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#1015 疑問だらけの医療情報システム開発予算:市立根室病院建て替え-088 Apr.30, 2010 [32. 市立根室病院建て替え]

 市議会「建て替え特別委」では医療情報システム5億円をいったん棚上げし別検討課題としたが、翌日4月27日の北海道新聞にはその旨の報道はなかった。本田議員の3/26ブログから市側の説明内容を引用すると次のようになっている。

「医療情報システムについては5億円を0円とし、今後、庁内での検討を踏まえて再度計画に組み込む」

 その結果、減少分と棚上げのシステム分を合わせて10億円弱減り、建設事業費分は52億円になったという説明だったようだ。
 28日の整備市民委員会ではこのことを説明したのだろうか?北海道新聞には医療情報システム・ペンディングの件は載っていなかった。紙面の字数制限のためにカットしたのだろうか?

 医療情報システムについては、6年前の90億円のニホロ移転案のときに5億円とされていた。2年前に病院はそのうちの一部であるオーダリングシステムを2億円で導入した。だから、予定通りでも3億円のはずだが、現行計画には5億円で載っている。つまり、市民が知らない間に5億円から7億円に増えているということだ。
 このような重大な計画変更について市側は市議会で説明をしたことがあるのだろうか?具体的な説明をしてもらいたい。

 そもそも、売上25億円の規模で5億円ものシステム開発費は前代未聞の投資である。ある会社が東証Ⅱ部へ上場する際に統合会計情報システムを開発するのに5億円をかけた。84年から86年のことである。上場を担当していた幹事証券会社は東証Ⅱ部への上場へこれほどのお金をかけた会社は前例がないと言っていた。その会社の当時の売上規模は約300億円、利益は30億円である。市立病院とは比較にならない。事業規模に比して、いかにとんでもない金額の投資であるかわかるだろう
 こんなにかける必要もないし、かかるはずもない。通常の手続き・作業がまったくなされず、業者へ丸投げされたのだろうとわたしは推測する。調べれば事実がすぐに明らかになるだろう。病院事務局にはシステム担当者もいるのだから、概略仕様書をまとめて業者にコンペをやらせれば1億円程度で十分間に合う代物だし、そういう予算の範囲にスペックをまとめなければならない。それが仕事というものだ。御用聞きのごとくにドクターやスタッフの意見を寄せ集めて試行錯誤をすれば途方もない金額を使うことになる。
(実務設計の巧拙(つまりは経営改善の程度)は担当者の能力に依存するが、なかなかすぐれた担当者がいないのが常である。なにしろ、システムの専門知識をもち、院内のさまざまな実務に関しても精通しており、院内の職種についてそれぞれにある程度の専門的な知識を有し、スタッフと調整までできないと実務設計はできない。「相手の言語」が理解できないと調整などできるはずがない。凡庸なシステム屋には届かないレベルの仕事が実務設計である。だから、担当者は院内の実務やさまざまなスタッフの専門分野についてもある程度の知識が要求される。3年くらいは死に物狂いの学習が要求される。医療情報システムは権限の小さい担当者の責任というよりは、それを管理すべき立場にある事務長の責任が大きい。病院事務長の職務は昔は事業赤字の補填のために一般会計からの繰り入れ予算を持ってくることがメインだった。だが、とっくにそういう時代は終わっている。病院事務長職はしっかりした専門知識をもち経営と院内の仕事を管理しなければ、病院事業にそして市財政に数億円、数十億円の損害を与えうる役割の重い職務になっている。)

 仕事の仕方と発注の仕方に大きな問題があるように見えるので、市議会は医療情報システムについて監査あるいは調査委員会の設置を要求すべきだ。このまま同じ方式でやったら、7倍もの予算の7億円はそのまま使われてしまう。
 要点は三つ。
 ①概略仕様書を作ったのか否か
 ②コンペをしたのか否か
 ③市議会特別委と整備市民委員会へ医療情報システム予算2億円増額理由の説明をいつしたのか

 至急に調査をして当該文書があるなら公開してもらいたい。概略仕様書を作る際には、実務の見直しがなされる。カルテ管理一つとってもそうだ。集中管理するのとしないのでは、外来への看護師配置にまで影響するし、もちろんブースの形・面積・数にも影響を与える。実務設計の巧拙次第で現場の生産性や仕事の精度が大幅に異なってくるのが常である。システム開発は経営改善そのものだ。そして、基本設計には不可欠の情報ばかりである。病院事務局はこの5年間の間にそういうことをやったのか?昨日や今日のことではない。
 概略仕様書すら作成していなければ、病院事務局は職務放棄に等しい。この数年の担当者と事務長は職務怠慢によって根室市に数億円の損害を与えたことになる。

 病院建設特別委員会と整備市民委員会は実施計画をストップし、基本設計及び総事業費全体を箇条書きにしてチェックリストを作成し、ひとつひとつ点検すべきだ。それが両委員会の仕事であり、メンバーに課せられた責任だ。
 (たとえば、機器の購入予定リストが委員にすら開示されていない。明細リストがあればチェックできる。ここにもきっと「不都合な真実」が隠されている。定価と比べてみればわかる、医療機器に関しては30%~50%引きが常識だろう。)

 議会や特別委で問題になった論点がどのように基本設計に反映されたのかについても説明がない。基本設計にあたりどのような変更を盛り込んで実施設計をするのかについてもまったく説明がない。市側はどうして情報を秘匿し、こうも説明をしようとしないのか?基本設計からの変更点の指示なしに実施設計がやれるはずがない。建設事業費52億円の説明があったということは、病院事務局は業者と具体的な話しをしているということだろう。ところが、その内容を文書でも口頭でも明らかにしていない。再度言う、なぜこうも情報を隠すのか?情報の公表によほど不都合があるに違いないと思わざるを得ないではないか?
 設計「監理料」を含んでいなければ9000万円の実施設計自体もわたしには巨額であるようにみえる。市議会はシステムと建築に専門知識のある市民に手伝ってもらって、市側の計画案をチェックすべきだ。

  多少の好い加減さはあったほうがいい。それはものごとをスムーズに進める潤滑剤だろう。だが、大きな杜撰さは見過ごしてはいけない。これは杜撰を通り越している。常識的に考えて、何の意図もなく2倍の62億円もの巨費を投ずるわけがないと考えるのが自然だろう。そうでないなら市長は特別委、整備市民委員会、および時間に制限をつけない市民説明会を開いて、その各々で具体的に説明すべきだ。

 こういう不正直で杜撰な仕事を見過ごしていたらふるさとの町はいつまでたっても自立心と活気を取り戻せない

 仕事は誠実に正直にやるべきだ。日本の職人は仕事の技術を日々練磨する。事務職だってプロなら事務の職人である。経営を管理するのも同じだ。経営管理の職人なら、赤字の事業も黒字になるように渾身の仕事をすべきだ。一気に黒字が無理なら、とりあえず赤字を半分に減らすような仕事をすべきだ。
 どのような仕事も、その職について最初の三年間が大事だ。この期間に渾身の努力ができた人間は、40代になってその道で一角の職人として認められる。
 病院建て替えにまつわる人々の仕事ぶりを見ていると、そういう人がほとんどいない。惨憺たる状況だ。

*医療情報システムについての病院事務局の説明は本田市議の3/26付けのブログにある。かれは特別委での説明内容を正直に書いている。
  http://nimuoro.typepad.jp/honda/2010/04/post-19f8.html

 彼は医事課長職にあったから、現在の市議としての立場の違いに現場と板ばさみ、思い悩むことはあるだろう。思い悩みながらも現在の市議としての職務に誠実に取り組む、こういう市議が増えてくれると根室の町もずいぶんとよくなると思う。
(教育問題に関してだけは、小学生や中学生をお子さんに持つ市議が増えてくれないと現状の問題点がぴんとこないのではないだろうか。市議の年齢層が偏っていると心配するコメントが数日前にあった。発想が若くて、面白い意見なので、そのうちに採り上げたい。団塊世代にはない市政改革への発想である。案外現実的で優れものかもしれない。ご本人が具体的な続編をコメント欄に書いてくれると楽しいのだが・・・まずはわたしの方がコメントを本分で採り上げよう。その後のことはその後で考えればいい)


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