ピアノだって、和太鼓だって、毎日放課後2時間ほどもやっているでしょう。あれくらいの熱意と、時間を投入できるのかはあなた自身の問題です。学校の先生でも塾の先生でもない、あなた自身の問題です。そこまでやらないとものにはならない。数学に2時間、英語に2時間、その他に1時間、土日は読書に費やす、それも古典とたとえば科学史などの硬いもの。高校3年間、それくらい勉強したら、あなたの学力は格段に伸びます、そういう時期なんです、高校生って。学力が伸びる、いわば旬の時期、ここを逃さないでください。スマホに夢中になって時間潰しているあなた、自分の未来の可能性を食い潰しているようなものです、もったいないから、家に帰ったら11時までは電源切って、勉強しましょう。
 本を注文するのは地元の本屋をご利用ください。利用しないと、いつか花咲線のように、廃線が検討されるようになります。どんな町にも、子どもたちの教育上、そして大人の教養を高めるために、本屋は必要です。
*https://manabi.benesse.ne.jp/hensachi/hokkaido_pref_index.html
 昨日1/18、地元の本屋さんに頼んであった本が3冊届いたので取りに行ってきました。物理の基礎知識がないので、興味を引いたものは読みます。基礎知識がなくても、量子もつれの話の要点はよくわかりました。古澤さん説明がお上手で、論点が整理されてます。展開されている論理と数式のすべてを理解する必要はないのです。3-5割分かれば十分ですよ。2冊3冊と片っ端から読んでいるうちに、7割理解できるようなレベルになってきます。20冊も読めば問題の焦点が精確に理解できて、専門家に質問くらいはできるようになります。まったく努力していない素人の質問に付き合うほど退屈なことはないし、そんなに暇でもありません。
 比較的大規模で、先進的なシステム開発経験があるので、データサイエンスの周辺知識は少しありますが、ディープ・ラーニングは知りませんから、久野さんと木脇さんの共著のほうは後半が部分がたいへんそうです。でも、一通り目を通してみます。見通しがよくなるでしょう。

 英文を読むときもそうで、普通の読書は、筋や段落ごとの論理展開が読めたら十分です。単語を全部知っている必要はないのです。日本語の本だって、読めない漢字はたまに出てきます、読めても辞書を引かなきゃ正確な意味の分からない単語はいくらでもありますよ、それでも、読めてしまうでしょ。ケセラセラなんです。だから、面白そうと思ったら、とりあえず手に取ってなんでも読んじゃいましょ。(笑)

 久野遼平・木脇太一『大学4年間のデータサイエンスが10時間で学べる』
 古澤明『量子もつれとは何か』、『量子テレポーテーション』
 
 偏差値の解説と順位対応表はこちらをどうぞ!
*#4070 偏差値と千人中の順位対応表 Aug. 25, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-08-25-1


<リーディング対策:語彙拡張は単語の暗記と多読が基本>
 話をもとに戻します。リスニングが50点、リーディングが50点なら、両方に力を注ぐ必要があります。リーディング対策ですが、高校の教科書全部やっても、語彙数は2000くらいなものです。教科書は単語の数を制限してリライトしたものが多い、これでは英字新聞も英語で書かれた本を読めるようにはなりません。いま高2の生徒にハラリのSapiensを教材にして授業をしていますが、500頁全部やれば、語彙数は1万を尤(ゆう)に超えます。高校3年間の教科書全部を合わせても、Sapiensの40-50ページの分量にすぎません。日本語を考えてみたら誰でも簡単に判断がつきますよ、岩波新書を百ページ読んだくらいで、語彙力アップができますか?
 日本語語彙力なら、最低でも良質の本を十数冊読まないと語彙力が身につかないことは誰でもわかる理屈です。英語の語彙力は日本で暮らしている子どもたちに自然に身につくものではありませんから、スマホのアプリの英単語テストを利用して語彙力アップを日々やったり、教科書以外の読み物を大量に読むことで語彙力と読解力アップができます。

<英語教育への疑問:教育は国家の礎>
 短い高校生活で、英語にそんなに時間を投入させて、いったいどうするのでしょう?英語が話せて、英語の本が読めて、それがどうした?そんな疑問がわきませんか?せいぜい人口の3%が米国人並みの会話力や文章読解力になるだけのことですよ。英国や米国の植民地となった国の国民は英語が堪能です。英語を使えなければ職がなかったから。そういう国を目指したい?そんなことを考えている文部官僚はほとんどいないと思いますが、なぜか方向はそっちへ向いてます。

 文科省で英語の議論をしている先生たちは、英語にコンプレックスがあるか、そこそこ勉強したので優越感のある英語専門家たちが多いのではないでしょうか。企業の第一線で仕事をしたことがないから、仕事で要求される英語力のレベルをご存じない。
 英語を読み・書き・話し・聴く能力をアップさせるのはいいですが、中高生の教育は何を目指しているのでしょう?
 日本の古典文学や明治から昭和の文学を読んできたからこそ日本的情緒や価値観が書物を通して身につきました。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」も、江戸期の商道徳の本や明治の経営者たちの書いた本を読むことで、身につけました。いまや「卑怯なことをしてはいけない」(会津什の掟)という価値観すら風前の灯火です。「憐憫の情」「惻隠の情」も失われつつありますが、そういうことがイジメを助長してはいないでしょうか。「人が先、自分は後」という価値観もなくなったから、経営者は従業員の人件費を切り下げて、自分たちの報酬を数倍にして、恥を知らず平気な顔をしています。カルロス・ゴーンのような人として恥ずかしい経営者になりたいですか?なりたい日本人経営者が増えてます。マスコミも散々持ち上げてましたが、その罪滅ぼしか、最近はこき下ろした「逃亡記事」がダムが決壊したかのように流れ出してます。人の噂も七十五日です、桜の咲くころには、「逃亡狂騒曲」は終わりをつげ、ほとんどのマスコミが追いかけるのをやめているでしょう。つまらない。
 世の中いろんなことが日々起きていますが、そうした中で大きな流れがどこへ向かおうとしているのか、よく観察してみたらいい。千数百年かけて培ってきた日本人の伝統的な価値観や情緒が、敗戦後の70年間で途切れつつあります
 日本という国を建物に例えると、土台の部分が腐ってきているのではないかと心配になります。国の土台はいわずもがな、教育です。

 スマホが中学生の普及してから、小説すらろくに読まず、アニメのノベライズ(小説化)もので終始している生徒がほとんどになりました。英語に過剰に勉強時間を投入したら、数学や物理や化学や社会(政治・経済・倫理・地理)の勉強時間が少なくなるのは当たり前です。数Cはずいぶん昔に高校数学から消えてます。学力低下の影響で、根室高校普通科では、いまや数Bも数Ⅱも選択科目になってしまってます。普通科の3人に一人は数Ⅱも数Bも学んでいないという時代が数年後に来ます。
 江戸時代後期、明治時代に日本を訪れた外国人たちが、識字率の高さと礼儀正しさ、倫理の高さに驚いて書き残しています。町家の娘が、貸本屋の軒先で本を読みふけっているなんて姿は当時のヨーロッパではありえませんでした。神父や貴族や官僚くらいしか本が読めません。江戸時代と明治期の識字率はダントツに世界一でした。本がたくさん読まれたということは、本を通じて伝統的な価値観や道徳や情緒が体に染み込んでいったということです。

 「2000円の品物に3割引きの値札を貼り付けておいて」と指示されても、2割くらいの高卒の生徒は、おそらく右往左往することになっているでしょう。
 11月に行われた中3の学力テスト総合Cの数学(60点満点)では、柏陵中と啓雲中で5点以下の生徒が112人中28人(25%)もいます。10点以下は48人(42.9%)です。77人(68.7%)が20点以下ですが、数Ⅱの選択は無理な学力と判断していい。残念ですが、光洋中も似たようなもの。31点以上の層を数Ⅱ選択可能と仮定すると、2校で20人(17.8%)です。根室市内に中学生が1学年180人いたとして、数Ⅱを選択できる学力の生徒は、たったの32人。普通科「特設コース」が35人、つまり、十数年前の根室高校普通科の生徒並の学力を有しているのは「特設コース」の生徒たちだけ。
 大学入試共通試験英語が、リスニングと長文だけになったら、ますます他の科目の勉強時間を減らさざるをえなくなります。そういう変化に対応できるのは一部の教員のみということになりそうです。

<仕事で要求される英語力とは?>
 どうも英語に対する誤解があるようです。社会に出てから、「英会話ができます」では就職に困ります。「それで、仕事で何ができるの?」ということになります。英語が生きるのは特定の分野に深い専門知識があってのこと。
 具体例を挙げて話します。国内最大手の臨床検査センターで、英語がよくできた社員は開発部のS崎さん、学術開発本部のお二人の姉妹(お姉さんは20年ほど米国で仕事の経験あり、妹も数年)、学術営業部のS君(後に独立起業)、学術営業部長の窪田さん(独立起業し東証1部上場企業ペプチドリーム社長)、仕事で英語が使えるレベルだったのは社員では4人、部長が1人、学術担当役員のI神さん(有機化学の専門家、青山学院で教えていた)、この6人くらいなもの。みなさん専門分野をもってました、理系の人間ばかりです。あ、忘れてました、帝人との臨床治験検査データ管理の合弁会社に一緒に役員出向したO部さんは千葉大薬学部卒でしたが、TOEIC900点超でした。かれは、国際標準化機構へ転職してます。他に自在に朝鮮語の使える免疫血清部長職H山さん、1200名の社員で当時はそれくらいで十分でした。ああ、もちろん日常会話程度なら、百人くらいいたかもしれません。1980年ころ、産業用エレクトロニクスの輸入商社では経理の女性社員が英検2級、日商簿記2級でしたが、英検2級程度の英語力では仕事ではアウトです。英語が堪能な社長秘書は英国で数年勉強した経験がありました。
 特定の分野に深い専門知識をもち、粘り強く考えることができることが第一優先順位、英語の能力はそのあとのことです。ものごとには優先順位があります。

<英作文トレーニングへメール配信方式導入>
 大学入試共通一次試験には英作文問題はありません。ないからやらなくていいか、そうではないのです。英語力をアップするには英作文トレーニングは重要です。「読み・書き」というでしょ、読めるけど書けないでは、仕事でも困りますよ。上場企業の部長職に高度な文書能力が求められます。名分を書くことではなくて、専門外の役員にも理解できるようなわかりやすい文書を書く能力が要求されます。稟議書だけではありません。1990年代から、e-mailが「報連相」のツールとなりました。課長職を廃止して、部長職が3つや4つの課をまとめて担当できる時代に変わりました。だから、上級職とのコミュニケーションだけでなく、部下に意を組んで動いてもらうために、わかりやすい文章でメールを作成する能力が、管理職に要求されるようになったのです。
 時代の変化を俯瞰しながら、わたしは日々、塾長として仕事を坦々とこなしています。書く視点で読むと、読解力もアップするので、メール送信方式で、5題/日、週に4日英作文問題を塾生にやらせることにしました。週20題消化することになります。とりあえず1か月やってみることにしました。走りながら、やり方を修正し、工夫します。英作文の好いところは、使えるレベルの語彙や英文例を増やせるということ。1/14火曜日からスタート、#015まで、15日分問題創りました。期限が来たら、メールへ張り付けて送信するだけ。

<リスニングまとめと幼児英語教育について>
 リスニング対策用として、高2の生徒たちは春休みに音読トレーニングをはじめれば、なんとか受験に間に合います。電子辞書にも音読教材がついているようですから、それを試すのもいいでしょう。

 根室は中学生の時に英語で躓いてしまい、苦手になってしまった生徒が多いので、独習教材をいくつか挙げておきます。幼児英語が盛んなのですが、それで苦手になってしまう生徒も多いのです早く始めて効果が出る生徒は1割くらいなものです。ニムオロ塾の高校生には「幼児~小学生英語」の経験者が5人いますが、全国模試で英語の偏差値が50を超えている者は1人だけ、4人は40前後です。すっかり英語アレルギーになっています。3歳からずっと英語を習っていた生徒もいます。小3のときから小5までネイティブに習っていた生徒は全国偏差値で70を超えていますが、わたしは中学生まで英語を教えませんでした。中学生からで十分、やり方次第と考えたからです。好きでもないことを、小学生の時から強いたら、そりゃあ英語嫌いになります、アレルギーにもなります。後で治療するのがとってもたいへんです。なんにも習わずに来てもらった方がいいのです。アレルギーを取り除くところからはじめなくていい。効果のあるのは能力が高いか、英語がデイ好きになれる生徒だけ、1割程度ですよ、9割は中学校からで十分です。NHK実践ビジネス英語の杉田敏さんはもう30年もNHK講座をもってます、そして日本GEの取締役でもあります。英語の勉強は中学校からしたそうです。弊ブログに多数コメントをしてくれたハンドルネーム「ヒロスケ」さんも「後志のおじさん」もわたしとは違って英語の達人ですが、中学校からです。だれも、幼児英語はやってません。英語の勉強をする動機が大切なのです。動機がないのにただ英語がうまくなりたいでは、上達できるわけがないのです。どれだけお金と時間を投じる覚悟と用意がありますかということ。甘くないのです。
 塾生のみなさんには英語アレルギーを治す二つ目のチャンスをあげます、一つ目は昨年実施した、水曜日2時間の英語特訓授業でした。高校2年生対象、テクストは3年生の英語教科書を使い、音読と文型解説中心に解説しました。すらすら読めないところは、授業中に30回も音読を繰り返したこともありましたね。スムースなら5回でよかった。先週からスマホへメール配信方式で英作文トレーニングを開始してます。人数が少ないので、メールで添削もできそうです。音読トレーニングと英作文トレーニングで英語アレルギーを払拭してください。

 釧路や札幌に行ったときに、大きな本屋で手に取って中身を見て、自分にあったものを探すと好いですね。参考に、2種類にわけて市挙げておきます。他にもたくさん出ているから、調べて、無駄になってもいいから、自分の学力に合わせて数冊買いこんで試してください。

①発音矯正用の教材
②音読トレーニング用の教材



例えば、子音[th]の発音を徹底的にトレーニングできます。
英語の発音ザ ジングルズ レベル85基礎筋肉編

英語の発音ザ ジングルズ レベル85基礎筋肉編

  • 作者: スティーブ ウォーカー
  • 出版社/メーカー: ダイエックス出版
  • 発売日: 2015/03
  • メディア: 単行本
英語の発音 ザジングルズ レベル86発音筋肉強化編

英語の発音 ザジングルズ レベル86発音筋肉強化編

  • 作者: スティーブ ウォーカー
  • 出版社/メーカー: ダイエックス出版
  • 発売日: 2015/04
  • メディア: 単行本
DVDで口の形を真似て、子音の発音トレーニングをしてください。古くなったので、類似の新しいものを探せばいいでしょう。
DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本

DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本

  • 作者: 鷲見由理
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2008/05/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
発音指導DVD&CD付英語の発音がよくなる本ミス・アッシリィの発音を見て聴いてマスターする

発音指導DVD&CD付英語の発音がよくなる本ミス・アッシリィの発音を見て聴いてマスターする

  • 作者: 巽 一朗
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2005/03/03
  • メディア: 単行本

わたしは、旧版でトレーニングしてみたので、新しい版は手に取ってみてません。
究極の英語学習法 K/Hシステム 基本編

究極の英語学習法 K/Hシステム 基本編

  • 作者: 橋本 敬子
  • 出版社/メーカー: アルク
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本
究極の英語学習法K/Hシステム入門編 ワークブック

究極の英語学習法K/Hシステム入門編 ワークブック

  • 作者: 国井 信一
  • 出版社/メーカー: アルク
  • 発売日: 2002/08/07
  • メディア: 単行本
効果はあるけど、この本は英検2級以上の生徒でないとムリ。10分程度の音源です。それを数百回繰り返しやれば、深くなります。意味をイメージしながら、視点を変えて同調音読トレーニングしてみよう。
究極の英語学習法 K/Hシステム 中級編

究極の英語学習法 K/Hシステム 中級編

  • 作者: 橋本 敬子
  • 出版社/メーカー: アルク
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3 (速読速聴・英単語シリーズ)

速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3 (速読速聴・英単語シリーズ)

  • 作者: 松本 茂
  • 出版社/メーカー: Z会
  • 発売日: 2015/03/07
  • メディア: 単行本
こちらは英文にも訳文にもスラッシュが入っています。意味の塊を意識して読むのに便利です。
速読速聴・英単語 Core1900 ver.5

速読速聴・英単語 Core1900 ver.5

  • 作者: 松本茂
  • 出版社/メーカー: Z会
  • 発売日: 2018/03/14
  • メディア: 単行本


にほんブログ村


nice!(0)  コメント(2) 

#4169 Sapiens: page 17. Jan.18, 2020 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

 生徒が河合塾の冬期講習に行っていたので、3週間ぶりの授業である。付番ルールを忘れてしまったので、確認、ああ、なるほど、「ページ数[.]段落番号[-]枝番号」だった。

<17.1>   A lot hinges on this debate.  From an evolutionary perspective, 70,000 years is a relative short interval.  If the Replacement Theory is correct, all living humans have roughly the same genetic baggage, and racial distinctions among them are negligible.  But if the Interbreedig Theory is right, there might well be genetic diffrences between Africans, Europians and Asians that go back hundreds of thousands of year.  This is political dynamaite, which could provide material fore explosive racial theories.


 ネアンデルタール人の化石から遺伝子を抽出して、マッピングした研究成果が2010年末に公表されており、その調査研究レポートを踏まえてハラリは書いている。最近の研究結果がこの段落と次の段落で展開されている。まだ、高校生物の教科書には収載されていない内容であるから、知的好奇心をくすぐってくれる部分だ。生徒はワクワクしながら読んでいる。

 ところで、アンダーライン部が面白い。文型はⅠ文型でとってもシンプルだが、'a lot hinges' を名詞句だと思い込んだらわけがわからなくなる。hingesは名詞ではドアのヒンジ、つまり蝶番の部分だが、ここでは動詞であり、「~次第である」という意味。わけがわからないと思ったら、原理原則に戻って、辞書を引いたり文型チェックをしたらいい。そうすれば「視点変換」できる。数学の問題を解くときと一緒です。数学のできる生徒は、処理の類似点に気がつけば、英語も簡単になる。

 'a lot'が主語になっているが、こういう文は前にも出てきた。'many'が主語になっている文がp.8の第三段落にあった。
 Some lived only on a single island, while many roamed over continents.
 (単一の島に住む種もいたが、多くはさまざまな大陸を歩き回った)

 それぞれ、 'some (of these specis)'と 'many (of these species)'のカッコ内が省略されたものであるから、補って読めばいい。省略するのが普通だ。

 8ページの第2段落でハラリは、2010年にデニソワ洞窟でデニソワ人の指の化石が発見され、その遺伝子解析がなされたことにも言及している。

 'a lot (of things)'の省略であると見たらいい、この名詞句は不定冠詞がついているから単数であることに注意。thingsのほうは複数だが、'a lot'という名詞句を修飾する前置詞句である。
 'a lot' を'lots'とやったら、もちろん複数だから、hingeと書かなければならない。

 間の好いことに、始めたばかりの、メールによる英作文5題/日の#002の五番目に次の問題をだしていました。ちょうど、授業の前にやったところです。

---------------------------------
 問題5:あれからいろいろなことがありました。
 生徒の答えは、次のようになっていたかな。
 There is a variety of things since then.
 マルはあげられませんが、△はあげたい。でも、ヘンな英文です、なぜでしょう。相aspectの選択ミスです。日本語には完了相がないので、ピンとこない生徒が多いのですが、完了相の英文は案外多い。'since then'と書けたのですから、単純現在形の文とは相性が悪いことに気がついてほしかった。次の文が正解。
 A lot has happended since then.

----------------------------------


  どうです、ずっとシンプル、そしてコンパクト、完了相を使っているところが味噌。「あれからいままでいろんなことがあった」ことがスーッと伝わってきます。
 二つ英文を比べてみることで、あとの方の切れの好さがよく理解できるでしょう。 
 英作文とSapiens講読が早くも絡み合ってきました。書くことを考えながら、ハラリの文章を読む、ハラリの文章を読みながら、英作文のコツをつかむ、ますます楽しくなります。内容も知的好奇心をくすぐってくれます。

 hinges on:~次第である

 2番目のアンダーライン部'the same genetic baggage'はハラリは現人類が「同じ遺伝子の手荷物」をもっていると書いたのだが、baggageは持ち歩ける荷物であることから、代を継いで現人類が遺伝子コードをまるで手荷物に詰めて受け渡してきたようなイメージで語っている。それをどのように訳すかは日本語語彙の選択の問題である。訳者の柴田さんはさらり、「同じ遺伝子コード」と意訳している。日本文学の専門家、あるいは日本文学に造詣の深い翻訳者なら、どのような語彙を選ぶのだろう?もっと、読みやすくて、切れの良い文章になるのだろうな。
 翻訳の名人の一人であった柳瀬尚紀氏はその著『翻訳はいかにすべきか』(岩波新書 2000年刊)の冒頭で「翻訳という語は、筆者にとって、あくまで日本語である。翻訳という行為を、あくまで日本語の行為として考える」と書いている。柳瀬さんは1943年6月2日生まれであるから、根室高校の6学年先輩にあたる。弊ブログにも一度だけ、コメントをいただいたことがある。2016年7月30日にお亡くなりになった。贅沢な話だが、柳瀬さん訳のSapiensも読んでみたかった。
 根室高校の先生と生徒諸君は、名翻訳家である柳瀬尚紀さんの著作を読んだことがあるかな?滅多にいませんよ、一流の翻訳職人、名人の域です。遊びごころもひょこひょこと顔を出します。『ゲーデル、エッシャー、バッハあるいは不思議の国の環』の訳者あとがきをご覧ください。定価が5800円ですが、根室高校図書室に置いてもらいたい。柳瀬さんの著作が全部図書室に揃ったらすばらしい。「柳瀬尚紀翻訳・著作コーナー」なんて、想像しただけですてきです。

二つの説をめぐる論争には、多くがかかっている。進化の視点に立つと、七万年というのは比較的短い期間だ。もし交代説が正しければ、いま生きている人類は全員ほぼ同じ遺伝子コードをもっており、人種的な違いは無視できるほどにすぎない。だが、もし交雑説が正しいと、何十万年も前までさかのぼる遺伝子的な違いがアフリカ人とヨーロッパ人とアジア人の間にあるかもしれない。これはいわば人種差別的なダイナマイトで、一触即発の人種説の材料を提供しかねない。」p.29 柴田訳

「もし交代説が正しければ」は、「交代説が正しい場合には...」とした方が文章がすっきりします。あとのほうの交雑説のところも同様です。
 これって、哲学者の市倉宏祐先生が、イポリットの『ヘーゲル精神現象学の生成と構造』を翻訳されていたころ、午後のゼミで、われわれの退屈な議論にねむそうな顔をされながら「if節は、「~の場合」と訳すといいんだよな」とつぶやいたのを聞き逃しませんでした。眠そうな顔をされていたので、「徹夜ですか?」「イポリットの翻訳していたら、夜が明けてしまったので、そのまま研究室へ、眠ってないんだ」との返事、そのあとの誰かの質問に対するものだったのかもしれません。
 市倉ゼミへ入ったのは2年生の時でしたが、1年生の時に許万元著『ヘーゲルにおける概念的把握の論理』を3度ほど読んでました。高校2年生の時にヘーゲル『大論理学』に目を通したのですが、歯が立たなかったからです。マルクス『資本論』の延長線上にヘーゲル論理学がありました。ずっと、気になっていたのです。市倉先生はサルトル哲学研究者として第一人者でしたが、わたしがゼミに入れてもらったころには、ヘーゲルへも興味が移っていたのでしょう。ゼミでは、一度もヘーゲル哲学について先生と議論したことがありませんでした。『資本論』全巻と『経済学批判要綱』ⅠとⅡをテクストに使っていたので、ヘーゲル哲学について議論をはじめたら、他のゼミ員に迷惑になると当時のわたしは考えていたのかもしれません、もったいないことをしました。3年間も謦咳に接していたのに、阿呆です。


 予習してきてないし、久しぶりに会った生徒とおしゃべりが多くて、全然はかどらなかった。その分、今日の授業で全力疾走してとりもどしてもらいます。甘くありませんよ(笑)

<余談:大鷲>
 12:20、大鷲が2羽、羽を広げて悠然とこちらへ向かって飛んでくるので、双眼鏡で見た。肩の部分が真っ白、尾も真っ白だ、きれいだな。もう一羽が変わっていた。肩の部分が白くない、広げた羽の中央部分が白くなっていた。尾羽は真っ白。あんな色、模様の大鷲見たことない。


*柳瀬尚紀 
https://ja.wikipedia.org/wiki/柳瀬尚紀


 柳瀬さんのユリシーズだけ読んでいません。

日本語は天才である (新潮文庫)

日本語は天才である (新潮文庫)

  • 作者: 柳瀬 尚紀
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/09/29
  • メディア: 文庫
翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

  • 作者: 柳瀬 尚紀
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/20
  • メディア: 新書
ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版

  • 作者: ダグラス・R. ホフスタッター
  • 出版社/メーカー: 白揚社
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 単行本
対局する言葉

対局する言葉

  • 作者: 羽生善治
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ユリシーズ1-12

ユリシーズ1-12

  • 作者: ジェイムズ ジョイス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: 単行本

ヘーゲル精神現象学の生成と構造〈上巻〉

ヘーゲル精神現象学の生成と構造〈上巻〉

  • 作者: イポリット
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1972/10/30
  • メディア: 単行本
ヘーゲル精神現象学の生成と構造〈下巻〉

ヘーゲル精神現象学の生成と構造〈下巻〉

  • 作者: イポリット
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1973/05/30
  • メディア: 単行本



にほんブログ村 


nice!(0)  コメント(0) 

#4168 根室高校進路実績H27-30年度比較 Jan. 16, 2020 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

 根室の教育関係者はデータをよく見よう。H27年度からH30年度までの3年間で、根室高校生の進路実績はこんな急激に変化している。50以上の偏差値の学校へは成績上位層でもなかなか合格できない状況に様変わりした。根室高校は授業時間を45分間に短縮して、毎日7時間授業をしている。
 このままでは、10名前後しかいない成績上位層(?)ですら、高校受験段階で根室から出て行ってしまう。

<根室高校進路実績>
  H27 H28 H29 H30
国公立 23 14 11 7
道内私大 50 54 36 54
道外私大 41 12 8 5
合格者合計 114 80 55 66
大学進学者数 56 49 44 42
生徒総数 193 188 146 175
市内就職 46 41 29 36
大学進学率 29.0% 26.1% 30.1% 24.0%

 
 注: 「合格者合計」と「大学進学者数」に違いが出ているのは、「合計」が3校受験して2校合格すれば、2人として計算しているからだろう。だから、大学進学者の実数は「大学進学者数」欄の数字が正しい。

 国公立大学への進学者と道外私大への進学者が激減している。私大がが定員を厳守するようになってきているので、偏差値(=難易度)が上がり合格者数が激減している。
  道外私大合格者は、H27年度41名(重複合格を含む)だったのがH30年度は5名に激減している。
 ベネッセで大学偏差値を調べて驚いた。たとえば、専修大学商学部会計学科は偏差値55-62である。東京経済大学経済学部は偏差値54-60、なるほど、私大の偏差値は最近、5-8くらいアップしているようだ。偏差値55で上位30%で、偏差値60だと上位16%である。定員を守らないと、補助金減額措置があるので、私大が合格者数を絞ったことに寄るのだろう。首都圏の私立大学へ合格できる生徒が41人から5人に激減したのもうなずける。5人のうち、早稲田と法政は学校推薦枠での合格、そして今年度から早稲田の学校推薦枠がなくなっている。(十数年前に私学振興財団で融資部長をしていたゼミの先輩がいる。私立大学への補助金交付実務は私学振興財団がしているようだ。)

 わたしは生徒たちに東京の大学への進学を勧めている。先生のレベルに大きな差があるからだ。専修大学でゼミの指導教授は哲学者の市倉宏祐先生、当時の日本の哲学者では三指にはいる。三年間ご指導いただいた。経済学の講義は内田義彦先生だったが、経済学史の分野ではやはり日本で三指にはいる。内田先生の講義は一番前の席で聴いた。東京経済大学大学院では元一橋大学長の増田四郎先生に院生3人で特別講義をお願いしたが、増田先生は西洋経済史の分野ではNo.1、どの授業も超贅沢。
(道内の大学には、哲学や経済学でこういうレベルの先生はいません。優秀な先生のところには、優秀な学生も集まります。そういう中で4年間切磋琢磨することも、自分を鍛える絶好の機会です。)

 大学進学者数も年を追うごとに低減しているのが数字にはっきり出ている。その推移は56⇒ 49⇒ 44⇒ 42人である。

 国公立大学への進学も中身も変化が大きい。
 H30年度は7名が国公立大学へ合格している。
●北見工業大学(47-49)
●釧路公立大学(47-50)
●名寄市立大学(49-55)
●弘前大学(49-56)
●北海道教育大学釧路分校(47-50)
●室蘭工業大学(45-51)
  カッコ内の数字はマナビジョンの入試偏差値データによった。国公立と言ってもほとんど偏差値50前後の大学に集中していることがわかる。入学しやすいのはわかるが、就活はたいへんだろうな。大企業の本社はほとんどが東京だから、就職試験を受けるのに旅費がかかる。一時期は50社、100社に応募するのが普通だったから100万円くらいかかっていたが、就職難の時代は終わったようだから、就活費用は数分の一減っているだろう。給与は東京本社企業のほうが高い。

 H27年度は23名が国公立大学に合格している。
●札医大医学部(医学部69、保健学部55-56)
●旭川医大(55-57看護学科)
●帯広畜産大(54-66)
●東京工大(66-70)
●小樽商大2名(51-57)
●札幌市立大学(看護学科55)など
  進学先の難易度がずいぶんと違う。
進路先の国公立大学の入試偏差値を比較すると、成績上位層の根室高校生の学力が平成27年度から平成30年度までの3年間に著しく落ちたことがわかる

 最近の根室高校の成績上位層の偏差値は、数人を除いて50前後ということのようだ。

 さて、令和元年、高校統合後、初の進路実績はどうでるのか、盛り返してもらいたい。上位15人くらいは、ちゃんと勉強すれば、数学と英語の偏差値は60をクリアできるというのが、わたしの見立てである。なんだかもったいない話だ。

 偏差値の解説と順位対応表はこちらをどうぞ!
*#4070 偏差値と千人中の順位対応表 Aug. 25, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-08-25-1

**#3589 進研模試高1数学の平均点は21.4 Aug,21,2017

https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2017-08-21

 市倉宏祐先生の遺稿集『特攻の記録 縁路面に座って』、全文掲載
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/archive/c2306180343-1


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

#4167 英作文問題:メール送信方式開始 Jan. 15, 2020 [49-4 英作文トレーニング]

 英作文問題をメールで出題する方式を昨日(1/14)から試しにやってみている。毎日5題、送信して、家でやるか、学校の休み時間にやってくる。塾では答えのチェック、英語の偏差値が70以上の生徒には5分程度で解説が充分間に合うことが分かった。問題文を黒板に書いて、それから問題を解かせて解説すると、いままでは10-15分かかっていた。
 塾へ来る都度、英語授業のときだけでなく、数学の授業の前にもやるから、時間の節約がしたかった。

<英語アレルギーの治療>
 他の高2の生徒5人にもラインで「英作文トレーニンググループ」をつくり、問題を送信するシステムにした。塾が休みの水曜日を除くと、4回×5題=20題/週、のペースである。分量としては充分だろう。レベルは「NHKラジオ英会話」、英語の偏差値が70を超えている生徒にはちょうど好いが、苦手な生徒にこのレベルの英作文は無理。ヒントを与えて、試行錯誤させなければならないから、30分くらいかかるだろう。そんな時間は授業中に確保できない。
 英語が苦手な5名は、自分の学力に合わせて問題を選別してやってよいことにした。日本語を英語の語順に並べるところから、やらないといけない。やっていくうちに、効果的なやりかたがわかってくる、かれらの英語力にチューニングした英作文指導法がやっているうちに固まってくる。試して効果がありそうなことはどんどんやってみるに限る。やりながら、反応を観察してやり方を修正していけばいい。
 2時間10回、高3教科書を使って文型解説した特訓授業で文型に慣れたろうから、文型を橋頭保に作文できる範囲から始めるのがいいのだろう。相乗効果を期待したい。
 音読トレーニングは自分がよいと思うCD教材を選んで、家でトレーニングしてもらうことにしているのだが、やっている気配がない。個別指導で音読トレーニングはできない、他の生徒がいるから学習の妨げになる。個別指導の欠点である。いままでは、音読指導したい生徒は学校が終わったらすぐに来てもらい、個別に30分ほどやっていた。子音の発音を矯正しないと、いつまでも英語にならない。塾が休みの水曜日に、ときどき2-5人の集団で90分の特訓授業を組むのがよさそうだ。


 英作文の解答と解説は3日ぐらい後で送信する。問題と解答にはそれぞれメールのタイトルに「英作文問題#001」「英作文解答#001」という風に付番しておく。問題を創るときに解答も同時にWORDで作成して、あとで、メールにコピペして、配信すればいいだけ。
 毎日英作文問題にチャレンジする習慣とたくさんの量をこなすことで慣れるのが目的だ。

 これで、長文読解と英作文トレーニングの体制が整う。「鬼に金棒」すなわち、「読解に英作文」、英語が苦手な生徒も両方やることに慣れてもらう。これにCDを利用した音読トレーニングが加わると、ベストな学習方法になるが、そこは生徒の自主性にゆだねるしかない。おんぶにだっこでは自立心が育たぬ。

 英語が苦手な生徒に昨年10月から2時間10回、高3の教科書を使って、全文・文型解説しながら、冠詞に配慮しつつ特訓授業をした。特訓が終わってから、それまで得意の数学しか勉強しなかった生徒たちが、進んで英語の問題を解いていることが多くなった。4年半の長患いである「英語アレルギー」がとれたのだろう。(笑)
 中学3年間で英語が苦手になった生徒は、独力で「英語アレルギー症状」から脱することができない。英語の勉強の仕方がわからないのである。高校生になってもずっとそのまま、卒業するまで苦手のままがほとんど。ところが、特訓授業で、英語が少し理解できるようになると、言われなくても自分からやるように変わることが分かった。英語も数学と同じで結構面白いのだ。
 「読み・書き・算盤」という言葉の通り、「読み」の次は「書き」であるから、英作文トレーニングも大人の手助けが必要だ。高校生たちは全員スマホをもっているから、それを利用しない手はない。好い手を思いついた。しかし、毎日問題を発信し続けるのはなかなかたいへんだから、とりあえず1か月やってみて、その後のことを考える。(笑)

 高校1年生は3か月ほど期間を置いてから、スタートさせる。四月から英語が苦手な高校1年生が揃うので、文型中心にした簡単な英作文トレーニングからはじめるつもりだ。シンプル・センテンスで英文を書き、節構造にしてつなぐ、それを句構造に書き換えるような作業を坦々とやれば、簡単な英文が書けるようになる。書くスキルは読解力アップにも寄与する。200文例くらい音読トレーニングで丸暗記したっていい、英語力アップの要点は、知っているだけでなく使えるレベルの英文を増やすこと、やり方はいろいろあるから自分にあったやり方を見つけたらいい。
 塾としては、独力で勉強を始めるきっかけを提供したい。新高1年生には四月から教科書を使った特訓読解トレーニングを毎週水曜日に2時間10回やる予定である。ほうっておいたら、数学の勉強ばかりすることになりそうだから。(笑)

 自分の弱点の分野を単元別に検索すれば、ユーチューブで無料の授業をみることができます。ソースはたくさんありますから、お金をかけなくても工夫次第です、好い時代になりました。

 最近の根室の中学生の学力状況は#4099の通り、根室高校の進路実績も道外私大進学が10年前の1割まで減って振るいませんが、そろそろ下げ止まってもいいころではないでしょうか。苦手の科目のアレルギーがとれて勉強する生徒が増えることを期待してます。
 
*#4099 学力テスト総合A「18校科目別データ」 Oct. 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11


 *根室高校平成30年度進路実績
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=3103
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/index.php?page_id=31

*#4168 根室高校進路実績H27-30年度比較 Jan. 16, 2016
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-01-16



nice!(0)  コメント(0) 

#4166 高2の生徒がようやく数Ⅲをはじめた:複素平面の不思議 Jan. 15, 2020 [51. 数学のセンス]

 シリウス数Bはとっくに終わり、『シリウス数Ⅱ』の最後の章「微積分のまとめ」をやっている。入試問題が並んでいるから今の実力では手ごわい問題がある。ちょうど30頁だ。問題集自体は数Ⅱだけで277頁、解答集は557頁もある大部なもの。教科書もやらずに、この問題集に載っている解説を自分で読み、そして問題を解くという方式で、中1のときからずっとやってきた。普通の生徒にこの問題集をいきなりやらせるのは無理、高校生になったときに進研模試で数学の全国偏差値が75以上でないと無理、初めてのケースなのである。すっかり慣れちゃって、いまではへっちゃら。鍛えてみるものだ。
 ところで、シリウスシリーズの数学には数Ⅲは微分積分と極限の問題集しかないので、青チャート数Ⅲに切り換えた。今日が最初の授業、複素平面である。
 いつもは説明なしで、例題を読ませて独力でやらせるのだが、複素平面はまったく新しい分野なので、概念を押さえておいた方が、見通しがよくなるので、10分ほど解説した。
 複素平面は実軸と虚軸で構成され、実数と同じように座標平面上で複素数の加減乗除や累乗計算が可能だ。そして極座標形式で「r(cosΘ+isinΘ)」でも表現できる。座標の掛け算は、偏角Θの加算となる(つまり、回転となる)ことを、実際の数値でやらせてみた。
 (cosπ/3+isinπ/3)の累乗計算を指数を2、3、4、5、6、7と変えてやらせた。
 (1/2+√3/2)^nがn=7のときにもとに戻る。

  プログラマブル科学技術計算用計算機のHP35sは複素数の演算機能が標準装備しているので、次の計算は簡単にできる。
  (cosπ/3+isinπ/3)^6=1.000E0i1.623E-12
  1.623E-12=1.623×10^-12だから、12個ゼロが並んだ後に1.623だからゼロです、計算精度の関係で端数がでます。
  (cosπ/3+isinπ/3)^7=5.000E-1i8.6660E-12(=1/2+√3/2i)


 掛け算が偏角の加算になる。これ自体が、新鮮な驚きだろう。ガウス平面上の点の割り算が、偏角Θの引き算になることは容易に推察がつく。指数関数によく似ている。
 複素平面(ガウス平面)は数学者&物理学者のガウスの考案になるものだが、これができてからまだ200年に過ぎない、数学の分野としては微積分のついで新しい。ここから実数の世界は複素数の世界の特殊な分野ということになる。マックスウェルの電気磁気学では複素平面が問題になるらしいが、わたしは門外漢だ。
 四則演算も累乗計算も微分・積分も、複素数という拡張された世界では、いくぶん趣を異にする。とくに関数で複素平面Uから複素平面Wへの対応を考えると、四次元となるので、グラフの概形図を書いて理解した手法がお釈迦になる。途方に暮れる理数系の学生がどっと出るが、複素関数は実数の世界よりもはるかに面白いのである。ある種の計算は、複素数でやった方が簡単になる場合もある。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/カール・フリードリヒ・ガウス

 ついでだから、オイラーの有名な公式も黒板に書いた。
 e^iΘ=cosΘ+isinΘ
 これにΘ=πを代入して計算。
 e^iπ=cosπ+isinπ=-1+0i=-1 (π⇒パイ)
 「あ!」と生徒が声をあげた。
  e^iπ=-1
 ネイピア数のeとπは代表的な超越数であり、どちらも無限級数であらわせるが、残念ながら高校数学の範囲ではない。それらが虚数単位のiと結びつくことで、シンプルなマイナス1になってしまう。
 「シンプルで美しいだろう?」
 「はい、美しいと思います」

 こういうところで感動できる者は幸せだ。(笑)

*超越数
https://mathtrain.jp/transcendental

 見通しがよくなっただろうから、あとは、ひたすら、問題を解いてもらう。ときどき質問に応えるだけでいい。こうして、昨日の授業で、数Ⅲに突入した。問題量がシリウスに比べると20%ほどしかないので、消化速度は大きくなる、夏休み前に全問題解き終えることができるかもしれない。本人はもう少し早く終えるつもりのようだが、甘くないよ。(笑)
 数Ⅱと数Bはたっぷり、過剰なくらい難易度の高い問題をこなしたから、数Ⅲで数Ⅱや数Bとの難易度の高い複合問題があったときにも、消化速度が落ちないだろう。

 今日は晴れの予報なのに、ひさしぶりに朝から雪が舞っている、羽毛のようにふんわりした雪である。
 札幌雪祭りは6000台のトラックで遠くの山中から雪を運んでいる。輸送に携わっている自衛隊のみなさんご苦労様。夕張の雪まつりは中止を余儀なくされたよし、とっても雪の少ない冬だ。

<余談:河合塾冬期講習生徒の感想>

 件の生徒は、河合塾の冬期講習を札幌まで行って受けた。化学の授業が素晴らしかったと絶賛していた。物理もそれに次いでいた様子。根室にああいう風に化学を教えてくれる先生がいたら、根室高校生の化学の学力が上がるだろうに、と感想を述べていた。大手進学塾の先生は指導法をよく研究している。
 数学は一番上のクラスではなくて2番目を受けたらしい。取り上げられてた問題が簡単すぎてつまらなかったと言っていた。英語は一番上のクラス、夏期講習のときの先生とは違う人で「英語は構文だ」なんてことはおっしゃらない。事前に予習していったから、よく理解できたという。受験問題から長文をピックアップして解説した授業だった。根室の塾でやっている長文トレーニングと似たような解説だったらしい。英語の文は、「後ろのものは前のものの補足説明」になっていると大西泰斗先生のような解説をしながらの授業だったという。わたしもよくやる。必要な範囲で生成変形文法も解説に利用している。長文は東大入試英語過去問からの採録が多かったそうだ。慶応大学医学部の過去問も、要するにそういうレベルが冬期特訓問題。「ここはwouldが省略されているから、補って読もう、気がついた人はいるかな?」なんて、まるで同じ解説をしたらしい。広い教室にたった8人の受講生だったらしい。
 河合塾の自習室は食事をしながらできる、ラウンジスタイルの部屋、飲食物禁止の部屋といくつもあって、便利この上なしという感想。さすが大手予備校、設備が整っている。空調もしっかり利いていて、居心地がよかったとのこと。春休みに行く人は参考にしたらいい。
 ハラリのSapiensを読み始めてから、読解スキルが上がってきているので、英文の見え方が変化している様子。いままで、文法・語法問題でできるかできないかの境目がはっきりしなかったのが、ラインが見えるようになってきたと報告があった。文法・語法問題は授業で採り上げていないが、読解に慣れれば、自然に上がる部分がある。




問題量が多すぎます(笑)

シリウスシリーズ 数学
https://www.ikushin.co.jp/shuppan/index.php?mode=detail&bi=150

青チャート
https://www.amazon.co.jp/チャート式基礎からの数学3―新課程-チャート研究所/dp/4410105558

*https://www.youtube.com/watch?v=Xz0L9GzQpQI

<HP35s>
https://www.amazon.co.jp/HP-35S-B12-35s-ハイエンド関数電卓-【並行輸入品】/dp/B004A0XHH4/ref=pd_sbs_229_img_0/355-0195408-8402464?_encoding=UTF8&pd_rd_i=B004A0XHH4&pd_rd_r=8c391177-0ac4-47ae-ac6d-36e7604fc0fa&pd_rd_w=my0ut&pd_rd_wg=L3cUu&pf_rd_p=ca22fd73-0f1e-4b39-9917-c84a20b3f3a8&pf_rd_r=EKKFYYMCK251XBV17ZBF&psc=1&refRID=EKKFYYMCK251XBV17ZBF

 amazonには7400円で載っています、安い!
 CDマニュアルが付属していて、それに日本語マニュアルも収載されているそうです。
hp 35s ハイエンド関数電卓 【並行輸入品】


nice!(0)  コメント(0) 

#4165 水道水フッ素化合物汚染:フッ素配合歯磨き剤は大丈夫か? Jan. 12, 2020 [8. 時事評論]

<最終更新情報>
1/13 12:20 計算単位の変換にミスがあったので修正した。

 東京都の水道水、多摩川水系の地下水(府中市、国立市、国分寺市)がフッ素化合物で汚染されているというニュースが10日に流れた。
 有機フッ素化合物のPFOAPFOS二種類の化学物質で汚染されている。

*https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20200110-00158395
-------------------------------------------------

 PFOS(ピーフォス)は残留性有機汚染物質について定められた「ストックホルム条約」で国際的に製造・使用が制限されている。

 PFOA(ピーフォア)はWHO(世界保健機関)の外部機関が、発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーは既に自主的に使用を廃止している。

 都福祉保健局は昨年1月、横田基地に近い4カ所の井戸で両物質の濃度を調査。このうち立川市にある井戸で両物質合わせて1340ナノグラム武蔵村山市にある井戸で同143ナノグラムを検出した。
----------------------------------------------------

https://www.asahi.com/articles/ASMDT4S65MDTUUPI006.html

----------------------------------------------------
 PFOAでは米国で数千ナノグラムなど極めて高い濃度の水を飲んだ人たちの健康調査から、精巣がんや腎臓がん、潰瘍(かいよう)性大腸炎など6疾病のリスクを高める可能性があると指摘された 

-------------------------------------------------

<フッ素配合の歯磨き剤を使うのは危険>
 わたしはフッ素配合の歯磨きペースト、サンスター「GUM procare 100g」とライオン「クリニカADVANTAGE 60g」の二種類を毎日使っている。もう半年ぐらいたつが、虫歯の予防には効き目がある。スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で、胃の全摘手術のあと、食事の回数が6回に増えたのと、ヨーグルトとお菓子や果物を頻繁に食べるために口内環境が健常人に比べて悪化する。次々に虫歯になった。それが、昨年6月からこの歯磨き剤を使い始めてから、状態が改善された。
 歯磨きした後で、口を漱(すす)がない。そのほうがフッ素が口中に残って効き目が高いからだが、口を漱ぐ場合に比べて口内にフッ素がたくさん残る、残るから効き目が強いのだと思う。理由はフッ素が毒物だから、有害菌の繁殖が抑えられるということかもしれぬ。しかも神経毒、脳機能にも影響が出る。
*#4026 眼科受診:白内障術前検査小話 July 4, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-07-04
**サンスタープロケア
https://jp.sunstargum.com/procare/special/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=care_c
***ライオンプロケア
https://www.lion.co.jp/ja/products/1



****フッ素は毒物「水道民営化で日本もフッ素を飲まされることになるかも」
https://ameblo.jp/sannriku/entry-12423012005.html

 どちらも許可最大限の1450ppmの濃度である、使う量は歯ブラシの上に1㏄程度だから1gよりは少し多いと思う。絶対量を考えると、身体へ入る量はたかが知れているとは効能書きを見て思うのだが、自分で計算して確認してみたほうがよさそうだ。35年前に住宅ローンを組むときにもそうした、返済のシミュレーションをして、年収の3倍未満の物件を探した。(笑)
 7割は歯を磨いた後に吐き出しているだろうから、3割が口内に残り、体内へ摂取されるとすると、
  1g×0.3×1450ppm=0.3/(1450/1,000,000)=435μg
1回当たりの体内への摂取量が435μg。一日2回だから、870μg/日(=0.00087g/日)である。
 米国の水道水の水質管理基準値は、次のようになっている。
米国は2016年、飲み水の水質管理の目安となる勧告値を両物質合計で1リットルあたり70ナノグラム(ナノは10億分の1)に設定。1日2リットルを70年飲んでも健康に影響がない値とされる

 一日当たりの摂取許容量は、70ng×2=140ng=0.14μgであるから、歯磨き剤で摂取する量は「米国飲料水基準値」のなんと6214倍となる。
 70年は25550日だから、0.14μg×25550=3577μg=0.003577g。70年間での摂取許容量は3577μgである。
 これだけ歯磨きでフッ素を体内に取り込むのにかかる日数は「3577μg/870(μg/day)=4.1日計算してギョッとした。歯磨き剤に混入する許可基準値が甘すぎるのではないか?わずか、4日で70年間の許容量に匹敵する、こんなに高濃度のフッ素入り歯磨き剤をつかって口を漱がないというのは、とんでもない危険な行為ということになる。
 この濃度は、歯磨きをした後に、うがいをすることを前提としてつくられたものだろう。口内に残留して体内へ取り込まれる量を3%くらいに考えたのではないだろうか。その前提で計算しても、41日間で米国飲用水基準の許容量に達し42日目でオーバーとなる。口を漱いでもとても危険、人体に有害なのだ。
 テレビ番組「ためしてガッテン」で、スェーデン式歯磨きとして、フッ素高濃度配合の歯磨き剤で、口を漱がないやり方を推奨していたが、とんでもない話だ。スタッフは自分て計算してみなかったのでしょう。
 若い人の場合は数十年使用することになるから、フッ素の高濃度配合歯磨き剤を使うときはリスクをよく考えて自分で判断したらいい、笑えない結論だ。 
 若い人たちはフッ素配合していない歯磨き剤を使うべきだ。もちろん、子どに毒物であるフッ素配合歯磨き剤は使ってはいけない。将来、遺伝子異常によるあらゆる病気を引き起こす種を植え付けるようなもの。

 6歳未満の子どもには使わないようにと注意書きがある。わたしは70歳の老人だから、発癌性があっても、長期に摂取することで身体に何か異常が起きても、それよりは虫歯予防が大事。胃がないからよく噛めないと、消化できず日常的に下痢を起こして、身体が衰弱する。フッ素で記憶障害も起きるとあるから、ますますボケるのではちと困る。もう買わないことにする。在庫が5本あるが、捨てることになる。
 フッ素化合物のPFOAやPFOSは自然界では分解できないという。身体に取り込み、排出し、そしてまた環境中から体に取り込む、こうして有機化合物のフッ素は永久に環境と人類の体内を駆け巡る。遺伝子を傷害すれば、癌は増えるし、どんな病気が起きるかわからない、人体実験さながらである。いろいろな種類のある癌抑制遺伝子が障害されたら、さまざまな癌を発症するだろう。遺伝子が障害されて起きる病気はわかっていないほうがずっと多い。とくに化学物質によって起きる遺伝子傷害と病気との関連は、これからの研究で判明するのだろう。
 わたしの周りで、いまふたり白血病にかかっている、二人とも70歳を過ぎている。とっても珍しい病気だったはずだが、なんだか不気味だね。人間が環境中にばらまいたさまざまな化学物質がイニシエータ(発がんの過程で決定的な役割を果たす物質)として作用しているのではないか。寿命が延びたから、癌が増えたと主張する学者もいそうだ、癌は老化現象の一つでもあるからだ。

 こどもたちのほうが、ずっとこうした化学物質に感受性が高い成長期の生物は細胞分裂が激しいから、その際に遺伝子がコピーされて細胞が分裂する。そのときに遺伝子が化学物質で影響を受けて、違う塩基に置き換わり、本来もっていた機能が失われる


 フッ素化合物について、EPA(米国環境保護局)はその使用に警告を発している。テフロンは焦げつかないようにフライパンに使われている、さまざまな調理器具もテフロン加工されたものが多い。スコッチガードはさまざまな用途の防水スプレーに使用されている。狭い玄関内で、衣類や靴にスコッチガードなどの防水スプレーを使うのはやめよう。フッ素をガスで直接吸い込むことになる。環境中に放出されたら自然環境では分解されないから、広い場所でもダメだ。便利なものには危険が潜んでいることを知ろう。
*フッ素の害についての解説サイト
https://truthofsick.com/109/

 フッ素単離の歴史を垣間見ると、如何に危険な物質であるかが分かろうというもの。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/フッ素

 フッ素に地下水汚染で、思い出すのは福島第一原発メルトダウンで飛散した放射生物質(広島型原爆30発)のことだ。汚染表土の除去は住宅地については行われた。汚染土は黒いキャスクに詰められて広大な面積に野積みされたままである。一部は破れたら、地下水を汚染するか、雨水と一緒に流れて河川水を汚染してしまう。管理がたいへんだろう。
 福島県は森林面積が大きい、森林に降り注いだ放射生物質は除去をあきらめたから、地下に浸透して、帯水層まで到達する。フッ素汚染と同様のメカニズムで、原子力発電所のメルトダウン、爆発事故から放出された莫大な量の放射生物質が福島県の地下水を汚染しているであろうことは想像に難くない数百年にわたって地下水が使えないものになってしまっているのではないか

<余談:計算> 高校生用の計算
 指数を使うと計算が簡便になるので、プログラマブル科学技術用計算機「HP 35s」を使ってやってみる。高校生諸君は手書きしてやってみてください。「化学」の授業でお馴染みの単位込みの計算方式です。
 ppm=10^-6
 ng=10^-9(g)

 1g×0.3×1450ppm×2回/day=1×0.3×1450×10^-6×2(g/day)=8.7×10^-4(g/day)
 70n(g/L)×2(L)×70年(=25550日)=3.570×10^-3(g)
 3.570×10^-3(g) / 8.7×10^-4(g/day)=4.103 (day)

  こういう風にやると、単位変換ミスも計算ミスも起きない。

 HP 35s(1万円ぐらい)には複素数の演算機能が標準装備されているので、数Ⅲの複素数の計算に便利である。1978年にHP67(1978年当時11万円)とHP97(プリンタ付き、当時22万円)をはじめてつかったが、複素演算機能は数学パックにその機能があった。いまは標準機能としてついている。HP社のプログラマブル科学技術計機を使い始めてから42年目か、5台目だ、時のたつのは速いもの。6台目を買うことはないだろう。(笑)

 高校生諸君で数学に好奇心の強い人は、正月のお小遣いが残っていたら、買ったらいい。
 HP-67とHP-97は産業用エレクトロニクス専門輸入商社「関商事(後に社名変更しセキテクノトロン、2010年ころ上場廃止、吸収合併された)の2代目社長の関周さんが、中途入社1か月後にプレゼントしてくれたもの。自社の経営分析と経営改善案作成のために電卓を叩いて一日中統計計算しているわたしを見かねて、米国出張のついでに買ってきてくれました。入社1か月後にHP-67を、2か月後にプリンタ付きのHP-97を。うれしかった。付属の英文マニュアルは2冊(昨日の解説とプログラミング解説書)、それぞれ400頁ほどありましたが、1週間で読み切って、仕事でつかってました。初めてのプログラミング体験、一日中電卓叩いていたのが、プログラミングすると30分仕事、しかも入力データのチェックだけでいいので、計算精度はアップし、かかる時間も1/20に短縮、浮いた時間を経営改善案(財務構造と収益構造の改善案)を練ることに使えました。3年後には、売上高営業利益率が15%アップして43%になりました。財務構造も内部留保が増えて、格段に安定しました。営業の生産性を上げることもポイントの一つでした。

HP35s動画
https://www.bing.com/videos/search?q=hp35s&view=detail&mid=7FE8597CD31E029E00EC7FE8597CD31E029E00EC&FORM=VIRE


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

#4164 二十一世紀の十字軍遠征:トランプ大統領 Jan. 8, 2020 [8. 時事評論]

 イランがイラク駐留米軍に十数発のミサイルを発射したというニュースが流れている。
 バグダッドでドローンからのミサイル発射でソレイマニ司令官を殺害されたイランの最初の報復攻撃がなされた。
 テレビ報道によれば、宗教指導者のハメネイ師は、米国大統領トランプに米軍基地攻撃を事前通知したという。その基地の中にはソレイマニ司令官を殺したドローンが飛び立ったアサド基地が含まれている。明確な理由をもった攻撃、そして事前通告、賢明な判断である。ハメネイには戦争拡大の意思がなさそうである。

 イスラム世界とキリスト教国の戦争は900年間続いている。第一回十字軍遠征は1095年である。キリスト教国が異教徒の国々に対して戦争を仕掛けた最初がこれだ。以来ずっと戦争し続け、やむことがない。
 18世紀、帝国主義の時代になって、キリスト教国がイスラム教国を植民地支配、それもキリスト教徒対イスラム教徒の戦いとみることができる。根が深いのである。

 ユダヤの神はヤハウェ―、キリスト教の神は造物主、イスラム教の神はアッラーである。どれも天地創造の神だから、名前は宗教によって違えど、同じ神を奉戴している。そして異教徒は悪魔であるからお互いに殲滅の対象となる。
 神の啓示(神の言葉)をいただく啓典宗教だから、それには絶対服従しなければならない。異教徒の抹殺はまさに啓示(神の言葉)である。モーゼの十戒を解説したサイトのURLを記しておく。
https://biz.trans-suite.jp/23354

 これら三つの宗教はもともと仲がそう悪くはなかった。同じ天地創造の神を信仰しているのだから、親戚筋の感覚があった時代もある。それが決定的に壊れたのは十字軍の遠征が始まってからだろう。信仰を広めるという口実で、異教徒を殺戮するか改宗させて、領土を自分の版図に組み入れる、キリスト教徒は千年間そういうことをやってきても一向に改まらない。これからさらに千年間お互いに殺戮を続けるのだろうか。唯一絶対神の啓典宗教というのは厄介である。

 じつは日本にも天地創造の神々がいらっしゃる。『古事記』冒頭には次のように書かれてある。
天地初発之時、於高天原成神名、天之御中主神次高御産巣日神次神産巣日神。此三柱神者、並独神成坐而、隠身也。

 三人の神様が天地(あめつち)をお創りになった、この三柱の神々は天地をお創りになるとすぐにお隠れに「隠身也」なり、二度と出てきません。役割を終えると出てこないのです。だから、日本には天地創造神の言葉はありません、言葉を発する間もなく役目をはたして消え去ります。次々とそれぞれの役割を付与された神様が生み出されて行きます。そうして八百万の神々が日本列島にあふれかえることになりました。野にも山にも川にも海にも神様がいらっしゃいます。
 啓典宗教では神は独り神で、唯一絶対者でもありますから、神の言葉は守らなければなりません。石に刻まれたモーゼの十戒がそれです。神は唯一絶対者ですから、他の宗教の神は神ではありません、偽神=悪魔ということになります。その神=悪魔の信徒は殲滅の対象です。信仰が深ければ深いほど、他の宗教への寛容性がなくなります。だからキリスト教原理主義の米国が先頭に立って戦っているのでしょう。ISもイスラム原理主義、両者がぶつかるのは当然です。ユダヤ教の国のイスラエル、キリスト教原理主義の国の米国、そしてイスラム教の国々、啓典宗教のある限り、宗教をめぐる殺戮は絶えないのかもしれません。

 同じ天地創造の神でも日本だけはちょっと違うことがお判りいただけたのではないでしょうか。他の宗教の神様が神であっても何ら不都合がありません。仏陀が天皇の垂迹であるという説まででてきます。神道と仏教は容易に習合してしまいます。キリスト教が日本でたくさんの人に信仰されたら、同じことが神道とキリスト教の間にも起きたでしょう。

 啓典宗教はそうはいきません、熾烈な争いになります。キリスト教原理主義の国の大統領トランプがイランのソレイマニ司令官をイラク首都近郊で殺害したことは、十字軍がイスラム教国に踏み込んで異教徒の重要人物を殺戮した図になっています。当然反撃がある。キリスト教国が米国だけではないように、イスラム教国もイランだけではない。英国やフランスがイランの司令官殺害に米国支持を早々と表明しています。米国寄りだったはずのあのサウジが今回は沈黙しています。注目すべき変化です。
 日本はキリスト教国ではありませんから、米国大統領のトランプを支持する必要はないでしょう、むしろこの宗教戦争から距離を置くべきですが、経済構造が複雑に絡み合っているので、すっきりした態度はとれません。巻き込まれそうです。

 エスカレーション(戦争拡大)すれば、日本への原油供給に支障が出ます。8割を中東産原油に依存している日本は、中東産原油がとまれば経済活動が麻痺します。電力不足、自動車の燃料不足、暖房用燃料不足、そしてそれらのコストの急激な上昇、甚大な被害がでるのは日本です。米国はシェールオイルがあるから、自前でやれますから中東産原油がとまっても影響ありません。

 ホルムズ海峡でタンカーが沈められたら、引揚そして除去するまで数か月間原油の輸送が途絶えるでしょう。狙いは50万トンクラスの巨大タンカーですから、ドローンや巡航ミサイルでやれば簡単に沈められます、そしてイランはそういうドローンも巡航ミサイルももっています。米軍が使用したドローンが故障不時着して、技術をコピーしているので、性能はいい。最近、サウジの油田にイラン製ドローンや巡航ミサイルで一斉攻撃*がありましたが、米国のミサイル防衛システムはまったく機能しませんでした。サウジは困り果てているでしょう。イランがその気になれば、サウジの大油田すべてを機能マヒさせることができます。米国製のミサイル防衛機構が対処できないということがすでに実証済みということ。だから、サウジは今回の紛争から距離を置かざるを得ません。イランの攻撃が怖くて米国支持は出さないでしょう。原油輸出がとまれば、サウジの経済も現政権も崩壊しかねません。
*https://www.msn.com/ja-jp/news/world/ソレイマニ将軍殺害の無人機、その実力と未来/ar-BBYNkxg
昨年9月には、イラン関与の疑いがあるイエメンの反政府勢力フーシが、20機以上の自爆型無人攻撃機および巡航ミサイルを使用して、サウジアラビアの石油施設を攻撃、大きな被害を出した


 エスカレーションしたら、日本の株価は暴落します。株を大量に抱え込んでいる日銀やGPIF(年金基金)は大やけど、GPIFだけでも十数兆円単位の巨額の評価損をだしてしまいます。たとえば、年金支払い2割減、日銀は債務超過となります。中央銀行の債務超過は前代未聞のできごとですから、その瀬戸際、日本はいまたいへんな潜在危機下にあります。
*#3415 年金積立金運用報告書を読む④  Sep. 18, 2016
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2016-09-18


 安倍総理は頭を抱えているでしょう、打つ手がありません。唯一、すぐに決断したのは予定されていた中東訪問をやめたということ。自分の命が危ないし、いま中東(サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーンの三か国)訪問しても外交的な成果は期待できません。右往左往するだけ、下手なことを言おうものならとんでもない窮地に追い込まれます。触らぬ神に祟りなしを決め込んだのでしょう。でも、ホルムズ海峡手前まで自衛隊派遣決定しておきながら、自分は逃げるという姿勢には批判が巻き起こっています。こういう危機的な状況下では人間の器がもろに出ますね。

 やってはいけないことをやり続けた日銀とGPIFも打つ手なし、日銀黒田総裁もただ祈るだけ。
 日銀とGPIFは株式保有を減らさなければいけませんね。日経平均が1万円に下がってもやっておけば、有事の際の被害がずっと小さくて済みます。

 わたしたち極東の町に住む者は冬の灯油の値上がりが120円/L(現在90円/L)ぐらいでとまることを祈ります、モノ(原油)が入ってこなくなったら、根室の冬はたいへんです。体調崩してお年寄りや子供が命を落とします。

 米国が反撃しなければ、事態は何とかおさまります。
 さて、そういう叡智と決断力がトランプ大統領にあるでしょうか。

<余談>
 日本経済はなぜこんなにも脆弱になったのでしょう。GPIFに保有資産の半分も株を購入させたり、日銀総裁を黒田氏に変えて、異次元の低金利と株価維持のために上場株の購入を誘導したことにもよりますが、実はもっと根が深い。
 株式評価は以前の会計基準では低価法でした。「低価法というのは時価か取得原価のいずれか低い方」を帳簿価格とするというものですから、100円で百万株購入すれば1億円ですが、株価が1000円になっても帳簿価格を1億円のままにしておけました。経営不振で損害が出たときに売却すれば、利益が9億円計上出来て、損失をカバーできます。日本の会社はお互いに株の持ち合いをして、莫大な含み益があったのです。それが日本企業の強みでした、米国はそこを切り崩そうと、時価評価法導入を要求してきました。日本の会計基準を米国基準に変更しろということ。

 低価法のままなら、日本の株式会社は莫大な含み資産を有していて、数年間大きな赤字を計上してもびくともしません。それが時価法なったおかげで、業績が安定しないので持ち合い株を放出することになりました。外資は、時価法導入のお陰で、持ち合い解消で放出された大量の日本企業の株を安値で取得できました。いまでは日本の会社の上場株式の4割ほどが外資になっています。その一方で、日本の会社は株で持っていた含み益を失い、経営基盤が脆弱になったのです。
 このように米国は長期戦略で日本の企業の脆弱化を狙って着々と手を打ってきたのです。まんまとそれに乗ってきたのが小泉政権でした。ジャパン売りです。
 低価法から時価法への株式評価に関する会計基準の変更が、日本企業の経営者の行動と日本経済に甚大な悪影響を与えたということです。後の祭りです、米国にしてやられましたね。長期戦略で追い詰められて負けたのは2度目です。いつになったら、日本人は敗戦から学ぶのでしょう。

<追記>1/9 22時
 イランがイラクの米軍基地にミサイルを撃ち込んだが、人的被害が出ないように事前予告していた。もちろん予告があったので基地の高官は退避していた。攻撃は精確に予定していた建物を破壊した。
 トランプ大統領は攻撃があれば52か所を爆撃すると警告していたが、イランの意を組んで、人的被害がないので反撃をとりやめた。イランは経済的な事情で戦争できない状態のようだ。
 ことがおさまったので、安倍総理は中東歴訪中止をとりやめ、歴訪を予定通りすることに決めたという。あっち見て、こっち見て、自分の身が安全だと確認出来たので、外遊する。



nice!(0)  コメント(0) 

#4163 統合型リゾートをめぐる議論 Jan. 6, 2020 [8. 時事評論]

<最終更新情報>
1/7朝8:30 過剰富裕化論追記

 中国企業「500ドットコム」が、IR(統合型リゾート)事業進出のために国会議員におカネをばらまいた容疑で関係者が取り調べを受けている。ルスツがその舞台だそうだが、ここはIRの候補地としてはもう消えた。政治主導で候補地は、大阪(維新)と横浜(菅官房長官)に絞られている。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「約2千万円もらっているir三羽烏の議員がいる」秋元容疑者が逮捕前に語る-便宜供与リスト30議員/ar-BBYDBgI?ocid=spartanntp
-------------------------------------
 東京地検特捜部が衆院議員らを事情聴取していたことが判明した。100万円の提供を受けたと指摘されているのは、前防衛相の岩屋毅氏(自民、大分3区)、中村裕之氏(自民、北海道4区)、船橋利実氏(自民、比例北海道)、宮崎政久氏(自民、比例九州)の4人と元郵政担当相の下地幹郎氏(日本維新の会、比例九州)だ。5人はIR誘致を表明している、北海道、九州、沖縄から選出されている。
-------------------------------------

 年間売上が1500億円予定されているようだから、この事業の誘致に百億円程度のお金が動いても不思議ではない。中国系企業はおカネのわたしかたを知らなかっただけだろう。米国系カジノ資本だってきっと同様の活動はしていますよ。強力な法律事務所がいて上手にお金を投じているから、贈収賄疑惑が浮上しないだけ。こういう点は中国企業はこれからスキルを磨くべきだね。


 どういうお金のわたし方があり、活動があるかの一例を、例の「桜を見る会」問題の一方の当事者であるジャパンライフが教えてくれている。朝日新聞の政治部長に顧問料として3000万円支払っていた。顧問契約を結んでお金を支払っている。金銭に対する対価は知れたことだが、契約書上は大義名分が書かれているのだろう。お金に弱いのは政治家だけではない、かようにマスコミも簡単に買収される。朝日新聞社政治部長だけではない、官僚にも支払われていた。合計1億4000万円だそうだ。桜を見る会が問題にならなければバレなかったのだろう。新聞の論調すらお金しだいの世の中です。資本主義社会が欲望を抑えきれずに進化すると拝金主義社会となるのかもしれない。
 サピエンスは自我本能を抑え無限に肥大化する欲望にブレーキを掛けなければいけない段階に突入したようで、経済学もその原理を変更しなければならない、つまり経済学の公理とは何かを問い、それを変えるということ。弊ブログカテゴリー「資本論と21世紀の経済学(初版)(32)」と「資本論と21世紀の経済学(2版)(26)」で詳述した。馬場宏二先生の「過剰富裕化論」も生産力の無制限な発展が地球の生態系を破壊し、人類の生存を脅かすことに言及していた。
*http://www.zakzak.co.jp/soc/news/191219/dom1912190008-n1.html

 経営の観点から見ると統合型リゾートというのはカジノそのもので、カジノを外したらいわゆる「統合型リゾート」の経営は成り立ちませんそれゆえ、経営の観点から見ると、面積の97%を占めるショッピングモールや国際会議場やホテルはカジノのおまけのようなもの。おまけを大きくして、本質を隠す、うまい手です。事象を反対側から見ると、不採算の大型リゾート施設の赤字を穴埋めしてなお余りあるだけ、カジノは儲かるということ。
 施設の面積割合で判断するとこの事業の本質を見誤ります。利害を離れて経営構造という視点から数字をみる必要があります。
 北方領土の「2島返還」というのと一緒です。如何にも半分返還されるように響くでしょ、大嘘です。残りの2島(国後島と択捉島)の面積は北方領土全体の93%です。「2島返還論」正しくは「7%返還論」というべき。

 ありのままを堂々と主張すればいいのです。競馬・競輪・競艇・パチンコがすでにあります、そこにカジノが加わってなぜいけないのかと。お客の少ないショッピングモール、ほとんど利用されない赤字の国際会議場、そして割安な豪華ホテル、どれも採算が合わなくても維持します、カジノの儲けでカバーします、カジノの客の80%は地元住民の皆様を予定しています、そう正直に言えばいい。

 パチンコ業界は警察生活安全課の有力な天下り先(機器製造メーカ、カード会社)、IRも関係省庁の天下り先になります。IR事業誘致は
あらたな利権の争奪戦なのです。利権争奪戦から外れて、おこぼれにあずかれない野党が反対するのは当然です、メリットがありませんから。思い出すのは消費税増税、選挙のときには反対してましたが、政権獲ったとたんに意見が180度変わりました。事業見直しのコストカットだけでは財政再建が無理だとわかったからでしょう。無知と経験不足からでた変節でした。嘘をつくつもりはなかったが、無知と経験不足を思い知らされました。あれ以降、何を言おうが信用されません。人のうわさは75日、そうは問屋が卸さないケースもあるということ。学びはときに痛みを伴います。投票した国民も。
 政権は変わっても、なんだかあの頃の民主党政権となにやらちっとも変らない、嘘ばかりに見えます。モリ・カケ問題では記録の改竄してもオーライ、「桜を見る会」では「記録はない」、それで通るのですから。


 さて、本題に戻りましょう。正直こそが最善の道、堂々と主張したらいい、それでだめならIRはいらないのです、いけませんかね?



にほんブログ村

新資本主義論―視角転換の経済学

新資本主義論―視角転換の経済学

  • 作者: 馬場 宏二
  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 1997/06
  • メディア: ハードカバー

nice!(0)  コメント(0)