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#4086 根室高校2年数学の授業速度チェック:学力別クラス編成は効果なし Sep. 23, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 根室高校の前期期末テストは9月3日から6日までだった。2年生の数学のテスト範囲を俎上に載せてみたい。
 数Ⅱは「第2章 点と直線」までだからp.80まで。総ページ数は225頁あるから、35%の進捗である。
 数Bは「第1章 数列」でp.38まで。高校数学で一番重要な項目である「数学的帰納法」は授業が間に合わず範囲から外された。「第3章 確率分布と統計的な推測」はやらないので、「第2章 ベクトル」をこれからやることになる。ベクトルの最終ページは108であるから、35%の進捗である。
 9月から2月まで6か月だが、数Ⅱはこれから、「第2章2節円の方程式」、「第2章3節 軌跡と領域」「第三章 三角関数」、「第4章 指数関数・対数関数」、「第5章 微分・積分」がある。前期よりもずっと内容が重たいから、同じペースでやったとしたら、微分・積分の章をやり残すことになる。残りを2倍の速度で授業をしたらどうなるだろう、想像してみてほしい。97%の生徒が授業についていけないだろう。
 数Bも進捗が35%だからほぼ2倍の速度でやらないとベクトルの章が終わらないことになる

 数Ⅱは必修科目だ。ガンマクラスが二つ、ベータクラスが二つ、アルファクラスが2つに学力別編成されている。それぞれがガンマⅠ、ガンマ2、ベータ1、ベータ2、アルファ1、アルファ2という風に6段階にわたって学力別に分かれた授業を受けている。数Bは選択科目で学力別に4クラス編成授業。それなのにどうしてこんなことになっているのか?
 定期テストを全クラス同じ範囲でやっているからだ。
 ガンマクラスは速度が1.5倍でいい、ベータは2割アップ、アルファは基本問題のみ、テスト範囲を別にするしかない。しかし、問題が違っては評価が困るし、成績でクラスの入れ替えをしているから、そのときに支障が出る。上のクラスへ昇格した生徒は、やっていない範囲があることになる。だから、一番学力の低いクラスに授業速度を合わせるしかない根室高校の数学担当の先生たちは困り果てているのではないか
 今年から、ガンマクラスとベータクラスとアルファクラスは試験問題が少し違っている。8割共通で2割がクラスごとの問題になっていると聞いた。先生たちの苦肉の策だろう。

 学力別編成をしてもガンマクラスの生徒たちはその恩恵を受けていない。著しく遅い速度の授業を我慢して聴いている。釧路湖陵へ進学した同級生に比べて大学進学を考えると著しく不利になる。先生たちも、ガンマクラスはもっと速度を上げていいと思っているはずだが、それができない。
 学力データに基づかぬ杜撰な高校統廃合をしたためである
 2校体制のときは根室西高校では数Aは1年生では履修できなかった。学力を考慮して数Ⅰと数Aの同時履修は無理だと判断していたのだろう。数Bは2年生の選択科目になかった。教科書の難易度もずっと低いものを使っていた。そういう生徒たちが根室高校に3年前から全員入学してきており、学力差が極端に拡大した。十数年前には根室高校普通科に五科目合計点(300点満点)が150点Fランクで不合格となった生徒が3人いたことがあるのだが、いまでは100点を切っても合格できる。
 本来同じ教科書では教えられない学力差があるのにそういう現実を無視した統廃合を行った。いま根室高校の先生たちはお手上げ状態にある。

 このままでは、根室高校普通科の学力はますます低下し、大学進学率も、進学先も大きく変化してしまう。すでにそういう兆候が出ている。首都圏の大学への進学者数が激減して一桁になっている。早稲田大学商学部への推薦枠がなくなったと最近聞いた。平成27年度は、道外私大へ41人が、平成29年度は8人が進学。わずか3年で1/6となってしまった。
  道内国公立大への進学者数も激減している。これらにさらに拍車がかかる。
 根室の高校は一つ、根室高校生の学力が長期にわたって低下し続けるということは、根室の町がダメになるということに等しい。未来の根室を支えるのは市内唯一の高校となった、根室高校出身者である。このままではその学力が長期にわたって低下していく
 教育こそが町の礎ではないのか?

 根室に住む大人たちには、そして故郷を愛しているなら、それぞれ自分の職業を通じてやるべきことがある
 市議会文教厚生委員会は根室高校の科別編成を議論する必要があるだろう。もちろん、中小企業家同友会商工会議所ライオンズクラブロータリークラブ水産業界諸団体も真剣に議論したほうがいい。あなたたちの企業の未来がこのままでは危機に瀕することになる。優良な地元企業が減っていけば、根室の人口減少が加速する。

 くれぐれも市長の諮問委員会方式で閉鎖的な検討はやらぬように。それで前回失敗して、こういう惨憺たる事態を招いた。データに基づかぬ議論は無意味であるだけでなく有害。杜撰な議論で決めたら、ろくでもない結果がすぐに後を追いかけてくる。オープンな場で議論すべきだ。

 なにもしなければ、なるようになるだけ。根室の町から根室っ子が逃げ出し、地元企業は必要な学力をもった人材確保ができず、一つまた一つとつぶれていく。
 根室の未来は根室に住むわたしたちが変えなくて誰が変える?



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