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#5197 おはぎの日 Mar. 23, 2024 [A8. つれづれなるままに…]

 昨日、女房殿が餡子(あんこ)をつくっていました。小豆はいつも北海道産のものを使っています。今朝もち米が炊けたら、半殺しにしますが、それだけがわたしの役割です。後は女房殿がやってくれます。ご飯と餡子を秤で測って並べると、次々にお米を餡子でくるんでいくから、大きさは同じになります。几帳面な性格がよく出ています。ご飯は4合炊いて、これはおすそ分け用、自宅分はそのあと3時間くらいしてから2合炊きました。
 お米と餡子の割合は2:3で、餡子の方が多い。

 ずらーッとおはぎが並んだので、ひとつお皿に載せていただきま~す。
 百回噛みしめながらいただきました。二十数個つくって、18個はおすそ分け。後の方の2合は12個できます。おはぎ大好きだけど、胃のないわたしはそんなに必要ありません。1日たって冷蔵庫の中で少し硬くなっても、電子レンジで温めたら元通りやわらかくなります。

DSCN7565s.jpg
 去年は4回、いや5回作ってくれた。今年は2度目。

<余談:英作文作成>
 いつも通りにNHKラジオ英会話四月号を組み替え編集して英作文問題を作成。18日から始めて6日間で制作完了。A4判で1924ページ。#1624回。

<余談-2:鉄砲汁>
 生活クラブでとってあった花咲ガニの鉄砲汁を食べた。蟹の出汁がよく出ていておいしい。古里の味だ。


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#5196 3年前に極東の高校を卒業した生徒たち Mar. 23,2024 [60. 進路(進学・就職)]

 昨日「#5195看護師国家試験合格発表日」で看護師の国家試験合格を電話で知らせてくれた元塾生のことを書きました。あの生徒は平均評定4.9で面接試験のときに、「どうして看護学校なの?」と訊かれたそうです。
 中1の最初の2回の試験は、国立大医学部へ根室高校から現役合格した生徒と五科目合計点では僅差でしたが、3回目からははっきり差がついてあきらめたと言ってました。
 この生徒が小4から塾へ来て9年間勉強していたら、北大・旭川医大・札医大なら、偏差値45の根室高校から現役合格できた可能性が高いと思います。他にも、同じ中学校で1人そういう生徒がいました。あの当時は市街化地域に中学校は3校、郡部に3校でしたから、10人くらいは、毎年同学年にそういう生徒がいます。そしてそのほとんどが、難関校へは現役合格できません、それが田舎の教育システムの現状です。

 学力が高い生徒たちを育てるのに、何をどうやればいいのか、箇条書にしてみます。 
〇都会の進学校と同じように1年半ほど前倒しで教える
〇数学は教え過ぎない:基本は独力で予習方式で自分で考える力を養う
〇数学は概念の拡張や一般化を繰り返し教える
〇生徒から質問が出たら、一緒に考える:とことん突き詰める
〇英語は音読トレーニングを授業でやる
〇日本語音読トレーニングをやる
〇学力に見合った問題集を選定する

<脳内の並列処理トレーニングの仕方:先読みスキルの重要性>
 考慮すべきことはこれぐらいですから、大したことはないのです。6番目の日本語音読トレーニングが、思考力を育み、脳をパラレル処理できるように鍛えるので重要です。医学部へ現役合格した生徒とは17冊取り上げて、小6の時から音読トレーニングしました。先読み技術を習得すると脳が言語を並列処理できるようになります。声に出して読んでいる部分と、先読みしている部分の二つの処理が並行して走っています。これが習得できると、段落ごとに意味をとらえながら、比較しながら読めるようになります。論理整合性もチェックしながら読めるようになります。著者の意見をチェックしながらも読めます。自分の意見と対比しながら読むこともできます。日本語テクストを読むときに、脳はこうした情報処理をいくつも並行して走らせていますので、地頭がよくなります。

<数学指導上の留意点>
 数学は概念の拡張や一般化を問題を通して教えたらいい。数の概念の拡張は負の数の導入、無理数の導入、複素数の導入、関数は1次関数、2次関数、3次関数、指数関数、三角関数、そして平面ベクトルや空間ベクトルへの拡張、複素平面など頻繁に出てきます。場が違うだけで類似の操作も多いのです。生徒達は分野の異なる章の中に同じ操作を発見し、概念を拡張することで同じ数学的操作が別の場で使われることを理解します。そういうことを小4から高3までの9年間にわたって繰り返すうちに、数学という学問や演算や図形操作に統一的な視点を獲得していくのだと思います。そうすることで記憶しなければならない分量が数分の一に減らせます。
 個別の問題を通して、数字を文字で置き換えることで、一般化の手続き自分の手でやってみて覚えていきます。公式が好い材料です。一般化することで汎用的な解き方への接近を繰り返し経験していきます。社会人になったときにそういう経験が生きています。

<数学の問題集の選定:コンパクトな予習解説+難易度の高い問題>
 数学の学力上位の生徒には育伸社のシリウスシリーズを使いました。塾用教材ですから、市販していません。
 学力上位の生徒は同じ問題集を使っても、それぞれ速度が違うので、別の章をやっていますから、個別指導してました。シビアな質問が出ることがあります。数Ⅱで解答がヘンだというので、チェックしたことがありました。念のために助変数を使わずにGRAPESで式をそのまま入力してみたら、解答が間違いであることがわかりました。助変数表示する際の条件に見落としがあったのです。普通の生徒は、解答を見て納得してしまいます。この数Ⅱ問題集は解答集が557ページもあります!

<指導範囲を制限しない>
 生徒をよく観察して、個別に対応します。トップクラスでも、問題の消化速度が異なるので、同じペースの集団授業にはなじみませんこういう生徒たちにとって学年ごとに指導範囲を制限する学習指導要領は有害無益です。彼等の興味と問題関心に合わせてどの程度の深さまで教えるかその都度判断します。説明の範囲すら個別に調整してました。要は、生徒をよく観察し、その人の「教育」に必要な範囲での説明にとどめます。あまり説明しすぎてはいけません。自分で発見する喜びを奪うことになりますから。授業にはそうした知的な発見を独力で達成したという喜びが大切です。教育を、教師が授業を通じて指導し、生徒に学ばせることだなんて固定観念にとらわれていると、学力の高い生徒たちの指導はとても無理です。教える教師の指導内容の中身が薄ければ、すぐに見破ります。こういう感覚は、子どもたちの方がずっと鋭いのです。見破られて生徒にあしらわれてイライラする先生が少なくありません。生徒の学力や知的好奇心あるいは問題関心に沿った指導が大切なのだろうと思います。そして冗長になる部分はバッサリと切り捨て、説明しないのがいいようです。彼等は、一つを聞いて三つくらい理解しますよ。最初のうちはなかなかできなくても、そういう指導に次第に慣れてきます。だから学年が上がるほど、こちらが説明する事柄も時間も顕著に減少してきます。それが「手ごたえ」なのです。それで生徒がどの程度の段階まで成長しているのか、はっきりとわかりります
(文科省は学習指導要領を教師が守るべき基準ではなく、最低要件だという風に解釈を劇的に変更しました。数年前のことです。これで、先生たちは自由になったはずですが...)

 極東の学校でも、やり方次第で、生徒達の潜在的な学力を引き出すことができます。
 化学と物理は根室高校の先生の協力が必要でした。地域の塾と高校の連携は、生徒の潜在的な学力を顕在化させます。

<質の高いアウトプットは質の高いインプットが支えている>
 現役で旭川医大へ合格した生徒は、2次試験の小論文で300点満点で295点で合格しています。ここで圧倒的な差がつきました。道北・道東推薦枠の合格者の内で現役生での合格トップでした。6年半の間に17冊の本を日本語音読授業で採りあげましたが、そこで培った語彙力や対話が、質の高いアウトプットを可能にしたのだと思います。
 この生徒は、大人に対する言葉遣いがしっかりしていました。塾でも私と対話しているときに、「友達言葉」にはなりません。使い分けがしっかりできていたのは、家庭での躾でしょう。

<教育の地域格差への対処>
 小5の1月4日に入塾し、スタートが2年近く遅かったので、その分をカバーするのがたいへんでしたが、高校生になってからは土日に両親と出かけるのをやめて、しっかり勉強するように化けました。それまでは毎週土日は両親に付き合って、勉強時間が確保できなかったのです。塾の先生泣かせでした。命を助けてもらった主治医でもあるので、お父さんに「土日は引っ張りまわすな」とは言えませんでしたね。さすがに、高校生になったら土日をつぎ込まないと現役合格無理だからと本人に伝えました。「僕は土日も勉強するから、つきあわないよ」と両親に告げたそうですが、ちょっと心が痛みました。生徒はぎりぎりでちゃんということ聞いてくれました。生徒を挟んで、こういうドラマがあるんです。(笑)

 地位社会で、子どもたちと接する大人の意識や行動も、子どもたちの学力を育むことに大きな影響があるのでしょう。それぞれの接点で、自分ができることを只管(ひたすら)やればいいだけなのでしょう。

 日本語音読トレーニングで採りあげた17冊の本のリストを貼り付けておきます。こんな授業をやっている私塾はほとんどないでしょうから。


〈日本語音読リスト〉…
*#3726 
日本語音読トレーニングのススメ:低下する学力に抗して Apr. 18,2018
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-04-18-1

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<7. 国語力アップのための音読トレーニング >
 中2のトップクラスのある生徒の国語力を上げるために、いままで音読指導をしてきた。読んだ本のリストを書き出してみると、
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『声に出して読みたい日本語③』
○『坊ちゃん』夏目漱石

○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
 『五重塔』幸田露伴
 『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
●『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆

『語彙力こそが教養である』斉藤隆
●『日本人の誇り』藤原正彦(数学者)

◎『福翁自伝』福沢諭吉
◎『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆(物理学者)

(○印は、ふつうの学力の小学生と中学生の一部の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本はふつうの学力の中学生の音読トレーニング教材として授業で使用した実績がある。◎は大学生でも語彙力上級者レベルにふさわしいテクストである。平均的な語彙力の大学生には手が届かぬ。
 音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが、2年前から希望者のみに限定している。本気でやる気にならないと効果が小さいので、お互いに時間の無駄。)

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 件(くだん)の生徒が音読指導で読んだ本のリストです。本の中身についても問題に気がつく都度、議論を重ねてきました。大学の良質のゼミ並みの内容をもってました。北大ではこういうレベルの学部のゼミはおそらくないでしょうね。
 わたしは学部では哲学の市倉宏祐先生のゼミに、大学院では3人で西洋経済史の増田四郎先生(元一橋大学学長)の授業を受ける機会に恵まれました。どちらもその分野では当時日本でナンバーワンの先生です。
 この生徒はやっているうちに慣れてきて、高校生になってからはそういう大学の学部ではトップレベルのゼミでやるような議論ができた特別な生徒です。
 だから、ご褒美に最後の本は西田幾多郎『善の精神』にしようかと考えていました。医学部に進学したら、哲学書なんてカタい本は読む機会がないだろうと思ったからです。でもやめました。興味がそっちへそれたら、思索にふけることになるのでとても時間を食います。好奇心が強いから危ない。(笑)
 それで、山本義隆『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』を取り上げました。π中間子理論で日本人初のノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹がもっともノーベル賞に近いと評した優秀な学生でした。この本は語彙が難解な本です。大学院生のときに全共闘議長に担がれた彼は、東大へ残れませんでしたね。時代の流れです。岩波新書のこの本を1冊読むだけで、知の巨人、本を書く職人としての彼の力量がはっきりと読み取れます。若い時に本物の知識人とまみえることは大事なことです。だからこの本を選びました。とてもカタい、めちゃカタい。(笑)


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