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#2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 [91.経済]

 30分ほど雪掻きをした、吹雪はまだ吹き荒れている。明治12年から観測記録のある根室で、最大の積雪量を記録した。午後4時で135cmである。あと40cmほども積もると天気予報。爆弾低気圧はすでに根室半島沖を通り過ぎつつある。夜中には雪がやむだろう。風は明日午前中一杯強いようだ。最大風速は29.4mを記録した。午後10時頃には北風が西風に変わっていたから、爆弾低気圧はどうやら根室半島沖を通り過ぎ、離れつつあるようだ。

 22日のNHKラジオ「ビジネス展望」で経済アナリストの盛本卓郎氏が消費税引き上げ後の日本経済を展望していた。

 経済アナリストの論は眉唾ものが多く、森永氏も好い加減な論を披瀝することが少なくないのだが、今回の論旨はいたって明快でわかりやすく説得力がある。

 結論から書こう。
   消費税引き上げ+物価上昇>所得増加
    2.5%up + 1.5%up > 0.5%up

       -2.5-1.5+0.5=-3.5% down・・・

 リーマンショック並みの3.5%の実質所得減少が4月以降起きることになるというのが森永卓郎氏の御託宣で、政権を取り巻く楽観論者のエコノミストは4-6月(第1四半期)の景気落ち込みを消費税値上げによる駆け込み需要の反動と理解して、構造的な変化に気がつかないと懸念を表明している。現実を直視できないから、国内景気はさらに悪化することになるだろう。補正予算ではとても間に合わない。
 森永卓郎氏はもっと大型の補正予算を組むべきだといいたいのだろうが、その点だけは賛成しかねる。理由は後ほど述べる。

 森永氏の議論を整理しておこう。
【物価上昇について】 
 日銀の「異次元の金融緩和」ですでに物価は1.3%上昇済みである。電力料金が4月から大幅に上がる。一例を挙げると東京電力は5%だ。電車賃やタバコなどの自販機は10円単位で切り上げ値上げされるので、3%ではすまない。だから、これらのことや便乗値上げを勘案して1.5%の物価上昇はすでに確定的だというのである。それに消費税引き上げ分の2.5%が上乗せされて、合計4%の物価上昇が起きると予測。1981年以来の高率インフレだが、81年と異なるのはあのときは給料が物価上昇を上回り、実質所得が増加したということ。今回は実質3.5%の所得減少という点が大きく異なる。
 これでは4-6月期を過ぎた後に、消費が増えたり、経済が成長路線に乗るわけがない。アベノミクスの化けの皮がはがれる。

【賃金上昇0.5%:焼け石に水で効果なし】
 春闘で賃金はほとんど上がっていない。例えば、トヨタだが2700円のベースアップで、率に直すと0.7%にすぎない。中小メーカのスズキ自動車は800円、デパートの老舗高島屋は500円である。中小企業はベースアップのないところが大部分を占める。2014年1月統計を見ると前年比ー0.2%である。賃金はあがるどころか政府統計では下がっている。

 森永卓郎氏の主張をデータで補足しておこう。
 国内の企業数は421万、そのうち中小企業が419.8万(99.7%)、大企業は1.2万に過ぎない。従業員数で見ると、中小企業が2784万人(69.4%)、大企業は1229万人(30.6%)である。
*日本の中小企業
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf

【老人世帯の所得減少:実質所得は-4.7%】
 年金生活をしている老人は全人口の三分の一を占める。その年金が4月から0.7%ダウンだから、老人は4.7%(0.7+4=4.7)もの実質所得減少に見舞われる。

【駆け込み需要後の消費回復⇒ありえず】
 4-6月期をすぎたら、消費が増えて、成長路線に乗るというのは幻想である。生産人口も老人人口も実質所得が戦後最大の落ち込みを起こすのに、消費が増えるわけがない。構造的に消費が縮小していく事態を軽視してはならない。

【森永卓郎氏の結論】
 冷静に現実を見つめないと、根拠のない楽観論は日本経済に悪影響を与える。リーマンショック(-3.4%)並みの所得減少が起きる ⇒ 深刻な構造的経済不況の到来?

【ebisuのコメント】
 2000年から日本は縄文時代以来はじめての人口減少時代に突入している。日本列島12000年の歴史で人口縮小ははじめてである。GDPも人口縮小に比例して減少していく。
 森永氏がいうように構造的な問題が背景にあるのだから、財政出動で人口増加時代の成長路線を現出しようとしてもしょせんかなわぬ夢なのである。成長路線にはもどれないから、財政出動は無駄に終わる。その一方で政府の借金が増えていくからサバリン・リスクが高まる。実に危うい財政金融政策を安倍政権がやっていることを知ろう。
 国民や企業が営々と築き上げてきた千数百兆円の貯蓄が一気に崩落・消失しそうな瀬戸際にきているとebisuはみている。


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*#2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 
#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
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 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
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 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
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  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
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  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
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  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 [91.経済]

 前回(#2565)では経済評論家である内橋克人氏の「人口減少社会論」を紹介した。
 内橋氏は2025年に団塊世代が次々に75歳を迎え、後期高齢者が激増し、生産年齢人口が急激に縮小していくことに警鐘を鳴らしている。あと10年しかないと彼はいうが、団塊世代が65歳をすぎる昨年から生産年齢人口の急激な縮小がスタートしている。生産年齢人口の急激な減少は未来形から現在進行形に変ったのだろう。
 内橋氏は人口減少の原因を二つ挙げている。一つは人口が都市に集中したこと、もう一つは子どもの絶対数の減少である。
 人口の都市部への集中は地方から中卒の集団就職が始まる昭和30年代から10年ほどの期間に過ぎない。その後の都市部への若者の流出の様相は異なる。
 1990年代から就職氷河期と非正規雇用が拡大が重なり、若者が結婚できないような状況が生まれている。内橋氏は少子化の有力な要因として、非正規雇用(40%)の拡大と、ブラック企業の問題を挙げた。

 人口減少についてはもうすこし大きいスパンで考える必要があるのだろう。百年をかけて人口が2倍となり、その後百年をかけて半減するというのは、縄文時代以来1万2千年の日本列島の歴史でおそらく初めての経験である。日本は「大転換期」を迎えているのだから、そうした文脈でも物事をとらえる必要がある。

 それは少し置いておくとして、昭和30年代の集団就職の時代には職を求めて中卒が都市部へ工場労働者や中小企業の働き手として大量に流れていった。昭和30年代の高度成長を支えた原動力であったのだろう。
 このころの大卒は地元に戻って来たものが少なくない。40年代になり、今度は大学進学者が増えて高校を卒業した成績上位の者たちが都市部の大学へ進学し、そのまま就職して戻らない時代が今に続いている。地方から都市部への大量の頭脳流出時代といえるだろう。地方は地元経済を支える優良な人材を失い衰退の一途をたどることになった。都市部の発展と地方の疲弊が同時進行したのである。
 80代90代の地元で活躍していた人材層と現在町を担っている50代60代70代をくらべてみると、その質の劣化に唖然とする。文学博士である考古学者のK.Y氏、その同級生で歯科医であるT.G先生は北国賛歌の作詞者で、少し若かった歯科医のF.S先生は昭和30年代頃に根室新聞に時代小説や現代小説を書いておられた。K.Y先生とT.G先生のお二人は根室商業の出身である。大地みらいの前身の根室信用金庫の幹部は根室商業出身の人たちがほとんどだった。この時代は高卒にも優秀な者が多く、そして地元に残ったから人材の自給自足が可能な時代だった。
 昭和30年代前半は豊ではなかったが、希望のある時代の幕開けであり、昭和30年代後半はその期待や予感を上回る豊かさであふれた時代であった。

 昭和の時代は都市部が地方の生き血を吸って繁栄していたが、あまりに長くやり続けたために、地方が枯渇することで優秀な人材供給の流れが細くなってしまった。平成を迎えてようやく、わたしたちは地方が衰退すれば都市部も衰退せざるをえないことに気がつき始めたのである。
 都市部への人材供給を支える力がおおよそ最盛期の四分の一となり、都市部の繁栄を支えきれなくなりつつある。地方の人材供給力が枯渇し始め、都市部も人材を自給できないとなれば共倒れしかない、それがいま、平成26年の現実なのだ。

 反省を踏まえて疑問が一つある。わが国において、都市部と地方の共存共栄は可能だったのだろうか?

 こうした弊害を見通すためには、長いスパンでものごとの推移を予測する智慧が必要だが、わたしたちはそうした智慧を欠いていた。目の前に展開することどもを直視しながら、同時に長い大きなスパンで物事を考える必要があるということだ。

 いまはたしかにまずい状況だし、これから30年間は最悪かもしれない。だが、希望のない30年間ではない、次の30年間には希望の光が見えている。だから再生への道程と言い換えられる。日本列島にしっかりした倫理観をもち、国内でのほとんどの製品の生産体制を整え自給自足を主体としながら、住民が幸せに暮らす日が来る。
 1.28億人にまで増えた人口が90年後には5000万人まで減少するのは悪いことばかりではないだろう。一人当たり資源量が2.5倍になるということだから、人口減少を織り込みながら、無理をせずに持続可能な経済社会を創ればいい。
 人口減少を前提として、今後100年間の戦略を創ればいいのである。もう、大きな公共投資はいらぬ。インフラの維持にお金を使うだけでいい、拡張する必要はないのだ。

 そうした観点から現在の諸政策をレビューするとしたら、人口縮小だから、粛々と撤退戦を戦えばいいのであって、成長路線は幻想だと結論を出す。東京オリンピックは辞退すべきで、巨大施設は要らない。津波対策のコンクリートの防波堤も要らぬ。地方の農山村は次々に消えていくのだから、何を守ろうというのだ。百年に一度の大きな津波が来るときはいっせいに高台へ逃げればいい。逃げられるような手段を講ずることを考えたらいい。防波堤は宮脇昭翁の提唱する森の防波堤をつくればいい。道路も新しいもの入らぬ、古いものを整備して使えば充分だ。
 こうした見直しをすれば国や地方の予算規模は3割は削れるだろう。それでも足りなければ増税を考えたらいい。

 TPPはやるべきではない。なぜなら国内から雇用を奪うことになるからだ。日本が目指すべき方向は強い管理貿易によって、若者たちに安定した職を保障することだ。多少貧乏でも安定した職があれば、結婚もできるし、子どもを数人育てられる。
 自由貿易はリカードは比較生産費説がその根拠だろう。彼の理論を推し進めると生産費の低いところへ生産が国際間移動していく。それの極みがTPPである。資本力が大きく世界中から頭脳を集めるグローバル企業が圧倒的に有利な世界市場を築くことがTPPの目的だ。そんなものとはおさらばしよう。日本の国益にそぐわない。工場労働を前提とするマルクス経済学ともおさらばだ、日本は職人仕事の国である。自国民に安定した職を保障することを優先しよう。自国でつくれるものは生産費が高くても自国でつくればいい。自国民が品質管理をしてつくった生産物を消費すればいい。自国で生産できないものだけを輸入したらいい。世界中の各国がそうして、自国民に安定した職を保障しよう。困るのは国籍のないグローバル企業とそれが本拠を置く米国だ。

 これから百年間で日本の人口が半分以下になり5000万人となる。それを前提として、戦略をつくり、そこから現在の政策を見直す。そうしたことにまったく無知だったかあるいはわかっていても目の前の私利私欲に負けてごまかしてきたのである。
 人口推計だってつねに出生率を過大に見積もり、年金財源があるかのようにごまかしてきた。人口の年齢構成も、中位ではなく低位の出生率で計算すれば現実に近いものがえられたのに、そうはしなかった。先に何が来るかはわかっていたのに、公共事業や天下り先にお金を流すためにごまかし続けてきたのである。そもそも公的会計自体がインチキで、たとえば、根室市立病院は年鑑17億円もの赤字を出しているのに、公的会計上では黒字ということになる。こういうゴマカシはやめるべきだ。
 原子力発電も同じことだ。最終処分方法や最終処分地すらないのにあるかのごとく装い、計算をごまかし続けてきた。そのコストや事故処理コストをいれたら、原子力発電は百倍ものコストなのに、東京電力福島第一原発で4つの原子炉建屋が爆発しメルトダウンを起こして3年もたつのに、政府は民意に抗って、一部の利害関係者の意見だけを聞きいまも原発再稼動をしようとしている。

 私利私欲を離れ、ゴマカシをしないこと。私利私欲がまじれば常に大局的な判断を誤ることになることを肝に銘じるべきだ。
 わたしたちが残すべきは、高いレベルの倫理観とあらゆる分野に根付いているすぐれた職人仕事文化のふたつである。そのためにはしばらく努力が必要だ。日本列島で1万2千年かけて育んできたシツケの仕方や倫理観や仕事観はずたずたになったが、こわれた倫理観はいま取り戻さなければならない。
 百年、千年単位で日本列島にわたしたちの子孫が幸せに暮らすことができるように、いま私たちができることはなんなのかよく考え行動すべきだ。現在の生活に不利益があったとしても、子々孫々に恥じない生き方をこそ選びたいもの。


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*#2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
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#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
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 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
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  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
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  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
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  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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#2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 [91.経済]

 標題は、1月13日のNHKラジオの番組「ビジネス展望」で経済評論家の内橋克人氏がとりあげたテーマである。最初は彼の論をそのまま取り上げて紹介し、2回目はさらにその論を前に進めてみようと思う。

 2008年 1億2800万人
 2040年 1億人
 2060年 8600万人
 2100年 5000万人

 社会保障人口問題研究所の推計データの端数を丸めてある。1900年(明治33年)の人口が4385万人、1920年(大正9年)の人口が5596万人だから、百年をかけて人口のピークに登りつめ、そしてさらに百年をかけて元に戻るのである。
 百年をかけて人口増加と経済の高度成長を成し遂げ、そしてその後に続く百年間でその座から降りるように人口が縮小していくというのが日本の姿。

*「人口増加率推移折れ線グラフ」
https://www.google.co.jp/publicdata/explore?ds=d5bncppjof8f9_&met_y=sp_pop_grow&idim=country:JPN&dl=ja&hl=ja&q=%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E6%8E%A8%E8%A8%88

*「1872年~2011年人口推移」2013年度版人口統計資料
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2013.asp?fname=T01-01.htm&title1=%87T%81D%90l%8C%FB%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%97%A6&title2=%95%5C%82P%81%7C%82P+%91%8D%90l%8C%FB%82%A8%82%E6%82%D1%90l%8C%FB%91%9D%89%C1%81F1872%81%602011%94N

*「2010~2060年 年齢3階層別・総人口J推計」
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/s-kekka/1-1.xls

*「2061~2110年 年齢3階層別・総人口J推計」
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/s-kekka/s1-1.xls


 今年の成人人口は119万人だった。

【2025年問題とは何か?】
 内橋氏は2025年問題をとりあげている。あと11年後に何が起きるのか?何も起きはしない、ただ人口は高齢化の度合いを強めるだけである。わたしたち団塊世代が75歳になるのがその近傍であり、数年間にわたって毎年220~240万人が後期高齢者の仲間入りをすることになる。団塊世代が現役からの完全撤退することで生産年齢人口が激減する。
 2025年には団塊世代が後期高齢者の仲間入りをすると同時に、生産年齢人口は総人口の半分となる。総人口から子ども(0~14歳)と老人を引けば、残りが生産年齢人口であるから、人口の半分が子どもか老人、そしてその8割が老人となる。人口の4割が65歳以上の老人となる。
 2025年をすぎると、最大に膨らんだ後期高齢者は死んでいくから、人口は急速に減少し始める。地方も都市も同時に急速な人口減少を迎えることになるのだが、それまであと10年しかない。こうした現実が目前に迫っているのに、安倍政権は「成長路線」を叫ぶばかりで現実に目をつぶる。生産人口がこれから20年間でおおよそ2000万人も減少するのであるから、経済規模の縮小が起きるのは当たり前のことで、「成長路線」なんてものは幻想にすぎない。人口構成の変化を冷静に観察すれば、アベノミクスの三本目の矢は存在しないのである。

【人口減少の原因】
 人口減少に原因として内橋氏は問題点を二つ挙げている。
 一つ目は人口が都市に集中したことが問題だったといういうこと。典型例として夕張市を挙げている。
 二つ目は子どもの絶対数の減少である。その原因として結婚できない若者が増えていること。ブラック企業や非正規雇用拡大をその理由に挙げている。
 労働力不足から、移民受け入れをするような動きがあるが、これは若者たちをますます追い込むことになると警告している。

 内橋氏はの結論は平々凡々、経済の根っこのところに国民の一人一人を大切にしないといけないのだいう考えをおくべきだいうこと。わたしたちはそんな簡単なことがまるでできない経済社会にしてしまった。

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【数字情報の捕捉】
 いくつか数字が違うと思われる点があるので、数字を挙げておこう。2025年に生産人口が総人口の半数になるというが、次の資料では56~58%付近にあるように読める。折れ線グラフで示されており、推計割合が書いてないが50%よりは60%に近い。別の資料には、8000万人の生産年齢人口が7000万人へ減少すると書いてある。11年間で生産年齢人口が1000万人縮小すれば、若者の失業問題は一応解消するが、非正規雇用問題はそのまま残る、それが大問題なのだ。正規雇用と同じ労働をさせ、給与が半分以下の非正規雇用は卑怯な雇用形態(卑怯でズルイ経営)であるという意識を醸成する必要があるように思う。こういうコンセンサスを創れるか否かが問われている。

*「日本の人口推移」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf
*「生産年齢人口は2025年に7000万人」(年齢人口推計結果の概要)から
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/con2h.html


【現代版「姥捨て山」の現出】
 認知症高齢者は受け入れ施設があまりない。老健施設は認知症の老人は受け入れない。国の医療行政は医療が必要な高齢者の受け入れ施設である療養型病床群のベッド数をこの十数年間で半減させている。財政が苦しいから医療費を減らすために、施設介護のベッド数を減らそうというまことに姑息で貧困な医療政策を採用してしまった。自民党でも民主党でもその政策は変わることがなかった。一体誰のための政治なのだろう?
 根室市には療養型病床は1ベッドもない。グループホーム18ベッドだけ。最近もう一つ増えたか増えるかしているから、人口2.8万人で36人分だ。老人人口の10%と考えると根室市の場合は現在8000人×0.1=800人である。2025年にはこれが7割増えるとしたら、1300人になる。老人医療の貧困は根室市に何をもたらすのか?
 生活感のある話しを書いておく。わたしは5年前に認知症がはじまった母親と暮らしていたので、それがどういうことを意味するのか痛みを伴って想像することができる。しっかりしていた母の人格が目の前で壊れていくのである。悲しいが現実だった。夜中の徘徊、見えないものが見えてしまう幻視症状、トイレ、お風呂、どれをとってもたいへんな苦労を伴う。ワイフもわたしも精神的にも肉体的にもギリギリのところへ追い詰められていた。しかし、母親の介護を投げ出すわけにはいかない。さいわい、グループホームが空いたのでお願いすることができた。そのグループホームも医療が必要になればいられない。母は1年半後に脳梗塞を起こし、精神科の病院のお世話になった、療養病床がないためである。
 精神科の病院と療養型の病院では介護のレベルがまるで異なる。わたしは300ベッド弱の療養型病院で一時期常務理事をしていたことがあるので、特例許可老人病院と療養型病床群の病院の介護について自分の目で見ている。理事長や副院長、老婦長から院内で実践していた「縛らない看護」の徹底について、さまざまな実例を聞かされた。志のある介護は戦いでもある。
 母は脳梗塞を起こし、食事が摂れなくなってグループホームから地元の精神科の病院に転院して半年後に亡くなった。3年くらいの間に認知症が進み徘徊が始まってからがたいへんだった。あと20年もすればわたしたち団塊世代の10%が同じことになる。いま40代の人たち、老人医療は他人事ではない。

 認知症高齢者数に関する推計値、(  )内は老人(65歳以上)人口に占める比率を表す。施設介護のキャパはまるっきりないが、いったいどうやってケアするのだろう?介護するほうも介護されるほうも修羅の日々が重数年後にくることだけは確実だから、団塊世代は子供たちのために早く死んであげるしかないよ。食べられなくなったら、医療は不要だから、そのまま死なしてもらえるように必要な法律や条令を整備しておくべきだ。看取ってくれる医師が殺人罪に問われたり、自宅で死んで司法解剖は嫌だろう?数字を見て、現実を直視し、必要な法整備をしておこう。現代版「姥捨て山」の状況が全国津々浦々で起きることになる。食事を断って死ぬのは何も苦しくないから心配しなくていい。家族に看取られながら自宅で死ねたら幸せではないか。幸せに死んでいく姿を子供たちに見せてあげたらいい。

 2010年度 280万人 (9.5%)
 2015年度 345万人 (10.2%)
 2020年度 410万人 (11.3%)
 2025年度 470万人 (12.8%)

*「介護度Ⅱ以上の認知症高齢者人口推計」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1-att/2r9852000002iavi.pdf


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 次回は、なぜこのような急激な人口縮小が起きるのかについて分析してみたい。何の役にも立たぬ知的好奇心を充足するだけで充分だ。


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*#2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 
#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
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#2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 [91.経済]

 中学生の「公民」の勉強の参考にはならないだろうし、きっと高校生の「政経」の参考にもあまりならない。中高生が経済分析や経済学に興味をもってくれたらそれだけで充分だ。

 そういうわけで1/10のNHKラジオ番組「ビジネス展望」(10分間)から。

 昨年11月の消費者物価指数は前年同月比で1.5%up、企業間物価指数(昔は卸売物価指数といった)は同2.7%upと経済アナリストの藤原直哉氏。

(卸売物価をいう用語が死語になっていることをこの放送で知った。全国チェーンの大手スーパーやコンビニの出現で、メーカや産地直接仕入が主流になり、卸し問屋からの仕入が大半消えてしまったから、それにまつわる用語もなくなったのだろう。世の中も言葉も動いている。)

 どういうことかというと、円安で原材料や製品の輸入価格が上昇し、すでに消費者物価が1.5%、企業間物価が2.7%上がったということ。さらにいうとこの差の1.2%は企業がかぶっているということ。
 輸出産業のトヨタを例にとれば、円安になって儲けが増えても、下請けへの発注価格を上げるわけではないから、下請け企業は原材料価格の円安による上昇分を上乗せできない状況下で経営を強いられているということ。とても賃上げなどできない。中小零細企業は仕入れ価格が上昇して経営が悪化している。
 このうえ四月には消費税3%が上乗せされるから、消費者物価は単純計算では4.5%も上がることになる。企業間物価は5.7%だ、消費税値上げを製品価格に転嫁できない中小零細企業倒産が激増する懸念が出てきたということ。
 藤原は消費が落ち込むことは避けようがないから、深刻な不況がみまうことになるだろうと述べた。

 彼は賃金動向も心配している。非正規雇用は40%でこの部分は賃金上昇は考えられない。ほとんどの中小零細企業は原材料費が上がり経営を圧迫されているから、賃上げどころは倒産回避をどうやるかに必死である。貯蓄のない世帯がすでに3割、高齢者や長期失業者などが多い。そういうなかで物価が4.5%も上がったらどういうことになるか。物価上昇は非正規雇用者、中小零細企業経営者やそこで働く人々、長期失業者、貯蓄のない世帯を直撃することになる。それらの割合は90%をゆうに超えるだろう。
 藤原が「物価上昇なんて経済政策はありえない」と主張するのは、経済的に弱い立場にある国民に負担を強いるからだ。それを象徴的に「1%のために99%を犠牲にする政策」と言い切っている。言わずと知れたアベノミクスだ。

 藤原の論にはなかったが、原子力発電が停止していることによって、LNGや原油の輸入が増えて貿易収支が赤字になっていると政府が説明しているが、大嘘で、数量ベースではこれらの原料は増えていないし、価格もシェールガスやシェールオイルの影響で軟化している。なぜ輸入金額が上がったのか?昨年は80円だった円が105円/$に為替相場が円安になって3割も円換算でLNGや原油価格が上昇してしまったからである。政府(財務省)と日銀は「異次元の量的緩和」により、円安を加速させておきながら、LNGや原油の輸入金額増加を原発停止の影響だとすりかえている。自作自演の田舎芝居をやっているようにみえる。
 事実は円安で円換算の輸入金額が上昇し、消費者物価や企業間物価を押し上げてしまっている。原因は政府と日銀の政策=アベノミクスだ。原発を動かすためならこういう嘘を平気でつく、こういう嘘は悪質だ。

 4月以降、消費税が引き上げられ、物価は5%近く上昇してしまう。非正規雇用が正規雇用に切り替わるどころか、政府はこのあたりの規制を緩和しつつあるから、非正規雇用割合は今後も上昇し続け、一人当たり勤労所得は低下し続ける。
 消費は縮小するから、政府の目論見が外れて景気は失速する。物価上昇は2%どころかその2倍を超えるだろう。11月のデータと消費税値上げを考えたらわかるように政府はすでに物価上昇を制御できない状況にある。
 わたしは昨年3月に弊ブログ#2245「円安はそんなにいいことか」で次のように書いた。

===========
 自動車産業のような輸出産業は円安で採算が改善して賃金を上げているが、その下請けはどうだろう?下請け自動車部品メーカからの買い取り価格をトヨタが一斉に値上げしたという話しは聞かない。ようするに自分たちだけがよければよいのである。

 半年あまりで22%も円安になったということは、輸入価格が上がったということだ。原油だけではない穀物価格も飼料価格も円安で値上がりしている。

 日本は人口減少を伴う超高齢化社会に突入してしまったから、経済規模は縮小しつつある。実質経済成長なんてありえない幻想である。長期的に見れば円安は当然のことで、国力が弱ることを意味している。なぜそんなに喜ぶのだろう?

 貿易収支は2年前から赤字が定着している。まもなく経常収支も赤字になるから、日本が溜め込んだ外貨は減少の一途をたどる。そこへ過度な円安誘導をしたらどういうことになるかは明らか。庶民の生活を直撃することになる。

 食料品やガソリン、燃料用灯油などが値上がりする。ごく一部の輸出産業のみが好景気に沸くだろうが、その下請けも、そして製造業よりも比率のずっと大きいサービス産業の大半が原料高で採算悪化を招くだろう。物価だけが上がり、国民のほとんどが給料も上がらぬ事態を目の当たりに見てからでは遅い。

 円が2年後に120円になっていることを想像してみたらいい。輸入品は5割も値上がりすることになる。食料品やガソリン、燃料用灯油などの高騰を招き、消費者物価を押し上げることは必定である。

 アベノミクス、円安はいいことか?

 ジャングルの掟だから「だまされる奴が悪い」、というのがグロ-バリズムの正体である。マスコミが褒め称え、一番被害を受ける国民がこぞってアベノミクスの円安を歓迎している。おかしな構図に気がつこう。
(抜粋引用)
===========
 これを書いた1年前はマスコミはこぞって円安誘導政策を歓迎する記事を書きたてていた。ようやく円安誘導=物価上昇は国民へ犠牲を強いる政策である言い切る経済アナリストがあらわれたのはうれしい。

 藤原は安倍政権の政策をグローバルに俯瞰して次のような懸念を表明している。
 規制改革についても世界の流れを承知しておくべきで、リーマンショック後、米国も欧州もヘッジファンドなどの強欲な経済活動を制限しつつある。銀行業務と証券業務の切り離し検討もそのうちの一つだろう。日本はまったく逆のことをしてしまった。銀行業務と証券業務は切り離されていたのであるが、郵貯改革のときにその垣根を取り払ってしまった。医療保険についても米国は日本のようにどうしたら国民皆保険制度が構築できるのか試行錯誤している。イラク戦争とアフガン戦争で懲りた米国はイランで戦争を回避しつつある。財政負担が大きすぎるから戦争回避をしたほうが得策だというわけだ。このままでは経済格差が大きすぎて国内政治がもたない。貧困や経済格差の拡大と米国は戦わざるをえなくなっている。状況はいつのまにか中国に似てきた。
 こうして日本が数十年も前からやっていたことを欧米は目標にしつつある。お手本になるべき日本は欧米が大失敗した後を追っている。世界がどういう方向に動いているかを知らず、真逆の方向に動いているのである。
 安倍政権を支える経済ブレーンはよほどオツムが悪いのか、1%部分の利害関係者であるのかどちらかだろう。

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*#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 [91.経済]

 1月2日、NHKラジオ「ビジネス展望」から。中北徹(なかきたとおる)は首相官邸に設置されている「アジアゲートウェイ戦略会議」のメンバーである。一橋大学卒業後、外務省入省そして海外留学(ケンブリッジ大学、同大学院)し81年に卒業、同じ年に外務省を退職、東洋大学へ就職している。外務省から給料をいただいて留学していた。この会議体は2007年に設置されているようだから、第一次安倍内閣のときの官邸メンバーだった人、ということだろうか。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/asia/index.html

 いま、首相官邸の会議体を検索してもこのアジアゲートウェイ戦略会議という会議体は存在しないから、直接的な関係はないにしても関節的な利害関係人ではあるだろう。そういう立場にあった人ですら、アベノミクスの危うさを具体的に指摘している。

 主要な論点を箇条書きにして、その論拠を一つ一つみよう。

① 経常収支は黒字だが、その構造は著しく変りつつある
② 円安は貿易赤字の改善には結びつかない
③ 経常収支黒字縮小は国内の貯蓄を減らし、国内の資金需要をまかなうために不足する資金を海外から導入するようになる
④ 最悪のシナリオは日本国債売りと長期金利上昇が同時に起きること

 第一の論点は、いままで貿易収支が大幅な黒字を続けていたが、2000年代に入ってから「成熟社会⇒高齢化社会」となり経常収支黒字が急速に縮小しつつある。経常収支を分解すると次の四つの収支から構成されている。

 経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支

 昨年10月末までに貿易収支はすでに16ヶ月連続の赤字で基調が黒字から赤字へはっきり変ってしまった。
 資本収支が拡大しているのでいまのところは経常収支は黒字なのだが、その幅は急激に減少中である。経常黒字は風前の灯で、貿易収支が赤字になったように、経常収支もまもな赤字基調となる。 
 しかし、中北は経常黒字が縮小しつつあるとだけいうのみで、それが赤字基調に変るとはいわない。わたしには現政権への遠慮に見える。

 為替相場は1年半ほど前までは、80円/$だったのが年末には105円/$の円安となった。それを中北は「超円安からの修正」と呼んでいる。30%も円安になって輸入原材料や食料品の値上がりが続いている。
 また、中北は「標準モデルだと貿易赤字が続くと円安を誘う」ともいう。これは常識的な見解だ。だが、わざわざ「標準モデル」と但し書きをつけているところに中北の含意があるのだろう。そうはならないのである。円安の持続懸念すらあると主張している。中北は105円/$の円安が持続すると言っているのではないだろう、ずるずると円安が昂進していくことを心配しているのだ。

 二番目の論点の根拠として、日本企業の海外進出を例に挙げて説明している。海外子会社へ生産拠点を移してしまっているので、子会社との間での取引は内部取引だから、連結ベースでは円安の影響が出ない、あるいは出にくいというのである。円安になったら海外子会社からの輸入額は円ベースでは増えるが、子会社との取引をドル建てでやるか円建てでやるかで結果に影響が出る。計算上出るのだが、それは連結ベースでは内部取引として相殺されてしまう。

 その一方で、海外子会社以外のところからの原材料や中間製品の輸入価格は上昇してしまう。30%も円安になっているのだから、これらの輸入品に支払う円もおおよそ30%増えているのだ。原油やLNG、輸入飼料・穀物等々。

(原発事故そして原発再稼動がらみで、原油やLNG輸入が増えているといわれているが、最終処分コストや事故処理コストも含めて原発コストを見直すべきで、現在の総原価方式のままで原発再稼動をしてはならぬと中北は釘を刺している。
 原油やLNGを輸入したほうが原発を稼動させるよりもはるかに低コストだと中北は言いたいのである。だがそこまで言い切ってしまったら、首相官邸から「お呼び」がかからなくなる。)

 これらの理由から、中北は円安が進むとさらに貿易赤字が拡大することになる。つまり、円安が進んでも日本経済には追い風にはならぬと、この点だけは明解に述べた。ebisuは追い風どころか円安は日本経済と国民生活にとって逆風だと考えている、それをマスコミは何かいい事のように喧伝して、国民の目を真実から遠ざけようとしているようにみえる。この国の民はマスコミの洗脳を素直に受け入れ、円安によって日本経済はずるずると持続的インフレの罠に嵌りつつある
(#2245「円安はそんなにいいことか?」)

 三番目の論点は、経常収支黒字が縮小すると経済のスローダウンが起きると中北はいっている。
 経常収支が赤字になるとまでは言っていないが、ネットで検索して確認したら、すでに昨年10月1279億円の経常赤字であり、これから3月まで赤字が続くようだ。経常収支はまもなく年間ベースで赤字になる。赤字になれば、日本から資金が流出するから、景気回復によって資金需要が増えた場合に海外からの資金導入が必要になる。金利が上昇し始める。そういう事態が起きるのは時間の問題だと中北は推測している。
 海外からの資金を導入するためには、日本経済社会の安定が不可欠で、そうでないと、日本経済のバランスが崩れる。こういう困難な状況下にあるのに、靖国問題で近隣諸国ともめるのは日本経済の安定化を揺るがすことになると警鐘を鳴らしている。

 どうやら時間の問題で、四番目の日本国債売りと長期金利の上昇という最悪のシナリオが実現されそうなのである。国際通貨としての円は棄てられて「悪性の円安」になりかねないと番組の最後の所でつけたした。

 「悪性の円安」は「悪性のインフレ」を伴う。円安で経常収支赤字がさらにに進めば、さらなる円安を呼び、物価上昇は歯止めを無くす。
 たとえば、円が105円/$から120円⇒150円/$⇒170円/$となっていったら、輸入品を中心に(80円/$にくらべて)物価が1.5倍くらいにはなるだろうが、国民一人当たり所得は増えないということになりそうなのである。"円安"が進みすぎると国民生活はとんでもないことになるのに、マスコミはアベノミクスのそうした負の側面には口をつぐんで言わない。

(中北の論点の内で、経常収支黒字幅が縮小すれば海外からの資金導入が必要になるとあるが、これはそうはならぬと思う。日銀が270兆円もの量的緩和策を続行中だからだ。市中に出回っているお金は89兆円で安定しており、海外資金導入が必要になる事態はいまのところは起きる懸念がない。しかし、中北の言うように、経常収支が恒常的に赤字になれば、長期的に円安が昂進していく。
 こういうときは極端な假定をすると事態が飲み込めるから、日銀が270兆円の量的緩和を完了したとしよう。市中で必要な資金量は89兆円だから、残りの181兆円(270-89=181)がどこへいくのかという問題がある。国債の直接買い入れと日銀当座預金勘定にブタ積みされるのだろう。日本の大手銀行はすでに国債に対するスタンスをシフトしてしまっている。期間の長い国債を売って、短期のものに買い換えてしまっている。 
 資金需要が増えたとしても日銀が量的緩和を続ける限り、資金が不足するということはない。しかし、経常収支が恒常的に赤字になれば、円安昂進が止められなくなり、輸入穀物や食料品、原油やLNG、輸入原材料や中間製品が高くなる。物価は何もしなくてもどんどん上がってしまう。しかし、一人当たり所得は上がらない。
 物価上昇が金利上昇をいつまでも伴わぬわけがないから、長期金利がハネたら、日銀が保有する日本国債が暴落し、巨額の赤字が発生する。政府財政は破綻する日がやってきて、世界中の金融機関が震撼する。
 だから日銀はゼロ金利政策を解除することができないし、量的緩和をやめることもできない。日銀の量的緩和策に出口戦略はないから、破綻へ向かって走り続けるしかないのである。もう止められないのだろう。
 大きな犠牲を覚悟なら方法はある。鎖国(強い管理貿易)による国内雇用確保と所得水準の切り下げである。財政規模は40兆円に縮小する。日本に現在ある省エネ技術でエネルギー需要量を減らし、輸入金額は激減可能だ。
 特殊法人のほとんどが消滅、財政規模を半分以下にするから公務員給与も切り下げになる。痛みの伴わぬ魔法のような方法論はない、日本国民は覚悟をもってどちらでも選べるが、選ばなければ出口はなく行き止まりがまっている。政府財政の破綻で国民がもっている金融資産のほとんどが消えてしまうのみ。見たくない未来だから、日本人の叡智を集めて回避しよう。)

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*#2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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#2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 [91.経済]

 これが今年最後のブログ記事だから、日本経済の一年を振り返り、来年を展望してみたい。
  政策論の迷路で方向を見失ってはいけない、どういう経済理論を選ぶのか、日本的価値観から外れるようなろくでもない経済理論はebisuはごめんである。
 
 今朝のビジネス展望(NHKラジオ朝の10分間番組)で経済評論家の内橋克人氏が「岐路に立つ日本経済 回顧と展望」を日本経済の現況と来年どうなるかを解説していた。

 いま日本はアベノミクスにわいている。
 大納会は高値を更新して日経平均は16,291.31円で、昨年末の10.395.18円からみると56.7%アップ、これほど大幅の上昇は41年ぶりだそうだ。マスコミはアベノミクス効果と騒いでいるが、経済学の泰斗伊藤光晴は安倍政権が発足する前から株は上がり始めており、海外投資家の買い越しが原因であると『世界8月号』で論文を公表している。外人投資家の買い越し額は15兆円である。数字が示しているのは、株高はアベノミクスとは関係なしということ。

 内橋氏によれば、「歴史の真実が姿を現すまでには、いつも一定の時間が必要で、80年代後半のバブル絶頂期の只中でバブル経済に警鐘を鳴らした人がどれだけいたでしょうか?」と問いかけている。「90年代になって人々はその幻想性と代価の大きさに気づかされた」ことは記憶に遠くない。経済の真の姿を見抜くためには、経済変動の細部を実証的に見て、未来を予測するには相応の勇気と知識が必要」と語っている。マスコミの流す言説や時流に流されずに、その外側から冷静にデータを読み考えるべきなのである。

 有権者の25%の得票で政権を手にした自民党が暴走すれば、国民の意思とは乖離した政治を行うことになるのはあたりまえの結論である。そうした事態が起きれば議会制民主主義は危機に瀕する。福島第一原発事故と各地の原発再稼動への動きも、特定秘密保護法も、議会で議論すらせずに韓国軍への弾薬提供も、大方の国民の意思とはずいぶんかけ離れてしまっているように見える。

 日本経済は岐路に立っており、この年の瀬が大きな分かれ道になると内橋氏は危惧している。論点は4つある。

(1) 実体経済への波及がない
 円安と株高は進んだが、実体経済は変っていない。マネタリーベースは急増したが市中に流通するお金は増えていない。4月末89兆円、11月末89兆円と増加していない。日銀は2年間で270兆円の量的緩和を実行中だが、民間企業に資金需要がないのである。インフレを起こしたくて躍起になっている。量的緩和も景気浮揚策としてはまったく効いていないということになる。

(2) 消費はタイプが二つある
 消費にはストック型とフロー型がある。ストック型は株や土地などの資産価格の増加によるものだ。フロー型消費は給与の増加によって生じるもので、本来ここが増えないと景気はよくならぬ。ストック型の消費は長続きしないといわれている。フロー型消費はほとんど増えていない。資産価格の上昇で一部の者が利益を手にしただけ。消費は広がらない。

(3) 過剰なインフレ期待は危険
 リフレ派というのがあるらしい。通貨数量説にのっかった政策論のようで、インフレ期待だけでいいということのようだ。しかし、実行経済への効果が認められないとき、過剰な期待(expectation)は破綻する。expectationは"期待"ではなく"予測"と訳すべきだと内橋はいう。
 わたしも浮利を追うようなリフレ政策は好きではない、日本人の伝統的な商道徳に反するからだ。自助努力をきらい、イージな方法へと逃げるとろくなことはない。

(4) 株価上昇の原因
 株価上昇は外人投資家の解雇しによって保たれており、15兆円もの買い越しになっている。日本人の投資家が売却して外人投資家が駆っているという状況だ。安定した日本人株主の保有株が減り、短期的な利ザヤ目的の外人投資家が大量に日本株を保有すると株価は不安定になる。

 こういう状況下で4月に消費財が3%値上げされるのである。三本目の矢である経済成長が規制緩和一辺倒では虚弱にすぎると内橋氏しはいう。
 政府は質の高い日本人の労働力をアジア並みの低賃金で差し出すような政策を推し進めているという批判も起きはじめた。派遣労働は正規雇用の三分の一以下の賃金である。非正規雇用比率はすでに全労働者の40%近くにもなっている。

 経済が政治問題化する季節が到来する、そういう意味でもこの年の瀬が日本経済にとって大きな分岐点となるだろう。一部の輸出産業は円安と消費税の還付によって巨額の利益をあげているが、その下請け企業群からの調達価格を値上げするわけではないから、下請け企業は潤わない。
 一部の企業の利益が増大しても、国民が豊かにはならない、そういうことも来年なおいっそうはっきりすることになるのだろう。

 以上が今朝ラジオで聞いた内橋克人氏の論である。

 
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*#2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
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 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
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  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
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  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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#2546 北海道の大学生の就職活動状況  Dec. 30, 2013 [91.経済]

  帰省してきた道内のある大学の3年生に就活についてたずねて見た。医療関係の学部なのだが、道内の介護系の施設を調べたら、給与条件が12~15万円だという。大学からはすくなくとも100社は応募しろと指導されている。
 しかし、12~15万円では自立できない。道外へ就職先を探すか、公務員ということになる。技術職だから採用数は小さいので競争率が高そうだ。でも、一人で独立して生計を営むためには20万前後はほしい。そうすると道内では公務員しか選択肢がなくなるのだという。

 民間企業で規模の大きい会社の本社は東京に集中しているから、大企業に応募するには東京まで行かなければならない。就活も旅費交通費にお金がかかる。いざ実際の就活になると、東京と北海道の距離の大きさを思い知らされる。

 道内の大学は東京から離れているから、実際の就活にはハンディがある。大学を選択するときには就活まで考えてしたいが、そういう余裕のないケースが多いだろう。

 日本は鎖国(強い管理貿易)して若者に雇用を確保するという選択肢を議論すべきだ。このままでは、きちんとした仕事に就いたことのない30代が増加し、日本経済の活力を根こそぎにしてしまいかねない。
 よい仕事ができるという能力は、よい仕事をこなさなければ身につかぬものだ。そういう場を保障してやれる経済社会を若者達に残したい。グローバリズムへのアンチテーゼとしてのローカリズム、リカードの比較生産費説による貿易論からの脱却を視野に入れなければならない。それは貿易を制限し、国内に雇用を確保する、職人仕事をベースとした経済社会だ。自国で生産して自国で消費する、生産できないものだけを輸入する、そのことで上がる国産品の価格は受け入れる。
 来年4月には消費税が増税されて景気は落ち込み物価は3.5%も上がるが、国民の一人当たり平均所得は上がらないだろう。景気が減速すると新規雇用枠を絞り込む企業が増える。就職活動がなおいっそうきつくなりそうだ。

 弊ブログでは、「経済学ノート」や「仕事」というカテゴリーで職人仕事をベースとした経済社会の展望を扱っている。


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*#2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判:『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

 #2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 



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#2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 [91.経済]

 インフレは預貯金を実質的に目減りさせる。預金金利はゼロ金利状態。都会の一等地が上がり始めているようだが、地方では不動産も値下がり気味、ではどうしたらよいのか?
 森永卓郎が今朝の9分程度のNHKラジオ番組ビジネス展望で三つの選択肢を挙げていた。

①投資信託あるいは株式投資
②不動産投資
③金利の高い外貨預金

 株式は昨年8・9月頃は9000円弱だった、現在16000円台に載っているからほぼ1.8倍である。株価についてはエコノミストの間でも意見は分かれている。だいたい株価や為替相場に関して著名なエコノミストの意見のあたることはほとんどない。いまごろ株式を買い始めたら、暴落のリスクがあるから危うい。
 では不動産投資はどうか、値上がりしているのは都心の一等地では一般庶民に手が出るはずがない。
 外貨預金は金利の高いものがあるが、為替変動リスクが高いことと、元本の保証がない。外国の金融機関はよく破綻するのである。
 かくして庶民が手を出せるような資産価値保全策はない。森永卓郎氏は自己責任だから少額で練習したらと勧める。上がるだけあがって、昨年度の2倍近くになっている状況下で株式投資をやれというのだろうか?

 団塊世代はせっせと働いてそれなりの蓄えを残している者が多いが、預金が目減りするのはこまる。しかしリスクのない選択肢もなさそうで、そのまま預金しているとインフレかでゼロ金利状態だと、どんどん目減りする。

 昨日の日経オンラインニュースを紹介しよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2502N_V21C13A2EE8000/
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日銀の黒田東彦総裁は25日、経団連が都内で開いた会合で講演し・・・総裁はデフレ均衡の下では「物価が上がらないことを前提に行動することが企業や家計にとって合理的になっている」と指摘。「1社だけが価格や賃金の引き上げをすれば不利益になる」との発想から「多くの企業が同時に引き上げれば経済全体にプラスに働く」という発想へ転換させるのが大規模な金融緩和の狙いだと説明した。
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  金融マンは企業経営にはど素人のようだ。金融緩和の狙いが多くの企業が一斉に賃上げすることだというのだからあきれる。日本の産業構造も非正規雇用が40%にもなっている現状をご存じないらしい。どこの国の中央銀行総裁か?

 物価は現下どなっているのか?
消費者物価1.2%上昇 11月、6カ月連続プラス
http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2ICP01_V21C13A2000000/
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総務省が27日朝発表した11月の全国の
消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.7と、前年同月比1.2%上昇した。上昇は6カ月連続。11月のCPI上昇率が1%台に乗せるのは08年11月(1.0%上昇)以来5年ぶり。上昇率の水準は08年10月(1.9%上昇)以来だった
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  物価は総務省の予測システムQICKを超えて上昇し始めているようだ。昨年4月には80円/$、12月15日には85.11円/$だったが、昨日のレートは104.95円/$で、1年8ヶ月で31%の円安である。食料品や燃料費などが円安の影響を受けて値上がりしている。
 来年4月に消費税が現行5%から8%へと増税されるが、非課税部分の影響を差し引いても2~2.5%%くらいは物価が上がると推計されているから、円安分とあわせて3.5%程度の物価上昇はすでに確定しているといってよいだろう。

 かてて加えて、政府の借金額は1000兆円を超えた。物価上昇は金利の上昇を伴わずにはいないから、遅かれ早かれ金利は上がり始める。財政状態の悪い国の国債金利は3~7%である、そうなったら国債は暴落する。
 市中銀行は期間の長い国債を売り払って短期のものに買い換えてリスクを減らしている。どこが買ったのかというと日銀である。国債価格が暴落すると日銀は膨大な損失を抱えることになる。日銀の国際的な信用がなくなると円安に歯止めがなくなる。同時に金利上昇によって国債にかかる金利負担が上昇し始めるから、政府財政も破綻する。税収を全部国債の金利に当てても追いつかない時代が迫りつつある。国全体が夕張市以下になる。

 そうなったらインフレどころではない、公務員の大量失業と給与切り下げ、そして途方もないインフレが日本経済を見舞う。そういう瀬戸際に追い込まれつつあるというのが日本経済の実態だ。
 庶民にリスクをヘッジする手段はない。穏やかなデフレが数十年間働いてためた預貯金の最良のリスクヘッジだったことに、あとで気がつくのである。
 政権政党の座につくと、選挙公約とは真逆の政策を次々とやり始める。これでは議会制民主主義はないに等しい。
 そしてマスコミは原発事故問題と一緒で、大きなリスクを解説しない。いつのまにか政府にとって不都合な真実は語らなくなっている。80代90代の戦争を経験しているお年寄り達が心配している。特定秘密保護法案(治安維持法)が国会を通り、なんだか先の戦争前の状況に似てきた。


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#2540 アベノミクス批判:『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 [91.経済]

【小欲知足ということ】

 先週のNHKのビジネス展望という10分ほどの番組で、経済評論家の内橋克人が経済学者伊藤光晴の標記論文を紹介していた。
 この論文の副題は「安倍・黒田は何もしていない」である。紹介されていた論点は三つ、日銀の量的緩和策の効果と株高と円安である。
 アベノミクスは三本の矢で知られているが、①日銀による「異次元の」量的緩和策(目標値270兆円)、②大規模な財政投資、③成長政策だった。
 世間の大方の評価は①②がうまくいっているが、③が見えないというものだが、伊藤光晴は量的金融緩和は効果がないことと株高と円安は安倍・黒田によるものではないという三点を統計データを克明に追うことで論証しているというのである。
 内橋はそれらに一つ付け加えている。
「間違った経済理論は間違った政策を産む、そしてそれは深刻な副作用となって現れる」

 一つ目の論点は「異次元の量的緩和」は効果なしというもの。日銀による量的緩和で市中につぎ込まれた資金は、資金需要がないので市中銀行を経由して日銀当座勘定に積み上がっているだけだという。これは統計数字ではっきりしているから、それを挙げて論証したのだから議論の余地がない。

 そうした事実は他のアナリストや経済評論家も指摘していた。よく考えてみたらいい、設備拡張の投資資金を借りる企業がほとんどないということは、量的緩和策と成長路線の破綻を現しているということでもある。効果がないのに「異次元」の量的緩和を続けたらどういうことになるのか?投機資金に流れることになる。堅実・着実にやらなければならないときにミニバブルを現出してしまう。「浮利を追わず」という日本の伝統的道徳とは真逆の政策といいうる
(グローバリズムには誠に都合がよい、日米そろってゼロ金利策と膨大な量的緩和を続行中だから、ダダ同然でヘッジファンドが資金を手に入れ、思うがままに株式市場や商品市場で投機をやって相場を不安定にして、巨利を手にする。利益が出ているうちはいいが、ディリバティブは突然の大破綻を演出することになるのはリーマンショックの教訓である。ディリバティブは日本で400年前に生まれたときには米相場のリスクをヘッジする使われ方をしていたが、国際金融資本が使ったら巨利を手にする手段でリスクを増幅するものに変ってしまった。日本は商道徳の欠如した弱肉強食のグローバリズムを選ぶべきではない。急いで量的緩和の出口戦略を具体的に検討すべきだ。)

 民間企業の資金調達は銀行ばかりではない、資本市場での資金調達も有力な選択肢だ。30年前に比べると企業公開のハードルが低くなっているので、企業の成長に合わせて容易に資金調達可能だから、株式公開して十年前後で消えていく企業もある。したがって、銀行借り入れによって資金調達する企業の割合も減少している。地元の大地みらい信金も貸し先がなくて苦労していることは『財界サッポロ』での元理事長の発言を弊ブログ#2334と#2318(脚注参照)**でとりあげたことがある。

  道内のどこの地方も似たような状況にあるし、道内は日本全国の縮図でもあるのだろう。
 この項の結論は、日銀の量的緩和はブタ積み預金(日銀当座勘定をそう呼ぶらしい)を増やしただけで、民間に銀行借り入れの資金需要がないということ。したがって、日銀の量的緩和はブタ積み資金を増やしただけで、民間企業にお金は回っていない。黒田総裁は民間企業に投資資金が回って、設備投資がなされ、経済成長を側面からプッシュするというものだったはず。

 二つ目の論点は株高である。株高は昨年10月からはじまっていたと、株価の推移を詳細にトレースして結論付けている。民主党が衆議院選挙で負ける前にすでに株高がはじまっていた。リスク分散のために国際金融機関がアジア重視に方針を切り替え、中でも日本へ資金投資をし始めたというのだ。外人投資家による買い越しが昨年10月以来続いており、株高はそのためで、国内要因ではないと言うのがいとう論文の主旨。
 それをあたかも自民党が圧勝し、安倍政権になったから株高になったような論調のマスコミ報道が続いたのでそう思い込んでいるだけで、統計数値の推移を見る限りそうではない、その前から始まっていた。国際金融機関とくにEU諸国の金融機関のリスク分散が日本の株高の原因だということ。

 三つ目の論点は円安である。白川日銀総裁の時代に技術的に高度な手法を用いて為替介入を繰り返して11月以降に円安になるような仕掛けをしていたというのである。これはebisuには真偽のほどがわからぬ。

 わたしは中学生のときに自力で勉強して公認会計士になろうと決意し、根室高校商業科を選択した。家業であるビリヤードを毎日数時間手伝っていたから、大学へ行く経済的余裕などないと思っていたのである。勉強は好きだったから2年生のときから本格的に二次試験用受験参考書や専門書をそして哲学書を読んで勉強していた。その際に心がけたのは、一つの説があったらそれと対立する別の説を読むようにしていたことである。会計学では黒澤清と沼田嘉穂の両説、経済学ならケインズとマルクスという風に、すこし早熟だったのだろうが、その後ずっと習慣になっている。アベノミクスがもてはやされればされるほど、それとは異説に耳を傾けるべきだというのがebisuの意見(異見)である。

 株高や円安がアベノミクスによるものではないとしたら、安倍政権は間違った経済理論に基いて、大間違いの経済政策を実行しつつあるということ。見当違いの思い切った政策は深刻な副作用を生み出すことになる。それが来年から姿を現し始める。

 日本の人口は2000年代に入ってから長期縮小へと大転換してしまった。何が大転換かというと、縄文以来1.2万年の歴史で初めての人口縮小時代に突入してしまったということ。
 人口縮小に伴い国内経済も縮小し始めている。貿易収支はすでに赤字基調へと変り、経常収支尻も黒字幅が激減、まもなく赤字基調へと変るから、何もしなくても長期的な円安が現れるのは当然である。
 日本の基礎的経済力が弱体化しつつあり、成長路線はすでに幻想、無理をしてそういう政策を続けると、長期金利上昇でそう遠くない将来国家財政が破綻する。安倍政権の経済政策は特定秘密保護法案同様にエキセントリックで、危険だ。

  平時の歳出は税収の範囲内に抑え、将来の災害に備えて積立を行い、後世に借財を残さない。そういうことが保守的で健全なものの考え方というものだろう。
 「小欲知足」「浮利を追わぬ」を経済政策の根幹におくべきだ

 元の論文を読まないと話にならないから、経済学の重鎮、伊藤光晴翁(86歳)がどう言っているのか、『世界8月号』を取り寄せて読んでみたい。その上でもう一度とりあげることになるだろう。

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**#2334 大地みらい信金3期連続の増益そして地域経済は衰退 Jun. 19, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19
#2318 わけのわからぬ「根室市の家計簿」(1):広報ねむろより Jun. 2, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02

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*財界サッポロ2012年2月号より元理事長の発言部分を抜粋
http://www.zaikaisapporo.co.jp/kigyou/intervew/115.shtml

「不安があるから預金が増える。地元の中小企業も設備投資を控える。資金需要がない。われわれとしても融資先がない。どうしても預貸率は下がります。」

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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
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  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
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  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
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  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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#2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 [91.経済]

 1年前は80円/$だったが、現在は100円/$、25%の円安で、輸入原材料費は値上がりし、物価が上がり始めた。

 値段を価格に転嫁できないほとんどの中小企業は採算が悪化している。輸出産業の内のごく一部の大企業が潤っているだけ。円安にも関わらず数量ベースでは輸出は減っているし、下請けへの発注単価を上げるわけではないから、大企業に超過利潤がたまりだけで、下請けの中小企業は原材料費高騰で採算悪化に苦しんでいる。

 日本の企業経営史を見ると、土地の帳簿価格が取得原価評価だった時代は、業績が悪化したら保有不動産を売却すれば簡単に巨額の利益をあげてしのぐことが可能だった。
 株価が時価評価法に切り替わる前までは低価法を採用できたから、保有株式を売却することで無能な経営者でも「益だし」して苦境を乗りきれたのである。
 それが二十数年前から様子が変った。日本の経営者は非正規労働を増やすことで人件費を切り下げることで利益を増やし、切り下がったコストを価格へ転嫁して安値競争、シェア拡大に走ったのである。従業員を犠牲にして利益拡大に走るなどという文化は日本の商道徳にはかつてなかったものだ。企業経営者の倫理観が180度変わったことを意味している。無能で「自分さえよければいい」というのが、現在の企業経営者の大多数だ。この10年ほどで上場企業の役員報酬は2倍になったが、社員のリストラと非正規雇用割合(40%弱)の増大が続いている。

 ようするに、大半の日本の大企業経営者は社員をリストラし、非正規雇用を増やすというイージーな選択をして利益確保に走り、そうした経営政策に慣れきってしまった。長い目で見たら50年にもわたるこういう過程を経て能力のある経営者が日本の大企業からどんどんいなくなってしまったのではないだろうか。

 いまさら輸出産業の一部の業績がよくなっても、それ以外の企業がベースアップをするとか、非正規雇用を正規雇用に切り換えるとかいう流れが主流になろうはずもない。そういう経営をする能力はとっくになくしているのである。
 だから例外的な企業がベースアップするのみで、ほとんどの企業はあいかわらず、社員をリストラし非正規雇用を増やすことで利益確保に邁進するのだろう。
 この十数年で大企業経営者の年収は2倍になった、彼らは会社が雇用している人間のことなど考えていない、技術の担い手とか継承者ではなく単なるコストに見えているのである。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」だったはずが、「自分さえよければいい」という欧米流の強欲資本主義にどっぷり染まってしまって後戻りの出来ない状態になっている。不動産の含み資産も保有株の含み資産も、会計基準の変更でなくなってしまったから、丸裸の状態なのだ。

 すでに非正規雇用は40%に近い、このまま正規雇用が減少すれば、現場でいろいろなノウハウの継承ができなくなり、それは長期にわたって物づくり日本の基礎体力を奪っていくことになる。

 人口減少時代に突入し、そろそろ価値観を切り換えるべきだ。鎖国のような強い管理貿易体制を敷き、国内で製造できるものはコストを無視しても国内で生産して雇用を確保し世代間での技術継承をしっかり行う。
 日本にはあらゆる業種、あらゆる分野に職人が存在するから、世界一の技倆を磨き、正直で安心安全、高品質の製品をつくり高い価格で少量販売すればいい。
 生産拠点をコストの安い国に移すような比較生産費説と強欲資本主義の支配するグローバリズムとはさようならしたほうがよい。管理貿易と職人主義経済が日本のとるべき21世紀の選択肢だ。

 小欲知足、けっして浮利を追い求めてはならぬ
 仕事は正直に誠実に、そして渾身の力でやれ


 何かを決断する前に考えるべきこと、
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
 
決断はこの理にかなっているか?
 そして、迷ったときは原理原則に還る

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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2508 JR北海道 < レール検査データ改竄と賃労働 > Nov. 22, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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 #2422 「北の勝」の値上げとゼロ金利・量的緩和策は関係があるのか? Sep. 28, 2013 
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 #2420 打つ手なし:Abe offers no plan for water at Fukushima Sep. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24-1 

 #2419 消費税を上げる前に国民に理由の説明を!Questions surround sales tax raise Sep. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24

 #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

 #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

 #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

 #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

 #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

 #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

 #2305 株高の原因: Nikkei ends over 15,000 for first time since 2007
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-22

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

 #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2196 Cabinet OK's record 92,6trillion budget Feb.2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-02

 #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 20
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機:民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 




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