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岩手・宮城内陸地震&四川大地震 [B2. トピックス]

  2,008年6月15日   ebisu-blog#203 
  総閲覧数: 16,786/201 days (6月15日21時50分) 

 6月15日の北海道新聞朝刊から
岩手・宮城地震
 旅館の7人下敷き
  集落の孤立相次ぐ
 岩手県欧州市と宮城県栗原市で14日午前、震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震は、午後も余震が続いた。領しないで新たに4人の死亡が確認され、使者は計6人になった。共同通信の集計で重軽傷は190人を超えた。また土砂崩れで倒壊した旅館の下敷きになるなどして11人が行方不明となり、孤立する施設や集落も相次いだ。
・・・震度6強は昨年の新潟県中越沖地震以来。マグニチュード7を超える内陸部直下地震は過去50年で、1995年の阪神大震災と2,000年の鳥取県西部地震に続き三回目という。

 山間部で道路がずたずたになっている写真が2枚掲載されている。震源地付近の山間部は震度7を超えたのだろう。直下型地震の恐ろしさが崩落した山と道路の残骸に現れている。
 根室の地震は震源地が東沖合い100~200㎞の場合が多い。幸い直下型の地震は体験がない。震源が陸地に近づくと被害は比べ物にならないようだ。
 根室沖はユーラシアプレートと太平洋プレートの間に割り込むように細長く北米プレートが入り込んでいる。大きなプレート3枚がぶつかり合っているようだ。それだけ蓄積されるエネルギーが大きいということだろう。だから大地震は東沖合いのプレートがぶつかり合ったところで発生する。つまり根室半島を震源とする大地震の可能性は著しく低い。まあ、その上に住んでいるのだから、低くあって欲しいという希望的観測も混じっていはいる。

 直下型地震はマグニチュードが小さくても震源の周辺の被害は小さくない。関東大震災は小田原付近が震源地だった。そのとき横浜市内で出た瓦礫を海岸に投棄して、埋立地ができた。横浜中華街は関東大震災の産物でもある。東京では地震で起きた火災への反省から都市計画が立案される。東京空襲よって焼け野原となった東京を復興させるために、昭和通りなどの100m幅の道路ができる。関東大震災後に作られた都市計画が戦後の復興時に生かされた。
 理想的な都市デザインはやっておくべきものだ。いつかそれを実施する日が来る。その日が来てからデザインをしたのでは間に合わない。地震対策も含めて、仕事は準備の巧拙が結果を大きく左右する。わが郷土根室にはそれ(a grand design)がない
 
 四川大地震では死者数が8万人に近づいていたところで発表がなくなった。焦点は地震湖の水抜きへと移った。一番大きい地震湖の水抜きに成功したという報道があったが、埋まってしまって行方不明の放射性物質や核爆弾などの研究機関の後始末については報道がなくなった。軍事機密だろうから市民には知らされないのだろう。水抜き作業でいくつか水没した地域があるようだ。まだ30個近く地震湖が残っている。雨季が近づいている。被害が最小限となるように今後の水抜き作業の成功を祈りたい。

 都江堰聚源鎮では1700人の生徒数を有する中学校が崩落して900人が生き埋めになったが、3日で救助を打ち切った。学校だけでも6000箇所以上が崩壊しているのだから死者数は中国の公式発表の10倍あるかもしれない。
 中国国内の情報はなかなか出てこない。取材も困難なようだ。教材に使っている英字新聞記事に情報統制の断面が載っていた。5月29日付けのジャパンタイムスである。

"Foreign media given rare acces in Chana"
 There were signs last week that some of the old cencership and intimidation tactics might be creeping back. In Juyuan, a town where a school collasped and killed most of its 900 students, a woman complained about local corruption to an AP reporter while she walked around the school's rubble holding a picture of her dead son.
   Anothe woman approached and began taking pictures . Identifying herself only as a "volunteer," she kept whispering to the distraught mother, "Don't criticize the goverment."
(《取材活動がママならぬ中国》 検閲や脅迫という従来どおりの取材制限の兆候は先週からあった。ここ都江堰市聚源鎮では学校建物の倒壊で900人の中学生が死んでいる。倒壊によって死んでしまった息子の写真をもって現場周辺をうろつきながらAPの記者に地方役人や建築業者の汚職について一人の女性が不満を訴えていた。すると、別の女性が近づいてきて写真を撮り始めた。ボランティアと名乗ったその人は、現場周辺をうろつく先ほどの母親に”政府批判を口にするな”と何度も小声で警告していた。)

 テレビ報道によれば、倒壊によって子供を亡くした親たちが学校建物建築に関する汚職や手抜き工事の責任追及のために訴え出ようとしたが、裁判所は提訴をはねつけている。親たちは警察に蹴散らされた。中国の民主化はまだまだ遠くにあるようだ。北京オリンピックが開かれても、胡錦濤氏が来日しニコニコしながら何を語っても、共産主義中国の実態はそうは変わっていない。
  海外メディアを受け入れただけでも進歩と受け止めてよいものだろうか。中国政府側に地震を公表し、海外メディアを受け入れざるを得ない国内政治状況があると理解すべきかもしれない。チベット問題でもめている折、チベット人が多く住む地域が震源地で被害が大きかった。一生懸命にやっていますと宣伝しなければ乗り切れない政治状況がある、そのように
中国指導部が判断したのだろう。暴動が起きて被災地の住民を人民解放軍が鎮圧することになれば、海外からの非難は避けられない。オリンピック参加を取りやめる国が続出しただろう。
 毛沢東や胡錦濤の近衛兵が「人民解放軍」という名称を戴いており、労働者の人権がないがしろにされる「共産主義」、なんと言うパラドックスだろう。ロシアや北朝鮮にも共通している。チェゲバラのいたキューバだけが少し違うようだが、マルクスは泉下で歯軋りし、「こんなはずではなかった」と身を震わせながら自らの著書『共産党宣言』を引きちぎっているに違いない。


塾の利用の仕方⇒根室と東京の比較 [57. 塾長の教育論]

  2,008年6月15日   ebisu-blog#202 
  総閲覧数: 16,750/201 days (6月15日12時50分) 

 今日は日曜日。じっくりブログを書くことのできる日だ。どのような塾の利用の仕方をすれば子供の成績が上がるのかがわからないという保護者は多いだろう。その点に絞って考えを述べてみたい。

 教育は教える側と学ぶ生徒と保護者が関係している。それゆえ、私塾教育には三者相互の関わりの中で地域の特色が出る。根室の私塾教育の特色は何であるのか、東京と比較しながら考えてみたい。
 首都圏と比較することが、なぜ根室の生徒たちの学力が低いのか、そしてどうすれば根室の子供たちの学力を引き揚げられるのかについてもひとつのヒントにはなる。だが、すべてではない。比較対象として採り上げるのは進学塾である。

 根室には補習塾が多い。あなたのお子さんが塾に通っているとして、中間テスト対策や期末テスト対策をやっており、かつ、授業速度が学校と同じ程度なら補習塾だと思ってよい。補習塾と進学塾では大学受験時には大変な差がついてしまう。理由は後で明らかになる。進学塾は授業速度が大きい。

 東京の生徒たちは「有名私立中学」受験を契機に進学塾に通い始める。小学校4年生からが標準的な塾利用の仕方である。ここからが本格的な勉強のスタートといってよい。小学生の30%程度が中学受験のために進学塾へ通い始める。
 個別指導塾では予習中心の授業をやる。生徒たちはそれぞれの能力に合わせてす2~5ページ程度予習してくる。問題集を自力で解いてきて、わからないところを質問する。塾教師は質問に応え、授業を進める。生徒は塾でやったところでわかりにくかった問題にマークをつけて自宅で復習し、さらに数ページ予習してくる。そして翌週、予習して理解が不確かなところを質問する。こうした授業を繰り返す。
 予習中心の授業になるので、たとえば問題集が200ページあっても48週で割ると、一回あたり平均4ページ消化すれば好いようだが、200ページの問題集だと実際には6ページくらいの速度で進む。残りの15週は標準教材にはない難問題を解かせ、数学年上の解法を教えてしまう。実質的に上の学年の内容を教えてしまう。あるいは早く学習を終えて、上の学年の教材へと進ませる。中学受験ではたとえば算数は分野によっては中学2年程度の範囲までやっておいたほうが解法を単純化できたり、高速の解法を学習できるからだ。難問題を集めて2年程度上級の解法を教えてしまうか、切り上げて学年が上の教材に取り組ませるかは、塾や担当教師の判断である。

 東京の子供たちは、中学受験を契機に小学生の内に予習をする習慣が身につく。健全な学習習慣は成長期の子供の頭脳を明晰なものに磨き上げる。脳を発達を促進するためには成長期に適度な負荷をかけてやるべきである。健全な学習習慣と速度の速い学習による適度な負荷の二つがそろうと、子供の柔らかい脳は急成長していく。いわゆる「頭のよい子」になる(もちろん何もしなくても歴然と成績の良い天才的な頭脳の持ち主もまれにいるが、それゆえ危うい。切れすぎる脳は壊れやすいという一面ももっている)。
 首都圏では20%程度が私立の中高一貫校(進学校)へ通うが、大半が中学受験後も進学塾へ通っている。こうして成績の良い生徒たちが、進学塾で速い速度で学習し、高校2年の夏休み前に受験科目の学習を終える。後は1年半受験科目の勉強に専念することになる。
 高校生が通う大手進学塾では予習してくることを前提で速度の速い授業を行っている。たとえば駿台予備校の高校生対象の授業は集団授業でも予習しておかないと授業についていけない。予習しない生徒は高い授業料を払っても何の効果もない。授業についていけなくなり脱落する。

 根室の生徒で中学生で予習をしっかりできる生徒は少ない。10%程度ではないだろうか。高校の授業は内容がたくさんあるので予習なしにはついていけない。ここにいたってようやく予習中心に学習する生徒がでてくる。根高普通科で20~30%程度の生徒が予習中心に学習していると推測する。予習への切り替えが高校生では大学受験には遅すぎる。一部の例外を除いて高校ですでに手遅れの状態が根室の実情である。それが進学実績に現れている。
 商業科や事務情報科では予習中心に勉強している生徒は10%以下ではないだろうか。根室西高でも1学年に数名は予習中心で学習し始める生徒がいる。あきらめたら終わりである。どんな環境でも予習中心の勉強の重要性に気がついたら、そこからはじめればいい。学校を卒業しても、社会人でも自分の仕事に関係する学習を坦々と続ける人をそうでない人はわずか5年で大きな差がつくだろう。勤労社会人としての生活は40年前後ある。その差はさらに大きなものとなってその人の人生を左右するものとなるだろう。

 もちろん小学校や中学校でも予習してくる生徒はいる。だが、稀だ。例外である。そういう生徒は学年トップクラスの成績がとれる。つまり学年トップクラスは健全な学習習慣さえあれば特別頭がよくなくてもなれる。平均点を取っている生徒と頭のつくりは大して変わらない。決定的な差は学習習慣である。

 小学校で自宅学習のない生徒が中学生になって予習してくることはほとんどない。学校生活で6年間以上、自宅学習のない悪い学習習慣を身につけてしまった子供を変えることは難しい手を打つのが遅くなればなるほど習慣は固定化して、性格にまでなってしまう。“勉強しない性格”ができてしまう。ここまでこじれてしまうと、1年かけても3人の内1人しか変えられない。中学生になってからでは、悪習慣を棄て、健全な学習習慣に切り替えることがこれほどまでに困難となってしまう。

 塾と家庭が手を組まないとこのような悪しき生活習慣を一掃できない。大人が煙草や酒をやめられないのと同じである。それどころではない。パチンコと同様の効果をもつ「ゲーム」がある。子供の脳は柔軟だから大人と違って簡単にゲーム脳の鋳型ができてしまう。副作用の出方は、個人差が大きいが、子供たちはそのような危険な環境の中で育っている。この辺りが昔と事情が違う。

 ここまで来ればもうおわかりだろう。子供の成績を上げたければ自宅で予習する習慣を小学校低学年のうちにつけよということだ。学校生活を始めると同時に健全な家庭学習習慣を育むこと健全な学習習慣は一生の宝である
 塾へ通って、都会で勉強する子達と同じくらいに成績を上げたければ、健全な学習習慣を育むことだ。そのポイントは小学校低学年にある。学校生活を始めると同時に予習する学習習慣をつけてしまえばよい。父親か母親のどちらかが子供の教育を自らやることだ。たった3年間のことである。時間を惜しんだら子供は小学校低学年で健全な学習習慣を身につけることができない。
 毎日やることの繰り返しが習慣となる小学校低学年で漢字や計算問題を作って一緒に遊んでやればいい。毎日毎日繰り返して、褒めてやればいい。低学年の3年間だけ親が努力する。そのような簡単なことで子供たちの健全な学習習慣は自然に育まれる

 小学校低学年で健全な学習習慣が身についた子供は心配いらない。ほうっておいても大丈夫である。塾は予習中心で学習できるところを選べばよい。学習速度が他の生徒よりも速くなるから、丁寧に質問に応え個別指導に対応できる塾が良い

 根室高校のホームページにある2008年度の進学実績を見る限り、根室高校普通科のトップクラスは代ゼミの偏差値60(進研ゼミでは75程度だろうか)を超えるもの、すなわち上位16%に届くものが一人もいないようだ。根室の子供たちの急速な学力低下は進学実績にも現れだした。いま、中学生の学力が一段と低下している。根室高校の進学実績は今後さらに悪化する可能性が大である。学校や塾の体制にも改善すべき点はあるが、根幹に学習習慣の問題があることを忘れてはならない。
 健全な学習習慣は小学校低学年で親が自分の子供に関わる時間をつくることで育むことができる。小学校低学年ならほとんどの親が教えられる。その上で、予習して質問する子供にきちんと応えてくれる塾を選べばよい。中学生や高校生に教えられる親は稀だ。そこからは塾に任せればよい
 根室と東京の塾利用の比較論がいつのまにか健全な学習習慣=躾の問題になってしまった。根室の子供たちの学力が都会並みになる日が来ることを期待したい。