SSブログ

#4905 日銀の国債買い入れ額は111兆円:どうなる日本! Jan. 8, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 日銀の国債保有残高は12月末で564兆円となった。2022年の日銀の国債買い入れ額は111兆円で、初めて100兆円を超えた。12月だけを見ると16兆円買い入れている。2022年3月に成立した政府予算は107兆円だから、実質的に日銀が政府予算を全額財政ファイナンスしているということ。これはまるで戦時経済である。
 政府の発行した国債発行残高は2022年度末(2023年3月末)で1026兆円になる。

 国債発行残高の55%を日銀が買い入れ、保有していることになる。
 日銀が国債を買い入れられなくなったら、どうなるのだろう?

 政府は予算を組むために国債を発行しなければならないが、0.5%の金利では買い手がつかない。3-5%に長期金利が上昇しなければ、国債が売れなくなる。
 金利がそんなにアップすればどうなるのか?
 為替相場は円高に走ることになる。
 10年物金利を5%、国債の平均残年数を7年と仮定すると、日銀保有の国債が被る実質評価損は次の計算式で求められよう。
 564兆円×(1-1.05^7)=-229兆円
 つまり、日銀は巨額債務超過となり経営破綻する。政府も日銀による財政ファイナンスを失い、財政破綻することになるだろう。令和3年度末の日銀の自己資本は47.0兆円にすぎない。

 日銀の経営破綻によって巨大な円売り圧力が生ずる。国際通貨の座から円が滑り落ちることを意味する。
 国債を保有している金融機関にも同様のことが起きる。
 預金封鎖、株式保有課税、土地建物への課税がなされる。住基コードは、そのための「名寄せ」のツールである。もれなく課税されることになる。予算で大盤振る舞いが続いている。一例をあげると、コロナでも8億人分以上のワクチンが輸入されたが、実際に使われたのは半分もない。半数以上が廃棄処分されている。

 外国為替相場が乱高下すれば、民間企業もその波をまともにかぶることになる。その一方で、海外の投資機関は円先物を投げ売りして巨額の利益を手にするだろう。ハゲタカファンドの餌食になる。
 菅元総理が受け継ぎ、さらに岸田総理が受け継いだアベノミクスの裏面である。 
 自民党国会議員のみなさん、地方議員のみなさん、しっかりしてもらいたい。
 日本経済はとっくに先進国ではなくなって、さまざまな指標が30位前後を指し示している。たとえば、経済規模では世界3位だが、ドルベースで見た一人当たりGDPは27位である。2021年の経済成長率は157位である。一人当たり所得は米国が69227ドルにたいして、日本は39301ドルで米国の56.8%にすぎない。

 日銀経営破綻が起きれば、異常気象のようにどっちに触れるかわからない極端な相場展開となるだろう。
 国民がバラマキ予算に酔いしれた結果でもある。よく考えもせずに選挙のたびに放漫財政を声高に叫ぶ政党を支持してきたツケが回るだけのこと。もっとも、民主党政権も放漫財政では変わりがなかったが...

 アベノミクスと、日銀黒田総裁の異次元の金融緩和は罪が深い、出口戦略はとっくになくなっている。日本政府と日銀はクラッシュへ向かって進んでいる
 簡単な理屈だ。返さなくていい借金はない。政府が弁済しなければ、国民が支払わねばならないだけのこと。政治家も官僚も腐りきってしまった。国民が甘いからだろう。
 歴史は教えてくれている、1946年2月17日に大蔵省が預金封鎖を公表している。

<周辺の議論:満期償還と日銀の会計処理について>
 日銀保有の国債は満期償還まで保有していれば、評価損を計上しなくてよいことになっている。ところが国際会計基準では金利がアップすれば評価損を計上しなければならない。日銀は特殊なローカルルールで実質的な評価損を計上しなくても法律違反にならぬように、会計処理基準が定められている。
 それでは満期償還された国債はどうなるのだろう。
 民間なら、
 現金 50兆円 / 国債 50兆円
 このような仕訳が行われるが、こうはなっていない。

 ①現金50兆円 / 国債50兆円 ⇒この現金は「国債整理基金」として別枠に移される?
 ②割引債 50兆円  / 現金 50兆円 ⇒政府へ借換債の発行依頼(政府は国債満期償還で50兆円支払い、借換債発行で50兆円手にする)
 ③現金49兆円 / 割引債50兆円 ⇒借換債を市中銀行へ売却
  支払利息1兆円 /
 ④割引債49兆円 / 現金49兆円 ⇒「国債整理基金」の現金で支払い
 ⑤現金49兆円 / 当座預金49兆円 ⇒市中銀行が日銀当座預金へ余剰資金を預け入れ

 この処理だと、②で日銀は政府の借換債を直接購入していることになるから、明白な日銀法違反である。ほんとうにこんな処理をしているのだろうか?このサイトの解説に疑義が生ずる。
 とにかく、サイトの解説に従って会計処理を考えてみよう。
 政府が満期分の借換債を発行して日銀がこれを引き受け、そして借換債を市中銀行へ割引債として売り払う。もちろん、その割引債を日銀が市中銀行から額面で買い取る。買い取り資金は日銀国債整理基金会計の現金である。上記の例では市中銀行には50兆円お金が増えるが、運用先がないので、日銀当座預金として預け入れることになる。すると、日銀保有の国債が満期を迎える都度、巡り巡って日銀当座預金残高が膨らんでいくということになる。

 市中銀行側の会計処理を考えると、
 ①割引債49兆円 / 現金49兆円
 ②日銀当座預金49兆円 / 割引債49兆円
         / 売却益1兆円

 こういう会計処理が行われることになるが、富山大学の経済学部教授の本がベースにしているとブルグ主が書いている、誤解はないだろうか?検索したら環境経済学の専門家だ。貨幣論に関する著作もあるようだ、簿記の知識がないのではという気がしてきた。簿記の仕訳取引ベースで彼の主張を具体的に考えると、腑に落ちない点が出てくる。日銀法に抵触することになるが、そんなことをしているはずがない。抜け道の会計処理があるはず。
 日銀当座預金が増えているのは事実だから、そこに至る理屈が的外れのようなので、そこから先を事実ベースで考えてみたい。 

 日銀当座預金の推移を表すグラフが公表されているので、そちらをご覧いただきたい。1999年には5兆円規模だったが、令和4年には35兆円を超えた。これからも順次膨らみ続けることになる。市中では消化できない余剰資金を供給していることになる。何かのきっかけでこれが使われることになると、ハイパーインフレになりかねない。

 肝心なことは、日銀保有の国債残高に、これらの議論は関係がないことである。実質評価損は日銀保有の国債残高に対して生ずるものであり、満期到来済みの国債は関係がない。それは日銀の資産から満期が到来する都度、減少していく。
 海外の投資機関は、日銀保有の国債に関しては国際会計基準通りに、実質評価損を計算して日銀の経営破綻を判断する。
 このことで思い出されるのは夕張市の財政破綻である。第三セクターをいくつも作り、公的会計基準で損失の隠蔽がなされ、ある日突然資金が回らず破綻となった。公的会計基準という民間会計基準から見たら、粉飾決算を合法化したローカルルールで決算を行っていたから、突然の破綻となった。同じことが日銀でも起きるだろう。日銀法では満期まで保有するつもりなら、評価損を計上しなくていいことになっているが、それはローカルルール、国際会計基準から見たら、粉飾決算にしか見えないということ。同じことは電気事業者の会計基準にも言える。原発の廃炉費用や再処理費用は積立不要になっているが、民間会計基準で判断すると、将来確実に発生する費用を計上しないのは、粉飾決算となる。つじつまを合わせるために、原発事故処理費用も含めて、電気料金に上乗せしていいことになっている。

 日銀法で日銀が国債を直接買い入れることは禁止されているので、購入時は市中銀行国債引き受けのシンジケートを造らせてそこが落札、それをそのまま日銀が購入するという形をとっている。実質を言えば日銀の直接引き受けですから、インチキだよね。法学部出身の小頭のいい官僚が考える脱法行為、こういう屁理屈を考えるのが法学部出身者のようです。満期到来の国債についても、借換債を発行させて整理基金勘定(特別会計のようなものかな)へ移し、市中銀行へ売却した借換債を整理基金勘定の現金を使って市中銀行から買い戻す。ひどいごまかしです。
 こういう、でたらめな処理を考えて脱法行為をするので、ほんとうの姿が隠蔽されしまうから、国民には百害あって一利なしである。日銀と政府は抱き合わせでクラッシュへ突っ込んでいきます。ツケは国民がもっている預金や株そして不動産への課税で支払うことになります。そのための住基コードの普及でした。いまや株も簡単に名寄せできます。全部電子データになっていますから隠しようがありません。不動産登記も着々と電子化が進んでいるので、住基コードとインターフェイスしたら、課税は簡単です。


にほんブログ村


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。