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気になる言葉づかい [82.言葉のアンテナ]

  2,008年6月24日   ebisu-blog#210 
  総閲覧数: 18,061/210 days (6月24日12時50分) 

 お昼のテレビニュースで米国が北朝鮮のテロ指定解除をするというニュースが流れた。町村官房長官は米国がまもなく指定解除をするという見通しを述べた。
 続けて高村外相は直ちに指定解除意味するものではないと発言し、核申告の内容をみてから慎重に解除すべきだと述べた。町村官房長官とは見解が違う。
 米国は26日にも議会に指定解除を報告すると明確に発言しているのだから高村の説明は希望的観測に基づく主観で国民に対する正直な説明にはなっていない。そして高村外相は「テロ指定解除は慎重にすべきだと(米国ライス国務長官に)申し上げる」と発言している。
 この「申し上げる」という言葉づかいが引っ掛かった。「言う」の謙譲語である。自分の方を卑下して相手を持ち上げる言葉づかいである。海外からも、国内からも、米国が宗主国かのように日本は何でも米国に追従すると思われている。安全保障会議の常任理事国入りも米国の票を1票増やすだけと揶揄される有様である。
 米国に対して一国の外相が謙譲語を使うのは常識がなさ過ぎる。高村自身、小泉元首相の米国追従政策を批判*していた時期がある。自分が外相になれば言うことが違うのか。節操のかけらもない軽い人物と思われても仕方がないだろう。
 一国の外相という立場にあるものは言葉づかいに常に気を配るべきだ。残念ながら高村外相には日本国民に対して「ご説明申し上げる」というへりくだった気持ちはないようだ。米国に対して堂々と苦言を呈する気概もない。いったい彼はどこの国の外相か。

 高村外相ほどではないにしても、人は多かれ少なかれ社会の中で何らかの役割をもって暮らしている。その役割にふさわしい言葉づかいを心がけたいものである。「他人の振り見て我が振りなおせ」、「以て他山の石となす」、他人事と思ってはいけないのだろう、あなたも私も。

*2005年11月28日「小泉首相が最近、日米首脳会談で米国に偏向された外交政策路線を露骨に現した」ことへの高村氏のコメントが下のアドレスに載っている。その論旨は対米一辺倒は困るので、アジア各国にも多少目を向けておくべきだというもので、いかなる場合でも対米協調を基本とするところは小泉元首相と同じである。
 アジアへの目配せどころか、日本国民の拉致問題への怒りすら米国の方針転換にうろたえ忘れてしまうていたらく。米国が拉致問題を置き去りにしてしまえば、慌てて日本の利害は引っ込め、米国追従してしまう。品格もへったくれもあったものではない。拉致問題を解決しない限りテロ国家の指定解除はないと言っていた手前、どうしてよいのかわからず慌てて「申し上げる」なんて言葉をつかってしまった。そのような心の動揺が思わざるところで本音を垣間見せてしまったと言っては意地が悪すぎるかな?
http://www.geocities.jp/savejapan2000/korea/k467.html

寒い、6月24日21時30分、気温は5.2度、雨が降っている。