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#4113 学力崩壊の実態:学力テスト総合B途中集計 Oct. 25, 2019 [71.データに基づく教育論議]

 学力テスト総合Bのデータが12校分集まったので、管内別にアップする。釧路管内の上位5校のデータがまだ集まっていないので、釧路管内の平均値は最終的には140点前後となるだろう。

注:「合計A」は五科目の単純平均値、「合計B」は得点通知票記載の五科目合計平均点である。


<根室管内>
  合計A 合計B 国語 社会 数学 理科 英語
別海中央中 127.2 124.3 30.9 34.3 17.2 23.1 21.7
広陵中 118.9 119.5 29.8 26.9 16.4 24.4 21.4
柏陵中 109.0 108.8 31.1 24.9 13.3 18.9 20.8
中標津中 107.1 107.1 32.2 23.5 14.5 20.4 16.5
啓雲中 106.6 106.5 27.9 24.4 14.4 20.9 19.0
平均値 113.8 113.2 30.4 26.8 15.2 21.5 19.9


<釧路管内>
  合計A 合計B 国語 社会 数学 理科 英語
景雲中 137.0 136.7 31.6 29.6 19.3 30.5 26.0
美原中 134.4 134.4 32.2 31.3 18.4 29.6 22.9
大楽毛中 132.4 132.4 33.0 28.3 19.5 27.7 23.9
鳥取西中 129.6 129.5 33.5 25.9 19.5 26.7 24.0
富原中 127.9 127.9 32.6 27.4 15.5 24.9 27.5
青陵中 125.6 125.5 31.6 27.5 16.6 26.6 23.3
共栄中 123.9 123.9 31.8 26.6 17.7 24.1 23.7
平均値 130.1 130.0 32.3 28.1 18.1 27.2 24.5

 根室管内と釧路管内で、五科目合計点に17点の差がある。釧路管内は上位5校のデータがまだ入手できていないので、最終的には五科目合計点が140点付近、釧路・根室の管内平均点差は25点ほどになると思われる。

 五科目合計点の最下位は啓雲中、下位3校を啓雲中・中標津中・柏陵中の根室管内勢が占めた。これら3校に共通しているのは数学が15点以下ということ。釧路管内は18.1点、根室管内の平均は15.2点、2.9点の差がある。根室管内でも、別海中央中の五科目合計点は127.2点と高い。
 もう一つ特徴的なのは、英語の点数である。根室管内の平均は19.9点、釧路管内は24.5点、4.6点差がある。根室は釧路に比べて幼児英語教育の盛んな地域だが、英語の学力という点ではプラスに寄与しているようには見えない。

 柏陵中(63名)と啓雲中(42名)は合わせて、105名が学力テスト総合Bを受験しているが、そのうち5点(60点満点)以下は37名(=25+12)、35.2%を占めている。三人に一人の割合で5点以下である。根室高校の高校入試は裁量問題だから、「大問1」の簡単な計算問題20点ほどが出題されないから、これらの生徒が根室高校普通科を受験すれば入試数学は零点である。20点以下は83人(=50+33)、79.0%である。約8割の生徒が高校普通科の標準的な難易度の数学教科書で学ぶことは不可能である。そういう事情を背景に、現在の高2の生徒たちから、数Ⅱが選択科目となってしまった。高校統廃合後の一年間の指導の実態を踏まえて、根室高校の数学担当の先生たちが、必修科目だった数Ⅱを選択科目にせざるを得なくなったのだろう。学力下位層はさらに肥大化しているから、数Ⅱを選択できる生徒は激減することになる。最低でも30点以上なければ標準的な難易度の数Ⅱの授業は無理だ。2校で14人(=6+8)、13.3%しかいない。2年次の選択科目の数Bは数年前に必修科目としたことがあったが、普通科110人の生徒の15%と仮定しても、16人くらいしか受講学力のある生徒がいない。
 進研模試数学で50点(100点満点)獲れたら学年5番目で全国偏差値60、進研模試偏差値50前後で学年順位16番くらいだろう。公立高校普通科の全国平均点くらいが学力テスト30点以上の層へ食い込めるということになる。そういう生徒は15%しかいない。 

 英語は20点以下が69人(=42+27)、65.7%、おおよそ三人に二人が20点以下である。
 基本科目で一番大事なのは国語であるが、20点以下は30人(=18+12)、28.6%を占めている。四人に一人強は教科書を読んで理解できない、つまり、予習できない学力層である。語彙力不足で授業内容も理解できないだろう。日本人なのだから、国語の点数が30点以下の生徒が59人(=33+26)もいるのは驚きだ。学力の基礎は「読み・書き・そろばん(計算)」だが、大事な「読み・書き」に問題を抱えている生徒が半数を超えている。
 五科目合計点が80点以下は42人(=27+15)、40.0%を占める。この学力層の生徒たちは将来正規雇用の職に就くのがはなはだしく困難と思わざるを得ない。そのほとんどが非正規雇用で職を転々とせざるをえない。外国人の単純労働者と職を競うことになり低収入にあえぐ。

<対策>
 「読み・書き・そろばん(計算)」は学力の基礎をなしている。小学校低学年では国語授業に週9時間割り当てられており、先生たちは何をしたらよいのかと時間を持て余し気味だと聞く。『論語』の素読の1時間、夏目漱石『坊ちゃん』や太宰治や中島敦の小説などに1時間、短歌と俳句に1時間、合計週3時間を音読トレーニングに使ってもらいたい。ただ読むだけでいい。テクストにはルビが振ってあるものを選べば、小学1年生でも大丈夫だ。俳句と短歌は視写させて「小倉百人一首」からはじめたらいい。これを3年間続けたら、「読み・書き」の基礎がしっかり造れる。
 斉藤孝の音読破シリーズ6冊がお勧めである。この本はルビが振ってあるから、小学生低学年でも読める。音読トレーニングを通じて、日本人が大切にしてきた倫理観や仕事観がなんであるのか知ることができる。そこが一番肝心なところだ

 中標津町教委と根室市教委さん、子どもたちの学力低下は食い止めることができる。人材枯渇による地域経崩壊も防げる。地域の未来は子どもたちの教育にかかっている。 


<大人の責任>
 根室のそして根室管内の子どもたちの学力低下を放置しておいてはいけない。これはこの地域に住むわたしたち大人の責任である。

<地域連携の必要性>
 根室高校では進研模試を実施している。2年生になると任意の受験になる。WinStepという問題集がベネッセから出ている。進研模試対策用問題集で、何に3回実施されるのに合わせて3回分の薄い問題集が科目別にある。1冊400円だったかな、本屋で頼んだら、とれないという。学校経由でないと買えないようになっている。3年生が質問した問題は難易度が高い良問だった。塾でも使いたいが、現状では手に入れられない。根室に住む子どもたちの学力を上げるためにも、こういう問題集が買えるように根室高校のほうで協力してもらえたらありがたい。地域の学力崩壊を食い止めるために、そして学力を伸ばそうと頑張っている生徒たちのために、高校と私塾がこうした面での協力体制をつくることが必要と思う。

 20校程度のデータが集まると思うが、あと2週間くらいお待ちいただきたい。


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