SSブログ

#3241 2020年度までに市街3中学校統合 Feb. 19, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 市街化地域の3中学校(光洋中学校・柏陵中学校・啓雲中学校)が2020年度までに統合されると2月16日北海道新聞根室地域版の記事が報じた。

2月16日北海道新聞根室地域版より抜粋転載
===============================
  市教委が学校適正配置計画案
 市街3中学統合へ 
20年度までに

【根室】市教委は新たな中学校適正配置計画案をまとめた。市街地の4小学校(北斗、花咲、成央、花咲港)と3中学(光洋、柏陵、啓雲)が見直しの対象で、2020年度までの5年間に花咲小を成央小と統合し、中学は1校にする内容。11年策定の前回の計画では、市街地3中学を2校に統合するとしていたが、想定を上回る児童・生徒数の減少や学校施設の老朽化を受けて見直した。(犬飼裕一)

 
花咲港小、成央小と統合

 市の15年度の児童・生徒数は2029人で、54年前(1962年、8804人)の約23%にまで減少。このうち市街地7小中学校の児童生徒数は1695人で、前回計画の推計値を101人()5.6%)下回るなど、減少ペースが加速している。市街地校は築40年以上の後者や体育館の割合が約8割を占めるなど、施設の耐震化や大規模回収などハード面でも課題となることが見込まれている。
 計画では、クラス替えや部活動の児童の選択肢確保などの観点から、小学校の適正規模を1学年あたり2、3学級(1校12~18学級)と想定。現在、学校全体で3学級の花咲港小は「適正配置を進めることが必要」としている。現在12学級の花咲小は20年度に適正規模を下回ることが見込まれるが、学級担任制を採用している小学校は「(強化担任製の中学校に比べ)小規模化による教員定数減の影響が少ない」(市教委)等の理由で、北斗・成央小と共に「現状維持が妥当」としている。
 一方、市街地の3中学はいずれも既に適正規模(1学年あたり3~6学級)を下回っており、啓雲中は20年度に3学年全体で5学級となることが想定されている。
 中学は教科担任制で小規模化による教員定数減の影響が大きく、引き続き生徒数の減少が見込まれるといった理由から、市街地中学の望ましい学校数を1校とした。18日まで実施中のパブリックコメントを経て成案化する。市教委は4月以降に地域やPTAなどに説明していく考え。市教委総務課は「通学区域の見直しや通学バスの問題など、具体的な内容についても地域住民の理解を得て検討していく」としている。

・・・市内の小学校教諭は「計画は『寝耳に水』。小・中学校の連携が進み、子供同士、先生同士の交流が盛んになってきたと感じていた。中学1校では通学範囲が広すぎるのでは」と複雑な表情を見せる。・・・
===============================

 高校の統廃合が来年に迫っている。順序から言うと、小学校の統廃合、そして中学校、最後に高校の統廃合であるが、根室市教委のそれは真逆。でも、ようやく踏み込んだのだからよしとしよう。

 ロシア200海里内のサケマス流し網漁が禁漁になった。台湾や中国船が北太平洋公海上に居座って大型船でサンマ漁をし始め、水産資源量の激減が懸念されている。漁師も水産加工場も原料が減少すると同時に値段が上がっているから、水産業で職を得ている人たちの数が減っていく。社会保障人口問題研究所の地域別人口推計にはこういう事情はまったく斟酌されていないから、推計値を超えて小中学生の数が減少していくだろう。
 現在のペースで小中学生が減り続けると、24年後の2040年には、市内全域で1学年100人を割ることになりそうである
 そういう長期スパンで考えると、郡部を含めて小学校も統廃合の対象とすべきではないのか?小学校の校舎を2つ造れば、耐用年数の半分に満たぬうちに一つは廃校となる。
 少子・高齢化を前提にデータを示して議論すべきだ。一昨年だったか、建て替えられた歯舞小中学校も15年後の生徒数は1学年何人いるのだろう。10名前後ではないのか?立派な学校を新築しても20年経たぬうちに生徒数が半減し廃校となる可能性が高い。建て替えのときにそういう議論はしたのだろうか?
 後の祭りである。だから、事前に長期的視野に立って、具体的なデータに基づく議論と、その記録を残すということが大事なのである。誰がどういう意見を述べて、賛否がどうだったのかも個人名を記して、後世に責任を持つ覚悟が必要である

 小中高等学校の統廃合は町の将来に関わる大きな問題であるから、「教育村」の一部(花咲小学校の先生も知らなかった様子)だけで議論して決めてよいはずがない
 高校の統廃合問題では「教育村」の一部の住民だけで議論して、統合後の授業のレベル確保をどのようにやるかという重要な問題を見落とした。同じ教科書を使えないほど普通科160名(予定定員)の生徒の学力差は大きいのである。データを見ないで議論をするとこういう重大なミスをする

 根室高校では、学力も校内の風紀も「ニシコウ化」が始まっている。定員割れで、300点満点で80点以下の生徒が普通科ですら十人前後も入学できるようになってしまった。中学時代に勉学に興味を失った生徒たちが、受験勉強もしないでそのまま入学できるから、校内で授業をサボって好き勝手をする者が現れているらしい。小学校や中学校では3人そういう生徒がいたら、簡単に学級崩壊現象が起き、取り返しのつかぬほど学力が低下することはいくつもの事例ですでに実証済みである。弊ブログでも当該学年の学力テストの平均点を挙げて何度も論じた。
 高校生のワルには普通の先生は注意すらできない。そういう生徒は、強い先生のときにはおとなしくして、弱い先生の授業を狙って好き勝手をやる。埼玉県で高校教員をやっていた友人が30年以上も前に赴任した県立高校の状況を話してくれたことがあった。
 荒れていたころのA中学校やC中学校、そして8年前のB中学校の状況が、根室高校で起きるようになったら、学力低下がさらに進む。学力低下の兆しが授業の進捗速度低下となって現れるということも中学校と共通している。
(高校生の幼児化が進んでいる。証拠は、たとえば数学と英語の宿題、まるで小学生並の頻度である。自立していたら高校生に宿題を出す必要などない。)
 根室高校は今日から学年末テストが始まっているが、2年生の数Ⅱは積分の章を授業でまだやっておらず、もちろん試験範囲にもはいっていない。1年生も数学の授業は10年前と比べても、授業の進捗速度、定期テスト問題の難易度のどちらも格段に落ちた。そしてこの数年間さらに落ち続けている。

 五科目300点満点で100点取れない生徒を道立高校で受け容れる必要はないと思うが、入試の合格点の足切りはできないのだろうか?入試の1年前に足切り点数を公表したらいい。
 100点で足切りすれば、勉強やる気のない生徒の入学を防げる。勉強しなければ高校へ入学できないというシステムを作るべきだ。100点という足きりを設けることで、傍若無人に授業を抜け出して遊んで歩く生徒はほとんどいなくなるだろう。
 
 10年前は150点Fランクで数人普通科に不合格だったから、100点での足切りはかなりヌルイのである。高校側は道教委と相談して100~120点での足切りを是非検討してもらいたい。
 現在採用している教科書が要求する最低学力水準はだいたい150点付近にあるとみなしてよい。B中学校とC中学校の3年生の学力テストデータから判断すると、五科目合計点で150点を越える生徒は、おおよそ上位27%である。C中学校の3年生は全国学力テストで平均点を達成したから、2年生や1年生よりも学力が高い。根室市教委はこういう学力テストデータすらモニターしていない。
 市内の3学年全体を230人として計算すると、根室高校普通科の定員は60人で十分(上位層が市内全域で10~15人ほど釧路や札幌圏へ進学する)だという論も成り立つ。

 市街化地域の中学校では数英の学力テストの平均点が30点以下の学年が現れだしている。ある学校の2年生は20点以下が40%もいる。こういう学力層の生徒は標準的な高校普通科の授業についていけるわけがないから、遠慮はいらぬ、足切りしたらよい。
 100点以下は、中学校の学び直しをしてから高校へ進学するのが筋、たとえばフィンランドはそういう教育システムになっているようだ。

 地元経済界も教育に関しては注文があるだろう。地域の未来がかかっている問題だから、総合文化会館で毎週日曜日に半年くらいかけて市民自由参加で議論すべきである。

 生徒たちから、西高校を統合後の中学校にするという噂が伝わってきている。統合後の中学校をどこに置くかということも重要問題である。西高校は市街化地域の小中高で一番西側に位置している。真ん中に近いのは北斗小学校と成央小学校である。統合後の学校の生徒数を考えると、土地の一番広い成央小学校が最適ではないのか。
 無料バスでの送迎について、道庁と費用負担の交渉もしなければならないだろう。

 「教育村」のそれも一部だけで案を作ってはいけない。
 市立病院建て替えで大失敗したではないか。市が招聘したコンサルタントの30億円以内での建て替え提案を無視して、その倍以上の費用をかけた。最大で年間11億円と計画されていた赤字額は10年前の2倍の17億円にも膨らんでいる。実現性のまったくない、現実離れしたでたらめな計画であった。
 校舎を建て替えるぐらいの資金は、市立病院経営赤字額を年間10億円に戻せればいくらでも捻出できる。もちろん、明治公園(元信金理事長が委員長となって拙速に結論を出した40億円の)再開発なんて論外である。他にやるべきことがある。

(根室市の予算は藤原前市長時代の140億円台から180億円に膨らんでいる。人口は5000人ほど減少しているのに、予算額は40億円も増えている。放漫財政というべきだろう。)



<余談:学力上位層の人数に見る中1の惨状>
 2月3日実施の学力テスト(1年生対象)で五科目合計点で400点を超えたのは、B中学校で1人/60人、C中学校では2人/57人で、2.6%である。たったの3人、市内全域の中学校でも5人前後だろう。
 10年前にはB中学校で学力テストで400点を越える生徒が15~20人いた。C中学校でも十数人いた。市街化地域3中学校だけで40~50人いたのである。それが今では10人以下となってしまった。
 学力テスト400点では大学入試偏差値50に少し届かない。学力上位層が激減というより、絶滅しかかっているのが根室の子どもたちの学力の現状なのだ。こんなに急激に学力が低下してしまったのでは、20年後、30年後の根室の未来に暗雲が立ち込める。
 子どもたちの学力低下は10年後20年後の根室の働き盛りの大人の知性低下を意味する。人口減少時代に突入した日本で、全国平均よりもさらに加速的に人口減が生じている根室で、未来の町を支える人材がいま枯渇しかかっている。
 学校の統廃合に関する議論をするときには、教育関係者は具体的なデータを挙げてものを言え。

<余談-2:根室高校の先生たちへ>
 3度注意しても行動が改まらないなら、毅然と停学⇒退学処分を下せばいい。職員会議でそういうルールを決めて、生徒と保護者に周知徹底してみたらいかが?
(このままだと、統合後の入試偏差値は40(現在45で下位1/3)くらいまで落ちそうだ。偏差値40は下位16%の底辺校という位置づけ。)
 保護者のほとんどがルールの制定とルールに基づく処分を支持するでしょう、卒業生のわたしも賛成です。

--------------------------------------------
 - 論より証拠 -
<学力テスト数学20点以下が50%と37%の実データを載せてあります>
*#3238 C中2年生の学力テスト数学の平均点がアップした Feb. 14, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14-1

 #3202 縦軸と横軸で中学校のテスト・データをながめる Dec. 12, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-12-12





      70%       20%      
 
日本経済 人気ブログランキング IN順 - 経済ブログ村教育ブログランキング - 教育ブログ村


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

馬

まともに大学進学を目指そうとする生徒や親なら普通は授業中エスケープするような生徒のいる高校には入れたくないと思います。地元にそのような高校しかないのなら、なんとかして子供を都市部に進学させるか、進学と同時に家族ごと都市部に移住するでしょう。ただ、定員割れの高校に進学予定でのんべんだらりと過ごす同級生に囲まれながらモチベーションを保ち続けるのは容易ではありません。特に、都市部の進学校を狙うならば教科書傍用ワークレベルの学校の定期テストは満点近くとって当たり前、そしてそれだけでは思考力、記述力を問われる入試問題で太刀打ちできないのが半ば常識です。

地元進学を考える生徒は定員割れで勉強しなくても高校に入れることが分かりきってるので、更に勉強しなくなります。一校しかないのであれば、中学生が勉強をする動機で最も身近な「地元でより偏差値が上のあの高校に入りたい」ということすらなくなるので尚更です。

10年後、高校の統合が進む過疎地域(主に人口五万人以下の地域)では進学実績どころか、深刻な学級崩壊が問題になってくると思います。かくして都市部と地方の差は更に広がると感じます。
by 馬 (2016-02-20 10:44) 

ebisu

馬さん

マーさん、中国の方ではないようですね。(笑)

中2や中1にも授業中に騒がしい生徒が少なくないので、「学級崩壊」状態に近いクラスがあります。現在の中2の生徒たちから、高校が1校体制になり、実質「全入」です。

統合後は科目選択制になるので、非常にまずいのです。
クラスで隔離ができません。科目を選択して受講するのですから、大学進学希望者も、勉強したくない生徒も選択科目が同じなら、同じ教室で学びます。
統合後の授業の有様が保護者や中学生の知るところとなったら、大学進学希望の生徒たちは根室高校への進学をためらうことになります。

札幌圏にお爺さんおばあさんがいる家庭は、そこから高校へ通わせる道を選択するでしょう。
経済的に余裕のある家庭は釧路湖陵や高専、そして札幌圏の進学校を選ぶでしょう。
学校の先生たちは学力の重要性をよく知っているので、自分の子どもの進学で悩むことになります。

それにしても、五科目500点満点の学力テストで400点超が市内全域で5~10名では、ほとんどの生徒が根室の高校を選択せざるをえないのです。

かくして、地域間格差が高校統合をきっかけに拡大することになります。あなたが指摘している通りです。
転勤族も根室に家族を連れてくることをますますためらうでしょう。

>10年後、高校の統合が進む過疎地域(主に人口五万人以下の地域)では進学実績どころか、深刻な学級崩壊が問題になってくると思います。かくして都市部と地方の差は更に広がると感じます。

根室で起きている問題は同じくらいの規模のいくつもの町に共通する問題をはらんでいます。だったら、それを乗り越えて見せたらいい。
教育問題をないがしろにして、根室の人口減対策も町の未来もありません。


by ebisu (2016-02-20 16:02) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0