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#5099 財政と日銀破綻:外貨預金へ逃避の懸念 Nov. 2, 2023 [95.増え続ける国債残高]

 植田日銀総裁の長期金利1%容認発言を受けて、昨日の円相場は151.39円/$でした。第2次安倍政権発足時の80円/$と比べると11年間で70円もじわじわと円安になっています。米国の10年物財務省証券の金利は4.926%ですから、日本の0.955%に比べて4%もの開きがあります。わたしが産業用エレクトロニクスの輸入商社で仕事をしていた時(1978-83)にはおおむね2%の差がありました。1年先物の為替相場は金利差を反映して常に円高でしたので為替予約と円定価表を連動させることで、為替リスクを回避できました。日米の金利は開き過ぎの感がありますから、いつまでもこのままではいられないでしょう。

 金利差が4%にもなっているのに、プライム市場への上場企業の財務担当役員が預金を外貨へシフトしない理由がわかりません。900億円の預金をもっていたら、1/3の300億円はドル預金に変えたら、利息が年間15億円入ります。何より円安のリスクヘッジになります。
 長期的に円安傾向が続くという保証があれば、外貨預金への雪崩現象が起きても不思議はありません。人口減少と高齢化と少子化で、日本経済はとっくに長期の縮小に入っています。生産年齢人口が8000万人台から6000万人へと急速に減少していきます。そういう長期的な流れを読むことに企業の財務担当者は鈍感なようです。企業の財務担当者は経理しか仕事のできない頭の固い人が多いのです。でも、世の中の流れが変われば、「右へ倣い」で動き出します。突出するのは嫌ですが、遅れすぎるのも同じくらい嫌なのです。

 個人預金は1000兆円を超しているでしょうから、これが1/3でもドル預金へシフトしたら、日銀はドルシフトの流れを止めるために、金利を上げざるを得なくなります。平衡にするには米国金利と同率にしなければなりません。日本国債を5%にすると、日銀は540兆円の保有国債の評価損で百兆円を超す損失に見舞われます。日銀は債券評価損を計上しなくていいのだから大丈夫だという向きはあります。今年2月に米銀がいくつか経営破綻していますが、債券金利が上昇したことが引き金になっています。評価損が出ることが判明したら、取り付け騒ぎが起きたのです。もっている債券を売りはらって支払い準備を増やそうとしたものの、足りずに破綻しています。

 国債金利が5%に上昇すれば、利払いはどんどん増えていきますから、予算が編成不可能になります。日銀が経営破綻したら、日銀による国債引き受けができなくなりますから、債券市場で売らなければなりません。そのためには米国債以上の金利の付与が必要になるのでしょう。政府財政の破綻が明らかになります。
 上場企業の財務担当者が自社の預金の1/3をドル預金にシフトするというのは、明日起きても不思議はありません。個人預金の1/3がドル建て預金へシフトするというのも明日起きても不思議はないのです。
 財務省が持っている円安介入用のドル資金はたった1361億ドルしかありません。5~6回の介入で枯渇するんです。預金シフトが起きたら、1361億ドルなんて、焼け石に水にもなりません。22年4月の平均値で見ると、1日当たりの円・ドル取引は1.13兆億ドルです。外貨準備の79%は米国財務省証券などの外貨建て債券ですから、売却しないと為替介入には使用できません。

 小心な人のようですから、植田日銀総裁、何か発言するたびに、強いストレスで体の震えがとまらないでしょう。

<余談:今朝の玉川さんの発言>
 今朝(11/2)の羽鳥モーニングショーで、玉川さんが「キャピタル・フライト」という言葉を使って、円預金がドル預金へシフトする可能性があることを指摘していました。日銀や政府財政の破綻の有力な引き金の一つです。巨大地震と津波、そして富士山噴火も数百兆円の復興資金が必要になるので、大幅な赤字国債を増発する必要が起きますから、それらも財政破綻の有力な引き金です。
 何かが引き金になって、外貨預金へのシフトが始まれば、もうその流れを止める手立てはないでしょう。預金封鎖、東京証券取引所取引停止、マイナンバーを使って預金や保有株式や不動産などへの課税がなされます。


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