SSブログ

#2038 看護専門学校生に一番必要な能力とは?:卒塾生に聞く Aug. 3, 2012 [60. 進路(進学・就職)]

 午後11時の気温は10.0度まで下がった。根室の夏は涼しいを通り越して寒い。

 女の生徒は高校卒業して1年4ヶ月たつと雰囲気が大人になるから、歩いていてすれ違っても半数は気がつかないだろう。卒塾生が来てくれるのはうれしいものだ。

 道内の看護専門学校2年生が来て、教科書を見せてくれた。『内分泌』、『消化器』、『看護基礎』の3冊を見た。A4版で1冊400ページ前後の教科書だ。他にも『循環器』など多数の教科書がある。3年間でおおよそ30冊程度を学ぶことになる。けっこうなボリウムである。高校を卒業したばかりの生徒にとっては看護専門学校の3年間はかなりハードな勉強=読書量を要求される。

 わたしは臨床検査会社に16年間いたから、仕事上医療系の専門雑誌や専門書もよく読んだ。統合システム開発、メーカーとの検査機器の共同開発、経営分析と会社買収、赤字会社の黒字化、子会社経営などの"本業"の他に、学術開発本部スタッフとして製薬メーカーと試薬の開発関係の仕事も担当したことがあるので、英語の医療専門雑誌や本を一時期読み放題だった。そのセクションは会社の図書室の管理セクションでもあったので、海外で出版されている30種類ほどの医療や科学専門雑誌が毎月届くから、面白そうなものを片っ端から読むことができた。
 英語で書かれた専門書を読むには、英語ができることよりもその分野の日本語での知識のほうが重要なのだ。日本語で専門知識のない分野の英語の文献を読みこなすことなどできるはずがない。たとえば、周辺知識を欠いている英文科の学生が経済学やコンピュータシステムの専門書や医学書を読むのはかなりムリがある。もちろんいろいろな専門書を読むのに数学や英語の力があったほうが有利ではあるから、文系の大学に進学した者は、放送大学で理系の数学を学べばいい。線型代数、解析学など数学に関する科目は常時開設されている。たとえば、文系に分類されている原価計算の専門書には微分方程式が出てくる。学問には本来文系・理系の区別はない。必要なものは文系・理系の区別なく何でもできたほうがいい。
 仕事は楽しい、なにしろ給料もらって、勉強するのだから、そしてやった勉強は仕事で必ず役に立つ。複数の専門分野が絡んだ難しい仕事ほどやれる人がいないから、ある時点から仕事上の競争がなくなる。3分野以上の異分野の専門知識が必要な仕事になると、社員が千人・従業員総数が2千人を超える会社でも仕事上の競争相手がいなくなるものだ。仕事ができるようになるにしたがって人と争う必要がなくなるのである。

 看護学校生として基礎学力のうち何が一番大事か聞いてみた。教科書を3冊並べて見せて、「こういう専門書を3年間で約30冊学ぶことになるので本を読む力が一番大事ということになるかな」と語った。
 看護学校生が学ぶためにに一番大事なものは日本語の読書能力、400ページ前後の医療専門書を3年間で30冊もこなすには、相応の読書力が要求されるというのはあたりまえすぎる話だ。シンプルすぎて新鮮に聞こえた。
 (ニムオロ塾では中学生に毎週25分ほど日本語音読トレーニングをしている。1年生は斉藤孝『読書力』、2年生には藤原正彦『国家の品格』、3年生は世阿弥原著・林望訳『風姿花伝』と藤原正彦『日本人の矜持』の4冊である。)

 看護学校に限らずどんな専門学校や大学へ進んでも、高校卒業までにレベルの高い本を読んで読書力を鍛えておかないと困ることになる。どんな専門分野の本もテクストは日本語で書かれているから、それを理解するためには相応の読書能力が要求される。基礎学力の根っこの部分は日本語の読書能力だから、そこを充実させるために硬い本をある程度の分量高校卒業までに読み、読書力を鍛えておいたほうがいい。もちろん数学や英語の能力も高いほうがいいに決まっている。

 この生徒は数学が得意で、英語が苦手だったが、苦手の英語で英検2級受験を決めて数ヶ月集中して勉強をした結果、看護学校レベルの英語は問題がなくなった。英語か数学のどちらか苦手なほうをきちんとテコ入れできれば受験は大丈夫だ。

 高校を卒業してから求められるのは第一に読書力、第二に数学、第三に英語だろう。日本語能力の高さが専門書の理解に役立つ。速く正確に読む技術を高校卒業までに身につけておくことを薦める。

 いくつか気になっていたことを聞いてみた。久しぶりに数ⅠAの問題を解いて、時事英語教材に使っている(下記)英字新聞記事を読んでいた。
 同級生で大学へ進学した生徒が8月13日に戻ってくる、医療関係の英語論文を読むトレーニングをすることになっているので医療関係や一般科学関係の最近の新聞記事を使って長文読解トレーニングをすることになっていると説明し、使う予定のA3版の英字新聞記事十数枚の中から4枚選んで渡したのである。
 臨床心理士になるには大学院への進学が必要だ。卒塾生のお手伝いがまたできる、楽しみだ。看護学校の生徒も一緒に教えてやりたいが、お祭りが終わったら試験があるのですぐに帰る予定になっている。昨年と同じだ。3年間の看護専門学校生活はスケジュールがタイトで忙しい。がんばれ、走って走って走りぬけ。数年間札幌近くの病院で修業して、いずれ根室に帰ってくるつもりなのだろう。


*#1995 肥満との戦い:フィラデルフィア(ペンシルバニア州の州都) July 2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-02

 #1996  肥満治療薬を認可:U.S. clears first new weight-loss pill in 13 years    July 3, 2012
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

 #2024 高校生のためのホットな性感染症知識:HIV感染の実態と新薬  July 23, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-23

 #2026 高校生のためのホットな性感染症知識(2):国際エイズ会議 July 25, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25


 見せてくれたのはこのシリーズ本ではなかったけど、似たようなものだから参考まで・・・

成人看護学〈5〉 (系統看護学講座 専門)

成人看護学〈5〉 (系統看護学講座 専門)

  • 作者: 松田 明子
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 単行本




にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0