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#4436 監査人の責任:連合岩手1億円使い込み Dec. 20, 2020 [8. 時事評論]

 連合岩手で1億円の使い込み事件があった。
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 今年9月に約1億円の使途不明金が発覚した連合岩手(鈴木圭会長代行)は19日、盛岡市内で記者会見を開き、第三者委員会による検証の結果、不明金は死亡した会計担当の女性職員の不正行為によるものだったと発表した。
 調査報告書などによると、女性職員は約30年間、ほとんど1人で会計事務を担当。不明金は今年9月、内部会計監査を前に女性が急死したことを受けて発覚した。女性職員の家族に聞き取りしたところ、家族で頻繁に上京して遊んだり、外車やブランド品を買ったりしていたことがわかった。
 また、組織の危機管理意識の低さや監査の杜撰(ずさん)さについても指摘し、外部監査の導入など再発防止策も提言した。

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 根室でも漁船保険組合や落石組合で同様の事件が過去にあった。何年にもわたって不正が継続して発覚するから、被害額が大きくなる。弊ブログで何度か取り上げているから、検索ボックスで関連記事を検索できる。
 こういう事件で驚くのは、現金の出し入れと帳簿記帳に内部牽制がないということと監査人がいても、帳簿残高と現金と通帳残高の確認すらしていないということ。監査人がメクラ判を押している。
 監査人は監査業務に対して責任があるから、年に2回は現金在高と預金通帳残高が帳簿残高を一致していることを確認しなかればならない。突合作業を月に一度やれば、そもそも不正をする気が起きないだろう。不正をやった本人が悪いことは当然だが、ルーズな監査が犯罪を引き起こしていることも否めぬ。
 監査の基本すら知らぬ者に監査人を任せてはいけない。監査人を引き受けたら、監査の専門書を1冊は読むべきだ。読む学力のないものは監査人を引き受けてはならない。

 基本的な監査業務すら怠って、使い込みが発生したときは、監査人に損害賠償請求をしたらよろしい。お金が数百万以上あるときは、監査人を委嘱するときに、「監査業務の基本を怠り不正が発生したときには損害賠償義務を負う」という、契約書を取り交わすべきだ

 公認会計士は人員過剰になっているから、仕事のない公認会計士が少なくない、そういう時代だ。だから監査業務を安い報酬で外部委託すればよい。契約でチェック範囲を明瞭にしておけば、それなりの金額で契約できる



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#4435 ふるさと納税制度の消滅 Dec. 20,2020 [8. 時事評論]

 根室の魚屋さんは師走というのに四日間も店を占めているところがある。もちろん稼ぎ時だからフル回転だ。根室のお客さんを相手にできないほどふるさと納税の商品の仕入と発送が忙しい。商売繁盛、仕入れて送るだけだから新型コロナも関係なしだ。しかし、販路はネット業者に握られている。
 根室の主産物の一つに昆布がある。昆布は全漁連が買い上げて全国に販売している。販路は全漁連が握っているから、安く買いたたかれるが、何十年たっても自前で販路を開拓しようとしない。沖縄が昆布の消費量が大きい、沖縄へ行って昆布の小売価格を見てきたらいい。
 根室市の水産業者は補助金頼りだ、自前でリスクをとってやろうとしない。ホタテの養殖事業も全額補助金で始めたばかりだ。サロマ漁協は50年も前にちゃんと事業化して独立独歩でやっている。東京の人形町の魚屋さんを見てきたらいい。眼玉が飛び出るような値段で、冷蔵ショーケースにケーキを並べるがごとく魚の切り身の粕漬や味噌漬けがきれいに並べられて売られている。加工を自前でやり、ネットで販売する網元はいないのかね。東京には居酒屋も水産業者が経営しているお店がいくつもあるよ、安くて新鮮だからとっても繁盛してる。共同でやったっていいんだ。そういうことをやるには、優良な人材が必要になる。そういう人材が夢を抱いて働きたくなるような地場企業が育ってこないといけない。経営改善の仕方がわからない人はわたしのところへ聞きに来たらいい、教えてあげられます。企業の上場はあたりまえのことを当たり前にやるだけですから、中小企業も学べるところが盛りだくさん。3社4回そういう仕事にタッチしてます。たぶん北海道でそんな経験のあるのはわたしだけ、きっと貴重品です。(笑)
 建設業者はどうか?最大手の会社を見ると、国の補助金と根室市の予算に依存している。何かに過度に依存しているとどんな企業でも脆(もろ)くなる。

 唯一の例外がある。根室の外に展開して成功した企業は回転ずしの「花まる」だけである。根室の地生えの企業で戦後の75年間で1社のみ。花まる創業者の清水さんは京セラの稲森和夫に教えを請いに行ったと聞いている。気質に違和感を感じているのか、根室の経済団体には属したことがないようだ。

 こういう根室の偏狭な気質はどこからきているのか?

 前置きはこれくらいにしよう。ふるさと納税制度は2006年3月16日の日経新聞のコラムが取り上げたのが端緒である。半年後の10月に西川一誠福井県知事が古里寄付金控除の提言を主張し、2007年5月に管総務大臣が導入を表明した。2014年に総務省自治税務局長の平嶋章英氏が問題点を挙げ反対していたが、翌年7月に自治大学へ転出となった。異論を唱える官僚を官房長官の菅氏が排除したのである、異論を唱える官僚は排除するというのが菅総理大臣の基本的な政治姿勢だ。異論を唱えるものを排除する総理大臣は、同じだけの力が反作用として自分に働くから、そう長くない時期に排除される。それがモノの道理だ。
 ふるさと納税は脱税の合法化であり、マイナスになっている自治体は非常に困っている。そこに住民がいるのに住んでいる自治体に住民材を支払っていない。しかし、市民として行政サービスは受けている。こんな狂った制度は菅氏が権力の座から追われたら、再検討がなされるだろう。次の政権がまともなら消滅する可能性がある。

 そうなったときに、自前の販路をもたない企業は弱い。四百年に一度の地震よりももっと確度が高いから、そろそろ準備したほうがよさそうだ。

 ところで地生え企業の盛んな諏訪と比べてみたら根室の特色が浮かび上がる。

 根室の地生えの企業を育てる方向へ、市政が舵を切る必要がある。補助金依存体質を強化を主導しているのは根室市政である。市長が何度変わっても根室市政は変わらぬ。長期的に根室の町を衰退へ導く愚かな政策を続けている。市政ばかりが原因ではない、そこにもたれかかるだけで、経営能力のない地元企業にも問題がある。問題があったり、土台が悪けりゃ造り変えればいいだけのこと。時間をかけたら変われる。変わる意志がないと変われないのは、やる気がまったくない生徒の学力を伸ばすことが困難なのとよく似ている。
 根室の企業経営者は中高生の時代に勉強しなかった者が多いのではないか?中高生のときに学ぶ姿勢を身に着けた者は、大人になっても学ぶことをやめない。
 根室は町づくりの土台である教育、なかんずく子どもたちの学力を軽視し続けている。そろそろ気がつかないといけないのではないかね。

<余談:地生えの企業の盛んな町>
 諏訪市と言っても道産子にはなじみがない。諏訪大社や諏訪湖、諏訪湖の御神渡り行事は知っているだろう。諏訪には地生え企業が圧倒的に多い。この地域では100人に一人が経営者である。
「諏訪市の総人口. 49,829人.」「諏訪地域の域内人口は194,439人2019年時点)」

 『諏訪式』という本があるが、その紹介文の載っているサイトを見つけた。そこから引用する。
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 驚くことに、この諏訪地域には2000社を超える「ものづくり企業」が集まっているという。「東洋のスイス」と呼ばれるように、その多くは精密機械の会社だ。地域の人口は約20万人なので、100人にひとりが経営者ということになる。
 時計の諏訪精工舎(現セイコーエプソン)、オルゴールの三協精機(現日本電産サンキョー)、カメラや光学機器のヤシカ(1983年、京セラに吸収合併)、チノン、日東光学(現nittoh)、小型ポンプの荻原製作所、バルブの東洋バルブ、キッツといった大企業が、この地に生まれた。
 精密機器だけではない。ハリウッド化粧品、ヨドバシカメラ、すかいらーく、ポテトチップスの湖池屋なども諏訪にルーツがあるし、岩波書店を創業した岩波茂雄、歌人の島木赤彦、作家の新田次郎、童画家の武井武雄といった著名な出版人も輩出している。

多くの仕事や人材がここから生まれている。どうやら諏訪は、ただならぬ場所らしい。その秘密に迫ったのがこの『諏訪式。』である。

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諏訪式。

諏訪式。

  • 作者: 小倉 美惠子
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2020/09/26
  • メディア: 単行本



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