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推移をみながら慎重に・・・ [82.言葉のアンテナ]

  2,008年6月26日   ebisu-blog#211 
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 東京は最低気温が20度を超えているが、根室の最低気温はここ数日5度~6度である。寒い日が続いている。朝夕の暖房が欠かせない。

 言葉のアンテナというカテゴリーでは二つ目のトピックス。採りあげるのは、「修学旅行生への出前講座 市長、継続の考え示す」と言うタイトルの記事(北海道新聞6月26日朝刊)の末尾の方に載った後期高齢者医療制度についての市長発言である。
 「高本氏が同制度の廃止を求めるべきだと迫ったのに対し、長谷川市長は「国に改善を要請しており、推移をみながら慎重に対応したいと述べた。一般質問はこの日で終了。26日は正副議長と、各派代表らが道議会道州制・地方分権特別委員会を傍聴するため休会し、27日に再会する」

 さて、次に採りあげるのはいささか旧聞に属するが、昭和59年に出版された井上ひさし著『私家版 日本語文法』(新潮文庫)である。井上さんは日本語に形容詞が少ないことの理由を考え、枕詞についてある結論に至る。
「わたしは形容詞が少なかったのは、「互ひに心持がよくわかって居た」からではなく、たがいに腹の底が知れないからこそではなかったか、という疑いに突き当たったのだが、そういう疑問を抱いては間違いだろうか。これもまた暴論の謗りをまぬがれないが、たとえば枕詞はその1例証ではないのか。塩舟はいつも帆を並べてくるとは限らないのに〈しほぶねの〉は常に〈並べ〉を修飾し、形容する。滝の瀬にも淀んだところがあるにちがいないのに〈たきつせの〉は必ず〈早し〉にかかる。・・・ある事物を就職し形容する言い方が常に同一でなくてはならない、このような約束事が重んじられ、しかもその数が850にも及ぶというのは、人びとの心持がぴたりと合っていたからではなくて、互いに相手の腹の底がわからず、それでは不安でたまらないので、そういう約束を決め、このときはこう、あのときはああとおもいこむようにしたのではないか。そしてこういう下地ができあがれば、もう形容詞はさほど多くなくてもことは済む―。事情は今でも同じで、大事件が出来すれば、ますあちこちでおずおずとものを言い、互いの胸の内が読めたところで、わーっと同じ事を叫びたてるわたしたちに、このやり方はそっくり受け継がれているもののようである。」

 この作家はよく物事を自分の目で見て、自分の頭で考えて発言し、人の意見に迎合したり、付和雷同することがないようだ。誤解があってはいけないので受験生諸君へ一言付け加えておきたい。この『日本語文法』は受験参考書としては役に立たないが、教養書としては一読に値する。受験勉強に飽きたときや、暇があったら読みたまえ。文庫本だからたったの438円で購入できる。 

 ところで、引用した記事中にもあるように、根室市議会は休会するという。市長や正副議長、各会派代表がどう議会の傍聴に行くらしい。根室支庁廃止に市議全員が反対しているという。北海道が赤字再建団体に転落しないために、道財政改革の一環として支庁統廃合を言い出している。こういう事情を踏まえ、根室支庁の振興局への格下げも致し方なしと思う市民は少なくないと思われる。こうしてブログを書いている私も仕方がないと考える一人である。

 釧路市議会は定員を30人に減らしたようだ。人口19万人で30人である。根室市議会は人口3万人で20人。人口比で見れば釧路の4倍の市議会議員がいる。
 根室支庁廃止にみるように意見が違わないのなら、市議がたくさんいる必要はない。市財政逼迫の折から10人で充分だろう。
 厳しい根室の財政事情を踏まえものを言いたい。自分の頭で物事を考え、多様な意見が議会で戦わされてこそ市議会は意味がある。付和雷同なら、市議定数は半分でよい。

 支庁統合案に自民党は党議拘束をかけたようだ。財政再建案のひとつだから重用政策である。地元選出の松浦宗信道議は党議拘束をはねつけても自分の主張を貫くだろうか。意見は違ってよい。大事な30歳以降にしっかりした仕事の経験がなさそう(この点は民主党の仲野ひろ子国会議員も同じ)なのが不安であるが、信念を貫くことができたら成長を期待して次の選挙でわたしはもう一度松浦君へ投票しよう。根室からひとりぐらい確固たる信念をもった政治家が現れて欲しいと一縷の望みを抱きながら。

 前回書いた根室支庁統廃合案へのブログであるが、支庁統合案への賛成理由を道財政立て直しの観点から具体的に書いてあるので再読していただければ幸いである。北海道が財政再建団体になったときのことを想像してほしい。夕張市役所や小中学校、病院で起きたことが北海道庁や道立高校、道立病院で起きる。そうした危機的事態の到来を回避するための政策の一つが支庁統廃合案である。
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-05-31