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#3321 スローずぎる数学授業:すでに赤信号  June 8, 2016 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 昨日(6/7)「連立方程式に入りました」(中2)、「平方根の章に入りましたが、中身はまだです」(中3)。

< 2年生の授業進捗遅延実態 >
 のんびりしている、先生の異動もありましたから、またすっかり以前に戻ってしまった学校があります。
 中2数学は次のような章構成になっています。

 第1章 式の計算            8-31㌻
 第2章 連立方程式        32-53㌻
 第3章 1次間数            54-90㌻
 第4章 平行と合同        91-121㌻
 第5章 三角形と四角形 122-155㌻
 第6章 確率              156-173㌻

 全部で166㌻(173-8+1=166)ありますが、6/7に連立方程式へ入った学校は、4月と5月そして6月の第一週までかけて、25ページを消化したに過ぎません。この学校はもうアウトです。3月までかかっても、このペースを前提にすると授業は終わりません。とうぜん終わらせるために後半部分の「すっ飛ばしや端折り」がなされます。もちろん2年生の復習もやれません。
 校長先生と教頭先生は授業をご覧になったらいかがですか、廊下からだって確認できますよ。こういう先生は言われないとわかりません。上司として、管理職として、授業の進捗状況を管理するのは当然の仕事です。学力テストデータを見てください、学力低下の原因になっていることが読み取れます
 消化率を計算してみましょう。
 (32-8+1)(173-8+1)=25/166=15.1% :教科書消化率

 年間365日のうち、春夏冬休みが60日あります。土日が104日、祝日が15日ありますから、稼働日は
 365-(60+104+15)+18=205日
 復習期間を2月一か月分(19日間)とります。
 205-19=186日 :年間日数
 
 加算した18日は春夏冬休みの土日分です。6月7日まで41日(4/5からとして計算)ありましたから、年間の何%の授業日数にあたるか計算してみます。
 41日/186日=22.0% :日数消化率

 すでに7ポイントの進度遅延が生じています。ページ数に換算すると、
  166㌻×7%=11.6㌻ :遅延実績ページ数
 
 これを年間ベースに引きなおすと、
  11.6㌻×(186日/41日)=52.7㌻ :積み残し推計値
         ...................おおよそ4か月分

 1月末に52㌻遣り残しが生じる計算になります。これは単純計算ですから、後半部分が一次関数の応用問題、図形の証明問題、確率と難易度が上がるので、それを考慮するともっと悲惨なことになります。単純計算でも、52ページの遣り残しが生じるので、173-52=121㌻まで、第5章と第6章はやれないことになります
 とっくに赤信号ですよ。校長先生と教頭先生は数学授業の進捗を確認して、担当の先生に適切な指導をしてください
 学力テストの平均点をみれば、その先生の担当している学年は平均点が低いことがわかります。他校や他地域のデータと比較するのがいいのですが、文協学力テストは全道の平均点も、近隣の市の平均点もありませんから、役に立たないですね。市内の市街化地域の他校データと比較してください。自分の学校の他の科目の平均点と比較してもわかります。
 ふだんの学力テストデータをちゃんと見て、指導に生かしてください



< 3年生の授業進捗遅延実態 >
 3年生でようやく平方根に入った学校があります。章構成は次のようになっています。

 第1章 多項式            8-37㌻
 第2章 平方根           38-65㌻
 第3章 2次方程式       66-89㌻
 第4章 2次関数        90-119㌻
 第5章 相似な図形   120-157㌻
 第6章 円              158-175㌻
 第7章 三平方の定理 176-197㌻
 第8章 標本調査      198-209㌻

 全部で202㌻(209-8+1=202)あります。31㌻(38-8+1=31)消化しました。消化率は次のようになります。
   31/209=14.8% :教科書消化率

 3年生は修学旅行が4日間入っているので、それを考慮に入れると、年間授業日は183日です。
   (41-4)/183=20.2% :日数消化率

  ギャップはすでに5.4ポイントありますから、すでに11ページの遅れが生じています。
   202㌻×5.4%=10.9㌻ :遅延実績ページ数

 年間ベースに引きなおして、現在のペースの授業だと単純計算で1月末に何ページの遣り残した起きるか実績値を利用して試算してみます。

   10.9㌻×(183日/37日)=53.9㌻ :積み残し推計値
         ...................おおよそ3.5か月分

 後半の章の難易度アップを無視して単純計算でも、1月末に54㌻の遣り残しが起きます
   202-54=148㌻
 
 「第6章 円」が158㌻からですから、この3年生たちは3章分まるまる遣り残すことになります


< なぜこんなに遅れるのか? >
 主要な原因は二つ。管理職(校長や教頭)による、授業進捗管理指導がなされていないことと、生徒の学力がひくいこと。
 こんなに進捗が遅れてしまうのは、生徒の学力が低いことが関係しています。簡単な数量計算にこんなに時間をかけざるを得ないほど、生徒たちの計算能力が低い。半数から7割が学力テスト得点40%未満の層です
 つまり、前年度までの既学習分の計算が身についていません、だから前年度以前の分の内容を今年の授業時間を費やして教えているという実態が浮かび上がります


< 現実的な対策 >
 得点40%未満の生徒は部活を停止して、放課後補習に参加させないと、授業の進捗が正常化できないでしょうね。

 保護者を集めて、具体的に学力テストデータを正直に説明して、学校は教育機関だから部活よりも学習を優先する、得点40%未満は放課後補習に強制参加を義務付け1ヶ月間部活参加を認めない旨、宣告したらいかがですか?
 子どもたちを甘やかすのはもうやめましょう。


< 余談:タスキ掛け法 >
 3年生の数学教科書に因数分解の基本のひとつである「タスキ掛け法」が載っていません。そのせいか、どの学校の先生も申し合わせたように「タスキ掛け法」を教えていませんが、あれで教えたほうが図で覚えられるので理解できる生徒の裾野を広げられます。ぜひ教えてください。
 教科書記載事項は最低要件ですから、「タスキ掛け法」は教えてかまわないのです。高校生になったら例外なく習います。
 市街化地域の3中学校は、数学授業が習熟度別編成になっています。成績上位層対象のクラスで、高校の範囲まで踏み込んで教えないでどうするのです?同じ内容の授業をやっているのを何度も見ました。あれでは意味がありませんよ。教える内容が違わないといけません、フリー参観で見た授業はまったく同じでした。そこまで頭が固くなってしまうのかと、びっくりしたっきり最近はこれ以上フリー参観授業に行く気になれなくなりました。
 数学と英語の授業を見学するとストレスがたまるんです。強いストレスはあらゆる癌の素(もと)ですから、避けています。10年前の一昨日6月7日に内視鏡検査を受けて「癌友会」の正規会員になって胃の全摘・胆嚢切除・大腸一部切除手術してから、すっかり意気地なくてすみません。(笑)



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