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#3377 ニコニコ顔の生徒:終業式の日 July 26, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 市街化地域の3中学校は終業式の日程が先週金曜日(A中)と昨日(7/25、B中)と今日(7/26、C中)に分かれている。

<入塾11ヶ月目の生徒>
 弊塾の中2生は4人だが、昨年9月に入塾した生徒が昨日5時少し前に来て勉強を始めた。
 「終業式いつだっけ?」
 「今日だった、先生、数学上がった、5になったよ
 とニコニコ、心の底からわいてくるような笑顔にこちらも微笑んでしまった。「共感」とはこういうことか。

 数学と英語の点数が低くて、大切な友人の一人の紹介で、1年生の夏休み明けから来た生徒である。塾は初めてかと思っていたが、半年ぐらいたったところで前にある塾へ通っていたことや、あったことを話しはじめた。こころが深く傷つくことがあった。助けてほしいと差し出した手を切り捨てるに等しいことをしたことに気がつけぬことがあるとすれば、先生という職業はじつに怖いものだ。
 人生は苦難と歓びに満ちており、そこに船を浮かべて渡り切らねばならないのだから、生徒は何事にもめげない自分を創り上げるパワーをもち続けてもらいたい。苦難の後には歓びがある、今回の5もそのうちの一つ。
 10人いれば、2人が良い塾だと思い、7人は親に言われたので仕方なく通い、1人は何かがあってその塾が嫌いになる。嫌いになるには一人ずつそれぞれ具体的な事象があり、理由がある。そういう困った問題が生じたときには、無理をしないことだ。人口減少が進んでもこの町にタイプの異なる塾がいくつかあるのが理想だとわたしは考える。だから、ニムオロ塾はできるだけ他とは違うユニークな塾でありたい。似たような塾では生徒たちの選択肢を広げることにならない。
 いろんな生徒がいるし、いろんな先生がいるから、相性の問題も成績を左右している。タイプの違う塾がいくつか町にある体制を維持するのは大人である私たちの義務ではないかと思っても、生きている限り老化は進み、次第にポンコツになっていく自分がある。いずれ消え去るのである。
 入塾時の面接で、「3ヶ月だけ先生の言うとおりにやってもらうよ、やれなければ3ヵ月後はさようならだ」と本音を伝えてから、話題を生活習慣に向けてチェックしていく。この生徒はスマホとテレビ漬けになっていた。学校から帰ってきたら、スマホとテレビを見る前に勉強することを約束させた。「3ヶ月間だけ辛抱すること」、大人が酒やタバコをやめるのと同じくらいたいへんなのだが、そこをクリアできないと、どんなに教えても「糠に釘」となり成績は上がらないことも正直に伝える。生徒の生活習慣を変えられずに何度か痛い思いをしたことはあるのだが、変わると信じてやっている。

 通塾効果を上げ、学校の授業が理解できるようになるからと、予習方式で学習をやることになると説明し、その通りにやり続けたから、学校の授業で先生の説明することがわかるようになったと喜んでいた。予習は徐々に独力でやれる範囲を広げていくことになる最終目標はサポートなしに独力で予習できることいつまでも塾先生に頼ってはならぬ
(中1の五月から8ヶ月間通塾してめきめきと学力をアップし、学年一番を2回とった後に退塾した生徒がいた。高校時代も部活をやり通し早稲田大学へ進学した。なかなかこういう風にはいかないが、理想型のひとつではある。I君、どういう社会人になるか楽しみだ。)
 生活習慣も改まり、午前1時・2時までテレビを見ていたのをやめ、12時ころに寝るようになった。
 今ではすっかり生活習慣が整って、勉強するのが楽しいという。学校の授業も楽しいはずだ、あらかじめ学習し、問題も解いているから、何を言っているのかよく理解できる。勉強しているときに「生きてる、充実してるって感じる」んだそうだ。「先生、わたし青春してる」っていうので、彼氏ができたのかとびっくりしたが、そうではなくて、勉強する楽しさが実感できて、成績が毎回上がっていくのがうれしいという。ニムオロ塾は生徒が変わるきっかけを提供できるだけ、生活習慣を変えたのは生徒自身である

 生活習慣を切り替える⇒「勉強が先、スマホやテレビは後」⇒授業がわかる⇒成績が上がる⇒勉強が楽しい⇒成績がさらに上がる⇒うれしい!⇒勉強に熱が入る

 この11ヶ月間、テストのたびに学年順位が上がり続けた、珍しいケースである。1学期の期末テストの学年順位はいままでの最高をさらに更新した。これからがきつい登り坂であるが、頑張り通してもらいたい。11ヶ月で3から5にあげた、おめでとう

<入塾4ヶ月目の生徒>
 個別指導なので生徒の来る時間帯は選択できるようになっている。もう一人の2年生が7時半に来たので、数学の評価を訊いてみた。
 「先生、5になった
 部活を一生懸命にやっているこっちの生徒もアップしていた。入塾時に「文武両道、勉学優先」、そして「予習方式への切り替え」を宣言した。4月から来ているから4ヶ月だが、よくがんばっている。
 そそっかしいところのある生徒で、ケアレスミスがよく出ていた。調子に乗ると計算速度が大きくなるので、ケアレスミスにはお構いなしにどんどん問題をやらせた。速度があがれば集中力もアップするから、この生徒の場合はケアレスミスは自然消滅すると読んだ。小学生が書くような大きな字だったが、中学生にふさわしい小さな字で筆算するように何度も注意した、イコール記号も「こ」の字になって上下が大きく離れていたが、きちんと間を狭くして書けるようになった。gjqyの小文字はちゃんと一段下げて書けるようになった。小うるさい指示にもよくしたがって、自分の癖を改める努力をした。結果の出るのが早かったのは素直な性格が幸いしたからだろう。砂地に水が染みとおるように指示にしたがって動けるのはご両親の躾けかたがよかったからだろう。数学が大好きになったと、一月ぐらい前に言っていた。次の課題は英語である。数英が5になれば、鬼に金棒。そこがクリアできたら、第三段階へ進める。一人ひとり、性格と速度を確かめながら、階段を昇ってもらう。4段階までくれば昇っていたのは階段ではなくて山であったことに気がつくだろう。

<計算速度の差と学力>
 2年生で計算の基礎をがっちり作っておかないと、高校生になってからの副作用が大きい。中学時代の計算トレーニング不足で、ちょっと複雑な計算を伴う文章題が、とんでもない難問題に見えてしまう高校生が少なくない。そして難易度の低い定期テストですら、計算時間が足りなくなり全問解くことができない。根室高校普通科では定期テストの問題を全問時間内にやり終える生徒は20%はいないだろう。中学時代の計算問題消化量に不足があったからだ。速度を上げるトレーニングが必要だが、そこを意識して授業をやっている中学校の数学担当の先生が何人いるだろう?
 高校数学は計算力も要求しているから、中学時代に教科書準拠問題集の計算問題は全部消化しておくだけでなく、塾用の問題集の計算問題も一題も漏らさず全問やるべきだ。ただ、計算速度の遅い生徒は教科書準拠問題集だけで手一杯になるから、計算速度をアップするトレーニングも並行してしなければならない。同じクラスで、上位3人と下位3人では、計算速度に10対1くらいの差があるわたしが2年前に測定したときには速い生徒と遅い生徒の計算速度に30対1の差があった計算の速い生徒が30分勉強したら、遅い生徒は15時間勉強しないと同じ問題量を消化できない計算速度の大小が学力に決定的な差を生むことが理解できるだろう

<部活二つ掛け持ちの生徒が抱える問題>
 遠征でお休みだった生徒がいる。部活を二つ掛け持ちしているので、読書時間がとれないし、勉強時間も少ない。読書量が少ない生徒は国語力に弱点があり、ほかの科目の伸び代が小さくなるので要注意である。
 最近はすこし家で勉強するようになったようだ。部活を掛け持ちしている限り、生活パターンは変える余地が小さいから、読書時間も家庭学習時間もほとんどとれない。したがって、予習方式への切り替えもできず、復習に追われるから、学校の授業の理解度もあげられない。
 数学の成績が急激に上がりだすのは、復習方式でやっているのを予習方式に切り替えたときからである。それができなければ成績の急激なアップは期待できない。部活を片方整理できないのなら、効果がないから塾はやめてもいいのではないかと思う。連立方程式の計算問題に手間取っているので、このままでは次の1次関数の章の問題で挫折するから、2週間ほど毎日塾へ来て勉強するように親と調整した。週に4回、2ヶ月間くらい補習したいのだが、部活が二つではそれすらままならぬ、どうやっても時間が取れない。独力で家で学習できるほどの力がついていないから、わたしのサポートが必要なのである。理解できないところが頻出するので、しっかり説明して理解させる必要がある。
 別の見方をしてみることがある。勉強だけが人生ではないというのも一片の真実を含んでいるし、がんばっても全員の学力が上がるわけではない、向き不向きもある。
 この生徒は塾へ来ている時間はとにかく一生懸命に勉強するように最近変わった、そこがメンコイのである。もう少し様子を見て、それからお母さんを交えて休塾という選択肢を含めた具体策を話し合わなければならない。この生徒に文武両道は無理と判断している。二つの部活を抱えたら「文」の時間が取れない。とことん部活をやって、成績がいまより下がれば、そのときは部活を整理して、もう一度勉強しに来ればよいのである。「仕切り直し」が必要かどうかを見極めなければならない。

<学年トップを走り続ける生徒>
 今日終業式の中2の生徒は1学期期末テストの五科目合計点が480点を越えている、数学は満点だから相変わらず5だ。1年前のお迎えテストから9回連続して学年トップだが、480点超えは初めてだった。2位との差は広がる一方であるから、成長はしている。「五科目はオール5だったよ」と報告があった、「あたりまえだ、君の場合はわかっているから報告はいらないよ」と伝えると、「がんばったのに」とふくれてる、からかうのが楽しい。
 そういう生徒でも問題や課題はある。根室の中学校内での学年順位はどうでもいいと何度言っても、ダメ、この点だけは譲るつもりがないらしい、頑固な生徒だ。(笑)
 わたしはこの生徒の指導上の目標をとりあえず全国レベルの偏差値70(河合塾:慶応経済、早稲田政経)超においているから、根室の中学校の学年順位はどうでも良くて、そんなことよりも年内に中3の数学と英語を終了して来年早々から高校数学と英語の特別演習をはじめたい。それには勉強時間量が足りない。このままでは土日に勉強時間をとれないことが大きく影響してしまう。全速力でやれば、1年間で2年分消化できる、その程度の能力はあるのでチャレンジさせたい。中学3年の終わりまでに、数ⅡBと高校英語の教科書3年分を終えたいのだ。できれば英字新聞記事の読み方も伝授しておきたい。難関大学の2次試験対策である。いつまで塾をやれるかわからないから、少しあせっている。準備運動期間はそろそろ終了にしたい、そろそろ本気でやりたい。ついてくる気があるなら、戦略学習の威力を体験することになるだろう。「さて、どうしたものかの~う」。
 そろそろ親離れ・子離れの時期であるとは思うが、こちらの考えている方向へと生活習慣を変えるには両親の協力がなければ不可能、摩擦熱が生じそうだ、家庭の方針もあるから折り合いをつけなければならない、う~ん、要相談。東京とは違って、この辺りがなかなか難しいのである。20代の後半に3年間東京の進学塾で教えたときには、保護者はこちらの方針を例外なく受け入れてくれたが、根室の常識はだいぶ異なり、同じようにはいかぬから、それも含めて楽しめということだろう。ふるさとに在ってはふるさとの流儀に従え、しかし、枉(ま)げてはならぬものがある。(笑)
 生徒自身と保護者の理解と納得を前提に、目標と教育戦略を確認していく。それぞれに「山あり谷あり」でよい。ベストと考えることをやるのはたいへんだから、保護者の意向通りでいいではないかと耳元の辺りで飛んでいる蚊のごとく悪魔が囁く。うるさい、シッ。(笑)
 わたしも頑固な生徒と同様に、納得のいかぬ仕事はしたくないのだから、始末が悪い。職人とはすべからくそういうもので「知の職人」も例外に非ず、自分の中にいる「知の職人」は、頑固なところと融通無碍なところを併せ持っているようで、何が出てくるのかさっぱり読めないからじつに扱いにくい。(笑)

<fact:中2の4人中3人が数学5>
 たった4人の中2の生徒の内、3人の生徒が数学の成績「5」はうれしい、二人アップして5へ滑り込んだ、よくがんばった。
 式の展開と連立方程式が範囲だから、1学期期末テストは計算がほとんどで、文章題が少しだから、しっかりやれば成績3の生徒でも5にアップすることはある。
 問題は夏休みの過ごし方だ、ここで1次関数や平行線の章、三角形の合同証明の章を予習できたら、2学期も5をとれる。2学期5なら3学期も5ということになるだろう。
 こうしてまぐれでいただいた評価5が、2年生が終わるころに本物の実力を備えた5に変わるかどうかは、これからのさらなる精進が決める。階段をもう一段昇ることができるだろうか?
 わたしはお酒の熟成を見守る杜氏のような気持ちである。杜氏の役割は、丁寧に米を磨ぎ、蒸して麹と混ぜ合わせ、温度管理をしっかりするだけ、そこから先は天の御業、できることは何もない、醗酵に任せるのみ。米と麹と水が良好な化学変化を起こして好い酒ができるのが楽しみ。樽ごとにそれぞれ違う味わいの酒になることだけは慥(たし)かである。

<チャンピオンデータ例:相性がよいケース>
 過去にあったチャンピオンデータの内の一部を紹介しておきたい。
 2年2学期の学力テストが0点で入塾した中2の女生徒が、2学期期末テストで88点取ったことがある。部活指導の先生に事情を話して、1ヶ月部活を休んで放課後はまっすぐに塾へ来るように言い渡した。もう一人10点台の友達を連れてきたが、一緒に勉強して2学期期末テストは75点だった。二人ともよくやった。一緒に来たほうは、できないので先生に頭をゴツンとやられてカチンと来て塾をやめたと言っていた。よほど相性が悪かったのだろう。二人の成績が急に上がったので、A中学校の数学担当のY先生がびっくりして生徒に「何をしたの?」と尋ねたという。「ニムオロ塾で勉強しました」と答えたそうだ。
 魔法があるわけではない、わからないところを見抜いて丁寧に1ヶ月間個別指導しただけだから、誰にでもやれる。しいていうと、教えたわたしではなく、毎日学校の授業が終わるとまっすぐに塾へ来て1ヶ月間熱心に勉強してくれた二人の女生徒に成績アップの原因がある。C中学校でも短期間で似たような変貌を遂げた女子生徒が二人いた。たまにこういう生徒がいる。
 12月に塾を開いて一番最初に来た三人の6年生のうち、一人がどうしてもすぐに見てもらいたいという。半端だから、3ヶ月待って中学生になってからでいいでしょうと断ると、執拗に食い下がるので理由を聞いたら、塾へ通っているのに文章問題が零点だった、だから塾を変えたいという申し出だった。頭のよい生徒でもそういうことがある。その生徒は数学がすぐにできるようになり、中学校では学年順位が10番以内、そして大学へ進学した。単に相性が悪かっただけのことで、頭のよい悪いの問題ではなかった。進学先は法政大学だった。

 先生との相性というものはある。ニムオロ塾だって以心伝心、相性がよろしくないと感じることはある。そういう時は塾を変えてみることだ。よければその塾で勉強すればいい。変えてみてもとの塾のよさがみえることもあるから、そういう時は戻ればいい。どの塾の先生だって全部の生徒が自分と相性がいいなんて思わないから、にっこり笑って「お帰り」といってくれる。

<数学が5になれば、半年後に英語も5になるケースが多い>
 数学が5に上がった生徒は半年遅れくらいで、英語も5になるケースが多いのは生活習慣が変わり、勉強の仕方が身についてしまうからだろう。英語のほうは、子音の発音トレーニングや音読トレーニングからはじめなければならないから、ちょっと時間がかかる。英語の音読が下手な生徒は日本語の音読も下手だ。そういう時は日本語の音読トレーニングもやらなければならない。とにかく、問題が見つかったら、トコトンそれを取り除いてやる覚悟が必要である。
 数学が今回初めて5になった生徒二人は、夏休みの勉強しだいで2学期には数学と英語の両方の成績が5になるかもしれない。学力の伸びに、いま勢いがある
 数学も英語も2年生の2学期から急激にむずかしくなるので、そこで点数を上げられたら、実力は本物に替わる。本当は英語のほうがずっとやさしいのだよ、でもとことんやりだすと数学と同じように奥の深いことがわかり始める。
 さて、中2の4人は2学期それぞれどういう成長を見せてくれるのか、わたしは目が離せない。
 塾をやるのもあと数年のことだろうから、少ない人数を相手に一人ひとり丁寧に教えたい。 

<余談:がっくり肩を落としていた生徒>
 学年順位が今までで最高だった三年生がいる。割合でいうと、上位25%の辺りの成績だ。期末テストの順位が過去最高だったのに、五科目全部が3だったとがっくり肩を落としていた。担任の先生から提出物が遅れたことが響いたといわれたようだ。その生徒よりも数学と英語の点数が低い生徒たちが何人も4をもらっている。努力を見ていたからこそ、かわいそうだった。

 「負けるな、こんなことぐらいでめげるな、○○が頑張っていたこと、そして結果を出したことは教えているわたしがよく知っている、次回はもっと高い得点をたたき出してみろ。こういうときこそ一心に勉強に打ち込め!」

 帰るときに少し元気が出ていた。意気消沈したまま帰したくなかったので、ほっと胸をなでおろした。

*#3035 根室から難関大学へ進学する場合にやるべきこと Apr. 29, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-28

 #3375 高2 英文多読演習にチャレンジ  July 23, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23

 #3376 高3 受験生の夏 July 24, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-24

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