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#4166 高2の生徒がようやく数Ⅲをはじめた:複素平面の不思議 Jan. 15, 2020 [51. 数学のセンス]

 シリウス数Bはとっくに終わり、『シリウス数Ⅱ』の最後の章「微積分のまとめ」をやっている。入試問題が並んでいるから今の実力では手ごわい問題がある。ちょうど30頁だ。問題集自体は数Ⅱだけで277頁、解答集は557頁もある大部なもの。教科書もやらずに、この問題集に載っている解説を自分で読み、そして問題を解くという方式で、中1のときからずっとやってきた。普通の生徒にこの問題集をいきなりやらせるのは無理、高校生になったときに進研模試で数学の全国偏差値が75以上でないと無理、初めてのケースなのである。すっかり慣れちゃって、いまではへっちゃら。鍛えてみるものだ。
 ところで、シリウスシリーズの数学には数Ⅲは微分積分と極限の問題集しかないので、青チャート数Ⅲに切り換えた。今日が最初の授業、複素平面である。
 いつもは説明なしで、例題を読ませて独力でやらせるのだが、複素平面はまったく新しい分野なので、概念を押さえておいた方が、見通しがよくなるので、10分ほど解説した。
 複素平面は実軸と虚軸で構成され、実数と同じように座標平面上で複素数の加減乗除や累乗計算が可能だ。そして極座標形式で「r(cosΘ+isinΘ)」でも表現できる。座標の掛け算は、偏角Θの加算となる(つまり、回転となる)ことを、実際の数値でやらせてみた。
 (cosπ/3+isinπ/3)の累乗計算を指数を2、3、4、5、6、7と変えてやらせた。
 (1/2+√3/2)^nがn=7のときにもとに戻る。

  プログラマブル科学技術計算用計算機のHP35sは複素数の演算機能が標準装備しているので、次の計算は簡単にできる。
  (cosπ/3+isinπ/3)^6=1.000E0i1.623E-12
  1.623E-12=1.623×10^-12だから、12個ゼロが並んだ後に1.623だからゼロです、計算精度の関係で端数がでます。
  (cosπ/3+isinπ/3)^7=5.000E-1i8.6660E-12(=1/2+√3/2i)


 掛け算が偏角の加算になる。これ自体が、新鮮な驚きだろう。ガウス平面上の点の割り算が、偏角Θの引き算になることは容易に推察がつく。指数関数によく似ている。
 複素平面(ガウス平面)は数学者&物理学者のガウスの考案になるものだが、これができてからまだ200年に過ぎない、数学の分野としては微積分のついで新しい。ここから実数の世界は複素数の世界の特殊な分野ということになる。マックスウェルの電気磁気学では複素平面が問題になるらしいが、わたしは門外漢だ。
 四則演算も累乗計算も微分・積分も、複素数という拡張された世界では、いくぶん趣を異にする。とくに関数で複素平面Uから複素平面Wへの対応を考えると、四次元となるので、グラフの概形図を書いて理解した手法がお釈迦になる。途方に暮れる理数系の学生がどっと出るが、複素関数は実数の世界よりもはるかに面白いのである。ある種の計算は、複素数でやった方が簡単になる場合もある。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/カール・フリードリヒ・ガウス

 ついでだから、オイラーの有名な公式も黒板に書いた。
 e^iΘ=cosΘ+isinΘ
 これにΘ=πを代入して計算。
 e^iπ=cosπ+isinπ=-1+0i=-1 (π⇒パイ)
 「あ!」と生徒が声をあげた。
  e^iπ=-1
 ネイピア数のeとπは代表的な超越数であり、どちらも無限級数であらわせるが、残念ながら高校数学の範囲ではない。それらが虚数単位のiと結びつくことで、シンプルなマイナス1になってしまう。
 「シンプルで美しいだろう?」
 「はい、美しいと思います」

 こういうところで感動できる者は幸せだ。(笑)

*超越数
https://mathtrain.jp/transcendental

 見通しがよくなっただろうから、あとは、ひたすら、問題を解いてもらう。ときどき質問に応えるだけでいい。こうして、昨日の授業で、数Ⅲに突入した。問題量がシリウスに比べると20%ほどしかないので、消化速度は大きくなる、夏休み前に全問題解き終えることができるかもしれない。本人はもう少し早く終えるつもりのようだが、甘くないよ。(笑)
 数Ⅱと数Bはたっぷり、過剰なくらい難易度の高い問題をこなしたから、数Ⅲで数Ⅱや数Bとの難易度の高い複合問題があったときにも、消化速度が落ちないだろう。

 今日は晴れの予報なのに、ひさしぶりに朝から雪が舞っている、羽毛のようにふんわりした雪である。
 札幌雪祭りは6000台のトラックで遠くの山中から雪を運んでいる。輸送に携わっている自衛隊のみなさんご苦労様。夕張の雪まつりは中止を余儀なくされたよし、とっても雪の少ない冬だ。

<余談:河合塾冬期講習生徒の感想>

 件の生徒は、河合塾の冬期講習を札幌まで行って受けた。化学の授業が素晴らしかったと絶賛していた。物理もそれに次いでいた様子。根室にああいう風に化学を教えてくれる先生がいたら、根室高校生の化学の学力が上がるだろうに、と感想を述べていた。大手進学塾の先生は指導法をよく研究している。
 数学は一番上のクラスではなくて2番目を受けたらしい。取り上げられてた問題が簡単すぎてつまらなかったと言っていた。英語は一番上のクラス、夏期講習のときの先生とは違う人で「英語は構文だ」なんてことはおっしゃらない。事前に予習していったから、よく理解できたという。受験問題から長文をピックアップして解説した授業だった。根室の塾でやっている長文トレーニングと似たような解説だったらしい。英語の文は、「後ろのものは前のものの補足説明」になっていると大西泰斗先生のような解説をしながらの授業だったという。わたしもよくやる。必要な範囲で生成変形文法も解説に利用している。長文は東大入試英語過去問からの採録が多かったそうだ。慶応大学医学部の過去問も、要するにそういうレベルが冬期特訓問題。「ここはwouldが省略されているから、補って読もう、気がついた人はいるかな?」なんて、まるで同じ解説をしたらしい。広い教室にたった8人の受講生だったらしい。
 河合塾の自習室は食事をしながらできる、ラウンジスタイルの部屋、飲食物禁止の部屋といくつもあって、便利この上なしという感想。さすが大手予備校、設備が整っている。空調もしっかり利いていて、居心地がよかったとのこと。春休みに行く人は参考にしたらいい。
 ハラリのSapiensを読み始めてから、読解スキルが上がってきているので、英文の見え方が変化している様子。いままで、文法・語法問題でできるかできないかの境目がはっきりしなかったのが、ラインが見えるようになってきたと報告があった。文法・語法問題は授業で採り上げていないが、読解に慣れれば、自然に上がる部分がある。




問題量が多すぎます(笑)

シリウスシリーズ 数学
https://www.ikushin.co.jp/shuppan/index.php?mode=detail&bi=150

青チャート
https://www.amazon.co.jp/チャート式基礎からの数学3―新課程-チャート研究所/dp/4410105558

*https://www.youtube.com/watch?v=Xz0L9GzQpQI

<HP35s>
https://www.amazon.co.jp/HP-35S-B12-35s-ハイエンド関数電卓-【並行輸入品】/dp/B004A0XHH4/ref=pd_sbs_229_img_0/355-0195408-8402464?_encoding=UTF8&pd_rd_i=B004A0XHH4&pd_rd_r=8c391177-0ac4-47ae-ac6d-36e7604fc0fa&pd_rd_w=my0ut&pd_rd_wg=L3cUu&pf_rd_p=ca22fd73-0f1e-4b39-9917-c84a20b3f3a8&pf_rd_r=EKKFYYMCK251XBV17ZBF&psc=1&refRID=EKKFYYMCK251XBV17ZBF

 amazonには7400円で載っています、安い!
 CDマニュアルが付属していて、それに日本語マニュアルも収載されているそうです。
hp 35s ハイエンド関数電卓 【並行輸入品】


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