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#4487 金融緊急措置令発令(1946年2月17日):預金封鎖  Feb.17, 2021 [95.増え続ける国債残高]

 75年前の1946年2月17日、大蔵省から金融緊急措置令が発令された。預貯金は封鎖、現在価値に直して1世帯12万円/月の引き出しかできない。同時に新円への切り替えが行われた。旧紙幣は紙くずである。

 その目的は単純明快だった。ウィキペディアの「預金封鎖」に載っている。
公平の名のもとに国民の資産を把握し膨れ上がった国家の債務の解消のために預金封鎖がなされうることを副島隆彦が著書で指摘している

副島隆彦『預金封鎖 「統制経済」へ向かう日本』祥伝社、2003年。ISBN 4-396-61194-3

 要するに政府の放漫財政のツケを国民に回したということ。そしてそれが90年代に財務省で検討されていたことを副島氏が指摘している。
 1946年2月17日に大蔵省は国民が保有する預金で政府の借金をチャラにしたのである。

 日銀はETFやREITで上場株式を買い、36兆円保有している。世界の中央銀行で株式投資にお金を投じているところはない。年金資産の管理機構であるGPIFの国内株式保有高は45.2兆円である。

 2/15のヤフーニュースによれば、日銀とGPIF保有の国内株式は100兆円を超えた。日経平均が3万円台に載っているが、日銀とGPIFの買い入れによる演出相場だ。

 政府債務残高は2020年末1400兆円を超えた

 税収が年間50兆円だとしたら、28年分の借金の山である。家計に置き換えてみたら、その大きさがわかろうというもの。公務員給与の平均が700万円だとしたら、28年分は1億9600万円の借金である。返済できるわけがない、つまり財務省は借金を返済するつもりがないのである。どうするのか、国民の預貯金、保有株式、不動産に課税すれば、借金を返せる。3つともデジタルデータになっており、住基コードに紐づけできるから、いつでも預金封鎖、株式凍結が発動できる。

 財務省の預金封鎖チームはさまざまなシミュレーションをしてるだろう。銀行預金と株式はすでに住基ナンバーと紐づけられている。土地台帳のデジタルフォーマットの統一が進んでいる。じつに簡単に預金封鎖や株式課税、土地への課税ができる。

 新型コロナで大盤振る舞い、必要のないところへもおカネをばらまき、必要なところになかなか回ってこない。政府の借金はさらに膨らんでゆく。戦後2度目の金融緊急措置令の発令があるのか?

 2/17日経平均 30,292.19 ¥105.85/$ ダウ平均$31,613.02

<短期国債が4割の異常事態発生>2/22追記

 1年債の構成比は、第2次安倍晋三内閣以降は18%前後で安定的に推移していた。また、30年債と40年債の構成比は10%には満たないが、以前と比べて徐々に上昇し、全体として満期の長さは上昇傾向にあった。
 ところが、2021年度当初予算ベースの国債発行計画は様相が一変した。借換債と新発債を合わせて236兆円の国債発行を予定し、前年度当初比で82.5兆円増加。そのうち210兆円を事前に満期を決めて市中発行し、同じく92.6兆円増えた。
 210兆円のうち、最も短い6カ月債は41.2兆円、1年債を42兆円発行する。つまり、1年以下の国債を39.6%も発行する。2年債も36兆円発行する計画で、2年以下の国債比率は119.2兆円、全体の56.8%にのぼる。
 119.2兆円という金額は、事前に満期を決めて市中発行する国債の、2020年度当初予算における発行額合計117.4兆円よりも多い。新型コロナの前の国債発行総額に相当する額を、今や2年以下の満期でしか借りられないという状況に置かれているのだ。
    自転車操業状態の日本財政
 いつからこんな状況になったのか。それは、2020年度の3次にわたる補正予算で国債を大量発行したことが原因である。2020年度の補正予算では、事前に満期を決めて市中発行する国債を83.5兆円追加発行したが、このうち6カ月債が45.6兆円、1年債が15.3兆円、2年債は9兆円だった。追加増発した国債のうち、2年以下は83.7%にのぼった。
 2020年度の補正後予算で1年債を大量に発行したため、早くも借り換えを迫られている。2022年度にも、2020年度に発行した2年債と2021年度に発行した1年債の借り換えが待っている。もし市場のニーズがなければ、長い満期の国債で借り換えることができない。日本の財政は、まさに自転車操業状態である。

 仮に日本政府が強引に超長期国債を大量発行しようものなら、リスクプレミアムが乗った高い金利(安い国債価格)でしか発行できないだろう。逆に、低い金利で発行できても、そのときはむしろ民間金融機関が損をすることになる。
 市場の実勢とかけ離れた低い金利(国債を発行する日本政府が得をする状態)で発行できた場合、民間金融機関はそれだけ損することを意味する。政府さえ得をすればよいという政策は無責任の極みである。
 民間金融機関が買わないなら日本銀行が買えばよいという主張もある。だが、財政法で日銀による国債の直接引き受けは禁止されている。まずは民間金融機関が国債を市中消化する必要があり、民間金融機関のニーズがなければ、国債は発行できない。
...
 日銀の金融政策は、短期金融市場では政策金利などを通じて比較的即効性のある形で操作できるが、長期金融市場ではその効果が弱い。そんな市場で長期国債を大量に売れば、日銀でもコントロールできず、長期国債の価格が下落(長期金利が上昇)しかねない。
 したがって、日銀が超長期国債を大量に保有していると、デフレから脱却して緩やかなインフレになったときに、長期金利の急騰などの混乱が起こる確率が高まる。
 もしデフレから脱却できなければどうなるか。それはそれで、財政状況は改善せず、今のような自転車操業状態を繰り返さざるをえなくなる。そして、理由を問わず、突発的な短期金利の急騰に直面すれば、利払費がたちまち急増して政策的経費を圧迫する。新型コロナ対策として国債を大量発行し、経済的打撃を和らげる財政政策が施されている。しかし、それにはコロナ後の高い対価が伴っていることを見逃してはならない。




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預金封鎖―「統制経済」へ向かう日本 (Econo‐globalists (5))

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  • 作者: 副島 隆彦
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2021/02/17
  • メディア: 単行本

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