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#3408 ありそうな小噺(プリント授業の本音)  Sep.10, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

  ようやく秋晴れ、この一月ほどよく雨が降った。雨と霧で湿度はほとんどの日が100%だった。昨日(9/9)は最低気温14.0度、最高気温19.6度だった。最大瞬間風速31.7m。根室はすっかり秋、冬の跫(あしおと)が聞こえてきそうな朝だ。

(はなし):新しいおはなしというほどの意であろう。また話・咄(とつ)などを用いるが、それぞれ別の用法のある字である。咄を噺の意に用いるのも、出まかせのような意味を与えてのことであろう。みな近世以来の用法である。・・・『字統』より

 ブログ「情熱空間」がプリント授業を揶揄した(からかった)「小噺」を掲載しているので紹介します。
 引用文のあとに、わたしのコメント《不便のありがたさと14年の歳月》が載せてあります。そこで学校の授業の変わりようと、便利なプリント授業の学力への影響に言及していますので、ついでにお読みいただけたら幸いです。
 学校の授業のやりかたって生徒たちの学力へ影響が大きいのです。真摯に読んでくれる素直な先生たちが多いことを期待しています。
 
*http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8569022.html
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2016年09月09日

ありそうな小噺(プリント授業のホンネ)

いえね、不評なんですよ、書かせるとね。「手が痛い」だの「もう書きたくない」だの、すぐにブーたれるんですわ。おまけに書くスピードがまたすごく遅いんですわ。しまいにゃ、「こんなにノートに書かせる先生なんか嫌いだ!」とか真顔で言われちゃうんですよ。あなただったらどうですか?嫌でしょ?子どもに嫌われたら?ええ、嫌われたくなんかないですよ、私もね。

それにですね、服が汚れちゃうんですよ、チョークでね。書いては消す、書いては消すを繰り返していたなら、白チョークだけだとそうでもないんですけどね、黄色や赤も混ぜると、黒板の下側に溜まった粉が黄土色みたいになってですね、それがシャツやらズボンの太ももの上とかにくっついたりしちゃって、洗濯でもしなければ落ちないんですよ、うんうん。クリーニング代、別に欲しいぐらいなんですから。

おまけにですね、黒板に書いているとですね、そりゃやっぱり手が疲れるんですよ。そのうちに腱鞘炎にでもなりそうで、それって労災でしょ、労災?おっと違うか、公務員の場合は公務災害か?いずれにせよ大変なんですよ、黒板に書くってね。頻繁に手を洗わなきゃならないしね。そうそう、けっこう荒れるんですよ、手がね。ハンドクリームなんか手放せないし。で、さっきも言いましたけれど、トロいんですよ、子ども達の書き写しがね。おまけに、ブーイングの嵐だし。精神衛生上よくないでしょ?そういうのってやっぱり。分かりますか?そうそう、チョーク代だってもったいないしね。

その点、プリントで授業をやるとすごく楽なんですよ。自分でプリントを作るわけだから、そりゃ授業はやりやすいですよ。なにせ、私自身が解答ですからね。教科書なんか必要ありません。ええ、一応、最低限はプリントに網羅していますからね。はいはい、そうそう。穴埋めですよ、穴埋めね。子ども達には、配ったプリントのカッコ内のみ書き写させるんですよ。ご名答!そうするとお互いに楽なんですよ、お互いに。

こっちは、書くのは最小限で説明の時間を長く取れるし、あっちは必要最小限の書く労力で済むので、ブーたれることもありませんからね。精神衛生上も、とてもよろしいんです。服も汚れない。チョーク代もかからない。頻繁な手洗いも必要ない。ハンドクリームも不要。黒板消しクリーナーの掃除の頻度も減る。こっちは書かなくて楽。あっちも書かなくて楽。ただプリント代はかさむと思いますけれど、楽ですよホントにね。

それに、プリントって一度作ったなら使い回しができるんですよ。便利ですよ。何年か一度に教科書って大改訂があるんですけれど、その間、ほんの少しの手直しで使いまわせるんですよ、ええ、便利でしょ。ただ、初年度はひたすらにプリント作成に時間が食われてですね、いわゆる教材研究なんか、そんなもんやっている暇なんかありませんよ。で、ですね、使ったプリントをですね、ノートに貼らせるなり、ファイルに綴らせるなりしておけばいいんですよ。

そいつをですね、たまに回収してですね、そうしてチェックを入れるんです。はい、ノート検査ですよ、ノート検査。私の言ったとおり書き入れ、言ったとおりメモを書いておき、言われたとおり順番に綴っていたならば、評定はAなんですよ。楽なもんでしょ?言われたとおりやっていればいいんですから。そしてですね、試験前にはそれを取り出してもう一度見直してチェックすれば、そうそうそう、試験勉強のツールにもなるんですよ。「次の定式試験は、プリントから80点分を出すよ」とか言ってそうすれば、楽ですしね。どうです?すばらしいでしょ?

自分が作ったプリントで授業を進め、それをノートに切り貼りさせたり綴らせたりする。快感ですよ、ええ、けっこうな快感。「ちゃんと綴らなかったら、ノート検査の評価を下げるよ」とひとこと言っておけば、できの悪いプリントでもみんなちゃんと従いますからねぇ。だから、なんだかすごく偉くなったように気になれるし。それに、あれあれ、よく言うでしょ?「手作り感があるプリントは、先生の愛情を感じる」とかって。まぁ、そっちは昭和の時代、手書きのガリ版の補充問題プリントですけれどね。

ん、教科書外の発展内容ですか?いえ、ありませんよそんなのは。教科書内容だけで十分でしょ、そんなのは?は、上位生にはそれだけじゃ足らないだろって?いや、塾に行っている子は塾でやるのだろうし、悪いけどそこまでは知ったことではありませんね。え、入試問題を意識しているか?学力試験の問題等を意識しているか?しつこいですねぇ、あなたも。してませんよ、そんなの。教科書内容だけで十分でしょ、そんなの。塾とは違って公立学校なんだからさ。

そうそうそう、進度を稼ぐのってですね、それって本当に大変なんですよ!ゆっくり丁寧に分かりやすく授業をやっているんだから、それでなくとも子どもらはできが悪いし、さっきも言ったけれど、書かないし書かせたならブーたれるし、そもそも書くのがやたらに遅いわけだから、こうでもしなきゃ進度を稼げないんですよ、ほんとにね。

ぶっちゃけ言いますけどね、あんなもん、教科書内容の6割とかせいぜい7割とか網羅しておけばいいんですよ。どうせやってもできない子はできないんだし、できる子は塾でやっているだろうし、いわゆる応用・発展ってのは端折っちゃっても、親からも子どもからもクレームなんかきませんからね。「裁量問題は難しいから、公立中学校では対処できませんよ」とか言っていればいい。で、プリントで巻いて授業を進めちゃえば、あら不思議。煙に巻いて、それでいて進度を稼げるんですよ。どうです、なかなかすごいでしょ?

ん、書かせないから書かなくなるんだろ?小中で書かせなかったらどうなるんだ?だから学力が低いままなんだろ?そうきましたか…。それ、私のせいなんかじゃありませんよ。だって、来る子、来る子、みんな書かないんだもん。小さい頃から、小学校の低学年の頃からそうなんだろうから、こうでもしなきゃ、またブーたれるわ、さっきも言ったように、こっちだって色々と都合ってものがあるんですからね。

それにですよ、周囲の同僚だってみんなプリントで授業をやっているんですよ。まぁ正直、「この内容じゃ薄すぎるだろう」とか、「ずいぶんとまた端折っちゃっているなぁ」とか、「そこ、ポイントずれてない?」とか、「教科書の太字部分だけかよ?」とか思うこともありますけどね。だからいいじゃないですか、プリント授業で。私だって、板書のやり方、先輩に教わったことなんかないんですから。そうそう、ウチの教育センターもですよ、ワークシートを奨励、おっと、ワークシートというと聞こえがいいですけどプリントのことですよ。プリント指導を奨励しているんですからね。実に心強いじゃありませんか。

でもねぇ…。いえね、本心はですよ…。板書じゃないプリントオンリーの授業、これじゃダメだって思っているんですよ、本心ではね。内容だって、まだまだこんなのじゃダメだって思っていますし。でもねぇ、正直、自信がないんですよ。だって、習ったことがないんですよ。教わったことがないんですよ。教科書を手に持って、板書主体でやる授業のやり方って…。ごめんなさい、だからできる自信がないんです…。算数・数学なんかでは年にノートを5・6冊は使うという猛者の先生方もいるけれど、あんな芸当は私には無理。だって、授業の間(ま)がもたないんだもん。

おっと、気がつけばもうこんな時間に!帰ってまたプリント作んなきゃ。没頭してプリントを作っているとですね、自分の世界に入って自己満足できるので、できの良し悪しはどうあれ、なんだかとってもすっきりするんですよね~。じゃぁ、そういうことで!

●教科書不使用&プリント授業の弊害(上位生の枯渇)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8568420.html
●書かない子を量産する北海道
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8567810.html
●釧路という異国(ノートをとらせない学校)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8567315.html

《追記》
とくとご覧ください。これが釧路の某小学校1年生の学校のノート。ええ、なんとなんと義務教育スタート時からしてこれですよ、これ。これが9年間続けられたなら、この子はどうなってしまうのでしょうか?まさに「釧路という異国」であります…。

NOTE-LAST













一方、こちらは某県の小学校のもの。同じ義務教育でこの違い。某県ではきっちりとしたノート指導が。我が地ではガビガビのブカブカの得体の知れないものを作成させることこそがノート指導とか。看過できませんね、こんなバカなことは。

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《追記2》
あなたはなぜ、プリント主体で授業を進めるのですか?以下、3つ以上チェックがついたなら「完全にやられちゃって」います。今すぐそこから離れ、まともなメンター探しをすることを強くおすすめします。

□授業進度を稼げるから。
□学習内容を端折れるから。
□時間が足りないから。
□板書授業が苦手だから。
□書きたくないから。書くのが面倒だから。
□字が下手なので極力板書をしたくないから。
□昔、塾でそのような形式で習ったから。
□先輩や上司からそうするように指導を受けたから。
□自己満足から。
□自分の作るプリントこそは最高だと思うから。
□書かせると抵抗され、精神衛生上よくないから。
□切った貼った&綴ったをやらせるのが快感だから。
□教育大附属で流行っているらしいから。
□そんなこと、考えたこともありません。
□周囲もまたそうだから。
□一度作れば使いまわしできるから。
□プリント作りが趣味になっているから。
□教科書を使いたくないから。
□教科書が嫌いだから。
□教科書を使ったことがないから。
□教科書よりも自分の方が上だと思っているから。
□作ったプリントを賞賛されたいから。
□それが普通のことだと思っているから。

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  小寺さんの投稿が面白かったので本欄へアップします。

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 いやー、この小咄は面白い。
 私にさせてくれたら寄席以上の面白い講義をできそうです。
 水を飲みたくない馬に水を飲ませることはできません。プリント配布したい先生に、プリントを配布させないことはできません。綺麗にプリントを貼って、スクラップブックを作る練習をしている子供に、プリントを貼らせないことは無理。
 笑えました。でもここからが天邪鬼の嘘つきkoderaの領分。プリントを綺麗に貼る生徒をまともな大学受験性に育て上げ、まともな大企業に合格させる手を考えます。
 困難だから面白い、誰もできないことらしいのでしてみたいだけ。もっとも、犬を育てることに比べたら、人の子など簡単。言葉でも騙せるから。
 騙しや小咄ができる学校の教師を育てたらいいのかも、何て夢を見そうです。面白い話が聞けました。長生きはするものです。南無阿弥陀仏。
by tsuguo-kodera (2016-09-10 17:29)
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《 不便のありがたさと14年の歳月 》
  根室でも、この7年間ほどでプリント主体の授業が増えました。中学生のいるお母さんたち、かばんの中を見て御覧なさい、分厚くなったプリント・ファイルが入っています。綴じ込み式でないファイルもあるかもしれません、順序もばらばらのプリントが見つかります。発展的な内容が書かれているかどうか、プリントの内容もご覧ください。もちろん、教科書を使ってプリントを多用していないちゃんとした先生の方が多い。
  あ、ついでにノートもご覧ください、コピーがたくさん貼り付けられてガバガバになっていなければ幸いです。
 根室へ戻ってきて塾を始めて14年目になりましたが、生徒たちがかばんの中に入れているプリントが増えました。お母さんたちの時代に、ノートにコピーを貼り付けるなんてことはしなかったでしょう、コピー代が高いからできなかった、手で書きましたよね。書いてそれを何度も見たり音読して覚えた。
 書かなくていいようになりました。便利な時代になったのです、学校はいくらでもコピーやプリントをくれます。「これ貼っておけ!」と指示までしてくれます。書かないから、見ない(読まない)・音読しない、つまり「まとめられない」、「覚えない」、「覚えられない」ということ。学力が低下するわけです。
 電話もメールもオンラインゲームもできて手のひらに乗るコンピュータ(スマホ)すら、ほとんどの中高生がもっています。
 教育に関する限り、あまり便利になるのは考え物です。


*#3407 ノートをとる必要がないプリント主体授業増殖中  Sep. 8, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07

 #3408 ノートをとらないプリント授業の副作用は社会人になってから現れる Sep. 9, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-09


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#3377 ニコニコ顔の生徒:終業式の日 July 26, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 市街化地域の3中学校は終業式の日程が先週金曜日(A中)と昨日(7/25、B中)と今日(7/26、C中)に分かれている。

<入塾11ヶ月目の生徒>
 弊塾の中2生は4人だが、昨年9月に入塾した生徒が昨日5時少し前に来て勉強を始めた。
 「終業式いつだっけ?」
 「今日だった、先生、数学上がった、5になったよ
 とニコニコ、心の底からわいてくるような笑顔にこちらも微笑んでしまった。「共感」とはこういうことか。

 数学と英語の点数が低くて、大切な友人の一人の紹介で、1年生の夏休み明けから来た生徒である。塾は初めてかと思っていたが、半年ぐらいたったところで前にある塾へ通っていたことや、あったことを話しはじめた。こころが深く傷つくことがあった。助けてほしいと差し出した手を切り捨てるに等しいことをしたことに気がつけぬことがあるとすれば、先生という職業はじつに怖いものだ。
 人生は苦難と歓びに満ちており、そこに船を浮かべて渡り切らねばならないのだから、生徒は何事にもめげない自分を創り上げるパワーをもち続けてもらいたい。苦難の後には歓びがある、今回の5もそのうちの一つ。
 10人いれば、2人が良い塾だと思い、7人は親に言われたので仕方なく通い、1人は何かがあってその塾が嫌いになる。嫌いになるには一人ずつそれぞれ具体的な事象があり、理由がある。そういう困った問題が生じたときには、無理をしないことだ。人口減少が進んでもこの町にタイプの異なる塾がいくつかあるのが理想だとわたしは考える。だから、ニムオロ塾はできるだけ他とは違うユニークな塾でありたい。似たような塾では生徒たちの選択肢を広げることにならない。
 いろんな生徒がいるし、いろんな先生がいるから、相性の問題も成績を左右している。タイプの違う塾がいくつか町にある体制を維持するのは大人である私たちの義務ではないかと思っても、生きている限り老化は進み、次第にポンコツになっていく自分がある。いずれ消え去るのである。
 入塾時の面接で、「3ヶ月だけ先生の言うとおりにやってもらうよ、やれなければ3ヵ月後はさようならだ」と本音を伝えてから、話題を生活習慣に向けてチェックしていく。この生徒はスマホとテレビ漬けになっていた。学校から帰ってきたら、スマホとテレビを見る前に勉強することを約束させた。「3ヶ月間だけ辛抱すること」、大人が酒やタバコをやめるのと同じくらいたいへんなのだが、そこをクリアできないと、どんなに教えても「糠に釘」となり成績は上がらないことも正直に伝える。生徒の生活習慣を変えられずに何度か痛い思いをしたことはあるのだが、変わると信じてやっている。

 通塾効果を上げ、学校の授業が理解できるようになるからと、予習方式で学習をやることになると説明し、その通りにやり続けたから、学校の授業で先生の説明することがわかるようになったと喜んでいた。予習は徐々に独力でやれる範囲を広げていくことになる最終目標はサポートなしに独力で予習できることいつまでも塾先生に頼ってはならぬ
(中1の五月から8ヶ月間通塾してめきめきと学力をアップし、学年一番を2回とった後に退塾した生徒がいた。高校時代も部活をやり通し早稲田大学へ進学した。なかなかこういう風にはいかないが、理想型のひとつではある。I君、どういう社会人になるか楽しみだ。)
 生活習慣も改まり、午前1時・2時までテレビを見ていたのをやめ、12時ころに寝るようになった。
 今ではすっかり生活習慣が整って、勉強するのが楽しいという。学校の授業も楽しいはずだ、あらかじめ学習し、問題も解いているから、何を言っているのかよく理解できる。勉強しているときに「生きてる、充実してるって感じる」んだそうだ。「先生、わたし青春してる」っていうので、彼氏ができたのかとびっくりしたが、そうではなくて、勉強する楽しさが実感できて、成績が毎回上がっていくのがうれしいという。ニムオロ塾は生徒が変わるきっかけを提供できるだけ、生活習慣を変えたのは生徒自身である

 生活習慣を切り替える⇒「勉強が先、スマホやテレビは後」⇒授業がわかる⇒成績が上がる⇒勉強が楽しい⇒成績がさらに上がる⇒うれしい!⇒勉強に熱が入る

 この11ヶ月間、テストのたびに学年順位が上がり続けた、珍しいケースである。1学期の期末テストの学年順位はいままでの最高をさらに更新した。これからがきつい登り坂であるが、頑張り通してもらいたい。11ヶ月で3から5にあげた、おめでとう

<入塾4ヶ月目の生徒>
 個別指導なので生徒の来る時間帯は選択できるようになっている。もう一人の2年生が7時半に来たので、数学の評価を訊いてみた。
 「先生、5になった
 部活を一生懸命にやっているこっちの生徒もアップしていた。入塾時に「文武両道、勉学優先」、そして「予習方式への切り替え」を宣言した。4月から来ているから4ヶ月だが、よくがんばっている。
 そそっかしいところのある生徒で、ケアレスミスがよく出ていた。調子に乗ると計算速度が大きくなるので、ケアレスミスにはお構いなしにどんどん問題をやらせた。速度があがれば集中力もアップするから、この生徒の場合はケアレスミスは自然消滅すると読んだ。小学生が書くような大きな字だったが、中学生にふさわしい小さな字で筆算するように何度も注意した、イコール記号も「こ」の字になって上下が大きく離れていたが、きちんと間を狭くして書けるようになった。gjqyの小文字はちゃんと一段下げて書けるようになった。小うるさい指示にもよくしたがって、自分の癖を改める努力をした。結果の出るのが早かったのは素直な性格が幸いしたからだろう。砂地に水が染みとおるように指示にしたがって動けるのはご両親の躾けかたがよかったからだろう。数学が大好きになったと、一月ぐらい前に言っていた。次の課題は英語である。数英が5になれば、鬼に金棒。そこがクリアできたら、第三段階へ進める。一人ひとり、性格と速度を確かめながら、階段を昇ってもらう。4段階までくれば昇っていたのは階段ではなくて山であったことに気がつくだろう。

<計算速度の差と学力>
 2年生で計算の基礎をがっちり作っておかないと、高校生になってからの副作用が大きい。中学時代の計算トレーニング不足で、ちょっと複雑な計算を伴う文章題が、とんでもない難問題に見えてしまう高校生が少なくない。そして難易度の低い定期テストですら、計算時間が足りなくなり全問解くことができない。根室高校普通科では定期テストの問題を全問時間内にやり終える生徒は20%はいないだろう。中学時代の計算問題消化量に不足があったからだ。速度を上げるトレーニングが必要だが、そこを意識して授業をやっている中学校の数学担当の先生が何人いるだろう?
 高校数学は計算力も要求しているから、中学時代に教科書準拠問題集の計算問題は全部消化しておくだけでなく、塾用の問題集の計算問題も一題も漏らさず全問やるべきだ。ただ、計算速度の遅い生徒は教科書準拠問題集だけで手一杯になるから、計算速度をアップするトレーニングも並行してしなければならない。同じクラスで、上位3人と下位3人では、計算速度に10対1くらいの差があるわたしが2年前に測定したときには速い生徒と遅い生徒の計算速度に30対1の差があった計算の速い生徒が30分勉強したら、遅い生徒は15時間勉強しないと同じ問題量を消化できない計算速度の大小が学力に決定的な差を生むことが理解できるだろう

<部活二つ掛け持ちの生徒が抱える問題>
 遠征でお休みだった生徒がいる。部活を二つ掛け持ちしているので、読書時間がとれないし、勉強時間も少ない。読書量が少ない生徒は国語力に弱点があり、ほかの科目の伸び代が小さくなるので要注意である。
 最近はすこし家で勉強するようになったようだ。部活を掛け持ちしている限り、生活パターンは変える余地が小さいから、読書時間も家庭学習時間もほとんどとれない。したがって、予習方式への切り替えもできず、復習に追われるから、学校の授業の理解度もあげられない。
 数学の成績が急激に上がりだすのは、復習方式でやっているのを予習方式に切り替えたときからである。それができなければ成績の急激なアップは期待できない。部活を片方整理できないのなら、効果がないから塾はやめてもいいのではないかと思う。連立方程式の計算問題に手間取っているので、このままでは次の1次関数の章の問題で挫折するから、2週間ほど毎日塾へ来て勉強するように親と調整した。週に4回、2ヶ月間くらい補習したいのだが、部活が二つではそれすらままならぬ、どうやっても時間が取れない。独力で家で学習できるほどの力がついていないから、わたしのサポートが必要なのである。理解できないところが頻出するので、しっかり説明して理解させる必要がある。
 別の見方をしてみることがある。勉強だけが人生ではないというのも一片の真実を含んでいるし、がんばっても全員の学力が上がるわけではない、向き不向きもある。
 この生徒は塾へ来ている時間はとにかく一生懸命に勉強するように最近変わった、そこがメンコイのである。もう少し様子を見て、それからお母さんを交えて休塾という選択肢を含めた具体策を話し合わなければならない。この生徒に文武両道は無理と判断している。二つの部活を抱えたら「文」の時間が取れない。とことん部活をやって、成績がいまより下がれば、そのときは部活を整理して、もう一度勉強しに来ればよいのである。「仕切り直し」が必要かどうかを見極めなければならない。

<学年トップを走り続ける生徒>
 今日終業式の中2の生徒は1学期期末テストの五科目合計点が480点を越えている、数学は満点だから相変わらず5だ。1年前のお迎えテストから9回連続して学年トップだが、480点超えは初めてだった。2位との差は広がる一方であるから、成長はしている。「五科目はオール5だったよ」と報告があった、「あたりまえだ、君の場合はわかっているから報告はいらないよ」と伝えると、「がんばったのに」とふくれてる、からかうのが楽しい。
 そういう生徒でも問題や課題はある。根室の中学校内での学年順位はどうでもいいと何度言っても、ダメ、この点だけは譲るつもりがないらしい、頑固な生徒だ。(笑)
 わたしはこの生徒の指導上の目標をとりあえず全国レベルの偏差値70(河合塾:慶応経済、早稲田政経)超においているから、根室の中学校の学年順位はどうでも良くて、そんなことよりも年内に中3の数学と英語を終了して来年早々から高校数学と英語の特別演習をはじめたい。それには勉強時間量が足りない。このままでは土日に勉強時間をとれないことが大きく影響してしまう。全速力でやれば、1年間で2年分消化できる、その程度の能力はあるのでチャレンジさせたい。中学3年の終わりまでに、数ⅡBと高校英語の教科書3年分を終えたいのだ。できれば英字新聞記事の読み方も伝授しておきたい。難関大学の2次試験対策である。いつまで塾をやれるかわからないから、少しあせっている。準備運動期間はそろそろ終了にしたい、そろそろ本気でやりたい。ついてくる気があるなら、戦略学習の威力を体験することになるだろう。「さて、どうしたものかの~う」。
 そろそろ親離れ・子離れの時期であるとは思うが、こちらの考えている方向へと生活習慣を変えるには両親の協力がなければ不可能、摩擦熱が生じそうだ、家庭の方針もあるから折り合いをつけなければならない、う~ん、要相談。東京とは違って、この辺りがなかなか難しいのである。20代の後半に3年間東京の進学塾で教えたときには、保護者はこちらの方針を例外なく受け入れてくれたが、根室の常識はだいぶ異なり、同じようにはいかぬから、それも含めて楽しめということだろう。ふるさとに在ってはふるさとの流儀に従え、しかし、枉(ま)げてはならぬものがある。(笑)
 生徒自身と保護者の理解と納得を前提に、目標と教育戦略を確認していく。それぞれに「山あり谷あり」でよい。ベストと考えることをやるのはたいへんだから、保護者の意向通りでいいではないかと耳元の辺りで飛んでいる蚊のごとく悪魔が囁く。うるさい、シッ。(笑)
 わたしも頑固な生徒と同様に、納得のいかぬ仕事はしたくないのだから、始末が悪い。職人とはすべからくそういうもので「知の職人」も例外に非ず、自分の中にいる「知の職人」は、頑固なところと融通無碍なところを併せ持っているようで、何が出てくるのかさっぱり読めないからじつに扱いにくい。(笑)

<fact:中2の4人中3人が数学5>
 たった4人の中2の生徒の内、3人の生徒が数学の成績「5」はうれしい、二人アップして5へ滑り込んだ、よくがんばった。
 式の展開と連立方程式が範囲だから、1学期期末テストは計算がほとんどで、文章題が少しだから、しっかりやれば成績3の生徒でも5にアップすることはある。
 問題は夏休みの過ごし方だ、ここで1次関数や平行線の章、三角形の合同証明の章を予習できたら、2学期も5をとれる。2学期5なら3学期も5ということになるだろう。
 こうしてまぐれでいただいた評価5が、2年生が終わるころに本物の実力を備えた5に変わるかどうかは、これからのさらなる精進が決める。階段をもう一段昇ることができるだろうか?
 わたしはお酒の熟成を見守る杜氏のような気持ちである。杜氏の役割は、丁寧に米を磨ぎ、蒸して麹と混ぜ合わせ、温度管理をしっかりするだけ、そこから先は天の御業、できることは何もない、醗酵に任せるのみ。米と麹と水が良好な化学変化を起こして好い酒ができるのが楽しみ。樽ごとにそれぞれ違う味わいの酒になることだけは慥(たし)かである。

<チャンピオンデータ例:相性がよいケース>
 過去にあったチャンピオンデータの内の一部を紹介しておきたい。
 2年2学期の学力テストが0点で入塾した中2の女生徒が、2学期期末テストで88点取ったことがある。部活指導の先生に事情を話して、1ヶ月部活を休んで放課後はまっすぐに塾へ来るように言い渡した。もう一人10点台の友達を連れてきたが、一緒に勉強して2学期期末テストは75点だった。二人ともよくやった。一緒に来たほうは、できないので先生に頭をゴツンとやられてカチンと来て塾をやめたと言っていた。よほど相性が悪かったのだろう。二人の成績が急に上がったので、A中学校の数学担当のY先生がびっくりして生徒に「何をしたの?」と尋ねたという。「ニムオロ塾で勉強しました」と答えたそうだ。
 魔法があるわけではない、わからないところを見抜いて丁寧に1ヶ月間個別指導しただけだから、誰にでもやれる。しいていうと、教えたわたしではなく、毎日学校の授業が終わるとまっすぐに塾へ来て1ヶ月間熱心に勉強してくれた二人の女生徒に成績アップの原因がある。C中学校でも短期間で似たような変貌を遂げた女子生徒が二人いた。たまにこういう生徒がいる。
 12月に塾を開いて一番最初に来た三人の6年生のうち、一人がどうしてもすぐに見てもらいたいという。半端だから、3ヶ月待って中学生になってからでいいでしょうと断ると、執拗に食い下がるので理由を聞いたら、塾へ通っているのに文章問題が零点だった、だから塾を変えたいという申し出だった。頭のよい生徒でもそういうことがある。その生徒は数学がすぐにできるようになり、中学校では学年順位が10番以内、そして大学へ進学した。単に相性が悪かっただけのことで、頭のよい悪いの問題ではなかった。進学先は法政大学だった。

 先生との相性というものはある。ニムオロ塾だって以心伝心、相性がよろしくないと感じることはある。そういう時は塾を変えてみることだ。よければその塾で勉強すればいい。変えてみてもとの塾のよさがみえることもあるから、そういう時は戻ればいい。どの塾の先生だって全部の生徒が自分と相性がいいなんて思わないから、にっこり笑って「お帰り」といってくれる。

<数学が5になれば、半年後に英語も5になるケースが多い>
 数学が5に上がった生徒は半年遅れくらいで、英語も5になるケースが多いのは生活習慣が変わり、勉強の仕方が身についてしまうからだろう。英語のほうは、子音の発音トレーニングや音読トレーニングからはじめなければならないから、ちょっと時間がかかる。英語の音読が下手な生徒は日本語の音読も下手だ。そういう時は日本語の音読トレーニングもやらなければならない。とにかく、問題が見つかったら、トコトンそれを取り除いてやる覚悟が必要である。
 数学が今回初めて5になった生徒二人は、夏休みの勉強しだいで2学期には数学と英語の両方の成績が5になるかもしれない。学力の伸びに、いま勢いがある
 数学も英語も2年生の2学期から急激にむずかしくなるので、そこで点数を上げられたら、実力は本物に替わる。本当は英語のほうがずっとやさしいのだよ、でもとことんやりだすと数学と同じように奥の深いことがわかり始める。
 さて、中2の4人は2学期それぞれどういう成長を見せてくれるのか、わたしは目が離せない。
 塾をやるのもあと数年のことだろうから、少ない人数を相手に一人ひとり丁寧に教えたい。 

<余談:がっくり肩を落としていた生徒>
 学年順位が今までで最高だった三年生がいる。割合でいうと、上位25%の辺りの成績だ。期末テストの順位が過去最高だったのに、五科目全部が3だったとがっくり肩を落としていた。担任の先生から提出物が遅れたことが響いたといわれたようだ。その生徒よりも数学と英語の点数が低い生徒たちが何人も4をもらっている。努力を見ていたからこそ、かわいそうだった。

 「負けるな、こんなことぐらいでめげるな、○○が頑張っていたこと、そして結果を出したことは教えているわたしがよく知っている、次回はもっと高い得点をたたき出してみろ。こういうときこそ一心に勉強に打ち込め!」

 帰るときに少し元気が出ていた。意気消沈したまま帰したくなかったので、ほっと胸をなでおろした。

*#3035 根室から難関大学へ進学する場合にやるべきこと Apr. 29, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-28

 #3375 高2 英文多読演習にチャレンジ  July 23, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23

 #3376 高3 受験生の夏 July 24, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-24

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#3367 授業参観への関心が薄いのはどうして? July 17, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 先週、中学校で授業参観があった。生徒に状況を聞いたら、3年生のあるクラスは10人以下、2年生のあるクラスは4人だったという。最後の懇談会に残ったのは2名だけ、ちょっと寂しい気がする。
 東京にいたときに一度だけ中学校の授業参観をしたことがある。35~40人学級だったが、後ろは保護者でいっぱいだった。東京郊外で、とくに教育に関心が強い地域ではないが、授業参観後の懇談会でも20人程度は参加していたとは女房の話。授業参観している保護者の中にはたまに一流大卒もいる。どこの大学を卒業できるかで、就職先企業のグレードが違うから、首都圏の親たちは学力に関心が強いことは事実だろう。上場企業の本社のほとんどが東京にあるから、「本社エリート」の数も地方に比べると圧倒的に多い。根室の子どもたちも7割は根室から出て、就職せざるを得ない。半数程度は首都圏の競争の激しいところで戦うのである。
 高校を卒業してから十年位して、小学校のときの同級生が葉書を寄こして東京へ出て来るといってきたが、力になってやることが出来なかった。どこにも伝(つて)がないから苦労したと思う。根室から東京の大学へ進学した者はみんな何の伝もなく、社会人となって自分の道を切り拓いてきた。そこそこの大卒でなければ、選べる職業はかなり制限される。まあまあの業績の中小企業へ就職するのだって、競争をくぐりぬけなければならない。

 数分の一しか保護者が来ないということは、教育への関心が根室は極端に低いと判断してよいのだろう。
 懇談会への参加も極端に少ないということは、学校の先生と話をする必要を感じていないからだろう、学校へ預けっぱなしでよいと思っている保護者が多いということ。
 こういうのを「ネグレクト(無視)」という。家庭内での「ネグレクト(親が子どもを無視すること)」は欧米では児童虐待で犯罪である。保護者が学校をネグレクトしている、こんな地域は珍しいのではないか。学校側ではどう受け取っているのだろう?反応がほとんどないのだから、張り合いないことは想像がつく。

 家庭がこういう状況では、市議会議員たちが教育に関心が薄いのも無理はないし、学力問題は票にも結びつかない。しかし、地域の未来を左右するのだから市議は教育へ関心を寄せてもらいたい。
 経済団体も教育への関心が薄い、だから地元企業の経営改革も進まないし、地域全体の地盤沈下がとまらない。(釧路は経済団体も市議会議員も学力問題への関心が非常に強い)
 水産業も、ロシア海域でのサケマス流し網漁が禁止になったから、引き網漁への転換を急がなければならない。漁の方法や船の改造も含めて、問題に対処するには学力の高い有能な人材が必要である。そういう人材が不足しているから、いま水産業界は右往左往するばかりでジリ貧になっている。30年前に学力問題に目を向けて、地元水産会社が経営改革を進めて、人材育成を図っていたら、もっと軽やかな対応が出来たはず。いま学力問題に正面から取り組んでおけば、24年後の2040年に人口が1.8万人に減少しても豊かに暮らすことが出来る。
 
 せっかく授業参観日を設けても、参加する保護者が少なく、懇談会にも数名しかいなければ、一部の授業に問題があっても批判の声がでないし、ある先生がすばらしい成果を挙げてもほめてくれる保護者もいない。保護者による学校教育のネグレクト、反応がないことが一番始末におえない。
 東京都では通学する公立中学校を選べるから、学力で評判の悪い学校は生徒数が減って「自然消滅=廃校」になる。学校選択制ではない根室はどんなに学校が荒れても生徒が減るなんてことがない。学力問題に真剣の取り組み成果を挙げても、生徒が増えるということもない。やってもやらなくても同じ、保護者の関心も薄いとなれば、意欲をなくす先生が増える。なんとかしよう。

 根室の市街化地域の中学校は数年後に3校が1校に統合される。
 教育へのこの異常な関心の低さ、さて、どこから手をつけたらよいのだろう?

 誘い合わせて、授業参観にもっとたくさんのお母さんたちが押しかけてください!
 学校教育に関心を持っていることを行動で示そうではありませんか。



*#3366 「一流の育て方」から:母親視点の正論 July 16, 2016  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16


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#3366 「一流の育て方」から:母親視点の正論 July 16, 2016  [55. さまざまな視点から教育を考える]

 小学生低学年のときの家庭学習を含む躾の重要性を何度も書いてきましたが、ZAPPERさんが面白い本を紹介してくれていますから、教育に関心のある根室のお母さんたちに広くお読みいただきたい。

ブログ「情熱空間」より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8518496.html
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2016年07月15日

ダイヤモンド社「一流の育て方」から(母親視点の正論)

おもしろかったです。「一流の育て方」(ダイヤモンド社/ミセス・パンプキン、ムーギー・キム著)。塾経営者としては言いたくてもなかなか言えない(笑)、しかし核心を捉えた記述を抜粋引用しましょう。

中高生の子どもが「勉強しない」と嘆く親御さんの話を聞いていますと、小学生のときに、何も手を打っていないことが多いものです。そのような親御さんに多いのは、自分の行動が、子どもの将来にどれだけ重要な意味を持つかという認識に欠けていることです。

育児中の親で忙しくない人はいません。しかし子どもが勉強しないと嘆く親御さんほど、自分はいつもテレビにかじりついているか、お付き合いなどで外出していることが多いものです。つまり、親自身が「子どもの教育第一」の生活をしていないのです。「子どもが勉強したくなる環境づくり」を最優先に考えて自分の時間配分をしている親御さんの子どもさんとは、ここでまず大きな差がつきます。

(中略)「勉強しなさい」と言葉だけで強要し続ける親御さんは私の周囲にも多いものですが、やがて「お願いだから勉強して」とか「頼むから勉強して」という言葉が加わるようになります。そのようにお願いしている時点で、それが「親から子へのギフト」だという発想がなくなっています。そして勉強嫌いの子どもが、「親のために勉強をさせられている」と勘違いすることにつながるのです。

(中略)子どもにとって最も大切な勉強環境とは、そばにいる親自身が「学習習慣」を持っていることです

(中略)親は何も努力せず、子どもの指導を塾や家庭教師に丸投げして、言葉だけで勉強を強要しても効果はありません。子どもが自然に学習環境を持てるように、親自身が日々の行動で見本を見せてあげたいものです。

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おもしろい本でありました。我々が言ったり書いたりすると波風が立つ部分ではありますが(笑)、中室牧子さんの『「学力」の経済学』もそうですが、主婦として、また子どもの母親として正論を述べていただけると、とっても助かる!などと思う次第であります。いえ、本当に。(^∀^)
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〈 ebisuの一言 〉
 母親が教育に関心をもち、小学校低学年の内に家庭学習習慣や挨拶、返事の仕方、箸の持ち方、鉛筆の持ち方、座る姿勢、歩き方などをちゃんと躾けることができるかどうかが、子どもの将来を左右していることに案外気がついていません。
 母親の役割の重要性を考えるとき、性差による役割分担は自然なことであり、子どもを生んだら10年間は育児に専念してもらいたい、目指すべきはそうした余裕のもてる社会です。
 いわゆる「男女共同参画社会」は欧米の社会類型であって、日本の文化的伝統とは相性が悪いのです。

〈 余談:この本の評価 〉
 この本には「ビジネスでも勉強でもずば抜けて活躍できる子を育てる」という副題がついていますが、ビジネスで活躍できるという実証データがほとんど存在していないというレビューがいくつかありました。大学生へのアンケートと、そこに書かれた数行のコメントを取り上げて論じた本のようです。
*アマゾンのこの本のレビュー・ページ
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%80%E6%B5%81%E3%81%AE%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%96%B9%E2%80%95%E2%80%95%E2%80%95%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%81%A7%E3%82%82%E5%8B%89%E5%BC%B7%E3%81%A7%E3%82%82%E3%82%BA%E3%83%90%E6%8A%9C%E3%81%91%E3%81%A6%E6%B4%BB%E8%BA%8D%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%AD%90%E3%82%92%E8%82%B2%E3%81%A6%E3%82%8B-%E3%83%9F%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%AD%E3%83%B3/dp/4478061467/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1468709699&sr=1-1&keywords=%E4%B8%80%E6%B5%81%E3%81%AE%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%96%B9

 一流国立大卒でもビジネスで活躍できるのは5%程度というのがわたしの狭い経験の中での感覚です。はっきりしていることは受験勉強のやりすぎは、その方法が毎日繰り返され、習慣化することで、思考パターンを固定化してしまうのでよくない結果を生むことがあるということ。
 勉強のやり方に思考パターンを固定化しない鍵があるのだろうと思います。受験問題集レベルの学習は半分以下にしておいたほうがよいでしょう。大数学者の岡潔先生も大学生が問題演習で使うようなものを旧制中学時代にやっています。

 私の場合は高校では受験勉強レベルの問題集の消化はほぼゼロでした。理由は簡単、高卒で公認会計士になるために商業科を選択したことと、大学進学を決めたのが高校3年の12月だったからです。高校の2年と3年のときは公認会計士受験参考書と、経済学、哲学などの本を読み漁っていました。ビジネス分野ではそこそこ「活躍」できたほうかもしれません。
 

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#3321 スローずぎる数学授業:すでに赤信号  June 8, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 昨日(6/7)「連立方程式に入りました」(中2)、「平方根の章に入りましたが、中身はまだです」(中3)。

< 2年生の授業進捗遅延実態 >
 のんびりしている、先生の異動もありましたから、またすっかり以前に戻ってしまった学校があります。
 中2数学は次のような章構成になっています。

 第1章 式の計算            8-31㌻
 第2章 連立方程式        32-53㌻
 第3章 1次間数            54-90㌻
 第4章 平行と合同        91-121㌻
 第5章 三角形と四角形 122-155㌻
 第6章 確率              156-173㌻

 全部で166㌻(173-8+1=166)ありますが、6/7に連立方程式へ入った学校は、4月と5月そして6月の第一週までかけて、25ページを消化したに過ぎません。この学校はもうアウトです。3月までかかっても、このペースを前提にすると授業は終わりません。とうぜん終わらせるために後半部分の「すっ飛ばしや端折り」がなされます。もちろん2年生の復習もやれません。
 校長先生と教頭先生は授業をご覧になったらいかがですか、廊下からだって確認できますよ。こういう先生は言われないとわかりません。上司として、管理職として、授業の進捗状況を管理するのは当然の仕事です。学力テストデータを見てください、学力低下の原因になっていることが読み取れます
 消化率を計算してみましょう。
 (32-8+1)(173-8+1)=25/166=15.1% :教科書消化率

 年間365日のうち、春夏冬休みが60日あります。土日が104日、祝日が15日ありますから、稼働日は
 365-(60+104+15)+18=205日
 復習期間を2月一か月分(19日間)とります。
 205-19=186日 :年間日数
 
 加算した18日は春夏冬休みの土日分です。6月7日まで41日(4/5からとして計算)ありましたから、年間の何%の授業日数にあたるか計算してみます。
 41日/186日=22.0% :日数消化率

 すでに7ポイントの進度遅延が生じています。ページ数に換算すると、
  166㌻×7%=11.6㌻ :遅延実績ページ数
 
 これを年間ベースに引きなおすと、
  11.6㌻×(186日/41日)=52.7㌻ :積み残し推計値
         ...................おおよそ4か月分

 1月末に52㌻遣り残しが生じる計算になります。これは単純計算ですから、後半部分が一次関数の応用問題、図形の証明問題、確率と難易度が上がるので、それを考慮するともっと悲惨なことになります。単純計算でも、52ページの遣り残しが生じるので、173-52=121㌻まで、第5章と第6章はやれないことになります
 とっくに赤信号ですよ。校長先生と教頭先生は数学授業の進捗を確認して、担当の先生に適切な指導をしてください
 学力テストの平均点をみれば、その先生の担当している学年は平均点が低いことがわかります。他校や他地域のデータと比較するのがいいのですが、文協学力テストは全道の平均点も、近隣の市の平均点もありませんから、役に立たないですね。市内の市街化地域の他校データと比較してください。自分の学校の他の科目の平均点と比較してもわかります。
 ふだんの学力テストデータをちゃんと見て、指導に生かしてください



< 3年生の授業進捗遅延実態 >
 3年生でようやく平方根に入った学校があります。章構成は次のようになっています。

 第1章 多項式            8-37㌻
 第2章 平方根           38-65㌻
 第3章 2次方程式       66-89㌻
 第4章 2次関数        90-119㌻
 第5章 相似な図形   120-157㌻
 第6章 円              158-175㌻
 第7章 三平方の定理 176-197㌻
 第8章 標本調査      198-209㌻

 全部で202㌻(209-8+1=202)あります。31㌻(38-8+1=31)消化しました。消化率は次のようになります。
   31/209=14.8% :教科書消化率

 3年生は修学旅行が4日間入っているので、それを考慮に入れると、年間授業日は183日です。
   (41-4)/183=20.2% :日数消化率

  ギャップはすでに5.4ポイントありますから、すでに11ページの遅れが生じています。
   202㌻×5.4%=10.9㌻ :遅延実績ページ数

 年間ベースに引きなおして、現在のペースの授業だと単純計算で1月末に何ページの遣り残した起きるか実績値を利用して試算してみます。

   10.9㌻×(183日/37日)=53.9㌻ :積み残し推計値
         ...................おおよそ3.5か月分

 後半の章の難易度アップを無視して単純計算でも、1月末に54㌻の遣り残しが起きます
   202-54=148㌻
 
 「第6章 円」が158㌻からですから、この3年生たちは3章分まるまる遣り残すことになります


< なぜこんなに遅れるのか? >
 主要な原因は二つ。管理職(校長や教頭)による、授業進捗管理指導がなされていないことと、生徒の学力がひくいこと。
 こんなに進捗が遅れてしまうのは、生徒の学力が低いことが関係しています。簡単な数量計算にこんなに時間をかけざるを得ないほど、生徒たちの計算能力が低い。半数から7割が学力テスト得点40%未満の層です
 つまり、前年度までの既学習分の計算が身についていません、だから前年度以前の分の内容を今年の授業時間を費やして教えているという実態が浮かび上がります


< 現実的な対策 >
 得点40%未満の生徒は部活を停止して、放課後補習に参加させないと、授業の進捗が正常化できないでしょうね。

 保護者を集めて、具体的に学力テストデータを正直に説明して、学校は教育機関だから部活よりも学習を優先する、得点40%未満は放課後補習に強制参加を義務付け1ヶ月間部活参加を認めない旨、宣告したらいかがですか?
 子どもたちを甘やかすのはもうやめましょう。


< 余談:タスキ掛け法 >
 3年生の数学教科書に因数分解の基本のひとつである「タスキ掛け法」が載っていません。そのせいか、どの学校の先生も申し合わせたように「タスキ掛け法」を教えていませんが、あれで教えたほうが図で覚えられるので理解できる生徒の裾野を広げられます。ぜひ教えてください。
 教科書記載事項は最低要件ですから、「タスキ掛け法」は教えてかまわないのです。高校生になったら例外なく習います。
 市街化地域の3中学校は、数学授業が習熟度別編成になっています。成績上位層対象のクラスで、高校の範囲まで踏み込んで教えないでどうするのです?同じ内容の授業をやっているのを何度も見ました。あれでは意味がありませんよ。教える内容が違わないといけません、フリー参観で見た授業はまったく同じでした。そこまで頭が固くなってしまうのかと、びっくりしたっきり最近はこれ以上フリー参観授業に行く気になれなくなりました。
 数学と英語の授業を見学するとストレスがたまるんです。強いストレスはあらゆる癌の素(もと)ですから、避けています。10年前の一昨日6月7日に内視鏡検査を受けて「癌友会」の正規会員になって胃の全摘・胆嚢切除・大腸一部切除手術してから、すっかり意気地なくてすみません。(笑)



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#3320 部活の「休養日」推進(いまさら?とは思うものの) June 7, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 ブログ「情熱空間」が部活について取り上げているので転載します。
 部活のやり方って民間会社から見るととっても大事なんです、何が大事かっていうと、挨拶が大きな声できちんとできる、上下の立場をわきまえて言葉を使い分けられる、自分たちの短所と長所を分析して、日々トレーニングの仕方を工夫できることなんです。短時間で効率的なトレーニングを工夫することは、民間会社へ就職してから、短時間で効率的な動きをする上で不可欠な要素なんです。

 これにたいして、だらだら長時間毎日やる部活は最低で、そういう部活を3年間やった者は、すっかりそれが癖になって、社会人になってからも仕事の手は抜く、だらだらやる、お客さんへ口の利き方を知らない、とまあこんなことになります。

*http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8477481.html
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2016年06月07日

部活の「休養日」推進(いまさら?とは思うものの)

多忙感の解消。

そのお題目、正直気に入りません。そもそも本当に忙しかったなら、忙しいなんて感じる暇なんかありません(笑)からね。たまたま忙しいとか、中途半端に忙しいとか、繁閑の開きが大きいとか、そういう時にふと多忙感というものを覚えるものなのだろうと私は思っています。でも、経営者兼社会保険労務士としてやはり、業務の効率化は実に大きな宿題ではあります。はい、「多忙感の解消」ではなくて「業務の効率化」です。で、思うことです。

そんなに多忙感がどうのとか言うのなら、まず部活動から整理しましょうよ。
だって、やりすぎなんだもん。


でも、なかなかメールやらラインでのやり取りを終えられずに夜更かしをしてしまう中高生のように、「周囲がまたそうなんだからなかなかやめられない…」というのが本当のところなのでしょう。ならばもうトップダウンで決めちゃう以外にありませんね、それって。

世の中、週休二日制が主流なんですよ。土日を基本に週に二日お休みって会社が多い。なのにどうして、部活をやっている中学生には休みがないわけなんですか。それ、「おかしい」って、いや、「ものすごくおかしい」って思わないんですか。おまけに、効率とはほぼ無縁というケースがやたらに多いし。

大人は限られた時間(拘束時間)の中で日々仕事をしているわけですね。だからその時間内で仕事を終えるのが基本であって、終えられなければ残業なんですよ、残業。時間外労働ですよ。そしてその際には残業代、割増賃金がもらえるんですね。それなのに、子どもの部活は残業前提で組み立てられているって、誰がどう考えてもおかしくはありませんかね。

でもって、その子どもの部活が足枷となって多忙感云々ってのは、まさに本末転倒ってやつですよ。つまり答えは単純にして明快、ええ、これ以上明快な答えなんかありえないわけですね。

まず、部活の活動時間にルール(上限)を設けましょう。
子ども達には、きちんと休養日を確保しなさい。
休養日の確保ありきですよ、それが大前提。
そうしたならば、嫌でも「練習の効率」に目が向きますよ。
限られた時間の中、いかにして結果を出すかの研究になりますね。
限られた時間の中、子どもらも練習に全力集中ってことにもなります。
めりはり、そしてけじめというものを、子ども達は日々学ぶことになります。
子どもには休養時間が確保され、指導者の側の多忙感もまた解消される。
これでお互いに万々歳。
それでもまだ上を目指したい子は、休養日に少年団などに集約すればいい。


というわけで朗報です。子どもを休ませ、教員もまたそうしなさいとのお達しだそうです。でもしかし、正直「いまさらかい?」ってのが私の感想だったりしますが。(^∀^)

●日本経済新聞
部活に「休養日」推進 教員の長時間労働解消へ文科省
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H1Z_X00C16A6CR0000/

《追記》
北海道では、平成25年にこうしたリーフレットが配られています。全国に先駆けて「休養日」推進を呼びかけたということですね。

●北海道教育委員会
リーフレット「時間の目安を決めて子どもの生活リズムを整える!」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/jikan_meyasu.htm


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#3275 授業で過去問題など本末転倒:ブログ「情熱空間」より転載 Apr. 22, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

<更新情報>
4月27日 午前11時半 「余談-1」追記


 馳文科大臣の「問題発言」について、ブログ「情熱空間」がコメントするだろうとまっていました。どうやら北海道の現実はこの大臣の頭にはなさそうです。根拠はわたしのコメントを付して明らかにして置きましたから、お読みください。

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8437303.html#comments
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2016年04月22日

授業で過去問題など本末転倒(馳文科相)

授業時間に(全国学テの)過去問演習をおこなう。
やっぱりダメでしょう、それは。

では、例えば授業毎に1問だけそれを織り込み、分割して消化する。
これはどうでしょう。

補習や自習という、授業ではない時間に消化する。
これはどうでしょう。

過去問演習自体は問題なし。
しかし、授業時間での消化は大きな問題。

ならばやはり「禁じ手」を明示すべきだって思いますね。

でもしかし、私の視点はこうです。

過去問演習を授業で消化する。
でもそれって、少なくとも授業進度が適正であって余裕があることを示唆しています。
文科省にはぜひ、進度・進捗管理にこそ切り込んでいただきたいものであります。
2月・3月って、北海道ならば「(授業)すっ飛ばし」の時期ですからね…。

●朝日新聞 DIGITAL
全国学力調査「授業で過去問題など本末転倒」 馳文科相
http://www.asahi.com/articles/ASJ4N6RTDJ4NULFA03C.html

《引用開始》
■馳浩文部科学相

 全国学力調査について、私のもとに「成績を上げるため、教育委員会の内々の指示で、2、3月から過去問題をやっている。おかしい。こんなことをするために教員になったのではない」と連絡を頂いた。成績を上げるために過去問題の練習を、授業時間にやっていたならば本末転倒だ。全国各地であるとしたら、大問題で本質を揺るがす。

 調査は、今年10年目。第1次安倍政権からの教育再生の柱だ。点数を競争するためではない。うわさには聞いていたが、直接現場から憤りの声を頂いたことはなかった。全国調査はしないが、心ある教員や教委のみなさんは、実際に何が行われているのか、文科省に報告を頂きたい。

 私は今日、憤りをおさえながら話をしている。なんのために調査をやっているのか、胸に手を当てて改めて考えて欲しい。一握りの教委、校長、担任の振るまいかもしれないが、やってはいけないことだ、と申し上げたい。(記者会見で)
《引用終了》

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<元のコメントに加筆した>
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1. Posted by ebisu   2016年04月22日 11:46

根室の市街化地域の3中学校では、(全国学力テストの過去問は配布していませんが)ふだんの学力テストは事前に生徒に過去問をコピーして配布しています。
やるやらぬは、生徒しだいです。
根室市内の中学校の先生は、馳文科大臣の基準では100%合格ということですね。

でもたいていの生徒は塾へもってきてやっています。(笑)
ニムオロ塾では、それぞれの生徒へわからない問題だけ解説して終わりです。一人ひとりに必要な分だけしか解説しません。
4月13日に行われた「お迎えテスト」のC中学校2年生の「得点通知表」があります。それを見ると、数学の平均点が一番低くて30.0点です。51点以上は10/58でわずか17.2%です。やさしい文協学力テストでも解説不要な生徒は一人もいません。学年トップの生徒ですら、解説が必要な問題があります。
(平均点が30点ということは、生徒たちと教え方の両方に問題があることを示しています。小学校での学級崩壊があれば、中学校での授業でフォローがなければ、平均点ががた落ちになるのは当然です。担当教員には、高い授業技倆と生徒の学力向上への意欲の両方が要求されますが、そういうレベルの教員は北海道の公立中学校に1割もいるでしょうか?実際に市街化地域の3中学校のフリー参観を2回ずつ合計6回見て回った結果の感想です。ですから、小学校から手をつけなければ問題は解決しないのです。そして小学校での学級崩壊現象を突き詰めていくと、就学前の家庭での躾の問題に突き当たることになります。すでに小学校へ入学した時点で大きな学力格差と家庭の躾格差があるのが現実です。小学校でも家庭の躾が行き届いていない生徒が1クラスに3人もいたら先生たちに高いスキルが要求されます。教頭先生が出ても収拾がつきません。)

授業進捗管理の問題も含めて、馳文科大臣は学校の実態と学校教育と私塾の役割分担の実態をご存じなのかな?
教育の地域格差の具体的事例をいくつかご存知であれば、こういう紋切り型の言い方はしないのではないだろうか。
市教委が旗を振って授業時間をつぶして過去問をやらせることは、もとより批判は免れないが、なぜ市教委や町教委がそういうことをしたのかまでしっかり調査して実情をつぶさに知るよすがにしていただきたい。

私塾がない地域の方が道内は多いですから、過去問を配るだけでは意味がないところも少なくありません。
まるで頭の固い裁判官のような物言いの文科大臣、これではわたしには親しみがわきません。(笑)

日本的情緒の代表である「惻隠の情」なんてかけらもなさそうです。文科大臣がこの有様では、この国の教育の未来が心配です。文科省の官僚の皆さん頑張ってください。
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<余談-1:定期テスト対策過去問はやらない> 27日11時半追記
 学力テストは生徒にか顧問が配られているので、わからない問題があれば質問に答えているが、定期テストの過去問は学校で配られたことがないので、取り扱ったことが一度もない。やる必要もないと考えている。普段使用している塾用問題集は学力テストよりも難易度が高く、これだけで充分にお釣りが来るから、それで満点とれないならそれは生徒の勉強の仕方が悪いかわたしの教え方が悪いということ。
 なにより、定期テスト対策に過去問を塾でやると、生徒たちのほとんどが考え違いを起こすだろう。そういうものをやれば点数が上げられると。そうではないのである、そういう目先を追うような勉強の仕方をすると、ふだんの学習が深いところへ届かなくなってしまう。ふだん、深いところまで考えていれば、学力テストよりもはるかに難易度が低い定期テストは満点に近い点数がとれる。なにより大切なのはふだんの学習のあり方なのだ。
 テスト後にできなかった箇所の質問には丁寧に答えて、関連する事項も含めて理解を促している。

 根室には定期テストの過去問を一生懸命にやる塾もある、それはそれで保護者と生徒自身の選択である。ニムオロ塾では今後も定期テストの過去問はやらない、それが弊塾の方針である。いま、8回連続で学年トップの生徒がいるが、2位との点数差は最初は1点とか2点だったが、回を追うごとに20点、30点、50点、70点と点差が開いていっている。勉強の仕方次第で、1年間だけでも結果に大きな差が出ることがある。できたら、高いレベルで何人もの子どもたちが競争してほしい。そうなれば、根室地域の子どもたちの学力が他地域に比べて高くなるだろう。五科目合計点で430点超ぐらいで学年トップ、そして2位以下は350点台というのはいかにも情けない。データを挙げて論じているので、弊ブログ#3276をごらん戴きたい。

*#3276 四月学力テストデータ分析: C中学校  Apr. 24, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-24


<余談:-2>
 オバマ大統領の広島訪問が決まった。デザイナー三宅一生が被爆体験を語り、オバマ大統領の広島訪問を要請していたことを2009年の弊ブログで採り上げている。
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約 863 件
初めて語る被爆体験 デザイナー三宅一生の生き方(上) : 特集 : 読売新聞 ...
www.yomiuri.co.jp/feature/.../20151214-OYT8T50111.html

2015年12月15日 ... (上)|(下)| デザイナーの三宅一生さん(77)が読売新聞の戦後70年企画の取材に応じ
、これまで日本のメディアにほとんど語ってこなかった自らの被爆体験について話しま
した。広島で育んだデザインへの志、ファッションに対す【特集】


ピカドン:三宅一生氏被爆体験について語る:ニムオロ塾:So-netブログnimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-16 

2009年7月16日 ... ピカドン:三宅一生氏被爆体験について語る 今日(7月15日)は東京も根室もお盆の中日
である。デザイナーの三宅一生(71)さんが自らの被爆体験についてニューヨークタイムズ
に寄稿した。日本時間でお盆の中日を寄稿日に選んだのは死者へ ...


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#3253 難関大学攻略:教育の地域格差と教育・受験戦略 Mar. 8, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 根室から難関大学を受験するには大きなハンデ(handicaps)があります。そのハンデを乗り越えるためには具体的な教育・受験戦略が必要です。ebisuが標準的と考えるところを書いてみたいと思います。もちろん、例外や異論が少なからずあるでしょう。
 問題点を思いつくままリストしてみます。

①私立中高一貫校がない
②同学年の数が少ない(市内全域でたった230~250人)に中学校が6校ため、高学力層のライバルがほとんどいない。学年トップは進研模試の大学偏差値換算でだいたい55(上位30%)相当だが、難関大学の偏差値は65-70超。
③学校でも塾でも小学校や中学校では難易度の高い問題をやらない。
④有名私立中高一貫校よりも、高校1年の時点で1年以上進度が遅れてしまう。卒業時点では1.5年の遅れ。したがって、難関大学へは1浪して予備校へ通わなければ合格がおぼつかない。
⑤学校の定期試験の成績や学年トップへのこだわりが大きい、わからないではないが・・・。
⑥首都圏の子どもは小4から受験勉強を開始、予習中心の学習で難易度の高い問題に取り組んでいる。
⑦首都圏は塾の先生への信頼が大きい。
⑧学習時間の絶対量が不足している。
⑨長時間、毎日、そして土日連日の部活は考えられない。

(1) 中高一貫の進学校は数学と英語の授業進度を1年前倒してやっているところが多いのです。中学受験でフィルターがかけられるので、能力の高い生徒が集まっていますから、速度の大きい授業についていけます。もちろん、生徒たちの多くは、進学塾に通います。
 公立中学校へ進学した生徒たちは学校の成績をあまり気にしません。全国模試の成績アップを重視します。全国偏差値で65以上とれなければ、難関大学への進学が無理だからです。勉強は塾でしています。公立中学校から難関大学を目指す生徒たちは学校の授業では難関大学に合格できる学力が育成できないことを承知しています。
 根室の生徒たちが難関大学を受験しようと志したら、1-2年前倒しでやらなければならないので、定期テストの範囲はつねに1年以上前にやったところになります。東京の進学校の生徒たちはテスト範囲もやっているところが出題されるので、受験勉強と学校のテスト対策の両方を一つのエンジンでやることになります。「選択と集中」という観点から考えてみてください、根室の中学生は難関大学受験のために、学校の定期テストや学年トップを棄てていいのです。それよりは難易度の高い問題演習を2年間やるために、高1時点で2年前倒し学習を完了するという目標を立てて、数学と英語の学習を進めるべきです。

(2) 根室では市街化地域の3中学校ですら、すでに1学年50人を割っている学校があります。団塊世代の頃と比較してみると競争条件の極端な劣化に驚きます。ebisuが通っていた光洋中学校は、1クラス55人で10クラスありました。学年トップの重みが天と地ほど違います。現在の各学校の学年トップは、昔のクラストップにすぎません。

(3) 道立高校入試がふだんの授業や学習の基準ですから、全国最低レベルの難易度の問題に焦点があっています。たとえば、道立高校入試数学60点満点で50点の得点(83%の得点)の生徒は、都立高校入試問題ではおおよそ70点(100点満点)です。有名私立一貫校の入試問題をやらせたら、50点前後でしょう。難易度の高い問題をやらせていないからできないのです。これは根室の子どもたちの能力が低いからではありません、やらせていないからできないだけです。
 根室高校普通科に進学した生徒たちは7月に進研模試の洗礼を受けますが、この全国レベルで実施されている模試で全国レベルの高さを実体験します。数学も英語も平均点が20-30点の間に収まります。数人の生徒を除き、全国レベルの難易度の問題に手も足も出ません。釧路湖陵の平均点が60点台だと聞いています。誰から聞いたか思い出せませんが・・・、平均点でそんなに差があるのに驚いたことだけ思い出せます。

(4) 中高一貫校では高校2年生の夏までに数学と英語は高校の範囲を修了し、その後難易度の高い問題を授業で採り上げます。難関大学対策です。1年半難易度の高い問題を消化します。
 根室高校普通科では3年生の修了時点が、中高一貫校の高2年夏までのところに相当します。つまり、有名私立中高一貫校の生徒の受験時の学力まで学力アップを図るには、その後1-2年間、予備校で難易度の高い問題演習をしなければ追いつけないのです。
 釧路の武修館で中等部の生徒たちは、道内の私立中学だけが参加している学力テストを受験しています。公立中学校に比べて1年前倒しのスケジュールで試験範囲が決められています。昨年か、一昨年に、武修館が道内2番目の成績だったと聞きました。


(5) 学力テストよりもさらに難易度の低い学校の定期試験で学年トップをとるためには、ケアレスミスを少なくすることが有効です。難易度の低い問題では集中力が上がらないので、ケアレスミスが頻発しがちです。
 難易度の高い問題は集中力が違うので、無意識でもケアレスミスが減少します。難易度の低い問題である根室の中学校の定期テストでトップをとることは、通常のやり糧では難関大学入試にはつながらないのです。
 速度アップという方法がありえます、時間内に問題を2回解きます。問題を2回解いても時間が余るくらいなら、百点とることができます。もちろん、途中計算の要所要所はメモを書いておくことが前提です。暗算でやれば時間内に3ラウンドできるかもしれませんが、同じミスを繰り返す可能性が大きいので、チェック用に答案の欄外にメモを残すことが大事です。人間のやることにはミスがあるという前提でのお話しです。問題文の読解速度と計算速度が2倍以上あればやれますよ。
 国語も同じことです、問題文の読解速度が3倍あれば圧倒的に有利です。「読み・書き・そろばん(計算)」速度アップはとっても重要なのです。そういうトレーニングをしてくれる塾がめったにないのは残念なことです。
(五十数年前に根室で初めて東大に合格したY田さんは、商工会議所の珠算能力検定1級でした、全珠連段位なら3段相当です。計算速度では不自由がなかったでしょう。一度もお目にかかったことはありませんが、高橋珠算塾の「兄弟子」です。高橋先生がこの人だけはほめていました。凡庸であまり熱心ではなかったえわたしは一度も先生にほめられたことがありません。でも、全珠連の道内の集まりには高校時代に連れて行ってもらいました。不肖の弟子にも目をかけてくれていたのです。)

(6) 根室の子どもたちが予習中心の勉強をはじめるのは高校生になってからです。高校生になっても7割以上が復習中心の勉強の追われています。これでは都会の子どもたちと勝負になりません。難関校対策の難易度の高い問題は学校でも塾でも取り扱わないので、自分でやるしかありません。難易度の高い問題は、独力でやるしかないのです。予習習慣のない生徒が高校生になっていきなり、独力で「青チャート」に取り組むなんて考えられません。

 全国レベルの難易度の問題は、高校生になって全国星を受験して体験しますが、都会の子どもたちは、中学受験で全国レベルでの自分の学力を偏差値で知ることができます。これが自覚を生みます。目標が数値で明確になります。数値目標(全国順位と偏差値)は重要な武器(アイテム)です。

(7) 東京の子どもたちも親たちも、公立小学校の授業で難関私立中高一貫校へ合格できないことを承知していますから、塾の先生の指導に100%従います。申し訳ありませんが、どんなにすばらしい授業をなさったとしても、学校の授業にはまったく期待していません。それが現実です。
 
(8) 部活の問題は何度も弊ブログで採り上げたので、再論しません。異常ですが、釧路や根室では毎日・長時間・(しばしば)土日連続、それが「常識」となっています。そういう部活の在り様が多くの生徒の自立的な学習習慣育成を徹底的に破壊しています。極端すぎます。

(9) 首都圏で難関私立中学受験を志す受験生(小6)は、週33時間の家庭学習が平均値だそうです。毎日4時間、土日は7時間です、はっきりいってやりすぎですが、事実です。社会人になってからどれくらいの割合か不明ですが副作用がでます。正解のある受験勉強のやりすぎで、思考の強固な鋳型が形成されてしまいます。人間の脳はそれほど柔軟にできていないのです。毎日繰り返すことが習慣となり、思考パターンが固定化して柔軟性を失っていきます。受験勉強への過剰適応でしょうね。受験という枠をどこかで外すべきなのでしょう。
 小学6年生で根室で週33時間、こんなに勉強している生徒は根室ではゼロでしょう。たとえば、週にこの学習時間の半分では、3年間でも勝負にならない学力差が生まれます。難易度の高い問題をやらせたときに差がはっきりでます。根室の子どもたちは、難関校受験問題を体験できません。親がそういう学校には関心がありません、現実に根室にも釧路にもそういう難関中学が存在しないのですからしかたありません。

< 教育・受験戦略 >
 さて、ここまでは首都圏と根室の環境のハンデについて、現実を分析してみました。ここからは、それをどうやって乗り越え、難関大学への切符を手に入れるかというお話です。進研模試の偏差値で65以上の大学を想定しています。
 案外シンプルです、6項目にまとめました。

① 予習中心で学習する
② 高校1年修了までに、数学と英語の高校課程の学習を終了する
③ 高校2・3年の2年間を難易度の高い問題演習に充てる
④ 学校の定期テストや学年順位は棄てる
⑤ 中学生になったら、週25時間くらいの家庭学習習慣を育む
  (毎日3-4時間、土日はどちらか7時間を目安)
⑥ 年間30冊は本を読み、読む本のレベルを上げていく
  (日本語ボキャブラリーが豊かな文学作品や、質の高い論説文を選ぶ)

 学校の学年順位にこだわる必要はありません。学年1位をとっても全国偏差値では55程度ですから、まったく意味がないのです。偏差値55しかないのに、トップであると全国レベルでもトップ層にいると勘違いする方が怖い、無意識に慢心と怠惰を生みます。
 高校入学までに難易度の高い問題が解けるようにならなくてはいけないのですが、「全国レベル」や難関校のレベルがどれほどなのかは、実際にそういうレベルの問題集を購入して解いてみるしかありません。チャレンジしたらショックな結果になるでしょう。
 根室高校普通科へ進学した生徒たちは、7月に全国模試の難易度を知ります。平均点が20-30にしかなりません。じつに簡単な問題しかやってこなかったことにようやく気がつきます。

 難関大学の2次試験まで考えると、たとえば英語は、センターレベルの長文ではとても攻略できません。それぞれの学部の教授が作問するので、平易な専門書を選び、そこから出題することが多いのです。だから、その辺りに焦点を当てて学習するとしたら、ジャパンタイムズの英文記事くらいの難易度の英文を読むトレーニングが必要です。読解に必要な技術をマスターし慣れるには、おおよそ1年間のトレーニング期間を要します。学校の教科書のテクストは難易度が低いのです、たとえて言えば「お子様ランチ」のようなものです。数学は「赤チャート」や「大学への数学」シリーズレベルの問題を消化しておく必要があります。

 数学も英語も難易度の高い問題は集中力を要します。集中しながら緩めて問題文全般に意識を分散させて眺めます。そうした頭の使い方に慣れてくると、ケアレスミスが減ります。こういう意識の使い方は、トレーニングしだいです。集中を高めるよりも意識を分散させるほうがむずかしい。思考エンジンが二つ同時に頭の中に共存しているような意識のコントロールが可能になります。揺らぎは当然生じますが、それも慣れたらコントロールできるようになります。比重を変えられます。
 難易度の低い問題をやらせるとケアレスミスが生じやすくなります。問題の難易度が低いと判断した途端に、無意識に集中力が低下し、ケアレスミスを誘発します。それゆえ、学校の定期テストや学力テストのような難易度の低い問題でケアレスミスの発生を防ぐのは、頭のよい子ほど困難なのです。「こんな簡単な問題は楽勝!」「ばかばかしいくらい簡単!」、そう思った途端に、無意識がミス防止システムを解除してしまいます。難易度の高い問題ではだれでもケアレスミスが激減するのは、意識の集中の仕方が違うからではないでしょうか。


<余談:2次試験レベルの問題>
 ジャパンタイムズの記事から、1段落だけ抜粋します。高校教科書との難易度の違いを味わえます。
 (1)は問題がないでしょうが、(2)と(3)のSとVを見つけ、そして、文内部のつながりがどうなっているか判断してください。後ろの文や節や句は前の単語の補足説明になっています。
 高校生物Ⅱでは、話題に取り上げられている染色体末端部のテロメア領域の機能について説明がないでしょうから、英文を読んで理解してください。ノーベル賞受賞の学説に関する話題は要注意です。
 なお、diet は「食習慣」と訳してください、大文字ではじまれば「国会」という訳語があります。
 文意が誤りなくとれるようなら、英語の偏差値は70を超えているでしょう。もちろん、2次試験でどのような英文が出題されようと心配要りません。
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Veggie-heavy diet and yoga shown to slow cell aging

by Makiko Kitamura
Bloomberg
The fountain of youth may simply be a healthy diet and reduced stress after all, not a magic pill or expensive cosmetics.

(2)  Comprehensive lifestyle changes, including more fruit and vegetables as well as meditation and yoga, were shown to reverse signs of aging at the cellular level for the first time in a study published Sept. 16.

(3)  Adopting a diet rich in unprocessed foods combined with moderate exercise and stress management over five years increased the length of telomeres, the ends of chromosomes linked to aging, according to a study of 35 men published in the Lancet medical journal. No previous study has shown the effect of lifestyle changes on telomere length, the authors said.


(4)  The research, led by Dean Ornish, founder of the San Francisco-based Preventive Medicine Research Institute, adds to evidence of the benefits of healthy habits. Ornish’s “Lifestyle Heart Trial,” published in 1998, showed a reversal of coronary heart disease over five years. Patients who receive 72 hours of training from medical professionals on Ornish’s program for reversing heart disease have been reimbursed by Medicare since January 2011.


(5)  “So often, people think it has to be a new drug or laser, something really high-tech and expensive, to be powerful,” Ornish said in a telephone interview. “Our studies are showing that simple changes in our lifestyle have powerful impacts in ways that we can measure.”

(6)  Ornish collaborated on the study with Elizabeth Blackburn, who shared the Nobel Prize in medicine in 2009 with Carol Greider and Jack Szostak for research on the telomerase “immortality enzyme,” which prevents telomeres from being shaved off.

(7)  He was inspired by Blackburn’s research showing that the shortening of telomeres, and therefore aging, is accelerated by emotional stress such as that experienced by women who have parents with Alzheimer’s disease or children with autism.

(8)  “My general experience is that things in biology go both ways,” said Ornish, a professor of medicine at the University of California, San Francisco. “If bad things make them shorter, maybe good things make them longer. So we had lunch together and I said, ‘Why don’t we find out?’ ”

(9)  The study included 35 men with low-risk prostate cancer enrolled between 2003 and 2007. Ten men adopted the lifestyle changes, while 25 underwent active surveillance as a control group.

(10)  The diet encouraged in the lifestyle change group was largely a whole foods, plant-based regimen of fruit, vegetables, whole grains and legumes, with few refined carbohydrates, Ornish said. It wasn’t strictly vegetarian or vegan.

(11)  “Most people want to feel free, and as soon as you tell someone, ‘Don’t ever eat this, always eat that,’ that’s hard to sustain,” Ornish said. “If you indulge yourself one day, just eat healthier the next.”

(12)  In addition to changes in diet, the program included 30 minutes of walking six days a week; 60 minutes of daily stress management, mostly in the form of yoga and meditation; and a 60-minute support group session once a week.

(13)  Telomere length increased among the men in the lifestyle-intervention group and decreased in the control group. As telomeres become shorter, cells age and die more quickly. The study authors said they are “rather like the tips of shoelaces that keep them from fraying.”

(14)  The study is limited by the small size and by the fact that it wasn’t randomized, which increases the possibility of unknown sources of bias, the authors said. The results suggest larger randomized studies in different populations would be useful, they said.

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*#2417 ダイエット:Veggie-heavy diet and yoga shown to slow cell aging Sep. 23, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-23

*#3254 音読は面白い!:脳は並列処理をしている  Mar. 10, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-03-10

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#3248 本を読まない大学生は何%いるのか Feb. 28, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

<更新情報>
3/2朝8時10分 末尾に追記⇒「日本は明治期に素読文化を棄て、・・・」


 中学生で本をまったく読まない生徒が増えています。
 斉藤孝『読書力』や藤原正彦『国家の品格』、林望『すらすら読める風姿花伝』を音読テキストに使って、中学生にトレーニングを始めてから、もう10年たちました。
 本を読まない中学生たちは、小学3-6年生用の語彙力問題集『言葉力ドリル実戦編』で50点取れない者が少なくありません。

 では、大学生はどうなのか、今朝NHKラジオを聴いていたら、数字が流れました。一日30分以下の大学生が半数を超えています。驚き、桃の木、山椒の木です。ビックリポン。

 数字のネタ元は、「第51回学生生活実態調査」(全国大学生活協同組合連合会)でした。クリックしてご覧ください。

*http://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html

 サンプリング調査だから、サンプル特性に注目しておかなければなりません。国公立大学生が6277名、私立大生が3463名である。国公立大生の割合が母集団よりも大きくなっているというのが、このサンプリングの特性のようです。

 【図表-14】が「1日の読書時間」の推移を折れ線グラフにあらわしたものです。2004年から2015年までの各年ごとの割合がプロットされています。
 2004年と2015年のデータを階層ごとに並べますので、ご覧下さい。

 0分           38.7 ⇒ 45.2%
 30分未満       10.8 ⇒ 10.6%
 30分以上60分未満 23.8 ⇒ 23.3%
 60分以上       25.3 ⇒ 20.0%
(注:全部足しても100にはなりません、元データがそうなっているので、そのまま写しました) 

 読書時間が30分未満の大学生は55.8%です。まったく読書しない大学生が45.2%もいるのは驚きです。
 国公立大学製の割合が多いので、全数調査したらもっと数字が大きくなるでしょう。

 ニュースはスマホ、本は読まずにゲームやLINEやツイッターに時間を費やすいまどきの大学生の姿が浮かび上がります。
 

<中学生の語彙力低下に警鐘を鳴らす>
 『言葉力ドリル』からランクAとランクBの語彙をリストアップしておきますから、中学生の皆さんはこっそり語彙力をチェックしてみてください。中1年生で7割以上意味がわかった人は合格です、カウントしてみてください。
 小学生用の問題だからレベルが低いと侮る無かれ、中3年生は各語彙ごとに用例を三つ作文してください。ランクAとランクBの合計で9割できたら、学力テストの五科目合計200点(300点満点)は確実に超えているでしょう。「読み・書き・そろばん(計算)」、基礎学力を支える3本の柱の内、2本がしっかりしていたら、学力が高いのはあたりまえです。
 さあ、チャレンジしてください。

 【ランクA 最重要語100】
 
 あざむく       あわただしい
 いそいそと      意図
 いなめない      イベント
 いやす        後ろめたい
 有頂天        うながす
 厳(おごそ)か    おびただしい
 おもむろに      回想
 過程          感化
 気が置けない    義務
 客観的         供給
 教訓          形相(ぎょうそう)
 許容          具体的
 形式          権威
 権利          故意に
 肯定          心置きなく
 コスト         コミュニケーション
 細心          さまたげ
 強(し)いる      自我
 システム        したたか
 自負          周知
 じゅうなん       需要
 消極的        象徴
 ずさん         生計
 世間          積極的
 切実          切ない
 せんさい       先入観
 洗練          率直
 第三者         たしなめる
 建て前         丹念に
 重複(ちょうふく)   重宝
 直視          費やす
 つたない       体裁(ていさい)
 テクノロジー     典型的
 当事者        途方に暮れる
 なげく         なけなし
 になう         認識
 はかない       図る
 はぐくむ       漠然
 はばむ        反発
 風潮         ふきゅう
 福祉         風情
 プライド       分別
 閉口         偏見
 保守         まことしやか
 報いる        むじゅん
 面目(めんぼく)   モラル
 やおもて       優越感
 指折り        由来
 余地         理にかなった
 臨時         臨場感
 
 『言葉力ドリル』のランクBには50語リストされていますが、中3年生で500点満点で400点近い生徒でも、本をあまり読んでいない生徒は、半数くらいの意味がわかりません。もちろん適切な用例も挙げられないのです。

 <ランクB 50語>
 あさましい   あどけない
 いきどおり   いそしむ
 いたたまれない  いぶかしい
 いましめる   うき足立つ
 うそぶく     上(うわ)ずる
 おおらか    おくゆかしい
 おざなり     おぼつかない
 かたくな     気後れ
 気さく       軽べつ
 けなげ      けんお
 ごうまん     心もとない 
 さげすむ     ジレンマ
 そそくさと     打算的
 つつましい    なじる
 入念       ねたむ
 はにかむ     晴れがましい
 ひくつ       ふがいない
 ふてぶてしい  へりくだる
 放心       ぼくとつ
 向こう見ず   メンタル
 もどかしい    物おじ
 ものごし      やおら
 やりきれない  ゆううつ
 ゆだねる     利発
 わずらわしい  わだかまり

 日常会話で出てくる語彙(ごい)も10個ほど含まれていますが、残り40個は文章語ですから、本を読んでいないと目にも耳にもとまりません。
 ランクCには日常会話に頻出する語彙は出てきません。
 つまり、文章語は文章を読まないと知らないままになるのです。人間は言葉を使って考えますから、語彙数が少ないと思考も単純になります。複雑な思考はたくさんの語彙に支えられています。

 中学生で友人から、「あなたの話はとこどきわけがわからない」と言われたら要注意です。会話に何度も同じ言葉が出るようならアウトです。
 「うぜー」
 「それそれ」
 「すごい」
 「やばい」
 「なるほど」
 「たしかに」

 思い当たる人は、それぞれを、シーンに応じて3通りの言葉で表現してみてください。そしてそれを日常会話で使ってみてください。

 中学生になれば、授業で先生たちは文章語を使って説明しますから、先生がしゃべることを頭の中で直ちに漢字に変換できなければ発話された文章の意味がわかりません。成績の悪い生徒は、語彙力が極端に貧弱な場合が多いのです。そういう生徒は30人に6~9人はいますよ。

< 余談 >
 根室ではほとんどの生徒(95%)が、漢和辞典や国語辞書を引く習慣がありません。おそらく釧路も似たようなものでしょう。読書好きな生徒、なかでも児童書やアニメのノベライズのようなものを卒業して、読む本のレベルを上げていく生徒は国語辞典も漢和辞典もよく引きます。
 国語辞典と漢和辞典は毎日引いて習慣にしましょう。まずは「一日一語」でよいのです。そのためには文章語のインプットが必要です。名著といわれている本は語彙がすぐれているばかりでなく、文章表現や思考もぬきんでているので、ドンドン読んで、辞書を引きましょう。最初は自分が読みたいと思った本を読みましょう。数十冊読み進むうちに読む本のレベルを意識して上げて行けばよいのです。
 先週のことですが、中1の生徒に自分が読みたいと思う本を本屋さんで手にとって選び、読んできなさいと伝えました。その内の一人が本屋さんで買って読んだ本を持ってきました。
「読めない漢字に丸印をつけてきたら、振り仮名を振ってあげるから、あとで国語辞書を引いてみなさい」
 そう伝えてあったからです。たくさん丸印がついていましたが、約束ですからぜんぶ振り仮名をふりました、1冊半です。ちょっとしんどかった、でも遠慮しないでいいよ。(笑)
 中1の生徒が選んだ本は次の2冊です。

■ 吉村達也『生きているうちに、さよならを』集英社文庫
■ 山田悠介『パズル』角川文庫

 吉村達也の本は、ルビが少なく、語彙の少ない生徒にはちょっとしんどいでしょう。山田悠介の本はルビがたくさん振ってあるので、読みやすい。語彙力アップには最初のうちはルビがたくさん振ってある本を選ぶのがいいでしょう。
 斉藤孝の音読派シリーズは総ルビで名著が6冊並んでいます。


<余談-2:分布変化に相似形がみえる> 29日朝、追記
 気になる現象を追記しておきます。
 スマホやパソコンへの依存が大きくなり、ラインやツイッター、ゲーム時間が圧倒的に増えてしまい、その結果の読書離れは中高生も同じです。
 生活時間の3時間以上もこうしたスマホやパソコンに奪われてしまって、「読み・書き・そろばん」の三つとも、能力が充分に育たないようになってきているように見えます。
 読書をぜんぜんしない人が45%もいます、極端なんです、授業で先生が話す日本語を適切な漢字に変換できない生徒が2~3割も占めているというのが根室の実態で、おそらく釧路も同様です。
 根室では親が100冊以上の蔵書をもっている例はめずらしい。
(5月の連休に行われているボランティアによる「古本市」の活動は実に貴重です。古本屋が卒倒するぐらい格安ですから、ずいぶんな量の本が市民の間で流通しています。)
 親がスマホやゲームにのめりこんでいる例が増えているのが現在の30-40歳代です。

 読書階層ごとの数字の変化は、この12年間に根室の中学生の学力テストの得点分布の変化によく似ているのです
 成績上位層(読書1時間以上)が1/4以下に激減し、成績下位層(読書0分)が肥大化しています
 学力分布の変化は階層ごとの読書時間の変化よりももっと極端で、劇的です。おそらく学力分布の変化が大学生の読書時間変化の先行指標と言えるのでしょう。
 表にしてみて分布の変化が相似形であることに気がつきました。

 これら二つの分布変化には有意な相関関係が読みとれます。理屈の上でもそうなるでしょう、「読み・書き・そろばん」の読みの時間が小さくなり、そろばん(計算)トレーニングの時間もスマホやパソコンに奪われていますから、学力の土台である「読み・書き・そろばん」技能が衰えるのは当然です。
 音読も、文章を書くことも、計算も反復トレーニングで技能が高まりますから、時間を十分にとってやらせなければひどいことになります。

  日本は明治期に素読文化を棄て、戦後30年をかけてそろばんという計算技能を失い、コンピューターとソフトの飛躍的な発達で世界一の読書量を誇っていた読書文化をなくしてしまったのです。基礎学力の土台の「読み・そろばん(計算)」が崩れてしまったのですから、子どもたちの学力が以前の水準を保てずに著しい低下をしつつあります。この国の教育が土台のところから崩れていくのが見えませんか?
 あくなき便利さの追求、欲望の拡大再生産、利潤の追求を最優先する生き方、私たちが染まっているのに気がつかない無意識・無自覚な価値観が他にもいくつもあるでしょう、そういうものを一つ一つ点検し、失った価値観についていま点検すべきときがきている気がします。



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生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫

パズル

パズル

  • 作者: 山田 悠介
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 単行本

言葉力ドリル 実戦編―中学入試

言葉力ドリル 実戦編―中学入試

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 学習研究社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 単行本





語彙力こそが教養である (角川新書)

語彙力こそが教養である (角川新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: 新書

 

斎藤孝の音読破〈2〉走れメロス (齋藤孝の音読破 2)

斎藤孝の音読破〈2〉走れメロス (齋藤孝の音読破 2)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本

斎藤孝の音読破〈4〉五重塔 (齋藤孝の音読破 4)

斎藤孝の音読破〈4〉五重塔 (齋藤孝の音読破 4)

  • 作者: 幸田 露伴
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本

斎藤孝の音読破〈1〉坊っちゃん (齋藤孝の音読破 1)

斎藤孝の音読破〈1〉坊っちゃん (齋藤孝の音読破 1)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 単行本


<音読トレーニングで使用しているテクスト>
①中1年生

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
  • メディア: 新書

②中2年生
国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11/20
  • メディア: 新書

③中3年生
すらすら読める風姿花伝

すらすら読める風姿花伝

  • 作者: 林 望
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/12/13
  • メディア: 単行本

#3241 2020年度までに市街3中学校統合 Feb. 19, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 市街化地域の3中学校(光洋中学校・柏陵中学校・啓雲中学校)が2020年度までに統合されると2月16日北海道新聞根室地域版の記事が報じた。

2月16日北海道新聞根室地域版より抜粋転載
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  市教委が学校適正配置計画案
 市街3中学統合へ 
20年度までに

【根室】市教委は新たな中学校適正配置計画案をまとめた。市街地の4小学校(北斗、花咲、成央、花咲港)と3中学(光洋、柏陵、啓雲)が見直しの対象で、2020年度までの5年間に花咲小を成央小と統合し、中学は1校にする内容。11年策定の前回の計画では、市街地3中学を2校に統合するとしていたが、想定を上回る児童・生徒数の減少や学校施設の老朽化を受けて見直した。(犬飼裕一)

 
花咲港小、成央小と統合

 市の15年度の児童・生徒数は2029人で、54年前(1962年、8804人)の約23%にまで減少。このうち市街地7小中学校の児童生徒数は1695人で、前回計画の推計値を101人()5.6%)下回るなど、減少ペースが加速している。市街地校は築40年以上の後者や体育館の割合が約8割を占めるなど、施設の耐震化や大規模回収などハード面でも課題となることが見込まれている。
 計画では、クラス替えや部活動の児童の選択肢確保などの観点から、小学校の適正規模を1学年あたり2、3学級(1校12~18学級)と想定。現在、学校全体で3学級の花咲港小は「適正配置を進めることが必要」としている。現在12学級の花咲小は20年度に適正規模を下回ることが見込まれるが、学級担任制を採用している小学校は「(強化担任製の中学校に比べ)小規模化による教員定数減の影響が少ない」(市教委)等の理由で、北斗・成央小と共に「現状維持が妥当」としている。
 一方、市街地の3中学はいずれも既に適正規模(1学年あたり3~6学級)を下回っており、啓雲中は20年度に3学年全体で5学級となることが想定されている。
 中学は教科担任制で小規模化による教員定数減の影響が大きく、引き続き生徒数の減少が見込まれるといった理由から、市街地中学の望ましい学校数を1校とした。18日まで実施中のパブリックコメントを経て成案化する。市教委は4月以降に地域やPTAなどに説明していく考え。市教委総務課は「通学区域の見直しや通学バスの問題など、具体的な内容についても地域住民の理解を得て検討していく」としている。

・・・市内の小学校教諭は「計画は『寝耳に水』。小・中学校の連携が進み、子供同士、先生同士の交流が盛んになってきたと感じていた。中学1校では通学範囲が広すぎるのでは」と複雑な表情を見せる。・・・
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 高校の統廃合が来年に迫っている。順序から言うと、小学校の統廃合、そして中学校、最後に高校の統廃合であるが、根室市教委のそれは真逆。でも、ようやく踏み込んだのだからよしとしよう。

 ロシア200海里内のサケマス流し網漁が禁漁になった。台湾や中国船が北太平洋公海上に居座って大型船でサンマ漁をし始め、水産資源量の激減が懸念されている。漁師も水産加工場も原料が減少すると同時に値段が上がっているから、水産業で職を得ている人たちの数が減っていく。社会保障人口問題研究所の地域別人口推計にはこういう事情はまったく斟酌されていないから、推計値を超えて小中学生の数が減少していくだろう。
 現在のペースで小中学生が減り続けると、24年後の2040年には、市内全域で1学年100人を割ることになりそうである
 そういう長期スパンで考えると、郡部を含めて小学校も統廃合の対象とすべきではないのか?小学校の校舎を2つ造れば、耐用年数の半分に満たぬうちに一つは廃校となる。
 少子・高齢化を前提にデータを示して議論すべきだ。一昨年だったか、建て替えられた歯舞小中学校も15年後の生徒数は1学年何人いるのだろう。10名前後ではないのか?立派な学校を新築しても20年経たぬうちに生徒数が半減し廃校となる可能性が高い。建て替えのときにそういう議論はしたのだろうか?
 後の祭りである。だから、事前に長期的視野に立って、具体的なデータに基づく議論と、その記録を残すということが大事なのである。誰がどういう意見を述べて、賛否がどうだったのかも個人名を記して、後世に責任を持つ覚悟が必要である

 小中高等学校の統廃合は町の将来に関わる大きな問題であるから、「教育村」の一部(花咲小学校の先生も知らなかった様子)だけで議論して決めてよいはずがない
 高校の統廃合問題では「教育村」の一部の住民だけで議論して、統合後の授業のレベル確保をどのようにやるかという重要な問題を見落とした。同じ教科書を使えないほど普通科160名(予定定員)の生徒の学力差は大きいのである。データを見ないで議論をするとこういう重大なミスをする

 根室高校では、学力も校内の風紀も「ニシコウ化」が始まっている。定員割れで、300点満点で80点以下の生徒が普通科ですら十人前後も入学できるようになってしまった。中学時代に勉学に興味を失った生徒たちが、受験勉強もしないでそのまま入学できるから、校内で授業をサボって好き勝手をする者が現れているらしい。小学校や中学校では3人そういう生徒がいたら、簡単に学級崩壊現象が起き、取り返しのつかぬほど学力が低下することはいくつもの事例ですでに実証済みである。弊ブログでも当該学年の学力テストの平均点を挙げて何度も論じた。
 高校生のワルには普通の先生は注意すらできない。そういう生徒は、強い先生のときにはおとなしくして、弱い先生の授業を狙って好き勝手をやる。埼玉県で高校教員をやっていた友人が30年以上も前に赴任した県立高校の状況を話してくれたことがあった。
 荒れていたころのA中学校やC中学校、そして8年前のB中学校の状況が、根室高校で起きるようになったら、学力低下がさらに進む。学力低下の兆しが授業の進捗速度低下となって現れるということも中学校と共通している。
(高校生の幼児化が進んでいる。証拠は、たとえば数学と英語の宿題、まるで小学生並の頻度である。自立していたら高校生に宿題を出す必要などない。)
 根室高校は今日から学年末テストが始まっているが、2年生の数Ⅱは積分の章を授業でまだやっておらず、もちろん試験範囲にもはいっていない。1年生も数学の授業は10年前と比べても、授業の進捗速度、定期テスト問題の難易度のどちらも格段に落ちた。そしてこの数年間さらに落ち続けている。

 五科目300点満点で100点取れない生徒を道立高校で受け容れる必要はないと思うが、入試の合格点の足切りはできないのだろうか?入試の1年前に足切り点数を公表したらいい。
 100点で足切りすれば、勉強やる気のない生徒の入学を防げる。勉強しなければ高校へ入学できないというシステムを作るべきだ。100点という足きりを設けることで、傍若無人に授業を抜け出して遊んで歩く生徒はほとんどいなくなるだろう。
 
 10年前は150点Fランクで数人普通科に不合格だったから、100点での足切りはかなりヌルイのである。高校側は道教委と相談して100~120点での足切りを是非検討してもらいたい。
 現在採用している教科書が要求する最低学力水準はだいたい150点付近にあるとみなしてよい。B中学校とC中学校の3年生の学力テストデータから判断すると、五科目合計点で150点を越える生徒は、おおよそ上位27%である。C中学校の3年生は全国学力テストで平均点を達成したから、2年生や1年生よりも学力が高い。根室市教委はこういう学力テストデータすらモニターしていない。
 市内の3学年全体を230人として計算すると、根室高校普通科の定員は60人で十分(上位層が市内全域で10~15人ほど釧路や札幌圏へ進学する)だという論も成り立つ。

 市街化地域の中学校では数英の学力テストの平均点が30点以下の学年が現れだしている。ある学校の2年生は20点以下が40%もいる。こういう学力層の生徒は標準的な高校普通科の授業についていけるわけがないから、遠慮はいらぬ、足切りしたらよい。
 100点以下は、中学校の学び直しをしてから高校へ進学するのが筋、たとえばフィンランドはそういう教育システムになっているようだ。

 地元経済界も教育に関しては注文があるだろう。地域の未来がかかっている問題だから、総合文化会館で毎週日曜日に半年くらいかけて市民自由参加で議論すべきである。

 生徒たちから、西高校を統合後の中学校にするという噂が伝わってきている。統合後の中学校をどこに置くかということも重要問題である。西高校は市街化地域の小中高で一番西側に位置している。真ん中に近いのは北斗小学校と成央小学校である。統合後の学校の生徒数を考えると、土地の一番広い成央小学校が最適ではないのか。
 無料バスでの送迎について、道庁と費用負担の交渉もしなければならないだろう。

 「教育村」のそれも一部だけで案を作ってはいけない。
 市立病院建て替えで大失敗したではないか。市が招聘したコンサルタントの30億円以内での建て替え提案を無視して、その倍以上の費用をかけた。最大で年間11億円と計画されていた赤字額は10年前の2倍の17億円にも膨らんでいる。実現性のまったくない、現実離れしたでたらめな計画であった。
 校舎を建て替えるぐらいの資金は、市立病院経営赤字額を年間10億円に戻せればいくらでも捻出できる。もちろん、明治公園(元信金理事長が委員長となって拙速に結論を出した40億円の)再開発なんて論外である。他にやるべきことがある。

(根室市の予算は藤原前市長時代の140億円台から180億円に膨らんでいる。人口は5000人ほど減少しているのに、予算額は40億円も増えている。放漫財政というべきだろう。)



<余談:学力上位層の人数に見る中1の惨状>
 2月3日実施の学力テスト(1年生対象)で五科目合計点で400点を超えたのは、B中学校で1人/60人、C中学校では2人/57人で、2.6%である。たったの3人、市内全域の中学校でも5人前後だろう。
 10年前にはB中学校で学力テストで400点を越える生徒が15~20人いた。C中学校でも十数人いた。市街化地域3中学校だけで40~50人いたのである。それが今では10人以下となってしまった。
 学力テスト400点では大学入試偏差値50に少し届かない。学力上位層が激減というより、絶滅しかかっているのが根室の子どもたちの学力の現状なのだ。こんなに急激に学力が低下してしまったのでは、20年後、30年後の根室の未来に暗雲が立ち込める。
 子どもたちの学力低下は10年後20年後の根室の働き盛りの大人の知性低下を意味する。人口減少時代に突入した日本で、全国平均よりもさらに加速的に人口減が生じている根室で、未来の町を支える人材がいま枯渇しかかっている。
 学校の統廃合に関する議論をするときには、教育関係者は具体的なデータを挙げてものを言え。

<余談-2:根室高校の先生たちへ>
 3度注意しても行動が改まらないなら、毅然と停学⇒退学処分を下せばいい。職員会議でそういうルールを決めて、生徒と保護者に周知徹底してみたらいかが?
(このままだと、統合後の入試偏差値は40(現在45で下位1/3)くらいまで落ちそうだ。偏差値40は下位16%の底辺校という位置づけ。)
 保護者のほとんどがルールの制定とルールに基づく処分を支持するでしょう、卒業生のわたしも賛成です。

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 - 論より証拠 -
<学力テスト数学20点以下が50%と37%の実データを載せてあります>
*#3238 C中2年生の学力テスト数学の平均点がアップした Feb. 14, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14-1

 #3202 縦軸と横軸で中学校のテスト・データをながめる Dec. 12, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-12





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