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#5094 全米自動車労組初任時給68%増の28ドルへ Oct. 28, 2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>10/28午後11:50 ビジネス倫理の追記

 標記のニュースが昨日(10/27)配信されている。
 28ドル*8時間*22日*12か月=59136$
 年間6万ドル弱が、米国の自動車産業労働組合員の初任給である。一昨日の為替レートは150.36円/ドルだから、円換算すると908万円の年収になる。
 2020年12月の資料によれば、トヨタの初任給は大卒で20.8万円、年収では300万円弱だろう。米国の自動車産業に比べると、1/3の初任給である。

 米国な物価も高いから、給与が高くても当然だが、それにしても3倍はないだろう。どうしてそういうことになるのだろう?
 為替レートが円安過ぎるからだ。75円/ドルなら、443万円である。感覚的な話だが、この為替相場なら、日米の物価の差も給与差もリーズナブルに思える。

 ではどうしてこんなに異常な円安になっているのだろう?
 
 国際金融筋が、GDPの2.3倍もの国債残高を抱えている日本はすでに財政破綻状態だとみなしていることによるのではないか?ヘッジファンドや国際金融機関の円への信認が崩れてしまったのではないか。安倍政権スタート時は80円/ドルだったのが、11年をかけて150円/ドルまでじわじわ下がり続けているが、今頃になってどうやら円への国際的信認が根底から崩れていることに気がつかざるを得ない。為替レートがそうした背景を反映している。
 これはわたしの単なる仮説にすぎないが、そうでも考えないと、同じ業種のこの大きな賃金格差の説明がつかない。

 海外から日本へ来る観光客は、日本の食べ物がおいしくて安価なことに喜んでいる。本国で食べる半分以下で食べられるからだ。オーバーツーリズムも円安が産み出したあだ花かもしれぬ。

 英語が達者な職人は海外で働けば、年収が3倍になるような世の中に様変わりしてしまった。技術職の一部は3倍以上の年収を求めて海外へ出ていくだろうが、それでも全体の1割には届かないだろう。
 英会話をマスターして海外移住することが年収アップにつながる時代になった。その原因の一つは、無責任な赤字国債増発と日銀の国債買い入れにある。日銀の国債保有残高は540兆円を超え、すでに国債残高の半分を超えた。
 日銀が買い入れを停止したら、政府は国債の新規発行ができなくなり、金利を3%程度まで上げざるを得なくなる。日銀は国債の実質評価損を抱えることになるが、純資産額をはるかに上回り、債務超過に陥る。もちろん政府財政は破綻する。預金封鎖が起きて、赤字国債残高の処理のために課税され、預金残高は半分程度になるのだろうか。

 減税なんてする余裕なんてとっくにない。そんな資金があるなら、平時の赤字国債発行を辞めるべきだ。首都圏大震災、千島海溝沿いの巨大地震と津波、東南海連動巨大地震、富士山噴火など、地震や津波だけでも発生すれば、数百兆円もの復興資金が必要になる。温暖化で生態系が変わりつつあり、農作物や水産資源に激変が起きつつある。高齢化社会へ対応するためのインフラ整備すらできていない。お金をバラまいて借金を増やす余裕なんてとっくにないのだ。

 実質評価損の計算は何度か提示したので過去ログを見てください。カテゴリ―「95 増え続ける国債残高」に設例があります。

(注:仮説が正しいかどうかはわかりません。ほかにこれが理由ではないかというようなものがあれば、コメント欄へ書き込んでください。)

 さて、ここからが本論です。視点が少し変わることになります。トヨタには北米に6か所生産拠点があります。同じトヨタで、北米工場で働く新入社員と豊田市の工場で働く新入社員では、給与格差が1:3ということになります
 労働価値説の立場に立てば、同じ会社の同じ生産システムでの労働ですから労働価値は一緒ですし、生産性も違いはありません。しかし国が違えば、円とドルの貨幣の交換比率(対ドル為替相場)によって、格差が生まれるというのは事実です。つまり、労働価値学説は国が異なれば破綻しているということです。労働価値説が破綻すれば、剰余価値学説もドミノ倒しに倒れます。そして不払労働を搾取しているという理論も成り立ちません。これら三つのドミノは連続して倒れてしまいます。
 それにしても、この給与格差は理不尽です。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というビジネス倫理からも許容できません。売り手と買い手の外に、「企業で働く従業員もよし」でなければいけません。
 この理不尽な給与格差に直面して日本のトヨタ労組とトヨタの経営者はどうするのでしょう?注目してよいと思います。


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