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#2753 上海福喜食品対米国産牛肉:どっちもどっち? july 30, 2014 [91.経済]

 たしかに上海福喜食品は悪い、生産工程で期限切れのカビの生えた肉を使っていた。だが、米国産牛肉は安全なのか?何を餌に食べて牛が育っているのか?

 潜入取材のはずが、工場で働く人が現場で作業をしながらカメラに向かった質問に答えているという不自然さは何を物語るのか?

 ロイターが24日に配信したニュースコラムでは次のようになっている。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0FU06A20140725
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 中国食肉問題、外国企業の隠れた「病巣」に警鐘

・・・ケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営する米ヤム・ブランズ(YUM.N: 株価, 企業情報, レポート)と米マクドナルド(MCD.N: 株価, 企業情報, レポート)には、中国企業・上海福喜食品から期限切れの食肉が供給されていた。上海福喜は親会社の米食品卸売会社OSIグループが厳しく安全を管理していたはずだが、古くなった肉の流出は防げなかった。

中国のテレビ報道で明らかになった上海福喜の工場での危ない習慣をヤムやマクドナルドが知っていた兆しはない。また、他の工場が影響を受けているという形跡もない。

しかし今回の問題は、特にヤムにとっては面目をつぶされた格好だ。KFCで使用していた鶏肉からは2年前にも過剰な抗生物質が検出されており、対策が強化されていたに違いないからだ。

過去の成功がこうした危機をさらに悪いものに見せる。外国企業の締め出しは多くの中国人従業員の利益にはならないが、それでも大手外資系企業は格好の政治的なターゲットとなる。また、消費者にとっては期待が裏切られたことを意味する。安全だという認識があるから外国企業に高値を払うというのは、中国の豚肉加工大手、万洲国際(WHグループ、旧社名・双匯国際)による米スミスフィールド・フーズ買収でも示されていたことだ。

しかし、成長は時として、過失の見過ごしも意味する。英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK.L: 株価, 企業情報, レポート)は、中国法人の贈賄事件で刑事捜査を受けている。グラクソは自社のコントロール外で贈賄が行われたとしているが、中国の複雑な官僚組織を解読する難しさを考えれば、外国企業のトップが本社で警告サインを見逃していても不思議はない。

他の大手外資も用心が必要だ。例えば、米金融大手JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)は、中国で政府高官の親族を採用するなど不適切な慣行があったとして、米当局の調査対象になっている。米国では当局との和解もあり得る話だが、汚職撲滅運動を強化する中国ではより厳しい調査を受ける可能性もある。   続く...
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<品質管理体制の問題>
 中国の会社に食品生産に関わる仕事を委託するときは、定期的なチェックではだめだということだろう。品質管理要員を数名常駐させて監視しなければいけないということ。コストアップになる。
 マグドナルドは世界中から一番安い原材料を調達するのを社是としているようだ。品質は問わないというわけではないだろうが、20年以上も前から、いろいろと噂はあった。それが現実になった。
 日本マグドナルドは今年の売上がどれぐらい落ち込むか予測のつかない状況がしばらく続く。コスト最優先で世界中から原材料を調達しているから、何が混ざっているか知れたものではない。消費者の信頼を取り戻すために、どういう具体策をとるのか注目したい。
 根室にはマグドナルドがない、あるのはモスバーガーだけ。最近、釧路のマグドナルドで食べた中学生が、「マグドナルドはもうたべない」と言っていた。
 利潤増大が至上目的になるとこういうことが起きる。

 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

<商売にかかわる価値観の相違>
 品質管理は定期的に実施すればそれで十分だというのが日本国内の企業。帳簿の改竄までして偽装するなんて商売は基本的にやらないのが日本の企業。しかしそれも怪しくなっている。食肉偽装事件は日本でも起きている。起こした企業は買い手の信頼を失いつぶれている。

 会社ぐるみで偽装されたら、発注元の会社のチェックは効果のないものになる。そういう不正はしないという信頼関係でビジネスが成立っているのだが、その基本のところが信頼できないのでは、取引をやめたほうがいい。

 食品に関しては自国で生産したものを消費するのが一番いい。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という価値観を共有している者が加工していれば安心だ。もうかりさえすればなんでもありという価値観があたりまえの国で生産された食品は危険だ。
 食品生産に関しては、鎖国が望ましい。グローバリズムは食品の安全性に関して大きなリスクを孕んでいる。

<知らぬが仏>
 中国の食肉問題など小さいかもしれない。米国では食肉に関しては'rendering plant(動物飼料精製工場)'が一つの産業として確立している。そのひどい実態は上海福喜食品など物の数ではない、実態を知ったらあなたは米国産牛肉を食べることができなくなるだろう。
 レンダリングプラントには屠殺場で処理されて廃棄された内臓や頭部が運び込まれている。大腸には糞便が詰まっている。頭部にはもちろん脳も含まれている。保健所で殺処分されたペットもレンダリング業者が引き取る。道路で死んだ犬や猫や鳥や馬や鹿や熊・・・。病気で死んだ牛もレンダリング業者が引き取る。それらすべてを粉砕して蒸気で熱処理されて肉骨粉という半製品ができあがる。その半製品はペットフードや家畜飼料に混ぜられる。
 狂牛病の原因は異常プリオン蛋白だった。感染原因はウィルスでも細菌でもない。それは煮ても焼いてもだめだ。1g食べただけで人間にも感染する。そういう飼料を食べて米国の牛は育っている。グローバリズムとはそういう風にして低コストで育てられた家畜が屠殺されて、食肉として世界中の家庭で消費されるということだ。

 なにもしらずに食べてはいけない、米国の牛は何を食べて育っているのかを知ろう。

<グローバリズム対鎖国>
 グローバリズムはごめんだ、食品に関しては純国産がいい。値段が高くとも安心安全な日本産の食肉を食べよう、いや、肉食はできるだけ少なくして魚や植物原料のものを食べよう。
 食品の安全性のリスクが大きいTPPは不要、鎖国(強い管理貿易)が日本のとるべき道だ。

*アメリカ産牛肉の実態
http://agri-1.com/2012/04/post-266.html

 レンダリングプラント
http://blogs.yahoo.co.jp/dede925jp/50587652.html

 「屠殺・・・解体される牛」「生きたままシュレッダーにかけられる病気の牛」
http://saisyoku.com/index.html


 レンダリング工場の閉鎖された日
http://www.fujikagaku.co.jp/rendering/whats-rendering/post_25.html

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 2002年に出た本だがすでに絶版になっている。米国の肉牛生産の実態がレポートされている。

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#2743 藤原直哉(後編):21世紀の展望 July 22, 2014 [91.経済]

 民主党政権、いやその前の自公政権時代から政治も経済も行き詰まりを見せており、アベノミクスの「三本の矢(財政出動、異次元の量的緩和、成長戦略)」でも根本的な改革ができない。国債と地方債をあわせた残高が2014年度末には1000兆円を超え、日銀の国債保有残高が6月に200兆円を超えたが、経済実態はよくなっていない。
 藤原はそうしたfacts(事実)に基く現状分析に続いて、日本がとるべき戦略を述べている。

2.世界の支配構造の変化と日本経済の展望
 いままでとは違う方向に日本は向かう。現在の国際金融システムはもたない。
 ユーラシア大陸では上海にBRICSの投資銀行ができた。日本も昔あった日本興業銀行のような投資銀行をつくって日本再生をすべきだ。
 政府財政が破綻状態だから、財政出動での日本再生という選択肢はありえない、そういう意味では国債を増発してばら撒くことしかできない既存の政治家や官僚は新しい時代を拓く仕事の担い手とはなりえぬ。濡れ手に粟のごとく浮利を追う国際金融資本にも頼るわけには行かない。自前でやるしかない。

 資源・食糧・環境対策・ずっと少ないエネルギーで幸せを得られるような文明の再構築をやる。都市計画も産業配置も交通体系もライフスタイルも根本的に低エネルギー型に変えていく。第2次産業を含めて産業を再生して本格的な21世紀社会に必要なモノやコトをつくれるようにする。金属・ナノテク・微生物をつかった触媒技術が鍵だ。財政資金は使えないから大リストラが生じる。
 
 21世紀はイスラム国家の勃興の時代となる。イスラム国家に対してユダヤ教国家(イスラエル)、キリスト教国家(EUと米国)、中国が対峙する時代となる。
 そういう中で、組織や国家を守ろうという力が失われ欧米と日本に虚無感が漂っているが、2番底で完全に無力化が生じるのではないか。欧米とに本は今までの流れが終わりであることを悟っているのではないだろうか。
 新しいリーダがでてくるだろうというのが、藤原氏の意見である。


 藤原の言う「文明の再構築」は新しい経済学を必要としている
 それは労働価値説から自由になった経済学である'職人主義経済学'を根本現理とする経済社会の創造ということになるだろう。30人から100人くらいの中小企業が技術の高さにより大企業に優る経済社会となる。マジメにコツコツと技術を磨けば安定した生活が手に入るまっとうな社会、センター(東京)だけが栄えペリフェリ(周辺=地方)が衰退する経済社会ではなく、地方の時代、地域の時代が来る。'職人主義経済学'の概要は前回のべた

 技術を大事にし、マジメに誠実に仕事をする者たちが報われる経済社会。その価値観は
 ■ 正直に誠実に渾身の力で仕事する
 ■ 小欲知足
 ■ 売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし


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*#2742 藤原直哉(前編):物価と景気動向⇒二番底が来る July 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-20-1

 #2731 10年間で33%農業人口が減少している日本の農業 July 11, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-11

 #2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

 #2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

*#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-31

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

  #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 
#2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2731 10年間で33%農業人口が減少している日本の農業 July 11, 2014 [91.経済]

 台風8号が熱帯低気圧に変わり東北海上を北上している。釧路・厚岸・根室の雨量は午前中に130mmを超えた。午後からは50mm/時のはげしい雨が降ると12時の予報あり。道内の道路や鉄道はいたるところで寸断されている。

<現在161万人の農業人口は20年後72万人へ減少する>
 さて、本題である。7月2日のNHKビジネス展望で慶応大学の金子勝教授が農業をとりあげていた。現状を分析し、データのも続いて先を読み、適切な手を打てば、将来起こりうる問題は最小限にしたり、回避したりすることができる。金子氏の分析と先読み、そして提案を聞いてみよう。

 農業の就業人口は161万人、この10年間で33%の減少だという。その内訳は75歳以上が3割、65歳以上が6割を占めている。同じ割合で減少するとすると、次の10年間で2/3の107万人、20年後には72万人となる。日本の農業の担い手が急速に消失していくが、そのことがさまざまな問題を惹起することになる。金子氏がとりあげていたのは次の三つ。

①耕作放棄地の増大
②農協組織がこのままでは消滅しかねない
③食糧自給率の急激な低下が生じる

 金子氏は規模拡大による競争力強化という政策に理由を二つ挙げて疑問を呈している。
 ひとつは、耕作放棄地の大半は山間部に点在していて、機械化に適さないこと。二つ目は平地の水田や畑をまとめ、規模拡大をはかっても、国際的な競争力強化にはならないことを平均耕作面積を挙げて説明している。

 日本       1.9ha
 ヨーロッパ 50~70ha
 米国        200ha
 オーストラリア 3000ha

 なるほどこれでは、規模拡大をしても焼け石に水で、勝負にならぬ。
  森林面積割合が2/3の日本、この比率はフィンランド、スウェーデンに続いて世界第三位。日本は平野部の耕地面積の少ない山林王国なのである。
*日本の森林面積と森林率
http://www.shinrin-ringyou.com/forest_japan/menseki_japan.php

 おまけにいま安倍政権が躍起になって推し進めているTPPで農産品は価格低下が起きるから、資本を投下して大規模化してもとても採算に合わぬ。これからの10年間は大規模農家がコストアップと価格低下のダブルパンチで離農し始めるだろう。生き残れるのは小規模兼業農家となる。
 大規模化という農業政策の方向では日本の農業は20年で現在の半分以下(44%)に縮小してしまう。農業人口が半分になれば、農協組織の大半は崩壊する。
 農業人口の減少率は総人口の減少率をはるかに上回って進行しているから、食糧自給率は20年後には現在の半分以下になりそうである。

<食糧自給率20%となったとき必要量を輸入できるか?>
 貿易収支は3年連続で赤字が続いており、日本の経済基盤が大きく変化している。経常収支も今年か来年には赤字に転ずる。経常収支が構造的に赤字に転ずれば長期的に円安が生じるから、円ベースでみた穀物価格はどんどん値上りする。国際穀物市場には中国が大きな買い手として登場しているから、穀物先物相場は投機によって値上がりしやすい。
 このままでは私たちの子どもや孫は20年後に、2倍に値上がりした食料品を前にしてお腹をすかしている。
*「世界の食肉買いあさる中国 日本は「官民一体」で安定調達を」7/12産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140712/chn14071211000002-n1.htm
=================
・・・日本は1984年以降、世界最大の農産物純輸入国(金額ベース)だ。大手商社の食糧調達網は世界に広がり、日本の食糧安保にも大きな役割を果たしているが、近年は隣国・中国が攻勢をかけ、世界中で日本の調達先を浸食している早期の資金回収を株主などから求められる大手商社が、国をあげて買収攻勢をかける中国勢と正面から勝負するには限界がある。・・・
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<大規模農業は正しくない>
 金子氏は米国の農業を例に挙げる。遺伝子組換え作物を使い、種をヘリコプターで撒き、メキシコからの移民を労働力として使う農業は正しいのかと疑問を呈する。

<安心安全という社会的価値を産み出すことが日本農業のとるべき道>
<< 6次産業+エネルギー兼業 >>
 日本は6次産業化(作物を作る(1次産業)、加工する(2次産業)、レストランなどで付加価値をつけて売る(3次産業)、あわせると1+2+3=6次産業)+エネルギー兼業化を図れと提案している。
 環境にやさしく安心安全という社会的価値を産み出すことにスポットライトをあてる。エネルギー兼業とは、山林の間伐や家畜の糞尿を利用したバイオマス発電、農業用水路を利用した小型発電、休耕地を利用した太陽光発電などだろう。

<先を読み適切な手を打てば、問題は起きない>
 データに基いて先を読み、人口縮小時代に合致した経済・社会政策を選択すれば、将来の問題を小さくできる。日本がとるべき道は、食糧の安心安全生産という社会的価値を産み出すことにある。そのために強い管理貿易=鎖国の道を選択すべきだ。欧州や米国やオーストラリアの農業と日本の農業を切り離すべきだ。異なる価値観で日本にふさわしい社会的価値(安心・安全)を産み出すような経済運営を選びたい。
 安倍政権は人気取りのために目先の株価を上げることばかりに目を奪われていないで、10年先、30年先、百年先を読んで適切な手を打つべきだ。
 恣意的な政策ばかり並べて、30年先を見ない(民主党前政権に続く)現政権も「亡国の政権」であろう。人口縮小時代という縄文時代以来日本列島がはじめて迎える大きな時代の転換点が理解できていないアベノミクスの成長戦略は幻想に過ぎない。国のリーダは自分の利害を考えてはいけない、もっともっと大きな心で思考しないと判断を間違える。

<根室の水産業や農業にも応用可能>
 金子教授の提案は根室の水産業に応用できる部分があるのでは?
 根室市役所総合政策部や地元経済諸団体は具体策を考えてみたらいかが?
 金子の提案は1980年代に現れたマイケルポータ経営学をベースにしているようだ。

 「社会的価値」+「経済的価値」という戦略選択

 日本には「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」という伝統的商道徳があるから、マイケルポータの学説は当たり前すぎて、日本の伝統的経営哲学の焼き直しにしか見えぬ。


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*#2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

 #2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2705 武器輸出・原発輸出・カジノ: あきれた成長戦略のナカミ June 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18

 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
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 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
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 #2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
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 #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
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 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
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 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
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 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
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 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
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 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 [91.経済]

1.<わたしたちの年金資産は大丈夫か?>
 年金基金管理運用独立行政法人(GPIF)は130兆円の年金基金資産を保有している。安倍総理は年金基金の20%を国内株式投資に使おうと目論む。
 株価が高ければアベノミクスが成功しているという幻影を与えることができるからだ。米国は年金基金を株式投資に使うことを禁じている。

2.<基金が来年度80兆円増え、42兆円が市場に投下される>
 7月8日NHKラジオ番組「ビジネス展望」で内橋克人氏が次のように警告している。
 来年10月に公務員の年金基金(30兆円)と百を越える独立行政法人の年金基金(50兆円)が厚生年金に統合され、GPIFの保有資産が210兆円になるから、そのうちの20%となると政府機関保有の上場株式は3倍弱に増えることになる。
 
 GPIF保有資産の内訳は次のようになっている。
 国内債券 60%
 国内株式 12% ⇒ 20%へ
 外国債券 11%
 外国株式 12%
 短期資産  5%

 国内株式への投資額
   130兆円*12%=15.6兆円
 これが年金基金の統合によって保有資産が210兆円になると、運用額は
   210兆円*20%=42兆円

 内橋氏によればすでに3月4月とGPIFは国内株式を買い増している。株価の動きは次のようになっている。
   2月末の日経平均 14,841.07円
   3月末の日経平均 14,827.83円
   4月末の日経平均 14,304.11円
   5月末の日経平均 14,632.38円
   6月末の日経平均 15,162.10円

  BIS規制で大手都市銀行が9兆円の株式を売却処分しているさなかに、GPIFが買い手に回り株価暴落を防いでいた、見事な連係プレーだしかし、預っているだけの厚生年金基金をこんなにあからさまで恣意的な運用をしていいのだろうか?

3.<日銀の国債保有が2倍になった:暴落リスクあり>
  安倍政権になって日銀保有国債残高が110兆円から210兆円へ100兆円増えている内橋氏はこの点に大きなリスクがあるという。物価が2%アップなら、長期金利が3%の上昇するというのが金融専門家の一致した見方だという。長期金利が3%になれば国債は暴落し、日銀は大きな損失を出すことになり、国際通貨としての円への信頼が揺らぐ。

4.<政府機関が大量に上場株式をもったら、それは政府による企業支配>
 そもそも政府機関が上場株を保有してはいけない、共産主義ではあるまいし、政府が上場株を買い占めたら、国有会社になってしまい、株式市場や企業経営の健全性が失われる。
 昨年12月の東証1部上場株の時価総額を調べてみた。4,593,710億円となっている。
*12月26日日経新聞
http://www.nikkei.com/markets/kabu/summary.aspx?g=DGXNASFL260RJ_26122013000000


 このときの日経平均は、16,291.31円だから、6月末の15,162.10円で計算すると
 4,593,710*15,162.10/16,291.31=4,275,303億円

 もしGPIFが42兆円もの東証1部上場企業株式を保有することになれば、そのシェアーは
    42兆円/427兆円=9.8%

 会社によっては三分の一を越すような大株主になりかねない。10%でも上場企業にとっては大株主で、経営に強い影響力をもつ。取締役の選任についても保有株式を盾にいろいろな要求が可能になる。企業の合併などもGPIFにお伺いを立てることになる。自由経済ではなくなるということだ。

5.<買い入れた株はいずれ売却することになる>
 もう一つの懸念は年金受給者が急増するので、GPIFは年金資産を売り払って支払に充当しなければならぬ。一旦保有した42兆円の株を恒常的に売り続けることになるから、長期的に見たら株式市場は暴落必至となる。高値で買った株が暴落すれば年金基金に10兆円を超える巨額損失が発生する。株価が半分の7500円にならない保証はない。

6.<日本経済の基礎構造の変化に対応できないアベノミクス>
 貿易収支は3年連続で赤字で、経常収支は今年度に赤字に転落しかねない様相を呈している。これは一次的なものではなく盛りを過ぎた日本経済が縮小することで起きる現象だ。経常収支が赤字に転ずれば日本からお金が出て行く。
 原油価格は3年半連続して100ドル/バーレルを超えている。イラク情勢の混迷化によって120ドル越えが懸念されている。ガソリン200円/リットルが数年の間に現実になるのだろう。原油価格は10年前までは30ドル/バーレル以下だったが、中国やインドの需要増大でこの十年間で3倍強に値上がりした。燃料用灯油も上がり北海道に住む私たちに深刻な影響が出る。
 人口は2040年には1億727万人(2014年1億2694万人)へ減少し、国民一人当たり所得が同じだとしても経済規模は15.5%小さくなる。社会保障・人口問題研究所の推計によれば、46年後の2060年に日本の総人口は8673万人(68.3%)に縮小している。
 経済の基礎構造が大きく変わりつつあることをわたしたちは自覚しなければならない

7.<浮利を追う安倍政権の危うさ>
 安倍政権は人気取りのためにやっきになって株価を一時的に上げようとしている。消費税増税、ゼロ金利や異次元の量的緩和、法人税減税そして世界最大の年金基金GPIFによる買い出動、これらは住友家の家訓などが禁じている「浮利」を追う行為だお家がつぶれてしまうから禁じている、家訓を忠実に守ってきたから住友家は今でも安泰だ。ところが家訓破りをアベノミクスと称して政府が躍起になってやっているのだから、後がどうなるかは明らかだろう
 長期金利が上昇し、日銀や金融機関が保有している国債が暴落し、国際通貨としての円への信任が失われ、政府財政は破綻、日本経済はクラッシュすることになる。

8.<経済運営のもとをなす価値観の転換が必要>
 東北大震災のコンクリート堤防造りはやめ、宮脇昭翁が提唱する緑の森の堤防造りをすべきだ。東京オリンピックは辞退でよい。
 人口が縮小しつつあるのに大きな施設は要らぬ。26年後1億人の人口を前提にしてインフラのグランド・デザインをしよう。高速道路網、鉄道網、道路網、電気・水道・ガス・公共施設などの配置を見直そう。高速で進む少子高齢化と人口減少時代に成長戦略はいかにもふさわしくない。経済成長はいらない。
 拝金主義から脱皮し、鎖国(強い管理貿易)をして国内に雇用を創りだそう。「小欲知足」、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」で生きていけばよい
 ほとんどの高性能・高品質の工業製品を自国で生産できる国は日本だけかもしれない。人口を半分にできたら工業製品も農林水産製品も自給自足が可能な唯一の国だとしたら、やってみせたらいい。そしてそのシステムを丸ごと世界中に輸出すればいい
 人口縮小時代にふさわしい価値観の国を創りだすときがきている。労働価値説に基く西欧経済学が行き詰まるべくして終焉を迎えている。それにかわる職人仕事経済学の時代だ。人口が半分になれば、週休3日、趣味で兼業農家をやればいい。人口が半分なら電力需要は激減するから、原子力発電なんて必要なしだ
 どういう経済社会に住みたいかを考え、それを実現するために智慧を絞ろう。日本の時代がやってくる、判断を間違えなければ未来は明るい


9.<余談>
 安倍首相がオーストラリアへ外遊し、かの国の国会で演説をした。英語の原稿棒読みだが、ジェスチャーを交えてなかなかうまい。日本の国会では説明していない集団的自衛権をしっかり宣伝していた。防衛とTPP問題でオーストラリアとの連携が強くなりそうである。仲間内(故ヤシキタカジンの番組や与党内)での説明はストレスがないから得意満面、オーストラリアでも批判が起きる心配がない。そうした場での得意満面(躁状態)の演説をみると、第一次政権末期のあの冴えない顔が二重写しになる。困難な状況に立ち至った(鬱状態の)ときに別の顔が出てきてしまうのがこの人の弱点なのだろう。芯の弱さと裏腹の関係にある得意満面の演説。政権に人気をつなぐために株式相場を維持・上昇させることに躍起になっていること自体が、弱点を隠したくてもがいているように感じる。
 「浮利」を追うがごとき愚かな政策は一切停止、人口縮小時代に最適な経済縮小を前提にした政策論を展開するだけの勇気と腹をもってらいたい。
 かつては「美しい日本」という看板を掲げていたではないか、平常心をとりもどし、日本の伝統的価値観のなかに新しい時代を開く鍵があることに気がついてほしい。

*「豪首相「日本は法の下で行動してきた」 歴史問題で批判を繰り返す中国を強く意識」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140708/plc14070822310026-n1.htm


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*#2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2705 武器輸出・原発輸出・カジノ: あきれた成長戦略のナカミ June 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18


 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
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 #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
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 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
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 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
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 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
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 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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#2727 金融機関に法人税減税5.4 兆円の事実をあなたはを知っていたか? July 6, 2014 [91.経済]

 根室は7月がお盆である。北海道では函館と根室のみ。8月は金刀比羅神社のお祭りが9日から3日間あるから、そのあと13日から休むわけにはいかないという漁師町の事情があるのだろう。しかし、歯舞は8月がお盆。
 今日は天気がよかったので、市営墓地までお墓の掃除に行ってきた。雑草を抜いて、石粉を撒いて墓石を拭いてきた。なんだか気分がすっとしている。
 ■1北斗小学校のグラウンドでカトリック幼稚園の運動会が、花咲小のグラウンドでつくし幼稚園の運動会が開催された。朝は曇っていたが、お昼頃には晴天だったから子どもたちは日焼けしてマッカッカになっただろう。花咲小学校と成央小学校そして北斗小は先々週(6/22)運動会だった。
*コメント欄にカトリック幼稚園の運動会ですと書きこんでくれた親切な人がいました。謹んで訂正いたします。

 さて、本題に移ろう。リーマンショックが2008年だった、その際に日本の金融機関がどれほどの損失を出したかご存知だろうか、おそらく記憶にないだろう。なんと1490億ドルである、現在のレート102円/$で換算すると約15兆円もの損失を出した。■2
 ■3
 大きな仕掛けがあった。巨額損失15兆円は「繰延税金資産」という勘定科目で処理され、その後5年間に渡り利益と相殺され続けている。
 繰延税金資産の有効期間は5年間だから、2008年度決算で生じた損失15兆円の繰り延べは2013年度(2014年3月期)までであったが、2012年に法律を改正して繰り延べ期間を2年間延長し7年と改めた
。至れり尽くせりとはこういうことをいうのだろう。これで15兆円の利益が圧縮され、法人税支払が免除されたのである。実効税率(法人税+法人住民税等)を36%と假定すると、5.4兆円の免税となっている。■4
 政府は消費税の3%値上げによる平成26年度増収分を5兆46億円と答弁している。5.4兆円の大きさがわかるだろう。
*http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b186101.htm

 法人税の実効税率は利益の約36%であるが、経済界は法人税本体の税率30%を20%に減額要望している、安倍政権はこれに応えて法案を提出するつもりのようだが、繰延税金資産勘定を利用することで金融機関は7年間で約5.4兆円の減税措置を受けている。この制度はずっと有効だから、二度目のリーマンショックが起きても大手都市銀行は安泰である。また税金の減免で自己資本の増強を図ればいい。
 こういうことは金融機関の経営にモラルハザードを招く。ハイリスクの金融派生商品に手を出しても、万が一の大損失には税金の減免がまっている。

 法人税収はリーマンショック後6兆円に減少したが、通常は年額8兆円から10兆円である。法人税率を20%に下げることでさらなる減税をするのだ。消費税は4月に5%から8%に引き上げられ、来年10月には10%へ再引き上げされる。大震災の復興税はすでに免除されている。

 金融機関に限らず、法人は「繰延税金資産勘定」を利用することで、法人税の大幅減税がすでになされているのである。そのうえ30%の法人税を20%にまで下げようというのだから、その強欲さには空いた口がふざがらぬ。金融機関に限らず企業経営者たちはモラルハザードを起こしている。
 政府財政は1000兆円を超える国債残高を抱えて青息吐息なのだから、法人も応分の負担をして財政健全化に貢献するというのが日本の企業のとるべき道だ

 財界人の中から国の行く末を憂い、財政健全化のために法人税率を40%に上げようという意見が出てくることを期待したい。経営者は強欲な人間ばかりではない、まともな人も少なくないだろう。いるならぜひ声を上げてもらいたい

 「小欲知足」
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」


*リーマンショック後の経済金融危機における財政投融資の対応財務省理財局財政投融資課資料)
 15ページに日本の金融機関が被った損失が1490億㌦(米国の金融機関は2兆7120億㌦、日米欧合計で4兆500億㌦の損失)と推計されているのでご覧戴きたい。世界の金融機関はハイリターンを求めて非常にリスキーな投機ゲームをしている。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/proceedings/material/zaitoa230621/03_3.pdf


*繰り延べ税金資産(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B9%B0%E5%BB%B6%E7%A8%8E%E9%87%91%E8%B3%87%E7%94%A3

*法人税の実効税率
http://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section3/page3.html


<6日21時修正完了>
 法人税および法人住民税などの現行税率とそれを考慮した実効税率を調べたところ、考え違いがあったので数箇所削除・修正しました。
 とりあえず、記憶している情報に基いてブログを書いてアップしてから、念のためにネットで関連情報を検索してチェックするようにしています。ですから、数時間後に必要に応じて、削除・修正・加筆作業をしていますので、ご了承ください。
 漢字変換ミスもよくやっるので、アップしてから一両日は訂正や加筆をしています。自己チェックですから、すこし時間をおかないとミスが検出できないのです。(笑)

 ついでだから、考え違いの内容も書いておきます。
 ①実効税率のナカミに法人住民税が含まれていたことを忘れていました。⇒’実効税率'をネットで検索、確認
 ②損失額の15兆円がそのまま法人税と相殺になると早合点がありました。実際には利益と相殺されるので、浮いてくる法人税は利益の額の36%ですから、金融機関が手にする減税額は、
  15兆円×36%=5.4兆円
という計算になります。簡単な算数ですが、算数はいろんなところで役に立っています。早とちりや式の間違いに注意しましょう。それには事前チェックと事後チェックをすること、事後チェックは少し時間をおいたほうが客観的にやれます。

<7日23時訂正>
 コメント欄にHN「時白須」という方から本文中に事実誤認の箇所がある旨の指摘がありました。その通りなので、該当箇所に二重線を引いておきます。
 時白須さんへ感謝申し上げます。

<8日8時修正>
 読みづらいので、削除部分を以下へ移動する。該当箇所へ番号をつけてどこから移動したか明らかにしておく。

■1北斗小学校が運動会だった
■2BIS規制をクリアできないほど自己資本が毀損し政府が資本増強した。そのご金融機関はこの株式を全部買い戻しているどうして短期間でそんなことが可能になったのか、カラクリがある
 一つは振り込み手数料など諸々の手数料を数倍に値上げした。他の業界でそんなことができるはずがないが金融機関は足並みを揃えてやった。独禁法に抵触しないのが不思議だ
■3一つは振り込み手数料など諸々の手数料を数倍に値上げした。他の業界でそんなことができるはずがないが金融機関は足並みを揃えてやった。独禁法に抵触しないのが不思議だ
■4大手都市銀行は政府にもってもらった増資分の株式を法人税を免除されることで買い戻した

 移動後の文章は論旨明解で、余分なものが取り払われ、前の文章よりもずっとよくなった。もちろんHN「時白須」さんのコメントのお陰である。

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#2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 [91.経済]

 年金基金管理運用独立行政法人(GPIF)は130兆円の年金基金資産を保有しているが、それを成長戦略に使うというのがアベノミクスだ。
 本来株式投資に使ってはいけないものである。米国は1999年にクリントン大統領が議会へ法案を提出したが、FRBのグリーンスパン議長や議会の反対に遭い、法案は流れている。だから米国は年金基金は米国債に限定して運用されている。

 GPIF保有資産の内訳は次のようになっている。
 国内債券 60%
 国内株式 12% ⇒ 20%へ
 外国債券 11%
 外国株式 12%
 短期資産  5%

 国内株式の比率を12%から20%に引き上げるために、10兆円の株式購入をしろというのがアベノミクスだ。日銀同様にトップの首を挿げ替えればいくらでも方針の変更はできるだろうが、それはやってはならぬこと。
 リスク資産への運用ではないが、全国各地に建てた1件当たり数百億円の保養施設も法外な安値で売却処分して年金基金を毀損した。これはもともと天下り先を作るために厚生官僚がやった仕事だ。当の本人はもちろん、関係した者たちは誰も責任をとらなかった。2008年のリーマンショックで年金基金は9兆円の損失を出した。2011年の欧州信用不安では3.7兆円の損失(外国株式2.7兆円、国内株式1.16兆円)を出しているが、もちろん誰も責任をとらぬ。
 だから年金基金をリスク資産で運用してはいけないし、米国も公的年金を株式で運用することを禁じているのである。
 こんなことをしていたら年金基金がどんどん毀損してやせ細る。20年以内に年金支払ができなくなるのだから、基金が毀損したって結果は同じことぐらいに思っているのかもしれない。

 アベノミクスは金融緩和により株価を上げることでなりたっている。これが暴落寸前だったことをマスコミは報じていない。BIS規制の経過措置が6月30日で切れるのである。その前に大手都市銀行は保有上場株式の半数を売却処分しておかなければならない。

 大きな銀行に関しては自己資本比率を8%以上に保持するという国際的な取り決めがあり―それを「バーゼル合意」通称BIS規制という― 保持すべき自己資本比率を規制することで、リスク資産の保有を制限しているのである。
 メガバンクに対するBIS規制(バーゼルⅢ)が7月から変更される。リスク資産が7月から2倍のウェイトで計算されるので、自己資本比率を維持するためには保有株式の半分を売りに出さないといけない、メガバンクはそういう状況にあった。
 メガバンク3行だけで9兆円の株式を放出しなければいけない。GPIFが買い手に回って買い支えないと、6月末に日経平均は暴落10000円ということもありえたのである。GPIFの買い出動によってメガバンクは大損失をまぬがれたといえる。なんのことはない、アベノミクスの成長戦略の一つである、年金基金資産による10兆円の株式購入はメガバンク救済策だった。

 証拠をお目にかけよう、金融庁が出した通達がネットにある。
*「主要行等の監督評価項目」
http://www.fsa.go.jp/common/law/guide/city/03b.html

 読みづらいので、大和総研が昨年11月に出した資料をみてもらいたい。たいへんわかりやすくなっている。
*「バーゼルⅢと政策保有株式」
http://www.dir.co.jp/library/column/20131125_007921.html

 リスク資産のウェートを100%で評価できる経過措置が2014年6月30日で切れると書いてある。メガバンクは6月末までに9兆円の株式を市場で売却処分しているのだろう。GPIFの買い出動で日経平均は少し上昇しているから、メガバンクはホクホク。日本経済は縮小しつつあるから、長期低落傾向が次第にハッキリしだすから、GPIFは数兆円の損失をこうむることになる。結果から眺めてみたら、年金基金から数兆円をメガバンクにプレゼントしたことになる。
 GPIFの保有する年金資産を使って株価を維持することが成長戦略だという。かようにどす黒いメガバンク救済策が成長戦略という美名で糊塗されてしまうのがアベノミクス成長戦略の正体であるとしたら、「極悪非道の経済政策」といわれてもしかたがない。今日もとくとくと自らの成長戦略を述べていた(注-1)が、失礼ながら、総理は質の悪い経済ブレーンに踊らされている猿回しのお猿さんに見えて仕方がない。高齢化と人口縮小という大きな時代転換のときに総理大臣を担当しているのだから、後世の批判に耐えうるようなまともな経済政策を立案できるブレーンをもつべきではないのか?
 GPIFの保有資産を株式購入に投ずることは経済成長とは何の関係もない、こんな子供だましのレトリックに大人がだまされては子供たちや孫たちに申し訳がない。

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注-1:「安倍首相のインタビュー詳報-成長戦略、カジノ、デフレ脱却」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7ODNA6JIJUY01.html

  6月25日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は24日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで、成長戦略、カジノを含む特定複合観光施設(IR)、デフレ脱却などについて次のように語った。

-成長戦略の経済的な効果について。

「この1年間でさまざまな大改革が着実に進んでいる。約60年間、独占が続いてきた電力小売り市場の完全自由化を決めた。40年以上続いてきた、いわゆる減反を廃止することを決定した。社外取締役選任等のコーポレートガバナンス強化のための法律は成立した。1兆円規模の設備投資減税や法人実効税率の引き下げについて方向性を決めることができた」

「私の改革には終わりはない。安倍政権は新たなチャレンジに向かって進んでいく」 ・・・
---------------------------------------------------


* #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

*#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-31

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

  #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 
#2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2705 武器輸出・原発輸出・カジノ: あきれた成長戦略のナカミ June 18, 2014 [91.経済]

 掛け声ばかりで成長戦略の具体案がさっぱりなかったが、でてきたと思ったら「掟破り」のあきれたものばかり。
①日本製の武器輸出
②日本製の原発輸出
③カジノを全国各地につくる


 ①⇒パリで武器の見本市が開かれており、日本から12社が出品している。日本は技術水準が高いから、民生用の製品の中に軍事転用できる技術がいくらでもある。輸出された高性能武器は敵対するA国とB国に渡り、戦争に使われる。民政技術の転用なら安く生産可能だから、高性能で品質の安定した日本製武器はたくさん売れ、たくさんの人が死ぬことになる。そういう現実を生み出しながら武器を生産する日本企業はたくさん儲けることになる。
 ②⇒最終処分場など地球上のどこにもないから、原発から排出される使用済み核燃料はいずれ人類に刃を向ける。輸出された原発が事故を起こしたときに、安倍総理や原発を製造した企業が責任をとれるのだろうか?福島第一原発事故は3年たっても収拾がついていないし、いつ収拾つくのかすらもわからない。百年後、それとも五百年後?安全と宣伝して販売する企業や国は事故が起きたときの責任をとれるわけがない。いまフクシマでは除染すらできていない。3年間で除染に使ったお金はたったの167億円だ。全部やったら500兆円とも言われているから、ほとんどやる気がない。やっても放射線量が半分程度に下がるだけで住むには適さない。除染しても他の場所に放射性物質を集積するだけで1ベクレルも減らすことができないという現実がある。最終処分場どころか中間貯蔵施設の場所選定すら決められない。
 原発プラントが輸出された国々に最終処分場がないのにたくさんの使用済み核燃料が山と積まれるから、原発輸出は人類の未来に不幸の種をまくようなもの。永遠に続く人類の不幸という未来に必ず起きる大きな犠牲の上に、いま原発を製造する日本企業がたくさん儲かる、じつにあくどい商売である。
 ③⇒カジノができたら、入り浸る人が必ずたくさんでてしまう。ギャンブルは癖になる。ありていに言うと中毒になる。自己破産する者が続出する。たくさんの人の生活破綻の山の上に、カジノを経営する企業がごっそり儲ける。
 お父さんやお母さんがギャンブル中毒になって、財産をなくしてしまったら、子どもの未来はどうするの?学校だってやめなきゃならない。生活保護世帯も増える。このような生贄が必要な経済成長ならわたしはいらない。

 縄文時代以来日本列島がはじめて迎える人口減少時代に経済成長路線はふさわしくない、わたしたちは経済縮小のさなかに生きている。人口が急激に増大した時代の経済成長を「人口減少と高齢化と少子化の同時進行」の中で実現しようとすること自体に無理がある。無理はやめて経済縮小を受け入れよう。人口が半分に減ったら、完全雇用が実現し、食糧自給はできる。鎖国(強い管理貿易)と週休3日制を導入し、金・土・日は菜園づくりや釣りをして楽しもう。電力需要は激減し原発も要らなくなり、日本の国土は昔の美しさを取り戻し、私たちの子どもや孫がもっともっと穏やかに暮らすことができるから、経済縮小(マイナス成長)を恐れることはない

 他人の不幸の上に自分達の経済成長を実現しようと思うような、せこくてずるくて意地汚い日本国民はそんなに多くはないと信じたい。
 安倍総理、あなたは「美しい国日本」って言ってませんでしたか?
 自民党の他のメンバーのみなさん、ほんとうにこんなに意地汚い成長戦略でいいのですか?

 
三つとも前回衆議院選挙公約にはなかった項目のようだ。それどころか原発はなくしていく方向だと約束したはず。武器輸出解禁なんておくびにも出さなかった。

 正直・誠実・勤勉であることが美しい日本のこころ
 パトリオット*わたしは健全な保守主義を次の世代に伝えたい世界中で日本だけは儲かれば何をしてもいいというビジネス感覚の国にはなってほしくない他人の不幸の上に築かれる経済成長と日本は無縁であってほしい
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*#1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』May 17, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17

 #1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳 May 16, 2010
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

 秋水はナショナリズムとパトリオティズム(郷土愛)を区別せずに愛国心をすべからく偏狭で排他的なものであると定義しているが、わたしは郷土愛とナショナリズムは区別したい。その点の説明は藤原正彦著『国家の品格』に譲る。

 <以下、#1030より抜粋>

 数学者藤原正彦のナショナリズムとパトリオティズムの二つの用語の使い分けについて『国家の品格』から該当箇所を引用して補足しておく。

「愛国心」ではなく「祖国愛」を
 私はいつぞや、アメリカ人の外交官に「お前はナショナリストか」と訊いたことがあります。そうしたら、「オー・ノー」と否定されました。そこまではよかった。
 ところが「パトリオットか」と訊いてしまった。そしたら「もちろんだ」といって今度は怒り始めた。自分が生まれ育った祖国の文化、伝統、自然、情緒をこよなく愛することは、当たり前中の当たり前である。外交官でありながら、そんな質問をされたことを侮辱ととったのです。明治になってから作られたであろう愛国心という言葉には、初めから「ナショナリズム」(国益主義)と「パトリオティズム」(祖国愛)の両方が流れ込んでいました。明治以降、この二つのもの、美と醜とをないまぜにした「愛国心」が、国を混乱に導いてしまったような気がします。言語イコール思考なのです。
 この二つを峻別しなかったため、戦後はGHQの旗振りのもと、戦争の元凶としてもろとも捨てられてしまいました。わが国が現在、直面する苦境の多くは、祖国愛の欠如に起因するといっても過言ではありません。・・・ 私は愛国心という言葉は、意識的に使いません。手垢にまみれているからです。そのかわりに「祖国愛」という言葉を使い、それを広めようと思っています。言葉なくして情緒はないのです。(藤原正彦著『国家の品格』114ページ)

  『国家の品格』が260万部も売れているのは単なる流行だけではなく、しっかりした論が展開されているからだろう。 

 手元にある辞書2冊をみると定義は次のようになっている
Nationalism: 2 a great or too great love of your own country
Patriotism: When you love your own country and are proud of it
     (Cambridge Advanced Learners Dictionary)

Nationalism: 2 the belief that your nation is better than other nations
Patriotism: strong feelings of love, respect, and duty towards your country
     (Macmillan English Dictionary)

 ナショナリズムはtoo great love of your own country(度を越した祖国愛)だったり、他国を省みない排他的なニュアンスがあるが、パトリオティズムにはそういう負のイメージはなく、生まれ育ったホームタウンへの素朴な郷愁や誇りにすぎないしかしそれも程度問題で、容易に排他的愛国主義(ジンゴイズム)へと転化しかねない危うさももっている。
 Patriotism can turn into jingoism and intolerance very quickly. 

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 日本は白人の植民地支配からアジアを解放するために、開国後の苦しい国家財政のなかで四分の一もの規模で韓国や台湾独立を維持するために財政支出をし続けたことがある。意地汚い国ではなかったことを思い出したもらいたい。

 こんな愚劣な成長戦略しか考えつかないのなら余計なことはしてくれるな、さっさと退場してもらいたい。日本人と日本企業はまともな商売で堅実にやればいい。
 美しい国日本には、何百年も前から世界に誇れる商道徳を守り育ててきた。美しい日本人のこころが育んできた商道徳を忘れてはいけない

   売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし

 輸出すべきは、武器ではないし原発でもない、世界に誇る商道徳だ。
 広めるべきはカジノではない、日本の伝統的な商道徳だ

 美しい日本、世界に誇れる日本人の心(=情緒)がここに凝縮している、道を踏み外してはいけない。


* #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 [91.経済]

 わたしは縄文時代からカウントして1.2万年の日本列島の歴史で、はじめて迎える人口減少時代に、成長戦略なんてナンセンスだと考えている。思いっきり単純化してみたら誰にでもわかる。

     一人当たり国民所得×生産年齢人口=国民所得

 老人の年金収入もあるじゃないかなんてことは無視、大雑把な話の方がよくわかるから細かいことは言いっこなし。稼ぎ手が減れば基本的に国民所得は減ると考えよう。
 非正規雇用が増えれば一人当たり国民所得は減少するし、生産年齢人口(15~64歳)は激減し始めている。ピークには8700万人いたが2040年には6000万人を割るのである。一人当たり国民所得が横ばいでも国民所得の合計は3割も減少する。消費が26年間で3割以上減少するということだ。所得だけではない、電気もガスもガソリンも燃料用灯油も食料品も消費量が3割減る。人口縮小時代には原子力発電なんて無用の長物と化す。原発維持がしたくて成長路線を声高に言っているのではないのか。
 そういう人口減少時代にGDPをいまの規模で維持できるわけがない。だから成長戦略は幻である。成長ではなく減速戦略あるいは縮小戦略に切り換えるべきだ。そういう観点から日本経済を見直してみた方がいい。世界一高速で高齢化と同時に人口縮小しつつある日本は、考えようによっては世界最先端を走っており、戦略選択さえ間違えなければ、ハッピーな国になりうるのである。とるべきは経済の縮小戦略、減速戦略と小欲知足による幸せ志向である。

 長距離高速バスの規制緩和を例にとって、ほんとうに規制緩和はいいことなのか、国民を幸せにすることなのかをチェックしてみたい。
 長距離バス料金は競争激化により価格破壊が起きた、そのことは消費者にはメリットのように写っている。だがメリットだけか?デメリットはないのか?ある、事故が多発したのである。料金低下は事故が多発し安心して利用できなくなるという代償を伴っていた。
 ではバスを運転するドライバーはどうか?500kmを超える乗務で疲れ切って居眠り事故を起こすような過酷業務や連続乗務に追い込まれ、給料は低下した。
 バス会社はどうか?規制緩和で小さい会社が乱立し、収益力が低下し、ドライバーの賃金低下と労働強化をもたらした。そして会社の利益は減少したのである。
 旅行会社は長距離バス商品を競って販売し、価格低下を招いて利益を減らした。

 その結果、長距離連続運転に以前よりもきつい規制がかけられた。規制緩和だったのに、回りまわって長距離連続乗務の距離に規制(400km制限)がかけられるようになった。野放図な規制緩和は維持できなくなる物だということ。日本のさまざまな規制は当たり前のことだが全部が悪いわけではない。一つ一つ具体的にメリットとデメリットを比較計量して規制緩和か規制強化かを決めなければならない。
*国交省、全高速バスに400キロ制限 夜間の運転距離、7月から(日経新聞) 2013年2月12日
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1204X_S3A210C1CR8000/


 長距離高速バスを例にとって見たが、こうしてみると誰が得をしたのだろう?だれが幸福になったのだろう?関係者が皆、規制緩和以前よりも不幸になり安心安全が失われた気がしてならない。
 同じことはタクシー業界でも起きた。

 経済特区とか、規制緩和とか、成長戦略のために何かいい事のように喧伝されているし、そういうことを声高に叫ぶとんでもない経済学者もいるにはいるが、よく考えて判断したい。
 いま問題になっている記載緩和の最大のものは言わずと知れたTPPである。特定の経済圏の仲間内だけ抜け駆けしよう、甘い汁に預ろうという特定メンバーのみの規制緩和である。このなかで誰が幸福になるのか、そして誰が不幸になるのかが問われなければならない。
 グローバリズムは簡単に言うと地球主義である。規制緩和の果てに俟っているものは、低コストを求めて生産拠点が移動していく経済社会である。ある国が大量に生産し、他の多くの国々が輸入する、リカードの比較生産費説が貫徹する経済社会、こんな滅茶苦茶な経済社会は人類を幸福にするものといえるのだろうか?
 新しい経済学が生まれなければならない。それは職人仕事を中心に据えた経済社会である。もちろん貿易は強い管理貿易で、世界中の国々が自国内に雇用を確保できる経済社会でもある。

 アベノミクスの成長戦略は民間マターであり、政府にできることは規制緩和しかなさそうだ。その規制緩和は日本国民も人類も幸福にしないことだけはハッキリしている。
 あなたはいま政府が進めている規制緩和、グローバリズム、成長戦略、TPPに賛成できるか?



*#2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
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 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
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 #2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
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 #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
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 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
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 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
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 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
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 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
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 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
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  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
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  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
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  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
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  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
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  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
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#2645 生産年齢人口の長期的な減少は何をもたらすか Apr. 16, 2014  [91.経済]

 生産年齢人口とは15歳から64歳までの層の人口だが、それが8100万人から7900万人に減少したというニュースが流れた。
*「生産年齢人口8千万人割れ 32年ぶり、総人口21万7千人減」(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140415/plc14041519430019-n1.htm
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2014.4.15 19:43

 総務省が15日に発表した平成25年10月1日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は前年に比べ21万7千人減の1億2729万8千人で、減少幅は3年連続で20万人を超えた。このうち15~64歳の生産年齢人口は、116万5千人減の7901万人で、32年ぶりに8千万人を下回った。・・・
-------------------------------------

 データを並べてみよう。
 2010年 8174万人
 2012年 8018万人
  2013年 7901万人
 2040年 5787万人
 30年間で2387万人(29.2%)の減少

 総人口の減少は2078万人だから、総人口減少率(16.3%)よりも生産年齢人口の減少率(29.2%)のほうが大きいことがわかる。省エネ技術が進むだろうから電力需要も30%程度は減少するだろう。
*******************
(全国の54基の原発が停止しているいまギリギリのところで電力需要が賄えているなら、長期的に見たら原発を動かす必要はないことがわかる。廃炉の費用がかさむから、国が原子力発電設備を買い上げない限り電力料金は上がり続けるだろう。また、国が原子力発電設備を買い上げると大きな財政負担となるだろう。24年間で数十兆円で済むだろうか?チェルノブイリでは未だに3000人もの人々が壊れた原子炉の管理のために働いている。54基×3000人=170,000人。
  170,000人*600万円=1.02兆円
 このほかに使用済み核燃料棒等の核廃棄物の管理にかかるコストや廃炉解体費用がかかる。)
*******************
 就業人口は生産年齢人口の概ね80%だから、一人当たり400万円の年収として計算すると

 2387万人×400万円×0.8=7.63*10^13円

 約76兆円の国民所得減となるから、GDPも20%(100兆円)くらいは減少するのだろう。こういう長期的な傾向を考慮に入れると、「アベノミクスの成長路線」はかなり無理筋と思える。
 わたしたちは、人口縮小と少子高齢化による生産年齢人口の加速的な縮小、そして経済規模の縮小を静かに受け入れなくてはならない。
 じたばたしてもはじまらぬ、縮小を前提に政府予算も運営すべきだ。もちろん、新規国債を増やすことなど断じてしてはならぬ。26年後に縮小してしまった経済規模で国債の償還ができるはずがない。

 生産年齢人口の急激な縮小はさまざまな影響を社会に及ぼすが、若者たちの就職との関係だけに絞って考えてみたい。
*さまざまな影響は次のURL(プレジデント)に詳しい
http://president.jp/articles/-/11641

 就職氷河期は終わりを告げ始めている。生産年齢人口が1年間で200万人も減少すれば、就職の求職・求人のバランスに大きな影響が出る。三菱UFJは非正規雇用者を組合に入れることを決定した。処遇を改善しておかないと今後の人材確保が困難になると読んだからだろう。
 経営努力をせずに非正規雇用を増やして利益を上げるようなイージな企業はこれから没落せざるを得ないだろう。人材が集まらなくなれば企業の活力は失われる。50年間に渡って最良部分の人材を流出し続けた根室の町をみればよくわかる。

 根室の地元企業は、非正規雇用が多いところや中国人やベトナム人を多く雇っているところは信号が黄色に変わったと思ったほうがいい。まもなく品質管理技術の伝承ができなくなる。
 それを防ぐためには、退職金規程を含む人事諸規程や経理規程を定めて従業員に公開し、その通りに運営する。決算も従業員に公開する。社員比率を高め、社員に夢を語り、夢を社員と一緒になって実現できる経営者と企業だけが生き残るのだろう。

 生産年齢人口の急激な縮小は、無能な経営者達を駆逐する梃子になる。当たり前のことだが、人を育て人を大事にする企業が生き残る

 今年は市長選挙があるようだが、3月の北海度新聞根室地域版の報道によれば、現市長の無投票三選が濃厚らしい。誰に代わっても似たようなものということか、わがふるさと根室にはさまざまな分野ですでに人材が枯渇してしまっているようだ。

 市立根室病院の赤字拡大も前市長時代の8億円から11億円台に乗ってもう何年もたつが一向に減る気配がないどころか、年々増え続けて一昨年は17億円の赤字、昨年度決算はこれからでるだろうが、20億円前後の赤字になっているのではないか。市側の資料によれば根室の財政の適正規模は90億円*だが、昨年も今年度も165億円前後に膨らんでいる。このままでは市債残高が増え続ける。子どもたちにツケを回してはいけない。わたしたちの時代の始末はわたしたちの世代でつけるべきだ。
*2334「大地みらい信金3期連続の増益そして地域経済は衰退 Jun. 19, 2013」より抜粋
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19
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 市側の資料によれば根室市の適正財政規模は97億円、今年度の予算は166億円だから適正財政規模の1.7倍に膨張した予算。市債の新規発行は市が決めた限度の8億円を2年続けて反故にした、今年度は24億円だ。市債残高は減少していく長期計画だったが、実績はそれとは真逆の動きをしている。市債の発行残高が増えている。
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 これほどの赤字を容認するなら、職員給与に手をつけ、市債残高を増やすべきではない。10億円を捻出するだけでボーナス込みの年収を3割カットするほどの痛みを伴う。

*平成25年度市立根室病院の赤字額推計
#2327 わけのわからぬ「根室市の家計簿」(2) :いい町はこうやってつくる  June 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-09-1


 総人口減少は生産年齢人口の減少を伴うから、国債発行残高を増やすことがあってはならない。当代のマイナスは当代で負うべき」*と福島第一原発事故に関連して経済学者の馬場宏治先生が亡くなる少し前に経済理論学界第59回大会へメッセージを寄せていた。
*#2237 過剰富裕化論提唱者の福島原発事故処理構想:遺稿 Mar. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04

 40兆円の税収しかないのに90兆円を超える予算を組み、政府財政予算は100兆円に近い規模に拡大している。差額は新規国債発行でまかなわれ、後代へツケ回しが行われている。このようなことは道徳的にも倫理的にも許されざる行為であるとebisuは思う。痛みを伴ってかまわぬから、当代の債務を当代で小さくする努力をしようではないか。それがわたしたち大人の責任というものだ。


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*#2636 日銀手詰まり⇒国債暴落⇒円相場大暴落の可能性アリ:浜矩子 Apr. 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-07-1

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2237 過剰富裕化論提唱者の福島原発事故処理構想:遺稿 Mar. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04

 
#2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2636 日銀手詰まり⇒国債暴落⇒円相場大暴落の可能性アリ:浜矩子 Apr. 7, 2014 [91.経済]

 標題のスキームは同志社大教授浜矩子が4月7日NHKラジオ番組「ビジネス展望」で最悪のシナリオとして解説したものである。このスキームへといたる論点を箇条書きにしてみる。

(1)日銀の異次元の金融緩和の効果なし
 金融緩和するも市中には資金需要がない。生産を拡張するような状況にないし、大企業は内部留保がたまっているから自己資金が潤沢にあり、投資の必要があっても銀行借り入れをするような状況にない。日銀当座勘定が増えただけで異次元緩和は市中への影響なしというのが実態。

(2)物価上昇
 物価上昇は国内需要が増大したからではなく、円安による原材料高や輸入穀物・食糧の輸入金額が円換算で高くなったことによるもの。当初目的としていた「需要増⇒インフレ」によるものではない。

(3)デフレマインドは改善したか?
 マインドは気分、気分の浮かれているだけ。株価上昇で気分がよくなっている人だけのお話し。その一方で、貧困にあえいでいる人たちの比率が高くなっている。こういう人たちにとって"マインド"は関係ない話だ。

(4)デフレ脱却のために必要なこと
 分配政策が必要。格差が拡大して貧困な人たちの状況を改善し、需要を増大させることがデフレ脱却の本筋である。

(5)貧困層はどういう状況にあるか
 賃金が上がらない。ベースアップは大企業の正規雇用者の話で、非正規雇用や中小零細企業は原料高と消費税アップで収益が圧迫されてベースアップどころではない。
 大企業は正規雇用のベースアップをした分、非正規雇用や下請けのコストカットを行うだろう。ますます所得格差が拡大する。

(6)日銀の金融政策決定会議について
 追加緩和をあまり早くやるとやることがなくなる。新たなことをやっているような見せ掛けのイメージ作りをするのに苦労をするのではないか。

(7)最悪のシナリオ
 日銀に国債がたまっていることにみんなが気がつき、国債をもっているのはリスクを大きくするから、国債の買い手がいなくなる。投売りが始まれば国債は大暴落し、円相場も連鎖的に大暴落する可能性が大きい。

 わずか8分足らずの短い番組だが、浜矩子は日銀の異次元金融緩和の現下の状況をこのように解説している。

 浜矩子はアベノミクスの三本の矢のうち「異次元金融緩和」はまるで効果がなかったと論拠を掲げて解説している。民間企業の資金需要がないのにいくら膨大な金融緩和をしても日銀当座勘定へブタ積みされるだけで成長戦略にはまるで役には立たない。
(円安によるインフレなどいい事は何もないから、ドアホな政策だ。「#2245円安はそんなにいいことか」で解説しているので、そちらも見てほしい。)

 まずいのは、日銀だけが国債の買い入れ機関となりつつあることだ。元々赤字国債の日銀直接買い入れは禁止されていた。それは戦時経済で赤字国債を増発したらついに戦争が終わるまで歯止めができず、戦後に深刻なインフレを引き起こしたからである。財政健全化を保持するためには赤字国債の日銀買取は本来禁じ手なのである。
 銀行は国債保有のリスク回避のために期間の長い国債を短いものに切り換えている。このままだと、国債の買い手が市場からいなくなり、大暴落のリスクが大きくなる。
  国債が売れなければ、借換債も新規赤字国債も消化できないからただちに政府財政が破綻する。借換債は2012年度に110兆円、2013年度は128兆円の規模に膨らんでいる。
 国民はいつ爆発しても不思議ではない爆弾の上に寝ている。そんなことはみんなが知っているが、だれも「王様は裸だ」と叫ばない。それも日本人の特質のひとつかも知れぬ。横並びがいい、大勢に異を唱えない、和をもって尊しとなすという聖徳太子以来、いや大国主命(出雲政権)の国譲り以来つづく価値観に従順なのだろう。

 国債の日銀買い入れをやめ、長期金利を市場に任せればこのような野放図な国債発行はできないから財政規模を半分程度に縮小せざるをえなくなる。人口減少時代に突入してしまったのだからそれでいいのだが、日銀も政府も正反対の政策を続けている。財務官僚と日本政府そして日銀は三者そろって崖に向かってアクセルを吹かし続けている、もうとめられない。日銀が赤字国債の買取をやめたら買い手を失った国債は大暴落するから日銀は国債買い入れをやめられない。もう日銀の政府からの独立性なんてとっくになくなっており、政府と日銀は一蓮托生、自爆テロの様相を呈している。

 国民も、都道府県も市町村も国債とと円相場の同時大暴落に備えなければならない。時間の余裕は3年あるだろうか?甚大な被害は全国民に及ぶだろう。
 そのあとで、日本は伝統的な価値観に基く、職人仕事観をベースにした健全な経済社会を築けばよい。悪いことばかりではない、目が覚めたそのあとにはしっかりした経済を築くことになるのだろう。混乱の時代が始まればかならずそれを打開する能力をもった人物が現れる、日本とはそういう国だ。

 6年前(2008年10月10日)の弊ブログ記事 「#346これから10年間の日本経済のシナリオ」より抜粋引用。 
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《日本の伝統的価値観を基調とする経済社会構築の時代が到来》
 まったく別の、教育のあり方を含めた新産業育成政策が議論されるべきで、日本の伝統的な文化をベースに世界に向けて何かを創りだすべき時だ。
 商道徳の高さや生真面目な職人の労働観がベースとなるような信頼感溢れる安定した経済社会を世界に広めるべきときが来たのだと思う
 売上拡大や利益拡大を至上目的とするのではない社会。高度成長に価値を置かない世界。周囲と良好な関係を結びつつ、高い倫理性に裏付けされ自然と調和しながらつましく生活する経済社会を目指す時代、日本人の伝統的価値観や文化を見直すべき時代である
 高齢化社会を踏まえ今後50年、どういうビジョンで日本という国を運営するのかが議論されるべきだ。


《今後10年間のシナリオ(假説)と対処について》
 まず、米国経済の凋落による円高が始まった。円はこの10年間の間に50~80円/$(10日の外国為替相場は100.12円/$)になるだろう。後半には米国経済が凋落後、安定化する。日本は円高・株安で外為特別会計で保有している100兆円近い米国債で一時的に40兆円以上の為替差損を出すが、後半に起きる円安でとりもどせる。米国市場で運用している年金基金の91兆円も一時的に巨額の為替差損が生じるだろう。
 このまま放置すれば年金のディフォルト(債務不履行・支払い不能)が起きる累積国債残高は1000兆円を超え、10年のシナリオの後半に日本の国家財政は破綻を迎え円安が始まる
 このままでは日本経済は沈没し、そして10年の後半には200円/$を超す円安に向かって走り出す可能性がある。いろいろな可能性の内の一つに過ぎないが、備えておくべき假説である。だから、暫定予算など組んでいるときではないのだ。
 これ以上赤字国債を発行してはいけない。どんなに苦しくともやるべきではない。子どもたちに返済不能な借金を残すことは理由の如何を問わず人の道に外れている


 ドル下落による数年にわたる未曾有の円高、そして国家財政の破綻と高速高齢化による経済構造の大転換等が同時に来るカタストロフイーがいいのか、何度かに分けてショックを呼び寄せ、慣れていくのがよいのかという選択問題がある

 いずれにせよ先を見て仕事をしなかった官僚・政治家、それらを支持し続けた私たち国民が招き寄せた大災害であることは間違いない。政治や経済の流れを見ながら、もはや数度に分けてショックアブソーバーをかませて甘受するしかないというのが私の感想である。そしてその次に何を創りだすのかが議論されるべき時が来た。
 若い人たちのなかでセンスのよい者や何かの才能に秀でた者たちが叡智を絞ってビジョンをつくり上げ、国造りをする時代が来た。たとえて言うと幕末前夜、敗戦前夜である。

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*#2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
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 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
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 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
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 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
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 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
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#2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
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 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
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 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
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 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
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*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
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 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
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 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
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  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
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  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
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  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
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  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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