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日商簿記検定試験(6月8日実施)の結果 [57. 塾長の教育論]

  2,008年6月16日   ebisu-blog#204 
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 6月8日の商工会議所簿記検定試験の結果が出た。結論から言おう、2月に続いて敗北である。しかし、苦い思いを噛みしめ何度でもチャレンジしてほしい。その都度、確実に実力は上がっていく。どんな壁もたゆまぬ努力があれば必ず崩せる。

 高校入学試験日(3月5日)の夜から勉強をはじめた根高事務情報科1年生は60点だった。合格点まで10点届かなかった。仕訳問題全問正解は褒めてよいだろう。3ヶ月でよくここまでやった。
 今日から日商2級商業簿記の勉強を始め、TAC出版の『テキスト』を50ページほど消化した。部活で試験直前2週間はまったく顔を見せなかったので、勉強やる気があるのか様子をみていたが、今日の彼は明らかに気合が入っていた。これならやれる。来年2月の日商簿記2級合格に向けてキックオフ。諸先輩の記録をいくつか塗り替えて卒業してみろ

 同じく根高普通科1年生は2月の64点に続いて、62点で2度目の惜敗だった。高校1年生でしかも普通科で日商2級へのチャレンジは小さな根室の町では文字通り前人未到の記録だ。根室高校は元々は商業高校であるが、1年生の日商簿記2級合格は50年間一人もいない。北海道内でも事例があるかどうかわからない。あと2回チャンスがある。11月と来年2月だ。
 いまのうちに塩辛い経験をしておくことは、秀才タイプの彼には将来本当の困難にぶつかったとき、それを乗り越えるための重要な布石なのかもしれない。わたしは仕事で、精神的にもろい受験秀才の実例をいくつか見てきた。本当の意味は時間が経てばわかる。人生には無駄なことは何一つない。2度の敗北も必ず意味がある。そこからいまメッセージを読み取れるかどうかは君の問題だめげずに11月の試験で3度目のチャレンジをして栄冠をつかみ、後輩たちの目標となれ
 仕訳問題が苦手なようだから、レベルを上げて1級の問題集で勉強すべきだろう。会社法だけでなく財務諸表規則や法人税法との関係なども視野に入ってくる。国際金融や貿易業務も関係してくる。勉強の仕方によっては監査論の視点も入る。時間があれば原価計算システムを含む会計情報システムの理論と(東証一部上場企業の)実例も教えてあげよう。国内の大学では会計情報システムを教えているところは少ない。
(ネットで検索してみたらビジネススクール系の大学院で扱っているところが多い。EXCEL主体のシステムを会計情報システムと名づけているところもあるが、これはその機能から判断しておもちゃのレベルだろう。
 EXCELだけでなくデータベース機能をもつACCESSすら本格的な会計情報システムの主役足り得ない。パワーがないから補助的役割しか果たすことができない。コンピュータの勉強をきちんとしたことのない人が教えているのだろう。
 中央大学大学院(アカウンティングスクール)の会計情報システム論講座がネットで見る限りでは一番よさそうだ。東京大学大学院経済学研究科金融システム専攻科にも会計情報システム講座があるが、内容の明記がないので論評できない。)

 視野を広げると見える世界が違う。大学受験勉強とのバランスを量りながら、しばらくの間、広い世界へ誘ってあげようと思う。高校卒業まであと2年9ヶ月、ニムオロ塾で学問に勤しむことの楽しさを存分に味わって飛び立っていけ。

  6月18日追記
 3年生で2級を受験していた生徒の結果がわかった。4点足りなかった。66点である。仕訳問題がもう1題正解だったら合格だった。惜しい。3人ともわずかずつとどかなかった。

 さて、結果を踏まえ、2級は教材と指導の仕方を変更する。教材はTAC出版の『合格テキスト』『合格トレーニング』、商業簿記と工業簿記があるから計4冊に過去問題集1冊の合計5冊を標準教材とする。
 『テキスト』の範囲を超えて、仕訳問題でポイントとなる項目の解説をすべきことがわかったので、昨日(6月18日)「社債」を採り上げて「鳥瞰的解説」をしてみた。社債を起債する際に継時的にどのような処理が出てくるを解説したら全体像がつかめたようだった。あとは個別の仕訳トレーニングをやれば完璧だ。工業簿記についてもいくつかトピックスを採り上げて関連項目を整理解説すべきだろう。個別の計算に囚われすぎて原価計算の全体像がつかめていないようにみえる


 原因ははっきりしている。専門書を読まないからだ。簿記受験参考書や受験問題集程度で全体像がつかめるわけはない。わたしの高校時代は中央経済社から出版され始めた『公認会計士2次試験講座』をベースに興味のある分野は分厚い専門書をいくつか買って読み漁り、サブノートをつくった。遮二無二読むうちに全体像が見えてきた。時間のかかる効率を無視した方法ではあったが、この時代に勉強の仕方の基本ができた。高校時代にこのような勉強法をとった同期はいない。
 一人優秀な同級生がいた。高校を卒業した年に高田馬場の彼のアパートに遊びに行ったら、部屋の壁一杯に参考書をまとめたサブノートが帯状にぶら下がっていた。高校卒業後3年で税理士試験に合格し東京有楽町に事務所を開き30年以上税理士をやっている。
 勉強の仕方は自分にあった方法を見つけるしかない。見つけたら狂ったようにそれを徹底し、続けるべし。