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#5095 茹でガエルの日本:150円/ドル 円への信認が崩れてしまっている Oct. 29, 2023  [95.増え続ける国債残高]

  前回ブログ「#5094全米自動車労組初任時給68%増の28ドルへ」という記事で、トヨタ北米工場で働く新入社員の年収は900万円、日本の工場で働く新入社員は300万円と書いた。その原因の一つは為替が円安であることにある。
 安倍政権発足時は80円/ドルだった為替レートはいまや150円/ドルまで円安になっている。日本は「茹でガエル」状態にあることにそろそろ気がつこうではないか。円の国際的な価値がこの11年間で半減した事実をみているのに、なぜこういう事態に至ったのか、政治の世界でも経済学者の間でもほとんど議論になることがない。

 円の国際的な信認が崩れたというのは、政府が平時なのに赤字国債を増発し続けて、国債を含めた政府の借金の残高が1270兆円に膨れ上がり、いまも膨れ上がり続けていることによるだけではない。日本銀行が国債発行残高の半分を超える540兆円を保有しているからだ。金利が3%に上がれば、日銀はその純資産の3倍もの実質評価損を抱え、債務超過に陥る。
 金利はすでに0.85%に上昇してきている。保有国債の実質評価損で日銀の純資産が間もなく消えてなくなる。日銀が国債購入を停止すれば、民間銀行のシンジケート団が引き受けるしかないが、そのときに金利は3%を超えて暴騰するだろう。変動金利で住宅を購入した人たちは返済不能に陥るものが多くなる。

 政府財政が破綻すれば、為替レートは一時200円/ドルを超えるような事態が出来するが、預金封鎖、東京証券取引所封鎖、不動産登記封鎖により、課税すれば、政府の借金はチャラにできる。そのあと新円発行で為替相場は落ち着くことになるだろう。
 マイナンバーが便利なツールとして預金や株式や不動産の名寄せに使われるだろう。そのためにポイントをつけて普及を必死に図っている。

 タックスヘイブンと言われているケイマン諸島などに預金を移し、海外での株式投資などをしている者たちは、政府財政破綻によるあと始末の課税を免れることができるだろう。「悪い者ほどよく笑う」のは理不尽な話だが事実である。
 金地金に変えて財産を保有していたら、課税を逃れることができる。しかし、金の保有には強盗に遭うリスクがある。国民のほとんどが政府財政破綻による、課税を免れることができない。お金に執着しても仕方がないが、生活をする資金は誰にでも必要である。

 一人4万円の減税なんて言っているが、支払った税金のほんの一部が戻るだけだ。所得のあるなしにかかわらず、3人世帯で月に30万円の生活費が掛かっていたら、年間36万円の消費税を支払っている。そのほかに現役世代は所得税も支払っている。ガソリンにもお酒にも別途税金が上乗せされている。3人世帯で12万円戻ってくることでごまかされてはいけない。そのあとには増税が待っている。
 銀行預金の3割になるのか5割になるのか、とにかく歴代政府がばら撒きを続けてきた借金の山を崩すために、預金封鎖で強制的に課税・没収されることになる。3000万円の預金をもっている老人世帯なら、その半分をもっていかれる可能性があるということ。バラマキの片棒を担いだのは公明党だろう。野党だって、与党ほどではないがバラマキ経済政策には賛成してきた。

 富士山が噴火しても、首都圏で直下型の大震災が起きても、東南海連動型巨大地震と津波が起きても、それらがきっかけになって、政府財政破綻の引き金になりかねない。金利が暴騰して、数百兆円の復興予算を組むための赤字国債を発行する必要が生じるからだ。
 金利を低く抑えて政府財政破綻を伸ばすことはできるだろうが、円は200円/ドルへ向かってじわじわ下がり続ける。生活必需品がさらに1.4倍となり、所得が増えない状態が続くということ。ヘッジファンドがどこかで円先物取引のトリガーを引き、円売りを浴びせて、日銀を破綻に追い込むだろう。結果は同じことになる。国民の財産で政府が積み上げた借金の山を崩すことになるのである。

<余談-1:背理法と『資本論』>
 資本論の体系構成論理を明らかにして、資本論の端緒に措定された価値概念、抽象的人間労働が商品の価値の現象形態であるという概念規定、を背理法で成り立たぬことを証明しました。資本論体系の出発点の概念規定が否定されたら、体系全体が崩れます。労働価値説が真ではないことは√2が分数では表せないというのと同じくらい確かなことです。背理法は数学だけでなく、あらゆる学問に普遍的な、命題の真偽の判定ツールです。
*「#5088資本論の論理と背理法:労働価値説の破綻を証明」


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