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#4123 根室の中3の数学・学力の現状とその波紋 Nov. 14, 2019 [71.データに基づく教育論議]

<最終更新情報>
11/16朝9時 

 #4122「学力テスト総合B学校別比較データ:釧路管内8校と根室管内6校」で根室の中3の学力がどの程度か触れた。北海道14支庁管内で根室管内が最低で、さらにその根室管内で根室市の中学校が最底辺に位置していることがわかった。釧路根室管内では別海中央中を除く根室管内の中学校が最底辺を構成しているから、中標津町・羅臼町・標津町・根室市は共通の問題を抱えていそうである。別海町を含めた1市4町の首長は根室管内で「学力アップ合同チーム」をスタートさせるべきだと書いた。教育が劣化すれば、根室管内はそれぞれが急激に衰退の道をたどることは火を見るよりも明らかだろう。
 根室の2中学校の学力テスト総合Bの数学の得点分布データの下のほうを紹介する。

        <階層別数学得点分布表>
  10点以下 15点以下 U10% U15% 人数
柏陵 33 41 50.8% 63.1% 65
啓雲 19 26 45.2% 61.9% 42
合計 52 67 48.6% 62.6% 107
根室 104 133 48.6% 62.6% 213



 根室市の中3の人数データは次のサイトから平成30年度の中2の人数が令和元年の中3の人数に該当するので、そこから拾った。
*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/chosa/gakkou-i/2018gakkou-i.htm

 背景色が青の部分は、2校の得点階層別割合のほうから、根室市内全体の得点分布人数を逆算した。

 北海道教育委員会のほうのデータでは柏陵は73人、啓雲は51人となっているから、学力テスト総合Bの数学の未受験者が柏陵8人、啓雲9人いたことになる。2人くらいなら転校ということも考えられるが、これは未受験、あるいは不登校と考えたほうがいいのだろう。特別学級の生徒が受験していないのかもしれない。不登校と特別学級の人数がそんなに多いのか?
 「U10%」というのは「10点以下の得点層」を百分率で表示している。「U15%」も同様である。

 2校合計で52人(48.6%)が10点以下、67人(62.6%)が15点以下である。生徒の3人に2人が百点満点換算値で25点以下というのが根室の中学生の現状の学力である。
 学力テストは「標準問題」であり、実際に根室高校が実施しているのは「学校裁量問題」で難易度が少し高い。その学校裁量問題ですら東京都立高校の問題と比べると難易度は低い。

 さて、15点以下の生徒は裁量問題入試で何点獲れるだろう?
 
今年3月の入試問題を例にとると、「大問1」の「問1」が簡単な因数分解問題、「問2」は作図問題、それ以降は文章題であるから、得点可能なのは「大問1」の「問1」、配点は3点である。標準問題は計算問題と作図問題であり、21点配点されている。学力テストは標準問題であり、15点以下の生徒はほとんどが「大問1」で得点しており、「大問2」以降の文章題は手を付けていない。
 学校裁量問題には標準問題の「大問1」がないから、そのまま入試を迎えたら、133人が3点以下になるということ。それぞれの大問の「問1」は簡単な問題だから、そこを集中的にやれば10点くらいは133人のうちの3人に1人はとれるようになると仮定しよう。すると、入試本番で裁量問題で3点以下は89人ということになる。根室高校以外への進学者数を20人、商業科と事務情報科に45人とする、そのうちの10人くらいは数学ができるから、普通科受験者120のうちの54人(45%)が学校裁量問題数学で3点以下ということ。この学力層には数Ⅱ履修は無理だと言わざるを得ない数ⅠAですら標準的な難易度の教科書で教えることはとても無理こういう学力レベルの生徒が、数学が苦手のまま3年間放置され続けているのである
 数学が得意だと言える45点以上は2校で1人、50点以上はゼロである。30点以上は11人(6+5)のみ、10.2%しかいない。「成績上位層の枯渇化現象」とはこういうことを言う。

 根室高校は昨年度から数Ⅱを選択科目にした。今年は選択者を昨年より絞り込んでいる様子。つい一月前に生徒と面談して学力の低い生徒に数Ⅱを選択しないように先生たちが強く勧めた背景にはこういう中学生の学力低下がある
 1年生の数学は学力別に5段階編成である。最上位がガンマクラス
 ●「ガンマ1
 ●「ガンマ2
特設コースのクラス、A組の35人が該当している。その下に、
 ●「ベータ1
 ●「ベータ2
 ●「アルファ1
 ●「アルファ2
という6クラスの学力別クラス編成になっている。

 アルファ・クラスは学力から判断して数Ⅱの履修は無理と判断しているのだろう。悲しいことだがわたしもそう思う。週に3時間放課後補習すれば救えるだろうが、部活とバッティングするから、実施がむずかしい。部活していない生徒だけでも救ってやれないものか。教えるのに手間はかかるし、根気がいる、たいへんな仕事になる。アルファクラスには、あきらめきって勉強する気のない生徒が3割くらい含まれているだろう。現状は「ベーシック数学」を選択させて、切り捨てゴメン。数Ⅱをやらないことで以前の根室西高校よりも学習内容が貧弱になる。基礎部分だけでも数Ⅱをやったほうがいい。
 数Bが選択科目に戻ってしまっているが、2クラスのうち下のほうのクラスでは数列の章の数学的帰納法を端折ってしまった。現代数学の証明法として、高校数学の証明問題では最重要であるはずなのに、端折る、どういうつもりだろう?
 高校統廃合が学力データを無視して普通科選択制にしたので、試行錯誤が3年間続いた。そして現実的でかつ不可解なところへ落ち着こうとしている。「普通科科目選択制」この方式での統廃合は以前の2校体制に比べて、生徒の学力の劣化を加速している
 
 根室高校普通科で数Ⅱが選択科目になったことはない。高校普通科卒業して数Ⅱを学んでいないなんて、採用する企業側から見たら詐欺同然である。根室高校普通科は根室ではブランドだったが、そうではなくなったということ。15年前の根室高校普通科の学力の生徒は普通科120人中30人ほどしかいない。そう、特設コースの35人の中にもこぼれる学力の者がいるということ。15年前の根室高校普通科卒の学力と同等の生徒を採用したい企業は特設コースに在籍した生徒から選ぶということになるだろう。

 数学の学力低下と語彙力の低下の同時進行は、一部の生徒に脳の発達障害を引き起こしつつあるのではないか?
 
小学校低学年で国語が週に9時間配当されているのに、音読授業を一切していないから、語彙力が増えないだけでなく、本をスラスラ読めない児童書(乳歯レベル)から、大人の本(永久歯レベル)への橋渡しが家庭でも学校教育でもなされていないことと、新聞や本のほとんどにルビがついていないことが、子どもたちを本から遠ざける原因になっています。そしてスマホやゲームへの熱中で本を読まなくなっているから、ますます本を読みこなすスキルが育たない。中学生になって授業で「形容詞は名詞をしゅうしょくする」と国語や英語の先生が授業中に説明したとしよう。生徒の何割かは「就職」の字を思い浮かべて意味がさっぱり分からないということになる。「修飾」という漢字が脳内に即座に思い浮かばなければ意味がつかめない。その前後の説明も文脈上意味不明となる。語彙力が乏しいと中学校の授業も高校の授業も理解できない。

 語彙力が貧弱なことによる読解力の著しい低下と数学の文章題の読解ができないことはどこかでつながっている。「読み・書き・そろばん」の読みの段階に瑕(キズ)があれば、「書き」もアウトだ。
 語彙力は3歳くらいで爆発的に伸びた後、小学生低学年でも高学年でもトレーニングの場さえ与えてやればいくらでも豊かになる。ここいら辺りで決定的な語彙力格差がついてしまう。豊かな語彙をもって中学生になった生徒は、放っておいても文章読解スキルが高いので、興味をもった分野の本はすらすら読めるし、数学の文章題だって容易にその意味するところが読み取れる
 小中でそういう機会のなかった生徒は、語彙が増える旬の時期を逃すことになり、脳は言葉で考えるから、脳の健全な発達が阻害されることになる。
 小中高で語彙力を増やさなかった生徒たちは、社会人になって本をたくさん読むようになるなんてことは、奇跡に近い。仕事に必要な専門書も、資格取得に必要な専門書も読んでも意味が分からぬということになる
 語彙は旬の時期に増やすのがいい語彙力の豊かな者はその豊かな袋から言葉を取り出して、より深く考えることができる

 小学生低学年でルビ付きのテクストの音読トレーニングをすべきだ。江戸時代の寺子屋では論語の素読を5歳から始めた。先生が一文ずつ読むと生徒が真似て続けて一斉に読む。ルビが振ってある斉藤孝の音読破シリーズ6冊がテクストとしていい。ぜひ、小学校で採り上げて、国語の時間に音読トレーニングしてもらいたい。
 市教委はこのシリーズ6冊を、根室市内の小学生の子どもたちへ配布してもらいたい。中学生へも配布してもれえたら、なおありがたい。

 ニムオロ塾では希望者にだけ週1回音読トレーニングをしている。

*#4122 学力テスト総合B学校別比較データ:釧路管内8校と根室管内6校
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-11-13

<どんなにひどいかこのグラフを見てください>
 小学校6年生と中学3年生を比べてみてください。中学3年間でひどく学力が落ちるのが根室管内の特徴です。
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#4122 学力テスト総合B学校別比較データ:釧路管内8校と根室管内6校  Nov. 13, 2019 [71.データに基づく教育論議]

<最終更新情報>
11/16朝9時 根室管内2校データ追加(中春別と計根別)

 根室管内の教育関係者のみなさん、このような学力テストの比較データを公表しているところはありませんので、しっかりご覧ください。
 10月に実施された学力テスト総合Bのデータを、釧路管内と根室管内に分けて公開します。学力テスト総合Bは18校でしたが、今回入手できたのは14校です。釧路管内の上位四校(阿寒中・白糠中・遠矢中・鳥取中)が抜けているので、平均点が影響を受けています(=低くなっている)。
 残念なことに釧路根室管内で、根室の柏陵中が下から3番目、啓雲中がビリです。総合Aでは柏陵中が18校中ビリ、啓雲中が下から2番目でした。中標津中が前回よりも10.7点下がったためです。
 なお、根室市立光洋中学校はデータが入手できませんでした。

<釧路管内> 合計 国語 社会 数学 理科 英語 前回
幣舞中 148.8 34.4 32.9 23.7 31.1 26.7 153.8
景雲中 137.0 31.6 29.6 19.3 30.5 26.0  
美原中 134.4 32.2 31.3 18.4 29.6 22.9 134.2
大楽毛中 132.4 33.0 28.3 19.5 27.7 23.9 136.7
鳥取西中 129.6 33.5 25.9 19.5 26.7 24.0 135.1
富原中 127.9 32.6 27.4 15.5 24.9 27.5  
青陵中 125.6 31.6 27.5 16.6 26.6 23.3  
共栄中 123.9 31.8 26.6 17.7 24.1 23.7 124.8
平均値 132.5 32.6 28.7 18.8 27.7 24.8  


<根室管内> 合計 国語 社会 数学 理科 英語 前回
別海中央 127.2 30.9 34.3 17.2 23.1 21.7 142.6
広陵中 118.9 29.8 26.9 16.4 24.4 21.4 120.8
標津中 112.6 28.8 28.5 13.5 21.7 20.1 118.5
柏陵中 109.0 31.1 24.9 13.3 18.9 20.8 108.8
中標津中 107.1 32.2 23.5 14.5 20.4 16.5 117.8
啓雲中 106.6 27.9 24.4 14.4 20.9 19.0 111.5
平均値 113.6 30.1 27.1 14.9 21.6 19.9  


 五科目合計平均点を比べると、差は18.9点(釧路管内-根室管内)である。とくに数学(18.8-14.9=3.9)と英語(24.8-19.9=4.9)と理科(27.7-21.6=6.1)の点差が大きい。数学の根室管内の平均点が14.9点、百点満点に換算すると25点だということ。この平均点は異常値に見える、どういう教育の結果なのか小学校にさかのぼってしっかり分析すべきだ。

 これら3科目が釧路と根室でなぜこんなに点差が開いているのか、根室管内のそれぞれの教育委員会はしっかり分析する必要があるだろう。数値分析なしに、有効な学力向上を目的として教育政策は立案できないし、政策の効果の検証もできぬ。

 全国学力調査結果では、根室管内の中学生が全道最低であった。総合Aデータのある学校だけの五科目合計点の増減をみると、釧路管内は総合Aに比べて3.1点ダウン、根室管内は6.4点ダウンしている。
 根室の市街化地域の2校が下位グループである。中標津中学が柏陵中と啓雲中の間に割り込んできた。標津中と柏陵中と中標津中と啓雲中は団子状態で、釧路・根室管内の最下位グループを形成している。120点で切ってみると、別海中央中を除いた根室管内5校のみ。データを収集できた釧路管内の公立中学校で120点を切ったところはない。

 何がどのように問題なのかは、以下の二つの弊ブログ記事の詳述したので、そちらをご覧いただきたい。教育は、地域経済の未来を左右する。子どもたちの学力の低下は、時間をおいて地域経済の衰退を招く。大半の子どもたちは根室高校を卒業してから、都会へ進学しそこで職を得て戻ってこないのだが、1割程度の学力上位の子どもたちを除いて、就職でとっても苦労することになる。多くが非正規雇用で都会の底辺で生きていくしかなくなる。かわいそうではないか。
 学力低下を放置してきた市教委、歴代根室市教育長、根室市長は、これまでの教育政策のどこが間違っていたのか、この10年間市街化地域の中学校3校で実施されてきた全道標準学力テストデータを分析して、有効な教育政策を作成すべきではないのかね。市街化地域の3校には過去10年分のデータならたぶんあるよ。貴重なデータを先生たちが捨てるわけがない。データに基づかぬいい加減な教育政策はもう卒業してください。

 学力が北海道で一番低いというのは根室管内共通の問題だから、点数が一番高かった別海町も含めて、1市4町の首長は「1市4町学力向上チーム」を組織して、毎月データ分析と具体策の検討をして、検討過程をそれぞれの自治体のホームページ上で公表したら如何?
 教育関係機関だけで閉鎖的にやっても効果のないことはこの十年間の子どもたちの学力低下を見たらわかる。オープンな議論が必要です。

 根室管内の中3の数学の平均点が異常値だと書いたが、具体的に何が起きているのか根室の事例を次回紹介する。中学生の数学能力の劣化は根室高校の数学授業編成にまで影響を及ぼしている。日本語語彙力低下と車の両輪をなしているから知能の発達にすら影響があるのではないかとわたしは疑っている。脳には著しく発達する旬の時期があるが、それを逃している生徒が多いように見える。一生、未発達なまま暮らすことになればその暮らしぶりは想像がつく。
 この地の学校教育が脳の健全な発達を阻害していると仮定すると、残念ながらこの地の学校教育(を含めた教育体制全体、それゆえ、家庭教育や私塾も含めて)に脳の発達に対する阻害罪が成立しそうである。もちろんそういう法律はないから、関係者は一人も罰せられることはなく、子どもたちの三人に一人は深刻なダメージを受けたまま、根室の外でそして社会の底辺で暮らすことになる。かわいそうではないか。
 
*#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11


 #4113 学力崩壊の実態:学力テスト総合B途中集計 Oct. 25, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-25


 #4119 全国学力調査の現実:根室は14支庁管内最低 Nov. 9, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-11-07-1




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<11/16根室管内2校追加>
<根室管内> 合計A 国語 社会 数学 理科 英語 前回
中春別中 137.2 37.9 27.6 22.0 26.8 22.9 146.1
計根別中 130.5 34.5 28.9 16.8 27 23.3 131.9
別海中央 127.2 30.9 34.3 17.2 23.1 21.7 142.6
広陵中 118.9 29.8 26.9 16.4 24.4 21.4 120.8
標津中 112.6 28.8 28.5 13.5 21.7 20.1 118.5
柏陵中 109.0 31.1 24.9 13.3 18.9 20.8 108.8
中標津中 107.1 32.2 23.5 14.5 20.4 16.5 117.8
啓雲中 106.6 27.9 24.4 14.4 20.9 19.0 111.5
平均値 118.6 31.6 27.4 16.0 22.9 20.7  


中標津町立計根別学園中3生徒数は13人
*https://kenebetu-gakuen.blogspot.com/p/blog-page_15.html

中春別中は32人

 中標津中122人、中標津広陵中111人、別海中央が79人、根室市立柏陵中73人…。
 生徒数30人に上の学校に絞るか、加重平均値で計算したほうがよさそうであるが、私の手元には根室市の2校以外に受験者数データがない。


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#4119 全国学力調査の現実:根室は14支庁管内最低 Nov. 9, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 全国学力調査の結果が出ました。
 釧路のMさんがさきほどFB上にこういう学力不等式を書いてくれました。
  別海町>中標津町・標津町>根室市≒羅臼町
 この事実を根室の方に知って欲しいものです…。

  全道の公立中学校で実施されているふだんの学力テストの結果も同じです。弊ブログ#4099にアップしてある釧路根室管内18校・学力テスト総合A比較データをご覧ください。釧路根室管内の公立中学校別の学力比較ができる貴重なデータです。根室市教委も学校の先生たちも見たことがないとってもとっても貴重なデータです。

 根室は小学生の算数と中学生国語と数学が全道14支庁管内で最下位です。小学生国語と中学生英語はビリから2番目、全科目が全道平均を大幅に下回っています。これほど学力が低いと根室の小中学校で教えている先生たちの士気にも影響しています。どうせ効果がほとんどないだろうから本業の授業スキルの向上はあきらめて、部活指導に熱心になるという風に。根室市の市街化地域の小学校と中学校で学力崩壊現象が起きていると判断すべきです。小中学校の学力崩壊はすでに根室高校へも及んでいます。地域全体の子どもたちの学力崩壊現象が起きています。
 北海道14支庁管内で最低の学力であることが全国学力調査結果でも明らか、こんなにひどいのに、根室市長も教育長も市教委も保護者も生徒たちもさっぱり危機感がない。教えている学校の先生にはきっと危機感がおありでしょう。

 釧路・根室管内では根室管内のほうがずっと学力が低いのです。その根室管内でも根室の市街化地域の2校がとくに酷い。中標津中や広陵中のほうが根室市内の市街化地域の2校よりもいい。別海中央中は根室管内ではトップレベルです。根室管内の平均点を下げているのは根室の市街化地域の中学校です

 中3対象の学力テスト総合Aの結果が「#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019」に載っているので、論より証拠、ご覧ください。
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11


<釧路新聞記事>

画像に含まれている可能性があるもの:テキスト



 小6では根室管内の生徒の平均正答率は全道平均と比べると、国語-0.9、算数-4.1ですが、中学3年生になるとその差は国語-7.6、数学-8.5、英語-7.8とびっくりするほど大きくなっています。根室管内の子どもたちは中学3年間で著しい学力低下をきたしているということ高校統廃合の影響が大きいと思いますよ、単位制の普通科が、その地域の中学生の著しい学力低下を伴うことが証明されたのですから、北海道教育委員会は高校統廃合のしかたを考え直す必要があるでしょう。第2の根室を作らないでいただきたい。
 9月の学力テスト総合Aの18校比較データが弊ブログ#4099にありますが、それを見ると根室管内では根室市の中学生が一番学力が低い根室管内の平均正答率を下げているのは根室市部の中学生ということになります

 子どもたちの基礎学力は根室の町の未来に直結しています。釧路管内に比べて根室管内の子どもたちの学力が低く、さらにその学力の低い根室管内で根室の市街化地域の中学校が最低レベルのままでは、町の未来が明るくなろうはずがありません。
 根室市議のみなさんは子どもたちがとっくに学齢期を過ぎているでしょうが、教育に関心をもって発言してください。
 PTAのみなさんも発言してください。子どもたちの学力は下がり続けています、このままではいけない。

 根室の子どもたちは高校生にならないと全国模試での自分の偏差値を知りえない。中学生は根室市内での順位すら知りえないのである。市街化地域の3校も、40-70人程度の学内順位を得点通知票で知ることができるだけだ。郡部は一学年数人から十数人である。郡部校で学年順位は学力情報としては意味をなさぬ。権限をもつ大人が決断すれば、来月からでも簡単に改善できる。なぜやらぬ。

<教育環境の整備はできる>
 根室市教委が普段の学力テストデータをモニターして、市街化地域の3中学校の平均点と受験者数、市内全校の平均点と受験者数、100-0点まで1点刻みで根室市内の順位をホームページ上で公表してもらいたい。
 箇条書に列挙したほうがよさそうだ。
①市内全部学校を合わせた受験者数と平均点と標準偏差(科目別と五科目合計点)
②市街化地位の3校の受験者数と平均点と標準偏差(科目別と五科目合計点)
③百点から0点まで1点刻みでの市内の順位表と点数ごとの偏差値(科目別と五科目合計点)
 仕事は簡単です。各学校から個人名を除いたEXCELファイルでデータをもらって、加工すればいいだけ。手順は同じですから計算はEXCELないで自動化できます。それも面倒なら、市役所のシステム部門の担当者にプログラミングしてもらえばいいだけ。

 学内トップでも、市内では5番かもしれない。学内トップは各学校で競争相手がいないケースがある。郡部校は十数人では学内順位は人数が少なすぎて学力の判断材料にはなりえない。根室市内の平均点や順位がデータが毎回公表してあれば、市内でどれくらいの順位だと、全国レベルで偏差値60(上位16%)にあたるのか、偏差値50(平均点)にあたるのかが保護者や生徒たちにわかるようになってくる。根室市内に存在する学力判断データの地域格差を解消できる
 半分以上の生徒が全国レベルで偏差値40(成績下位16%)だとわかれば、まっとうな危機感がもてるだろう。全国レベルで偏差値40以下には非正規雇用で低賃金の単純労働しか就職先がありません。上場企業に就職できる可能性があるのは偏差値55以上(全国レベルで成績上位1/3、根室では10%程度)でしょうね。地方公務員試験なら、偏差値50超なら道庁あるいはコネがなくても根室市役所の就職試験に十分パスできる学力です。
 根室市教委がふだんの学力テストデータを収集して、整理、公開することは、この地域の低下し続ける子どもたちの学力を上げる方向に働く
 とくに、成績上位層にはどこまでやれば希望の大学に学力が届くのか、中学生のうちに判断できる強力な材料になる。教育に関心の高い教育行政が存在することが、根室へ赴任してくる人たちが安心して子どもを連れて赴任できるか否かの重要な判断材料となる
 そうした具体的な教育政策を提言して実行させることは、根室市議会文教厚生常任委員会のメンバーの仕事である。もちろん、根室市長に教育への関心があるなら、市教委と教育長へ指示したらいい。
 全国の市町村にある教育委員会でこんな仕事をしたところはないよ。全国に先駆けてやったらいい。教育改革の激震は根室から興そう。日は極東の町から昇る


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#4113 学力崩壊の実態:学力テスト総合B途中集計 Oct. 25, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 学力テスト総合Bのデータが12校分集まったので、管内別にアップする。釧路管内の上位5校のデータがまだ集まっていないので、釧路管内の平均値は最終的には140点前後となるだろう。

注:「合計A」は五科目の単純平均値、「合計B」は得点通知票記載の五科目合計平均点である。


<根室管内>
  合計A 合計B 国語 社会 数学 理科 英語
別海中央中 127.2 124.3 30.9 34.3 17.2 23.1 21.7
広陵中 118.9 119.5 29.8 26.9 16.4 24.4 21.4
柏陵中 109.0 108.8 31.1 24.9 13.3 18.9 20.8
中標津中 107.1 107.1 32.2 23.5 14.5 20.4 16.5
啓雲中 106.6 106.5 27.9 24.4 14.4 20.9 19.0
平均値 113.8 113.2 30.4 26.8 15.2 21.5 19.9


<釧路管内>
  合計A 合計B 国語 社会 数学 理科 英語
景雲中 137.0 136.7 31.6 29.6 19.3 30.5 26.0
美原中 134.4 134.4 32.2 31.3 18.4 29.6 22.9
大楽毛中 132.4 132.4 33.0 28.3 19.5 27.7 23.9
鳥取西中 129.6 129.5 33.5 25.9 19.5 26.7 24.0
富原中 127.9 127.9 32.6 27.4 15.5 24.9 27.5
青陵中 125.6 125.5 31.6 27.5 16.6 26.6 23.3
共栄中 123.9 123.9 31.8 26.6 17.7 24.1 23.7
平均値 130.1 130.0 32.3 28.1 18.1 27.2 24.5

 根室管内と釧路管内で、五科目合計点に17点の差がある。釧路管内は上位5校のデータがまだ入手できていないので、最終的には五科目合計点が140点付近、釧路・根室の管内平均点差は25点ほどになると思われる。

 五科目合計点の最下位は啓雲中、下位3校を啓雲中・中標津中・柏陵中の根室管内勢が占めた。これら3校に共通しているのは数学が15点以下ということ。釧路管内は18.1点、根室管内の平均は15.2点、2.9点の差がある。根室管内でも、別海中央中の五科目合計点は127.2点と高い。
 もう一つ特徴的なのは、英語の点数である。根室管内の平均は19.9点、釧路管内は24.5点、4.6点差がある。根室は釧路に比べて幼児英語教育の盛んな地域だが、英語の学力という点ではプラスに寄与しているようには見えない。

 柏陵中(63名)と啓雲中(42名)は合わせて、105名が学力テスト総合Bを受験しているが、そのうち5点(60点満点)以下は37名(=25+12)、35.2%を占めている。三人に一人の割合で5点以下である。根室高校の高校入試は裁量問題だから、「大問1」の簡単な計算問題20点ほどが出題されないから、これらの生徒が根室高校普通科を受験すれば入試数学は零点である。20点以下は83人(=50+33)、79.0%である。約8割の生徒が高校普通科の標準的な難易度の数学教科書で学ぶことは不可能である。そういう事情を背景に、現在の高2の生徒たちから、数Ⅱが選択科目となってしまった。高校統廃合後の一年間の指導の実態を踏まえて、根室高校の数学担当の先生たちが、必修科目だった数Ⅱを選択科目にせざるを得なくなったのだろう。学力下位層はさらに肥大化しているから、数Ⅱを選択できる生徒は激減することになる。最低でも30点以上なければ標準的な難易度の数Ⅱの授業は無理だ。2校で14人(=6+8)、13.3%しかいない。2年次の選択科目の数Bは数年前に必修科目としたことがあったが、普通科110人の生徒の15%と仮定しても、16人くらいしか受講学力のある生徒がいない。
 進研模試数学で50点(100点満点)獲れたら学年5番目で全国偏差値60、進研模試偏差値50前後で学年順位16番くらいだろう。公立高校普通科の全国平均点くらいが学力テスト30点以上の層へ食い込めるということになる。そういう生徒は15%しかいない。 

 英語は20点以下が69人(=42+27)、65.7%、おおよそ三人に二人が20点以下である。
 基本科目で一番大事なのは国語であるが、20点以下は30人(=18+12)、28.6%を占めている。四人に一人強は教科書を読んで理解できない、つまり、予習できない学力層である。語彙力不足で授業内容も理解できないだろう。日本人なのだから、国語の点数が30点以下の生徒が59人(=33+26)もいるのは驚きだ。学力の基礎は「読み・書き・そろばん(計算)」だが、大事な「読み・書き」に問題を抱えている生徒が半数を超えている。
 五科目合計点が80点以下は42人(=27+15)、40.0%を占める。この学力層の生徒たちは将来正規雇用の職に就くのがはなはだしく困難と思わざるを得ない。そのほとんどが非正規雇用で職を転々とせざるをえない。外国人の単純労働者と職を競うことになり低収入にあえぐ。

<対策>
 「読み・書き・そろばん(計算)」は学力の基礎をなしている。小学校低学年では国語授業に週9時間割り当てられており、先生たちは何をしたらよいのかと時間を持て余し気味だと聞く。『論語』の素読の1時間、夏目漱石『坊ちゃん』や太宰治や中島敦の小説などに1時間、短歌と俳句に1時間、合計週3時間を音読トレーニングに使ってもらいたい。ただ読むだけでいい。テクストにはルビが振ってあるものを選べば、小学1年生でも大丈夫だ。俳句と短歌は視写させて「小倉百人一首」からはじめたらいい。これを3年間続けたら、「読み・書き」の基礎がしっかり造れる。
 斉藤孝の音読破シリーズ6冊がお勧めである。この本はルビが振ってあるから、小学生低学年でも読める。音読トレーニングを通じて、日本人が大切にしてきた倫理観や仕事観がなんであるのか知ることができる。そこが一番肝心なところだ

 中標津町教委と根室市教委さん、子どもたちの学力低下は食い止めることができる。人材枯渇による地域経崩壊も防げる。地域の未来は子どもたちの教育にかかっている。 


<大人の責任>
 根室のそして根室管内の子どもたちの学力低下を放置しておいてはいけない。これはこの地域に住むわたしたち大人の責任である。

<地域連携の必要性>
 根室高校では進研模試を実施している。2年生になると任意の受験になる。WinStepという問題集がベネッセから出ている。進研模試対策用問題集で、何に3回実施されるのに合わせて3回分の薄い問題集が科目別にある。1冊400円だったかな、本屋で頼んだら、とれないという。学校経由でないと買えないようになっている。3年生が質問した問題は難易度が高い良問だった。塾でも使いたいが、現状では手に入れられない。根室に住む子どもたちの学力を上げるためにも、こういう問題集が買えるように根室高校のほうで協力してもらえたらありがたい。地域の学力崩壊を食い止めるために、そして学力を伸ばそうと頑張っている生徒たちのために、高校と私塾がこうした面での協力体制をつくることが必要と思う。

 20校程度のデータが集まると思うが、あと2週間くらいお待ちいただきたい。


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#4108 学力崩壊のメカニズム:学力テスト総合B柏陵中学校 Oct. 19, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 学力テスト総合Aは9月実施、柏陵中学校は釧路根室管内で入手できた18中学校では最下位だった。
*#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-11


 10月に実施された学力テスト総合Bの結果データは次のようになっている。
柏陵中 5教科 国語 社会 数学 理科 英語
総合A 107.3 36.6 23.0 15.8 17.6 15.8
総合B 108.8 31.1 24.9 13.3 18.9 20.8
B-A 1.5 -5.5 1.9 -2.5 1.3 5.0

 国語と数学が前回よりも下がっているが、これは両科目の問題の難易度が総合Aよりも高かったためだろう。高いと言っても、道内の公立中学校で実施されている学力テストは、問題の難易度が低い。

 各科目60点満点、五科目合計点は300点が満点である。
 国語は20点以下が65人中18名で、27.7%を占めている。四人に一人が20点以下だということ、この得点層は、授業を聴いても内容理解に支障が生じている学力層である。語彙力不足で、先生が使う語彙を頭の中で適切な漢字に変換できない。「形容詞は名詞をシュウショクする」と先生が言っても、「就職?」どこへ?ってな反応になる。適切な漢字に脳内で自動変換できなければ、意味は伝わらない。
 この層は本を読まない生徒層と重なっている。小学校低学年では週に9時間国語の時間が配当されている。先生たちは時間が多すぎて持て余し気味だと聞く。ぜひ、毎週3時間、ルビの振ってある良質の日本語の作品の音読トレーニングに充当していただきたい。ルビが振ってあれば、斉藤孝『音読破シリーズ・坊ちゃん』でも古典の朗読でもいい。『論語』でも『往生要集』の中からピックアップしてもよし、中島敦の重厚な語彙がふんだんに出てくる作品でもいい。意味は分からなくていいのである。ようするに、正確に速く読めたらいい。文学作品なら、声音を使い分けてやってみるのもいい、言葉が体になじんでくる、そして知っている語彙数が数倍に増える。

<学力崩壊のメカニズム>
 数学が13点というのは2002年に東京から戻ってきて、11月に小さな私塾を開いてから、2度目に見た平均点だ。2017年に啓雲中学校の学力テスト総合Bの数学の平均点が13.3だった、弊ブログ#3630に書いてある。同じ年(2017年)の学力テスト総合Cの数学の平均点は10.9点、これがこの十数年間で最低記録だろう。今回の柏陵中学校の13.3点はおそらく釧路根室管内の18校中最低。まだ、5校しか集まっていないので、集まり次第アップする。
 5点以下が25人、38.5%もいる。三人に一人は5点以下ということ。入試は裁量問題だから、得点源で20点ほど配点されている「大問1」は出題されないから、5点以下の生徒たちは全員0点となる。20点以下は50人いて、76.9%を占める。定員割れで根室高校へは全入だから、生徒たちは来春から高校1年生だ。20点以下では、普通科の標準的な難易度の教科書は理解できない。四人に3人は数学の授業についていけない。だから、今年の2年生から、数Ⅱは選択科目になっている。来年は数Ⅱと数Bを選択する人数がさらに減りそうだ。点数の低い生徒へ数Ⅱを選択しないように「科目選択指導」を強めている。どうやら根室高校の数学担当の先生たちは匙(さじ)を投げたのだ。この学力低下と数Ⅱ選択科目化は何を意味するのだろう?根室高校普通科の生徒の半分以上がかつての根室西高校と同等かそれ以下となるということだ。廃校になった根室西高校では、数Ⅱ授業は必修科目でやっていたのではないか。根室高校では1年生の選択科目である数Aを2年生でやっていた。根室高校普通科卒業生の半数は2年後から、数学に関しては根室西高校生の学力以下ということになるだろう。選択科目となって新登場するのは「ベーシック数学」だそうだ。生徒たちの話では、中学数学の復習程度の内容だという。先生たちがそう説明しているのだろう。根室高校では、いま来年度の科目選択調整をしている。
 数Bを選択する数学力を仮に学力テスト35点以上とすると、65人中3人しかいない。根室市内全体でも15人前後だろう。35-40点はゼロ人、41-45点が2人、45-50点が一人である。50点以上がいない。50点以上がいないのがあたりまえになってきた。

 五科目合計点の学年トップは261-280点の間に一人、次が221-240点の階層に1人、201-220点の階層が4人いる。201点以上の得点は6人である。成績上位層が枯渇しつつある。五科目合計点が80点以下は27人、41.5%を占めている。60点以下に絞ると18人、27.7%である。四人に一人強が60点以下。
 こんなに成績下位層が膨らんでしまったのは、根室西高校が廃校になって3年がたち、成績下位層の生徒たちが「全入」であることを知ってしまったこと、そして根室高校で落第がないことを中学生が学習してしまったからだろう。学習意欲のない生徒が4割を超えてしまった。高校統廃合のしかたを間違えるととんでもない学力低下を引き起こしてしまう。わたしが古里に戻ってし私塾を開いてから16年たつが、この学校の一番よい時の五科目合計平均点は160点台であったいま100-110点の間であえいでいるように見える。昨年は100点を切ったことが数回あった

 学力の基礎をなすのは「読み・書き・そろばん(計算)」だから、国語と数学の得点が低いことは、それも釧路・根室管内で最低レベルということは由々しい問題である

 英語だけは問題の難易度が前回よりも下がったようで、5点アップしている。中標津広陵中は3.3点アップ、釧路市美原中は3.7アップ。18校平均値はこんなにアップしないだろうから、英語の地域間格差は少し縮んだらしい。それでも20点以下は31人、47.7%を占めている。英語が苦手の生徒には有効な対策が打たれていない。それは根室高校へ進学してからも変わらない。わたしは、英語が苦手な高校2年生5人に、毎週水曜日2時間の特訓補習授業を10回やっている、9回目が今週終わった。アレルギーはとれたようだ。英語の勉強を進んでするようになったから、いずれ効果は出てくるだろう。学校で同じことを放課後補習でやってくれたら、たくさんの英語が苦手の生徒たちを救える。小さな私塾が面倒みられる生徒数はたかが知れている。

 釧路で社会保険労務士事務所を運営し、明光義塾の教室5つを釧路と中標津で展開し、1年ほど前から「夕緋」という社名でイチゴ栽培事業を始めているM木さんは、五科目合計点が80点以下では、まともな職に就けないだろうと言っている。わたしも同じ意見である。理由は明快、上司の指示が理解できない、必要な資格がとれないからで、それではいくら人手不足になっても正規社員として雇われるのはむずかしい。非正規雇用で職を転々とせざるを得なくなる。子どもたちの将来にとっても、低学力化のこれほどの進行は脅威になる。非正規雇用から正規雇用に這いあがれなくなる。もちろん、地域の子どもたちの学力が下がると、そこから人材を採用している地元企業の体力も弱る、弱るだけならいいが、人材難からつぶれるところも多くなる。

 根室の大人のみなさん、子どもたちの低学力化の進行にもっと関心をもってもらいたい。
 教育講演会が二つ行われるので、ぜひ出かけてください。生徒たちも行って、大人の意見を聴いてみたらいい。

 #3630 学力テスト総合B:学力向上をどうやるか Oct.23, 2017
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2017-10-21-1


*#4107 教育講演会10/22・4時から市総合文化会館:鶴羽佳子 Oct. 19, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-19


**#4097 教育講演会開催10/28案内:大越拓也 Oct.8, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-08



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#4099 学力テスト総合A18校科目別データ Oct. 11, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 昨日(10/10)学力テスト総合Bが実施された。実質的には全道の標準学力テストだから、公立中学校3年生全校が参加している。
 前2回、総合Aのテスト結果をアップしてきたが、標津中学校のデータが入手できたのでご覧いただきたい。これだけ集めて、数値のチェックをしたら、計算の仕方に問題のある中学校が2校見つかったので、あとで論じたい。
 緑色は釧路管内、青色は根室管内、根室市内の2校は濃い青色で区別した。釧路管内の学校と根室管内の学校で、みごとに分かれましたね。
 根室の2校が最下位です。低学力、しかも学力の高くない北海道で、釧路根室管内で、最低レベルの学力水準ににある。最低レベルという事実をこういう学力テストデータでしっかり認識しないと、学力アップの有効な対策すら出てこないのです。根室市内のみなさん、そして教育関係者のみなさん、よくご覧ください。

  学校名 5教科A 5教科B 国語 社会 数学 理科 英語
1 幣舞 153.8 151.0 42.9 35.1 28.8 26.2 20.8
2 阿寒 153.2 153.2 44.4 33.1 23.2 28.6 23.9
3 中春別 146.1 146.1 45.0 30.8 25.7 23.8 20.8
4 白糠中 145.3 145.3 42.4 29.6 25.6 25.9 21.8
5 別海中央 142.6 137.6 40.4 36.8 21.9 21.6 21.9
6 遠矢 141.5 141.6 39.5 28.9 24.6 25.9 22.6
7 鳥取 136.9 137.0 39.9 30.6 21.5 23.1 21.8
8 大楽毛 136.7 136.7 39.0 29.2 23.1 23.6 21.8
9 鳥取西 135.1 135.1 40.8 28.2 23.6 22.2 20.3
10 美原 134.2 134.2 38.2 33.3 20.5 23 19.2
11 計根別 131.9 132.0 42.2 26.6 20.7 22.5 19.9
12 共栄 124.8 124.8 37.2 25.9 19.3 20.9 21.5
13 川北 121.0 121.0 39.9 27.2 17.5 20.2 16.2
14 広陵 120.8 121.4 38.6 24.9 18.7 20.5 18.1
15 標津 118.5 109.0 36.0 30.0 16.0 18.0 18.5
16 中標津 117.8 117.8 38.7 28.7 17.3 16.4 16.7
17 啓雲 111.5 111.4 36.1 25.5 15.8 16.5 17.6
18 柏陵 108.8 107.3 36.6 23.0 15.8 17.6 15.8
  合計 2380.5 2362.5 717.8 527.4 379.6 396.5 359.2
  平均 132.25 131.25 39.88 29.3 21.09 22.03 19.96


 一番左端は五科目合計点Aの大きい順から番号を振ったので、18校中の順位である。
 五科目合計点にAとBがあるのは、Aは五科目平均点の単純合計値であるが、Bは学校側の公表値である。食い違いが大きい学校は、標津中学9.5点と別海中央中の5.0点。3点以上差があったのはこの2校のみ。科目別平均点が実際の受験者数で計算されていたら、その科目別平均点の合計が学校全体の五科目平均値となるはずである。生徒の五科目合計点の合計値をとり、これを在籍人数で割ると、実際の五科目平均点よりも小さく出る。1点以上3点未満の差があるのは、幣舞中2.8、柏陵中1.5点の2校のみ。
 標津中学校は在籍人数で学校全体の平均点を計算しているのではないかな?科目別平均値を加算すればいいだけ、あえてやるなら、実受験者数を合計して平均をとり、全校生徒の五科目合計点の合計を算出して割れば、誤差はでません。
 こういう五科目合計点の計算上の問題も、市教委や町教委がモニターしていれば、すぐに気がつくことです。保護者の中には、「(科目別平均点を合計すると五科目合計点と合わないのは)どうして?」と不思議に思っている人がいますよ。学校によっては教員がEXCELを使い慣れていないケースがあるのでしょうが、EXCELの計算式をチェックしてすみやかに改善してください。だれか手伝ってあげたらいかがですか?

<余談:中春別中の学力テストの平均点が高い理由>
 中春別中は別海町にあります。この地域の子どもたちの学力の高い原因について、地元の企業経営者のご意見を転載します。2023年2月1日にFBで対話しました。
「この地域は酪農家に関西や関東をはじめ、教育レベルが高い地域から結婚されてこちらに嫁いでいるお母さんが多いことが教育についてのリテラシーが高いのではないかと思っております」

 バカな男に知性の高い女性が嫁ぐ確率は低いから、別海町にはそこそこの知性の男がすくなからずいるということかもしれませんね。

*#4096 学力テスト総合A:17校データ比較 Oct. 5, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

**
#4091 衝撃!学力テスト総合Aでみる根室の中学生の学力:12校比較 Sep. 27, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-09-27



 
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#4096 学力テスト総合A:17校データ比較 Oct. 5, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 このような学力テストデータは学校の先生たちも、市教委も見たことがないでしょう。学力向上対策の貴重なデータであるにもかかわらず、市教委や町教委はふだんの学力テストデータを集めていません。データに基づかぬ学力向上対策を繰り返しています。的外れになるので、効果がないのは当然のことです。

 #4091で9月に実施された学力テスト総合Aのデータ12校を掲載したが、17校集まったので、再掲載する。
 緑色は釧路管内の中学校、青色は根室管内、色のないのは根室市内の2校である。
 表1は五科目合計平均点と科目別点数を、表2は「得点-平均点」を表している。17校平均点よりも低いところは赤字で表示されている。
 別海中央中の社会科が36.8点、17校平均点よりも+7.5点とダントツに高いが、これはこの学校の社会科担任の授業スキルの高さを表している。幣舞中学校の数学も+7.4でダントツに高いが、先生のスキルが高いことが原因かどうかは確認できていない。スキルが低くてこんなに高い平均点にはならないことはたしかだろう。阿寒中の理科も+6.3と高い。
 根室市の柏陵中学校では理科でいつも高い平均点を誇る先生が昔いたことがある。小テストを繰り返して、記憶の定着を図っていた。教え方そして学力アップの方法として正攻法だと思う。こういう教員を評価すべきで、教え方を真似すべきではないのか?
 先生たちは頻繁に研修をしているはずだが、実績をあげられない者の御託を聴いていてはいけない。ふだんの学力テストの点数を学校別に並べてみたら、どの学校のどの先生の指導スキルが高いかは一目瞭然とわたしには思えるが、違うだろうか?
 根室市内の2校は残念ながら、17校中16位と17位(最下位)である。市街化地域のもう一校、光洋中のデータは入手できていない。

 わたしは平均点が低いことを、すべてその科目を担当している先生個人の教え方に帰するつもりはない、もちろん他にも原因がある。たとえば、根室は3年前から高校入試が1校体制になり、半数の生徒が勉強やる気を失っているという事実がある。勉強しなくても、根室高校へ全員が入学できる状況が3年前から始まった。道内のほかの地域で、高校2校体制から1校へ編成替えになるところは、根室の轍を踏まないでもらいたい。2校を統合して単位制の普通科へ移行するという、道教委の高校再配置計画への警鐘が鳴っている。高校が学級崩壊状態になるだけではない、中学生とくに学力下位層のいっそうの学力低下を招くことになる。人材の劣化は地元経済に深刻な影響を及ぼすことになるだろう。

 釧路根室管内の先生たちは、データを見て生徒の学力アップがどうしたら図れるのか議論してみてほしい。もちろん、それぞれの市教委や町教委も、教育長もデータに基づく議論をして、それぞれの地域の子どもたちの学力アップに寄与してもらいたい。余計なお世話なんだろうな。
 この表は「釧路の教育を考える会」のM木さんの協力で作成できたので、かれに感謝、わたしには集められないデータです。

    5教科計 国語 社会 数学 理科 英語
1 阿寒中 153.2 44.4 33.1 23.2 28.6 23.9
2 幣舞中 151.0 42.9 35.1 28.8 26.2 20.8
3 中春別中 146.1 45.0 30.8 25.7 23.8 20.8
4 白糠中 145.3 42.4 29.6 25.6 25.9 21.8
5 遠矢中 141.6 39.5 28.9 24.6 25.9 22.6
6 別海中央中 137.6 40.4 36.8 21.9 21.6 21.9
7 鳥取中 137.0 39.9 30.6 21.5 23.1 21.8
8 大楽毛中 136.7 39.0 29.2 23.1 23.6 21.8
9 鳥取西中 135.1 40.8 28.2 23.6 22.2 20.3
10 原中 134.2 38.2 33.3 20.5 23 19.2
11 計根別中 132.0 42.2 26.6 20.7 22.5 19.9
12 共栄中 124.8 37.2 25.9 19.3 20.9 21.5
13 広陵中 121.4 38.6 24.9 18.7 20.5 18.1
14 川北中 121.0 39.9 27.2 17.5 20.2 16.2
15 中標津中 117.8 38.7 28.7 17.3 16.4 16.7
16 啓雲中 111.4 36.1 25.5 15.8 16.5 17.6
17 柏陵中 107.3 36.6 23.0 15.8 17.6 15.8
  合計 2254 681.8 497.4 363.6 378.5 340.7
  平均 132.6 40.1 29.3 21.4 22.3 20.0
               
  <(各データ)ー(平均値)>      
    5教科計 国語 社会 数学 理科 英語
  阿寒中 20.6 4.3 3.8 1.8 6.3 3.9
  幣舞中 18.4 2.8 5.8 7.4 3.9 0.8
  中春別中 13.5 4.9 1.5 4.3 1.5 0.8
  白糠中 12.7 2.3 0.3 4.2 3.6 1.8
  遠矢中 9.0 -0.6 -0.4 3.2 3.6 2.6
  別海中央中 5.0 0.3 7.5 0.5 -0.7 1.9
  鳥取中 4.4 -0.2 1.3 0.1 0.8 1.8
  大楽毛中 4.1 -1.1 -0.1 1.7 1.3 1.8
  鳥取西中 2.5 0.7 -1.1 2.2 -0.1 0.3
  原中 1.6 -1.9 4.0 -0.9 0.7 -0.8
  計根別中 -0.6 2.1 -2.7 -0.7 0.2 -0.1
  共栄中 -7.8 -2.9 -3.4 -2.1 -1.4 1.5
  広陵中 -11.2 -1.5 -4.4 -2.7 -1.8 -1.9
  川北中 -11.6 -0.2 -2.1 -3.9 -2.1 -3.8
  中標津中 -14.8 -1.4 -0.6 -4.1 -5.9 -3.3
  啓雲中 -21.2 -4.0 -3.8 -5.6 -5.8 -2.4
  柏陵中 -25.3 -3.5 -6.3 -5.6 -4.7 -4.2
  17校平均値 132.6 40.1 29.3 21.4 22.3 20.0

(五科目合計点は各学校公表数字ですから、表の科目別平均点を合計しても「五科目合計点」にならない場合があります。全科目を合計してチェックしてみましたが、端数処理の計算誤差範囲を超えているとおぼしき学校が2校あります。)

 高校統廃合後の、根室の中学生の学力低下に驚いている。根室の教育関係者も地元経済団体も危機感をもってほしい。根室高校全入になって、中学生の半数程度が勉強する気を失っており、まだまだ下がりそうな気配だ。このままでは根室高校が学級崩壊する、いや始まっていると思った方がよさそうだ。学力テストの平均点から推しはかると、数学や英語の授業を聴いても理解できない生徒が半数生まれている。だから、高校の授業は生徒の学力に合わせて下げざるをえなくなっている。学力別クラス編成されている数学は、下位のクラスでは基本的な用語の解説すら端折られ始めた。説明しても無駄と考えているのか、たまたま忘れているのか…。例えば、「排反事象」等の教科書記載の基本用語。
 根室高校の進学実績も急激に悪化しつつある。状況は<余談>に書いておきます。
(昨年は五科目合計点が100点を切った中学校が2校ありました)

◎ 釧路管内と根室管内の市教委や町教委は、ホームページ上で(人数が10名以下の郡部校を除いて)学力テストデータを公表してもらいたい。だれもこのようにデータを比較してみていないのですから、せっかく学力テストをを実施しても、学校別・科目別の比較して使われないのでは、なんのための学力テストでしょう。それぞれの市や町別の平均点と標準偏差も掲載してくれたら、偏差値はそれぞれ必要な生徒自身で計算可能になります。そういうデータが蓄積されたら、進研模試の偏差値との変換表も作成可能になります。中学生の時から自分の全国レベルの学力を知ることができるようになります。高校に入学してから、大学受験勉強をスタートさせたのでは遅すぎます。目標とする大学と自分の現在時点の学力にどれくらい差があるのか、中学生の時に知るべきです。

<余談:根室高校の進学実績の変化>
 道外私大への進学者数は(平成27年度、平成28年度、平成29年度、平成30年度)(41人、12人、8人、5人)、3年間で1/8に激減しています四年生大学進学者数は(114人、80人、55人、42人)と半減してます
 市内の就職者数は(46人、41人、29人、36人)と3/4に減っています
 これでは、転勤族や学齢期の子どものいる医師は根室に赴任するのを嫌がるでしょう。劣悪と言っていい教育環境です。

(10/7 平成30年度のデータを追記しました。)


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#4091 衝撃!学力テスト総合Aでみる根室の中学生の学力:12校比較 Sep. 27, 2019 [71.データに基づく教育論議]

<最終更新情報>
9/28 朝8時半 学力テストについて東京都と連携実施のメリット追記、北海道新聞への要望追記
9/28 9:45更新 早稲田アカデミー「全国中学生統一テスト」
9/28 夜9時半 一部カット
 


 9月17日に中3対象の学力テスト総合Aが行われた。12校のデータを入手できたのでご覧いただきたい。根室市内の中学校の生徒たちの学力レベルがよくわかる。地域別にこんなにはっきり学力差がでるものかね、色分けしておきました。事実をよく知ってもらいたい。かなしい。

  中学校名 五科目合計 国語 数学 英語
1 幣舞中 151.0 42.9 28.8 20.8
2 白糠中 145.3 42.4 25.6 21.8
3 遠矢中 141.6 39.5 24.6 22.6
4 鳥取中 137.0 39.9 21.5 21.8
5 大楽毛中 136.7 39.0 23.1 21.8
6 鳥取西中 135.1 40.8 23.6 20.3
7 計根別中 132.0 42.2 20.7 19.9
8 広陵中 121.4 38.6 18.7 18.1
9 川北中 121.0 39.9 17.5 16.2
10 中標津中 117.8 38.7 17.3 16.7
11 啓雲中 111.4 36.1 15.8 17.6
12 柏陵中 107.3 36.6 15.8 17.6
  平均値 129.8 39.72 21.08 19.6


 紫色が釧路市と白糠町、青色は釧路町、緑色は中標津町・標津町、色のないのが根室市の中学校です。
  (別海中央中学校は137.6点です…9/28夜8時追記)
 (中春別中146.1点、釧路三原中134.2点…10/3追記)

*#4096 学力テスト総合A:17校データ比較 Oct. 5, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-10-05


 根室市内の2校は国語が最低点、数学も最低点、英語は下から3番目である。合計点では釧路市・釧路町・中標津町・別海町・標津町・根室市の2市4町で最低根室市内の中学生は、すべての学科の学力の基礎である国語の点数が最低だというところに大きな問題があります

 昨日から、毎週木曜日、40分、合計10回の短期トレーニングを始めました。以前は中学1年生用の音読教材に使っていた斉藤孝『読書力』(岩波新書)を、高校生と中3の生徒たち3人の音読トレーニングに使っています。先読み技術の習得が目標です。希望者が多いので、これが終われば、メンバーとテクストを入れ替えて、10回の音読トレーニングを予定。テクストは『語彙力こそが教養である』を使います。音読スピードが2倍になれば、予習や復習を効率的にできます。だいじなのは学力の基礎である「読み・書き・算盤(計算)」スキルです。標準速度をクリアできると学力は伸びます。
 英語の平均点もひどいね。半数が得点3割以下だ。高校生になってもそのままだから、ますますひどいことになるのは必定。数学が得意だけど英語は大嫌い、「英語アレルギー症」に罹患している高2の生徒対象に、週1で10回の短期特訓授業をしています。テクストは高Ⅲのものを利用し、すでに6回目ですから、英語アレルギーはなくなったように見えます。教える手間を惜しまなければ5人のうち3人は進研模試で全国平均点をクリアできるでしょう。いままで、英語が苦手の生徒たちに短期特訓をしてやらなかったのはわたしの怠慢でした。水曜日は休みにしていましたが、10回だけ英語特訓授業に使うことに決め、10回のトレーニングのうち、すでに6回目を今週終わっています。

 昨年は根室市内の2校は五科目合計点が100点を何度か切っています。学力に関心が薄いと、こういうことになります。根室市長も根室市教育長市教委市議会文教厚生常任委員会もデータを見ていません。保護者も生徒たちも学力に関心が薄い。だから、いくらでも悪くなる。
 柏陵中は10人ほど試験を受けていない。休んだ生徒の中には不登校や学力不信の生徒が多いから、全員受験したら平均点は100点を切るでしょう。
 全国学力調査でも、同じことが起きているだろうから、根室市の平均正答率は実態よりも高く出ています。つまり、そのままでは全国平均値と比較して使えないということ。総合Aでは柏陵中の学力下位層の約15%の生徒がテストを受けていません。2校とも普段の授業は私語が多くてめちゃくちゃになっているでしょう。勉強したい生徒たちが被害者になっています。こうして学力上位層が枯渇化現象を起こし、学力中間層は下位層に転落していくのです。15年前とデータを比べると、上位層と中間層が激減しています。


 半年後には全員が根室高校へめでたく「合格」します。15年前と比べたら、根室高校普通科の生徒で同じ学力を有しているのは「特設コース」の35人のみ。他の2クラスは、学力レベルから判断すると根室高校とは思わないほうがいい。
 道外私大への進学者数は(平成27年度、平成28年度、平成29年度)(41人、12人、8人)、なんと2年間で1/6に激減しています。大学進学者数は(114人、80人、55人)と半減してます。
 市内の就職者数は(46人、41人、29人)と2/3に減っています

 教育こそが町づくりの礎、経済諸団体(水産業界団体、根室商工会議所、根室中小企業家同友会、根室ロ
ータリークラブ、根室西ロータリークラブ、ライオンズクラブ等のみなさんは声をあげないのですか?

 根室の大人たちは、こういう根室っ子の学力の実態を知らない。教育関係者、教育関係機関ですらも。
 どうするかは、関係諸団体ごとに決めたらいい。なにもしないというのがいままで。これからもそうだとしたら、それが根室の大人たちの限界を示すことになる。紅鮭の養殖には関心があっても、根室っ子たちの教育には関心がない?関係諸団体の有力者の中には、自分の子どもだけは、中学・高校から都会へ「学力疎開」させて、知らぬ存ぜぬを決め込む人もいます。いろんな人がいるということ。
 記憶に間違いがなければ、釧路ロータリークラブ*は、数年前に数検受験を受験料面でサポートしました。また、商工会議所青年部のメンバーは「釧路の教育を考える会」に創立時から参加しています。釧路の経済諸団体は釧路っ子の学力低下に危機感をもっています。市議会も超党派で学力アップに関する研究連盟をつくって、「基礎学力保障条例」を制定しています。

 これは道内の公立中学校へ偏差値の出る学力テストを実施すれば簡単に解決できる問題なのです。全道平均に届く生徒が1割しかいないとわかれば、先生たちも保護者も生徒も危機感をもちます。偏差値も全道平均値もでない学力テストを放置してきたわたしたち大人の責任が大きい
 北海道教育局さん、ふだんの学力テストにもっとお金をかけてください。他の都府県と一緒に学力テストを実施することも考えてもらいたい。


 まず、自分の住んでいる地域を良くしませんか。それぞれの人ができる範囲で努力してくれたらいいだけ、「学力疎開」なんてしなくていい町にしませんか?



<釧路ロータリークラブの算数・数学検定助成事業>
 この事業は、鳥取神社の木下宮司が会長だった時にはじめられた事業でして、今年で4年目の継続事業となっています。釧路ロータリークラブは、釧路っ子たちの学力アップに真剣に取り組んでいます。
 2018年11月15日付の釧路ロータリークラブ会長挨拶の中で、算数・数学検定補助事業が紹介されています。是非ご覧ください。釧路の大人たちの心意気に感動しました。

*http://www.kushiro-rc.gr.jp/meeting_report/2018_2019/18/?fbclid=IwAR1dXppYMXNCQIQcZoGQtEdiCoqAbU7nGPhNbMt8uKMIzAjhWKg3vP1SAsA

*#4086 根室高校2年数学の授業速度チェック:学力別クラス編成は効果なし Sep. 23, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-09-22



<余談:東京都の実情>
 FB上で同じ問題を議論していたら、東京都のSさんから以下のコメントがありました。
=============================
我が子(中3)の事例で恐縮ですが、東京都の公立中では、広域一斉の学力テスト(いわゆる業者テスト)は実施されていません。平成4年鳩山邦夫文部大臣、当時のミスター文部省寺脇研氏の行った「偏差値追放」の影響が根強く残っているようです。そのため、各生徒の都内など大きな集団での相対順位が分からなくなっており、学習指導、進路指導も「あてずっぽう」になっているようです。なので、大手進学塾の模試で自分の実力を試すようになっており、大手進学塾では母数を稼ぐためにひんぱんに無料で模試を実施しています。
=============================

 バカな「教育改革」をやったものです。高校でベネッセや河合塾や駿台模試の偏差値データを使わずに進路指導をするところはないでしょう。
 「全国統一中学生テスト」は難易度が高いので、根室にはこれを受けて意味のある中学生は、成績上位層5%だけです。四谷大塚も早稲田アカデミーに載っているのも同じテストです。大学進学を考えている中学生は受験して、全国レベルで自分の学力がどの程度か測定してみたらいい。根室の市街化地域の3中学校で学年3番なら、偏差値50(平均)に届かない。結果票で全国レベルでの自分の学力を知ったら、それ以後の受験勉強の仕方を変えることになるでしょう。

*四谷大塚
https://www.toitsutest-chugaku.com/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=GS002_main_toitsutest-chugaku&utm_content=TXT01Q&argument=4UqKLTXR&dmai=GS00101Q00A&fbclid=IwAR2VsGHZaFOmChzH7VzStmFpq0rDQuavNKAKKEMmTFJb0jyQd9PXFZ219qM

 早稲田アカデミー
*https://www.waseda-ac.co.jp/juniorhigh/exam/?fbclid=IwAR0JyfDB9YymzRSRQP9nhNGIzcscgJZKMOOvzYR8I-DQBeRvWA-BeqAFjnw



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#4086 根室高校2年数学の授業速度チェック:学力別クラス編成は効果なし Sep. 23, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 根室高校の前期期末テストは9月3日から6日までだった。2年生の数学のテスト範囲を俎上に載せてみたい。
 数Ⅱは「第2章 点と直線」までだからp.80まで。総ページ数は225頁あるから、35%の進捗である。
 数Bは「第1章 数列」でp.38まで。高校数学で一番重要な項目である「数学的帰納法」は授業が間に合わず範囲から外された。「第3章 確率分布と統計的な推測」はやらないので、「第2章 ベクトル」をこれからやることになる。ベクトルの最終ページは108であるから、35%の進捗である。
 9月から2月まで6か月だが、数Ⅱはこれから、「第2章2節円の方程式」、「第2章3節 軌跡と領域」「第三章 三角関数」、「第4章 指数関数・対数関数」、「第5章 微分・積分」がある。前期よりもずっと内容が重たいから、同じペースでやったとしたら、微分・積分の章をやり残すことになる。残りを2倍の速度で授業をしたらどうなるだろう、想像してみてほしい。97%の生徒が授業についていけないだろう。
 数Bも進捗が35%だからほぼ2倍の速度でやらないとベクトルの章が終わらないことになる

 数Ⅱは必修科目だ。ガンマクラスが二つ、ベータクラスが二つ、アルファクラスが2つに学力別編成されている。それぞれがガンマⅠ、ガンマ2、ベータ1、ベータ2、アルファ1、アルファ2という風に6段階にわたって学力別に分かれた授業を受けている。数Bは選択科目で学力別に4クラス編成授業。それなのにどうしてこんなことになっているのか?
 定期テストを全クラス同じ範囲でやっているからだ。
 ガンマクラスは速度が1.5倍でいい、ベータは2割アップ、アルファは基本問題のみ、テスト範囲を別にするしかない。しかし、問題が違っては評価が困るし、成績でクラスの入れ替えをしているから、そのときに支障が出る。上のクラスへ昇格した生徒は、やっていない範囲があることになる。だから、一番学力の低いクラスに授業速度を合わせるしかない根室高校の数学担当の先生たちは困り果てているのではないか
 今年から、ガンマクラスとベータクラスとアルファクラスは試験問題が少し違っている。8割共通で2割がクラスごとの問題になっていると聞いた。先生たちの苦肉の策だろう。

 学力別編成をしてもガンマクラスの生徒たちはその恩恵を受けていない。著しく遅い速度の授業を我慢して聴いている。釧路湖陵へ進学した同級生に比べて大学進学を考えると著しく不利になる。先生たちも、ガンマクラスはもっと速度を上げていいと思っているはずだが、それができない。
 学力データに基づかぬ杜撰な高校統廃合をしたためである
 2校体制のときは根室西高校では数Aは1年生では履修できなかった。学力を考慮して数Ⅰと数Aの同時履修は無理だと判断していたのだろう。数Bは2年生の選択科目になかった。教科書の難易度もずっと低いものを使っていた。そういう生徒たちが根室高校に3年前から全員入学してきており、学力差が極端に拡大した。十数年前には根室高校普通科に五科目合計点(300点満点)が150点Fランクで不合格となった生徒が3人いたことがあるのだが、いまでは100点を切っても合格できる。
 本来同じ教科書では教えられない学力差があるのにそういう現実を無視した統廃合を行った。いま根室高校の先生たちはお手上げ状態にある。

 このままでは、根室高校普通科の学力はますます低下し、大学進学率も、進学先も大きく変化してしまう。すでにそういう兆候が出ている。首都圏の大学への進学者数が激減して一桁になっている。早稲田大学商学部への推薦枠がなくなったと最近聞いた。平成27年度は、道外私大へ41人が、平成29年度は8人が進学。わずか3年で1/6となってしまった。
  道内国公立大への進学者数も激減している。これらにさらに拍車がかかる。
 根室の高校は一つ、根室高校生の学力が長期にわたって低下し続けるということは、根室の町がダメになるということに等しい。未来の根室を支えるのは市内唯一の高校となった、根室高校出身者である。このままではその学力が長期にわたって低下していく
 教育こそが町の礎ではないのか?

 根室に住む大人たちには、そして故郷を愛しているなら、それぞれ自分の職業を通じてやるべきことがある
 市議会文教厚生委員会は根室高校の科別編成を議論する必要があるだろう。もちろん、中小企業家同友会商工会議所ライオンズクラブロータリークラブ水産業界諸団体も真剣に議論したほうがいい。あなたたちの企業の未来がこのままでは危機に瀕することになる。優良な地元企業が減っていけば、根室の人口減少が加速する。

 くれぐれも市長の諮問委員会方式で閉鎖的な検討はやらぬように。それで前回失敗して、こういう惨憺たる事態を招いた。データに基づかぬ議論は無意味であるだけでなく有害。杜撰な議論で決めたら、ろくでもない結果がすぐに後を追いかけてくる。オープンな場で議論すべきだ。

 なにもしなければ、なるようになるだけ。根室の町から根室っ子が逃げ出し、地元企業は必要な学力をもった人材確保ができず、一つまた一つとつぶれていく。
 根室の未来は根室に住むわたしたちが変えなくて誰が変える?



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#4075 出席状況表:各人別に毎月配布 Sep. 4, 2019 [71.データに基づく教育論議]

<最終更新日時>
9/7朝9時半:<余談-2>追記

  ニムオロ塾は個別指導だから、用事があって休んでも、振替が効きます。ところが、振替しない生徒もいます。いったいどういう出席状況になっているのか、九月から一人一人出席状況データを毎月フィードバックすることにしました。出席日数が足りないケースはまず生徒と話をすることにします。必要と感じたら保護者にもお話します。データがあった方がお互いに話がしやすい。
 表のフォーマットは次のようになっています。

<出席状況表> 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
出席日数 6 13 9 9 5 0 0
標準出席日数 9 9 8 9 6    
  11月 12月 1月 2月 3月 累計  
  0 0 0 0 0 42  
            41  
               
  Q1 Q2 Q3 Q4   H1 H2
  28 14 0 0   42 0
  26 15 0 0   41 0

 実物は3行で横1列なのですが、3段にしないとブログに掲載できないので、そうしました。
●上段:月
●中段:出席実日数
●下段:標準日数(出席すべき日数)
●累計:各月までの累計値
●Q1:第1四半期合計
●Q2:第2四半期合計
●Q3:第3四半期合計
●Q4:第4四半期合計
●H1:上期合計
●H2:下期合計

 4月から8月まで5か月間のデータが揃いました。
 (出席日数/標準日数)で、データを出席実日数の多い順に上位2人と下位2人を示すと次のようになっています。

  (67/41)(57/41)...(32/41)(28/41)

 順にAさん、Bさん、Cさん、Dさんとします。それ以外は出てくる順に、Eさん、Fさん、Gさんとします。
 先週、高校生には生活時間調査票をわたしていますから、提出済みの生徒は家庭での学習時間が確認できています。
 週単位でみるとAさんは、塾で勉強している時間の2倍は家で勉強しています。「67-41=26」回分「得?」してます。(笑)
 Bさんは「57-41=16」回「得」してますが、家であまり勉強している様子がうかがえません。国公立大学志望なので、学力を上げないといけませんが、学力はこの1年間低迷しています。いや、下がり始めました。進研模試の偏差値データは正直です。心配してます。
 Cさんは「32-41=-9」ですから、9回分「損」してます。部活が忙しくて休みが多くなっていますが、休んだ分の振替が一部しかできていません。本人の弁では家で毎日1時間くらい勉強するようになりました。その点はえらい!以前は、部活が終わり、塾で勉強すると、あとは家に帰ってお風呂に入りすぐに寝てました。成長期は眠たくなるものです。寝ている間に成長ホルモンが分泌されて身長が伸びます。一生懸命に部活をやる生徒は疲れるんです。それでも4人に一人くらい、文武両道をしっかり貫く人がいます。根室では珍しい。ケガの治療でしばらく部活は休まないといけないので、「損」した分を取り戻してもらいます。部活の指導はスポーツ医学的な配慮をしてもらいたい。指導資格制度のないのが問題です。部活で傷害を追う生徒は少なくありません。
 たとえば、ピッチャーの肘と肩、バドミントン選手の膝、サッカーやバスケットボール選手の膝や脚の腱、成長期で骨が伸びるのに、腱や筋肉が追い付いて行くのにラグがあるので、関節や腱と骨の接合部に過度の負荷がかかります。ひどい時には剥離骨折します。腱と骨の接続部がはがれてしまいます、市立根室では治療できませんから、札幌の大病院まで通院あるいは入院する必要がありますから、とっても厄介です。
 部活の指導者にスポーツ医学的な知識と配慮があれば、ほとんどが防げるものです。中学校までは、先生も生徒も保護者も、地区大会での勝ちにこだわってはいけません。小学校と中学校は基礎作りに徹して、身体の成長期が終わっている高校で本格的なトレーニングをしてください。ようするに、生涯にわたって好きなスポーツが楽しめるように、成長期には理にかなったトレーニングをすべきだということです。

  ebisuの父は元落下傘部隊員、60歳から本を見て独習して一輪車に乗り始め、すぐにマスター、一輪車を小学校に寄付して小学生に教え始めましたが、体協の資格がないと教えてはいけないと、誰かが言い出し、高校の先生たちの応援があり、試験を受けて体協の資格を取得しました。戦時中なら「空の神兵」と言われて尊敬を集めた秘密部隊員ですから、体協の資格などなくても、どこからもクレームはつかなかったでしょう。特別なの運動能力と胆力のもち主しか選ばれてませんし、訓練は命懸けの厳しいものであったからです。落下傘部隊員は正規兵3人を相手に戦えました。いまでも空挺部隊(落下傘部隊)自衛隊の中ではエリート集団です。部活を指導している先生に体協の資格が必要なんて話を聞いたことがありません。オヤジは、日本一輪車協会の初代根室支部長でした。NHKが取材し放映したビデオが3本残っています。40代の人たちの中に、オヤジに一輪車の乗り方を習った根室っ子がいるでしょう。


 Dさんは、「28-41=-13」回分「損」してます。いろいろ忙しいことがあるので、ついつい休みが多くなり、休んだ分の振替も積極的ではありません。やってることが多すぎて、忙しくて時間が取れないのです。専門学校への進学を考えているから、勉強する強い動機がないのです。でも、数学のクラスはアップしたい。こういう「いまより明日はもっとよくなりたい」という心が大切です。
 なかには就職希望(消防署)の生徒もいます、地元でしっかりした職に就くのはなかなかたいへんです。地元で就職を考えている生徒は、文武両道を貫きしっかり勉強してもらいたい。運動能力が高く、学習意欲も十分です。職に就いたら、その職を通じて明日の根室を支えてくれます。素直で、よく頑張る生徒、Eさん、たのもしいね。

 家で勉強しない生徒は成績が上がらない、これだけははっきりしています。Bさんが好例ですが、他にもFさんがいます。テレビやスマホで時間を潰すのが生活習慣になっているので手ごわいのです。どちらもスマホ中毒と言っていい。家に帰ればずっとテレビを見るかスマホと戯れて勉強する暇なんてありませんから、塾にくるのはお金と時間の無駄です。やめると成績が下がるので怖くてやめられないのかもしれません。下がったとしてもちょっとだけです、家で勉強しないのですから、塾をやめてもそんなに成績に影響ありません。どちらの生徒の保護者にもスマホのことは伝え、勉強1時間し終わるまでは取り上げるように話しています。Fさんは2週間くらいで、元に戻ってしまいました。でも4月以降は部活を理由に塾を休むことがなくなりました、出席率は(42/41)で1勝してます。来れば積極的に勉強してます。あっけらかんとしていて嘘のない生徒です。この生徒はしばらく様子見することにしました。

 Dさんは、7割ほどしか出席していないので、データを見せて本人と相談しました。テストの前だけはちゃんと来てます。「週2回の授業は100%出席が無理のようだから、お金の無駄だから週1回に変更しよう、お母さんと相談するように」伝えました。納得ずくで、9月から、週1へ切り替えています。ちゃんと来るつもりなら、いつでも週2に戻します。いくつか事情が重なっているので3か月は無理そうです。

 根室高校は火曜日から前期期末テストが始まっているので、家庭学習していない生徒は結果が出たら、面談します。成績が上がるはずがありません。家で勉強して来なければ、理解が浅くなるし、先週やったところも、理解が不十分で、むずかしめの問題をもう一度やらせたらできません。あいまいなところを、家でしっかり詰め切っておかないからそうなります。どうしたいのか本人に訊いてみたいと思います。

 出席率の上位二人は、標準日数を実出席日数がかなり上回っています。累計値で1割以上、上回っている生徒が3人に1人います。
 一クラス最大7人編成の個別指導です。四月からばらばらと生徒が増えました、夏休み以降も2人増え、混みあうことが多くなって、いま塾生の6割が高校生です。一人で見られる人数には限界があり、来年はニムオロ塾の8割が高校生になりそうで、急激な変化に驚いています。体力の関係から、ニムオロ塾は2年前に、月火木金の週4日間に切り換えました。来年も週4日体制は崩しません。

 机と椅子が7セット、他に1.5m×1mの座卓があるので、2階の教室スペースに席が9個あります。そのほかに1Fに3人机と椅子がありますから、こちらで自習できます。2階が一杯のときには、レギュラーの時間帯の生徒を優先し、週3回以上来ている生徒は1Fに回ってもらうことになるかもしれません。
 そういうことが必要になれば、レギュラーの「出席曜日・時間帯登録票」を配布して記入してもらい、希望曜日と時間帯(A:4時半~7時、B7時半~9時)の確認をします。
 もちろん、席が空いていれば今まで通りの運用を続けます、来たいだけ来ればいい。なるべく、ABいずれかの時間帯にしてください。空いているときはずっといても構いません。(笑)

 入塾1か月間は、勉強スタイルに慣れてもらうために、毎日来てもらうことがあります。数学なら計算問題に慣れてもらう、たとえば、分数や小数の四則演算とか、無理数の計算とか、一次関数の基本問題とか、証明問題とか、入塾の時期にも左右されます。空いている穴を埋めなければ効果がないからです。英語なら子音の発音のトレーニングと教科書音読を個別指導するためです。入塾時に必要のない生徒にはそういう措置はしません。

<余談:親への感謝の心>
 習い事をさせてもらい、塾にも来させてもらって、親に感謝して当たり前と思います。授業が終わって、迎えに来てくれていますから、ありがとうぐらい言って車に乗り込んでほしい。感謝の言葉を口に出せば、その都度自分の心が浄化されます。思春期は反抗期でもありますが、感謝の言葉を口に出すことで、気持ちもしだいに穏やかで素直になります。
 高校卒業してから、進学させてもらえるなんて、よく考えてみたらとってもありがたいことなんです。根室には大学がない、短大がない、そして専門学校すら一つもありません。だから親元から学校へ通うことができません。大きなハンディなんです。
 親だから当たり前だと思う人は、自分が親になったときの姿を想像してください
子どもを大学進学させることあるいは専門学校へ進学させることはたいへんなことなんですどのような職業に就いて、年収どれくらいで、子どもに習い事をさせて、塾へ通わせて、進学に必要なお金を捻出することを、自分自身の問題として考えてください。親に感謝せずにはいられないでしょう。有難いのです。有難いとはそう有ることが難しいから、ありがたいのです。親としての責務を果たすというのはじつに有難いことなんです。大半の親は、一生懸命に生きています。

 平成30年度、根室高校の卒業生は175人いました。そのうち大学進学者はわずか66人です。地元に大学があったら、あと30人ほどは大学進学しているでしょう。根室の最高学府は根室高校です。その根室高校はこの十数年間で著しく学力が落ちました。大学進学実績を見たらわかります。大地みらい信金への就職者数をみてもわかります。わたしたち団塊世代のころは、富士銀行や拓銀が商業科のトップクラス、道銀がその次あたり、根室信金は中の上の学力レベルの高校生の就職先でした。根室高校の中の上でもあの当時は優秀な人たちがまざってました。同期の中卒がおよそ1000人、根室高校へは350人ですから、およそ3人に1人しか進学できない高校でした。高校統廃合以後は、実質無試験、全員入学できています。競争がないというのは怖いことなのです。
 大学が地元にない根室は残念ですが全国レベルで見ると教育僻地と言えます、こどもたちはそれだけで大きなハンディを背負っています。
 さらに根室高校生の進路データを挙げます。平成30年度は道内私大が54名、道外はわずか5名でした。進学先のレベルがこの15年間で著しく落ちています。首都圏の私大への進学者が激減してます。平成28年度の進路データでは、道外私大への進学者数は12名です。15年前は30人くらいいたのではないでしょうか。
 看護学校進学が21人います。根室市の奨学金が「10万円×36か月」でているので、ニムオロ塾塾でも、看護系専門学校への進学を薦めています。市立根室病院へ3年間勤務すれば奨学金の返済が免除されます。初任給21万円で、根室で一番高額です。地元企業の高卒初任給は12-15万前後でしょう。ボーナスも違いますから、たった三年間勉強してきただけで、年収にたいへんな違いが出ます。5年もしたら、年収で200万円の差がつきます。
 短大5名、専門学校60名、就職市内36名、就職市外11名。
 就職する人こそ、文武両道を貫き、高校3年間をエンジョイしてください。人生で、勉強とスポーツだけしていていい最後の三年間になります

*根室高校進路データ
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=3103

<余談-2:落下傘部隊員の戦闘能力>
 秘密部隊であった落下傘部隊員は正規兵3人を同時に相手にして互角に戦えたと書いた。
 戦後、オヤジは富良野で食糧の買い付けをしていたことがある。仕入れて転売して戦後の混乱期を食いつないでいたのだろう。10歳ほど離れた甥っ子と富良野の映画館で映画を見ていたとき、地元のヤクザ5人ほどに絡まれて、「面を貸せ」とトイレへ行ったそうだ。甥っ子が心配して少し時間をおいて様子を見に行ったら、五人とも床に伸びていた。平成5年のオヤジの葬式の時に聴いた話だ。オヤジは加藤隼戦闘隊という戦時宣伝映画での降下訓練の際に、飛び出すときに直前の隊員が降下気迫が失われ躊躇ったので、押しながら一生に飛び出したら、主導索に右腕をもっていかれて複雑骨折してブランと垂れ下がったまま、左腕で操作してパラシュートを開き、下りた。その後遺症で戦後しばらく右腕が上がらなかった。つまり左腕一本でヤクザ五人を相手にしたのである。落下傘部隊員の戦闘能力はすさまじい。以後、富良野のヤクザは通りですれ違う時には、すっと道を開けたという。そういう自慢話をしないオヤジだった。本来は暴力が嫌いだった。十代のときに一度人を殴ったことがあり、十数年後に出遭ったら、前歯が金歯になっていたと苦虫をかみつぶしたような顔をした。カッとなってやってしまったが、ずっと後味の悪い思いをしたようだ。
  ebisuが小学生のころ、自衛隊の空挺部隊教官として来てほしいと誘いがあったらしい。落下傘部隊の生き残りはわずかだから、空挺部隊を訓練する教官が不足していた。オヤジはノーだった。結婚もしない、子どもも残さずに戦友たちは死んでいった。教官になって若い隊員たちを訓練すれば、今度は自分が教えた若者たちが二度と戻らぬことになるかもしれない、やれっこなかったのである。恩師である哲学者の市倉先生もゼロ戦パイロットで特攻隊員だったから同じ思いをしている。オヤジと同じ年の生まれだった。
*市倉宏祐『特攻の記録 縁路面に座って』
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/archive/c2306180343-1


 富良野で調達した農産物の一部は根室でも売りさばいたようだ。当時緑町にあった銭湯松乃湯で地元のヤクザの若頭のTさんと目が合い、表へ出ろと外へでた。話はそこまでて、結末を言うことはなかった。訊いても無駄だった。Tさんとオヤジはその後仲がよかったのである。その話をオヤジの甥っ子に話した時に、ニヤッと笑って、富良野のヤクザとの一件がでた。甥っ子は旭川で畳屋をやっていた。腕がよくて大臣賞を授与すると言われたが、断わるような頑固者、そして陽気な人である。
 Tさんはビリヤードの常連客だった。あるとき三下が用事があって店に来た。「ここは〇〇さんの店だ、お前たちはこの店に出入りはならぬ」と厳命、幹部4人だけが常連だった。オヤジとどういう関係だろうと不思議だった。幹部のみなさん言葉遣いは丁寧で、礼儀正しかった。親分のTさんは、わたしに一度もビリヤードしようと言ったことがない。それも不思議だった。歯科医のT塚先生が小学生低学年のころ、面白がってよく相手してくれたのを覚えている。娘さんが同級生だった。ビリヤードが大好きで毎日数時間、店のお手伝いをしていたから、常連客でわたしとゲームしたことのない人はいないだろう。Tさんだけが例外だった。気を使ってくれていたのだ。いろんな職業の大人たちに守られていたようだ。
 高校時代に根室では大きめのスナックで飲んでいた時に、ネチネチ絡まれたことがあったが、幹部で一番若い人がたまたま店に入ってきて、「息子、どうした?」と声をかけてくれて、事情を話すと、「わかった」とカウンターの端の方で絡んでいた客のところへ行って、一言二言話したら、黙ってしまった。ひょっとしたら、お店の人がKさんへ電話して呼んでくれたのかもしれない。店へ入るなり若頭のKさんが、カウンターのわたしのところへまっすぐに来たのはタイミングが良すぎた。ビリヤード店の店番を小学校のときからずっと手伝っていたから、小遣いがあった。高校時代の1年間ほどは、高橋珠算塾の高橋尚美先生に頼まれて汐見町の珠算塾で教えていたから、両方から同じくらい小遣いが入る。あわせると当時の高卒の給料ほども毎月お金があった。友人たちにおごっても、使いきれないのである。(笑)
 だが、それいらい、「夜の町の探索」はやめた。もめごと起こして喧嘩でケガさせたら、学校は退学になる。小学生のころから、廃材や焚き付け用のざっぱを拳や手刀で割っていたから空手の有段者並みの破壊力があった。大きな鉞を振りかぶって地面につけて、そこからゆっくり円を描いて持ち上げながら真上にきたところで一気に力を入れて手を絞り、狙ったところを渾身の力を込めて叩く、五寸角の角材を十数回も叩いて叩いて、叩き割っていたから、足腰が異常に強かった。腰のひねりだけで、手刀や拳の威力は倍加した。高校卒業した年に、同級生三人(ヒロシとムサシ)で新宿でパンチボールを叩いたら、180㎏超えだった。同じウエイトのプロボクサー並みの破壊力があった。素手で顔面を叩いたら、殺してしまう。だから、人を叩いたことが一度もない。自分の命や友人の命に危険が及ばぬ限りは、人を殴らないと決めていた。叩き折る焚き付け用のざっぱの中には生木も混じっており、半端な速度で叩いても撓(しな)ってはじき返される。生木を叩き折るには速度と力の入れ方にコツがあった。すっかり慣れてしまっていたので、加減できない、危険すぎた。高校時代に2度切れそうになったが、堪えた。一度は1年生の時、数学の先生を殴りそうになったことがある。将棋の自慢話ばかりして、授業は手抜き、それにカチンときていたところに、6月ぐらいにテストで大きな採点ミスがあり、くだらぬ言い訳をごたごた言うので、教壇の前で「なに!」と声を荒げたら、O先生慌てて眼鏡をはずした。クラスがシーンとなったので、冷めた。こんなくだらない先生を殴って退学では泣くに泣けない、一気に熱が冷めくるりと踵を返して席へ戻った。わたしはおとなしい生徒だった。あとで、A部が「殴ると思った」と心配してくれていた。仲のいい俺が退学になったらさみしいからな、あいつは一昨年だったか癌で亡くなった。羅臼の大きな漁師の長男坊だった。二度目は2年生のときのある出来事だった。あの時切れていたら、いまの人生はない。殴れば3人のうち一人は殺しただろう。他人よりいくぶん腕が長く腰が切れて、身体が柔らかいので、拳がまともに当たれば頭蓋骨を粉砕するくらいの破壊力はあった。同期はだれもそんなことを知らない。
  根室高校の体育のI島先生は柔道部顧問で空手もやっていた。あるとき柔道場で体育の授業をしたときのこと、I島先生が「ebisuちょっと来い」というので、行くと、バーベルにいくつも鉄の輪をつけ始めた。全部で85㎏あった。二人に補助させて、わたしの首のところまで上げて、背中に背負わせ、そのままスクワットしてみろという。ずっしり重かった。15回やると、「よし!」と降ろさせた。あの時の体重は64㎏だった。危険だから他にはだれにもそんなことさせなかった。I島先生は85㎏で何回スクワットやれるか試してみたかったのだろう。70㎏まではジャークで持ち上げていた。柔道部に3か月ほどいたのだが、ある事情があり、退部した。I島先生はお袋のところへ来て、説得したようだが、「息子の決めたこと」と取り合わなかった。当時の柔道部には背の高い部員がいなかった。身体が柔軟で、腕力があったから、期待してくれたのだろう。ひょっとしたら、拳を見て空手2段のI島先生は気がついていたのかもしれない。8年間も焚き付けを手刀や拳で叩き折り続けたのだから、空手部員のようなケンダコはなかったが、人差し指と中指の付け根の部分がそれなりに硬くなっており、見る人が見たら、気がついただろう。
 勉強もよくしたけど、なにかと問題ごとの多かった高校時代だった。もう一度高校時代をやり直したら、どこかでプッツンして、別の人生になってしまうだろう。あんなにうまくはやれそうもない。
 親分のTさん、お袋を「姉さん」と呼んでいたが、「息子に何かあったら、言ってくれ」と当時言っていたらしい。若頭のKさんから報告があったのだろう。お袋が亡くなる3年くらい前に話してくれた。「Tがそういってたよ」と笑ってた。その道のプロだから、Tさんはわたしの本性を見抜いていたのだ。穏やかな表情の裏に隠した激しい気性が見えていたのだろう。一人一人の顔が思う浮かぶ、みんななつかしい。



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