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#4172 Sapiens: p.17, 18, 19 Jan. 26, 2020 [44-3. 原書講読講座 Sapiens]

 取り上げたい箇所は3か所ありますが、高校生対象にメール配信方式での英作文トレーニングを先々週から始めたことや、2020年版での『青チャート数Ⅲ』の複巣数平面が平成26年度版よりも30ページほど増え、複素平面幾何の問題がかなり増えているので、全部解くのに数日忙しく、ブログで遊んでいる時間がありません。決算と税務申告書作成も今週中にやることになりそうです。
 そんなわけで、最重要な一箇所だけの紹介になります。暇になったときにまとめて紹介したいとは思ってます。本文に印はつけてありますから。

 以下、"Sapiens" 19頁第3段落から引用。

<19.3>  Whichever way it happend, the Neanderthals (and the other human species) pose one of history's greater what ifs.  Imagine how things might have turned out had the Nenaderthals or Denisovans survived alongside Homo Sapiens.  Whatokind of cultures, societies and politeica structures would have emerged in a world where several different human speicies coexisted?

 
 ’what ifs’が辞書に載っていないというので、’what if’について解説をした。’what if’はこれで一つの単語だと解釈してもらいたい、その複数形です。
 会社の経営計画でさまざまな’what if’、つまり’what ifs’頻繁に使ってきました。’what if question’とは、たとえば、臨床検査会社で、人的生産性向上3倍にするような業務システムと検査システムを構築したら、売上、売上総利益、営業利益はどうなるだろう、というようなの「Aすれば(Aしたら)、Bはどうなる?」というもの。
 42年も前のことだが、産業用エレクトロニクスの輸入商社で、営業マンが注文してから1年先の納期にになる製品の仕入価格や為替相場を想定して一日の半分くらい見積書作成作業に追われているので、それを毎日見ていて何とかしようという東京営業課長の遠藤さんが円定価システムで自動化したら、何とかなりそうだ、ebisuさん一緒にやってくれないかと、中途入社まだ1年のわたしに相談を持ち掛けてきた。営業課長で営業事務のやり方、生産性アップを常日頃から考えているだけでなく、社内でもいつもトップセールスでした。わたしが知っている営業マンでは彼が最高でした。SRLの営業部門にはこんな優秀な人はいませんでしたね。数は10倍近くいましたが…。「30分だけ飲みに行こう」と誘ってくれるのですが、必ずハシゴで、終電に乗れないこともありました。5時まで飲んで、酒が抜けず、午前中はトイレで数回吐いて仕事なんて無茶もしてました。そんな日でも人形町の「芳梅」のおかゆランチを食べたら、「エンちゃん」とまた飲みに行きたくなります。いいコンビでした。「独立起業しよう」と誘われたことがありました。米国メーカの日本法人設立の動きがあって、遠藤さんに白羽の矢が立った。断ったら、かれは独立しませんでした。彼が社長でわたしが副社長、強い営業マンと経営に秀でたわたしのコンビ、面白い会社ができたでしょうね。好い奴です、エンちゃんどうしてるかな。
 営業マンは理系の大卒と国立高専が3人、その営業マンの人的生産性が2倍に上がるから、同じ人数で倍の売り上げ達成化可能だし、営業マンが一人一人計算していた見積価格は会社の利益政策で設定・管理できる。28%しかない粗利益率を40%にコントロールできるなんてことを、酒を飲みながら話して、翌日から具体案を考えた。問題は仕入レートと、注文してから数か月からい年後に輸入される世界最先端の商品の支払い時の決済レートには為替変動で差異が生ずる、それを消せなければ、会社の業績は為替変動の波に足元をすくわれる。うまい方法を考案した。バルクで為替予約をすることを思いついた。円定価レートと仕入レートをリンクさせて、バルクで為替予約をしてしまえばいい。90%が予測範囲内に収まれば、為替差損の発生は消滅し、日米金利差で為替差益が必ず出せる。お客様にも予算を採って発注時に円定価で注文できるから、実際に入荷したときに為替レートがいくらになっていようが関係なしということになる。お客様が予算をとるときに金額が決められるので、担当者も都合がいい。それで、懸案だった納期管理システムを立ち上げて、円定価システムと連動させた。社内での為替管理業務は不要になった。3年間で見事に高収益会社となり、財務体質も大幅に改善できた。その後、この会社は上場することになる。そして約30年後に上場廃止、他社へ吸収合併されている。
(初代社長はスタンフォードでHP社創業者のヒューレットやパッカードと同期の友人、2代目は慶応大学大学院経済学研究科卒、わたしはこの人の下で20代後半から34歳まで仕事した。3代目が1年浪人して東大へ合格した後で辞めたので、3代目はあったことがない。会社を辞めて、1か月後にオービックのS沢SEから電話をもらった。やめたことを知って電話してくれたのだ。輸入商社専用の統合システムパッケージを開発するので、オービックに来ないかと誘われたが、その時はもうSRLへ転職していたので、お断りした。十数年前にオービックの役員をみたら、開発担当役員S沢さんの名前があった。5年間一緒にいくつかのシステム開発をしたので、かれと仕事することでシステム開発技術を学んだ。対等で仕事したかったので専門書を30冊ほど読んだ。彼は当時、事務系システム開発では、オービックトップのSE。最後の1年間は日本電気情報サービスの高島SEと仕事した。社長の関さんが、大口取引先だったNECに、コンピュータを三菱からNECに切り換えることを条件に、統合システム開発なので日本電気にトップクラスのSE派遣を要求した。それで来たのが日本電気情報サービスの高島さんだった。S沢さんとはやりかたが違ったので、いくつか新しい方式を学べた。統合システムは簿記・売上債権管理、為替管理、仕入・納期管理業務、円定価システムなどの専門知識と、実務設計力を必要とした。仕様書はプログラミン儀仕様書レベルで外部設計をしている。プログラミングは必要に応じて5年間で3言語マスターした。)
 こうして、仕入レート(仕入時の外貨換算レート)を自動計算し、必要な為替予約をすることで、為替差損発生が消滅しました。たった3年間で、円高・円安に翻弄されて、赤字ギリギリの低空飛行だった会社が高収益会社に化けました。ようするに「こうしたら・ああすれば」が’what if quetion’。「タラ・レバ」と訳したっていい。
 そういう'what if'が2個以上あれば'what ifs'となる。こんなにビビッドで具体的な解説は、極東の町の塾でないと聴けません。(笑)
 問題はアンダーライン部分である。O君、この文は仮定法ではないか、それも倒置だと主張した。hadは使役かとわたしは考えたのだが、’might have turned out’があるのと、直前の文に'what ifs'がある。O君が正解です。

「どちらが起きたにせよ、ネアンデルタール(とそれ以外の人類種)は歴史上の大きなファット・イフ・クエッション(たら・れば)を提起している」
 
 わかりやすいようにこの仮定法過去完了の文を、倒置をほどいた文に書き直してみる

 ①Imagine how things might have turned out
 ②the Nenaderthals or Denisovans had
survived alongside Homo Sapiens.

 turn out: ...になる、進行する
 どの辞書にも、'turn out' の最初の項目には「~わかる」が載っていますが、それではいけません。電子辞書は、こういう時にスクロールしなければみれません。紙の辞書だと全部視野に入りますから、圧倒的にサーチしやすいのです。このあたりでも、電子辞書を使うか紙の辞書を使うかで、学習の深さに差が出てきます。電子辞書は発音が耳で確認できるので便利ですが、一覧性がないという弱点もある。臨機応変に両方使って、自分で比較したらいかが? 


 このように二つに切って、間にカンマを入れ、倒置しない文で書いてくれたら読みやすいのだが、主節と条件節の順序が入れ替わっているうえに、条件節の主語が倒置されてhadとsurvivedの間に挟んであるので、難易度が上がっている。こういうのを文法工程指数の高い文章という。こういうレベルの本を1冊読めば、慣れます。なぜ、主節と条件節をカンマで区切らなかったのか、あるいはなぜ倒置法を使ったのかを考えてみるのは一興です。わかりやすい文にはなりますが、幼稚に見えます。だから修辞法にこだわったのでしょう。区切りのカンマを外したら、倒置しないと"might have turn out Neanderthals or Denisovans had survived alongside Homo Sapiens" となって、Neanderthals以下がturn outの目的語に見えてしまいます。そこまでが主語に見えてしまうからではないでしょうか。hadを倒置して先頭にもって来ることで、読み手にサインを送った、そうわたしは解釈します。

「実際はどうだったにせよ、ネアンデルタール人(と他の人類種)は歴史にまつわる「もし」のうちでも屈指のものを提起する。もし、ネアンデルタール人かデニソワ人がホモ・サピエンスとともに生き延びていたら、どうなっていただろう?いくつか異なる人類種が共存する世界では、どのような文化、社会、政治機構が誕生していただろう?」柴田訳

 O君は英語の特殊な構文を解説した参考書を一冊読んだらしい。そこに仮定法の倒置の例が載っていた、どんぴしゃりの文で、河合塾の冬季特訓でやった東大過去問レベルの文と喜んでいた。

 ところで、二つ前の段落に次のような文がある。
"One possibility is that Homo sapiens drove the to extinction."(一つの可能性はホモ・サピエンスがネアンデルタール人やデニソワ人たちを絶滅に追いやったということ)、
 そしてひとつ前の段落の"Another possibility is that competition for resources flared up into violene and genocide"(別の可能性として、資源をめぐる競争が高じて暴力や大量虐殺につながったことも考えられる)が、あって、冒頭に掲げた段落が続いている。O君、段落が離れたところにあった"one possibility"と "another possibility"もちゃんとつなげて考え、段落ごとのロジックを読んでいた。余裕が出てきたのか、慣れてきたのか、生徒の成長を感じた瞬間である、うれしいものです。こうして生徒たちは「勝手に育っていく」のです。わたしは、なんにも「教導」しません。(笑)

<サンドイッチ法>
 文章を文脈の中でロジカルに解釈していくと、自然に正解に行きつきます。直前に合った'what ifs'との関連と、直後の文を読むと、書いていることがはっきりわかります。"サンドイッチ読み"すれば判断できる場合が多い。それでもダメな場合は、文法工程指数の高い句構造や節構造をシンプルセンテンスに分解すればいいのです。だから意味不明な個所があっても構わず先を読み進むことが大事です。先を読み進んでサンドイッチ読みする習慣をつけましょう。共通一次試験のリーディング対策として、効果の高い技です。
 日本語の本なら、文庫本や新書版を百冊以上読んだ人なら誰でも、そういう読み方をしているでしょう。当たり前のことを当たり前にできるようになることで、英文読みのスキルは嫌っていうほど上がります。だから、正攻法でいいのです。 

<余談:仮定法の基礎
 仮定法を忘れた読者もいるのではないかと、意味の違いが比較できるように並べておきます。
 1.それやれるよ(潜在的可能性:現在形)
   I can do that.
 2.それできなかった(過去形)
     I couldn't do that.
 3.もっとお金があれば、できるかもしれない。(実際にはおカネがなくてできない⇒反実仮想:仮定法現在)
     If I had much money, I could do that.
 4.できたかもしれない(やればなんとかできたのに実際にはあのときはあれができなかった:仮定法過去完了)
     I could have done that.
 
 4番目は軽い後悔の念を伴うことが多いことはおわかりでしょう。助動詞のwouldやcouldやmightが使われますが、それぞれ、話者や書き手の気持ちを表現しています。could haveは「クッダヴ」と発音しましょう。


<英作文トレーニング実施中!>
 これが最近忙しい理由の一つです。英作文は高校2年生だけ、週4日×5題=20題問題を作ってメールで配信中。やってきたのをチェックして、生徒の学力に応じた解説をしている。あんなに英語にアレルギーがあってやろうとしなかったのに食いつきがいいので、こちらもうれしい。
 高1は問題数を少なくしている。まだテスト段階、生徒たちの学力に応じた英作文問題を開発中(笑)
 ニムオロ塾長は走りながら考える。不可能そうに見える仕事も、それで全部やり切ってきました。必要なものをやりながら補充していきます。

<走りながら考える:具体例>
 たいがい、1年あるいは数年前から、好奇心の赴くままに専門書を読んで学んできたことが重要な役割を果たす難易度の高い仕事が回ってくるようなめぐりあわせが何度かありました。マルチな専門分野をもっておくこと、そしてそれを好奇心のままにつねに拡大していくことが人生を切り拓くためには大事なことのようです。

 ついでだから、書きます。
 第一段階:簿記・会計学・原価計算
 第二段階:理論経済学(経済学の基礎的概念とその体系構築との関係に関する研究)
 第三段階:統合システム開発技術と世界最先端のマイクロ波計測器、外国為替の専門知識、経営分析の専門知識
 第四段階:臨床検査に関する専門知識、臨床検査試薬開発に関する医学専門知識

 こんな感じで、専門分野を増やしてきました。数学と英語はさまざまな専門書を読むためになくてはならぬ基礎スキルでした。
 第一段階は高校時代、第2段階は学部(商学部会計学科)と大学院、第3段階は産業用エレクトロニクスの輸入専門商社の6年間で、最後は臨床検査業最大手のSRLでの16年間。臨床検査項目の日本標準コードを大手6社と臨床病理学会項目コード検討委員会の櫻林郁之助教授との産学共同プロジェクトを発案、マネージメントできたのは、そうしたさまざまな専門知識があってのことでした。臨床検査コード標準化プロジェクトは1985年か86年に書いた『臨床診断システム支援事業』の10個のプロジェクトの一つにすぎません。全国の大学病院や著名な専門病院をネットワークでつなぐつもりでした。血液疾患のような診断手順が複雑な病気は専門医育成に役に立ちます。病理もそうです。グレーゾーンの病理標本を数十万単位で収集してデータ解析することで、自動判定可能になるし、そういうデータで繰り返し判読して診断精度を急激にアップできます。つまり、いくつかの分野では専門医育成にこの事業で蓄積したデータが絶大な威力を発揮することになります。いまなら、あの構想が実現可能です、コンピュータも通信速度もとっくに要件を満たしてます。どこかであの構想を1000億円で買ってくれないかな?数十兆円のビジネスになりますよ。わたしが一部分だけマネジメントしてもいい、大きいプロジェクトは人材確保とキックオフの仕方が大切ですから。SRL創業社長の藤田さん、即座に経営会議にかけて1週間でgoサインだしてくれました。フィジビリティ・スタディと事業化の目途をつけるために、とりあえず200億円使っていい。(笑)
 創業社長の藤田さんは医者です、小児科の医師。次の社長は近藤さんでした、この方も医師ですが、厚生省の技官になって、臨床はやらずじまい。どちらの社長も重要な仕事を任せてくれました、恵まれてましたね。高度な経営分析スキルと統合システム開発スキルがあった上に、検査現場を熟知していたので、臨床検査会社の買収も2件担当して、そのうちの1社に先方からの要求で経営改善を目的の役員出向もした。近藤さんには帝人との臨床治験検査受託及び治験データ管理合弁会社の経営を任せてくれました。赤字解消と資本買取による合弁解消そして帝人臨床検査子会社(羽村ラボ)の買収という、面白そうな仕事を、3年間の期限付きで引き受けました。全部やりましたよ。3年かからなかった。楽しめました。だから藤田さんと近藤さんに感謝。平社員だって、トップの理解があれば、そして複数の専門分野をもち、仕事の実績があれば何でもできますよ。
 いま、この臨床検査項目コードは全国の病院でもれなく使われてます。病院のコンピュータにはすべて採用されてますから、わが町の市立根室病院も主治医のところのO医院も例外ではありません。利用者側には見えません、コンピュータ・システムの中で標準項目コードに自動変換されてやりとりしてます。2年に一度保険点数の改定があるたびに、日本標準検査項目コード管理の事務局になっているSRLがテーブルをネットにアップして、それを各病院が取り込んで使っているのでしょう。SRLは業界最大手ですから、こういう無償の仕事もやるべきで、社会的責任があります。だから、高収益会社である必要があります。社会的責任を担うにはコストをカバーできる利益がなければいけません。企業は儲けなければ存在価値なしですが、儲けること、利益追求が自己目的になったらアウトです。だから、数百年前から、日本の企業は次のような商売道徳を大切にしてきました。
売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし
 日本企業は昔から、アクセル(儲けましょ)とブレーキ(商業道徳)のついた車だったんです。最近、そうではない経営者が日本にもはびこるようになりました。カルロス・ゴーンが日本の経営者の貪欲な欲望の堰を切ってしまった。せめて日本の企業だけは、ちゃんとやろうよ、そう言いたい。日本が世界に商業倫理の範を示したらいい。日本が世界中に輸出すべきものは日本企業が生産する品質の高い製品に非ず、それを支えてきた「商いの倫理」です、人間は動物本能を抑止しなければならない、若い人たちに期待してます。いつかどこかで、このブログを読んだあなたのお役に立ちますように。






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