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#2250 自己採点チェック:根室高校へ問い合わせた塾生 Mar. 22, 2013 [60. 進路(進学・就職)]

 自己採点の精度をチェックしたくて、受験票を持参して根室高校へ行った生徒がいる。ニコニコしながら教室へ入ってきた。

 「先生、こんばんわ、根室高校に行って点数確認してきました」
 「え、窓口で教えてくれるの?」
 「受験票もって行ったら(本人)確認して教えてくれました」

 自己採点結果は五科目合計190点だった。国語が自己採点53点と喜んでいたが実際は49点で「50点いかなかった」と悔しがっていた。直前に東京都立の国語問題をやらせたので、問題がずいぶん簡単に感じたのだそうだ。学力テストABCでは国語は一度も40点を超えたことがなかった。
 数学は予定通り50点に少し足りなかった。英語が驚きだ、自己採点よりも4点プラスで44点で、一番苦手な科目で学テABCの平均点よりも33点プラス。正月開けの2ヶ月ほどで急激に伸びた。社会と理科は棄てて苦手の英語に没頭していたから、理社は上がらず。
 5科目合計点は総合ABCの三回の学テの平均点よりも77点アップしていた。
 しばらくこの調子で努力したら成績はまだまだ伸びるから、高校で自分の限界を極めてみたらいい。春休み・夏休み・冬休みは一日8時間勉強したらいい。この生徒は苦手の英語に自信がなかったので普通科受験をあきらめて事務情報科を選択したが、それでいい、事務情報科に根っこを張って五科目1級に挑戦したらいい。未来は、いま渾身の努力をすることで変わる。

 みんながこんなに伸びるわけではないが、この生徒よりも伸びた生徒が一人いる。自己採点結果は210点台である。個別指導だからわずか9人の高校受験生だが、国語に問題のない生徒は最後の追い込みでのノビシロが大きい。

 日本語語彙が基礎学力に大きく影響していると言わざるをえない。「読み・書き・ソロバン」の順に大事だ。年齢に応じて読む本のレベルを上げていくべきだ。小学生の高学年の時期に書き言葉の日本語語彙の拡張の時期がある。それをクリアできた子どもは中学生になって「濫読期」を迎え、急激な文章語の語彙拡張期が訪れる。
 大数学者の岡潔も小平邦彦(フィールズ賞(数学のノーベル賞)受賞者)も『国家の品格』の藤原正彦も、小学生の時期の日本語語彙の拡張期の重要性に言及している。文章語彙の拡張には「旬」があるというのである。この時期は日本語の本をたくさん読むべきで、英語なんかやらせるべきではないと言っている。三人とも海外留学経験のある数学者である。
 小4から1年間は国語辞書や漢和辞典を引きながら、新聞や本を読むべきだ。日本語語彙の豊富な生徒は英文を読むのも速く正確だ。無意識に文脈を読んでいるからだろう。

 大学入試はそれぞれ希望の学校への進学を果たしたようだ。残念なことだが、高校入試で一人希望がかなわなかった生徒がいる、人生の試練だろう。わたしは今年は喜べない。苦い思いをしている仲間がいることにも配慮できるような器の大きい人間になってもらいたい。

(札幌のある高校「特進科」へ進学する生徒が一人いる。昨日は用事があって授業に来れなかった。私の都合で来週は授業を休むので、電話で話した。
身体に気をつけてがんばってほしい。君にも期待している。)


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#2230 それぞれの進路 : 大学へ Feb.28, 2013 [60. 進路(進学・就職)]

 昨日、高3の生徒が一人挨拶に来た。中1年生から6年間教えた生徒だ。ブカツに忙しい生徒で、勉強もそこそこやっていた。地元にもどって教員になり、自分がやっていたブカツの指導をしたいと何度も話していた。11月頃からようやく勉強に熱が入り始めた、気がつくとメンコイ中1はいつか大人の表情をしている。美人の高3はもうすぐ女子大生だ。根室に戻って来そうなのはこの生徒だけかな。
 同じ学年で元塾生が一人就職を決めている。3年間きついブカツをしっかりやっていた。昨年2度ほどあったが、すっかり大人の顔になっていた。ebisuの同級生が同じところを3年前に定年退職している、活気のあるいい職場だ。根室の漁業組合では唯一商品開発力がある。こういう働き口が増えると根室に定着する若者が増えるが、ここはむしろ例外。根室の中小企業家はもっと勉強して、オープン経営を目指してもらいたい。

 今年は専門学校への進学者がいなかった。中3まで来ていた生徒たちの進路も気になる。元気のよいUはどうしたかな?
 大学進学組みで最初に決まった生徒は北海道薬科大学。そして、藤女子、釧路公立大、酪農学園大学、北海道文教大学と各々合格を決めていった。高校になって通塾した生徒は今年は全員大学進学だった。

 薬科大学へ進学した生徒は中1から来て、中3の早い段階で退塾した。そして高校1年生でまたもどってきた。高2まで通塾して、高3は独力で勉強した。
 中3のときに数学100点をとり、喜んで電話してきた。「先生、数学百点とった!」、女生徒だったからこれはちょっと驚きだった。女子で中3になってから数学の点数が飛躍的に伸びる生徒は珍しい。自力だったからすっかり自信がついたようだった。
 薬科大学への進学は念を押した。就職先の選択がむずかしいからだ。病院の調剤業務はほとんどの病院が入院患者のみに限定、外来は外部調剤になっている。保険点数の仕組みがそうなっているからだ。したがって、病院への就職は採用数が少なくなかなかむずかしい。
 偏差値の高い薬科大学(例えば国立系や有名私大の薬学部)なら製薬メーカのMRがある。わたしは何人か検査試薬の開発の仕事でお付き合いをさせてもらった。これは仕事がきつい。
 採用の多いのは調剤薬局である。国内最大手の臨床検査会社SRLにいた当時、調剤薬局事業立ち上げのプロジェクトのメンバーだったことがある。社内に薬剤師は70数名いたが、社内公募はしなかった。10店舗くらいの規模で新規事業として立ち上げ、新規採用したが必要数はすぐに集められた。調剤薬局市場では薬剤師は買い手市場ではないだろうか。事業の性格上非正規雇用が多い。年齢で人件費負担を増大させる余地がすくない。6年間の勉強期間は長い、努力の末に、病院に就職があるといい。
 薬学部の実際は、今3年生の生徒からいろいろ訊いていたので、伝えてある。成績不振の生徒には転部を薦めて、国家試験の合格率を上げるような指導があるようだ。薬科大にとっては国家試験の合格率を上げることは事業存続の必須条件なのである。そのためにいろいろな仕掛けを用意している。次は国家試験合格に向けてがんばれ。目の前の目標を一つ一つクリアしていけばいい。

 藤女子大へ進学する生徒は高校1年生の4月に入塾した。偏差値の高い別の学校に合格したのだが事情があって、4月になり急遽根室高校へ。最初は数学の出来が悪く、「え、これで五科目オール5だった?」と冷やかしたした。しかし、呑み込みは速かったから、ナカミは本物だった。クラス分けのテストまでに実力を上げて最上位のγクラスに。学校の勉強はよくできた生徒だったから、早々と学校推薦で合格を決めた。
 希望は保育科だったはずだ。少子化でこの学科は就職がむずかしいかもしれぬ。ほかの職域で就職を探すのもなかなかむずかしいだろう。そういうことは大事だから民間企業の現実を説明してある。
 高校2年まで通熟していた。3年生は完全に自力で勉強、ブカツも両立させていた。明るい性格とブカツで養った技術がどこかで生きてくるから、ずっとやり続けてほしい。4月に普通科へ進学予定の生徒が、○○さん卒業だからいないんだと、がっかりしていたよ。君に習いたかったんだって。後輩の女子にも男子にも人気があった。

 釧路公立大学へ進学した生徒は、B中学校の「お迎えテスト」で数学百点を取った生徒だ。4番、ピッチャーだったが、肘か肩を痛めて中2のときに他のブカツへ転向した。小学校と中学校のブカツの先生は反省してブカツのあり方を改めてほしい。高校へ入学してからは陸上部だった。そちらでも全道大会でいい成績を修めるくらいだから、運動センスのいい生徒である。中1から高2まで通塾した。1年半ほど自力で勉強したということになる。
 公務員志望、意志は堅かった。道庁への就職なら、北大がベスト、次は小樽商大あるいは北海学園大だろう。先輩達がいるほうが出世はしやすい。そういう点では釧路公立大学は歴史が浅いから不利だが、誰にも頼らず自力でがんばれ。1年半独力で歩いた君ならやれるだろう。

 酪農学園大学へ進学する生徒は高校1年生4月入塾組みで、高2まで来ていた。高3はときどき通ってくれた。
 自力で勉強することはじつはたいへん大事なことだから、随時休塾を認めている。そして間に合わなくなったらまた復帰だ。だから高校生は出たり入ったりする生徒が多い。
 獣医さんになりたいと言っていたが、届かず獣医看護へ進む。希望の分野で仕事を見つけて楽しくやってくれたらうれしい。

 もうひとり、理系へ進学する生徒がいる。室蘭工大を受験した。2次試験が25日だったはずだから合格発表待ちだ。この生徒は小6から高2のはじめ頃まで教えた。数学の高速学習を2年間ほどやった生徒だ。中学校のときは男子で学年トップのことが多かった。釧路公立大へ進学する生徒と競い合っていた。中1の方程式の文章題のところでしばらく足踏みをさせた。問題集の問題を全問解かせたのである。きつくて悔し涙を流しそうになったこともあったが、塾長のシゴキによく耐えた。自力でやるスタイルがこのときに身についたと思う。授業中でも30分くらいは平気で考え抜かせた。たまに値を上げて「先生、この問題とばしていい?」「ダメだ、全部やる」、そのうちに観念して言わなくなった。ほとんどは線分図やポンチ絵そして表を使って丁寧に解説したつもりだが、たまには意地悪くヒントを出さないこともあった。一番イジメ抜いた(笑)生徒だ。その分、強くなったはず。
 中学時代は水泳で全道2位、全国大会も出た。文武両道の典型の生徒である。希望通り室蘭工大に合格してほしい。

 わたしは成績のよい生徒は大学受験直前の1年間は自力で勉強してほしいと思っている。受験科目全部を塾で習うのは論外、一人で闘い抜く期間が1年間は必要である。そうしないと、「指示待ち人間」をつくることになる。社会人になってからつぶれるタイプだ

 私は根室高校を卒業してから35年間東京で暮らしてきた。大学、大学院、それから民間会社3社の上場に関わる仕事をしてきた。複数の業種で取引先を含めてたくさんの人間を観察して、中高の勉強のスタイルの大切さを知った
 受験勉強のやりすぎは危ない、社会人となってから副作用が出る。長年培った学習スタイルは変えられない、それは性格の一部にすらなっている。社会人となってからこそ、ほんとうの学習が始まる、それまでの勉強は序章に過ぎないのである
 最近の弊ブログでも学習スタイルの大切さに触れているので、再掲したい。ほかでも何度も書いているから、カテゴリーで見当をつけて検索してお読みいただきたい。とくに中高生のお子さんのいるお母さんとお父さんにも読んでいただきたい。

#2220 勉強に熱が入りだした中三は学力がうんと伸びる・・・(2) Feb. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-21-1
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 ・・・すこしばかり無茶を承知で話しを進めよう。1科目20点上げることは生徒がその気になりさえすればそして適切な個別指導をやってやれば、2ヶ月間で可能だということ。3ヶ月あれば五科目合計点で100点(300点満点)アップすることは可能なのである。

 実際に2ヵ月で300点満点で百点あげた生徒はいない。
 年度によって社会の補習を5ヶ月間続けることがあるから、塾で面倒を見てやれるのは多くて3科目である。後の2科目は自力でやらなければならない。そこが本当は一番大切なのである。工夫がないことには成績が上がらない、数英で体験した勉強の仕方を理社に応用してみたらいい。
 社会の勉強法がわからない生徒がときどきいる。そのときはシステム開発技術を応用した便利な方法を「伝授」している。やり方を解説し、実際にやって見せて、「あとは自分でやれ」、それがebisu流。手取り足取り教えてしまったら、その生徒はほとんど確実に社会人となったときにひ弱な「指示待ち人間」になっているだろう。癖になってしまっているからほとんどの人が治らない。
 5科目全部を塾に頼った奴はどんなにいい大学へ合格しても社会人となってから将来つぶれるリスクが大きくなるだけ。学校の先生も、そして塾の先生ですらその点を見落としている者が多い。
 五科目全部の面倒を見てもらう、そういう育てられ方をした生徒は受験勉強の点数が取れるだけの「へなちょこ」に育つ。
 中学校や高校の先生たち、どういう社会人を作るのかという観点から教育を考えてみるべきだ。教え方が変わるよ。自立した社会人の育成という点から考えると、中学校や高校のときにその基礎部分がつくられる。受験勉強に偏した視野の狭い勉強を6年間し続けたら、それは習慣となり性格となってしまって、もうほとんど直しようのないものになるんだ。

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【追加】
 方程式の文章題で思い出したことがある。わたしも中1のときに同じところでずいぶん時間を食った記憶がある。このときに1時間でも2時間でも考える習慣がついた。団塊世代には塾はなかったし、教えてくれる人もいなかったから、自力でやらざるをえなかった。できない問題はノートに書いて憶えてしまう。暇なときに頭の引き出しから出して紙に書いてみる、そうしたことを繰り返すうちに突然解けてしまう。
 だから問題が解けないことにストレスを感じなくなっていった。解けない問題を記憶して出し入れして考え続けることが楽しみに変わっていった。
 そういう習慣が高校生になってから、公認会計士2次試験の参考書で勉強するときに役に立った。高2で経済学や哲学に興味が出て、マルクス『資本論』やヘーゲルの著作などを読むのにもこのスタイルが役に立った。分からない箇所が出てきたら、文章を記憶して、「反芻」するのである。1時間あるいはモノによっては1週間も考え続けたらたいていのことは自分なりに答えが見つかった。答えが見つからなければ、大事なことなら何年でも問題意識を頭の中に格納して「反芻」を繰り返せばいい。タフになった。
 このスタイルは大学院での勉強にも役に立ったし、民間会社で赤字を黒字にするときにも強力な武器になった。どうしたら黒字にできるか、仕事をしながら、仕事に関連する分野の専門書を読み漁りながら、そして関係ない分野の専門書も興味の赴くままに読み漁りながら、分野の違う仕事をする同僚と酒を呑みながら、つねに考え続けるのである。半年もそうしていれば大概答えは見つかった。
 今にして思うと、中学校のときに自分なりの方法で「鋳型」をつくり上げたのだと思う。しっかり自分を造れば、赤字すれすれの中小企業を売上高経常利益率10%超の企業へと生まれ変わらせることができる、赤字企業を黒字に変えることが可能になる。年収をあげて転職も可能になる。
 問題が解けないというストレスに耐え、自力で努力する期間を高校生の時期に1年間はもつべきだ。優秀な者は3年間独力でやれ。受験勉強のしすぎで、パターン学習の癖がついたら、社会人になってから大きなツケを払うことになるから、ご用心。


*#2219 勉強に熱が入りだした中三生は学力がうんと伸びる Feb. 21, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-21



 
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#2153 根室高校と根室西高校の就職状況 Dec. 7, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

 前回ブログ(#2152)の最後のところで、中学校のある先生が根室西高校のほうが就職に有利だと生徒に説明したという話しを書いた。事実誤認もはなはだしい。タイミングよく、北海道新聞が採りあげているので紹介して解説する。
(根室支局の栗田さん、ebisuの心のつぶやきが聞こえたのかな?いい記事をありがとう。笠原さん、「「黒船」襲来」シリーズは広い視点としっかりした取材そして構成、なかなかのもの。新しいボスも北方領土問題を精力的に取り上げている。前記者のKさんのときとは色が違うけど、三色並んでみるとなかなか見事なもの、道新ファン53年のebisuはたのしんでいます。(笑))


  12/6の北海道新聞に根室管内の高校生の就職状況が載っている。
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 管内高校生
 就職状況 依然厳しく
   求人は5割増 地元志向強く
【根室】来春卒業を予定する管内の高校3年生の就職状況は今年も厳しい状況だ。根室公共職業安定所によると、高校新卒者の管内求人倍率(10月末)は0.85倍。管内の求人数は前年同期に比べ5割増えたが、地元就職熱の高まりで求職者数も約2割伸びているため、前年同期に比べ0.17ポイントの改善にとどまっている。(栗田直樹)

 管内の求人数は前年同期比49%(69人)増の211人。介護施設の増床が相次ぐ医療・福祉分野で40人(同14人増)と大幅に増え、製造業の求人も39人(同7人増)と堅調だ。募集前倒しや退職希望者補充の傾向も強まり、過去10年で最も多い求人が集まっている。
 雇用環境の改善が見込まれたが、就職希望者も39人増の249人。「地元での就職志向がこれほど高いのは近年例がない」(同職安)自体で、管内各校は就職指導を強化している。

 根室西高校では3年生70人のうち46人が就職希望。2年前まで就職と進学が半々だったが、昨年から7対3の割合に。20人が内定を得たが、教師陣は履歴書記載や面接のの指導などをきめ細かく展開中だ。
 一方、根室高校では196人いる3年生のうち過去5年間で最も多い68人が就職希望。51人が内定を決めた。
 管内全体の就職内定率は10月末で48.2%(前年比13.4ポイント増)となっている。
 管内の高卒者の就職状況について、根室職安は「景気が不安定で、進学しても確実に希望の職に就ける見通しがたたないため、高校卒業後に地元就職に動く生徒が増えている」と話している。
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 根室高校の就職内定率は75.0%、根室西高校は43.5%である、大きな差がある
 就職内定先のリストがあればさらに差が大きくなる。たとえば、大地みらい信金は地元の金融機関だが、最近の採用は大卒がほとんどで、年に一人根室高校卒業生をとることがある程度。一昨年は3科目1級保持者だった。根室西高校は実績がないだろう。新製品開発が活発で活気のある歯舞漁業組合も根室高校卒業生がほとんどだろう。市内の有力な就職先はほかにもいくつもあるが根室高校が圧倒的に強く、根室西高校は実績のない企業が多い。
 だから、就職内定率だけ見ていてはダメだ、就職先や雇用形態までみないとその違いが分からない。

 内定している就職は全部が正規雇用ではない。非正規雇用はどれくらいの割合なのかそれも取材して載せてほしい。高校生にとって就職が正規雇用か非正規雇用かはたいへんな違いだ。
 年収を比べてみるとその違いはいっそうはっきりする。市立病院の看護師さんが根室で初任給が一番高い、21万円である。夜勤手当も入れるとボーナスとあわせて350万円前後にはなるだろう。ところが非正規雇用だと年に数ヶ月仕事がないのが普通で、月収も12万円程度だろう。年収だと100~120万円だから、正規雇用のトップクラスと非正規雇用では年収に200万円もの差がつく。これが10年たったらその差は300万円を軽く超えてしまう

 正規雇用でも実情は半数が3年以内に退職している。転職できたものはすくないだろう。3年では満足なキャリアを積むことができない。子どもたちは多難な状況の中を生き抜いていかなければならない。

 「地元志向が強まり」と書いてあったが、札幌の高校や大学へ進学してもなかなか就職につけないのが実態であり、そういう情報が生徒や親たちに浸透してきたからだろう。経済的な疲弊とあいまって、就職先がないので「とりあえず専門学校や偏差値40以下の大学へ進学」という層が少なくなったのだろう
 現在の中学生のお父さんやお母さんの時代とは就職状況がまるで違ってしまっていると考えたほうがいい。

 基礎学力がしっかりしていないということは、嫌な勉強でも基礎のところはしっかりやろうという気構えが中高生の両方の時期に渡ってなかったことを意味しており、学力の低さばかりでなく辛抱強さのなさが雇用者側から見ると「使えない」と映る。
 基礎学力の充実を通して子どもたちは辛抱することを経験し、強くなるのだが、そこを避けて中高生の大事な期間を過ごしてしまうとアウト、そういう時代である。

 一人前の職人になるには、辛抱と努力がいる。誰にも言われなくても先輩や親方の仕事を見てその「技を盗む」、これは学校の勉強よりもずっとむずかしい。50年前でも一人前の職人になれるのは5人弟子入りしたら一人だから、いまの子たちは10人に一人ぐらいなのだろうな。好い加減な仕事しかできぬ半端職人が増える。
 職人になるなら、世の人々に一人前と認められる職人を目指せ。それには辛抱とたゆまぬ技の鍛錬が必要だ。文句を言わずに修行一筋に3年間がんばってみることだ。どんな職種の職人だろうと3年間一心不乱に修行できたら仕事が面白くなることだけは還暦を過ぎたebisuが保障しよう。 


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#2064 大学教員の地域格差はさらに大きい:遅い夏休み帰省 Aug. 25, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

 また元塾生が一人夏休みでもどってきた、5人目だ。
 教室のドアのところに立って車の鍵をもってニコニコしながら「免許をとりました」と報告あり。
 教育大札幌分校へ進学した生徒だが、経済学のゼミをとったという。ネットで調べてみたが、北海道は教員も深刻な人材不足のようだ。
 団塊世代に属するebisuは、学部時代は哲学者の市倉宏祐先生のゼミで3年間議論を戦わし、経済学史の大家内田義彦先生の講義を聴いた。大学院では経済史の大家である増田四郎先生の授業を三人の院生だけで聴講する機会に恵まれたが、東京だからこそ可能だった。いま振り返ってみると、東京へ出てよかったとつくづく思う。北海道にはこういうクラスの先生がいない。
 大数学者の岡潔が北大の教員で来たことがあるが、1年足らずでやめてもどった。気候が合わなかったのも理由のひとつのようだが、よくわからない。東京にすぐれた学者が多いのは大学の半数ほどが東京近郊にあるからあたりまえなのである。もちろん玉石混交。
 大学の授業のレベルは学生と教員が創る。北海道の小学校教員の8割が、中学校の半数が北海道教育大出身者だという。教育大の中では札幌分校が一番レベルが高いはずだが、実態を垣間見て唖然としてしまう。北海道の小中学生の学力が全国最低なのは源流を遡れば北海道教育大の教員の資質に問題があるのではないかと、至極当然の疑問に行き当たる。劣悪とだけ書いておく、これ以上は実に言い辛いことだ。もちろんわたしはホンの一部を垣間見ただけである。
 北海道の高校生たちよ、東京の大学を目指せ、大学教員の資質の地域格差が大きすぎる。

 この生徒は高校入試直前の2月に日本商工会議所簿記検定試験2級を受検したが、それでも高校入試は学年2番の成績だった。そして根室高校始まって以来の記録、商工会議所簿記2級を高校1年生の11月にパスしているのだが、まだ1級にはチャレンジできないようだ。忙しくて勉強時間をとるのが難しいという。来年は教育実習があるからもっと時間がとれなくなるだろう。中学生のときに一度だけ学力テストで数・英2科目満点をとったことがあるくらいだから、優秀な生徒の一人である。
 同じ学年で6科目1級をそろえて事務情報科から北海商科大学へ進学した生徒も税理士志望でありながらまだ商工会議所簿記能力検定1級がとれない。記述式問題が半分出るからそこいらあたりがたいへんなのだろう。本をたくさん読んでいないと記述問題がなかなかクリアできないのが現実。
 ebisuの同期で根室高校商業科で2番目に簿記のできる男がいたが、F短期大学へ進学して、その年に商工会議所簿記1級に合格し、卒業した年に税理士資格を取得し、東京有楽町で税理士事務所を開いている。団塊世代は馬力が大きかったということか、ハングリーさが違う。

 公認会計士へのチャレンジを考えていたはずだが、進路を考え直している。北大大学院経済学研究科へのチャレンジである。若いうちはやりたいことにチャレンジすればいい、そして目標がその都度変わったっていい。ただ、教育実習はきちんとやり、教員試験も受けたほうがいいとはアドバイスした。偏差値42の根室高校普通科で同級生と学年トップ争いをするのとはわけがちがう。

 この生徒と友人だったもう一人には中3のときからデカルト『方法序説』や数学者の岡潔の著作そして世阿弥著林望訳『すらすら読める風姿花伝』を読ませた。何か感じるものがあればと思ったからだが、中高生の時代に良書にめぐり合うことは案外大事である。

 さて、これからの勉強だが、自力でやるしかないから原典を二つくらい研究ノートをとりながら読破することを勧めたい。

 ケインズ『雇用・利子及び貨幣の一般理論』
 マルクス『資本論』『経済学批判要綱』
 リカード『経済学及び課税の原理』
 スミス『諸国民の富』
 ユークリッド『原論』
 デカルト『方法序説』

 マルクス経済学者になる場合でもケインズの著作を読んでおくのは無駄にならない。否、傾向の異なる二つものをしばらく自分の中に共存させることは大事だ。ケインズも読んでいないマルクス経済学者なんてひ弱なものだ。複式簿記も経済学者としての基本的素養に属する。頓珍漢なステレオタイプの議論は厳密に定義されている複式簿記の専門用語を知らないことからも発生する。
 全世界の株式会社は例外なく複式簿記で動いており、それに縛られていない経営者は皆無だから、経営行動の基盤をなす技術が複式簿記にあることは明らかだろう。だから簿記を知らぬ経済学者なんてナンセンスだ。簿記は特殊数学の一分野で、理系の科目であり、体系が実に美しい。そういう意味で経済学体系とも美しさという点で共通するものがある。美的センスは学問、とくに経済学や数学を学ぶのに一番大切なものなのだろうと思う。岡潔が学問には「情緒」が大切だといった意味がよくわかる。いいものは美しい。

 学部時代に翻訳でいいから原典をしっかり読んでおくべきだ。できたらケインズやリカードは英語のテキストにも眼を通しておきたい。その他のゴミ本や解説本は濫読の対象にしておけばいい。高校時代にジャパンタイムズ記事を読ませたのは、こういうことがあるかもしれないからだ。

 原典を読み終わるまでは解説は読まないほうがいい。学者になろうとするものはイージーな道を選んではいけない。原典を読み込むことでオリジナルな問題意識が生まれるから、そういう過程を大事にしてほしい。

 もちろん休みに時間がとれるなら、ニムオロ塾へ来てジャパンタイムズを読むとか経済学の原典(英文テキスト)を一緒に読んでもいい。ローカルな北大でなくてもいいのだよ、もっと上もある。
 「少年よ大志を抱け」、いい言葉だ。
 渾身の力で4年間を駆け抜けよ。


*#2038 看護専門学校生に一番必要な能力とは?:卒塾生に聞く Aug. 3, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-03

 #2062 読書力を鍛えよ:高校を卒業した後一番必要な能力 Aug. 22, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-22

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#2062 読書力を鍛えよ:高校を卒業した後一番必要な能力 Aug. 22, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

  夏休みなので薬学部の学生が顔を出してくれた。
 「先生身体は大丈夫ですか?」
 「3週間ほど続いていた舌炎が治ったし、3日前から楽だよ、スキルス胃癌で全摘手術をしてから先月で6年たったからそっちのほうはとっくに完治だ、心配ない。ところで今年は7月1日から4日ぐらいしか晴れた日がない、根室は涼しくていいだろう?」
 「(東京に比べると)ちょっと寒いけどね」(笑い)
 もう3年目だからあっちの暑さには慣れただろう。こっちの暑さは庭の寒暖計によれば午後2時の気温が25度だった、おそらくこれが今日の最高気温だ。寒暖計は百均のキャンドゥで買ったすぐれもの。(笑い)
 先日、看護学校生と臨床心理士コースの生徒にも同じ質問をしてみたのだが、またやってみた。
 「いま一番必要な能力は何?」
 やはり「本を読む力」だそうだ。専門書を何冊も読むことになるから、読書力が一番大事、「読み・書き・そろばん(計算)」の筆頭に上がっている項目が一番大切。
 看護学校生は3年間で医学関係専門書を20~30冊は読むことになる。見せてもらった教科書3冊はA4版のサイズで400ページ前後あった。漫然と授業に出ていたのではダメ、講義でやるところよりもさらに先まで読んで予習してから授業に臨むのが専門学校生や大学生の授業の基本的な受け方である。

  HIVや体重減少薬、貧困率と肥満率の関係記事など、薬学部の学生の興味を引きそうなジャパンタイムズの記事の写しをいくつかあげた。その内のいくつかはブログに解説があるから参考にして読んでみたらと勧めた。
*#1995 肥満との戦い:フィラデルフィア(ペンシルバニア州の州都) July 2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-02

 #1996 肥満治療薬を認可:U.S. clears first new weight-loss pill in 13 years July 3, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

 2024 高校生のためのホットな性感染症知識:HIV感染の実態と新薬  July 23, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23

 #2026 高校生のためのホットな性感染症知識(2):国際エイズ会議 July 25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25


 文科系学生はどの学部も哲学書は何冊か読んだほうがいい。本当は高校の必修科目として学んでおくべきなのだが、日本の高校に「哲学」という科目がない。教えられる先生がいないというのが実情だろう。国語に哲学書がテキストとしてとりあげられていないのは非常にまずい。哲学は諸学の根元をなしている。

 小学校や中学校でかなり本を読み、高校では文庫や新書レベルの読書をある程度こなしていないと、専門学校や大学へ進学してから学力の伸びが止まってしまう。わたしたちは「ノビシロ」と呼んでいる。
 小学校で英語の勉強している暇があったら、お母さんたち、子供にいい本をたくさん読ませたほうがいい。読書力はレベルの高い本をたくさん読まなければ身につかない。できれば、「悪書」もたくさん読んでいたほうがいい、そのほうが「良書」がどういうものかよくわかるようになるから。

 薬学部はけっこうきびしいようだ。大学は薬剤師試験の合格率を見かけ上よくするために、年次ごとに達成学力レベルを決めておいて、その水準に達しなければ個別にカウンセリングをして、退学や他の学部への転部を進める。6年間追われるように勉強することで身につく能力がある。
 年次が上がるにつれて勉強は難しくなりやることは増えていき、とても高校時代のようには行かぬから、高校卒業までにある程度の読書力は身につけておこう。

 高校を卒業して就職する生徒は高校時代に徹底的に読書をすべきだ。社会人となったら仕事でいろんな本を読まなければならなくなる。どんな仕事にも段階に応じた資格試験がつきものだ。独力で読みこなし、問題を解けなければ資格試験に合格できない。資格がなければできない仕事は多い。

 ニムオロ塾では良書を選んで週に一度、三色ボールペンを使った「斉藤孝方式」の音読トレーニングをしている、これは無料だ。生徒の人生にとって本当に大事なことはきちんとやっておくのがebisuの流儀。読書スキルの高い生徒には数学者岡潔の本やデカルト『方法序説』などを薦めている。斉藤孝のルビを振ってある音読破シリーズは生徒への貸し出し用として数十冊常備している。

 中1:『読書力』斉藤孝 岩波新書
 中2:『国家の品格』藤原正彦
 中3:『すらすら読める風姿花伝』世阿弥著・林望訳、
    『日本人の矜持 九人との対話』藤原正彦(新潮文庫)

 『風姿花伝』はもちろん世阿弥(室町時代)の書いた能の奥義書ですぐれた芸術論だが、年齢ごとに人間はどうあるべきか、能の技の練磨との関連についても説いているからすぐれた教育書や哲学書でもある。
 原文と林望の品のよい現代語訳を交互に一斉朗誦あるいは輪読することで、日本の伝統文化の真髄の何かが心身にしみこんでいくという感覚をともに味わう。
 高校「古典」科目へのアレルギー反応を除くための「ワクチン」でもある。文法説明なし、ひたすら原文音読の心地よさを体験しておくということが大事。「リンボウ先生」の品のよい現代語訳も音読テキストとして秀逸である。

 「え、先生、三色ボールペンを使った音読まだやってんの?」
 「もちろんだよ、効果は君が8年前に劇的に証明してくれたからね、トレーニングを始めて半年ぐらいで国語の成績をびっくりするくらい上げただろう。そして大学生のいま中学校で3年間新書版の音読を続けて磨いた読書力が役に立っている、磨いた音読スキルは君の財産だ。先生はこういう(損得を度外視してもやらなければならない)ことには見かけによらずしつこいんだよ、君に続く者が現れることを期待している」(笑い)

 早い時間だったから、高校3年生二人が受験レベルの数学の問題、2年生が判別式の応用問題、小6年生が連立方程式の文章問題(中2)に取り組んでいた。生徒の質問に黒板を使って答えながら、その合間を縫って2時間半、お互いに近況を話した。質問に答えている間はジャパンタイムズの記事を読んでいた。
 一生のうちで勉強に専念できる期間は案外短いものだ。勉強の季節には全力で勉強したらいい。それでしかえられない何かがあったことに30代になったときに了解できるだろう。
 読書力がいかに大切であるか「子弟対話」を聞いてその場にいた生徒には了解できただろう。卒塾生が先生と語るのを聞くのも私塾にしかない大切な「授業」になることがある。だから、彼ら・彼女たちが夏休みや冬休みそして春休みに塾を懐かしんで訪ねてくれるのはありがたい。


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#2038 看護専門学校生に一番必要な能力とは?:卒塾生に聞く Aug. 3, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

 午後11時の気温は10.0度まで下がった。根室の夏は涼しいを通り越して寒い。

 女の生徒は高校卒業して1年4ヶ月たつと雰囲気が大人になるから、歩いていてすれ違っても半数は気がつかないだろう。卒塾生が来てくれるのはうれしいものだ。

 道内の看護専門学校2年生が来て、教科書を見せてくれた。『内分泌』、『消化器』、『看護基礎』の3冊を見た。A4版で1冊400ページ前後の教科書だ。他にも『循環器』など多数の教科書がある。3年間でおおよそ30冊程度を学ぶことになる。けっこうなボリウムである。高校を卒業したばかりの生徒にとっては看護専門学校の3年間はかなりハードな勉強=読書量を要求される。

 わたしは臨床検査会社に16年間いたから、仕事上医療系の専門雑誌や専門書もよく読んだ。統合システム開発、メーカーとの検査機器の共同開発、経営分析と会社買収、赤字会社の黒字化、子会社経営などの"本業"の他に、学術開発本部スタッフとして製薬メーカーと試薬の開発関係の仕事も担当したことがあるので、英語の医療専門雑誌や本を一時期読み放題だった。そのセクションは会社の図書室の管理セクションでもあったので、海外で出版されている30種類ほどの医療や科学専門雑誌が毎月届くから、面白そうなものを片っ端から読むことができた。
 英語で書かれた専門書を読むには、英語ができることよりもその分野の日本語での知識のほうが重要なのだ。日本語で専門知識のない分野の英語の文献を読みこなすことなどできるはずがない。たとえば、周辺知識を欠いている英文科の学生が経済学やコンピュータシステムの専門書や医学書を読むのはかなりムリがある。もちろんいろいろな専門書を読むのに数学や英語の力があったほうが有利ではあるから、文系の大学に進学した者は、放送大学で理系の数学を学べばいい。線型代数、解析学など数学に関する科目は常時開設されている。たとえば、文系に分類されている原価計算の専門書には微分方程式が出てくる。学問には本来文系・理系の区別はない。必要なものは文系・理系の区別なく何でもできたほうがいい。
 仕事は楽しい、なにしろ給料もらって、勉強するのだから、そしてやった勉強は仕事で必ず役に立つ。複数の専門分野が絡んだ難しい仕事ほどやれる人がいないから、ある時点から仕事上の競争がなくなる。3分野以上の異分野の専門知識が必要な仕事になると、社員が千人・従業員総数が2千人を超える会社でも仕事上の競争相手がいなくなるものだ。仕事ができるようになるにしたがって人と争う必要がなくなるのである。

 看護学校生として基礎学力のうち何が一番大事か聞いてみた。教科書を3冊並べて見せて、「こういう専門書を3年間で約30冊学ぶことになるので本を読む力が一番大事ということになるかな」と語った。
 看護学校生が学ぶためにに一番大事なものは日本語の読書能力、400ページ前後の医療専門書を3年間で30冊もこなすには、相応の読書力が要求されるというのはあたりまえすぎる話だ。シンプルすぎて新鮮に聞こえた。
 (ニムオロ塾では中学生に毎週25分ほど日本語音読トレーニングをしている。1年生は斉藤孝『読書力』、2年生には藤原正彦『国家の品格』、3年生は世阿弥原著・林望訳『風姿花伝』と藤原正彦『日本人の矜持』の4冊である。)

 看護学校に限らずどんな専門学校や大学へ進んでも、高校卒業までにレベルの高い本を読んで読書力を鍛えておかないと困ることになる。どんな専門分野の本もテクストは日本語で書かれているから、それを理解するためには相応の読書能力が要求される。基礎学力の根っこの部分は日本語の読書能力だから、そこを充実させるために硬い本をある程度の分量高校卒業までに読み、読書力を鍛えておいたほうがいい。もちろん数学や英語の能力も高いほうがいいに決まっている。

 この生徒は数学が得意で、英語が苦手だったが、苦手の英語で英検2級受験を決めて数ヶ月集中して勉強をした結果、看護学校レベルの英語は問題がなくなった。英語か数学のどちらか苦手なほうをきちんとテコ入れできれば受験は大丈夫だ。

 高校を卒業してから求められるのは第一に読書力、第二に数学、第三に英語だろう。日本語能力の高さが専門書の理解に役立つ。速く正確に読む技術を高校卒業までに身につけておくことを薦める。

 いくつか気になっていたことを聞いてみた。久しぶりに数ⅠAの問題を解いて、時事英語教材に使っている(下記)英字新聞記事を読んでいた。
 同級生で大学へ進学した生徒が8月13日に戻ってくる、医療関係の英語論文を読むトレーニングをすることになっているので医療関係や一般科学関係の最近の新聞記事を使って長文読解トレーニングをすることになっていると説明し、使う予定のA3版の英字新聞記事十数枚の中から4枚選んで渡したのである。
 臨床心理士になるには大学院への進学が必要だ。卒塾生のお手伝いがまたできる、楽しみだ。看護学校の生徒も一緒に教えてやりたいが、お祭りが終わったら試験があるのですぐに帰る予定になっている。昨年と同じだ。3年間の看護専門学校生活はスケジュールがタイトで忙しい。がんばれ、走って走って走りぬけ。数年間札幌近くの病院で修業して、いずれ根室に帰ってくるつもりなのだろう。


*#1995 肥満との戦い:フィラデルフィア(ペンシルバニア州の州都) July 2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-02

 #1996  肥満治療薬を認可:U.S. clears first new weight-loss pill in 13 years    July 3, 2012
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

 #2024 高校生のためのホットな性感染症知識:HIV感染の実態と新薬  July 23, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23

 #2026 高校生のためのホットな性感染症知識(2):国際エイズ会議 July 25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25


 見せてくれたのはこのシリーズ本ではなかったけど、似たようなものだから参考まで・・・

成人看護学〈5〉 (系統看護学講座 専門)

成人看護学〈5〉 (系統看護学講座 専門)

  • 作者: 松田 明子
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 単行本




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#1903 臨床心理士になるための英語論文の読み方教えて :大学院進学相談 Apr. 11, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

  大学2年生になった生徒から電話があった。
「久しぶり、どうした?」
「相談なんですけど、どうしたら論文読めるようになるのですか」

 日本語の論文が読めないわけはないから、英語の学術論文のことだろう。
「小説読めばいいですか?」
「ムリだよ、小説読んでも学術論文は読めないよ。小説には学術専門用語が出てこない。英字新聞が読めるレベルならあとは専門用語を覚えれば学術論文や専門書は読めるよ。アガサクリスティの小説よりも周辺知識がある学術論文の方がよほど読みやすいんだ。知っていることを英文で確認するだけだからね。2年になったから大学院受験を考えているんだろう、臨床心理士の資格は院卒でないと取れないから。」

 図星だった。
「夏休みにニムオロ塾へおいで、一週間ぐらい面倒見てあげる。構文解析をしながら新聞や専門書を100ページぐらい精読すればグンと実力が上がる。」
「わー、夏休み行きます」
「じゃあ、スケジュールを決めておこう・・・」

 エレクトロニクス、医療系、会計学、経済学など大概の大学院受験なら教えてあげられる。2年生と3年生のときに夏に1週間ほどトレーニングすれば全国どこの大学でも合格できるぐらいの実力にはなるだろう。
 いま通っている大学に限定する必要はない。勉強の進み具合次第で北大大学院も受験すればいい。試験で一番とればどこでも入学できる。もちろん専門科目の勉強は自分でしなくっちゃいけない。日本語で書かれた専門書を何冊も読み専門用語に熟知しておくことはあたりまえだ。そのときに英語ではなんというのか調べてリストを作っておくといい。出てきた順にエクセルに入力しておけば(アルファベット順に)データの並べ替えが簡単にできる。

 英字新聞が読めればあとは専門用語だけだから、2冊ぐらい専門書を精読すればいい。そのあとは辞書ナシで専門書は楽に読めるようになる。専門用語は一つの分野で2000~3000程度も覚えておけばお釣りがくるだろう。語彙は読んだ冊数が多くなるにしたがって勝手に増えるもの。とにかく面白そうだと思った本を何冊も読め。
 文法工程指数の高い圧縮された文は、チョムスキーの生成変形文法理論を応用してシンプルセンテンスに書き直すと、意味のとり違いを起こさずにすむ。なれてくると文の構造が透かして見えるようになるから楽しい。コンテキストと文法理論の両方からチェックしながら読めるようになる。そういうレベルになれば90%の得点は固いからトップ合格できるだろう。

 臨床心理士を目指すのはこれで二人目。塾を開いたときに一番最初に来た生徒が同じ学校の同じ科に進学したが、大学院へは行かなかった、一昨年だったか就職が決まってまもなく卒業だと偶然お兄さんからその後の消息を聞いた。高3の冬に大学に合格してバイトしていた、「先生!大学受かったよ、大学院まで行くからね!」と声をかけてくれた。はじめた見たときは皮のブーツを履いたすらりと背の高い中2の女の子だった。

 さて、大学院進学をしたくなったらどの専門分野でも英語だけは面倒見てあげられるからニムオロ塾へおいで。

(ジャパンタイムズを使った時事英語授業にチャレンジしているのは高3、高2、高1の3人。2年生はこの間の進研模試で学年トップの生徒だ)

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#1890 SOS:専門学校入学前の課題プリント  Apr. 4, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

 大阪は集中豪雨と暴風、東京でも暴風が吹き荒れ、温帯低気圧が日本列島を縦断した。等圧線がこんなに稠密になった天気図は見たことがない。最大瞬間風速は40m弱。
 根室も今日は午後から荒れ模様で、3時少し前から吹雪になり、日没後に雪は雨に変わった。夜9時半頃は3.8度で雨が降り続き、道路の雪は溶けて流れてしまった。天気予報だと明日の午前中まで雪となっているが、気温から判断して雨だろう。

 さて、本題である。専門学校へ進学を決めた生徒からSOSが入っていた。入学前に出された数学の課題プリントがわからないので教えてほしいという。こういうときは即OKだ。
 昨日(月曜日)来て3時間ほど勉強し、課題プリントは全部終わった。ずいぶん大人になった、3時間集中力が持続していた。中学時代にこれほど授業に集中できたら学年5番以内は固かっただろう。(笑い)
 中学程度の計算問題と文章題、そして高校数学の計算問題が並んでいた。

 課題プリントを見ると、文章題は距離・時間・速度の問題、食塩・食塩水・濃度の問題、割合の問題とほとんどが内包量に関する問題だった。中学程度の問題だが苦手な生徒が多い。医療系の専門学校だから薬剤の濃度など、内包量の問題はルーチンワークで頻繁に出てくる。高校数学の範囲では分数式や無理数の不定積分問題が商業科や事務情報科ではやっていないので解説が必要だった。

 普通科へ合格できる学力があり、進学希望なのに商業科や事務情報科を受験する生徒が少なからずいる。その多くは「普通科は勉強がきついから」と逃げの姿勢、つまりは問題の先送りだ。戦うべきときに戦わないと、嫌いな科目は追いかけてくる。逃げても無駄、ツケが回って問題が大きくなって立ちはだかることになる。

 わたしは高校卒業後の希望を聞いて、進学の意志があるなら普通科へ行くべきだと話すことにしている。専門学校の授業も大学の授業も普通科の課程を修了したことを前提に組み立てられているからだ。
 商業科や事務情報科は国語・数学・英語の授業時間数がおおよそ半分しかないから、その分を自分でやる能力がないなら普通科に進学すべきなのである。

 昨日来た生徒に、
「だから普通科へ進学しろと言っただろう?きらいな数学から逃げても、こうして追っかけてくる」
「先生、ほんとだね、甘かった」
「しっかり教えるから、家へ帰ってからもう一度やってご覧、できるようになるから」
「はい、やってみます」
「専門学校では嫌いな科目から逃げるなよ、正面から向き合って戦え!」
「はい!」
「いい返事だ」

 統計学は数学の応用分野だが普段から勉強しておいた方がいい。人工透析患者さんのデータの推移を分析してみればいろんなことがわかるはずだ。漫然と仕事をしていたら仕事がつまらないものになるが、興味を持ってデータを見ていたら、そのデータがいろんなことをあなたに教えてくれる。それが患者さんのケアにとっても役に立つだろう。10年後20年後にどうなるのか、具体的なデータ分析を背景にやさしく接してあげたらいい。自分の仕事の範囲内で患者の不安を取り除いてあげることは大事なことだ。
 医療訴訟が増えているから、仕事と権限と責任の問題についても、法律の規定も含めてしっかり勉強したらいい。学ぶべきことはたくさんある。

 進路選択に係わる問題がメインテーマだったから話しを戻そう。専門学校や大学への進学を考えている生徒は、高校入試で240点(5科目300点満点)取れないなら普通科へ進学すべきだ。足りない分を独力で補えないからだ。240点を超えられるなら商業科や事務情報科でもなんとかなるだろう。
 もちろん、240点を超えられるなら普通科へ進学すべきだ。240点超なら日商簿記一級は大学生になってから勉強すれば1年間で合格できる。
 高校時代に大事な科目は国語・数学・英語である。この三つがしっかりしていれば他の科目はどうにでもなる。

 それにしても大人になった、勉強しているときの真剣さと集中力が中学時代とはまるで違う、人はときに大きく成長するものだ。必要に迫られたら成長できるだけの底力を普段から養っておきたい。

 塾先生は高校への進学指導の際にも、高校を卒業して社会人となったときのことを考えながら相談に乗っている。高校へ入学すればそれでよしなんて観点からみているのではない。
 社会人となってからでも迷うことがあったら相談に来ればいい。ときにはだまって聴いてうなずくだけかもしれないけど・・・

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#1600 一流になれ!:高校生の進路選択へ一言  July 27, 2011 [60. 進路(進学・就職)]

 女の子はおしゃれに興味があるものだ。自分でもそう思っていて周りから美容系に向いていると言われたら、そちらへ進んでみたくなるだろう。
 専門学校だから学校では文科系に分類されてしまうが、本当は理系ではないかとある生徒が問う。

 たしかに衛生面は生物や化学の知識が必要になるから理系だが、学校は数ⅡBや数ⅢCが試験科目に含まれているかどうかで理系・文系を分けているのだろう。

S:先生、専門学校だから勉強しなくても大丈夫だね。
T:そうじゃないよ、勉強しなくていいなんて誤解だよ。なにか夢があるんだろ?
S:芸能人のヘアーを担当するような美容師になりたいんだけど、専門学校進学でも勉強しなくっちゃいけないの?
T:どっちを選択しても、文科系でも美容系の専門学校への進学は問題ないよ。でも卒業してすぐに芸能人担当の美容師になれるわけはないのはわかるだろう?選ぶのは向こうだ、客が美容師を選ぶんだ。
 どの分野に進んでもオーソドックスな勉強は必要だ。むしろそういうオーソドックスな勉強をどこまで徹底してやるかが未来の勝負を分けることになる。使うタオルや器具の消毒などの衛生関係の勉強もあるだろうし、清潔できれいなお店の方が客も増える、なんでも勉強しておいた方がいいよ。意欲があるんならコースで選択できない科目ですらも教科書と附属の問題集を購入してやっておいたほうがいい。
 現実の社会は文系とか理系とか区別がないんだ。社会に出たら文系だって理系の知識が要求されるし、理系だって文系の科目を深く知らなければいい仕事ができない場合がざらにある。

 それで理由を説明した。
 一つは志の問題だ。美容師は職人仕事だから一流を目指すべきだ。美容師は国家試験だがそんなに難しくはない。だから資格を取った後の技術の研鑽や勉強がその後を分けることになる
 場合によっては医学書を読まなければならないことも出てくるし、美容や健康に係わるいろんな新製品が出てくるから、製品の良し悪しやメリットやデメリットを判断するために化学や生物の知識も必要になるだろう。西洋医学だけではなく東洋医学も美容と健康には関係がある。例えばヨーガや気功も美容と健康に関係があるし、医食同源ともいうから食物や調理法に関する知識も必要だ。実に多方面にわたる文献を必要があって手に取り読むことがあるかもしれない。知識や技術へのあくなき貪欲さとこだわり、一流の世界とはそうしたものだ。

 文系コースを選択したとしても、選択コース外の高校程度の生物や化学の知識は先々専門書を読むために必要最低限の知識だから、高校時代にしっかり勉強しておくべきなんだ。
 美容師の仕事は職人仕事でもあるが、アーティストという側面もある。こちらも磨いておいた方がいい。将来自分のお店をもつ希望がある場合には経営面の知識もあったほうがいい。要するに、社会に出たらいろんなことを理解するレベルの高い基礎学力が問われるんだ

 数年国内の技術の優れたお店で修行してから海外へ行って腕を磨くという手もあるから、英語もしっかり勉強しておいた方がいい。フランス語やイタリア語もその気になれば取り組める。こういう観点からはECCで英語を磨いておくのも一流の美容師になる準備作業としての意義がある。
 美容師はテクニシャンであると同時にアーティストでもあるから、海外で腕を磨くには日本の伝統文化をしっかり見につけておくことも海外で「自己主張」するためには重要なことだ。お茶のお作法とか書道とかそういうことを高校時代にしっかりやっておくことも大事なことなんだ。根室高校には茶道部も書道部もある。ブカツをそういう観点から見直したらどう?

 こんな話しもした。同級生で美容師になった男がいる。高校時代に一時期同級生で仲が良かったが、進路が違ったから、その後会う機会もないし話したこともない(うわさを耳にしただけだから多少事実と異なるところがあるかもしれない)。
 技術が良くて客の評判もよし、チェーン展開をして拡大を図ったが、一度つぶしたらしい。規模拡大をして売上が一桁増えると経営破綻する例は業種を問わず世間によくあることだ。彼はチェーン展開をした店をたたんで規模を縮小して頑張っているようだ。
 高校時代にもっと簿記の勉強を徹底していたら、長期と短期の計画をおおまかに計算しながら無理のない多店舗展開ができたかも知れぬ。やるべきときに勉強を徹底しておけば、窮地に陥らないように、身につけた専門的な知識や学力がガードしてくれる。だから、高校時代はどのような勉強もおろそかにしてはいけない、3年間全力でやるべきなんだ

 美容師で一流になってやろうと言う目標を立てたら、このように高校時代に学ぶべきことはたくさんある。何より大切なのは志の高さだよ。一流を目指して修行して2流にしかなれなくてもいい、2流を目指して2流の職人よりはポテンシャルが高い。長い人生の中で一流を目指して努力したたしかな時期をもつことが大事なんだ。人のネットワークも違ってくる。
 無駄になる勉強なんてないんだぞ、若いときにはなりふり構わず一流を目指してただまっしぐらに突っ走ればいい。無心にやれば道は拓けるものだ。何年かしてきみが根室の地を離れて一人ぼっちのときも先生はいつでもエールを送っている。

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 根室は今日26度くらいまで気温が上がってのではないだろうか。夜9時半頃に19.1度だった。久しぶりに暑い。でも、日本一涼しい根室。

 うだるような暑さの中を九州で研修に頑張っているドクターにもエールを送ります。北海道の緑はすっきり涼しげ。


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