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32. 市立根室病院建て替え ブログトップ
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#1091 免震構造と外断熱はどちらを優先すべきか Jun. 30, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 Kさんが「免震」と「耐震」を比較実験したDVDを見てそれぞれのメリットとデメリットについて連絡をくれた。免震のコストについては数%増でやれる低コストの方法があるようだ。ネットで検索すると大体15%増だから、免震もやり方次第でコストに2倍程度の差が出るものらしい。ブログを読んでいただいている皆さんと、免震に関する情報を共有したい。
 次のような「装置」で実験が行われた。  

「神戸に上下左右に揺れさせることができる20メートル×15メートルのプラットホームがあるそうです。この上に、鉄筋コンクリート4階建てのミニ病院を建てて、95年地震の80%(震度6強に相当するそうです)の揺らしたものです。建物の内部に51個のカメラを設置して揺れに設備がどう反応するかを観察しています。耐震構造の建物をしっかり地盤に据え付けた場合と、免震構造基盤を据え付けた場合の2種類で実験している。」



 耐震は建物自体は大丈夫だが、建物内部の物は固定されていなければが地震の揺れで移動する。大きな地震で冷蔵庫が動いたのを見たことはないだろうか?ベッドもキャスターがついているので動くだろう。付属のストッパーは地震にはほとんど効果がないとわたしは思う。空のベッドならストッパーは効果があるが、患者が寝ていればその重量と揺れの加速度でストッパーの許容限度を超えるだろう。もともと、地震対策でつけられたストッパーではないから当然だろう。震度6ならベッドは病室内を「走る」可能性があるが、震度5なら数十センチ動く程度だろう。
 免震は内部の揺れは小さく出来るが、長周期のときに共振現象を起こし揺れを増幅することがあるという。ようするに完全なものはないのだろう。

 さて、1994年10月4日22時22分に根室東方沖200㎞を震源とするM8.2の巨大地震があった1950年以降でM8.2は1952年の十勝沖地震が一つのみである。日本で50年に1回しか起きないスケールの地震であったことがわかる。
 根室より震源地から遠い釧路の震度が6だった。根室の震度は5である。合同庁舎に気象台があったが、あそこは地盤がしっかりしていて揺れが少ない。一般に官公庁の建物はその町の一番地盤がしっかりしたところに建てられる。古い町ほどそうだ。もちろん根室もだ。
 市立病院の隣に保健所があるが、そこが官立根室町立病院跡地である。市立病院は同じ岩盤の上に建っている。合同庁舎の地震計が震度5を記録したということは、市立病院でもM8.2の地震で震度5しか揺れないということだ

 北海道銀行は元NTTの建物に入っているが、1950年代の終わり頃、基礎工事をやったときに7~8メートルも掘った。鼠色の粒子の細かい粘土層が数メートルあった。あの建物は粘土層の下の固い層に基礎が届いているはずだ。
 花咲町、梅ヶ枝町、本町界隈は同じ地層だろう。3メートルも掘れば水が湧き出す。粘土層と帯水層があって、地盤は軟弱である。本町や梅ヶ枝町は表層土の下に帯水層、その下に粘土層がある。表層土は「浮いている」ので、地震の際には揺れが大きくなる。鳴海町も千島町もそうだろう。こういうところに病院を建てるなら免震構造は必要だが、M8.2で震度5しか揺れない岩盤上の建物に免震構造が必要だろうか?このさき、百年間を考えても根室でM8.2の地震はほとんどありえないだろう。現にこの50年間で日本でM8.2クラスの地震は二つしか起きていない。そして起きた場合でも震度が5なら通常の建物で十分だろう。

 わたしは1994年10月には根室にいなかったから、誰か当時のことを教えてほしい。病院建物がダメージを受けて、外来休診や病棟閉鎖のような事態が起きたのかどうか。通常震度5くらいでそのようなことは考えられない。つまり、病院が強固な岩盤上に建てられている場合は免震の必要がないのだ。震度は1.5から2も小さくなってしまう

 ところで市立病院は199ベッドが134ベッドになる。入院病棟は3分の2の規模になるのだが、病院建物は20%広くなる。夕張の病院はいたずらに広いために、暖房費が経営を圧迫している。根室市が招聘した病院コンサルタントの長隆氏も広い病院を造ってはいけないと提言していた。空調費が病院経営を圧迫するからだ。
 外断熱にすれば、暖房費は半分以下ですむだろう。免震に掛けるお金があったら、外断熱や、屋上スペースにソーラーパネルの設置を検討すべきだろう

 これから10年、20年後には、円に対する国際的な不信任が起こり途方もない円安が起きる可能性がある。灯油が200円/リットルということだって考えられる。
 外断熱にしておけば10年、20年後に燃料代が暴騰しても病院経営への影響を半分以下に出来る。いまならまだ間に合う。備えを固めておけば大丈夫なのだ。薄ら寒い病棟で病気と闘う患者、そしてドクター、看護師さんたちが寒さに耐えながら仕事をしなくてすむのである。

 病院建て替え特別委や市民整備委員会は市側の乱暴な進め方に異議申し立てをしないのだろうか?誰のための何のための特別委?市民整備委員会?その責任は重い。

* 948 days, 338,533 access

 #1958 チグハグ:13.7億円の病院事業赤字と新しい病院の名称募集 June 3, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03

 #1563 玄海原発説明会と建て替え市民整備委員会の相似性 Jun. 27, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27-1

 #1539 ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-03

 #1234 地域医療改革の烽火(4):根室市議会 病院建て替え問題点 焦点 Oct. 10, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

 #1143 市立病院建て替え:建築費10億円カットの方法 Aug. 3, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03

 #1091 免震構造と外断熱はどちらを優先すべきか Jun. 30, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30

 #1057 「広報ねむろ6月号」を読む(2):病院建物仕様への疑問 Jun. 6, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-06

 #1013 基本設計にまつわる疑問:市立根室病院建て替え-086 Apr. 29, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-04-29

 病院建物基本仕様検討作業への要望(1) #889 Feb.2, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-02-02

 根室人はほいどか?答えはノーだ #881 Jan.27, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-26-1

 杞憂(2)根室の地域医療の未来 #855 Jan.6, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-06

 建築仕様も詰めずに基本設計発注か? #839 Dec.23, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-23

 将来、療養病床設置も #834 Dec.18, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18

 「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30

  7月25日blog#667『市立根室病院4~6月営業収益予実差異9660万円』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

 7月2日blog#634『病院建て替え基本計画案への7つの疑問』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01-1

 2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について(J&K対話)-(3)」
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

 2009年6月26日#625「建て替え必要なし33%、なぜ? 市立根室病院建て替えアンケート・ショック」 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26 

 2009年5月27日#592「市立根室
病院建築仕様の前提条件」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

 2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

 2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23



#1074 市議会で本田議員が病院建て替えについて質問 Jun. 16, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 15日、本田議員が市議会で市立根室病院建て替えについて質問をした。その内容と市長答弁は本田議員のブログに詳しく書かれている。質問と答弁のみで、感想は一切述べられていない。
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/06/222-7843.html 

 
 それゆえ、市長の内容は本田議員のブログでお読みいただくとして、わたしは感想を述べたい。

 ①市が招聘した病院コンサルタント、長隆氏の提言(総事業費30億円での建て替え)をなぜ無視し、総事業費を倍の62億円に膨らませてそのまま突っ走るのかという根本的な疑問は質問にもなかったし、もちろん市長答弁にもなかった。

 ②システム投資について、6年前のニホロ移転案のときに5億円だった。2億円分はすでに実施済みだが、62億円の総事業費案にはシステム投資5億円が載っていた。つまり、7億円に増額されていた。ブログでそのことを書いたら、突然に総事業費から外された(3月)。それと同時にシステムに関する検討委員会が設置されている。そして、現在3億円の予算になり、6年前の案に戻っている。
 いったい何がどうなっているのかについて、市長答弁はなかった。だれがどういう決定をしてこのような迷走をしているのか、意思決定過程があきらかではない。

 ③看護師が3年間で18名定年退職の予定であるが、従来どおり看護学校等への働きかけをするのみで、市長には策がない。
 年間十数億円もの赤字をたら流し続けて、経営改善がまったくなされないことが、若い看護師が応募してこない主たる原因だとわたしは考える。
 将来性がなく活気の失せた病院が若い看護師を確保するのは難しいことは中学生でも理解できる。根室高校では毎年看護系大学、専門学校志望者が10人以上いる。にもかかわらず、帰ってくる者が少ない理由を考えるべきだ。根室が僻地なだけではないだろう。
 従来通りの要請活動だけだと、建て替え後に看護愛不足から一部の病棟閉鎖がありうると本田議員は心配し質問をした。
 看護師不足から病棟閉鎖になれば、病院収益にも悪影響がでて、予測される赤字の幅はさらに大きくなる。
 「看護師不足+派遣医師引き揚げ後の補充なし」の最悪の場合は最大年間22億円の実質赤字。

 ④150床から135床へ減床しても病院建築面積には変更なし、収益にも影響なしとの強弁した。
 ドクター要望で観察室を増設することにしたという。市民を愚弄している。どうしても2倍の総事業費は使いたいらしい。
 減床しても収益上の影響なしと市長答弁。稼働率は80%を予定しているが、過去にそういう年度は一年タリともない。よくて70%、おおむね60%台が実績であるから、相変わらす辻褄合わせの数字の羅列だ。そういう非現実な数字は使うなと振興局から指摘されたばかりだ。


 ⑤昨年7月に基本設計のできる3月までに明らかにするとしていた損益計画は3月末を過ぎても明らかにならず、いまだに検討中との答弁だった。
 年間10億円などで赤字がすむわけがない。昨年度だって12億円である。これに建て替えにかかわる事業費の償却費が5年間はおおよそ3億円加算される。この数字は派遣医師引き揚げの補充がついたという前提の数字だ。看護師の補充もあったとしての話である。何もかもうまくいったという非現実な假定でも年間15億円の実質赤字が予想される。

 派遣医師引き上げや看護師定年退職の補充がつかない場合の損失見込みを明らかにして市民に信を問うべきだ。一番よくても年間15億円、最悪の場合、最大年間22億円の実質赤字に市の財政は耐えられるのか?9月には市長選挙があるから、この点を明らかにして信を問うべきだとわたしは考える。

【一般論、あくまでも一般論だが・・・】
 一般論だが、JVが受注することになる。工事契約はJVが地元企業を下請けに使うことが条件になっている。通常は下請工事はほとんど旨味はない。利幅が薄いのが常識だ。だが2倍もの金額で積算がなされ、落札されたら、下請け工事は旨味がある。なすべき仕事をしない、あるいは不誠実でルーズな仕事をすることで、関係者みんなが楽できる。阿吽の呼吸ならだれも法律違反は犯していない。
 下請け会社の経営者は市長選挙で現市長を応援することになるだろう。ありがたくて涙が出るほどだ。「オール根室」メンバーみんな旨味がある。その他大勢の一般市民は「オール根室」の輪の中には入っていない。
 根室ではそういうことは一切ないと思いたいが、では、なぜ病院コンサルタントの提言(総事業費30億円での建て替え案)は無視されたのだろう。わたしには理由がわからない。
 市長は市民説明会を開いて説明してほしい。疑問は深まるばかりだ。

【情報公開拒否】
 本田議員は問題点を整理して、①の点を除いてきちんと質問をした。①は訊きにくかったのだろう。狭い根室のことだから、いろいろ不利益があるやもしれぬ。精一杯のところだろう、市民の一人として感謝申し上げたい。
 しかし、市議会でいくら質問しても、わずか数十分のやりとりでは事態が変わるわけではないことも明らかになった。
 2900万円の基本設計すら市民には明らかにされないまま、実施設計が強行される。広報ねむろでたった1ページの概要図では情報を公開したことにはならない。ホームページ上でフロアー図などいくらでも公開できるはずだ。
 「市議会で市民の代表の市議の意見はお聴きしている・・・」「市民整備委員会も開いて意見を聞いている・・・」、つまりこれ以上聞く必要はないとの意見をお持ちのようだ。⇒ 一度も市民説明会を開いていないことは無視?市民は市民説明会を望んでいないらしい。意見は市議や市民整備委員が代弁してくれ、市政に反映されているようで、市長の委嘱を受けた病院建設市民整備委員と市民の間に意識のギャップはないというのが市長殿のご意見のようだ。

 補助金は22億円、起債は40億円。5年後に根室市立病院は夕張市のように診療所になっているかもしれない。いただく補助金もわずか1年分の損失補填額と同額となりかねない。それでも市民説明会は必要ないのだろうかと根室市民に問いたい。どういうわけか市議はだれもその必要について言及したことがない。

【ラストチャンスは9月の市長選挙のみ、だまっていれば夕張化確定】
 市議会で採り上げても事態が変わらないことが明らかになった。市長を変えるしかない。だが誰も市長選挙に立つ気配がない。これでは根室を悪くしているのは根室市民だということになる、わたしも根室市民の一人だが悪い冗談だ。

 ほんとうはこのような反吐が出るような話は書きたくない。だが、それ以上に根室を夕張にはしたくない。だから書かねばならぬ、身体に悪いな・・・

#1067 誠実・正直な仕事:初動体制の誤りに学ぶ:市長選挙は2回続けて無投票当選か? Jun.12, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

【口蹄疫対策における初動ミスとそれに続く県と国の判断ミス】
 宮崎県で口蹄疫拡散が収まらない。①4月の初動体制に第一の問題があった。次いで②5月連休明けに、東国原知事が埋設処分に躊躇して第2の誤りを生じた。③9連休外遊の赤松農相は連休明け、5月10日になって現地入りした。

 農業大学校敷地への埋設処分を急ぐべきだと5月20日#1035で書いた。先に自費で埋設処分した農家との「平等性」という屁理屈を主張して農業大学校敷地への埋設処分を取りやめた東国原知事の判断ミスは大きい。

 1000頭で抑え込めるものが20万頭、200倍も被害が拡大してしまいそうだ。すでに16万頭を超える豚や牛が殺処分された。初動体制のミスは甚大な被害を及ぼすことを学ぶべきだ。

【市立病院建て替えにおける初動ミスとは何か】
 市立根室病院建て替え問題も似たようなパターンと経過をたどっている。
 2004年にニホロ移転案の市民説明会が商工会館であったが、ニホロと駒場町の候補地の土地の単価に関して市側はその場で虚偽説明をした。水道や道路をを引くのにかかるお金を上乗せしていないのも恣意的だったが、土地の買収費用がニホロのほうが安いという説明を当時の助役がした。上下水道を引くお金と道路を引くお金を加えたらどうなるというわたしの質問にも言を左右にして答えなかった。まことに不誠実な対応であった。
 どういうわけか市側は当時90億円もの総事業費でニホロに市立病院を移転しい事情があったようだ。一説には畜産振興事業団の施設をニホロに作ると道へ約束があったが、それがダメになったので、替わりに病院をもっていきたかった、そういう穿った話も巷には流布されていた。
 話しを戻すと、土地の値段については、その後、北海道新聞がスクープした。駒場町の方が安かったのである。市民説明会で虚偽説明をしたのは当時の助役、現市長である長谷川俊輔氏である。彼はそれ以来一度も市民に病院建て替えについて説明したことがない。
 そもそも交通の便の悪い市街地の西の外れの大外れ、近隣に住宅すらないニホロ移転案というのが初動ミスのさいたるものだろう。

【初動ミスによる被害拡大:お金と時間のロス】
 初期対応を誤った市立病院建設はその後迷走することになる。ニホロ案から6年たって、病院コンサルタントが提言した総事業費30億円での建て替え案を無視して、62億円の巨費を投じて建設しようとしている。初動体制を誤ると被害は甚大になる。6年間もの時間のロスと、この6年間で市立病院は累計60億円の実質赤字を出し、市は一般会計から60億円の赤字補填を行った。
 実質赤字の決算を一般会計から赤字補填したあとの決算を公表することで、赤字ではないと主張し、経営改善の手を打たない不正直・不誠実な病院経営をこれ以上続け、建て替えをしてしまえば、今度は病院が倒れるだけでなく、市財政が破綻しかねない。
 何もむずかしいことはない、仕事は正直に誠実にやるのが一番いい

【またしても無風の市長選挙:市民に選択肢なし】
 根室市長選挙が3ヶ月後に迫っているが、現市長が出馬表明しただけで対立候補がいない。ふるさと根室を愛する民主党はこれほど市民無視の市長を支持するという愚は犯さないだろう。

 前回選挙では対立候補なしで無投票当選。今回もまたそうなりそうだと北海道新聞の朝刊が伝えている。人材が枯渇しているという意味でも根室の疲弊ははなはだしいものがある。

【民主党根室支部の役割と責務】
 民主党は、対立候補を擁立するくらいのことはやってもいいのではないだろうか?国政だけでなく地元根室も人材不足でなければぜひそうしてもらいたい。
 道内の市長選挙で2期連続無投票当選という例はないのではないか。このままでは活力のない根室市として全道に恥をさらすことになる。民主党根室支部は対立候補を擁立し、その責任をまっとうしてもらいたい。
 根室の町をよくしようと思えばよくできる。余計なことを考えずに、正直に愚直にやればいい

*#1035 口蹄疫対策で宮崎県知事がパニック May 20, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20-1

#1041 「今日は暑かったですね」(全国ニュース)いいえ根室は4度です May 25, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25


#1065 市議会第2回定例会を傍聴しよう Jun. 10, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 6月14~17日まで、市議会第2回定例会が開催される。相変わらず平日の市議会定例会にあきれる。自分たちが講師に招聘して具体的な提案をしてもらっても、自分たちに都合が悪ければ取り入れない。自分たちのための市政しか考えられない反省のない人たちだ。何を言っているのか説明しないと分からないだろうから、ちょっとだけ書いておこう。

 5月20日に開催された市議会改革調査特別委員会主催の講演会でNPO理事長の森氏が市民が参加できる日曜日に市議会を開催すべきだと提案しているにも関わらず、相変わらず平日の市議会定例会である。「市議会改革調査」活動はしても、市議会を改革するつもりはないのだろうか?
 #1036 「地域主権と議会の役割」講演会 May 22, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-22
 
 2年前に病院経営コンサルタント長隆氏を招聘して講演会を開いたときも、市の幹部職員などが50名余(市議がいたかどうかは知らない)が参加している。市民にはクローズドの講演会だった。議事録がネット上で公開されているから検索してみるといい。長氏はその場で総事業費25億円から30億円での建て替えが可能だと言明しているが、市はどういうわけかその具体的な提案を無視して62億円もの総事業費で大慌てで建て替えを強行しつつある。

 ところで市議会の様子だが、傍聴席には新聞記者席に人がいるだけで、一般市民はほとんどいたことがない。わたしは3度傍聴に行ったことがある。「傍聴は忍耐力がいるな」、わたしの率直な感想だ。

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 それぞれの市議の質問内容は本田市議もブログで公開しているので、見てほしい。
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/06/222-9bf8.html

 市のホームページにも<一般質問内容>が載っている。
 http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/aacb8528d40f3f1b4925771f00096256/$FILE/2定一般質問.pdf

 <定例会や特別委員会の開催スケジュール>
 http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/95670f91c410df45492576dd000175d3/$FILE/2定日程表.pdf

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【地域医療と病院建て替え問題に関する質問】
 さて、ブログで採り上げてきた地域医療問題については3人が質問する。
 橋本議員は「地域医療政策に関する諸問題」となっているが中身がはっきりしない。共産党の鈴木議員は「後期高齢者医療制度について」となっている。具体性に乏しいので内容がよくわからない。
 本田議員は病院建て替え問題に絞ってその問題点を質問するようだ。ベッド数縮減とそれに伴い将来療養病床確保が困難になる問題や建て替え後の損益見通しが明らかでないことなどについて質問するようだ。わたしは彼に期待している。
 他の議員は根室の医療問題がどうなろうとまったく関心がないようだ。療養病床の問題一つとっても重大問題だし、建て替え後の年間赤字が最大20億円になる可能性のあることは、市の財政破綻の引き金になりかねない重大問題なのだが、本田議員一人しか質問をしない。市議が20人いてもこれが根室の現実である。

【教育に関する質問】
 佐藤敏三市議が具体的な質問をする。
 「市内小中学校における教育水準の現状と今後の対策について」

 「教育水準の現状」も大切だが、荒れ放題の学校もまた何とかしなければならない教育問題の一つだろう。#1064である中学校の学校敷地内での喫煙の常態化を採り上げたが、授業をサボって体育館横や裏での喫煙がなされている。何年も続いて「伝統」化してしまっている。教育水準の現状どころか「中学校の惨状」とでも叫びたい状況が何年たっても変わらない。
 歴代校長はだれもこの状況を改善できなかった。校長が市教委へ報告しなくても、市教委は退職教員が何人もいるはずだから、これらの事実を承知しているだろう。
 学力テストの平均点はこの学校が市街化地域の3校の中で一番低い。もちろん年度によっては学力の高い生徒が多く最下位をまぬがれる年もあるが、例外に属するだろう。教育に関心の高い保護者はこの学校へ自分の子供を通学させたくないだろう。
 市内の中学校の問題を市議が採り上げないでどうする。

 市長や教育長がどういう説明をするのか聞いてみたいものだ。配布プリントの種類を増やすことはやっているが、補習はしない。6時過ぎまでの部活はそのまま放置し、生徒の半数は健全な家庭学習習慣すら身につかない。そして学校では何年たっても補習という学力向上に効果のある対策をまったくやらない。つい先月行われた全国学力調査の結果はまだ出る由もないが、学力の高い札幌地区が不参加だったからひょっとして全国最低となったのではと噂される北海道で、14支庁管内最低の学力=根室の汚名を返上できるわけがない。
 いったい市議会はどういう議論をしているのだろうか、興味津々だ。
 学力を上げるには、健全な家庭学習習慣を育む必要があるが、そのためには6時過ぎまでやっている「異常に熱心な部活動」を5時までとし、それに加えて放課後補習体制をどうするのかを議論する必要がある。
 抽象論しか語れない市議はいらない。唯一、教育分野で質問らしい質問をする佐藤市議がどういう具体的な質問をするのか注目したい。

【まちづくり基本条例】
 市議定数問題も、まちづくり基本条例も定例会では今度もまったく議論がないようだ。
 5月3日に朝日新聞社説で採り上げられた北海道福島町の基本条例を参考にブログで採り上げたことがあるが。市議会で案をつくらなくても、そのままコピーするだけで素晴らしいまちづくり基本条例が制定できる。すぐにもやれるはずだが、市議会で議論がないのはなぜだろう。市議会改革は「検討する」だけで「実行する」意志はないのだろうか?
 福島町のまちづくり基本条例
 
http://www.town.fukushima.hokkaido.jp/machidukurijyourei/machi-kihonjyourei.pdf

【その他のみどころ】
 16日10時からの文教厚生常任委員会や17日10時からの予算審査特別委員会も面白そうだ。特別委が傍聴可能かどうかは知らないが、可能なら聞いてみたいものだ。あれだけでたらめな病院事業予算に何の意見もつけずに通してしまう市議の面々の顔が見たいとは思わないか?市側の提案をノーチェックで通してしまうなら市議の存在意義はないと、この前開かれた市議会改革調査特別委員会主催の講演会で講演者として招聘されたNPO法人理事長森氏は「ただ、自分の信念を貫かず、いたずらに会派に同調する議員が多いことを批判し「そんなことをしているから、議員を減らせという声が出てくる」と話しているが、根室の市議はこの話しを聴いて変わったのだろうか?講演会は平日午後に開かれ、参加者は市役所職員と市議が約55人、一般市民5人の参加のみだったという。市議(会改革調査特別委)による、市議と市役所幹部職員のための講演会だった。こういう講演会が常態化している。病院経営コンサルタント長隆氏の講演会もそうだった。この種の講演会は市民にクローズドでやりたいらしい。市民参加を促すために、今後は日曜日に開催すべきだ。改善できることはいくらでもある。

 団塊世代は暇をもてあましている人も多いだろう。団塊世代に限らず、時間のある人は市議会や特別委の傍聴に行こう。市議会の現状を見て、市議定数問題や市議報酬問題にしっかりした考えを持とう。
 市議会は日曜日に開くように早く変更してもらいたい。


#1057 「広報ねむろ6月号」を読む(2):病院建物仕様への疑問 Jun. 6, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 病院建物仕様に疑問がある。「広報ねむろ6月号」に2㌻と3㌻に「阿野っている。載っている図面では大雑把過ぎてわからないが、これまでの情報と簡易図面(建物概観見取り図・断面図・病室図のみ、各スペースの面積表示なし)だけで問題点を挙げてみる。
 (2度目、そして今回だけで2900万円もかけてつくった基本設計なのだから、基本設計情報はすべてホームページで公開してもらいたい)

①外来診療ブースは30以上も設置するという追加案が出ていたが、常勤医の数を考えてもそんなにいらないだろう。
 これは「御用聞き仕事」の典型だろう。こういう仕事のやり方をすれば、仕様は膨らむにいいだけふくらみ、コストは2倍になる。システム投資に典型的に現れている。仕様の優先順位を考えていない証拠だ。
 外来診療ブースは最大でも20、カルテの集中管理をやれば15で十分ではないか?

②面積13000平米は広すぎはしないか?

③土地は岩盤だから免震構造は不要だ。根室で一番揺れの少ない岩盤上に病院が建てられる。免震構造はオーバースペックで、建築コストを膨らますだけだからやめるべきだ。土地のボーリング調査すらしていないだろう。

④4ベッド病室には2ベッド分は窓がない。4つとも窓がとれるようにすべきだ。患者の居住性がまるで違う。釧路医師会病院が4ベッド全部に窓があった。
 ⇒図面をもう一度見たら小さな窓がとってあり、採光がとれるようになっていた。縦長の窓だろう。窓の面積の表示があればなおわかりやすかった。一人部屋の窓を20センチほど小さくして4人部屋の窓をその分大きくできれば、なおいい。このままでも合格点はあげられる。4人病室はトイレもついており、以前からわたしが指摘していた仕様を満たしている。

⑤基本設計をホームページ上で公表し、市民の意見を聞き、特別委で検討してから、仕様を決めて実施設計の発注をすべきだ。

⑥外断熱仕様にすべきだ。暖房費が半分以下になる。灯油の値段が将来どうなるか不明だ。広くて断熱の悪い建物にしたら、維持費が経営の負担になる。

⑦市民整備委員会で廃止すべき問題点として採り上げられた保育所スーペースがそのまま載っている。どういう議論をしてどのような結論になったのだろう。重要な点はきちんと議論をして、議論の内容を公表し、理解と納得をえられるようにすべきだろう。このままではあとあと尾を引くことになる。愚かだ。

⑧療養病棟への転換可能性があるから、換気システムと暖房と外断熱はセットで考えなければならない。
 入院病棟は2フロアのようだから、臭気の問題(おむつ交換など)があるので、換気システムは入院患者の居住性をよくするために重要である。喚起の際に冷たい外気がそのまま入っては困るし、外断熱でコンクリート躯体が温まっていれば、室温が下がってもコンクリートからの輻射熱でそれほど寒くは感じないだろう。そして、屋上へのソーラパネルの設置も維持費の点から考えていたほうがよい。

【改築計画の進め方について】
 2900万円かけた基本設計情報は市側のものではない。市民に公開すべき情報である。市のホームページ上でただちに公開すべきだ。用途ごとの面積がどうなっているのかわからなければどういう病院を作ろうとしているのかわからない。

 実施設計を発注後に基本設計を一部だけ公表するというやり方は市側の思い上がりで、仕事の順序を間違えている。
 みんなが気持ちよく利用でき、むだを小さくすべきだ。検討に時間をかけ、市民の意見を入れて設計をやり直したほうがよい。
 市民と共にいい病院を作ろうという気持ちがあれば、こういう強引なやり方はとれないだろう。いまからでも遅くはない、やり直すべきだ。
 このままではお金をかけなくてよいところにかけ、かけなければならないところを見落としてしまっている。正直に誠実に、そして謙虚に取り組むべきだ。

 建て替え後の損益見通しは非現実的な前提条件で計算されたものがあるだけで、説明責任すら果たしていない。
 市長と病院事務局は時間を制限しないで3度は市民説明会を開くべきだ。市長と病院事務局は現在に至るも市民へのアカウンタビリティ(説明責任)を一度も果たしていない。

 #1958 チグハグ:13.7億円の病院事業赤字と新しい病院の名称募集 June 3, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-03

 #1563 玄海原発説明会と建て替え市民整備委員会の相似性 Jun. 27, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27-1

 #1539 ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-06-03

 #1234 地域医療改革の烽火(4):根室市議会 病院建て替え問題点 焦点 Oct. 10, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

 #1143 市立病院建て替え:建築費10億円カットの方法 Aug. 3, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03

 #1091 免震構造と外断熱はどちらを優先すべきか Jun. 30, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30

 #1057 「広報ねむろ6月号」を読む(2):病院建物仕様への疑問 Jun. 6, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-06

 #1013 基本設計にまつわる疑問:市立根室病院建て替え-086 Apr. 29, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-04-29

 病院建物基本仕様検討作業への要望(1) #889 Feb.2, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-02-02

 根室人はほいどか?答えはノーだ #881 Jan.27, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-26-1

 杞憂(2)根室の地域医療の未来 #855 Jan.6, 2010 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-06

 建築仕様も詰めずに基本設計発注か? #839 Dec.23, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-23

 将来、療養病床設置も #834 Dec.18, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18

 「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30

  7月25日blog#667『市立根室病院4~6月営業収益予実差異9660万円』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

 7月2日blog#634『病院建て替え基本計画案への7つの疑問』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01-1

 2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について(J&K対話)-(3)」
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

 2009年6月26日#625「建て替え必要なし33%、なぜ? 市立根室病院建て替えアンケート・ショック」 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26 

 2009年5月27日#592「市立根室
病院建築仕様の前提条件」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

 2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

 2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23


#1056 「広報ねむろ6月vol.842」を読む(1):市立病院決算情報 Jun. 5, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 2日ほど前に広報ねむろが配布された。7ページ「企業会計」にH21下期の市立病院事業会計予算執行状況が載っている。
 外来患者は1日当たり平成20年度比で2.4人増でほとんど変わらずだが、常勤医16名体制になって入院患者数が増えた。H20年度比で23.7人/日の増加である。H20年度入院患者一人当たり売上は87,895円/日だから、この数字を使って計算すると入院収益は3億7654万円増加したことになる。常勤医が前年比4人増と仮定すればドクター人件費は1.5億円の増で、さらに赤字特例債償還分が1.4億円と前倒しでやったオーダリング・システム開発費償却費が0.4億円だから、差し引きたった0.4億円のプラスということになるだろうか。ところがマイナスになっているから、見えないものがおおよそ1億円近く増えているのかもしれない。ツケ回しや野放図なシステム開発をすると途端に損益が悪化する。
 
 下期「予算執行状況」によれば
  収益  20億9172万円
  費用  18億9884万円
  純利益  1億9288万円

 誰が見ても病院事業は黒字であるが、ほんとうだろうか?収益20億円とあるが半期の売上は11~12億円にすぎない。
 病院事業会計は実質12億円の赤字だ。どうしてこういうことになるのか?公的会計という企業会計基準とは異なる基準の数値だからである。わたしたちが普段目にする損益計算書とは似て非なるものである。ダブルスタンダードはインチキと同義語であるが、広報ねむろに載っている数字はそういう数字だ。市民を欺く数字である。

 平成21年度の決算書がないので、手元にあるH20年度の決算書で説明しよう。「収益」の中に一般会計からの補助金が入っている。これは病院事業の売上ではなく、一般会計からの損失補てん金である。
 
  その他医業収益 150,364,773
  一般会計負担金  27,505,142
  一般会計補助金 911,029,698
  他会計繰入金    47,149,000 
     繰入金合計  1,136,048,613
  当年度純損失    23,687,367
    実質損失額   1,159,735,980   
 
 これら4項目が一般会計からの繰入金である。一番上が国基準による繰り入れだが、それではとても足りないので、以下の繰り入れがなされている。「当年度純損失」は繰入金で補填し切れなかった分だから、合計11億5973万円が実質赤字額である。ところが「公的会計基準」では11.5億円の赤字2368万円の損失に化ける。
 「一般会計繰入金」は予算では6億円程度ではなかったか?決算情報と予算情報を突合すれば、予算がいかに非現実で、辻褄併せにすぎないかがわかる。明細レベルの予算実績対比表を公表すれば予算の粉飾はできなくなる。市議会が市長へ作成と公表を要求すればいいだけだ。市議たちがそういう要求をしないのはなぜだ?

 広報ねむろに載っている収益はこういう損失補填金が含まれてしまっている。上場企業がこのような決算発表をしたら粉飾決算となる。もちろんこういう決算を監査法人が認めるわけもない。
  公的会計基準というインチキ会計基準が存在する限り、12億円の実質赤字が黒字の決算書に化けるということが起きるのである。病院経理が不正をしているわけではない、公的会計基準に基づいて適正な決算書をつくっている。

 民主党は公的会計基準を廃止して、公営企業は企業会計基準を適用すべきだ。そうすれば公営企業の赤字が表に出る。出れば市民が事実を知ることになるし、適切な手が打たれるようになる。
 黒字決算書をみて市民も関係者も安心する。黒字だから事業には何も問題は発生していない。ところが、夕張市のように突然破綻が襲ってくる。公的会計基準による損益計算書では一般会計から損失補填後の数字を見ているわけで、実質赤字額がどれほど巨額になろうとも、広報ねむろの公表数字のように赤字にならない。例外的に赤字になるのは一般会計から損失補填がし切れなかった場合のみである。
 もちろん、財務課の職員は専門家だからカラクリは承知している。病院経理も承知している。市長が「民間企業会計基準で決算数字を公表せよ」と業務指示をしない限り、広報ねむろに嘘や偽りのない損益決算書は載らない。知らないのは市議と市民だ。

 数ヵ月前の新聞報道によれば、平成21年度決算は実質12億円の赤字だったはずだ。根室市はホームページ上で市立病院事業損益計算書を明細項目レベルで予算との対比して公表すべきだ。
 広報ねむろで実態とはまったく異なる数字を公表するのは市民を欺く行為である。市長が市民へ真実を公表するつもりがあれば、「広報ねむろ」に載る数字はまるで違ったものになる。本当のことを隠してコンサルタントの提案の2倍の総事業費で強引に建て替えを進めれば、市財政や病院が近い将来どうなるかは火を見るよりも明らかだろう。

【病院建て替え後の採算について】
 病院事業の売上は「入院収益」と「外来収益」の合計額である。手元にH18年度とH20年度の損益計算書があるので両方見てみよう。費用は「医業費用」と「医業外費用」の合計額を並べる。
(平成19年度は、この二つの数字の間くらいだと想像していただければいい)
                       H18年度      H20年度   H21年度  
 売     上:    23.8億円   22.9億円     ?
 費     用:    34.1億円   34.7億円     ?           
 差し引き赤字額   10.3億円     11.8億円    12億円

  市立病院を維持するために毎年10億円を超える赤字補填がなされている。そして赤字の額は年を追うごとに増えている。このままだと5年後にはどうなるのだろう?市がいくら楽観的な数字を言っても、この推移を見るとまるで説得力がない。まだ建て替え前で償却費が増えていないのに、常勤医が前年比4人も増えたのに、赤字の幅はジリジリ広がっている。
 市民に公表される数字は数千万円の赤字あるいは黒字となっているから、経営上の問題はないように見えてしまう。それゆえ病院の経営改善はこの5年間まったく進まない。病院の経営状況に関して、市立病院事務局と市長は市民へ直接説明する義務があるのではないだろうか?「市立病院経営の現状と見通しおよび経営改善に関する市民説明会」を開催してもらいたい。

 さて、病院建て替え後にはこれに償却負担が加わる。当初の5年間はシステム投資と医療機器の償却費が大きいから、3~4億円程度の増加を見込むべきだろう。
 道から派遣されている医師の任期が来年、再来年に切れる。4名である。補充できなければ年間赤字額は最大20億円に達するだろう。一般会計にはこれほど巨額の年間赤字を補填する余裕はないから、根室市が夕張市になりかねない。
 すでに影響が出始めているのではないだろうか。若い看護師や助産師が集まらないのは市長にも幹部職員にも経営改善意欲がないからでもある。夢と希望を語れない幹部職員が多くなると、若い有能な人が集まらなくなるのは当然だ。
 30代40代の中堅市職員は自分たちの職がなくなるかもしれない瀬戸際にいる。未来はいま君たちの手の中にある。
 労組は指をくわえて傍観するのか?夕張では労組は職場を守れなかった。組合員の職や生活を守れなかったら、何のため誰のための労組か。
 市議会はきちんと議論して市政チェックの責任を果たすべきだ。市側の提案に賛成するだけなら市議は半分でも多すぎる。副業を言い訳に仕事の手を抜くようなことがあってはならない。

【市政チェックは市議の義務】
 広報ねむろを読んで、いささかうんざりしてしまった。このような子供だましのトリックにだまされる市民も愚かだが、チェックできる市議がいないのもこまったものだ。予算と決算をチェックできないのでは市議としてその職務を担う能力がないといわざるを得ない。ないなら、勉強すればいい。副業市議だって、市議ならそれくらいの勉強はすべきだろう。市側の提案になんでも賛成するような市議なら必要ないと、この間の市議会政治改革特別委主催の講演会で札幌のNPO代表が言っていたではないか。
 カラクリを承知している本田議員一人がインチキな病院事業予算に反対しても、共産党を除く他の議員が全員賛成ではどうにもならない。
 ところで、市議会定数削減問題はどうなったのだろう?
 システム投資も当初の5億円がいつのまにか7億円になり、総事業費から外されて別枠になってしまっているが、市の方からは市議会にも特別委にも説明がない。説明を求める市議もいない。この町はどうなっているのだろう?

 常勤医が前年度よりも4人増えたのだから、H21年度決算は少しよくなってもいいはずなのに、なぜ実質赤字が12億円を超えたのだろう。決算書を見ればその理由の一端がわかるだろう。H21年度決算書を入手したらまた続編を書こうと思う。

*double standard:CALDより
 a rule or standard of good behaviour which, unfairly, some people are expected to follow or achieve but other people are not


#1020 夢を語れ(ebisuの提案):市立根室病院建て替え May 6, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 昨日軽い頭痛がするような気がしたので、12時前に寝た。疲れがたまっていたのかもしれない。
 高校生が増えた。時間帯によっては中高生が混ざっていることがある。個別授業だから各自がやっている問題集やプリントから次々質問が出る。
 新学期が始まってから4時から9時まで質問の途切れることがない日がよくある。塾長にとっては生徒の意欲が伝わってくるので、うれしい。
 一人一人の質問に反応し、それをほどよく捌くことは楽しい。なるべく全部は教えない。最後までわからない場合は別だが、途中まで水先案内をする程度にとどめる。生徒もじきにその辺りの間合いが呑みこめて来る。「あ、先生わかった、たぶんできる、もういいよ、あとは自分でやる」。数人から質問が「殺到する」こともある。「ちょっと待ってて、こっちから片付けるから、他の問題にチャレンジしておいて」と待ってもらう。「先生、これとこれとこれとこれ、5題間違った、この問題難しくてわかんない」というときは、とりあえず1題のみ解説して次の問題をやらせてみると、案外できる。共通のやり方の応用のことがあるからだ。個別指導は楽しい。
 風邪を引いて熱が出たときは別にして、いままで頭痛がしたことはないから、こういうときは要注意だろう。脳梗塞とか脳出血とか脳障害は微妙な信号が事前にあるらしいから、それを見逃してはいけない。なにかあれば家族にも生徒たちにも迷惑がかかるから、普段の健康管理が大事だ。3年半前に病気をしたから、とくにそう思う。ぐっすり寝たので今朝は気分が好い。

 連休中も授業は普段どおりにやった。中3の生徒が「先生6日は休みにしようよ」と言うので、「受験生が何を考えている、今年は休みはないぞ、トコトン勉強しろ」そう言って拒否した。
 中3で連休中に7時間勉強できた生徒は、高校生になったら夏休みや冬休みに毎日8~10時間勉強できる生徒に育っている。社会人になって重要な仕事を任されても期限内にやりきる力が育っているだろう。中高生のうちに大人が鍛える機会をなんども提供しなければならない。甘やかせて育てれば、それなりの人間になってしまう。鍛えるべきときに鍛えること、それも教育だろう。

 さて、病院問題だが、医師が不足、看護師が不足と不足を嘆くばかり。病院を建て替えるのにお金がない、補助金をと走り回るのみ。このような病院に意欲のある若い看護師さんが集まるか?
 魅力のないところには、医師も看護師も患者も集まらない。衰退していくのみだ。

 責任ある立場の者が夢を語らなければ人は集まらないし、いまそこで働いている人にも活気がみなぎらない
 市長も事務長も病院長も根室の地域医療の夢を語らなければならない。そしてその実現に向かって具体的なプランを語らなければならない。
 一年一年、夢の実現に向かって進んでいることが実感できなければならない。

 6年前だったか、商工会館で開かれた市民説明会で市側の説明を聞いてから、建て替え問題に私なりに係り続けてきた。ところが、この間に、地域医療の夢を語る関係者の言葉を聞いたことがない。
 市立病院は毎年10億円以上(昨年度はついに12億円を越した、年々増え続けている)の実質赤字を出し続けているが、経営改善の兆しすら見えない。このような情けない経営状態では長期的に見れば自力で医師を集めることも看護師を集めることもできるはずはない。夕張のようにいつ診療所になるかも知れないような経営状態の悪い病院に人が集まるわけがないではないか

 必要なのは補助金ではない。意欲である。現状を変えようという意欲と具体的なプランがあれば根室の地域医療の未来は明るくなるし、医師も看護師も集められる。こんなことは誰にもわかりきったことだが、あまりにも自明なので誰も言わない。だからあえて言う。魅力のある地域医療の夢を語れ、具体的な経営改善プランを創れと。

 智慧が足りないなら、市民の智慧を集めればいい。市側はオープンな議論の場を提供し、必要な関係者を出席させるだけでいい。
 たとえば、「根室の地域医療問題を論議する会」を立ち上げてほしい。隔週で日曜日に時間を決めて議論しよう。関係者も含めて膝を突き合わせて具体的な議論しよう


*この提案はebisuの発想ではない。コメント欄にHoly Talkerというハンドルネームの人が、年代層ごとの市民集会を提案してくれた。病院問題に関しても有効に思えたので、そのアイデアを借りたのである。年代や発想が異質な人間同士のコラボレーションは楽しいし、町の運営に変化を起こす可能性がある。

#1015 疑問だらけの医療情報システム開発予算:市立根室病院建て替え-088 Apr.30, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 市議会「建て替え特別委」では医療情報システム5億円をいったん棚上げし別検討課題としたが、翌日4月27日の北海道新聞にはその旨の報道はなかった。本田議員の3/26ブログから市側の説明内容を引用すると次のようになっている。

「医療情報システムについては5億円を0円とし、今後、庁内での検討を踏まえて再度計画に組み込む」

 その結果、減少分と棚上げのシステム分を合わせて10億円弱減り、建設事業費分は52億円になったという説明だったようだ。
 28日の整備市民委員会ではこのことを説明したのだろうか?北海道新聞には医療情報システム・ペンディングの件は載っていなかった。紙面の字数制限のためにカットしたのだろうか?

 医療情報システムについては、6年前の90億円のニホロ移転案のときに5億円とされていた。2年前に病院はそのうちの一部であるオーダリングシステムを2億円で導入した。だから、予定通りでも3億円のはずだが、現行計画には5億円で載っている。つまり、市民が知らない間に5億円から7億円に増えているということだ。
 このような重大な計画変更について市側は市議会で説明をしたことがあるのだろうか?具体的な説明をしてもらいたい。

 そもそも、売上25億円の規模で5億円ものシステム開発費は前代未聞の投資である。ある会社が東証Ⅱ部へ上場する際に統合会計情報システムを開発するのに5億円をかけた。84年から86年のことである。上場を担当していた幹事証券会社は東証Ⅱ部への上場へこれほどのお金をかけた会社は前例がないと言っていた。その会社の当時の売上規模は約300億円、利益は30億円である。市立病院とは比較にならない。事業規模に比して、いかにとんでもない金額の投資であるかわかるだろう
 こんなにかける必要もないし、かかるはずもない。通常の手続き・作業がまったくなされず、業者へ丸投げされたのだろうとわたしは推測する。調べれば事実がすぐに明らかになるだろう。病院事務局にはシステム担当者もいるのだから、概略仕様書をまとめて業者にコンペをやらせれば1億円程度で十分間に合う代物だし、そういう予算の範囲にスペックをまとめなければならない。それが仕事というものだ。御用聞きのごとくにドクターやスタッフの意見を寄せ集めて試行錯誤をすれば途方もない金額を使うことになる。
(実務設計の巧拙(つまりは経営改善の程度)は担当者の能力に依存するが、なかなかすぐれた担当者がいないのが常である。なにしろ、システムの専門知識をもち、院内のさまざまな実務に関しても精通しており、院内の職種についてそれぞれにある程度の専門的な知識を有し、スタッフと調整までできないと実務設計はできない。「相手の言語」が理解できないと調整などできるはずがない。凡庸なシステム屋には届かないレベルの仕事が実務設計である。だから、担当者は院内の実務やさまざまなスタッフの専門分野についてもある程度の知識が要求される。3年くらいは死に物狂いの学習が要求される。医療情報システムは権限の小さい担当者の責任というよりは、それを管理すべき立場にある事務長の責任が大きい。病院事務長の職務は昔は事業赤字の補填のために一般会計からの繰り入れ予算を持ってくることがメインだった。だが、とっくにそういう時代は終わっている。病院事務長職はしっかりした専門知識をもち経営と院内の仕事を管理しなければ、病院事業にそして市財政に数億円、数十億円の損害を与えうる役割の重い職務になっている。)

 仕事の仕方と発注の仕方に大きな問題があるように見えるので、市議会は医療情報システムについて監査あるいは調査委員会の設置を要求すべきだ。このまま同じ方式でやったら、7倍もの予算の7億円はそのまま使われてしまう。
 要点は三つ。
 ①概略仕様書を作ったのか否か
 ②コンペをしたのか否か
 ③市議会特別委と整備市民委員会へ医療情報システム予算2億円増額理由の説明をいつしたのか

 至急に調査をして当該文書があるなら公開してもらいたい。概略仕様書を作る際には、実務の見直しがなされる。カルテ管理一つとってもそうだ。集中管理するのとしないのでは、外来への看護師配置にまで影響するし、もちろんブースの形・面積・数にも影響を与える。実務設計の巧拙次第で現場の生産性や仕事の精度が大幅に異なってくるのが常である。システム開発は経営改善そのものだ。そして、基本設計には不可欠の情報ばかりである。病院事務局はこの5年間の間にそういうことをやったのか?昨日や今日のことではない。
 概略仕様書すら作成していなければ、病院事務局は職務放棄に等しい。この数年の担当者と事務長は職務怠慢によって根室市に数億円の損害を与えたことになる。

 病院建設特別委員会と整備市民委員会は実施計画をストップし、基本設計及び総事業費全体を箇条書きにしてチェックリストを作成し、ひとつひとつ点検すべきだ。それが両委員会の仕事であり、メンバーに課せられた責任だ。
 (たとえば、機器の購入予定リストが委員にすら開示されていない。明細リストがあればチェックできる。ここにもきっと「不都合な真実」が隠されている。定価と比べてみればわかる、医療機器に関しては30%~50%引きが常識だろう。)

 議会や特別委で問題になった論点がどのように基本設計に反映されたのかについても説明がない。基本設計にあたりどのような変更を盛り込んで実施設計をするのかについてもまったく説明がない。市側はどうして情報を秘匿し、こうも説明をしようとしないのか?基本設計からの変更点の指示なしに実施設計がやれるはずがない。建設事業費52億円の説明があったということは、病院事務局は業者と具体的な話しをしているということだろう。ところが、その内容を文書でも口頭でも明らかにしていない。再度言う、なぜこうも情報を隠すのか?情報の公表によほど不都合があるに違いないと思わざるを得ないではないか?
 設計「監理料」を含んでいなければ9000万円の実施設計自体もわたしには巨額であるようにみえる。市議会はシステムと建築に専門知識のある市民に手伝ってもらって、市側の計画案をチェックすべきだ。

  多少の好い加減さはあったほうがいい。それはものごとをスムーズに進める潤滑剤だろう。だが、大きな杜撰さは見過ごしてはいけない。これは杜撰を通り越している。常識的に考えて、何の意図もなく2倍の62億円もの巨費を投ずるわけがないと考えるのが自然だろう。そうでないなら市長は特別委、整備市民委員会、および時間に制限をつけない市民説明会を開いて、その各々で具体的に説明すべきだ。

 こういう不正直で杜撰な仕事を見過ごしていたらふるさとの町はいつまでたっても自立心と活気を取り戻せない

 仕事は誠実に正直にやるべきだ。日本の職人は仕事の技術を日々練磨する。事務職だってプロなら事務の職人である。経営を管理するのも同じだ。経営管理の職人なら、赤字の事業も黒字になるように渾身の仕事をすべきだ。一気に黒字が無理なら、とりあえず赤字を半分に減らすような仕事をすべきだ。
 どのような仕事も、その職について最初の三年間が大事だ。この期間に渾身の努力ができた人間は、40代になってその道で一角の職人として認められる。
 病院建て替えにまつわる人々の仕事ぶりを見ていると、そういう人がほとんどいない。惨憺たる状況だ。

*医療情報システムについての病院事務局の説明は本田市議の3/26付けのブログにある。かれは特別委での説明内容を正直に書いている。
  http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/04/post-19f8.html

 彼は医事課長職にあったから、現在の市議としての立場の違いに現場と板ばさみ、思い悩むことはあるだろう。思い悩みながらも現在の市議としての職務に誠実に取り組む、こういう市議が増えてくれると根室の町もずいぶんとよくなると思う。
(教育問題に関してだけは、小学生や中学生をお子さんに持つ市議が増えてくれないと現状の問題点がぴんとこないのではないだろうか。市議の年齢層が偏っていると心配するコメントが数日前にあった。発想が若くて、面白い意見なので、そのうちに採り上げたい。団塊世代にはない市政改革への発想である。案外現実的で優れものかもしれない。ご本人が具体的な続編をコメント欄に書いてくれると楽しいのだが・・・まずはわたしの方がコメントを本分で採り上げよう。その後のことはその後で考えればいい)


#1014 整備市民委から費用圧縮を求める声:市立根室病院建て替え-087 Apr.29, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 4月29日北海道新聞根室地域版より

市立病院建て替え 135床に計画縮小
 整備市民委 費用圧縮求める声
【根室】市立根室病院整備市民委員会(長谷川敬二座長)が28日、市総合文化会館で開かれ、委員から約62億円の建て替え費用の圧縮を求める意見が相次いだ。
 委員10人が出席。病院事務局が病床数を当初計画の150床から135床に減らしても建て替え後の病院の延べ面積はほとんど変わらないと説明したため、ある委員は「最初から135床で計画していれば、もっとコンパクトで安く病院を建てられたはず」と指摘した
 別の委員からは「(看護師などの子どもを預る)院内保育所の設置をやめ、院外の保育所に委ね、その分コストを圧縮するべきだ」などの意見も出た
 また、3月にまとまった基本設計と、それに基づく建設スケジュールも報告された。設計前は2012年6月になるとしていた新病院の開設は、遅ければ同年12月になる可能性がある。事務局は「可能な限り作業を前倒しし、10月の開院を目指したい」と説明した。(幸坂浩)

<コメント>
 たった135ベッドの小規模病院で専門医をそろえられるはずもなく、したがって臨床研修医を受け入れることもほとんど望み薄である。病院事務局は「前倒しで」というが、3月26日に納品された基本設計資料を4月26日の特別委まで見せなかった。整備市民委員会へも28日にはじめて資料を見せたのだろう。「前倒し」などというなら納品されたらすぐに資料を配布するのが仕事上の義務だ
 そういう基本的なことをすべで無視して、両委員会の意見は聞かず、とにかく「前倒し」で急ぐ。自らが招聘した病院コンサルタントの提言(総事業費30億円での建て替え)には頬かむりを続けたまま、何の説明もなしに、総事業費62億円で実施設計を強行しようとしている。市民無視もはなはだしい。業者と何か約束ができているのではないか?
 30億円で専門家がやれるというのになぜ62億円もかけるのか、一度も市長は説明していない。少なくとも両委員会できちんと説明すべきだ。そして市民説明会を開くべきだ。わたしは、なぜ30億円でできるものが62億円もの巨費をかけるのか、具体的な理由が聞きたい

 市議会建て替え特別委と整備市民委員会にできることは、両委員会が共同して実施設計にストップをかけ、基本設計の見直しをすることだろう。自らに課せられた職務を誠実に正直に果たすだけでいい。それができないなら、委員の職を辞すべきだ。委員は名誉職ではないから、職務を果たせない者が委員でいていいはずがない。この場合、委員長の職にある者の責任が一番重い。まずは両方の委員長が共同して動くべきだ。


 今日、コメント欄にたつの市御津市立病院の建て替えに関する情報を寄せてくれた人がいるので紹介しよう。比較してみていただきたい。
 延床面積7900㎡、120ベッド、総事業費30億円
 
 これに対して、市立根室病院は
 延床面積13000㎡、135ベッド、総事業費62億円

*3月13日付け神戸新聞「御津病院建て替え計画 たつの市が完成予想図発表
 
http://www.kobe-np.co.jp/news/seiban/0002778793.shtml


#1013 基本設計にまつわる疑問:市立根室病院建て替え-086 Apr. 29, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

【市議会建て替え特別委と市民整備委員会での顛末】
 4月26日に開かれた建て替え特別委で、市長は突然明日27日が起債再申請の期限だからと、審議もせずに計画承認を迫った。特別委は職務を放棄してこれを認めてしまった。
 今日の新聞によれば、昨日(28日)の市立根室病院整備市民委員会でも市側は同様の対応をしたようだ。もちろん市民委員の中には怒っている者もいる。ならば審議拒否を貫くべきだろう。
 保育施設は外部へ委託すればすむことや135床で最初から計画すれば建築費はもっと切り詰められただろうとか、いろいろ意見は出たようだ。新聞記事については別途と採り上げ論評したい。

【構造に問題あり】
 さて、基本設計だが、概観図が示されただけではないのか?本田議員のブログに写真が載っている。概観を見て気がつくことは、病棟部分が出っ張っていることだ。構造上も問題があるし、横殴りの雪がそのでっぱりの部分に張り付けばあとで落ちる。通路や車の駐車スペースとしては不都合だし、40年もたつうちには、出っ張りの接合部が地震等で劣化が起きるだろう。断熱上もいい影響があるとは思えない。
 病棟が出っ張るのはベッドごとに窓を確保するには都合がよい。そうなっているのかどうか、特別委のメンバーや市民整備委員は確認したのだろうか?病室ごとのトイレの有無も、居住性から重要である。お風呂の有無もだ。
 30のブースも必要がない。適切な数に削るべきだ。

【免震構造はオーバースペック】
 地盤が強固なために免震構造は必要がないことは再三書いた。しかし、基本設計には免震構造となっているようだ。免震にしておきながら、でっぱりをつけた耐震上よろしくないデザインになっている。建てたときは問題ないかもしれないが、30年40年たつうちには問題が起きるだろう。
 免震構造は建築費を割高にする。出っ張りをしたのフロアまで延ばして地面に接地してしまえば、よほど強度が増す。基本設計は見直すべきだ。市側はかってに実施設計に入っているのではないか。基本設計段階で市民の意見を入れないと、とんでもなくコストのかかった大きな建物ができてしまい、市民負担は増す。
 素人目には、一方で耐震強度を弱めるようなデザインを取り入れ、他方では免震構造と取り入れるという設計思想に一貫性がない建物になっているようにみえる。
 コストを考慮した設計思想の一貫した耐震強度の高い構造にすべきだ。そこで浮いた分を外断熱の回せばいい。ランニングコストが安くなる。とくに療養型に変更したときには「臭い」の問題が出るから、頻繁に喚起して病室が寒くならないように外断熱は絶対要件だろう。基本設計に外断熱仕様は入っていないのではないか?きちんとチェックし、市民に情報を公開してもらいたい。

【情報の秘匿はなぜ繰り返される?】
 3月26日に基本設計資料を業者から受け取っておきながら、なぜ委員の全面公開しないのだろう?4月27日起債再申請の前日に特別委のメンバーに概観図を示し、口頭で説明しただけだ。市民整備委員会へも昨日(28日)にはじめて説明したようだ。
 市長がなぜこのように二つの委員会の委員へも情報を秘匿するのかさっぱり理由がわからない。自らが招聘した病院コンサルタントの提言(総事業費30億円での建て替え)の2倍以上の現行予算に固執して、なぜ建て替え事業を強行に推し進めるのだろう。

 一般的な話しだが、公共事業は業者との馴れ合いや癒着がよく噂される。わたしはそういうことも心配になってきた。市長の応援団の「オール根室」には建築業者が入っているのだろうか?
 62億円の総事業費は利権の塊になりかねない。競争入札といっても、ゼネコンは談合をして、本命が他社の入札書類まで準備する。お互い様だから、協力するようになっている。どこかのゼネコンが受注したとして、一部の工事は地元業者へ下請けに回す、そういう条件がつく場合もある。
 二つの委員会に審議の時間を与えず、これだけ恣意的な暴走を続けているのだから、疑念を払拭するために工事委託に関連する全情報を公開すべきだ。
 公の僕として、誠実に正直に仕事をするのが一番よい。病院建て替えの一連の動きはまるで正反対に見えてしまっている。

 システム開発費についても常識外の巨額、7億円もかけようとしている。病院事務局はシステム担当者を置いているが、2億円も投じたオーダリングシステムは概略仕様書すらまとめずに、業者へ丸投げした。この一事をとっても、コスト意識がゼロというしかない。きちんとやれば数千万円ですむ話だろう。総額7億円もきちんと基本手順どおりに仕事をすれば1億円でやれるに違いない。
 市民がだまっていれば、市長と病院事務局は何をやりだすかわからない。特別委も市民整備委員会もまるで在って無きがごとしだ。市民監視が必要ではないのか。健全なふるさとの市行政を取り戻すために、だれかオンブズマンをやってくれ。協力はする。

【実施設計をストップして基本設計を見直すべき】
 二つの委員会は急遽会議を招集し、基本設計案を見直し、仕様変更案を作って、それを添付して実施設計を業者へ依頼するのが筋だろう。
 一番いいのは、全部ご破算にして、成央小学校を花咲小学校へ統廃合し、成央小学校跡地へ建て替えることだ。
 市長と病院事務局が審議ができないスケジュールで承認を迫ったことに両委員会は怒りを表明し、基本設計の見直し作業に入るべきだ。
 ふるさとの医療の存亡がかかっている。委員はいま仕事をしなくていつやるのか?

 *チャンス到来!心配要らないよ、30億円でできるんだから。
 ・・・・4月29日午前10時40分、塩瀬総本家の饅頭を食べながら記す

 #1958 チグハグ:13.7億円の病院事業赤字と新しい病院の名称募集 June 3, 2012 
 
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 #1563 玄海原発説明会と建て替え市民整備委員会の相似性 Jun. 27, 2011
 
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 #1539 ランニングコストの低減と病院経営 :父よ許したまえ、彼らは・・・ Jun. 3, 2011 
 
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 #1234 地域医療改革の烽火(4):根室市議会 病院建て替え問題点 焦点 Oct. 10, 2010 
 
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 #1143 市立病院建て替え:建築費10億円カットの方法 Aug. 3, 2010 
 
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 #1091 免震構造と外断熱はどちらを優先すべきか Jun. 30, 2010 
 
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 #1057 「広報ねむろ6月号」を読む(2):病院建物仕様への疑問 Jun. 6, 2010
 
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 #1013 基本設計にまつわる疑問:市立根室病院建て替え-086 Apr. 29, 2010 
 
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 病院建物基本仕様検討作業への要望(1) #889 Feb.2, 2010 
 
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 根室人はほいどか?答えはノーだ #881 Jan.27, 2010 
 
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 杞憂(2)根室の地域医療の未来 #855 Jan.6, 2010 
 
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 将来、療養病床設置も #834 Dec.18, 2009 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18

 「市立病院建て替え 基本計画の課題続々」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-30

  7月25日blog#667『市立根室病院4~6月営業収益予実差異9660万円』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-25

 7月2日blog#634『病院建て替え基本計画案への7つの疑問』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-07-01-1

 2009年6月21日#619「定数削減と市立病院問題について(J&K対話)-(3)」
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-21

 2009年6月26日#625「建て替え必要なし33%、なぜ? 市立根室病院建て替えアンケート・ショック」 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-06-26 

 2009年5月27日#592「市立根室
病院建築仕様の前提条件」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-27

 2008年2月18日#094「市立根室病院改築」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-02-18

 2008年3月23日#147「2018年の根室の人口」
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23


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